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月夜の猫-BL小説です いつだってこれだよ15 BL小説 河崎はワイン一本半ほどを水のように飲み、今度はほろ酔い加減になった浩輔にとりかかると、そのままソファの上でなだれ込んだ。 「お前だけだぞ」 そんなことを時折口走ると、いつの間にか隙間風のように入り込んでいる不安を跳ね返すように、河崎は口づけを施しな
月夜の猫-BL小説です いつだってこれだよ14 BL小説 「客に何か言われたのか?」 浩一はちょっと眉を顰めた。 「いや、まあ、藤堂さんに言わせれば、その担当がおかしいんだって………仕事はさ、一つ一つがやりがいっていうか、新しい発見っていうか、そんな感じ」 「そうか」 浩一はそのあとの言葉が続かなかった。
月夜の猫-BL小説です いつだってこれだよ13 BL小説 「まあ……そう」 工藤にしては歯切れの悪い答えだ。 「何か、ありました? っていうか、河崎さんもちょっと変だったんだけど……」 「うん、まあ、達也から聞いた方がいいな。俺が話したとかって、やつが怒鳴るに決まってる」 藤堂はそれ以上話そうとしなかった
月夜の猫-BL小説です いつだってこれだよ12 BL小説 特に普段厳しい父親も喜んでいたことを浩輔は覚えていたのだろう、辞めることになったと父親に電話をした時はものも言わずに切られたと言い、すごい親不孝だよね、と浩一に連絡をしてきた浩輔は寂しそうに話していた。 ふわふわしてのんびりお気楽そうに見える外見と
月夜の猫-BL小説です いつだってこれだよ11 BL小説 しかし、浩一の中ではそれは相容れないことだった。 まさかと思い、心の中で懸命に否定していた。 ところが、河崎の口からはっきりとその事実を告げられ、浩一の心の内に怒りがこみ上げた。 「あなたは一体何を言っているんです? 浩輔は男ですよ?」 「それで
月夜の猫-BL小説です いつだってこれだよ10 BL小説 大学時代、河崎、藤堂、村上とお坊ちゃん同士の悪友で、よく遊んだ。 「薬出しとくから、今夜は安静にしてよく寝ることだな」 「入院しなくていいのか?」 河崎は確認した。 「インフルも陰性、入院する理由がない」 「お前、腕は確かなんだろうな?」 直
月夜の猫-BL小説です いつだってこれだよ9 BL小説 「あのマンションは」 河崎が口を開いた。 「私が祖父から譲り受けたものですから、私が部屋代を払う必要もないですし、ご心配には及びません」 「はあ、しかし、本当によろしいのでしょうか?」 「はい」 河崎はいつもと同じ強い眼差しを浩一に向けた。 「わかり
月夜の猫-BL小説です いつだってこれだよ8 BL小説 「いや、ほんと、一体どうしたんですか? この南極かという寒さは」 三浦が肩をすぼめる。 「そうなんだ、実はねって、俺が知ってるわけないだろう? 気象庁にでも聞いてくれ」 藤堂はお茶目な顔で肩を竦めて見せた。 三浦も河崎も落ち着く間もなく電話でやり取
月夜の猫-BL小説です いつだってこれだよ7 BL小説 「何がトップAEだよ、俺なんか」 「なーに言ってんだよ、あの河崎さんの下で二年もいたんだろ? 尊敬に値するって」 自嘲気味な浩輔に、長谷川は感心したように言う。 「やめてくれよ。お前こそ、すっかりエリートって感じじゃん」 「またまた~」 長谷川は明る
月夜の猫-BL小説です いつだってこれだよ6 BL小説 「俺もちょっとは頭を過ぎったんですけど、今回は自分で何とかやってみようかと」 浩輔がぼそぼそ言うと藤堂は顔をほころばせた。 「えらいねぇ、浩輔ちゃん。がんばれ!」 頭を撫で撫でされて、「ちょっと、ガキじゃありませんてば!」と浩輔は抗議する。 「風邪
月夜の猫-BL小説です いつだってこれだよ5 BL小説 翌日、浩輔にしては珍しくオフィスに着いたのが十時ギリギリだった。 昨夜、風呂に入ってからまたパソコンに向かったのはいいが、うっかり眠ってしまったのだ。 気がつくともういつも家を出る時間だった。 慌てて着替えて地下鉄に飛び乗ってから、少し頭がぼん
月夜の猫-BL小説です いつだってこれだよ4 BL小説 「どうもしないが、お前がどんな暮らしをしているかと思って、母さんにも一度行ってみてくれと頼まれてたしな」 宮坂のアパートを引っ越す時、まだ使えるものなどを浩一が知り合いの学生に譲ったりしてくれたのだが、引越しの時は浩一は仕事があったし、友人が手伝って
月夜の猫-BL小説です いつだってこれだよ3 BL小説 途端、猛烈な風に真っ向から出くわし、思わず身を硬くして目を閉じる。 「もう三月も近いのに、なんなんだよう」 とにかく早いとこ帰ろうと地下鉄の階段を駆け下りた。 通り道にあるコンビニで弁当を買い、とぼとぼと今の浩輔の住居である河崎のマンションへと辿り
お立寄り有難うございます。お気楽ハピエンBL小説です いつだってこれだよ(河崎×浩輔) BL小説 河崎×浩輔、誰にもやらない、みんな、はっぴぃの続編エピソードです。 元英報堂のエリート営業マンだった河崎、藤堂、三浦とジャストエージェンシーのデザイナー浩輔が、代理店プラグインとして船出してから半年あまり、 いく
【ホッコリBL】恋を諦めた男に幸せの味を教える「恋チン!」カキネ/感想
こんにちは、シタカラモモコです! 今回は優しくて切なくて、恋を諦めた男に幸せの味を教える「恋チン!」のネタバレ感想です。 タイトルを見た時は「ちんつぶ」系のコメディ漫画かと思ってましたが、全然ちがった
月夜の猫-BL小説です はっぴぃばれんたいん6 BL小説 「えっと、モデルさんですか?」 良太はしげしげとさやかを眺める。 「あら、そんな風に見える?」 思わず背筋を伸ばすさやか。 「ほんとだ、んまいー!」 浩輔も丸いチョコをほおばって、感嘆の声を上げる。 「三浦くんもいらっしゃいよ」 さやかによばれて、はあ、と
月夜の猫-BL小説です はっぴぃばれんたいん5 BL小説 雪で電車が止まると困るから、帰るねー、と直子が出て行くとすぐ、浩輔と藤堂はこれはうまい、これはちょっと、とチョコレート談義を始める。 と、また玄関が開いた。 「あっらー、先を越されたみたいね」 ピンクの帽子や尖ったヒールのブーツでヴォーグのモデルのよう
月夜の猫-BL小説です はっぴぃばれんたいん4 BL小説 二月十四日の東京は近来まれに見る大雪になった。 マンションのある麻布から会社まで、何かあれば河崎の車に乗せてもらうのだが、河崎は出張中で、今日の午後に沖縄から帰ってくる予定だ。 浩輔は冬用のトレッキングシューズをクローゼットの奥から引っ張り出し、地下鉄で
月夜の猫-BL小説です はっぴぃばれんたいん1 BL小説 広告代理店プラグインのオフィスがある表参道のビルから浩輔が出てきたところへ、ピカピカの濃いブルーの車が停まった。 「お出かけかな? 浩輔ちゃん」 ドアが開いて降り立ったのは、ラクダ色のコートに渋いモスグリーンのマフラーをきっちり巻いているが、雰囲気の華やかな
月夜の猫-BL小説です はっぴぃばれんたいん(河崎×浩輔) BL小説 船出したばかりのプラグインで浩輔は仕事に追われていた。プラグインを構成するのは四人。全員が元大手広告代理店英報堂の社員で、代表の河崎は浩輔の上司だったし、藤堂のことも知っているつもりでいたが、いざ一緒に仕事をしていると、二人に関してあまりにも
月夜の猫-BL小説です 春立つ風に108 BL小説 昨秋に放映された『田園』の撮影の際、ぽっと出の新人だった本谷にきつい言葉を浴びせかけたのも、マネージャーすらいつもついていない上に仕事に対する準備すら曖昧でセリフも満足にしゃべれずにリテイクで周りに迷惑をかけていることに対して、竹野にしてみれば当然といえば当然
月夜の猫-BL小説です 春立つ風に107 BL小説 険しい目つきで千雪をひと睨みした工藤のポケットで携帯が鳴った。 「ああ、わかった。ああ? ゲスの勘繰りはいい」 小田から早速柏木法律事務所に連絡を取ったという電話だったが、「お前、実は柏木と昔関係があったのか?」などとダイレクトに聞かれて、工藤は苦々しい顔にな
月夜の猫-BL小説です 春立つ風に106 BL小説 「柏木珠紀は確か工藤さんが在学中の何年か後輩、俺が今いる宮島研究室の卒業生で当時のミスT大にもなっとるらしい」 「経歴は知ってましたけど、ミスT大って確かに美人」 千雪が説明すると、森村が思い出すようにニッと笑う。 「待て待て、それが夕べまた来とったて?
月夜の猫-BL小説です 春立つ風に104 BL小説 アスカはしばしじっと良太を見つめ、「何があったの?」と聞く。 「え? 別に何もありませんよ」 これだから、やっぱりアスカも侮れない。 今朝、辻に車を出してもらい、千雪とともに貴船神社へ向かい、『大いなる旅人』のロケ現場まで足を運ぶと、良太は昨夜渡すはずだっ
月夜の猫-BL小説です 春立つ風に103 BL小説 しょうがないよな。 俺と何も約束しているわけでもないし。 そこはやはり、千雪と京助や佐々木と沢村たちとは違うのだ。 良太は心の中でブツブツと並べ立てた。 工藤が女とよろしくやろうが、俺に口出しする権利なんかない。 いくら忙しいっつっても、作ろうと思えば女と会う時
月夜の猫-BL小説です 春立つ風に102 BL小説 工藤に見つからないように柱の陰にさり気に隠れながら、良太は二人のようすを窺った。 今まで見たことがない女性だ。 最近の知り合いではないような気がした。 良太は息をひそめて二人を見つめた。 やっぱ、あれか、昔の女とか? さっきの、工藤の言葉、「千雪のところだな
月夜の猫-BL小説です 春立つ風に101 BL小説 妙な騒ぎがあったし、明日の仕事を考えて九時にはお開きとなり、各々タクシーでホテルへと帰っていく。 良太は千雪や辻とともに全員がタクシーで帰路につくのを見送った。 工藤と日比野、浅沼の三人がタクシーを捕まえると、助手席のドアが開いて乗り込もうとした工藤が良太を振り
月夜の猫-BL小説です 春立つ風に99 BL小説 周りから良太のことを褒められて、無論工藤としても悪い気はしない。 実際、面接の時からそうだったのだ。 ヤクザの身内だと告げると大抵引き返すものだが、良太だけは留まった。 それを面白いと思って会社に入れたのだが、物怖じしないどころか相手が何であろうと突っ走るところが
月夜の猫-BL小説です 春立つ風に97 BL小説 「うちの志村が? 事実なら由々しい事態ですが、志村がそんなことをするとは思えませんが、何かのお間違いでは?」 しっかと女子社員を見据える良太の後ろにはいつの間にか匠や森村が立っている。 「被害者のあたしが言うてるんよ! 何も間違うはずあれへんわ!」 そんなことを
月夜の猫-BL小説です 春立つ風に96 BL小説 「例の会社員ですね」 良太は冷静な声で男女を確認した。 「俺はとにかく監督のところに行きますが」 千雪を振り返った良太は「何かあったら知らせてください」と小声で言うと奈々の方へ歩み寄った。 奈々と谷川はアダチスタジオの牧らとは長い撮影生活で、すっかり仲良くなっ
月夜の猫-BL小説です ひまわり(将清×優作)46 BL小説 「ほんとに、今夜、平気だったのか? 突然誘っちまって、俺」 元気は八時頃、今夜の晩飯に作ったんだが、とロールキャベツをタッパに持参して、ホテルの部屋にやってきた。 「ルームサービス、取ったから。一本じゃ足りないだろうと思ってワインも」 「リッチじゃん
月夜の猫-BL小説です 春立つ風に95 BL小説 「どうも女子社員は事務職以外の方が多いらしいで、あの会社」 辻がまたラインを確認しながら言った。 「加藤さんからですか?」 良太が尋ねた。 「いや、俺の昔の仲間や。あちこちにおるからその辺の情報どうやて聞けば、いろいろ教えてくれよる」 「地に足がついたネットワ
月夜の猫-BL小説です 春立つ風に94 BL小説 「白石さんたち、こっちに来られるんですか?」 猫の手の面々はそれぞれに散って、バイトやら派遣という形で調査対象を見張っていた。 「いや、今まで通りでええて。その方が動きやすいらしい」 コーヒーを一口飲んで辻が答えた。 「せやけど、手島、何かきな臭い話があって」
月夜の猫-BL小説です 春立つ風に93 BL小説 しばらく良太は千雪と撮影を見ていたが、次は平安時代の安倍晴明に扮した匠の動きの美しさが際立つシーンだった。 思わず良太はたくさんの撮影クルーに取り囲まれて撮影されているにもかかわらず、妖艶な晴明の姿に見入ってしまった。 「ほんまにこの映画の世界があるんなら、俺
月夜の猫-BL小説です 春立つ風に90 BL小説 「ちょ、もう、やめてくださいよ! はああああ。良太さん、千雪さんにそこまで話したんですか?」 「え? 俺は何も………」 今まで黙って皆の話を聞いていた良太はとばっちりを受けて千雪を見た。 「良太には何も聞いてへんよ。やから地元のネットワークてバカにでけんで言
月夜の猫-BL小説です 春立つ風に88 BL小説 「じゃ、俺、工藤さんたちのとこから配るから、森村くん、そっちのスタッフさんの方からお願いします」 「はーい!」 良太は紙袋を二つ下げて辻と一緒に工藤らの方へと向かった。 「お、良太ちゃん、来たな」 「たまーにでも、顔見せてくれないと寂しいよ」 難しい顔で話し込
月夜の猫-BL小説です 春立つ風に(工藤×良太)87までアップしました BL小説 工藤の車が追突されたと聞いて良太は気が気でない。工藤は昨年秋に殺人の濡れ衣を着せられたことがあり、良太はまた工藤の伯父である中山組組長関係ではないかと思案s京都へと向かう。
月夜の猫-BL小説です 春立つ風に87 BL小説 「あ、良太ちゃーん!」 南澤奈々が車から降りる良太を目ざとく見つけて大きく手を振った。 奈々は、数年前小林千雪原作の映画化第三弾制作の際、スポンサーとのタイアップで青山プロダクションが行った準ヒロイン役のオーディションに合格した、社内では珍しく何の問題も抱えて
月夜の猫-BL小説です 春立つ風に86 BL小説 早速、千雪は見張り役をこなしている加藤らと連絡を取り、千雪の家を拠点にしようということになり、交代にここに集まることになった。 「撮影クルーが泊っとるホテルにも一人ずつ交代に部屋取っとるけど、工藤さんにバレんようにするんが一苦労や。何せガタイがでかい奴らばっか
月夜の猫-BL小説です 春立つ風に(工藤×良太)84までアップしました BL小説 京都の檜山匠から工藤の車が追突されたと聞いて良太は気が気でない。工藤は何も言ってこないし、工藤の場合、昨年秋に殺人の濡れ衣を着せられたことがあり、良太は俳優のスケジュールの都合で時間に空きができたことを幸いに京都へと向かう。
月夜の猫-BL小説です 春立つ風に83 BL小説 良太が助手席に座り、千雪が後部座席へ移って「ほな、おやすみ」と寝る体制に入った。 新幹線や飛行機ならもっと早く移動できるだろうが、辻は車もバイクも好きなようだし、向こうに着いてからの移動も車があれば有難い。 京都に入ったところで、良太はやっと工藤に連絡を取っ
月夜の猫-BL小説です 春立つ風に82 BL小説 「なんや、竹野さんて、かなりきつい子やて? アスカさん情報やと」 千雪が急に聞いた。 「ああ、まあ、キャリアが長いですからね、子役からだから、若いけどベテランていうか。アスカさんとはどっこいどっこいじゃないですか? ズバッと歯に衣着せぬ物言いなんか」 良太
月夜の猫-BL小説です 春立つ風に(工藤×良太)80までアップしました BL小説 撮影はさしたるトラブルがなく順調に進んだが、京都で撮影している映画に出演中の檜山匠から良太に連絡が入り、工藤の車が追突されたと聞いて良太は気が気でない。怪我はなかったようだが、工藤からはそれについて何も言ってこないし、状況はわか