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月夜の猫-BL小説です 春立つ風に108 BL小説 昨秋に放映された『田園』の撮影の際、ぽっと出の新人だった本谷にきつい言葉を浴びせかけたのも、マネージャーすらいつもついていない上に仕事に対する準備すら曖昧でセリフも満足にしゃべれずにリテイクで周りに迷惑をかけていることに対して、竹野にしてみれば当然といえば当然
月夜の猫-BL小説です 春立つ風に107 BL小説 険しい目つきで千雪をひと睨みした工藤のポケットで携帯が鳴った。 「ああ、わかった。ああ? ゲスの勘繰りはいい」 小田から早速柏木法律事務所に連絡を取ったという電話だったが、「お前、実は柏木と昔関係があったのか?」などとダイレクトに聞かれて、工藤は苦々しい顔にな
月夜の猫-BL小説です 春立つ風に106 BL小説 「柏木珠紀は確か工藤さんが在学中の何年か後輩、俺が今いる宮島研究室の卒業生で当時のミスT大にもなっとるらしい」 「経歴は知ってましたけど、ミスT大って確かに美人」 千雪が説明すると、森村が思い出すようにニッと笑う。 「待て待て、それが夕べまた来とったて?
月夜の猫-BL小説です 春立つ風に104 BL小説 アスカはしばしじっと良太を見つめ、「何があったの?」と聞く。 「え? 別に何もありませんよ」 これだから、やっぱりアスカも侮れない。 今朝、辻に車を出してもらい、千雪とともに貴船神社へ向かい、『大いなる旅人』のロケ現場まで足を運ぶと、良太は昨夜渡すはずだっ
月夜の猫-BL小説です 春立つ風に103 BL小説 しょうがないよな。 俺と何も約束しているわけでもないし。 そこはやはり、千雪と京助や佐々木と沢村たちとは違うのだ。 良太は心の中でブツブツと並べ立てた。 工藤が女とよろしくやろうが、俺に口出しする権利なんかない。 いくら忙しいっつっても、作ろうと思えば女と会う時
月夜の猫-BL小説です 春立つ風に102 BL小説 工藤に見つからないように柱の陰にさり気に隠れながら、良太は二人のようすを窺った。 今まで見たことがない女性だ。 最近の知り合いではないような気がした。 良太は息をひそめて二人を見つめた。 やっぱ、あれか、昔の女とか? さっきの、工藤の言葉、「千雪のところだな
月夜の猫-BL小説です 春立つ風に101 BL小説 妙な騒ぎがあったし、明日の仕事を考えて九時にはお開きとなり、各々タクシーでホテルへと帰っていく。 良太は千雪や辻とともに全員がタクシーで帰路につくのを見送った。 工藤と日比野、浅沼の三人がタクシーを捕まえると、助手席のドアが開いて乗り込もうとした工藤が良太を振り
月夜の猫-BL小説です 春立つ風に99 BL小説 周りから良太のことを褒められて、無論工藤としても悪い気はしない。 実際、面接の時からそうだったのだ。 ヤクザの身内だと告げると大抵引き返すものだが、良太だけは留まった。 それを面白いと思って会社に入れたのだが、物怖じしないどころか相手が何であろうと突っ走るところが
月夜の猫-BL小説です 春立つ風に97 BL小説 「うちの志村が? 事実なら由々しい事態ですが、志村がそんなことをするとは思えませんが、何かのお間違いでは?」 しっかと女子社員を見据える良太の後ろにはいつの間にか匠や森村が立っている。 「被害者のあたしが言うてるんよ! 何も間違うはずあれへんわ!」 そんなことを
月夜の猫-BL小説です 春立つ風に96 BL小説 「例の会社員ですね」 良太は冷静な声で男女を確認した。 「俺はとにかく監督のところに行きますが」 千雪を振り返った良太は「何かあったら知らせてください」と小声で言うと奈々の方へ歩み寄った。 奈々と谷川はアダチスタジオの牧らとは長い撮影生活で、すっかり仲良くなっ
月夜の猫-BL小説です ひまわり(将清×優作)46 BL小説 「ほんとに、今夜、平気だったのか? 突然誘っちまって、俺」 元気は八時頃、今夜の晩飯に作ったんだが、とロールキャベツをタッパに持参して、ホテルの部屋にやってきた。 「ルームサービス、取ったから。一本じゃ足りないだろうと思ってワインも」 「リッチじゃん
月夜の猫-BL小説です 春立つ風に95 BL小説 「どうも女子社員は事務職以外の方が多いらしいで、あの会社」 辻がまたラインを確認しながら言った。 「加藤さんからですか?」 良太が尋ねた。 「いや、俺の昔の仲間や。あちこちにおるからその辺の情報どうやて聞けば、いろいろ教えてくれよる」 「地に足がついたネットワ
月夜の猫-BL小説です 春立つ風に94 BL小説 「白石さんたち、こっちに来られるんですか?」 猫の手の面々はそれぞれに散って、バイトやら派遣という形で調査対象を見張っていた。 「いや、今まで通りでええて。その方が動きやすいらしい」 コーヒーを一口飲んで辻が答えた。 「せやけど、手島、何かきな臭い話があって」
月夜の猫-BL小説です 春立つ風に93 BL小説 しばらく良太は千雪と撮影を見ていたが、次は平安時代の安倍晴明に扮した匠の動きの美しさが際立つシーンだった。 思わず良太はたくさんの撮影クルーに取り囲まれて撮影されているにもかかわらず、妖艶な晴明の姿に見入ってしまった。 「ほんまにこの映画の世界があるんなら、俺
月夜の猫-BL小説です 春立つ風に90 BL小説 「ちょ、もう、やめてくださいよ! はああああ。良太さん、千雪さんにそこまで話したんですか?」 「え? 俺は何も………」 今まで黙って皆の話を聞いていた良太はとばっちりを受けて千雪を見た。 「良太には何も聞いてへんよ。やから地元のネットワークてバカにでけんで言
月夜の猫-BL小説です 春立つ風に88 BL小説 「じゃ、俺、工藤さんたちのとこから配るから、森村くん、そっちのスタッフさんの方からお願いします」 「はーい!」 良太は紙袋を二つ下げて辻と一緒に工藤らの方へと向かった。 「お、良太ちゃん、来たな」 「たまーにでも、顔見せてくれないと寂しいよ」 難しい顔で話し込
月夜の猫-BL小説です 春立つ風に(工藤×良太)87までアップしました BL小説 工藤の車が追突されたと聞いて良太は気が気でない。工藤は昨年秋に殺人の濡れ衣を着せられたことがあり、良太はまた工藤の伯父である中山組組長関係ではないかと思案s京都へと向かう。
月夜の猫-BL小説です 春立つ風に87 BL小説 「あ、良太ちゃーん!」 南澤奈々が車から降りる良太を目ざとく見つけて大きく手を振った。 奈々は、数年前小林千雪原作の映画化第三弾制作の際、スポンサーとのタイアップで青山プロダクションが行った準ヒロイン役のオーディションに合格した、社内では珍しく何の問題も抱えて
月夜の猫-BL小説です 春立つ風に86 BL小説 早速、千雪は見張り役をこなしている加藤らと連絡を取り、千雪の家を拠点にしようということになり、交代にここに集まることになった。 「撮影クルーが泊っとるホテルにも一人ずつ交代に部屋取っとるけど、工藤さんにバレんようにするんが一苦労や。何せガタイがでかい奴らばっか
月夜の猫-BL小説です 春立つ風に(工藤×良太)84までアップしました BL小説 京都の檜山匠から工藤の車が追突されたと聞いて良太は気が気でない。工藤は何も言ってこないし、工藤の場合、昨年秋に殺人の濡れ衣を着せられたことがあり、良太は俳優のスケジュールの都合で時間に空きができたことを幸いに京都へと向かう。
月夜の猫-BL小説です 春立つ風に83 BL小説 良太が助手席に座り、千雪が後部座席へ移って「ほな、おやすみ」と寝る体制に入った。 新幹線や飛行機ならもっと早く移動できるだろうが、辻は車もバイクも好きなようだし、向こうに着いてからの移動も車があれば有難い。 京都に入ったところで、良太はやっと工藤に連絡を取っ
月夜の猫-BL小説です 春立つ風に82 BL小説 「なんや、竹野さんて、かなりきつい子やて? アスカさん情報やと」 千雪が急に聞いた。 「ああ、まあ、キャリアが長いですからね、子役からだから、若いけどベテランていうか。アスカさんとはどっこいどっこいじゃないですか? ズバッと歯に衣着せぬ物言いなんか」 良太
月夜の猫-BL小説です 春立つ風に(工藤×良太)80までアップしました BL小説 撮影はさしたるトラブルがなく順調に進んだが、京都で撮影している映画に出演中の檜山匠から良太に連絡が入り、工藤の車が追突されたと聞いて良太は気が気でない。怪我はなかったようだが、工藤からはそれについて何も言ってこないし、状況はわか
月夜の猫-BL小説です 春立つ風に(工藤×良太)76までアップしました BL小説 春立つ風に(工藤×良太)76までアップしました。また、ひまわり(将清×優作)、修正箇所が多いので、再アップしております。 皆様、コロナお気を付けください。
月夜の猫-BL小説です 春立つ風に74 BL小説 「広瀬さん、皆さんに慕われているんですね。お若いのに、すごいって美亜から聞きました」 たまたま隣に座った野口にそんなことを言われて、良太は恐縮至極だ。 「いやとんでもない」 「そうそう、何か、海老原が広瀬さんにちょくちょくお世話をかけたようで、申し訳ありません」
月夜の猫-BL小説です 春立つ風に(工藤×良太)73までアップしました BL小説 海老原のことで気が重い良太だが、仕事は待ってくれず、今度は小林千雪原作のドラマの顔合わせに、原作者の千雪本人にも顔を出すように頼んでいるが、工藤によると待っていてもバックレるかも知れないから迎えに行けという。良太が千雪のマン
月夜の猫-BL小説です 春立つ風に(工藤×良太)68までアップしました BL小説 海老原に半ば強引に飲みに連れ出された良太だが、宇都宮が助っ人に入ってくれたので、辛うじて乗り切ったものの、夢見まで悪く、朝から寒いし疲労困憊状態だ。午後からは小林千雪原作のドラマの顔合わせがあり、MBC本社に行く予定だが、ちょう
月夜の猫-BL小説です 春立つ風に(工藤×良太)63までアップしました BL小説 『ギャット』でドラマの撮影が始まったが、海老原は良太をしつこく飲みに誘う。正直海老原は苦手だったが仕事関係だからと撮影が早めに終わった夜、海老原と飲みに行くことになったが、宇都宮が一緒に行くと言うので良太は少しほっとした。ところが
月夜の猫-BL小説です 春立つ風に(工藤×良太)59アップしました BL小説 工藤は京都の撮影へとたったか行ってしまい、良太は良太で、関西タイガースの沢村を起用した東洋グループのCM制作や、宇都宮と小笠原がW主演するクライムアクションドラマの制作が始まり、ドラマで使うバーのオーナー海老原が現れ、苦手意識がある
月夜の猫-BL小説です 春立つ風に48 BL小説 『ギャット』で『貴様と俺と』の撮影が始まったのは、翌水曜日の夜のことだった。 局内の会議室で月曜日に顔合わせをしてから一日しか経っていないが、何せ出演陣はスケジュールがタイトだ。 「噂には聞いてたけど、いいよね、ここ」 月曜日から東洋グループのCM撮影の
月夜の猫-BL小説です 春立つ風に47 BL小説 「俺、工藤さんに、宮下って怖いオバサンが文句言ってくるとか話してたら、大学の先輩だとかで、オバサンオバサン言ってると面と向って云っちまうぞ、なんて言われて、ホントに言いそうになっちゃって、呪いですよ呪い! 心臓飛び出すかと思いましたもん」 「そのポーカーフェイスが
月夜の猫-BL小説です 春立つ風に(工藤×良太)46までアップしました BL小説 鴻池物産社長の鴻池から、傘下の企業CMでトラブったために泣きついてきたからだった。良太が以前鴻池に嫌な思いをしたため、工藤は鴻池関連の仕事は良太にタッチさせないようにしていたが、いかにも疲れている工藤が良太は心配になる。
月夜の猫-BL小説です 春立つ風に(工藤と良太)41までアップしました BL小説 工藤が急に撮影先の京都から戻ってきたのは、先輩鴻池物産社長の鴻池が傘下の企業CMでトラブったために泣きついてきたからだ。良太が以前鴻池に嫌な思いをしたため、工藤は鴻池関連の仕事は良太にタッチさせないようにしていたが、いかにも疲れて
月夜の猫-BL小説です 春立つ風に(工藤×良太)37までアップしました BL小説 ドラマで使う予定の店が潰れたから至急代わりを探しておけという命が入り、良太は『ギャット』という店をもつ会社にアポを入れると店はCEOが直轄している店で、CEOは午後を逃したら当分会えないと言われて早速虎ノ門にある会社を訪れる
月夜の猫-BL小説です 春立つ風に(工藤×良太)33までアップしました BL小説 工藤から良太にドラマで使う予定の店が潰れたから至急代わりを探しておけという命が入り、良太はネットで検索したりして候補の店をいくつか選ぶが、アスカに聞いた『ギャット』という店が雰囲気が合いそうだと、その店をもつ会社にアポを入れる
月夜の猫-BL小説です 春立つ風に(工藤×良太)29までアップしました BL小説 各話の中で、あちこちのキャラがリンクしているため、 時々ここのシーンにこの人出てきたのか? とか、悩みます~
月夜の猫-BL小説です 春立つ風に24 BL小説 良太は小首を傾げてから、また温かいカクテルに口をつける。 海老原が消え、身体が温まったので良太は少し肩の力を抜いた。 同時に忘れていた疲労感が押し寄せる。 あらためて店内を見回すと、それぞれみんな穏やかに寛いでいる。 オーナーはああでも、店はいい雰囲気だ。 良太
月夜の猫-BL小説です 春立つ風に12 BL小説 良太が頭の中で瞬時にざっと思い描いたところで、男が徐にサングラスを取った。 「急いでいたとはいえ大変失礼いたしました、マダム、お怪我はありませんか?」 丁寧な日本語でそう言って笑みを浮かべたその男を、良太も、老齢の女性も手を口元に充てたまま、食い入るように
月夜の猫-BL小説です 春立つ風に(工藤×良太)11までアップしました BL小説 青山プロダクションとしては初めての一大イベント、社員とその家族のための慰労会が無事終わり、皆が喜んでくれたのが何よりだったのだが、帰りがけにそろそろ風邪を引く頃だから気を付けてと母に念をおされたにもかかわらず、良太
月夜の猫-BL小説です 春立つ風に11 BL小説 わらわらと寄ってきた猫たちをひとしきり撫でてやりながら、こうして猫たちに会おうと思えば会えるのも有難い、と思う。 さっきより幾分シックなスーツとタイに着替え、ツイードのコートを羽織る。 「ま、いっか」 鏡の中の髪型はいじっても大して変わらない。 ましてや童顔も。
月夜の猫-BL小説です 春立つ風に(工藤と良太)5までアップしました BL小説 青山プロダクションとしては初めての一大イベント、社員とその家族のための慰労会が無事終わり、皆が喜んでくれたのが何よりだったのだが、帰りがけにそろそろ風邪を引く頃だから気を付けてと母に念をおされたにもかかわらず
月夜の猫-BL小説です 春立つ風に5 BL小説 革のハーフコートを羽織り、ビュービューと冷たい風が吹き抜ける通りを歩きながら、工藤は良太が入社してから何度か寝込んだり倒れたり、入院したりとこれだけ世話を焼かせるやつはいないぞ、などと心の中でブツブツと文句を言った。 だが、工藤自身、実は良太の世話を焼きたがっ
月夜の猫-BL小説です 春立つ風に2 BL小説 「急ぎの仕事とかあるの?」 「まあ、全部が急ぎと言えば急ぎだけど……、行ってきます。下手してインフルとかだったらシャレにならないし」 ということで良太には行きつけになっている裏の通りにある内科クリニックに駆け込んだのだった。 受付ギリではあったが、良太の顔見知りの
月夜の猫-BL小説です 寒に入り64 BL小説 工藤は珍しく朝もゆっくりしていた。 良太はマグカップにコーヒーを入れて、新聞を広げている工藤の手の傍に置いた。 「俺、朝飯買ってきます」 猫たちにご飯をやってから、良太は部屋を出た。 ここのところ食料品を調達する機会はなかったから、冷蔵庫には古くなったバターや
月夜の猫-BL小説です 寒に入り62 BL小説 フッとほくそ笑み、工藤は「川岸さんには脱帽だ」と続けた。 「撮り直しカット、ほぼ終了した。足を向けて寝られないな」 「すごい集中力ですね、川岸さん!」 「短い時間でいかにやり遂げるかってのを体現してくれているからな、ああいうベテランになると」 炬燵なるものは、
月夜の猫-BL小説です 寒に入り61 BL小説 冷蔵庫にはビールとポカリくらいしか入っていない。 だが、一度気が抜けるともう動きたくない。 そのうち絨毯の上に寝転がると、良太はいつの間にか寝入ってしまった。 突然、ヒヤリ、としたものが頬に触れ、「ひえああっ!」と意味不明な悲鳴を上げて飛び起きた時には既に九時を回
月夜の猫-BL小説です 寒に入り58 BL小説 みんなの笑い声に良太の顔に自然と笑みが浮かぶ。 何かあった時のために、工藤から台本を預かってコピーしてあったのが、今回役に立った。 以前、やはり配役の一人が事故って降板することになった時、代役のために緊急に台本が必要になり大わらわだったのだ。 良太は川岸の車を先導
月夜の猫-BL小説です 寒に入り55 BL小説 付き合っている相手なら。 沢村と佐々木はちゃんと付き合っているから、それでいいのだ。 けれど、工藤と自分の関係って付き合っているっていえるんだろうか、と考え始めると、良太はぐるぐると思考の渦に埋没してしまうのだ。 良太はしばらくタブレットに向かい、家族単位で渡す
月夜の猫-BL小説です 寒に入り54 BL小説 「あいつも今は、俺の関わってる番組にだけは出てくれるし、色々あるんだよ」 「フーン? けど社員さんも所属の俳優さんも、何かみんないい人たちだね」 「うーん、会社自体小さいし、社員も少ないから、文字通りアットホームだけど、その代わり、それぞれが自分の仕事しないと