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月夜の猫-BL小説です 春雷67(ラスト) BL小説 「運動不足で筋肉も免疫力も落ちてるだろ。俺も風邪なんか引くようじゃ、少し身を入れてやらないとな」 工藤の言葉に良太も返す言葉がない。 この会社にもトレーニングルームがあり、良太もたまにそこにあるマシンを使ったりしていたが、最近は忙しいのを理由に無精してい
月夜の猫-BL小説です 春雷66 BL小説 七時を回っているが出前を受けてくれたので、カツ丼を二つと玉子丼を警備員のところに持って来てくれるように頼むと、警備員の携帯を呼び出した。 「お疲れ様です。工藤ですが、今出前頼んだんで、そこまで取りに行きます。広田さんも召し上がって下さい」 今日の担当警備員、広田
月夜の猫-BL小説です 春雷65 BL小説 ウールカシミアのダークグレイのカーコートにサングラス、大柄な男がエレベーターから降りると、廊下に屯していたスタッフやタレントらが思わず振り返らずにいられなかった。 絶対只者じゃないな的なオーラにサングラスの奥からでも鋭い眼光が窺えそうな雰囲気につい後ずさりして、
月夜の猫-BL小説です 春雷64 BL小説 今夜紺野と会ったからか、局を辞してからの自分が、脳裏を駆け巡った。 特に良太が入社してからの時の流れが己の変遷を見せていた。 初めてひょろっとした良太と出会った時は、良太という存在がこれほど工藤の身に染み入るとは、思いもよらなかった。 恋や愛などという胡散臭い
月夜の猫-BL小説です 春雷63 BL小説 「すみません、せっかく紺野さんと呑んでたのに、俺だけ先に帰ればよかったですね」 やっと捕まったタクシーの中で、良太は言った。 「何を今さら殊勝そうなことを言ってるんだ」 工藤は笑って良太の頭を掻き回した。 タクシーを降りると、また小雪がちらついていた。 工藤は
月夜の猫-BL小説です 春雷62 BL小説 「ああ、当事者のお前は知らないこともあったかもだが、お前の出自がどうのと口にしたやつ、地方へ飛ばしてたぞ?」 「はあ?」 そんな話は工藤も初めて聞く。 「あの人、頭は切れる上にバックボーンが鴻池物産だろ? 上層部もあの人には逆らえないって感じでさ」 「まあ、俺が仕
月夜の猫-BL小説です 春雷61 BL小説 「はあ」 工藤はさらに面白くなさそうな顔で返す。 「はあ、じゃないよ、見ろよ、今日は居酒屋より彼女とお食事とかの日だろうが、お前ともあろうものが女っけなしで、こんな場末の店にしけこんでどうした?」 酒が入ってるからか、紺野は笑いながら揶揄する。 「紺野さんこそ、
月夜の猫-BL小説です 春雷60 BL小説 ホールのざわめきに、良太はふうっと肩の力を抜いた。 「風邪、大丈夫ですか?」 「ああ」 工藤も椅子の背に凭れかかった。 「そうだ、佳乃さんは?」 「さっき電話があった。学会だとか言ってたな」 「昨日会社の方に来てくださって、皆にプレゼントいただいたんです。工藤
月夜の猫-BL小説です 春雷59 BL小説 「あ、良太、来たんだ」 ぼんやり突っ立っていた良太は聞きなれた声に振り返った。 ドレスアップしたアスカと秋山が歩み寄った。 「ひとり? 工藤さんは?」 「うん、チケット渡すことになってるんだけど、まだ来てないし」 するとまた、「良太ちゃん、お久しぶりね」という
月夜の猫-BL小説です 春雷58 BL小説 「あ、そうだ、もしかして、だけど、ツワモノの女優陣が約二名ほど、工藤さんにプレゼント持って現れるかもだから、まあ、そんないつも鉢合わせとかないと思うけど」 「はい」 森村は良太の説明にあまり納得がいかないようすで返事をする。 良太は森村に歩み寄るとこそっと囁いた
月夜の猫-BL小説です 春雷57 BL小説 「ああ、手塚先生って、佐々木さんの近所のお医者さんだっけ?」 良太は思い出した。 「そう。奥さんとまだ離婚中なんだけど、息子さんの健斗くん連れてきて、そしたら、生粋のスワローズファンの手塚センセそっちのけで、健斗くん沢村っちに会えて喜んじゃって」 直子はまたクス
月夜の猫-BL小説です 春雷56 BL小説 「うわ、よかった、埠頭のロケ、夕べで」 思わず良太は窓の外の雪を見ながら口にする。 「そうなんだ、よかったね」 直子は頷きながら、抱えてきた大きな袋からラッピングされたプレゼントを次々と取り出した。 「ごめんねえ、何か仕分けが大変そうなところへまた増やしちゃって」
バイト先の同僚が、「最近、アイツ色気づいてんのよね」と言っていたA君は38歳の独身。転職してきてまだ一年経つくらいで、見た目は33,4歳に見える。年はそこそこイッてるけど、気が若いというか、幼いね。独身のせいだろうけど、とても38歳の落ちつ...
月夜の猫-BL小説です 春雷55 BL小説 自分まで風邪でダウンするわけにはいかないと良太もコートの上にマフラーをぐるぐる巻きにしている。 「いや、超珍しいことに、ここだけの話うちの社長が風邪引いちゃって」 「あらら、それは心配だね」 「なのに、あの人、意地っ張りで偏屈だから高輪に一人で籠っちゃって」 宇
月夜の猫-BL小説です 春雷54 BL小説 「フン、寄る年波ってやつだろ。若い時みてぇにムリがきかなくなってんじゃね?」 脱げば腕や脚にタトゥがあるだけでなく、背中には怒れる不動明王を背負った医者はニヤッと笑う。 「お前に言われたかない」 「俺はあんたほど年食っちゃない」 加賀は意地のように言い返す。
月夜の猫-BL小説です 春雷53 BL小説 良太は出かけるついでだからとホテルに向かうという佳乃を送って行った。 「せっかくの日本なのに、明日は学会なのよ」 助手席に座った佳乃は機嫌が良さそうに見えた。 「そういえば、日本には帰って来られないんですか?」 ふと良太はそんなことを聞いてみた。 帰ってくれ
月夜の猫-BL小説です 春雷52 BL小説 二時からスポーツ情報番組パワスポのミーティングがあるため、良太はパソコンを閉じてブリーフケースとコートを手に取った。 秋山とアスカは『今ひとたびの』のロケが夕方からなので、今日はそれまでオフィスで過ごすらしい。 「モリー、じゃあ、秋山さんらと一緒に頼む」 「はい
月夜の猫-BL小説です 春雷51 BL小説 もちろんタブレットや携帯にスケジュールなどのデータは入っているが、秋山は重要なことは手帳に書き込んでいる。 「秋山さん、そういえば、例の佐藤さんの件、まだ終わりは見えないんですか?」 良太は向かいに座ると声を落として尋ねた。 「ああ、今、小田さんと話していたんだ
月夜の猫-BL小説です 春雷50 BL小説 「工藤さん、お茶入りました」 ドアが開いて良太が顔を出した。 「ああ、そこに置いといてくれ。俺は適当に出かける」 「あ、送ります」 「いいから、お前は自分の用意をしろ」 「大丈夫です。ちょっとだけ待ってください」 良太はテーブルの上にマグカップにいれたお茶を置くと
月夜の猫-BL小説です 春雷49 BL小説 「工藤さん」 ベッドに近づいて声を掛けると、「何時だ」と言いながらシャツ一枚の工藤が起き上った。 「七時半です。大丈夫ですか? 熱あるんじゃないですか?」 「うーん、十時にヤザキ製菓の東京支社でミーティングがある」 そのスケジュールはおそらく急遽決まったのだろう、
月夜の猫-BL小説です 春雷48 BL小説 高輪にある工藤の部屋は、何だか生活感もなく、良太もたまにマンションの中に入っているスポーツクラブに連れて行ってもらったりしたが、どちらかというと高輪の方が別宅のような気がしている。 屋上プールは最高だったけどな。 昼は開いているが、夜はドーム型の天井から空が
月夜の猫-BL小説です 春雷47 BL小説 黒歴史のみならず、工藤の自分に対する思いってこんなものなんだ、と思い知らされることが今迄にも何度かあって、その度ごとにひとつふたつと、良太は諦めのようなものを飲み込んできた気がする。 っと、感傷にふけるところじゃなかった。 「あの工藤さんにどやしつけられても怯ま
月夜の猫-BL小説です 春雷43 BL小説 シリーズ初めてのドラマ化で、連ドラとなる予定であるが、主演の六条渉役が山内ひとみで決定しているものの、それ以外のキャスティングがなかなか決まらない。 というのも局のプロデューサー陣が示したキャスティングにスポンサー側が首を縦に振らなかったのだ。 そこで例によっ
月夜の猫-BL小説です 春雷41 BL小説 「「わかった。すぐに戻る」 良太は森村の携帯を切るとすぐに山根の携帯を鳴らした。 「ああ、良太ちゃん」 「すみません、ちょっとアスカさん、片頭痛みたいで」 「ああ、わかった。休憩、少し多めに取ろう。彼女、仕事立て込んでたんじゃないの? 少し休んでもらおう」 「あり
月夜の猫-BL小説です 春雷39 BL小説 秋山と佐藤はただのクラスメイトだと、アスカに教えてやれば、アスカも元の強気なアスカに戻るのではないかと、良太は期待した。 「そういえば」 秋山が珍しく困ったような表情を見せた。 「ここんとこ、アスカさんがちょっと情緒不安定なんだよ。良太ちゃん、何か思い当たること
月夜の猫-BL小説です 春雷31 BL小説 「おう、モリーか。どうだ? 仕事は慣れたか?」 平造は元気印で人懐こい森村を気に入ったようで、破顔しながら声をかけた。 「はい! いろいろなことをやらせてもらってて面白いです」 「そりゃあ、よかった」 そういえば、俺も入社当時は元気だけが取り柄でがむしゃらにやって
月夜の猫-BL小説です 春雷30 BL小説 「まあ、じゃあ、ほんとにその方近しい方がいらっしゃらなかったのね。疎遠になってしまっているとお孫さんもそんなもんなんでしょうかねえ」 「子や孫がいても今時はそんなもんなんだろうな」 鈴木さんが平造としみじみと語っている間に、良太は小田に電話を入れた。 「お忙しいとこ
月夜の猫-BL小説です 春雷27 BL小説 「でもチケットが余って、もし時間が合えば、鈴木さん一人で行くって言うし、俺も一緒に行こうかな」 ま、俺の場合、寝ちまうのが関の山だけどさ。 良太はどうせ忙しいだろう誰かのことはあえて考えずに、そんなことを呟いた。 「そうだ、小笠原、美亜さんと行くかも」 他の面
今日のお昼、何気なく見ていた 「新婚さんいらっしゃい」 で、思わず「えっ!?」と声が出てしまいました。 なんと出演していたのは、「奥様60歳・旦那さん26歳」というご夫婦。 年の差、実に34歳。これはなかなかのインパクトです。 しかもお二人は「大衆演劇」の世界で出会い、そこから愛を育んだとのこと。 舞台の上では役者同士、舞台を降りれば夫婦。 いやはや、人生も芝...
月夜の猫-BL小説です 春雷26 BL小説 十四日は朝から『今ひとたびの』のロケがあり、下手をすると夜までということもあり得るのだ。 「ほな、十枚預けとくよって、ぜひ行ってやってや」 三田村が言った。 「千雪さんらは?」 「もちろん、十枚渡して来た。小夜子さんとか行けるか知れんいうとったが。研二にも頼んで
月夜の猫-BL小説です 春雷25 BL小説 以前、工藤が部屋のクローゼットに放り込んだものの中に、腐るような代物があったらしく、片付けるのに往生したのだと、軽井沢の平造が言って来たため、結局良太がオフィスで中を確かめてからクローゼットに運ぶことになった。 去年も大変だった。 それに、何をとち狂ったか、俺
月夜の猫-BL小説です 春雷24 BL小説 大手商社時代、秋山がいきなり警察に捕まったのは、結婚を約束したフィアンセとここを決めて、家具なども運びこんだあとのことだった。 上司の娘だったフィアンセは婚約を破棄し、今マシンが置いてあるスペースにあった彼女のグランドピアノだけはこの部屋から持ち出されたが、組ま
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