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月夜の猫-BL小説です 勝手にしやがれ!4 BL小説 「十月の終わりだ……あの人に会って、自分でもマジかって疑ったんだが、ひと目惚れってやつ? それから何とかあの人と再会にこぎつけて、何度か会って………あの人も絶対、俺のこと好きだって、そう……思い上がってたのかもな………」 沢村はじっと真剣な表情で聞いてい
月夜の猫-BL小説です 寒に入り2 BL小説 車の中でスニーカーを靴に履き替えながら、工藤は入社したての、尖った自分をにこやかに押さえてくれた大野の顔を思い出していた。 局内でも有能なプロデューサーとして知られ、工藤が退社する頃には取締役になっていた。 大らかで、特異な出自ということで工藤を蔑視するよ
月夜の猫-BL小説です 勝手にしやがれ!3 BL小説 ドアが開いて、バスローブ一枚で出てきた男を見ると、良太はムッとした顔で中に入った。 「……良太、会いたかった……」 背後から良太を抱きしめる沢村にますます良太は呆れた。 「おい、苦し…………離せってば! 酒臭………!」 ようやく沢村が腕を緩めると、転
月夜の猫-BL小説です 2025年あけましておめでとうございます BL小説 本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。 今年はどうか、地球上の人々も動物も、みんなにとって良い年でありますように! 年末は忙しなく、xmas2024では、ぎりになってから、 「勝手にしやがれ!」を始めてしまいました。 xma
月夜の猫-BL小説です 寒に入り1 BL小説 五日くらいまでは晴れていい年明けだったのだが、六日の朝から寒波の襲来で東京は年末の大雪にもまして交通にも人の動きにも影響が出た。 雪が十センチも積もれば、東京では大雪なのだが、本来の大雪に見舞われている地域に住む人々からは、その程度で大雪などと言うのはおかしい
月夜の猫-BL小説です 勝手にしやがれ!2 BL小説 それでもまあ、この年末良かったと思うようなことがないわけでもないから、帳消しとまではいかずともその時ばかりは気分は上昇する。 例えば幼馴染でリトルリーグの頃からバッテリーを組んできた肇と、高校の時、部のマネージャーだったかおりが最近つきあい始めたことだ
月夜の猫-BL小説です 勝手にしやがれ!1 BL小説 会社の慢性的な人手不足のせいもあるが、師走に入ってからの広瀬良太はとにかく忙しかった。 もちろん、忙しいのは自分だけではないのはわかっている。 社長の工藤などは、ワーカホリックも度を越えて東奔西走しているのだ。 それはわかっているが、忙しいうえにこ
月夜の猫-BL小説です 勝手にしやがれ!(工藤×良太24) BL小説 沢村と佐々木の「恋ってウソだろ!」とリンクします。 師走に入り、会社の慢性的な人手不足のせいもあり、良太はいつにもまして忙しい毎日を送っている。しかも次から次へと厄介ごとがやってくれば、良太もついぼやきたくもなる…
月夜の猫-BL小説です 月鏡66 ラスト BL小説 「次、『今ひとたびの』で行く予定です」 きっぱりと良太は告げた。 「行く予定て、こないだ、ドラマ終わったばっかやろが」 案の定と千雪は文句を言う。 「来年の話ですから、キャスティングはまだですけど。大澤さんらのスケジュールは一応おさえてあります」 千雪
月夜の猫-BL小説です 月鏡65 BL小説 「ひょっとしたらうちのタレントや社員、が対象ということもあるかもだが、主にこの良太だ。いつも四人でなくても、都合がつく者だけでいい」 「え、ちょ、工藤さん! 俺だって自分で何とかできますし、何かって、もう魔女オバサンは襲ってこないでしょう?」 工藤のまたしてもな提案
月夜の猫-BL小説です 月鏡64 BL小説 「けど、こないだの仕事ってより温泉旅行提供してもらったみたいなもんだったし、そう、ご活躍ってほどの仕事もしてないのに、あんな破格な報酬もらっていいのか?」 加藤が代表して言った。 工藤が提示した報酬額を、良太が加藤の口座にみんなの分をまとめて振込してあった。 「
月夜の猫-BL小説です 月鏡63 BL小説 孫が可愛いと思わなきゃ、気にかけたりしないよな。 逢うことがそうそうできないから、余計に工藤のことは気になっていたんだろう。 だからってなんで俺、なんだよ! 俺なんか、ただの部下なんだからな! 工藤と久々顔を合わせて食事をしているのに、と、良太はグチグチと
月夜の猫-BL小説です 月鏡62 BL小説 「お前が何か考え込んでいるとか、ロクなことはないからやめろ」 鰤の刺身や米茄子の田楽、里芋の煮物、鱚や椎茸の天ぷら、海老の餡かけなど、この店自慢の料理が出されているというのに、良太がもそもそしていると、工藤もいい気分で酒が飲めない。 「はあ………」 ペンダントは
月夜の猫-BL小説です 月鏡61 BL小説 なまじっか同時期に司法試験に受かったりしている工藤なので、小田に対する要求も面倒なのだと、小田が良太にぼやいていた。 その上、沢村にまで超面倒な案件で頼られて、いくら仕事とはいえ、確かに、額も後退するよな、などと良太は思わず自分の額に無意識に手をやった。 やが
月夜の猫-BL小説です 夢ばかりなる27 ラスト BL小説 年が明けた。 あれから、とりあえず面倒な事件は起きてはいない。 だが―――――― 工藤は眉を顰める。 樹、『Tree』から『T』とその世界では呼ばれているという。 メールでも携帯でもなく、有線の電話を使い、連絡を取るのも年に数回、実際会っ
月夜の猫-BL小説です 月鏡60 BL小説 これらのことを踏まえ後日早速、芸能誌にわざわざ青山プロダクションのでっち上げだというでっち上げの記事を掲載させたことも含めて、沢村宗太郎が顧問弁護士の真岡を通じて興信所の大坪に沢村だけでなくアスカのことまで探らせ、その際に二人の部屋に忍び込み、盗撮させたことなどで
月夜の猫-BL小説です 夢ばかりなる26 BL小説 工藤の爆弾………か。 確かにそうかもしれない。 波多野の言葉を心の中で反芻しながら良太はエレベーターでフロントに降りた。 確かに、波多野の言うとおり、軽率だったかもしれない。 俺が何かバカをやったら、みんな工藤に返っていくんだ。 あああ、結局俺
月夜の猫-BL小説です 月鏡59 BL小説 週刊『東京芸能』が妙な記事を載せているのを見つけたと、嘱託カメラマンの井上がオフィスに寄って良太に雑誌をつきつけたのは翌朝のことだった。 アスカと沢村の顔写真がデカデカと見開きに載り、関係者の話として暗に青山プロダクションとアスカが人気選手を利用したやらせ記事を
月夜の猫-BL小説です 夢ばかりなる25 BL小説 海外からの客の接待が予定されているという部屋は、セミスイートで、ゆったりくつろげるスペースがあった。 「どうぞ、お座りください」 「いえ、結構です」 良太はドアのすぐ近くに立って、きっぱりと言った。 「どうしたんですか? 藤堂さんからプロジェクトの方は順
月夜の猫-BL小説です 月鏡58 BL小説 「あの時はまだわからないって言ったんだけど、さては坂口さんに何かたきつけられた?」 さすが宇都宮、勘がいい。 「はあ、あの、ぶっちゃけ、ドラマのオファーなんですけど」 良太はこの際だと、正直に言った。 青山プロダクションの小笠原とダブル主演で、医者と刑事がバデ
月夜の猫-BL小説です 夢ばかりなる24 BL小説 「良太が工藤さんのこと信じてやらんかったら、どないすんね」 信じたい、良太もそれは思う。 だけど――― 「まあ、お前にはえらそうなこと言うけど、好きな人の前に立ったら、みんな不安になるもんや…心はわかれへんから」 「千雪さんが? いつもこれっぽっちも隙が
月夜の猫-BL小説です 月鏡57 BL小説 「なるほどね、パートナーはワンコか。でも一人で留守番とか可哀そうじゃない?」 「ワンコの方がニャンコより一緒に動けますよ。まあ仕事だとちょっとあれですけど、千雪さん、よく一緒に連れ歩いてます」 宇都宮の杞憂に、良太が答える。 「なるほど……」 「あ、そうよ、トシち
月夜の猫-BL小説です 夢ばかりなる23 BL小説 千雪も工藤を思いやっているのはわかる。 工藤高広の名前がマル暴のリストから消えない限り、被害者となった時でさえ、工藤は痛くもない腹を探られることになる。 「笑ってもいいですよ。工藤の後つけたり。で、やっぱ工藤が千雪さんに会いにきたってことを思い知らされ
月夜の猫-BL小説です 月鏡56 BL小説 「はあ、ほんと、もう、勘弁って感じですよ」 良太は大きくため息をつく。 「あいつ、マジ、バカだよね。前っから浮ついてたし、あいつとの共演話も過去あったけど、みんな蹴ってた」 竹野も怒りをぶちまけた。 「それ、正解っすよ。うちも気を付けてたんですけど、なんか付き合
月夜の猫-BL小説です 氷花22 BL小説 「離せ! 出てけ! クソドアホ! エロ魔人!」 千雪の罵倒など歯牙にもかけず、京助の手は千雪の服を剥ぎ取った。 「でかい声で騒ぐと聞こえるぜ?」 うっと千雪は口を噤む。 「いっか、聞かしてやるか、お前の可愛い声」 思わず千雪は京助の頬に平手打ちをかます。
月夜の猫-BL小説です 夢ばかりなる22 BL小説 「よかったですね、良太が一緒じゃなくて」 電話を切る間際、『T』は言った。 工藤を襲ってきた男のうち、バイクの二人は即死、車の数人も重症を負い、入院したと、『T』は工藤の問いに対して淡々と答えた。 わざとバイクを転倒させたとは工藤は聞かなかった。 だが
月夜の猫-BL小説です 月鏡55 BL小説 「やからお前、工藤さんの後継ぐんなら本、読み! 原作はカズオ・イシグロ、日本人でイギリスに帰化して、前にノーベル賞もろた作家おったやろ? 映画見るんでもええけど、ええ映画やで」 「はあ………そういえば、そんな人いたような………The Remains of the D
月夜の猫-BL小説です 氷花21 BL小説 「兄弟のスキンシップってとこ? あいつはいつも、横暴なだけで」 茶化して笑う紫紀を千雪は胡散臭げに見た。 「ほんまに、うちの中でもジャイアンなんか、お前は!」 今度は京助の背中に怒鳴りつけると、紫紀は大いにうけて笑い出した。 「よくわかってるねぇ、千雪くん! 全
月夜の猫-BL小説です 夢ばかりなる21 BL小説 明確に狙われているとわかったのは、夜九時を過ぎ、工藤は第三京浜を横浜へと車を飛ばしていた。 おそらく、千雪を連れ去ろうとした連中だろう、追い越し車線に並んだ、バンパーもへこんだサンダーバードに半グレ風の若い男が数人乗っている。 運転している男はかなり運
月夜の猫-BL小説です 月鏡54 BL小説 「どうせ人生一回こっきりじゃない? この際、世間にどう言われようと、愛を貫き通すっってところがいいんじゃない」 白石は悟り切ったように言う。 「裏でヤバいことしててもかよ?」 「人間やってたらそんな人いくらもいるわよ! 断頭台に消えたマリーアントワネットだって、
月夜の猫-BL小説です 氷花20 BL小説 「そう、諦めの悪い叔父は多分、ライバル、と思ってたんだろう小林教授のことも調べたらしく、教授の書かれた本とか持ってて、この人なら夏緒さんを任せても仕方ないか、なんて負け惜しみ言ってたが、ちょうど京助が高校生の頃だよ、叔父がたまたま教授の本を持ってうちに遊びに来ていた
月夜の猫-BL小説です 夢ばかりなる20 BL小説 常々、言葉遣いはいい方ではないが、今はとげを含んでいるような言い草だ。 真夜中の二時をとうに過ぎていたことに、工藤はようやく気がついた。 エレベーターのドアが開くと、小笠原も乗り込んでくる。 「まさか、あんた、良太まで食ってたとは思わなかったぜ。それと
月夜の猫-BL小説です 月鏡53 BL小説 「もともと父親が私にくれたロンドン土産だったんだけどね」 良太は驚いた。 多佳子の用というのがそんなこととは思いもよらなかった。 高価なものかどうかは別として、そんな大切なものを良太は手に取る勇気はなかった。 「待ってください、そんな大切なものを俺がもらうわけ
月夜の猫-BL小説です 氷花19 BL小説 「ああ、そうか、君の父上は、K大学の小林教授だったね。京助が心酔して一年ほど京都にいたんだっけ。じゃ、その時に知り合ったの?」 「いえ、京都にいた頃は全然顔を合わせたことはなかったので」 ふと紫紀が自分たちの関係を勘ぐっているような気がして、千雪はあからさまに怪
月夜の猫-BL小説です 夢ばかりなる19 BL小説 工藤は苦笑しながら首を振ると、良太の頬に手を伸ばす。 「バカやろう………」 指で涙を拭い、ゆっくりと口づける。 優しく、愛しみながら、工藤は良太をしばらく黙って抱きしめていた。 やがて良太を離すと、「もう、部屋に戻れ」と、工藤は言い、階段を下りて行く。
月夜の猫-BL小説です 月鏡52 BL小説 「政治家も嫌いですよ、工藤さん、反社会的勢力と同様に」 「いちいち嫌味な子だね」 しれっと口にする良太を多佳子はまた睨み付けた。 「ご用件を早いとこ言ってくれませんか? 工藤さんが留守の間、会社の切り盛りしなくちゃならないんで、そろそろ帰りたいんですが」 全く、
月夜の猫-BL小説です 氷花18 BL小説 「連絡はついたんですが、あいにく札幌に出張中で、すぐには戻れないということでした」 藤原は答えた。 「そうか。あとは医者に任せるしかない。ああ見えて咲子さん、強い人だから、大丈夫だよ、きっと。赤ちゃんも。京助、ついてるんだろ? 俺らは腹ごしらえをしよう。藤原もいた
月夜の猫-BL小説です 夢ばかりなる18 BL小説 いまさらだよな。 俺の心がズダボロになろうが、今日は今日だし、明日もくるってことだ。 良太は諦めの境地で一つため息をつくと、今度は工藤と言い争っていた千雪の言葉が気にかかる。 ボディガードとか何とか、千雪さん、言っていたような……。 工藤のやつ、何
月夜の猫-BL小説です 月鏡51 BL小説 劇愛という言葉も多佳子の口から聞けば頷けるかも知れない。 「父母には親不孝をしたこともわかっちゃいるけど、どうしようもなかった。でもね、やっぱり息子はともかく娘はうちの業界には置いておけないと思ってね、手離したのよ。父母は可愛がって育ててくれたのにね」 身の上話
月夜の猫-BL小説です 氷花17 BL小説 すると、どう見ても湯上りらしい、スエットの上下にタオルを首に巻いた長身の男が、キッチンの入り口で驚いた顔で千雪をじっと見つめている。 京助が髪を黒く染めて立っているのかと一瞬在り得ない想像をした千雪だが、よく見ると印象がかなり柔らかいし、雰囲気も違う。 「咲子さん
月夜の猫-BL小説です 夢ばかりなる17 BL小説 その時、千雪が良太に気づいた。 「良太……違うで、誤解すんな」 千雪の声が追いかけるが、良太はオフィスを逃げ出していた。 雪まじりの雨の中をせかせかとただひたすら歩いていた。 千雪には京助がいるからと思って忘れていた。 工藤は千雪を愛しているのだ、
月夜の猫-BL小説です 月鏡50 BL小説 当の良太は、フロントで受け取ったFAXの意味が分からず何だろうと見ていた時、左右に男が立ち、右に立った男に「声を出すな」と耳打ちされた。 二人に両腕を取られた良太は喚くわけにもいかず、黙って男たちに従った。 ほんとに現れやがったのかよ!? 自問しつつ、エント
月夜の猫-BL小説です 氷花16 BL小説 キッチンの床が真っ赤に染まっているのをチラリと見てしまった千雪は、一瞬青くなり、しばし呆然と咲子を運んでいく二人を見送った。 「大丈夫ですか? 咲子さん」 やがて戻ってきた藤原に、千雪は尋ねた。 「はい、公一と京助さんが今病院へ向かいました。何でも早期剥離の可
月夜の猫-BL小説です 夢ばかりなる16 BL小説 谷川は良太よりあとに入社したとはいえ中途入社みたいなものだし、タレントは問題外だから、良太さん、なんて呼んでくれるのは真中の他にはいそうにない。 「あんなの、藤堂さんも考えていたことだ。俺の口から言わせて、クライアントをさりげなく納得させてるんだろ」 そ
月夜の猫-BL小説です 月鏡49 BL小説 京助は駐車場からまだ上がって来ておらず、檜山と千雪はエレベーターが降りてくるのを待っていた。 数人の客がバラバラとフロントに向かい、千雪は何気なく良太を見、またエレベーターの方を見てから、再びフロントに目をやった。 その時、フロントでFAXを受け取っていたは
月夜の猫-BL小説です 氷花15 BL小説 スキーと聞いてロマンチックな展開を期待してわんさか京助についてきた女の子たちも、ロマンチックどころか、ゲレンデで徹底的に京助に扱かれ、次にはスキーに誘っても敬遠されることになるのだ、という話も公一から聞かされていた。 「意外も何も、もともと中身は硬派なんだから、華
月夜の猫-BL小説です 夢ばかりなる15 BL小説 工藤の命により小笠原のCF撮影に立ち会うことになった良太は、翌朝撮影が行われるスタジオに向かった。 広告代理店プラグインの藤堂を通じて紹介された男は波多野と名乗った。 今回のCMは、顧客や社会のニーズを基に、企業の業務プロセスや製品、ビジネスモデル、企
月夜の猫-BL小説です 月鏡48 BL小説 すると京助も言った。 「俺も送って行く」 「すみません……匠、大丈夫かな」 振り返ると、匠がほてほてとおぼつかない足取りでやってきた。 「俺も部屋戻る………」 「大丈夫?」 「……ん、もう眠い………」 良太と檜山は辻と京助に送られて部屋に戻った。 「じゃあ、お