メインカテゴリーを選択しなおす
月夜の猫-BL小説です 花のふる日は13 BL小説 部屋を出るとき、平造が空調の温度をかなり上げていったが、やはりこの辺りはまだ真冬の寒さだ。 部屋が広いだけ、温まるのも遅い。 桜を見るのが嫌でここにきたはいいが、いくら酔っていたとはいえ、こんなところまで拾った男を連れてきたことを工藤は少し後悔した。 モデル
月夜の猫-BL小説です 花のふる日は12 BL小説 工藤にそんな古びた感情を呼び起こしたのは昨今注目を浴びている新進ミステリー作家の一冊の本だった。 桜の絵を表紙にした『花のふる日は』の作者、それが小林千雪だ。 たかだか同じ名前なだけだ、そう思いつつも手に取らないではいられなかったその小説は、どうせろくな話で
月夜の猫-BL小説です 月澄む空に(工藤×良太)50まで更新しました BL小説 月澄む空に(工藤×良太)50、花のふる日は11、好きだから106 まで更新しました。花のふる日は、は、月澄む空に、より約10年ほど前の話になります。
月夜の猫-BL小説です 好きだから102 BL小説 「あったぞーーー」 ブリーフケースを探っていた沢村は声をあげた。 「ばっか、夜中にデカい声出すなよ!」 小声で窘めながら、沢村からカードを奪ってドアを開けた。 ベッドルームまでもつれるようにして連れてきた沢村を、良太は力一杯ベッドに押しやると、肩から落ち
月夜の猫-BL小説です 花のふる日は6 BL小説 「一晩かけてただ旧交温めてたわけやないやろ? 彼女の部屋で」 千雪は静かに言った。 京助はしばらく黙り込んだ。 そして徐に口を開いた。 「あいつ、昔、自分の運転する車で事故って、同乗していた姉さんだけ死んだんだ。それからウツになって、薬で抑えて仕事はしていたんだが
月夜の猫-BL小説です 花のふる日は4 bl小説 久しぶりに訪れた原の家では、伯父や伯母、それに小夜子がいつものように千雪を歓待してくれた。 一家と千雪とで夕食に中華を食べに行き、家に戻ってきて、今度は小夜子の焼いたケーキをデザートにいただくことになっていた。 「千雪ちゃん、お待たせ! 絶対美味しいわよ」
月夜の猫-BL小説です 好きだから96 BL小説 「おう、俺、帰ってるか?」 また一つ大きな溜息と共に電話に出ると、タフな男の声がした。 「ああ、こんばんは。いるけど………」 「ちょっといいか? 近くまで来てるんだ」 今夜はちょっとと断る間もあらばこそ、三分もしないうちに、ドアチャイムが鳴った。 「
月夜の猫-BL小説です 好きだから95 BL小説 「本人にもあったことがあるんだが、普段はこうふわっと妖精っぽいっていうか、あ、そうそう、森野友香さん、彼女に何か雰囲気が似てるんですよ」 佐々木は笑った。 実は映像を見てそんな風にも思ったからだ。 佐々木はネットで見た友香の絵を思い出して、自分と別れてようやくあ
月夜の猫-BL小説です 好きだから94 BL小説 「うわ、すご! 佐々木さん!」 「え?」 いきなり叫んだ浩輔を佐々木は振り返った。 「カッコいいっつうか、すんごいいい写真じゃないですか、これ」 携帯の画面をぐっと差し出された佐々木は、これ、を見て眉を顰めた。 「直ちゃん…………」 どうやら直子が、幸田の連絡
月夜の猫-BL小説です 好きだから89 BL小説 「別にわたしに報告しなくちゃならないってことはないけど、もしかしたらイベントで沢村っちに会ったのかなとか思ったら、手塚が昼くらいには神宮出たって。それから一緒にご飯食べて買い物して、飲みに行ったって。何かまるで………」 そこで言葉を切った直子は、少し目が潤ん
月夜の猫-BL小説です 好きだから87 BL小説 「だから、沢村っちの父親が興信所を使って沢村っちを調べさせてることとか、相手が男だとか言ったからとか、それから、沢村っちの部屋とかあたしの部屋の盗聴してるとか、確か、佐々木ちゃんの名前は出してないけど、迂闊に会えないから沢村っちが我慢してるとか、そんなこと……ど
月夜の猫-BL小説です 好きだから85 BL小説 十二月も中盤に差し掛かると、世の中も忙しなく歩みを速め、賑わしさに拍車がかかる。 青山プロダクションのオフィスでも、例年のイベントである業者を招いての忘年会の準備が始まっていた。 何せ社員の少ないこの事務所では社の一大イベントにもかかわらず、準備から実行までもう
月夜の猫-BL小説です 好きだから84 BL小説 そんな顛末を今西は聞いたのだろう。 それ以降、佐々木も仕事は仕事とわきまえてはいたが、植山のことがあってから意識過剰になっているのかもしれない。 我に返ると、今の状況を思い出して、今度は頭痛がしそうだった。 気が付くとバットの快音は消えていて、佐々木はふいに強
月夜の猫-BL小説です 好きだから83 BL小説 目一杯の笑顔と期待に満ちた目で、八木沼は勝手に佐々木の両手を握りしめた。 「こないなめちゃきれいな人とと一緒できるとか、俺、超うれしい!」 大型犬のような無垢な目の八木沼は佐々木を覗き込んでいる。 「あ、いや、俺は……」 「え???? 男なん?」 それで離れる
月夜の猫-BL小説です 好きだから81 BL小説 朝、十時半に迎えに行くからと今西に言われていた佐々木が十時少し前にオフィスに行くと既に直子は来ていて、室内は温かかった。 「おはよう! 今日一団と寒いね~! 昨夜お稽古遅くなったでしょ?」 「おはよう。はあ、みっちりやられよった。片付け終わったら一時過ぎ」 はあ
月夜の猫-BL小説です 好きだから79 BL小説 「なるほどね、しかし受けた仕事はきっちり結果を出しておられる。見かけ云々は、私の卑屈さからなんですよ。センスもない上に地も悪い。だからクリエイターは見かけにこだわらないやつがいいとかね。それに地がよくなければ、センスだけではどうにもならないものもありますからね」
月夜の猫-BL小説です 好きだから75 BL小説 仕事上は順調すぎて笑えるくらいな状況で、これでもどうしてもな仕事以外はセーブしているのであるが、直子も自分の仕事以外でも届け物をしたり、取引先に受け取りに行ったりとてきぱき動いてくれている。 オフィスでの服装にはジャストエージェンシー時代から何の制限もないが、