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月夜の猫-BL小説です 花のふる日は19 BL小説 ヤクザと一言ではくくれない、人それぞれの人生があるのだろう。 「けど、いくら晴れとっても寒ない? 俺、手ったおか?」 千雪は社交辞令的に申し出てみた。 「へっぴり腰じゃ、薪割りなんかできやせん」 「部活で結構やらされたよって、ちょ、貸してや」 根が捻くれている
月夜の猫-BL小説です 花のふる日は18 BL小説 最初は場違いではないかと断ろうとした千雪だが、ミステリーの内容とは別の、文章の美しさにマニアックなファンがいるのだ、ぜひにと熱心に頼まれ、じゃあ試しに一度、と引き受けはしたものの、何を書いたらいいかわからないまま、放ってあったのだ。 千雪はバッグを開いてタブレ
月夜の猫-BL小説です 花のふる日は13 BL小説 部屋を出るとき、平造が空調の温度をかなり上げていったが、やはりこの辺りはまだ真冬の寒さだ。 部屋が広いだけ、温まるのも遅い。 桜を見るのが嫌でここにきたはいいが、いくら酔っていたとはいえ、こんなところまで拾った男を連れてきたことを工藤は少し後悔した。 モデル
月夜の猫-BL小説です 花のふる日は12 BL小説 工藤にそんな古びた感情を呼び起こしたのは昨今注目を浴びている新進ミステリー作家の一冊の本だった。 桜の絵を表紙にした『花のふる日は』の作者、それが小林千雪だ。 たかだか同じ名前なだけだ、そう思いつつも手に取らないではいられなかったその小説は、どうせろくな話で
月夜の猫-BL小説です 月澄む空に(工藤×良太)50まで更新しました BL小説 月澄む空に(工藤×良太)50、花のふる日は11、好きだから106 まで更新しました。花のふる日は、は、月澄む空に、より約10年ほど前の話になります。
月夜の猫-BL小説です 好きだから102 BL小説 「あったぞーーー」 ブリーフケースを探っていた沢村は声をあげた。 「ばっか、夜中にデカい声出すなよ!」 小声で窘めながら、沢村からカードを奪ってドアを開けた。 ベッドルームまでもつれるようにして連れてきた沢村を、良太は力一杯ベッドに押しやると、肩から落ち
月夜の猫-BL小説です 花のふる日は6 BL小説 「一晩かけてただ旧交温めてたわけやないやろ? 彼女の部屋で」 千雪は静かに言った。 京助はしばらく黙り込んだ。 そして徐に口を開いた。 「あいつ、昔、自分の運転する車で事故って、同乗していた姉さんだけ死んだんだ。それからウツになって、薬で抑えて仕事はしていたんだが
月夜の猫-BL小説です 花のふる日は4 bl小説 久しぶりに訪れた原の家では、伯父や伯母、それに小夜子がいつものように千雪を歓待してくれた。 一家と千雪とで夕食に中華を食べに行き、家に戻ってきて、今度は小夜子の焼いたケーキをデザートにいただくことになっていた。 「千雪ちゃん、お待たせ! 絶対美味しいわよ」
月夜の猫-BL小説です 好きだから96 BL小説 「おう、俺、帰ってるか?」 また一つ大きな溜息と共に電話に出ると、タフな男の声がした。 「ああ、こんばんは。いるけど………」 「ちょっといいか? 近くまで来てるんだ」 今夜はちょっとと断る間もあらばこそ、三分もしないうちに、ドアチャイムが鳴った。 「
月夜の猫-BL小説です 好きだから95 BL小説 「本人にもあったことがあるんだが、普段はこうふわっと妖精っぽいっていうか、あ、そうそう、森野友香さん、彼女に何か雰囲気が似てるんですよ」 佐々木は笑った。 実は映像を見てそんな風にも思ったからだ。 佐々木はネットで見た友香の絵を思い出して、自分と別れてようやくあ
月夜の猫-BL小説です 好きだから94 BL小説 「うわ、すご! 佐々木さん!」 「え?」 いきなり叫んだ浩輔を佐々木は振り返った。 「カッコいいっつうか、すんごいいい写真じゃないですか、これ」 携帯の画面をぐっと差し出された佐々木は、これ、を見て眉を顰めた。 「直ちゃん…………」 どうやら直子が、幸田の連絡
月夜の猫-BL小説です 好きだから89 BL小説 「別にわたしに報告しなくちゃならないってことはないけど、もしかしたらイベントで沢村っちに会ったのかなとか思ったら、手塚が昼くらいには神宮出たって。それから一緒にご飯食べて買い物して、飲みに行ったって。何かまるで………」 そこで言葉を切った直子は、少し目が潤ん