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6000冊以上の本を読んできた。これからも読みます! https://booklover55.blog.fc2.com/

これまで読んで記録してきた6000冊(もうすぐ7000冊)の本から、面白かった本を紹介。興味を持ったらぜひ読んでみてほしいです!

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2022/02/28

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  • 続編はないのかな?「ミステリーしか読みません」

    これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。新しい作家を見つけるのは楽しいもの。それがちょっと笑えるミステリだったら最高だ。こちらは、カナダの兄弟による初のコージーミステリ。元”空手チョップ探偵”ミランダの活躍やいかに?格闘シーンで「ハイ・ヤー!」の掛け声とともに空手チョップを繰りだすフラン牧師を演じて人気を博したミランダは、いまや完全に落ち目。便秘薬のCMの祖母役しか来ない。そこに15年前に置き去りに...

  • あ、これ、あの作品のオマージュだ!「英国王妃の事件ファイル⑭ 貧乏お嬢さま、追憶の館へ」

    これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。ジョージーが結婚し、公爵令嬢でなくなった今、もはや英国王妃からの命令は来ないのでは?と気になる「英国王妃の事件ファイル」シリーズ。その第14弾の舞台はコーンウォール。どんな展開なのか?夫ダーシーは任務で出かけ、家にひとり残されたジョージー。祖母の遺産が入った親友ベリンダの頼みでコーンウォールに出かけることに。相続した怪しげな小屋は住める状態になく、昔の料理...

  • そう、負けないで!「嵐にも負けず」

    これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。敵から身を隠すために田舎町に潜んだスパイ・フォーチュンと、ワケありの過去があるファンキーな2人のシニアの活躍を描いた<ワニ町>シリーズ。待ちに待ったその第7弾がついに刊行。これは読むしかない。前作で新保安官が逮捕されることになったシンフルの町長は、シンフル・レディース・ソサエティ(SLS)の宿敵シーリアのまま。そのシーリアの夫・マックスが長年の失踪後初めて町...

  • こんな町がどこかにあるといいなあ「めぐりんと私。」

    これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。本に触れる方法はひとそれぞれだが、最初の窓口が図書館という人は多いのでは? ほんとうにどれだけお世話になったことか……。近くに図書館がないときにありがたいのが、移動図書館。最近見かけなくなった「本バス」を題材にしたシリーズの第2弾がこちら。種川市を巡回する移動図書館「本バスめぐりん」は、今日も3000冊の本を利用者のもとへ。息子たちに押しきられる形で種川市のその...

  • そういえば、最近見てないな~「茶柱の立つところ」

    これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。今は亡き樹木希林さんの後継者ではないか?と密かに思っている人、小林聡美。どんな役でもビジュアルを大きく変えることないその姿に、こんな人たしかにいる、と思う。そして、エッセイもとても面白い。その最新作がこちら。「ありきたりな日々のどこかに、ときどき茶柱が立ちますように」演じる仕事でキャリア40年超えの著者が、「日々考えていること、実践していること、暮らしの楽...

  • 確かにこれは問題作「ポケミス読者よ信ずるなかれ」

    これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。書店をぶらぶらしていて見つけたこの本。「ポケミス70年の歴史上、最大の問題作」というオビに釣られてつい手に取った。果たして、その内容とは? ワクワクしてさっそく読んでみた。冒頭、大学時代の友人である2人が向かう先は、会員制狩猟クラブ。ジェームズは会員の息子で、マカニスは私立探偵。富裕層の子孫である会員たちの不穏な空気の中、相次いで起こる事故。さらに、湖で発見...

  • そういうことか!「スリー・カード・マーダー」

    これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。「バディもの」のミステリは多い。姉妹ものもしかり。しかし、姉が警官で妹が詐欺師というのは珍しい。しかも、密室もの? 「期待の新シリーズ開幕!」というオビの文句に惹かれてさっそく読んでみた。サセックス警察重大犯罪班 警部補のテスが担当することになった事件の被害者は、かつて犯した罪にかかわる相手。どう見ても不可能な状況での殺害に手詰まりになったテスは、過去の事...

  • これは傑作! ミステリ・ファン必読 「ウナギの罠」

    これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。ミステリ・ファンにとって、過去の名作ミステリを見つけるのも楽しみのひとつ。扶桑社から出版されたこちらは「スウェーデンのディクスン・カー」による「幻の名作」とのこと。気になってさっそく読んでみた。スウェーデン南部の田舎町ボーラリード。川畔にある箱型のウナギ罠のなかで、嫌われ者の大地主の死体が発見される。縦横2メートル・奥行3メートルの板張りの罠は南京錠がかか...

  • そうそう、そうでした!「グリーン家殺人事件」

    これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。昔読んだミステリの名作を読み直して思うこと。なんと、内容をまったく忘れている! しかし、いつでも初めて読む感動が得られるとポジティブ思考(?)で今日も読む。創元社の創立70周年記念新訳出版本のこちら、新訳で読んでみた。時は1900年代初頭。発展をつづけるニューヨークに孤立したように立つグリーン家の邸内で、富豪トバイアス・グリーンの相続人が次々と謎の死を遂げる。...

  • ここは、もしかしてあの島?「猫島ハウスの騒動」

    これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。海外にコージー・ミステリは数多いが、日本には案外少ない。その数少ない書き手のひとり、若竹七海さんが書きつづけているのが架空の半島「葉崎」を舞台にしたシリーズ。これは、その先にある島を舞台にしたいわばスピン・オフ。未読だったので読んでみた。島民30人、猫百匹以上が住む葉崎半島の先の通称「猫島」。その島の海岸で、ナイフが刺さった猫のぬいぐるみが発見され、ついで...

  • うんうん、これでいいのだ!「定年物語」

    これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。SF作家の新井素子さん、ご自身の結婚をテーマにした作品もある。沢口靖子・陣内孝則主演でドラマ化もされた。しかし、それがもう40年前? あの時20代だった2人が、ついに定年を迎えるなんて……。月日が経つのは本当に早い!小説家の陽子さんと広告代理店勤務の正彦さん。これまでほぼ家にいなかった正彦さんが定年となり、『兼業主婦』の陽子さんは家事を分担してもらえると期待する。...

  • 今回もノンストップ——そして脇筋が多すぎて覚えられない「有名すぎて尾行ができない」

    これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。前作『平凡すぎて殺される』で平凡な顔のせいで命を狙われたポールが、今度は探偵に? しかし、この著者のこと、ありきたりのストーリーにはならないはず。さて、今度の騒動は? さっそく読んでみた。恋人のブリジット、元警官のバーニーとともに探偵事務所を始めようとしたポールだが、ブリジットとは浮気で破局、バーニーは居所がわからない。傍らにいるのは、バーニーが連れてきた...

  • ミステリのマトリョーシカや~?「ボストン図書館の推理作家」

    これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。初めて読む作家の本はワクワクする。早川書房から今月発売された本作は、スリランカ生まれでオーストラリア在住の作家によるミステリ。コージーっぽいタイトルとは裏腹の凝った作りに思わずイッキ読み。オーストラリア在住の推理作家ハンナが描く小説の中で、オーストラリア人の推理作家フレディは奨学金を得てボストンに滞在中。ボストン図書館の閲覧室で作品の構想を練っていると、...

  • うん、他人事じゃないね「捨てたい人 捨てたくない人」

    これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。「断捨離」それは永遠のテーマ。すっきり暮らしたいと思いつつ、日々ものは増えていく。群ようこさんの新刊は、身内の身の回りを”断捨離”しようとする人たちを描いた連作小説だ。ご自身の住み替え経験も反映したであろう本作、さっそく読んでみた。引っ越しのため洋服を処分しようとしてなかなかできない姉と、きっぱり捨てろと迫る妹とのやり取りを描いた『捨てられない姉 捨てさせ...

  • 中公文庫さん、紹介してくれてありがとう!「野呂邦暢ミステリ集成」

    これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。ときどき過去のよいミステリ作品を紹介してくれる中公文庫。野呂邦暢という名前は知らなかったが、堀江敏幸さんによる「わずらわしい世事を忘却するために」というオビの文句に惹かれて手に取ってみた。1974年「草のつるぎ」で芥川賞を受賞した著者の中短編とミステリに関するエッセイをまとめた1冊。冒頭の「失踪者」は、島に祭の写真を撮影しに行った友人が遺体で発見されたことか...

  • いろんな意味で英国はすごかった!「英国王妃の事件ファイル⑬ 貧乏お嬢さまの危ない新婚旅行」

    これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。貧乏お嬢さまの冒険を描く「英国王妃の事件ファイル」シリーズ。主人公ジョージーは前作でついに結婚を果たし、物語は新たな展開に。シリーズ13作目となる本作ではハネムーンへ。もちろん一筋縄でいくはずもなく……。史実も交え、どんな展開になるのか?結婚式のあとテムズ川に係留されたハウスボートで過ごし、ロンドンに戻ったジョージーを待っていたのは、ケニアへのハネムーン。女...

  • 今なら舞台はサイバー空間? クリスティの痛快スパイ小説「秘密組織」

    これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。最近ハマっているクリスティ作品の読み直し。こちらは、夫婦探偵・トミーとタペンスのデビュー作。ポアロ初登場の「スタイルズ荘の怪事件」に続く作品だが、ノリが全然違う。大まかにおぼえていたものの、細かいところを忘れていた本作、新訳で久しぶりに読んでみた。第一次大戦が終わったものの仕事が見つからないタペンス。幼なじみのトミーとともに<若き冒険家商会>を設立し、広...

  • やはり傑作! ラストに疑問?「満潮に乗って」

    これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。最近、アガサ・クリスティーを読みなおしている。ポアロやミス・マープルが登場するものは、ドラマも見ると楽しみ倍増。その中でも改めてよくできているなあと思ったのがこちら。ドラマとラストが違うところも注目。億万長者のゴードンが若い未亡人のロザリーンと結婚し、戦時中に爆死したことから経済的に追いつめられるクロード一族。姪のリン・マーチモントは、ロザリーンの兄デイ...

  • これぞ現代日本のコージー・ミステリー「パラダイス・ガーデンの喪失」

    これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。これまでツイてない探偵 葉村シリーズとともに定期的に発表されていたのが、こちらの<葉崎市>シリーズだ。神奈川県の架空の半島にある<葉崎市>で起こる事件を描く。10年ぶりとなる新作に期待してさっそく読んでみた。山の上で私設庭園<パラダイス・ガーデン>を営む房子がある朝起きてみると、庭先に70代の女性の遺体が。自殺らしきその女性の身元は不明。折しも葉崎では重大な...

  • 好きこそものの上手なれ?「行き遅れ令嬢の事件簿➂ 公爵さま、それは誤解です」

    これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。累計30万部突破の人気シリーズ「行き遅れ令嬢の事件簿」。身分差別の激しい摂政時代に、26歳で未婚のベアトリスと美貌の貴公子ケスグレイブ公爵がタッグを組むコージーミステリだ。そのシリーズ3作目がこちら。前作で思わぬ怪我を追い、叔母に家に閉じこめられたビアトリス。公爵への思いに気づいたものの、身分違いの恋のつらさを忘れたいと思っていたところに、渡りに船の依頼が。...

  • あの本をもう一度読んでみたくなる「中野のお父さんと五つの謎」

    これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。元祖日常の謎といえば、なんといっても北村薫先生。あの「中野のお父さん」シリーズに新刊が。刊行日を心待ちにして、さっそく読んでみた。文宝社の中堅社員となった美希。コロナ禍を経て行われた後輩の結婚式をきっかけに理想の夫婦像について同僚と話すうち、漱石が<I love you>を<月が綺麗ですね>と言ったというエピソードが飛び出す。果たしてこれは本当か? 中野のお父...

  • ちょっと映画みたい?「英国ひつじの村➄ 巡査さんを惑わす映画」

    これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。貧乏お嬢さまが主人公の「英国王妃の事件ファイル」シリーズなどで7回の受賞経験があるリース・ボウエン。邦訳されている別シリーズがこちらの「英国ひつじの村」シリーズ。主人公はウェールズの小さな村スランフェアのエヴァンズ巡査。毎回女難に悩まされるのがお約束だが、果たして今回は?第二次大戦中、村からほど近い湖に沈んだドイツの爆撃機を引き揚げるという企画で、撮影隊...

  • クリスティ風味の新シリーズ「プロヴァンス邸の殺人」

    これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。オビの「トラベル令嬢ミステリー!」の言葉に思わず手にした新刊本。祖父から受けついだのは財産と”探偵業”? 「プロヴァンス邸」というタイトルと、表紙のラベンダー畑に惹かれてさっそく読んでみた。時は1930年。スイスで教師をして父の借金の返済を終えたアタランテ。いよいよ自分の人生を生きられると思った矢先に届いた祖父の訃報。”探偵業”を引き継ぐようにと書かれた遺言によ...

  • ちゃんとミステリでした!「他言は無用」

    これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。積読本を整理していたら、だいぶ前に買って忘れていた本が出てきた。その1冊がこちら。クセのある作風の英ミステリ作家リチャード・ハルの第2長編だ。舞台は英国紳士の社交場、ホワイトホール・クラブ。料理長ベンスンがバニラ・エッセンスの空き瓶に詰め替えた腫れ物治療用の過塩化水銀が夕食のスフレに混入? 折しもスフレを食べた会員の1人が急死し、クラブ幹事のフォードとクラ...

  • ファン必読の書「クリスティを読む! ミステリ女王の名作入門講座」

    これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。「ミステリの女王」といえば、なんといってもクリスティ。文芸評論家の大矢博子さんによるクリスティ作品の解説書がこちら。「入門書」とあるが、クリスティの愛読者でも新たな発見が。まちがいなくミステリ好き必読の書。多くの人を魅了してきたクリスティ作品。映像化も多い。その魅力を「探偵」、「舞台と時代」、「人間関係」、「騙しのテクニック」、「ミスリード」の視点から解...

  • 巨匠の探偵小説愛をご堪能あれ!「レイトン・コートの謎」

    これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。ドロシー・L・セイヤーズとともにディテクション・クラブ(英国探偵作家の親睦団体)の中心人物だったアントニイ・バークリー。その大御所のういういしい探偵小説デビュー作がこちら。名探偵ロジャー・シェリンガム登場!ある朝、田舎屋敷レイトン・コートの書斎で発見された主人の遺体。扉にも窓にも鍵がかかっており、額を撃ちぬいた銃弾は主人の手に握られた拳銃から発射されてい...

  • これ、間違いないでしょう!「英国王妃の事件ファイル⑫ 貧乏お嬢さまの結婚前夜」

    これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。全17巻のうち、日本で16巻まで刊行されているリース・ボウエンの「英国王妃の事件ファイル」シリーズ。12巻まで読み進めることができたのは、毎回違った趣向を凝らすその質の高さゆえ。さて、ついに念願の結婚式を目前にしたジョージーの今回の冒険は?結婚式まであと1ヵ月となったジョージーだが、結婚後に住む家が見つからない。そこへ、母クレアの元再婚相手で富豪のアンストルー...

  • 読むべし! 衝撃の3部作 前日譚「受験生は謎解きに向かない」

    これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。衝撃の結末が忘れられないホリー・ジャクソンの「卒業生には向かない真実」。3部作最後を飾る作品として「このミステリーがすごい! 2024年版」海外編の第6位をはじめ、多くのランキングに登場。じつは、その3部作には前日譚があった。大学受験のための試験は終わったが、自由研究のテーマに悩むピップのもとに友人コナーから届いた招待状。それは、架空の島で起きた殺人事件を解決...

  • 今回もきれいにオチがつきました「英国王妃の事件ファイル⑪ 貧乏お嬢さま、イタリアへ」

    これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。貧乏お嬢さまジョージーが、女王陛下のむちゃぶりに右往左往する『英国王妃の事件ファイル』シリーズ。いよいよ結婚が秒読みになったというのに、またも密命を受けて今度はイタリア貴族のハウスパーティーに潜入。第二次大戦前夜のきなくさい時節、ジョージーの運命は?婚約者ダーシーが任務で出かけてしまったところに、女王陛下の呼び出しを受けたジョージー。カトリック教徒である...

  • すみっこぐらしも悪くない「れんげ荘物語 しあわせの輪」

    これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。毎年この時期になると新刊が出る、群ようこさんの「れんげ荘物語」シリーズ。主人公キョウコさんが年季の入ったアパートで月10万円の暮らしをつづけて10年以上が過ぎた。シリーズ8作目となる本作でのキョウコさんの心境とは?独立した甥・姪がしばらくぶりに訪ねてくることとなり、正月に兄夫婦の家を訪れたキョウコ。うっかり風邪をひいてしまい、自分の年齢を意識するとともにぼん...

  • いったい「若さま」は何者?「菖蒲狂い 若さま侍捕物手帖 ミステリ傑作選」

    これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。「捕物帳」といえば銭形平次だが、岡本綺堂や横溝正史にも有名なシリーズがある。「五大捕物帳」のひとつに数えられるこの「若さま侍捕物手帖」シリーズ、じつはこれまでノーマーク。読んでみたらひと味ちがっていた。柳橋の船宿に居候する「若さま」は、今日も看板娘おいとの酌で昼酒としゃれこむ。のらくらしているようでいて、この若さま、実は難解な事件を立ちどころに解決する名...

  • さすがはフランスのエスプリ?「パリ警視庁迷宮捜査班」

    これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。書店で「ハヤカワ・ミステリ創刊70周年記念」のオビに惹かれて手にとったこの本。ポケミス手帳の応募期日は過ぎていたが、そんなことより内容が面白そうだったので新年早々読んでみた。過剰防衛で停職したパリ警視庁警視正アンヌ・カペスタンが復職したのは特別捜査班。約40名いるはずの班員は、大酒飲み、ギャンブル依存症、別名”死神”と呼ばれる者など厄介者ぞろい。その任務は未解...

  • それでも前を向いていこう「殺人は展示する」

    これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。イギリスの古都バースを舞台にした「初版本図書館の事件簿シリーズ」。前作のテーマはアガサ・クリスティ。シリーズ第2弾となる本作ではドロシー・セイヤーズだ。さて、どんな展開なのか?初版本協会のキュレーターである「わたし」は、協会の創始者であるレディ・ジョージアナの生涯をたどる展示会を計画。協会で定期的に開催する文芸サロンのすべり出しも好調で、理事たちの賛成も...

  • 惑わされる楽しさ「第四の扉」

    これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。いよいよ2023年も終わり。年末感が乏しい今年、ミステリもなかなかの豊作。さすがに読み尽くしたので、「フランス本格推理の歴史的傑作」を読んでみた。語り手が住むのは、イギリスのオックスフォードにほど近い村。近所のダーンリー家は、夫人が屋根裏部屋で凄惨な死を遂げたことから幽霊が出ると噂されている。そんななか、語り手の親友ヘンリーが不幸に見舞われたあと、不可解に姿...

  • 実はクリスマス・ストーリー「英国王妃の事件ファイル➉ 貧乏お嬢さま、駆け落ちする」

    これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。リース・ボウエンの「英国王妃の事件ファイル」シリーズには、実はもうひとつクリスマスものがある。それがこちら。恋人と駆け落ちした公爵令嬢ジョージーの運命やいかに?恋人ダーシーに連れられ、駆け落ち結婚が認められるスコットランドの村をめざすジョージー。ところが、雪で道路が通行止めとなり、やむなく道中のパブで一泊した2人の目に最悪のニュースが。なんと、ダーシーの...

  • しみじみ……港町のクリスマス「クリスマスカードに悪意を添えて」

    これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。いよいよクリスマス。少しずつ寒くなり、雰囲気を感じるようになってきた。折よく「シェフ探偵パールの事件簿」シリーズの新刊が。海外ドラマ<港町のシェフ探偵パール>シリーズ原作でもある本作、どんな内容なのか?クリスマス直前、息子の帰郷を心待ちにするパール。そこへ友人ネイサンをはじめ、町の人びとを中傷するクリスマスカードの相談が寄せられる。気が進まないながらも調...

  • まるごと1冊クリスマス「英国王妃の事件ファイル⑥ 貧乏お嬢さまのクリスマス」

    これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。そんな感じはしないけど、今週末はもうクリスマス。日本人はお正月が家族イベントだが、欧米ではなんといってもクリスマスが最大のイベント。貧乏お嬢さまが活躍する「英国王妃の事件ファイル」シリーズでもイギリスらしいクリスマスが扱われている。もうすぐクリスマスなのに、寒いスコットランドの実家であまり楽しくないクリスマスを迎えようとしていたジョージー。「良家の子女」...

  • クリスマスの朝に読んでみては?「クリスマスの朝に キャンピオン氏の事件簿Ⅲ 」

    これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。今年は暖かくてなんとなく感じがでないけれど、そんな時こそ本でクリスマス・ムードに浸りたい。クリスティと同時代に活躍したマージェリー・アリンガムの作品がこちら。いくつかあるクリスマス・ストーリーの中でもベストと言われる本編が楽しみ。文庫のタイトル「クリスマスの朝に」と、中編「今は亡き豚野郎《ピッグ》の事件」の2作が収められている。探偵キャンピオンの小学校時...

  • 2人はもはや同一人物?「シャーロック・ホームズとジェレミー・ブレッド」

    これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。近くはロバート・ダウニー・ジュニアやベネディクト・カンバーバッチも演じたシャーロック・ホームズ。しかし、私にとっての決定版といえば、やはりジェレミー・ブレット演じるところのホームズ。これまであまりなかった気がする関連本に飛びついた。両手を合わせたホームズを横からとらえた表紙の写真が印象的。熱烈なシャーロッキアンかつジェレミー・ブレッド ファンの元教師が、...

  • どんなときも自分を大事に「ブギの女王・笠置シヅ子 心ズキズキワクワクああしんど」

    これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。今年の朝ドラ「ブギウギ」で注目のこの方。「ブギの女王」と呼ばれていたことは知っていたが、記憶にあるのは「家族そろって歌合戦」のやさしい審査員としての笠置シヅ子。同じ戦後スター、美空ひばりに比べるとあまりよく知らない。そこで、朝ドラの原案本が文庫化されたこの機会に読んでみた。香川に生まれ、大阪で少女歌劇団に入団、東京の楽劇団で服部良一と出会い「スヰングの女...

  • そういえば親戚なんでしたね「英国王妃の事件ファイル⑨ 貧乏お嬢さまと時計塔の幽霊」

    これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。既刊16冊を数える「英国王妃の事件ファイル」シリーズ。貧乏お嬢さま、ジョージーが毎回趣向の異なる事件を解決するのだが、その9巻目がこちら。王家代々の幽霊が出るというケンジントン宮殿に滞在することになったジョージー。幽霊も活躍するのか?アメリカから帰って仮住まいしていた親友ベリンダの家を出ることになったジョージー。うまいことに、女王陛下から第3王子ジョージの花...

  • これって今もじゃない?「出世と恋愛 近代文学で読む男と女」

    これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。個人的に刊行を心待ちにしている著者のひとりで、独自の視点で切れ味鋭い批評がクセになる斎藤美奈子。その新書の新作がこちら。「人生の選択と恋の行方に迷う方、必読の書!」だそうです。「文学は大人になって読むほうが面白い」。教科書に出てくるような有名小説を中心に、男女の恋に焦点をあて、登場人物たちの行き違いを解説した本書。「青春小説の王道は『告白できない男たち』...

  • リゾートで人生を考える「Murder Makes Waves」

    これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。正反対の姉妹が事件を解決するアン・ジョージの「おばあちゃん姉妹探偵」シリーズ。思わず脱力する2人のやりとりがクセになるが、全8作のうち邦訳は3作目まで。そこで、その4作目を英語版で読んでみた。姉のメアリー・アリス、娘のヘイリー、友人のフランシスとともにフロリダ州デスティンにあるメアリー・アリスのリゾート・マンションに行くことになったパトリシア・アン。10月のフ...

  • 元祖バウンティ・ハンターといえばこれ「私が愛したリボルバー」

    これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。先日読んだ「サスペンス作家が殺人を邪魔するには」のあとがきで触れられていたのがこの作品。周囲の人びとが面倒を起こす「スクリューボール・コメディ」として取り上げられていた。昔懐かしいその魅力を味わいたくて読んでみた。30歳バツイチのステファニー・プラムはバイヤーとして働いていた下着会社を解雇され、失業状態。家具を次々と金に換えてしのいだがそれも限界に。せっぱ...

  • キリンも登場します「英国王妃の事件ファイル⑧ 貧乏お嬢さま、ハリウッドへ」

    これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。いままでヨーロッパを中心に展開してきた「英国王妃の事件ファイル」シリーズ。シリーズ第8作はアメリカが舞台。ジョージー一行がなんとハリウッドに? 大西洋横断のクルーズ船も出てくるとなると、これは読むしかない。ドイツの富豪と結婚したいジョージーの母クレア。しかし、障害が1つ。テキサスの大金持ちとまだ婚姻関係にあるのだ。ネバダ州リノで離婚を試みようとするクレアの...

  • 今やこんな時代に?「ザ・マッチ」

    これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。書店の新刊本の棚でふと見つけたこの1冊。ニューヨークタイムズのベストセラーリスト初登場第1位だそうな。オビの「森で育った天才調査員ワイルドと最強のおばあちゃん弁護士へスター、再び」の文字につられてさっそく読んでみた。幼いころに森で発見されて話題となった過去を持つワイルド。生みの親を見つけるためDNA鑑定サイトに登録したところ、父親とおぼしき人物を発見。しかし...

  • またイッキ読みしてしまった「サスペンス作家が殺人を邪魔するには」

    これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。ママで売れない作家のフィンレイが殺し屋と間違えられるという、ぶっ飛んだ設定だった第1作「サスペンス作家が人をうまく殺すには」。その第2弾がこちら。今度はいったいどんな展開に? 前作以上のハラハラがあるのか? さっそく読んでみた。新作の販売が好調で、元夫スティーヴンに子供たちを奪われる可能性が低くなったと気を良くするフィンレイ。ところが、オンライン掲示板にステ...

  • 悪魔は星空の下に?「野外上演会の殺人」

    これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。読書会のメンバーが殺人事件を解決する「マーダー・ミステリ・ブッククラブ」シリーズ。オーストラリアが舞台というちょっと珍しいコージーミステリだ。その新刊が刊行され、今度は映画『地中海殺人事件』の原作、アガサ・クリスティの「白昼の悪魔」が下敷きということでさっそく読んでみた。『地中海殺人事件』の野外上演会が行われ、さっそく行ってみたブッククラブの面々。感じ悪...

  • ここはダウントン・アビー?「英国王妃の事件ファイル⑦ 貧乏お嬢さま、恐怖の館へ」

    これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。ハロウィン・シーズンだからというわけではないが「恐怖の館」がテーマのこの本、リース・ボウエンの貧乏お嬢さまシリーズの第7弾。降霊会から事件の真相まで、どこかで読んだことがあるような……?今回ジョージーが女王陛下から与えられた任務は「公爵家の将来の跡継ぎの教育係」。独身の現公爵の後継者として、オーストラリアからやってくる甥にマナーを教える仕事だ。しぶしぶ公爵...

  • 新訳で読みやすくなってもこの謎は解けなかった「三つの棺【新訳版】」

    これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。謎解きミステリの巨匠といえばジョン・ディクスン・カー。その代表作で、密室ミステリの最高峰といわれるのがこちら。読んだつもりでいたのに、記録をみると読んでいない? そこでさっそく読んでみた。ロンドンの街に雪が降り積もる夜、グリモー教授のもとを訪れた1人の男。書斎のドアが閉まってしばらくすると銃声が。その場にいたフェル博士ら一行がドアを破ると、グリモー教授の...

  • ラストに思いがけない感動が「ケンブリッジ大学の途切れた原稿の謎」

    これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。読書の秋。自然あふれるケンブリッジ大学を舞台にした学寮付き保健師(カレッジ・ナース)<イモージェン・クワイ>シリーズの2作目が刊行された。水色にレンガのオレンジが映えるカバーイラストに惹かれてさっそく読んでみた。イモージェンは、ケンブリッジ大学の貧乏学寮セント・アガサ・カレッジのカレッジ・ナース。両親から受けついだ自宅に学生を寄宿させている。寄宿生で友人...

  • いるいる、こんな人「やかましい遺産争族」

    これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。イギリス・ミステリは層が厚い。アガサ・クリスティやドロシー・セイヤーズの少し下の世代で、ロマンス小説家のアイドルとなったジョージェット・ヘイヤー。生涯に12作ミステリを書いている中でも書評家の評価が高いのがこちら。初邦訳ということで、さっそく読んでみた。ネット販売で莫大な富を築いたケイン家。現在の当主サイモンは保守的で、新しい事業には否定的。共同経営者から...

  • 人の悩みはいつの世も「伯爵夫人のお悩み相談① 追伸、奥さまは殺されました」

    これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。読書の秋は新しいミステリ・シリーズの見つけ時。この「伯爵夫人のお悩み相談」シリーズは、伯爵夫人の身分を隠し「レディ・アガニ」として雑誌の悩み相談に回答するアミリアを探偵役とするコージーなミステリ。期待たっぷりにさっそく読んでみた。田舎にある実家の宿屋で働いていたアミリアは、伯爵に見初められ結婚。2か月後に夫に先立たれてからは夫の姪ウィニフレッドの母親役と...

  • 著者は元バウンティ・ハンター?「殺人は太陽の下で フロリダ・シニア探偵クラブ」

    これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。何よりもうれしいのは新しいミステリ・シリーズを見つけた時。この本もそのひとつ。ITWベスト・ファースト・ノベル賞ノミネート作家の新シリーズ、ワクワクで読んでみた。過去の潜入捜査でパニック障害を患う元ロンドン市警刑事のモイラ。早期退職をし、フロリダのシニア向け高級住宅に住んで半年余り。保護犬を3匹飼い、規則正しい生活を心がけているが、日課の水泳のために訪れた公...

  • ニースでバカンス?「英国王妃の事件ファイル➄ 貧乏お嬢さまと王妃の首飾り」

    これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。王位継承順位がどんどん下がっている貧乏お嬢さまジョージーの活躍を描く「英国王妃の事件ファイル」シリーズ。もうすぐ16巻が出版されるので、追いつきたくて第5巻も続けて読んでみた。凍える1月のロンドン。親友ベリンダやもうすぐ第2子が生まれる義姉のフィグと兄はニースに行くことに。旅費がないジョージーは置いてきぼりになりそうになるが、王妃の密命を受けてニースに旅立...

  • 雪に閉ざされた古城で冒険「英国王妃の事件ファイル④ 貧乏お嬢さま、吸血鬼の城へ」

    これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。毎度、女王陛下の無理難題に右往左往するラノク公爵令嬢ジョージー。本作では英国王室を代表し、ルーマニア王家の結婚式に参列することに。そこは吸血鬼伝説の残る不気味な城。雪の積もる中、ジョージーは到着早々に吸血鬼に襲われる?霧のロンドン。相変わらず貧乏暮らしをつづけるジョージーのもとに苦手な義姉が現れ、第2子を妊娠したのでしばらく滞在するという。行き場のなくな...

  • なるほど、そんな感じなんですね「こんな感じで書いてます」

    これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。著作数140作以上、40年間「書く暮らし」を続けてきた群ようこさん。その日々を「書くこと」を軸につづったエッセイがこちら。デヴュー作からほとんどの著作を読んできたものの、その総括が知りたくてさっそく読んでみた。幼少期に初めて書いた「びじょの血しぼり」から、音楽好きだった高校時代、さらに日大芸術学部での日々。卒業後、広告会社などを経て本の雑誌社に経理・総務担当...

  • お嬢さま、007並みに活躍?「英国王妃の事件ファイル3 貧乏お嬢さま、空を舞う」

    これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。毎回奇抜な趣向で愉しませてくれるリース・ボウエンの「英国王妃の事件ファイル」シリーズ。今回の貧乏お嬢さまことジョージーの活躍は「空を舞う」? 猛暑のロンドン。訪れる貴族の減少でメイドの仕事が激減し、いきづまるジョージー。ロンドンを訪れる外国人と食事を共にする新サービスを考えたものの、誤解を受けてロンドン警視庁に呼び出される始末。そこで与えられた任務が、最...

  • これは間違いないでしょう!「グレイラッドの殺人」

    これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。シリーズ第1作が英国推理作家協会賞を受賞したM・W・クレイヴンの<刑事ワシントン・ポー>シリーズ。このほど刊行された第4作は英国推理作家協会賞 スティール・ダガー(最優秀スリラー小説賞)受賞作品。スリラーってどういうこと? さっそく読んでみた。冒頭、なぜか007の被り物をした強盗団が貸金庫を襲う場面から物語は始まる。そこで起きる殺人と現場に残された謎のラットの...

  • 今回もビシッと事件解決!「英国ひつじの村4 巡査さん、フランスへ行く?」

    これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。リース・ボウエンの「英国王妃の事件ファイル」とは別のもうひとつのシリーズが、この「英国ひつじの村」。田舎に起こる事件を巡査のエヴァン・エヴァンズが解決するこのシリーズ、毎回女難にあうのがお約束。第4作となる今作の展開やいかに?村の牧師には嘆かわしくも、使われなくなった教会にフランス料理店が。大きな町まで行かなくともおしゃれな料理が楽しめるとあって、村の女...

  • 今作も読んで損なし!「ナイフをひねれば」

    これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。『カササギ殺人事件』で賞を総ざらいし、4年連続ミステリ・ランキング1位を獲得しているアンソニー・ホロヴィッツ。元刑事ホーソーンを探偵役とするシリーズの最新刊がついに刊行! 今回はなんと語り手ホロヴィッツが容疑者? さっそく読んでみた。ホーソーンを主人公とするミステリの執筆を断った「わたし」こと作家のホロヴィッツ。その脚本による『マインドゲーム』がロンドンの劇...

  • 宝物は人それぞれ「アンティーク雑貨探偵④ 月夜のかかしと宝探し」

    これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。ミステリの仕掛けよりも、キャラクターを通して人生を考えさせるところが魅力の「アンティーク雑貨探偵」シリーズ。本国では8作出版されているが、邦訳は第4作まで。その4作目を読んでみた。骨董品の拾い屋(ピッカー)兼 探偵の活動も軌道に乗りつつある(?)ジェーン。今回は自宅でのガレージセール中に、母ネリーからいつも通り聞く相手のことを考えない電話が。店の常連、ファジ...

  • スワンプ・チーム・スリー出動!「幸運には逆らうな」

    これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。図書館員とは仮の姿、敵に追われるCIA秘密工作員フォーチュンと、ぶっとんだ2人の”おばあちゃん”の活躍を描く「ワニ町」シリーズから待望の新刊が。シリーズ第6弾となるこの本作、さっそく読んでみた。敵から身を隠すフォーチュンがシンフルに来てひと月あまり、町は独立記念日を迎えた。そんな中、湿地で爆発が起き、その原因が覚せい剤の密造? 新町長、宿敵シーリアが保安官を自...

  • 今回もお嬢さまらしからぬ冒険が「英国王妃の事件ファイル2 貧乏お嬢さま、古書店へ行く」

    これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。先日読んで「もっと早く読めばよかった!」と後悔した「英国王妃の事件ファイル」シリーズ。貧乏お嬢さまのサバイバル(?)が楽しいこのシリーズ、すでに10冊が邦訳刊行されていた。追いつかねばと、2作目を読んでみた。王族の末端に位置しながら、密かにメイドで生計を立てているジョージー。一方、英国王妃は皇太子デイヴィッドが既婚のアメリカ女性に夢中なのが気に入らない。な...

  • のちの国民的作家を形作った日々「田辺聖子 十八歳の日の記録」

    これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。洒脱な大人の恋愛を描いた小説や、ユーモアあるエッセイなどを数多く発表し、令和元年に91歳で世を去った田辺聖子。没後2年たって1945年から47年までをつづった日記が発見されて話題に。著者の作品には長く親しんできたので、いつか読みたいと思っていた。戦時下の大阪。樟蔭女子専門学校(現・樟蔭女子大学)国文科2年の田辺聖子は、郡是塚口工場に学徒動員されていた。寮に住み、女...

  • もっと早く読めばよかった!「英国王妃の事件ファイル1 貧乏お嬢さま、メイドになる」

    これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。ウェールズの巡査を主人公とする「英国ひつじの村」シリーズのリース・ボウエン。そのアガサ賞受賞ミステリシリーズがこの「英国王妃の事件ファイル」。受賞作は第5作だそうだが、遅ればせながらその第1作を読んでみた。舞台は1930年代のスコットランド。王位継承順位30番代の公爵令嬢ジョージーは、父親が放蕩で財産を使い果たしたため貧乏生活。意にそわない結婚をするよりはと、...

  • 中身充実!「ロバート・アーサー自選傑作集 ガラスの橋」

    これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。「51番目の密室」をはじめ数々の短編を執筆し、エドガー賞を2度受賞したロバート・アーサー。ラジオドラマの脚本やヒッチコック名義のアンソロジーの編集も行ったという。その自選傑作集が刊行されたので、さっそく読んでみた。1966年に書かれた序文に続き、10編の短編ミステリを収録。表題作の「ガラスの橋」は、雪に閉ざされた山荘を訪ねた女性の消失事件。残されたのは屋敷に入る...

  • 読んでまちがいなし!「英国ひつじの村3 巡査さん、合唱コンテストに出る」

    これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。何もする気が起こらない暑い夏。難しい本だと内容が頭に入らない。そんなときは、やっぱりコージーミステリ。まちがいない「英国ひつじの村」シリーズの第3弾を読んでみた。ウェールズ伝統の芸術祭「アイステズヴォッド」。エヴァン・エヴァンズ巡査は、年々参加者が減る聖歌隊に入り、合唱コンテストに参加することになった。入賞を狙って練習が続くなか、高名なオペラ歌手アイヴァ―...

  • 読むうちに加速する面白さ「すり替えられた誘拐」

    これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。数々の名作ミステリを新訳してきた創元推理文庫《名作ミステリ新訳プロジェクト》、D・M・ディヴァインの最後の未訳長編が刊行。兼業作家で13作を出版している作家だが、実はノーマーク。興味津々で読んでみた。入学者が激減し問題を抱えるブランチフィールド大学では、窃盗容疑者の除籍処分を巡って学生と学校側が対立中。そこに流れる素行不良の女子学生バーバラの偽造誘拐計画の...

  • ピッチにはいろいろある「女の答えはピッチにある 女子サッカーが私に教えてくれたこと」

    これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。つい先日行われた女子サッカーのワールドカップ。日本は予選リーグを無敗で通過したが、ベスト8はならず。そんな時に見つけた本がこちら。サッカーにはまったく詳しくないのだが、ちょっと面白そうだったので読んでみた。著者は三十代既婚の会社員。それ以外の情報は非公開。子供のころから運動が得意でサッカー観戦好き。ある日、どうしてもサッカーがしたくなり、アマチュアチーム...

  • こんなミステリがあってもいい「崖っぷちエマの事件簿② レンタル友人は裏切らない」

    これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。探偵役の長所が「いい人」という珍しいミステリ・シリーズ「崖っぷちエマの事件簿」第2弾が刊行。それほど崖っぷちには見えないのがいいところでもあるが、さて、今回「レンタル友人」エマが遭遇する事件とは?少しずつ顧客を増やしつつあるエマのもとに新たに現われた顧客、キム。大学卒業後、30年あまり家族のために生きてきたのに、子供たちは巣立ち、愛する夫を秘書に奪われてど...

  • こうなるとは予想しなかった「賞金稼ぎスリーサム!」

    これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。ウチの本棚にもあった、第57回江戸川乱歩賞受賞作品『よろずのことに気をつけよ』。その著者川瀬七緒の、横溝正史作品を思わせるデビュー作とは裏腹なシリーズがこちら。アルフィーの高見沢さんによるオビの推薦文も気になって読んでみた。警察を退職し、母親の介護に専念する薮下浩平のもとに舞いこんだ放火事件の調査依頼。高額な報酬と事件にかけられた報奨金につられて引きうけた...

  • アメリカのミステリもここまで来たか!「郊外の探偵たち」

    これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。オレンジの地に骸骨が印象的な表紙。「かつて優秀だった元FBIと落ち目のジャーナリスト。『いまはイケてない』探偵コンビ登場!」というオビの言葉。期待大のポケミス新刊をさっそく読んでみた。元FBIプロファイラーで連続殺人犯を逮捕に導いた経歴を持つアンドレアは、妊娠を期に引退、いまは郊外で第5子の誕生を待つ身。仕事でしくじった夫とはイマイチうまくいっていない。いっぽ...

  • 絶賛とともに続編希望!「三人書房」

    これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。毎回期待の新人が発掘される創元社の「ミステリーズ!新人賞」。その第18回受賞作を含む連作集がこちら。かの江戸川乱歩が営む古書店に持ち込まれる謎、そこには宮沢賢治も登場すると知ってさっそく読んでみた。時は大正八年、ところは東京・本郷区駒込団子坂。のちに江戸川乱歩となる平井太郎は、2人の弟ともに古書店《三人書房》を営んでいた。そこには不思議と事件が起きる。島村...

  • あっぱれ!「世界でいちばん透きとおった物語」

    これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。「絶対に予測不能な衝撃のラスト―—ネタバレ厳禁!」というオビの言葉が気になっていた本作。ミステリ好きをそそるこの惹句に、いまさらだが読んでみた。母とふたり暮らしの藤阪燈真は、じつはミステリ作家宮内彰吾の息子。しかし、不倫の末に生まれたため、父親とは一度も会ったことがない。事故で母を失った燈真は、宮内彰吾が闘病の末に死に、その最後の作品が行方不明になっている...

  • ああ、そういうことね!「ノウイットオール あなただけが知っている」

    これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。第30回松本清張賞受賞作がこちら。オビには「この小説は、選考委員への『挑戦状』だ」という言葉とともに、プロの作家の賞賛コメントが並ぶ。予想外の驚きが得られるということで、期待して読んでみた。1冊の中に収録された5つの物語。推理小説で始まり、青春小説、科学小説、幻想小説、恋愛小説とつづき、エピローグで締めくくられる。それぞれが完結した短編でありながら、そこに登...

  • 真実はひとつなのか?「卒業生には向かない真実」

    これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。初めて読んだとき、ついにミステリもこんな形になったかと衝撃を受けた第1作「自由研究には向かない殺人」。第2作「優等生は探偵に向かない」で新たな展開を見せ、ついに三部作の完結となる第3作が刊行された。700ページ近い大作、さっそく読んでみた。大学進学を目前にし、第2作で受けたショックが抜けきらないピップはSNSに届いた不気味なメッセージに気づく。だいぶ前からDMで送ら...

  • ゴクゴクいけます!「ウェッジフィールド館の殺人」

    これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。アガサ賞受賞となった第1作「メナハウス・ホテルの殺人」で、エジプトでの事件を解決したジェーン。7月刊行の第2作の舞台はイギリスの領主屋敷。ガラリと変わった舞台でどんな事件が起きるのか、さっそく読んでみた。第1作で判明したジェーンの叔母の秘密。叔母のわけありの相手であった男爵が暮らすウェッジフィールド館に滞在するジェーンは、複葉機の飛行訓練を楽しんでいた。そん...

  • 今後の展開に期待!「行き遅れ令嬢の事件簿2 公爵さま、いい質問です」

    これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。累計30万部突破の人気シリーズ、「行き遅れ令嬢の事件簿」シリーズから待望の第2作が刊行された。19世紀初頭、階級社会イギリスで向かうところ敵なしの公爵と、社交界デビュー6年にして独身の令嬢がどんな事件に挑んだのか、興味津々で読んでみた。前作で侯爵家の事件を解決したベアトリスだが、身分違いの大恋愛をしたというウソがもとで窮地に。しかたなく、その相手の死亡記事を掲...

  • 人生にはムダも必要「アンティーク雑貨探偵➂ まったなしの偽物鑑定」

    これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。謎解きというよりも、ミドルエイジの主人公ジェーンの日常と心模様が気になる「アンティーク雑貨探偵」シリーズ。今のところ4作邦訳されているうちの第3作を読んでみた。フリーランスの拾い屋(ピッカー)として生計を立てるジェーン。前作から1年たち、夫との仲も修復され、探偵としての資質を評価されたり、もっと高級な骨董を扱うことを提案されたりと人生が前向きに。そんなと...

  • 人生でだいじなものは?「木曜殺人クラブ 逸れた銃弾」

    これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。リタイヤメント・ホームに入居する登場人物が未解決事件を検討する「木曜殺人クラブ」シリーズ。ホーム内の事件を扱った第1作につづき、第2作では活動範囲を大きく広げてダイヤモンドとコカインが絡んだ国際的な事件を解決した。7月に刊行された第3弾、どんな事件なのか、さっそく読んでみた。約10年前、大がかりなVAT(付加価値税)詐欺事件を追っていた地元ニュースの女性キャスタ...

  • 何も考えずに一気読みすべし!「暗殺者たちに口紅を」

    これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。最近はシニアを主人公とする作品も多くなってきたが、高齢になった探偵や認知症になったスパイなど主人公は男性がほとんど。しかし、この作品の主役は女性で、しかも暗殺者! 引退する暗殺者たちを描いたエンターテイメント、著者がどう料理するか読んでみた。暗殺組織<美術館>で、40年にわたりナチの残党や犯罪者の暗殺をてがけてきたビリーたち4人。60歳を迎え退職記念クルーズ...

  • やっぱり田舎だっていろいろある「英国ひつじの村② 巡査さんと村おこしの行方」

    これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。先日読んで意外に面白かった「英国ひつじの村」シリーズ。コージーミステリの主人公はだいたい女性が多い気がするが、こちらは村の駐在さん、エヴァンズ巡査が主人公。推理力抜群なのに、どこかヌケていて憎めないエヴァンズとそれを取り巻く女性たちがどうなったか知りたくて2作目も読んでみた。エヴァンズ巡査が働く村の近くで遺跡発見? スレート鉱山が閉山してから産業のないこ...

  • 田舎町だっていろいろある「アンティーク雑貨探偵2 ガラス瓶のなかの依頼人」

    これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。先日読んで、ミステリだけにとどまらないその味にハマった「アンティーク雑貨探偵シリーズ」。アンティーク雑貨のピッカー(拾い屋)としての主人公ジェーンの仕事は軌道に乗ったのか、別居中の夫との関係は? その先が気になり、シリーズ第2作を読んでみた。広告代理店をリストラになり、夫とも半別居中のジェーンは、ハウス・セールで年代物の酒場グッズを見つけ、ひと部屋ぶんを...

  • ホントに不思議よね「女ことばってなんなのかしら? 「性別の美学」の日本語」

    これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。ふと目についたタイトルに惹かれて手に取る本がある。これもその一冊。ドイツ文学の名翻訳者が実例をもとに解き明かす「女ことば」の実相に目から鱗がポロポロ。ドイツ文学翻訳者である著者が、「女ことば」を手がかりに、日ごろ何気なく使っていることばをジェンダー格差の視点から見つめなおした一冊。『第一章 女ことばは「性別の美学」の申し子』から、『第七章 女ことばは生き...

  • じゃあ、どんな感じ?「きょうはそういう感じじゃない」

    これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。劇作家・演出家・小説家としてマルチに活躍し、2022年に亡くなった宮沢章夫さんが残したエッセイをまとめたのがこの本。巻末にはロングインタビューも併録。腹の底を絶妙なタッチでくすぐられるような面白さがいかんなく発揮されたその一遍一遍を惜しみつつ読んでみた。内容は3部構成。第1部は2014年から『読楽』に連載されたエッセイ「オール・アバウト・ネクストマンス」。第2部は2...

  • 不思議な”縁”の物語「ピエタ」

    これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。ヴェネツィアと聞くと、「水の都」、「カーニバル」、「ゴンドラ」など、ムード漂うワードがたくさん浮かぶ。行ったことはないが、なんとなく憧れの街。小泉今日子プロデュースで劇場公演が始まるこの作品、18世紀のヴェネツィアが舞台となっている。孤児を養育するピエタ慈善院。語り手のエミーリアも、その「スカフェータ」に捨てられた一人。ピエタでは〈合奏・合唱の娘たち〉が演...

  • 人のいるところに事件あり「英国ひつじの村① 巡査さん、事件ですよ」

    これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。アガサ賞を受賞した《英国王妃の事件ファイル》シリーズ。その著者、リース・ボウエンが《英国王妃の事件ファイル》シリーズより先に発表したシリーズがこちらの《英国ひつじの村》シリーズ。英国とはいってもイギリス本国とは違う、ウェールズの村の巡査の事件簿、遅ればせながら読んでみた。スランフェア村の巡査、エヴァン・エヴァンズはかつて刑事の訓練も受けていたが、あること...

  • サスペンス? というより、家族の物語「アオサギの娘」

    これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。ミステリやサスペンス小説の主人公はさまざまだが、本作の主人公はスミソニアン博物館の鳥類画家。25年前に沼地で起きた父の死をめぐる物語を興味津々で読んでみた。経費削減のための改革が行われつつあるスミソニアン博物館。鳥類画家のロニのもとに、弟のフィルから帰郷を願う知らせが。まだ60代初めの母が骨折した上に、認知症を患っているというのだ。故郷フロリダに戻ったロニは...

  • 予期せぬ毎日をできるだけ楽しみましょう「主婦悦子さんの予期せぬ日々」

    これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。「ここが終の住処かもね」で、71歳のカヤノのシニアライフを活写した著者。その2017年刊行の単行本を文庫化したのがこちら。最近、息子の稲泉連の「サーカスの子」もメディアで注目される著者が、60代目前の主人公をどう描いたか興味津々で読んでみた。59歳の主婦・悦子。夫は定年間近で息子はいわゆるフリーター。反対を押し切って結婚した娘は、どうやらシングルマザーになりそう。...

  • 今の日本にはあるか?「ユダの窓」

    これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。ジョン・ディクスン・カー、あるいは、カーター・ディクスンのミステリに登場する有名な探偵といえば、フェル博士とヘンリ・メリヴェール卿。この作品は、ヘンリ・メリヴェール卿が法廷で弁護士を務めるところがお気に入り。カーのけれん味が楽しめることうけあいの1冊。婚約者の父親に結婚の許しを得るために家を訪れたジェームズ・アンズウェル。邸内の異様な雰囲気にのまれたまま...

  • え、象!?「チョプラ警部の思いがけない相続」

    これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。最近出版が相次ぐインドを舞台にしたミステリ。「帝国の亡霊、そして殺人」の作者が贈る現代インドのミステリがこちら。チョプラ(元)警部とガネーシャ(小象)はいかにして事件を解決するのか?チョプラ警部は51歳。心臓発作を起こしたことがきっかけで、長年勤めた警察を退職することに。まさに、その最後の日、チョプラ警部の身に2つのことが起きる。1つは身寄りをなくした小象...

  • リゾート地の光と影「シェフ探偵パールの事件簿」

    これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。シェフが主役のコージーミステリはよくある気がするが、探偵も開業していることは珍しい。この本は英国のリゾート地ウィスタブルを舞台にした、海外ドラマ<港町のシェフ探偵パール>シリーズの原作。牡蠣が名物の海辺のリゾート地、ウィスタブルでレストランを経営するシングル・マザーのパール。息子が大学生になり手が離れたことで、わけあって断念した警官になる夢をかなえるべく...

  • 日々の暮らしをともに過ごす幸せ「間宮兄弟」

    これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。独特の感性で心に響く物語を紡ぐ江國香織。今は亡き森田芳光監督で映画化もされた本作。長男・明信に佐々木蔵之介、次男・徹信にドランクドラゴンの塚地武雅、母親・順子に中島みゆきというキャストも忘れがたい。酒造メーカー勤務の兄・間宮明信は、小学校の校務員をしている弟の徹信とふたり暮らし。趣味はあるがお互いインドア派で、静かな暮らしをしている。母・順子にとって自慢...

  • 女性警部の今後の活躍に期待「帝国の亡霊、そして殺人」

    これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。最近、インドを題材にしたミステリが目につく。こちらもその1つ。共和国化目前のインドで起きた殺人事件にインド初の女性警部が挑む歴史ミステリ。英国推理作家協会賞ヒストリカル・ダガー賞(最優秀歴史ミステリ賞)受賞作。1949年大みそかのボンベイ。勤務についていたペルシスのもとに、英国外交官ジェームズ・ヘリオット殺害の一報が届く。現場に着くと、凶器と被害者のズボンが...

  • さがしものは人生?「アンティーク雑貨探偵1 掘り出し物には理由がある」

    これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。食べ物を扱ったものが多いコージー・ミステリだが、こちらのシリーズはアンティーク。日本でもお宝鑑定の番組は人気だが、イギリスやアメリカは本家本元。アメリカのお宝さがしの一端が味わえるということでさっそく読んでみた。人員整理で広告代理店を退職したジェーンは、趣味のアンティーク蒐集の腕を生かし、フリーランスの「拾い屋(ピッカー)」に。私生活では中年の危機なのか...

  • 爽快!女剣士「蛍草」

    これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。一定の人気がある時代小説。その名手は数々だが、2017年に惜しまれつつ亡くなった著者もそのひとり。役所広司主演で映画化された「蜩ノ記」などが知られているが、この作品は、オビにあるように「爽快&軽快」なエンターテインメント作品。読まず嫌いはもったいない。武家の娘、菜々は、父が無念の死を遂げ、母も亡くしたことから身分を隠して16歳で風早家の女中となった。俊才で人望...

  • 読むべし!パワーアップの第2弾「蟬かえる」

    これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。先日初めて読んで面白かった、昆虫好きの青年・魞沢泉(えりさわせん)を主人公とする連作ミステリ。その第2弾がこちら。第74回日本推理作家協会賞、第21回本格ミステリ大賞の受賞作を皮切りに、知られざる魞沢泉のルーツが明らかに?山形県のある村で出会う3人の人物。そのうちの1人、16年前に災害ボランティアで村を訪れた男性が当時目撃した少女は災害で亡くなった少女の幽霊だっ...

  • コージー好きはぜひ読んで「金庫破りときどきスパイ」

    これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。久しぶりに人出の多かったゴールデンウィーク。ちょっと出かけたら、あまりの人の多さにびっくりしてめまいが。そんな時は読書に限ります。ちょうど創元推理文庫から面白そうな新刊が出ていたので、さっそく読んでみた。舞台は第二次世界大戦下のロンドン。わけあっておじとともに金庫破りをなりわいにするエリーは、忍びこんだ屋敷で捕まってしまう。相手は陸軍のラムゼイ少佐。おじ...

  • カーの「心意気」を味わう一冊「幽霊屋敷」

    これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。東京創元社の「名作ミステリ新訳プロジェクト」。これまでに、さまざまな名作の新訳が行われてきた。4月の刊行は、ジョン・ディクスン・カーの「幽霊屋敷」。フェル博士を探偵とするこの怪事件、さっそく読んでみた。かつて落下したシャンデリアの下で老執事の遺体が発見されたロングウッド・ハウス。奇怪にも、背が届く高さにはないそのシャンデリアには老執事の指紋が残されていた...

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