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月夜の猫-BL小説です 笑顔をください28 BL小説 翌日から登下校を一緒にする七海と勝浩の姿が人目を引いていた。 勝浩の自宅に遠回りをして、七海は彼をバイクの後ろに乗せる。 帰りも、勝浩の生徒会の仕事が終わるまで、生徒会室の外で七海はじっと待っている。 「中に入ればいいじゃないか」 志央は声をかけた
月夜の猫-BL小説です 笑顔をください27 BL小説 二度と行きたくないと思っていた生徒会室だが、勝浩の仕事がまだ終わらないかと、七海は足を向けた。 だがドアの前に立ち、ノックをしても返事がない。 ドアを開けようとすると鍵がかかっている。 「あれ、帰っちゃったのか? 堺」 ポツリと口にした、その時だ。
月夜の猫-BL小説です 笑顔をください26 BL小説 勝浩が教室のドアを開けると、放課後の教室にぽつねんと一人、大きな体をかがめて七海が机に向かっていた。 「藤原、居残りだっけ? 政経?」 七海の手元のレポート用紙は真っ白なままだ。 「ああ…」 七海は間延びした返事を勝浩に返す。 「政経の岡田、食えないジ
月夜の猫-BL小説です 笑顔をください25 BL小説 夕方の生徒会室では、創立祭の準備のために各クラス委員を招集し、生徒会総動員で冊子やPOPを作ったり、SNSなどで広報する作業が行われていた。 志央はここ数日機械的に体を動かしていた。 もう何もかもがどうでもいい。 頭は空虚で、考えるのを拒否していた
月夜の猫-BL小説です 笑顔をください10 BL小説 くっそ、何で邪魔するんだ! しかも昼休みだぞ! イライラしながら生徒会室のドアを開けた志央を、三人の男が待っていた。 「どうやら、賭け以外でも退屈の虫退治の仕事がまたやってきたようだぞ」 幸也がさも面白そうな口調で言う。 「嬉しそうに言うな。何かあ
月夜の猫-BL小説です 笑顔をください9 BL小説 俺だって高いほうなのに、見上げるわけだ。 志央は苦笑する。 「体重は最近測ってねーけど、一〇〇㎏まではいってませんよ」 デブっては見えないが、アイスホッケーで鍛えられた体格は並じゃない。 「ハーフって、ひょっとして、その茶髪、地毛?」 「はあ。ハー
月夜の猫-BL小説です 笑顔をください8 BL小説 「へー、お前、帰国子女?」 志央は実際そのイメージから意外に思う。 「ええまあ、へへへ」 帰国子女、なんて言葉とも縁がなさそうな男は、大盛り弁当を志央の目の前で小気味いいほどガツガツ平らげていく。 美味そうに食うなー 見事な食べっぷりに志央はしば
月夜の猫-BL小説です 笑顔をください7 BL小説 放課後の生徒会室では、志央が勝算あり、と内心ほくそ笑んでいる傍らで、珍しく焦りの色を見せている男がいた。 「それ、入力するんだろ? 俺、手が空いてるから、手伝おうか?」 黙々と領収証を整理してExcelに入力していく勝浩の傍で、さっきからうろうろしながら
月夜の猫-BL小説です 笑顔をください6 BL小説 「昔、転校した先でイジメられて、それがトラウマんなってて…どうもイジメとかって、異様に反応しちゃって」 なるほど、それでこんなガタイしてても気が弱い、と。 所在なく頭を掻きながら話す藤原を見ながら志央は勝手に納得する。 「そういや、何かイジメにあって入院
#月夜の猫-BL小説です 笑顔をください5 BL小説 「そこで何をしている」 つかつかと男たちに近づいて、志央は声をかける。 「やべ、城島…」 大男を小突いていたうちの一人がボソリと呟く。 「転校生に何か用があるのか? もう授業が始まる。さっさと教室に戻ったらどうだ」 志央は男たちを睨みつける。 「いや、
月夜の猫-BL小説です 笑顔をください4 BL小説 「武士に二言はないよな?」 念をおす志央に、幸也は苦々しく唸る。 二年生の堺勝浩は、現在生徒会会計を務めている。 実は昨年の夏休み、東京ディズニーランド近くのホテルで、志央も幸也もそれぞれ女の子と一緒に部屋に入ろうとして、よりによって家族と一緒に宿
月夜の猫-BL小説です 笑顔をください3 BL小説 対面式に続いて委員会の紹介、運動部、文化部各部のオリエンテーションと続いて午前中のカリキュラムは終わる。 「もう一回、携帯賭けて勝負だ! 負けたら携帯諦めてやってもいい!」 さて、品行方正な生徒会長の裏では、どうしても負けを認めたくない志央が、学食で昼
月夜の猫-BL小説です 笑顔をください2 BL小説 まだ制服も初々しい新一年生の目がこの美貌の生徒会長に釘付けになっているのを見渡して、当人の横で幸也が人の悪そうな笑みを浮かべた。 志央とは対照的に見栄えのよいルックスと口のうまさで大概の女をコロリと参らせるという、ちょっと危ない大人っぽい雰囲気を持つ男だ
月夜の猫-BL小説です 笑顔をください1 BL小説 「やっぱここにいたな、志央」 もうすぐ予鈴が鳴るという頃になって、長谷川幸也は生徒会室のドアを開けた。 しまった、という顔で城島志央は振り返る。 「ホームルームのあとすぐ対面式だから、準備をしてただけだ」 「とか何とか、俺を避けてたくせに。…っと、こい
月夜の猫-BL小説です 卒業3(ラスト) BL小説 「力、帰るの? 成瀬も?」 啓太が不思議そうに見上げる。 「こいつの合格祝いやるんだよ」 ぶっきらぼうに力が言った。 「何だよ、ここでみんなでやればいいじゃん」 東山の言うことはもっともだった。 「うっせえな、二人だけでやるんだよ!」 「…力っ!」
月夜の猫-BL小説です 逢いたい7 BL小説 「女子高生っても卒業前の三年生から女子大生になるって設定だからな」 坂口が一人頷く。 「にしたって、女子高生、十八歳と俺四十二歳が恋愛しちゃっていいんですかね、下手すると援交?」 「だから君なんだよ。ほかの四十二歳じゃ、ほんとに援交オヤジにしか見えないだろ」
月夜の猫-BL小説です 卒業2 BL小説 あの二年の終わりの面談の時も、担任の加藤の前でカムフラージュしたつもりが最後には変装とかすっかり忘れていた美月である。 卒業式もご愛嬌で眼鏡をかけていたが、傍にいた啓太の母親と何やら意気投合したようで、写真を撮りあったりして素に戻っていた。 「でも何といっても成瀬
月夜の猫-BL小説です 卒業1 BL小説 透明な空気が空を一層高くしていた。 今年は朝晩の冷え込みが激しく、ここ数日少しばかり春めいた風が校庭のメタセコイア並木の枝を揺らしていくようになった。 とはいえまだコートが手放せない三月初旬の十二日は都立南澤高校の卒業式だった。 午後三時頃から「ワンちゃん猫
月夜の猫-BL小説です 卒業(力×佑人) BL小説 西高東低の次のエピソードです。ショートストーリー。 力の母で「カフェりりぃ」のオーナー百合江から、卒業式の後で卒業パーティをするというお達しがあり、卒業生だけでなく、保護者も招くという。力は何で保護者まで呼ぶんだと文句たらたらだが……。
月夜の猫-BL小説です 西高東低16(ラスト) BL小説 「さてっと、そろそろ俺らも帰るとするか」 徐に坂本が立ち上がった。 「いくら合格間違いないとかっつっても、てめぇもちったぁ勉強しろよ」 力が坂本を一睨みする。 「お前こそだ。あんまり佑人を振り回すなよ、まだ受験生なんだ」 「うっせ、わかってる」
月夜の猫-BL小説です 逢いたい2 BL小説 「志村くん、ここなんかいいんじゃないか?」 志村の隣でさっきからタブレットで何やら探していたらしい小杉が、画面を志村に見せる。 「いいですね、ここにしましょうか」 「え、何ですか?」 頷く志村に、良太が尋ねた。 「せっかく思わぬオフになったし、近くの温泉でも行こ
月夜の猫-BL小説です 西高東低14 BL小説 「俺の頭と英語のこと考えると、もし仮になんとかなったとしてもすんげく先になるだろうし、アメリカに逃げるようなマネもいやだった。そしたらさ、河喜多のジジイんとこで、昔の教え子ってのに会って、アメリカの大学から招かれて今S大で教授やってるって、そいつ、コンピュータ駆
月夜の猫-BL小説です primavera2025更新中です BL小説 春のエピソードをprimavera2025で更新中です 逢いたい(工藤×良太31) 西高東低 は Hiver2025 にて更新中です。 よろしくお願いいたします。 また、アレクセイとロジァ は、大幅に変更予定です。 煙が目に染みる(豪×元
月夜の猫-BL小説です 逢いたい1 BL小説 小樽は朝から雪が舞っていた。 二月も終盤とはいえ、さすがに凍えるような寒さの中、撮影は早朝の運河周辺で行われていた。 寒さのせいでさっさと終わらせたかったのかどうか、珍しくゲスト主役の山之辺芽久がたいして文句も口にすることなく、しかもリテイクなしでシーンを
月夜の猫-BL小説です 西高東低13 BL小説 佑人は力の背中に腕をまわし、ぎゅっと抱きしめる。 「佑人……」 力はそんな佑人を見つめながら再びその唇をふさぐ。 舌を絡ませながら今度はゆっくりと味わうように嬲る力に必死で応えようとする佑人だが、しばらくすると身体の中で力の熱がまたぞろ圧迫感を増しているの
月夜の猫-BL小説です 西高東低11 BL小説 「覚えていていただいて光栄です! あの、これ、お兄ちゃんを合格させてくださったお礼です!」 両手で可愛いラッピングのチョコレートを掲げるように美沙に差し出され、佑人は受け取らないわけにはいかなかった。 「いや、合格したのは東山だから。でも、ありがとう、わざわざ
月夜の猫-BL小説です Stand by4(ラスト) BL小説 工藤の手が触れるだけで簡単に良太の身体はまた熱を帯び始める。 サル以下じゃん、俺……… 工藤が欲しくてたまらなくて身体を捩る良太に、工藤が笑って良太の腰を上げさせると、愛されて間もない身体は難なく工藤を飲み込んでしまう。 やがて己の中で焼
月夜の猫-BL小説です 西高東低10 BL小説 「んで、去年、俺はクマタン、お前は加藤、今年はクマタンが異動になったんで、二人とも担任は加藤と、まあ、センセも色々考えてたわけだな。どっちか文系だったら田辺とかだったかもな」 「なこたどうでもいいだろ」 甲本の台詞に力はうざったそうに言い返す。 「フン、お前
月夜の猫-BL小説です Stand by3 BL小説 羽田に着いたのが十時過ぎ、良太が部屋にたどり着いた時はもう十一時を回っていた。 夕べは鈴木さんが世話をしてくれたはずだが、それこそナータンがきっと首を長くして待っているだろう。 なるべく無愛想なオヤジはどこかにおいといて、可愛い愛猫の顔を思い浮かべ
月夜の猫-BL小説です 西高東低9 BL小説 「今年はテスト受験ってなつもりで軽ぅくいくつか受けてんだけど、M大医学部今日発表みたら引っかかっててさ、親に言ったら、お前を合格させてくれる奇特なガッコなんか他にないから、いいとこ狙って浪人なんかするよりそこへ行けとかって」 甲本が親への文句をたらたら話すのを見
月夜の猫-BL小説です Stand by2 BL小説 工藤からスキーはだめになったと聞いたのは水曜日の晩のことで、良太は仕事がらみじゃ仕方ないですよ、と聞き分けよく諦めたつもりだった。 ブリザードが吹き荒れたのは木曜日の朝のことである。 「あたし、もう、今からワクワクしてるの。ゴルフって初心者だから優しく
月夜の猫-BL小説です 西高東低8 BL小説 佑人がはっと息を呑んだのは、入ってきたのが内田美香子だったからだ。 内田と力は一瞬相対して立ち止まった。 「来てたんだ、ちょうどよかった。はい、これ」 差し出されたものは小さめにラッピングされたチョコレートのようだった。 「あとでちゃんと返事を聞かせて。一時
月夜の猫-BL小説です Stand by(工藤×良太12)短編です BL小説 Hiver2025で、Stand by(工藤×良太12)短編です。 静かな夜には、の次のエピソードです。 前後して、西高東低(力×佑人)更新中です。 温かかった冬が一変して、寒波、大雪というよりドカ雪に見舞われている日本列島
月夜の猫-BL小説です Stand by1 BL小説 春を前に、広瀬良太が再び北海道へとやってきたのは三月も下旬の頃である。 ディレクター下柳とカメラマンの葛西、プロデューサーとして末端をけがしている良太の三人はオホーツクの海沿いを車でひた走っていた。 ゆったりとした自然の動き、静寂の中のか
お立寄り有難うございます。お気楽ハピエンBL小説です Stand by(工藤×良太12) BL小説 昭和なオヤジ工藤と、部下で秘書兼プロデューサー元野球少年で直球な良太のすったもんだラブ。北海道のスキー旅行から戻ってきた青山プロダクション一行は既に仕事に埋没していたが、たまたま下柳が訪れると、工藤と良太の間
月夜の猫-BL小説です 西高東低7 BL小説 東山の横に佑人の顔を見つけて、力は誰にもわからないほどに息を吐いた。 「力! 受かった! 俺、奇跡だと思わね?!」 力に気づくと東山は数人の女子にクスクス笑われながら躍り上がらんばかりに力に駆け寄った。 「そら、よかったな」 力は自分の机に鞄を置き、コートを
月夜の猫-BL小説です 西高東低6 BL小説 「そういや、啓太のやつ、夕べも俺が数学テンパってる時電話かけてきやがって、暇でゴロゴロしてたら、おふくろさんにどやしつけられて、一日買い物つきあわされたとかって」 「代々木だっけ? デザイン学校。俺のとこにも一昨日電話あった」 佑人の言葉を聞きつけて、「あのや
月夜の猫-BL小説です 西高東低5 BL小説 「あ、いや、わりぃ、その何かさ、山本力って結構色々言われてるヤツだし、イベントとかはあいつに頼ったりするくせに、普通はダチってつき合い、つい敬遠しちまうってか。ま、俺ら小心者だからな」 甲本は自嘲するように笑う。 確かに佑人は二年の時から力が周囲にどう見られて
月夜の猫-BL小説です 西高東低4 BL小説 佑人も力の邪魔はしたくないので、向こうから声をかけてこなければそっとしておこうと思っていた。 だが喧嘩をするつもりはなかったのに。 しかも教室内で。 ほかの生徒がもの珍しそうに二人のやりとりを見ていた。 つき合っているとか、クラスメイトに知られるのはさ
月夜の猫-BL小説です 西高東低3 BL小説 だが、二人のやりとりを見る限り、杞憂に過ぎなかったかもしれない。 「にしても、あの試験官、船こがないようにって必死で眠気こらえてたのが笑えたよな、成瀬」 坂本が思い出し笑いをした。 「ああ、お昼の後だったからな。俺もガッツリ食べ過ぎて眠かった」 佑人も笑っ
月夜の猫-BL小説です 西高東低2 BL小説 それは聞いていたので佑人も教室を出ると、力は「頑張れよ」と言った。 「じゃ、また明日」 佑人は力が試験がうまくできたのかどうかと心配しつつ力の後姿を見送ったが、その表情から読み取ることは難しかった。 ただ今年に入ってから一緒に勉強したりしているうちに、よく佑
月夜の猫-BL小説です 西高東低1 BL小説 高校最後の三学期が始まった。 といってももう共通テストが終われば一月下旬頃から本格的に入試が始まるし、三年生がまともに登校するのは一月末くらいまでで、二月に入ると推薦で進学が決まっていたり、就職が決まった生徒は当然登校する必要もなく、補講を受ける生徒以外受験
お立寄り有難うございます。お気楽ハピエンBL小説です 西高東低(力×佑人) BL小説 「空は遠く」の力と佑人、その仲間たちその後です。三流といわれる南澤高校もいよいよ高三の三学期に突入すると、推薦で決まった生徒や就職組は別として進学を希望する生徒にとってはやはり受験は避けて通れない。共通テストも近づいてくる。
月夜の猫-BL小説です いつだってこれだよ15 BL小説 河崎はワイン一本半ほどを水のように飲み、今度はほろ酔い加減になった浩輔にとりかかると、そのままソファの上でなだれ込んだ。 「お前だけだぞ」 そんなことを時折口走ると、いつの間にか隙間風のように入り込んでいる不安を跳ね返すように、河崎は口づけを施しな
月夜の猫-BL小説です いつだってこれだよ14 BL小説 「客に何か言われたのか?」 浩一はちょっと眉を顰めた。 「いや、まあ、藤堂さんに言わせれば、その担当がおかしいんだって………仕事はさ、一つ一つがやりがいっていうか、新しい発見っていうか、そんな感じ」 「そうか」 浩一はそのあとの言葉が続かなかった。
月夜の猫-BL小説です いつだってこれだよ13 BL小説 「まあ……そう」 工藤にしては歯切れの悪い答えだ。 「何か、ありました? っていうか、河崎さんもちょっと変だったんだけど……」 「うん、まあ、達也から聞いた方がいいな。俺が話したとかって、やつが怒鳴るに決まってる」 藤堂はそれ以上話そうとしなかった
なんとなーくの感じで子からアンパンマンを遠ざけていたフシがあった。なんでかんでもアンパンマンに頼っときゃ安泰みたいな風潮に根拠不明の抵抗を感じていたことによる。 しかし、ここ最近変な意地を張ることに意味を見いだせなくなってきたので小出し小出しでアンパンマンを見せるようになったところ、かぶりつきで楽しんでいる。ストリップ劇場のかぶりつき席のおやじだってもうちょっと遠慮するだろうと言うくらいにはかぶりつきだ。そりゃ世の子育て世帯はアンパンマン様様となる。よもやここまでとは。 世の風潮はともかく、作品として接すると見えてくることもあるし、感想も抱く。まず、キャラの多さがすごい。ほぼ毎話ごとに新キャラ…