これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。実はあまり読んでいないSF。そんな中、面白そうだったので手に取ってみたこの本。カーカスレビューのNPRベストブック2022選出ということだけど、どんな内容なのか?時間犯罪取締局(TEA)を時間離脱症(アンスタック)のため退職し、時空港(タイムポート)併設ホテルで警備主任をしているジャニュアリー。ある日、アンスタックの症状のひとつである幻視で、ひとりの男の死体を見たと...
これまで読んで記録してきた6000冊(もうすぐ7000冊)の本から、面白かった本を紹介。興味を持ったらぜひ読んでみてほしいです!
これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。実はあまり読んでいないSF。そんな中、面白そうだったので手に取ってみたこの本。カーカスレビューのNPRベストブック2022選出ということだけど、どんな内容なのか?時間犯罪取締局(TEA)を時間離脱症(アンスタック)のため退職し、時空港(タイムポート)併設ホテルで警備主任をしているジャニュアリー。ある日、アンスタックの症状のひとつである幻視で、ひとりの男の死体を見たと...
やはり、読んでまちがいなし!「お茶と探偵⑯ アジアン・ティーは上海の館で」
これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。なんとなく読むものに困ったとき、ふと手に取りたくなるこのシリーズ。今度はどんなお茶とお菓子の組み合わせ? そして、ティー・ショップのオーナー、セオドシアの今回の活躍は?チャールストンのギブス美術館では、上海からそっくり移築した200年前の貴重な茶館のお披露目の真っ最中。ところが、恋人マックスの招きでセレモニーに出席していたセオドシアは、催事に設けられた写真ブ...
これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。本屋で見つけた新刊。「殺し屋」の文字が物騒だけど、マカロンと紅茶の缶をあしらった表紙は意外とポップ。「人気シリーズ最新刊」ということで読んでみた。「殺し屋探偵」シリーズの4作目。人知れず副業で殺し屋を営むコンサルタントの富澤とシングルマザーの鴻池。2人のもとに届く殺害依頼は謎めいている。発見者を指定してきたり、花を置いたり、時期を夏休み中に限定したり……。か...
チャーハンで狙撃するわけではありません「炒飯狙撃手 弐 第3の銃弾」
これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。本屋で見つけたこの本。 タイトルが気になって思わず手に取ってみた。「台湾発 本格謀略小説」ということだが、いったいどんな話?総統選挙まであと7日となったある日、狙撃手・小艾は、元刑事の老伍に呼びだされて向かった先で選挙活動中だった総統の銃撃事件に遭遇。メールは偽のもので、小艾を陥れるための罠だったのだ。狙撃手が潜んでいたと思われる建物から発見された薬莢は、...
これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。このあいだから古書でコツコツと読んできたルイーズ・ペニーのガマシュ警部シリーズ。ついに邦訳最後の4作目に。本作の舞台はスリー・パインズ村ではなく湖畔のロッジ。いわば番外編?年に1度の休暇を楽しむために湖畔のロッジ、マノワール・ベルシャスを訪れたガマシュ警部と妻のレーヌ・マリー。そこには、同様に休暇を楽しんでいるらしい家族の姿が。だが、女主人とその夫、女主人...
紹介されなかったらきっと読んでなかった作品ばかり!「選んで、語って、読書会 ①」
これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。ミステリ作家の方々はどんな作品を面白いと思うのか? それを知りたくて手に取ったのがこちら。有栖川有栖・北村薫・宮部みゆき先生の選んだアンソロジー「選んで、語って、読書会」。さて、どんな作品が?東京創元社の隔月刊誌<紙魚の手帖>掲載コラムをもとに編集されたアンソロジー。各編にかつて創元推理文庫で使われていた分類マークつき。井上ひさし「括弧の恋」から三崎亜記...
アガサ賞受賞作だけのことはある読み応え!「スリー・パインズ村の無慈悲な春」
これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。アガサ・クリスティに敬意を表したミステリの文学賞であるアガサ賞。その最優秀長編賞に3年連続で輝き、さらに受賞を重ねているのがルイーズ・ペニー。2度目の最優秀長編賞受賞作がこちら。地図に載らない村、スリー・パインズ。そのビストロで始まった降霊会。丘の上の旧ハドリー邸で行われた第2回の降霊会で皆の人気者だったマドレーヌが急死した。一見心臓発作と見えるこの事件を...
これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。いわゆる「本格」ミステリが少なくなった昨今、明らかに「本格」好きな作家の作品はうれしい。<秘密の階段建築社>シリーズの最新刊では、横溝先生など日本の作家の名前が挙がっていて楽しい。主人公テンペストの家業は、秘密の小部屋などの仕掛けを得意とする<秘密の階段建築社>。会社が手がけた地下のスペースで読書会メンバーによって開催された降霊会。別れた夫の思い出を葬る...
このスポーツが出てくるミステリ、初めて読んだ!「スリー・パインズ村と運命の女神」
これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。先日読んだカナダのミステリ「ガマシュ警部シリーズ」。続きが知りたくて古書を購入。その2作目は実はクリスマスストーリー? 時期はずれではあるが読んでみた。地図に載らない小村、スリー・パインズ。クリスマスのあと、恒例のカーリングの試合で移住者の女性が死んだ。捜査を任されたガマシュ警部は、それが巧妙な殺人だと気づく。さらに、その死がクリスマス時期に殺害されたホー...
ハラハラしたけど、こうなってよかった!「英国貴族の本棚② 公爵家の図書係は恋をする」
これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。第1作で兄になりすまして公爵家の図書係を務めたティファニー。その後が気になっていたところ、待望の2作目が刊行された。さて、その内容は?仕事と家を手に入れたティファニー。ある朝、体調が悪いなか仕事に出かけようとしたところ、死体を発見。それは、少し前まで公爵家に仕えていたフットマンのバーナード。札付きの女たらしだった彼を殺害する動機を持つものはたくさんいそうだ...
これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。最近アジア系の翻訳出版も増えてきた海外ミステリ。意外に聞かないのが欧米圏であるカナダ。少し前の作品だけど、カナダのガマシュ警部が探偵役のこのシリーズを読んでみた。ケベック州の平和な村、スリー・パインズ。感謝祭の週末の朝、森の中で発見された元教師ジェーンの遺体の胸には矢の傷が。しかし、周囲に矢は見当たらない。ハンターの誤射なのか? 事件を捜査すべく現場に派...
これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。海外ミステリを読んでいると、たまに日本のミステリが読みたくなる。それも、最近めっきり少なくなった気がする「本格」もの。少し前の作品だが、懐かしい匂いがしているこの本を読んでみた。私立探偵の石動戯作は、14年前に鎌倉の梵貝荘という私邸で起きたある殺人事件の再調査を依頼される。「名探偵」水城優臣により解決済のその事件の顛末は、「名探偵」の記録者・鮎井郁介により...
これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。日本のコージーものが読みたくなり、ふと手に取ったのがこの本。第23回『このミステリーがすごい』大賞受賞作。”焼きたてのパンの香りが広がる<日常の謎>ミステリー!”とくれば、読んでみたくなるでしょう。大学1年生の市原小春は、大阪府豊中市にあるパン屋<ノスティモ>でアルバイト中。自分をバイトに誘ってくれた親友の由貴子に押しのライブビューイングをドタキャンされたが...
これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。日本ミステリの数少ない女性探偵、それが若竹七海の描く「タフで不運な」葉村晶。その5年ぶりの文庫書き下ろし長編が刊行されたのでさっそく飛びついた。しょっぱなからなにやら不穏な展開?コロナ禍の引きこもり生活で探偵の仕事はまるでお留守だった葉村。近所の老婦人の法事につきそうことになり、そこで紹介されたひさびさの仕事は秘密厳守の人探し。さっそく尋ね人・稲本和子が...
これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。今年は寒いけど、暦の上では冬ごもりの虫が動きだすという「啓ちつ」を過ぎた。「虫」といえば、探偵役が虫好きの連作ミステリがこちら。待望のシリーズ第3弾はどんな内容?あちらこちらにひょっこりあらわれては謎を解く魞沢泉(えりさわせん)。巻頭の「白が揺れた」では、北海道の山中で蜂さがしをしていたところ、地元猟友会会員の射殺体を発見。これは誤射なのか? 25年前にも同...
また書いてくれないかな?「あきらめのよい相談者ーー剣持弁護士の多忙な日常」
これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。ミステリ作家には別に職業を持っている人がいる。日本で比較的多い気がするのは弁護士。この本もそのひとつ。主人公も弁護士という設定なので作品の端々にリアリティが。福岡在住の主人公・剣持鷹士はいわゆる「イソ弁」。弁護士事務所に雇われて経験を積んでいる。この日訪れた相談者は、知人がホテルの照明が暗くて怪我をしたので損害賠償を請求できないかという。揉めることを想定...
これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。喫茶店のメニューといえば、やはり「クリームソーダ」や「プリン・ア・ラ・モード」が思い浮かぶ年代。やっと入れる時間も余裕もできたのに、気づくとめっきり少なくなってしまったレトロ喫茶。こんな店があったらいいなあ、と思うのがこの作品。東中野の商店街の路地奥にある<喫茶おおどけい>。店主は御年88歳のハツコさん。そして、懐かしい料理や飲み物を作るのは孫のハヤテ。店...
これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。冬本番という感じだけれど、3月に入れば春休みまでもうすぐ。春休みに縁がなくなって長いけれど、なにかが始まりそうなこの時期のワクワク感を今も思いだす。そんなわけで、中学2年生が主人公のこのミステリを読んでみた。父親の海外赴任が決まり、春休みから曾祖母・五月さんが経営するアパート「さつき荘」に住むことになった花南子。五月さんがぎっくり腰で入院してしまい心細く思...
これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。家政婦が探偵役といえば、ついふすまの陰から立ち聞きする姿が目に浮かんでしまうが、こちらは家事を一任されて使用人を束ねる存在。人はいいがカンがイマイチの主人を助けて事件を解決。さて、そのやり方とは?あまり評判のよくない医者が毒キノコで殺された? ウェザースプーン警部補が担当することになったこの事件、主人にお手柄を立てさせるべく”名探偵”家政婦のジェフリーズ夫...
こんな料理、食べてみたい!「ミセス・ワンのティーハウスと謎の死体」
これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。コージーミステリに食べ物はつきもの。ケーキやクッキーだけでなく、卵料理やインド料理までさまざまな料理が登場。サンフランシスコが舞台でアメリカ探偵作家クラブ賞受賞のこの本には、おいしそうな中華料理がいっぱいだった!夫婦で中国茶専門店を営みながら息子を育てたミセス・ワンは、夫を亡くし息子も独立したいまも朝4時に起きてウォーキングをする強烈なキャラクター。今日...
田舎町もいいもんだ?「スープ専門店① 謎解きはスープが冷めるまえに」
これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。1月はあったかかったのに最近は急激に寒い。こんな時、日本人は「鍋」だが、欧米ではやはりスープ? そんなわけで雪深い村が舞台となるこの本を読んでみた。冬にはスキー客が押しよせる雪深いスノーフレーク村。両親を不慮の事故で亡くし、故郷に戻ったラッキーだが、稼業のスープ屋を継ぐかどうか決心がつかない。そんななか、なにかと話題になる観光客の女性の死体が店の裏で発見さ...
これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。アマゾンのおススメでずいぶん前からあがっていたこの本。「オックスフォードティールーム・ミステリー」? 見慣れない装丁と、かわいいネコの絵に惹かれて読んでみた。オーストラリアでのキャリアを捨て、故郷オックスフォードで英国式ティールームを開いたジェマ。少しずつ店が軌道に乗りはじめたある日、アメリカ人の観光客が中庭で死んでいるのを発見。死因は店のスコーンを喉に...
クッキー型がお見通し?「クッキーと名推理① フラワークッキーと春の秘密」
これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。コージーミステリにお菓子はつきもの。カフェのオーナーやシェフなどが主人公の作品は多いが、こちらのシリーズはクッキー用品店。クッキーの抜型を手がかりに事件の真相を暴く? どんな内容なのか?1年前に離婚し、故郷の町で親友マディーとクッキー用品店を経営するオリヴィア。 春のイベントの準備中、開業を支援してくれた実業家のクラリスが急死したという知らせが。少し気にな...
シリーズのはじまりはこうだった!「卵料理のカフェ① あつあつ卵の不吉な火曜日」
これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。シリーズ本は通しで読みたいが、すでに絶版になっているものも多い。図書館という手もあるが、今はネットで探せば見つかるのはありがたい。シリーズの始まりである第1作は、続巻が多いほど趣があるなあ。夫を亡くしたスザンヌは、友人2人とともにアンティーク調のカフェ<カックルベリー・クラブ>を開業。店の自慢は卵料理だが、午後にはアフタヌーンティーのサービスも行い町の人々...
これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。毎年1月に刊行される「れんげ荘物語」。働かずに月10万円で暮らすキョウコのライフスタイルが以前よりも現実味を帯びて感じられる。おなじみのキャラクターがどう過ごしているのか知りたくてさっそく読んでみた。息子のケイと娘のレイナが帰ってこないため、兄夫婦と3人で正月を過ごしたキョウコ。癒しの存在・ぶっちゃんたちには会えないけれど、れんげ荘の隣人・チユキさんに恋愛...
これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。先日読んで気になったスウェーデンのミステリ。謎解きというよりは、登場人物たちの生き方に興味を惹かれた作品だった。彼らのその後が気になり、第2弾も読んでみた。1作目から1年たった夏のサンドハムン島。恒例の外洋ヨットレースのスタート時、その号砲に合わせて発射された銃弾で高名な弁護士・オスカルが殺された。レースを見物していたナッカ署の警部トーマスは、チーム員たち...
シリーズ続編の刊行を希望!「ボンベイ、マラバー・ヒルの未亡人たち」
これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。去年の「虎に翼」ではないが、「女性初」という言葉が出てくるうちはまだまだ? 2018年アガサ賞最優秀歴史小説賞受賞作のこちらは、1921年のインドを舞台にボンベイ唯一の女性弁護士が探偵役を務める歴史ミステリ。さて、その内容とは?父親の弁護士事務所で働く事務弁護士パーヴィーン。ある朝、見知らぬ男が事務所の様子を窺っていたことから、過去の記憶が呼びさまされていく。そ...
これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。日本でも最近出てきたが、自分以外の国を題材にしたミステリと言えば、ドイツのシャルロッテ・リンクによる<ケイト・リンヴィル>シリーズ。その第3弾がこちら。コミュ障ぎみの主人公ケイトの今回の事件は?ヨークシャーのスカボロー署への移籍を決めたケイトが旅行で乗った列車内で遭遇した銃撃事件。被害者は狙撃犯と面識がないという。そこに発生する第2の事件。現場で撃ちこまれ...
日本人はワイン好き?「お茶と探偵⑮ プラム・ティーは偽りの乾杯」
これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。海外ミステリにときどき登場する日本人。この人気シリーズにも登場。作品が書かれた当時の日本はこう見えていたのか? と興味深い。さて、その顛末とは?超高級ワイナリーの試飲イベントに招かれたティーショップのオーナー、セオドシアとクレイトン。ところが、新作ワインの樽の中から転がりでたのはワイナリーのオーナーであるジョーダンの息子・ドル―の射殺体だった! ジョーダン...
こんなシリーズを待っていた!「コージーボーイズ、あるいは消えた居酒屋の謎」
これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。コージーミステリに欠かせないもの、それはお茶とお菓子。そして、探偵。いわゆる<安楽椅子探偵>もののこちらの連作ミステリ、名探偵の今宵の推理は?カフェ<アンブル>で月に1度行われる《コージーボーイズ》の集い。メンバーは作家・編集者・古本屋・同人誌の主幹とさまざま。ルールはふたつ、作品の悪くちは大いにやるべし、ただし人の悪くちはいってはならない。誰も死んでい...
寒い冬はほっこりと「卵料理とカフェ④ あったかスープと雪の森の罠」
これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。「お茶と探偵」シリーズが有名なローラ・チャイルズには、ほかにもコージーミステリのシリーズがある。それがこちら。主人公は夫を亡くした熟年女性。どんな内容なのか?スザンヌが友人2人と営むカフェ「カックルベリー・クラブ」。雪のある日、店の裏の森で地元の銀行の頭取が殺された? 頭取と対立していた住民たちが疑われ、冬のフェスティバルで忙しいというのにスザンヌに調査を...
これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。ワシントン州レブンワースを舞台にしたミステリの第3弾。村全体がドイツ・バイエルンをイメージして観光客を誘致しているというのに、禁酒政策? 当然起きる事件。ビール職人スローンの推理は?オクトーバーフェストも終わり、イルミネーションイベントの準備に入ったレブンワースだが、今年は市会議員選挙で揺れている。そんななか、禁酒政策を主張していたクリスがスローンの友人(...
これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。陽は少しずつ長くなってきたが、寒さはこれからが本番。北欧はすっかり白夜かもしれないが、こちらは夏の物語。少し前の作品だが、興味があって読んでみた。夏休みシーズンまっただなか、平和な島・サンドハムンに揚がった死体。娘を亡くし、それが原因で妻と別れたトーマス・アンドレアスン警部は事故か自殺か判断に迷う。ところがそこへ、死んだ男に関係する人物の死体が発見される...
結婚はいつ? そして、今後の展開は?「行き遅れ令嬢の事件簿➄ 公爵さま、これは罠です」
これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。すでに4巻が刊行された「行き遅れ令嬢の事件簿」。その第5弾がこちら。良縁に恵まれ、両親の死の真相を究明したベアトリス。いよいよ結婚か? と思いきや、先送りに? 気になって、前のめりで読んでみた。公衆の面前で両親の死の真相を暴いたベアトリスは、社交界に与えた衝撃の余波で結婚式を1週間延期するはめに。そこへ、6年前の社交界デビューを台無しにした張本人・ノートン夫人...
サバンナのミス・マープル?「ミス・ラモツエの事件簿 1 No.1レディース探偵社、本日開業」
これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。その国の風土も楽しめるのが、世界のあちこちを舞台にしたミステリ。そのなかでもあまりなじみがない国の探偵を描いたのがこちら。「女には向かない職業」を始めたマ・ラモツエの活躍とは?ボツワナ共和国でただひとりの女性探偵、プレシャス・ラモツエ。不幸な結婚を経て、父の死後に遺産の牛を売り、秘書を雇って始めた探偵社には、浮気調査や失踪人の捜索などのさまざまな依頼が。...
あいかわらずおいしそう「お茶と探偵⑭ スイート・ティーは花嫁の復讐」
これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。先日新刊が出たローラ・チャイルズの「お茶と探偵」シリーズ。このシリーズの楽しみといえば、テーマに沿って登場するお茶とそのお供の組み合わせ。その14弾がこちら。13弾の最後で婚約を発表したデレインの結婚式。その日はあいにくの悪天候で、会場は陰気な<レイヴンクレスト・イン>。案の定というべきか、結婚式目前に新郎ドゥーガンが控室で死んでいた? 取り乱したデレインに...
歴史とミステリのほどよい融和の心地よさ「ヴァイオリン職人の探求と推理」
これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。芸術の世界は奥が深い。絵画コレクターとディーラーを描いた作品は多いが、本書が扱うのはヴァイオリン。絵画とは違い、演奏することができる芸術品をテーマにしたミステリ。さて、どんな内容なのか?数年前に妻を亡くしたイタリア・クレモアのヴァイオリン職人ジャンニは、友人たちとの内輪の集まりや孫たちのたまの訪れを楽しみに暮らしていた。ところがある日、長年の友人のひとり...
これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。最近よく見かけるようになった、インドを舞台とするミステリ。この本もそのひとつ。オビの”インドのアガサ・クリスティー”という文句に惹かれてさっそく読んでみた。恋人と別れ、スランプに陥った作家ラディは、ニューヨークから故郷ムンバイの高級住宅街テンプルヒルに戻ってきた。帰郷早々、親友サンジャナの父親が死に、警察は自殺と断定したが、ラディは他殺だという思いがぬぐい...
これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。書店で見つけたこの本、著者は御年84歳のジェフリー・アーチャー。最近読んでいなかったけど、懐かしくてつい手に取った。シリーズ第5弾でダイアナ妃も登場するそうだが、果たしてどんな内容なのか?前作で宿敵マイルズ・フォークナーを刑務所に連れ戻したウィリアム・ウォーウィック。今度の任務は不正が疑われる王室警備担当部署の調査。一方、ウォーウィックの腹心、ロス・ホーガ...
覚え違いよ、永遠に「100万回死んだねこ 覚え違いタイトル集」
これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。本好きあるあるのひとつに「タイトルの覚えちがい」があるのでは? ほしい本をうろ覚えで検索してヒットせず悩んだこと多数……。そんな覚えちがいをテーマにしたこの本、このたび文庫になったので読んでみた。利用者のうろ覚えのタイトルやカン違いして覚えた本の数々を、福井県立図書館の司書の皆さんが記録していたことから始まった「覚え違いタイトル集」。Q&Aの形で提供されてい...
これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。アガサ・クリスティの衝撃作といえば、なんといっても『そして誰もいなくなった』。<マーダー・ミステリ・ブッククラブ>の今回の課題本は、何度も映画化されているこの作品。さて、作者はどう料理したのか? アリシアとリネット姉妹が始めたブッククラブも第2期に入り、新メンバーの親睦を兼ねて週末に山荘で読書会を行うことに。課題本はクリスティの『そして誰もいなくなっ...
これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。未読だった過去の名作、入手困難となるとどうしても読んでみたいもの。その1冊、「犯人当ての名手」D・M・デヴァインの傑作ミステリが復刊した。いったいどんな内容なのか、さっそく読んでみた。4年前の事件をきっかけに家族や婚約者も失った主人公マーク。そのマークのもとに、これまで音信不通だった父親パトリックから帰郷を促す手紙が。ところが、父親は再会を待たずにマークが帰...
コージーミステリ好きにおススメ「お茶と探偵㉕ レモン・ティーと危ない秘密の話」
これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。これまでに20冊を超え、いまなお新作が出版されつづけているローラ・チャイルズの<お茶と探偵>シリーズ。その25弾(!)がこちら。すべて読んでいるわけではないが、このたびコージーブックスから邦訳出版されたので読んでみた。舞台はチャールストン。ファッションショーの会場で春の「レモンのお茶会」を催すことになった主人公セオドシア。ところが、ショーの運営を巡っていがみ...
これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。<貧乏お嬢さま>ジョージーが活躍するシリーズが人気のリース・ボウエン。その著者の新刊がこのほど早川書房から刊行。ヴェネツィアを舞台にした歴史ミステリらしいが、いったいどんな内容? さっそく読んでみた。2011年、夫と離婚し、息子も奪われそうになったキャロライン。そこに訪れた大伯母ジュリエットの死。残されたスケッチブックと3つの鍵、さらに「ヴェネツィア」という言...
これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。ついこの間まで暑かったのに、世間ではもうクリスマスの飾りつけが。1年が過ぎるのはほんとうに早い。そして、この時期になると出版されるのがクリスマスを題材にしたミステリ。20年ぶりの邦訳新刊となったこちら、期待して読んでみた。かつて軍人でもあった大学教授キャメロンは、昔の教え子で恋人だったヴィクトリアから調査を依頼される。それは、クリスマス近いある夜、湖畔の町...
これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。ケンブリッジ大学の学寮付き保健師を探偵役とする<イモージェン・クワイ>シリーズ。シリーズ全4作の3作目がこのたび刊行。今度はどんな展開なのか、さっそく読んでみた。ケンブリッジ大学屈指の貧乏学寮、セント・アガサ・カレッジ。その卒業生で国際的大企業<ファラン・グループ>の会長、サー・ジュリアス・ファランは情け容赦ない方法で富を築いたことでも有名。その人物が療養...
これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。映画『九十歳。何がめでたい』が公開された佐藤愛子先生もいまや101歳。映画にも登場した、孫の桃子さんとのコスプレ写真つき年賀状は見ているだけで楽しくなる。その桃子さんご本人がお書きになったこの本、これは読むしかない。「青乎(あお)」名義で音楽・映像活動も行っている著者。本書は「祖母との思い出」・「佐藤家の人々とその周辺」・「アバウト・ミー」・「最近の祖母」...
事件解決のお手柄は今回も……「チョコ職人と書店主の事件簿② トリュフチョコと盗まれた壺」
これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。先日読んだ「チョコ職人と書店主の事件簿」シリーズ第1弾。おいしそうなチョコレートショップと本屋の組み合わせに主人公2人のロマンスとミステリがちょうどいいバランスで絡みあって読むのが楽しい。邦訳されている第2弾も読んでみた。主人公ミシェルとエリカが住むウェストリバーデールの名前の由来にもなったリバー家が、所有するマヤ文明の出土品を寄贈することになり、そのお披...
これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。19世紀を描いたアメリカのミステリと言えば、先日「にせ者が看護師になる方法」(コージーブックス)を紹介したが、この作品の舞台もほぼ同年代。しかも、同じベルビュー病院が登場する。主人公の立場はちがえど、同じ時代背景。これは読むしかない。《ニューヨーク・ヘラルド》ただひとりの女性記者エリザベスは、通勤途中の列車の窓から首を絞められる女性の姿を目撃する。ほどなく...
これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。だいぶ以前に読んだ本。再読してみると、すっかり内容を忘れている。だからこそ、もう1度楽しめてラッキー(と、思うことにする)。さらに、時を経て感想も違ってきたりして。この本も、まさにそんな1冊。冷暖房のまったくない渋谷のおんぼろビルにある「霊感占い所」。占うのは大学生の美衣子の叔父、辰寅。行者スタイルでいつも猫のように寝ているが、占いはともかく、推理の腕は...
これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。NHK BSで放映中のドラマ『団地のふたり』。小泉今日子と小林聡美コンビの息の合った演技が見どころだが、その原作本の続編がついに刊行! 今回はどんな内容?50代、独身、幼なじみの桜井奈津子(なっちゃん)と太田野枝(ノエチ)。喫茶「まつ」のホットケーキサービスデーに出かけたり、団地のご近所さんの佐久間のおばちゃんが作ったイチゴをもらったり。BOOKフリマに出たり、あつ...
こんな店が近所にあったなら……「チョコ職人と書店主の事件簿① やみつきチョコはアーモンドの香り」
これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。本好きなら一度はブックカフェを開いてみたいと思ったことがあるのでは? そして、コージーミステリと相性抜群なのがスイーツ。書店併設のスイーツショップが舞台のこの作品、ありそうでなかった設定に興味津々。親友同士の2人が営む店でショコラティエをしているミシェルがいつものように出勤すると、店内に写真家のデニーズの死体が。死因は、ミシェルのチョコレートに仕込まれた毒...
これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。CIAスパイ・フォーチュンが身分を偽って滞在する町で事件を解決する<ワニ町シリーズ>。元気なシニア、アイダ・ベルとガーティとのトリオでの活躍も毎回楽しい。前作の気になる展開の先を知りたくて待ちに待った第8弾がこちら。前作でカーターと破局を迎えたフォーチュン。傷ついて何もする気になれない彼女を心配するアイダ・ベルとガーティ。そこに起きたロマンス詐欺事件に、フォ...
ママでも探偵?「英国王妃の事件ファイル⑰ 貧乏お嬢さまと毒入りタルト」
これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。すでに20冊近く刊行されている「英国王妃の事件ファイル」シリーズ。その邦訳最新刊がこちら。引っ込み思案だったジョージーが、ついにママに! しかし、出産直前まで事件に巻きこまれている模様。さっそく読んでみた。前作に行ったフランスで腕のいいシェフ、ピエールを雇うことになったジョージー。期待にたがわぬ腕前は、隣人を招いた食事会でも皆の賞賛を浴びる。その腕を見込ま...
これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。いつも楽しみにしている「東京創元社復刊フェア」。70周年のラインナップの1冊がセイヤーズのこの作品。600ページを超える大作、さっそく読んでみた。探偵作家のハリエットが海岸をハイキング中、岩の上で見つけた男の死体。あたりに人影はなく、海岸の足跡は一筋のみ。手持ちのカメラで写真を撮影し、助けを求めて戻ったときには満潮で死体は流されたあと。事件を知って助けにあらわ...
これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。米国などで人気の「読書会」。それは、会員の家や公共の場所で1冊の本について語り合う場。日本でも少しずつ普及しているようだが、この作品に登場するのは20周年を迎える読書会。そこで語られるものは?叔母の経営する古民家カフェ「喫茶シトロン」を引きついだやっくんこと安田、28歳。作家だが、あることをきっかけに書けなくなった。「シトロン」で月に1度行われる読書会<坂の途...
小さな町のおいしい店シリーズ「チーズ専門店① 名探偵のキッシュをひとつ」
これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。常々いろいろな職業のひとがミステリを書いてほしいと思っているが、この著者は元女優で、かの「ジェシカおばさんの事件簿」にも出演していたとか。初のコージーミステリで、アガサ賞受賞作。主人公シャーロットは、オハイオ州の小さな町プロヴィデンスでチーズ店を経営する一家の跡継ぎ。店舗のリニューアルを決意し、その新装開店のお披露目が成功したと思ったのもつかの間、評判の...
これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。10月に入ってもまだまだ蒸し暑い。10月末のイベントといえばハロウィンが定着してきたが、じわじわと浸透してきている(?)イベントがドイツのオクトーバーフェスト。その時期に起きた事件をテーマにするのは、実在するアメリカの町レブンワースを舞台にしたこの作品。オクトーバーフェストを前にイベントの準備に余念がないスローン。今年は、ビールをテーマにしたドキュメンタリー...
ちょっと惜しいけど、日本文化へのナイスアプローチ「お茶と探偵⑬ ローズ・ティーは昔の恋人に」
これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。エミー賞受賞「SHOGUN」での真田広之の苦心が話題になったが、海外ミステリの中に描かれる日本の姿に「それ、ちがうんだよなあ」と思ったり、「そういうことだったの?」とうがった解釈に驚いたり。人気シリーズの13作目にあたるこの本も、日本文化に挑んでいて興味津々。水族館のグランド・オープンでお茶とスコーンを提供していたシオドシア。巨大水槽を眺めていると、人がもがいて...
これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。円安でなかなか海外に行く気になれない今日この頃、せめて本の中だけでも旅を楽しみたいもの。時代はいまではないが、エジプト、イギリスと来たこのシリーズ、今回は豪華客船でアメリカへの旅。いったいどんな事件が?父親とクリスマスを過ごそうとアメリカに戻ることにしたジェーン。英国政府の情報部員レドヴァースの任務につきあい、夫婦と偽って豪華客船「オリンピック号」に乗船...
これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。英国ミステリ界に燦然と輝く歴史ミステリの傑作といえば、ジョセフィン・テイの「時の娘」。エリザベス・ピーターズによる、そのオマージュ作品がこちら。まだ司書だったジャクリーンの名推理やいかに?甥を殺害し王位を簒奪した極悪人と言われたリチャード三世の無実を証明する新たな手紙が発見された? それがお披露目されるという愛好家の大会に連れていかれたジャクリーンは、歴...
事件はどこで起きている?「英国貴族の本棚① 公爵家の図書係の正体」
これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。「虎に翼」を引き合いに出すまでもなく、英国だって昔は女性の地位が低かった。18世紀ロンドン郊外を舞台にしたこのコージーブックスの新シリーズは、その時代に天涯孤独となった女性が主人公。いったいどんな内容なのか?ティファニーは、異母兄ユライアの世話をして暮らす40歳の独身女性。あらゆる制約を受けていたが、ある朝、ユライアが突然死してしまった。このままでは住んでい...
これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。シリーズもののミステリの場合、残念ながら1作目が一番衝撃を受けたというパターンも多いもの。しかし、このシリーズは違う。毎回予想だにしない展開を見せてくれる。その待望の第5弾がついに刊行!エージェントに約束した次回作の締切が迫るなか、新しい事件が起きず窮地の作家・ホロヴィッツ。そこで、過去にホーソーンが解決したという事件を題材にすることに。現場はテムズ川沿い...
これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。9月も中旬になるというのに、一向におさまりそうもない今年の酷暑。まるでそれを見越したかのように寒い季節をテーマにした作品を刊行している創元社さんから、またも寒冷地が舞台のミステリが。涼みがてらさっそく読んでみた。1967年末、北極圏の基地で嵐のため取り残されていた3人のうち、2人が命を失う火災が起きた。奇妙なことに、火災現場となった部屋で発見された2人の遺体の...
これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。これまでいろいろな職業の人がつとめてきた探偵役。この作品では「牧師」。というと、かのブラウン牧師が思い浮かぶが、物語の舞台は現代、しかも作者自身が英国国教会司祭? これは読むしかない!時は1988年、舞台は代々ド・フローレンス家が地主を務める田舎町チャンプトン。司祭のダニエル・クレメントの説教での締めくくりは、教会にトイレを設置するかどうか。この切実な問題が...
クリスティ・ファン必読! 期待の新シリーズ「雪山書店と嘘つきな死体」
これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。今年の夏はまだまだ暑い。そんな終わらない夏、この新刊は雪山にある書店を舞台にしたミステリ? しかも、ミステリの女王の初版本が謎解きの鍵? これは読むしかない。コロラド州の風光明媚な山岳地帯にあるリゾート、ラスト・ワード。開発も著しい地元に帰り、家族経営の書店を引き継いだエリー・クリスティ。共同経営者の姉メグ、姪のロージィ、グランマとネコのアガサとともに稼業...
初めてなのになつかしい「コクと深みの名推理⑳ バター・コーヒーの舞台裏」
これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。ミステリには合作も少なくない。20作目を迎えたこの<コクと深みの名推理>シリーズは、夫婦による合作。実は読むのはこれが初めて。はたして、シリーズのこんなところから読んでも大丈夫なのか?主人公クレアが店長を務めるコーヒーハウス、ビレッジブレンド。うちの店が往年のコメディ・スター、ジェリー・サリバンの撮影ロケ地に選ばれるなんて!と、クレアだけでなくアーティスト...
このシゴト、ホントにあったりして?「お毒見探偵① 絶品スフレは眠りの味」
これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。シェフ、カフェのオーナー、ビール職人、はてはメイドまで、コージーものの探偵役の職業はさまざま。このシリーズの場合は「お毒見」? お毒見役といえば、日本だとお殿様の側近が定番な気がするが、いったいどんな仕事なのか?別れた夫に借金を負わされ、返済を求めて追われるイソベル。故郷オーストラリアを離れてロサンゼルスで「毒見役」に志願。クライアントの代わりに食事を味...
これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。暑い夏、スカッとする本を読みたくなった。そんな時最適なのが<刑事ワシントン・ポー>シリーズ第5弾のこちら。読みはじめたら止まらない、上下巻を一気読み。おそらく過去イチの読みやすさなのでは?物語は日本の西表島から始まる。ジャングルで何かが発見されるが、舞台はそのままロンドンのテレビ番組収録スタジオへ。女性蔑視発言をするジャーナリストが収録中に倒れ、その後死...
これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。横溝正史作品でもっとも有名なものといえば、やはり「犬神家の一族」。戦後の日本を舞台に、遺産相続をめぐる一族の争いをテーマにしたもの。この世界観、いまでは再現しにくい。そこに挑んだと言えるのがこの作品。鬼の伝説が残る長野県の鬼蟻村。昭和13年に「鬼」による殺人事件が起きた上鬼頭家に、新たな殺人の火種が。水乃サトルは、当主の姪である先輩に婚約者のフリをして一族...
これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。まだまだ暑い夏。たまに昔の作品を読んでみると、思いがけない発見があったりする。この本は、1989年度アガサ賞受賞作。「不適切」なことが許された時代に書かれたものだが、いま読んでも面白いのか?世紀の大ベストセラーを発表後、作家のキャスリーンが謎の失踪をして7年。死亡宣告にあたり公開されたその遺言には、続編発表の条件が細かく指定されていた。運よく続編の執筆者に選...
これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。まだまだ暑い今年の夏。遠方だとお盆の墓参りも一苦労? 変わりつつある日本の墓事情や家族関係を笑いと涙で描くこの本。ちょっと身につまされます。主人公・正美は古書店を経営する44歳のバツイチ。母は亡く、兄姉もアテにできないと、自分の病気をきっかけに墓じまいを決意。しかし、はやらない小児科医の頑固な父は猛反対。その父が急死し、後処理を託されてみると、これまで知ら...
これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。暑い日が続く今日この頃。涼しくなるには本を読むに限る? 真夏に冬の物語を読むのも一興。エーランド島シリーズ第2弾のこちらは幽霊譚にもなっていて、さらにおススメ。エーランド島の東海岸、双子の灯台を臨むウナギ岬の屋敷に一家4人で移り住んだ教師のヨアヒム。長い歴史を持つ家の独特の雰囲気、夜中に目覚めて不可解な話をする娘。ヨアヒムが前の家の片づけにストックホルムに...
これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。昔読んだミステリ。再読してみると驚くほど内容を忘れているおかげで、もう一度楽しめる。これもその1冊。1963年の作品とは思えない読み応えに思わず一気読み。漣子(なみこ)はヌードダンサーのミミイ・ローズとして踊っていたところ富豪の御曹司・杉彦に見初められて結婚するが、家族には反対され、使用人からも白い目で見られていた。杉彦の姉夫婦や古くからの知人が集まったある...
これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。暑い夏。日本のミステリを読もうと見つけたのがこちら。『細雪』X『華麗なる一族』X殺人事件? いったいどんな話? 800ページ近いぶ厚い文庫本にワクワクしながら読んでみた。大正初期、横浜の富豪・檜垣澤家当主の妾腹の子、かな子は、母親の死をきっかけに本家に引きとられる。周りが敵ばかりのなか、寝たきりの父親を看病していたある日、邸内の火事を発見するかな子。火元の蔵...
これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。ミステリに登場するさまざまな探偵役。この新シリーズではマジシャン? さらに、ミステリの楽しさのひとつである仕掛けも登場。マジシャン✕仕掛けとくれば読むしかない!ラスベガスでイリュージョニストとして成功していたテンペスト。ある事故をきっかけにすべてを失い、故郷サンフランシスコの実家に戻ることに。実家は凝った仕掛けを得意とする工務店<秘密の階段建築社>。その現...
オリンピックとともにパリのエスプリをどうぞ!「警視庁迷宮捜査班 ₋魅惑の南仏殺人ツアー₋」
これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。いよいよパリ・オリンピック。パリといえば、ある年代の日本人にとってあこがれの観光地。そこを舞台にしたミステリの第2弾がこちら。せっかくなので、この機会に読んでみた。とがった才能はあるものの、いろいろとアレな警察官を集めたパリ警視庁特別捜査班。その任務は迷宮入りの事件を再捜査することだが、実態は体のいい厄介払い。ところが、今回の事件は最新のもの。その被害者...
これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。夏の花といえば、ひまわり? ムーミン・パパみたいなちょっと風変わりな探偵が登場するのがこちら。心がざわつくときに読むとほっとする「ティーブレイク・ミステリ」だ。とある事情から会社を辞めていまは「ひまわり探偵局」の助手をしているわたし。探偵の陽向万象(ひなたまんぞう)からは「さんきちさん」と呼ばれている。今日も陽向先生の焼くお菓子でお茶していると、依頼人が...
暑い夏、現実逃避におススメ「行き遅れ令嬢の事件簿④ 公爵さま、前代未聞です」
これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。毎日とてつもなく暑い。こんなときは、外出は最低限にして室内で本を読むにかぎる。現実逃避にぴったりなのはこんな本。19世紀初頭を舞台とした「行き遅れ令嬢の事件簿」シリーズ、その第4弾がこちら。前作の最後に見事「逆プロポーズ」で美貌の公爵さまを射止めたベアトリス。地味で目立たない彼女の快挙(?)に社交界は大騒ぎ。しかし、結婚前に気がかりなのは、20年前の両親のボ...
これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。ミステリの探偵役、その職業はさまざま。私立探偵はもちろんのこと、法医学の専門家だったり、古書店主だったり、カフェ・オーナーや骨董屋まで。こちらは、なんと生物学者。しかも、コウモリが大好き? これは読むしかない。英国の荘園屋敷の動植物調査を依頼されたネル。コウモリが生息するトンネルを発見して中に入ったまさにその時刻、屋敷の持ち主ソフィが撲殺されていた。責任...
これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。ミステリの大きな楽しみのひとつが犯人を推理すること。最近刊行されたこの本、オビに「クリスティの後継者による犯人当てミステリ!」とある。挑戦に応じるべくさっそく読んでみた。ミステリ作家志望のアニーのもとに、大叔母フランシスの弁護士から連絡が。16歳のときに占い師から言われた「いつか殺される」という文句に執着していたフランシス。関係者とともに屋敷に向かったアニ...
これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。いままで読まずにいた名作。それを読んでみるのも楽しい。こちらは「安楽椅子探偵」ものの元祖として多くの作家に影響を与えた作品。英国の歴史には詳しくないが読んでみた。捜査中に怪我を負い長期入院することになったロンドン警視庁のグラント警部。天井の染みを見つめるのにも飽きたころ、見舞いでもらった1枚の肖像画に目を引かれる。何かに耐えているようなその表情の持ち主は...
今回もはずれなし!「英国王妃の事件ファイル⑯ 貧乏お嬢さま、花の都へ」
これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。すでに16巻を数える「英国王妃の事件ファイル」シリーズ。昨年から読みはじめ、ついに邦訳のある16巻に到達。貧乏お嬢さまジョージーも妊娠5か月。今度はパリで事件に巻きこまれる? 読みおわりを惜しみつつ読んでみた。クリスマスだった15巻から時は移り、国王の逝去に伴い皇太子デヴィッドがエドワード8世となって約2か月。夫ダーシーとともにパリのベリンダを訪ねたジョージー。と...
これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。こちらも積読本から。ポケミスがデザイン一新した1年後に「読まないのはもったいない 絶対おすすめの傑作ミステリ」として刊行されたのがこちら。「スウェーデンの超弩級新人」による英国推理作家協会受賞作、いまさらながら読んでみた。スウェーデン南東部にあるエーランド島。ある霧の深い日、5歳の少年が行方不明になった。その20数年後、祖父で元船長のイェルロフのもとに送られ...
これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。新訳が出てさらに読みやすくなった「不可能犯罪の巨匠」ジョン・ディクスン・カー作品たち。「緑樹館」を舞台とする密室犯罪の文庫版がこちら。読みたいと思っていた作品なのでさっそく読んでみた。<悪魔のひじ>に建つ「緑樹館」には以前の持ち主であるワイルドフェア判事の幽霊の噂が。当主亡きあと、その遺言で揺れる家中で起きたのは「幽霊による銃撃事件」。二度にわたる発砲の...
これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。いまは昔。冷戦時代を描いた諜報小説といえばこの人だった。2020年に亡くなった「スパイ小説の巨匠」ジョン・ル・カレの遺作がこちら。海岸を歩く2人の人影が印象的な表紙のこの本、さっそく読んでみた。シティのトレーダーを引退してイングランド東部で書店を始めたジュリアン。そこにかつて話題になった宗教家の亡父の学友を名乗るエドワードがあらわれる。地下室に<文化の共和国...
ファンタジーを知らなくてもぜひ読んでほしい「いまファンタジーにできること」
これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。以前買っておいた「積読本」を思いついて手に取ることがある。この本もそれ。2018年に亡くなったファンタジー作家、ル=グウィンのスピーチやエッセイを文庫化したものだ。なんだか世界がきなくさい今、タイトルが気になって読んでみた。著者は<ゲド戦記>などの作品で有名な「米国SF界の女王」。本書にはスピーチやエッセイだけでなく、講演をもとにした論考も収録。著者の考えるフ...
これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。本を選ぶのに参考になるのはやはり書評。自分とは異なる視点で、見逃していた新しい本を教えてくれる。女優・エッセイストの中江有里さんが選ぶ本は、自分と重なる部分も多い。そんな著者の連作小説の文庫が出たので、さっそく読んでみた。中学で不登校になった沙羅が選んだ通信制高校。登校日の土曜、校内で出会ったのは幼なじみの万葉。万葉が両親の離婚で引っ越した小学校以来の再...
ハラハラ・ドキドキ、その描写力に感心「にせ者が看護師になる方法」
これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。新しい作品を見つけるのは大きな喜び。とくに、これまで知らない作家ならなおさらだ。こちらの本もそのひとつ。スリが看護学生? どんな展開になるのか、さっそく読んでみた。時は1883年。ニューヨークでスリをしているウーナは、今の暮らしから抜けだそうとある行動に出たことで殺人事件を目撃してしまう。犯人にされてしまいそうになったウーナは、ベルビュー看護学校に学生として...
「貧乏お嬢さま」がまた新たなステージに?「英国王妃の事件ファイル⑮ 貧乏お嬢さまの困った招待状」
これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。主人公ジョージーが結婚して新たな局面を迎えた「英国王妃の事件ファイル」シリーズ。邦訳がある作品を読み切るのが惜しくてちびちび読んでいるが、その第15弾がこちら。歴史が動くなか、ジョージーの今度の事件は?結婚して初めて迎えるクリスマスだが、自宅であるアインスレーの準備が整いそうにないジョージー。そんな矢先、結婚時に飾る気になれない自作の絵をプレゼントしてくれ...
コージー好き必読、癒しの異世界転職・起業ストーリー!「伝説とカフェラテ 傭兵、珈琲店を開く」
これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。ふだんは読まないジャンルだが、ふと手に取ってみたのがこの本。「傭兵、珈琲店主に転職!」? 異世界コージーファンタジーとは? さっそく読んでみた。傭兵・ヴィヴの夢、それは珈琲店を開くこと。幸運の輪を引き寄せるというスカルヴァートの石を手に入れたヴィヴは、石の導きのもとにテューネの町にたどりつく。店を買い、大工を見つけ、従業員を雇い、いよいよ開店。次々と降りか...
これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。元劇作家で大学教授——異色の経歴を持つ著者が描く私立探偵・呉誠(ウーチェン)が主人公の『台北プライベートアイ』。その第2弾がいよいよ刊行。これはもう読むしかない。台北市内から新平市の淡水に越してきたウーチェン。お気に入りのカフェやバーを見つけて散歩の日々だが、ある日、行きつけのバーで若い弁護士の安安(アンアン)から人探しを依頼される。探すのは、彼女があるこ...
これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。戦後のロンドンで、育った環境も経歴も違う女性2人が始めた結婚相談所。そこで2人が巻きこまれる事件を描くちょっとビターなバディもの「ロンドン謎解き結婚相談所」シリーズ。その待望の第4弾がこちら。秘書も雇って事業も軌道に乗りだしたある日、アイリスはワインレッドのコートを着た女性に尾行されていると気づく。帰宅すると部屋には元恋人のアンドルーがいて、アイリスはやむ...
これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。新刊が出るとつい手が出てしまう作家、それが群ようこさん。集英社から出版された最新エッセイがこちら。70を目前にした作家の日常に興味津々。愛猫・しいちゃんを見送り、2021年に引っ越しをした群さん。家猫は飼わないけれど、地域の猫さんを探す日々。見つけたのは猫ばかりではなく……。引っ越し後の庭の手入れや美容院問題、昨今の猛暑や暴風雨のしのぎ方、セルフレジや銀行でのイ...
あの朝ドラとの共通点も?「伯爵夫人のお悩み相談② 前略、駆け落ちしてもいいですか?」
これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。いつの世も人の悩みはつきない。「レディ・アガニ」として雑誌のお悩み相談に回答する平民出身の伯爵未亡人アミリアが探偵役の「伯爵夫人のお悩み相談シリーズ」。その第2弾がこちら。さて、次なる事件とは?第1弾でともに事件を解決したベインブリッジ公爵サイモンの妹マリエールが駆け落ち? お悩み相談への手紙でそれを知ったアミリアとサイモンは駆け落ちを阻止すべく動きだす...
英国だけでなく日本の姿も見えました「赤と青のガウン オックスフォード留学記」
これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。さまざまなミステリの舞台となってきた英国オックスフォード。皇族の留学先としても有名だが、こんな本が出ていたなんて。興味本位で読みはじめたが、読みおわるころには感動が。三笠宮寛仁親王の長女、彬子女王によるオックスフォード大学の留学記。学習院大学時代の短期留学から、卒業後、2011年5月に博士号を授与されるまでの日々のエピソードをつづったもの。クセのある教授陣や...
まちがいなし! 安定のうまさ「英国ひつじの村⑥ 巡査さんと超能力者の謎」
これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。ウェールズの村の「駐在さん」が探偵役となる「英国ひつじの村シリーズ」。今のところ邦訳は6冊。その第6弾がこちら。毎回女難に遭うエヴァン・エヴァンズ巡査だが、さて今回は?自立のため、ミセス・ウィリアムスの下宿を出てひとり暮らしを始めたエヴァン。そんなある日、村を訪れたアメリカ人女性に予知能力があると言われたベッツィが、村のパブを辞めて行った先は北ウェールズに...
これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。ミステリは世相を映すもの。今では考えられない描写もある昔の作品も読むと面白いのはそこに謎があるから。一方、サスペンス要素もあるこの作品、たしかに現代が描写されている。26歳のダニエルは難病を患うが、仕事を持ち、友人や専門職の手を借りながら1人で暮らしている。ある朝、いつも家の前の通りを歩く女子学生が1台の車に乗りこむのを目撃するが、その留学生はその後失踪し...
これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。常々英国ミステリの層の厚さには感心していたが、この作家はまだ未読。10代から71歳まで50余年にわたって活動してきたそう。歴史ロマンスの先駆けともなった作家のミステリのベストセラーとは?1937年、気持ちのよい初夏の晩のこと、ロンドン郊外の屋敷でその家の主の死体が見つかる。その直前に何人かの訪問客が訪れていたが、身元がわかるものたちの証言をつなぎ合わせると、殺人が...
ワクワクのアソート・ボックス、急げ続刊!「金庫破りとスパイの鍵」
これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。金庫破りと上流階級出身の少佐との微妙な関係を描いた「金庫破りときどきスパイ」。気になるその第2弾がいよいよ刊行! 第二次世界大戦中のロンドンで、今度はどんな事件が?前回の事件から数週間後、エリーのもとに姿を現わしたラムゼイ少佐。ある鍵を開けてほしいという。それは、テムズ川で見つかった若い女性の死体のブレスレット。そこに小型カメラが仕込まれていたことから、ド...
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これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。実はあまり読んでいないSF。そんな中、面白そうだったので手に取ってみたこの本。カーカスレビューのNPRベストブック2022選出ということだけど、どんな内容なのか?時間犯罪取締局(TEA)を時間離脱症(アンスタック)のため退職し、時空港(タイムポート)併設ホテルで警備主任をしているジャニュアリー。ある日、アンスタックの症状のひとつである幻視で、ひとりの男の死体を見たと...
これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。なんとなく読むものに困ったとき、ふと手に取りたくなるこのシリーズ。今度はどんなお茶とお菓子の組み合わせ? そして、ティー・ショップのオーナー、セオドシアの今回の活躍は?チャールストンのギブス美術館では、上海からそっくり移築した200年前の貴重な茶館のお披露目の真っ最中。ところが、恋人マックスの招きでセレモニーに出席していたセオドシアは、催事に設けられた写真ブ...
これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。本屋で見つけた新刊。「殺し屋」の文字が物騒だけど、マカロンと紅茶の缶をあしらった表紙は意外とポップ。「人気シリーズ最新刊」ということで読んでみた。「殺し屋探偵」シリーズの4作目。人知れず副業で殺し屋を営むコンサルタントの富澤とシングルマザーの鴻池。2人のもとに届く殺害依頼は謎めいている。発見者を指定してきたり、花を置いたり、時期を夏休み中に限定したり……。か...
これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。本屋で見つけたこの本。 タイトルが気になって思わず手に取ってみた。「台湾発 本格謀略小説」ということだが、いったいどんな話?総統選挙まであと7日となったある日、狙撃手・小艾は、元刑事の老伍に呼びだされて向かった先で選挙活動中だった総統の銃撃事件に遭遇。メールは偽のもので、小艾を陥れるための罠だったのだ。狙撃手が潜んでいたと思われる建物から発見された薬莢は、...
これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。このあいだから古書でコツコツと読んできたルイーズ・ペニーのガマシュ警部シリーズ。ついに邦訳最後の4作目に。本作の舞台はスリー・パインズ村ではなく湖畔のロッジ。いわば番外編?年に1度の休暇を楽しむために湖畔のロッジ、マノワール・ベルシャスを訪れたガマシュ警部と妻のレーヌ・マリー。そこには、同様に休暇を楽しんでいるらしい家族の姿が。だが、女主人とその夫、女主人...
これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。ミステリ作家の方々はどんな作品を面白いと思うのか? それを知りたくて手に取ったのがこちら。有栖川有栖・北村薫・宮部みゆき先生の選んだアンソロジー「選んで、語って、読書会」。さて、どんな作品が?東京創元社の隔月刊誌<紙魚の手帖>掲載コラムをもとに編集されたアンソロジー。各編にかつて創元推理文庫で使われていた分類マークつき。井上ひさし「括弧の恋」から三崎亜記...
これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。アガサ・クリスティに敬意を表したミステリの文学賞であるアガサ賞。その最優秀長編賞に3年連続で輝き、さらに受賞を重ねているのがルイーズ・ペニー。2度目の最優秀長編賞受賞作がこちら。地図に載らない村、スリー・パインズ。そのビストロで始まった降霊会。丘の上の旧ハドリー邸で行われた第2回の降霊会で皆の人気者だったマドレーヌが急死した。一見心臓発作と見えるこの事件を...
これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。いわゆる「本格」ミステリが少なくなった昨今、明らかに「本格」好きな作家の作品はうれしい。<秘密の階段建築社>シリーズの最新刊では、横溝先生など日本の作家の名前が挙がっていて楽しい。主人公テンペストの家業は、秘密の小部屋などの仕掛けを得意とする<秘密の階段建築社>。会社が手がけた地下のスペースで読書会メンバーによって開催された降霊会。別れた夫の思い出を葬る...
これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。先日読んだカナダのミステリ「ガマシュ警部シリーズ」。続きが知りたくて古書を購入。その2作目は実はクリスマスストーリー? 時期はずれではあるが読んでみた。地図に載らない小村、スリー・パインズ。クリスマスのあと、恒例のカーリングの試合で移住者の女性が死んだ。捜査を任されたガマシュ警部は、それが巧妙な殺人だと気づく。さらに、その死がクリスマス時期に殺害されたホー...
これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。第1作で兄になりすまして公爵家の図書係を務めたティファニー。その後が気になっていたところ、待望の2作目が刊行された。さて、その内容は?仕事と家を手に入れたティファニー。ある朝、体調が悪いなか仕事に出かけようとしたところ、死体を発見。それは、少し前まで公爵家に仕えていたフットマンのバーナード。札付きの女たらしだった彼を殺害する動機を持つものはたくさんいそうだ...
これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。最近アジア系の翻訳出版も増えてきた海外ミステリ。意外に聞かないのが欧米圏であるカナダ。少し前の作品だけど、カナダのガマシュ警部が探偵役のこのシリーズを読んでみた。ケベック州の平和な村、スリー・パインズ。感謝祭の週末の朝、森の中で発見された元教師ジェーンの遺体の胸には矢の傷が。しかし、周囲に矢は見当たらない。ハンターの誤射なのか? 事件を捜査すべく現場に派...
これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。海外ミステリを読んでいると、たまに日本のミステリが読みたくなる。それも、最近めっきり少なくなった気がする「本格」もの。少し前の作品だが、懐かしい匂いがしているこの本を読んでみた。私立探偵の石動戯作は、14年前に鎌倉の梵貝荘という私邸で起きたある殺人事件の再調査を依頼される。「名探偵」水城優臣により解決済のその事件の顛末は、「名探偵」の記録者・鮎井郁介により...
これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。日本のコージーものが読みたくなり、ふと手に取ったのがこの本。第23回『このミステリーがすごい』大賞受賞作。”焼きたてのパンの香りが広がる<日常の謎>ミステリー!”とくれば、読んでみたくなるでしょう。大学1年生の市原小春は、大阪府豊中市にあるパン屋<ノスティモ>でアルバイト中。自分をバイトに誘ってくれた親友の由貴子に押しのライブビューイングをドタキャンされたが...
これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。日本ミステリの数少ない女性探偵、それが若竹七海の描く「タフで不運な」葉村晶。その5年ぶりの文庫書き下ろし長編が刊行されたのでさっそく飛びついた。しょっぱなからなにやら不穏な展開?コロナ禍の引きこもり生活で探偵の仕事はまるでお留守だった葉村。近所の老婦人の法事につきそうことになり、そこで紹介されたひさびさの仕事は秘密厳守の人探し。さっそく尋ね人・稲本和子が...
これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。今年は寒いけど、暦の上では冬ごもりの虫が動きだすという「啓ちつ」を過ぎた。「虫」といえば、探偵役が虫好きの連作ミステリがこちら。待望のシリーズ第3弾はどんな内容?あちらこちらにひょっこりあらわれては謎を解く魞沢泉(えりさわせん)。巻頭の「白が揺れた」では、北海道の山中で蜂さがしをしていたところ、地元猟友会会員の射殺体を発見。これは誤射なのか? 25年前にも同...
これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。ミステリ作家には別に職業を持っている人がいる。日本で比較的多い気がするのは弁護士。この本もそのひとつ。主人公も弁護士という設定なので作品の端々にリアリティが。福岡在住の主人公・剣持鷹士はいわゆる「イソ弁」。弁護士事務所に雇われて経験を積んでいる。この日訪れた相談者は、知人がホテルの照明が暗くて怪我をしたので損害賠償を請求できないかという。揉めることを想定...
これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。喫茶店のメニューといえば、やはり「クリームソーダ」や「プリン・ア・ラ・モード」が思い浮かぶ年代。やっと入れる時間も余裕もできたのに、気づくとめっきり少なくなってしまったレトロ喫茶。こんな店があったらいいなあ、と思うのがこの作品。東中野の商店街の路地奥にある<喫茶おおどけい>。店主は御年88歳のハツコさん。そして、懐かしい料理や飲み物を作るのは孫のハヤテ。店...
これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。冬本番という感じだけれど、3月に入れば春休みまでもうすぐ。春休みに縁がなくなって長いけれど、なにかが始まりそうなこの時期のワクワク感を今も思いだす。そんなわけで、中学2年生が主人公のこのミステリを読んでみた。父親の海外赴任が決まり、春休みから曾祖母・五月さんが経営するアパート「さつき荘」に住むことになった花南子。五月さんがぎっくり腰で入院してしまい心細く思...
これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。家政婦が探偵役といえば、ついふすまの陰から立ち聞きする姿が目に浮かんでしまうが、こちらは家事を一任されて使用人を束ねる存在。人はいいがカンがイマイチの主人を助けて事件を解決。さて、そのやり方とは?あまり評判のよくない医者が毒キノコで殺された? ウェザースプーン警部補が担当することになったこの事件、主人にお手柄を立てさせるべく”名探偵”家政婦のジェフリーズ夫...
これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。コージーミステリに食べ物はつきもの。ケーキやクッキーだけでなく、卵料理やインド料理までさまざまな料理が登場。サンフランシスコが舞台でアメリカ探偵作家クラブ賞受賞のこの本には、おいしそうな中華料理がいっぱいだった!夫婦で中国茶専門店を営みながら息子を育てたミセス・ワンは、夫を亡くし息子も独立したいまも朝4時に起きてウォーキングをする強烈なキャラクター。今日...
これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。新しい作家を見つけるのは楽しいもの。それがちょっと笑えるミステリだったら最高だ。こちらは、カナダの兄弟による初のコージーミステリ。元”空手チョップ探偵”ミランダの活躍やいかに?格闘シーンで「ハイ・ヤー!」の掛け声とともに空手チョップを繰りだすフラン牧師を演じて人気を博したミランダは、いまや完全に落ち目。便秘薬のCMの祖母役しか来ない。そこに15年前に置き去りに...
これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。ジョージーが結婚し、公爵令嬢でなくなった今、もはや英国王妃からの命令は来ないのでは?と気になる「英国王妃の事件ファイル」シリーズ。その第14弾の舞台はコーンウォール。どんな展開なのか?夫ダーシーは任務で出かけ、家にひとり残されたジョージー。祖母の遺産が入った親友ベリンダの頼みでコーンウォールに出かけることに。相続した怪しげな小屋は住める状態になく、昔の料理...
これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。敵から身を隠すために田舎町に潜んだスパイ・フォーチュンと、ワケありの過去があるファンキーな2人のシニアの活躍を描いた<ワニ町>シリーズ。待ちに待ったその第7弾がついに刊行。これは読むしかない。前作で新保安官が逮捕されることになったシンフルの町長は、シンフル・レディース・ソサエティ(SLS)の宿敵シーリアのまま。そのシーリアの夫・マックスが長年の失踪後初めて町...
これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。本に触れる方法はひとそれぞれだが、最初の窓口が図書館という人は多いのでは? ほんとうにどれだけお世話になったことか……。近くに図書館がないときにありがたいのが、移動図書館。最近見かけなくなった「本バス」を題材にしたシリーズの第2弾がこちら。種川市を巡回する移動図書館「本バスめぐりん」は、今日も3000冊の本を利用者のもとへ。息子たちに押しきられる形で種川市のその...
これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。今は亡き樹木希林さんの後継者ではないか?と密かに思っている人、小林聡美。どんな役でもビジュアルを大きく変えることないその姿に、こんな人たしかにいる、と思う。そして、エッセイもとても面白い。その最新作がこちら。「ありきたりな日々のどこかに、ときどき茶柱が立ちますように」演じる仕事でキャリア40年超えの著者が、「日々考えていること、実践していること、暮らしの楽...
これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。書店をぶらぶらしていて見つけたこの本。「ポケミス70年の歴史上、最大の問題作」というオビに釣られてつい手に取った。果たして、その内容とは? ワクワクしてさっそく読んでみた。冒頭、大学時代の友人である2人が向かう先は、会員制狩猟クラブ。ジェームズは会員の息子で、マカニスは私立探偵。富裕層の子孫である会員たちの不穏な空気の中、相次いで起こる事故。さらに、湖で発見...
これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。「バディもの」のミステリは多い。姉妹ものもしかり。しかし、姉が警官で妹が詐欺師というのは珍しい。しかも、密室もの? 「期待の新シリーズ開幕!」というオビの文句に惹かれてさっそく読んでみた。サセックス警察重大犯罪班 警部補のテスが担当することになった事件の被害者は、かつて犯した罪にかかわる相手。どう見ても不可能な状況での殺害に手詰まりになったテスは、過去の事...
これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。ミステリ・ファンにとって、過去の名作ミステリを見つけるのも楽しみのひとつ。扶桑社から出版されたこちらは「スウェーデンのディクスン・カー」による「幻の名作」とのこと。気になってさっそく読んでみた。スウェーデン南部の田舎町ボーラリード。川畔にある箱型のウナギ罠のなかで、嫌われ者の大地主の死体が発見される。縦横2メートル・奥行3メートルの板張りの罠は南京錠がかか...
これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。昔読んだミステリの名作を読み直して思うこと。なんと、内容をまったく忘れている! しかし、いつでも初めて読む感動が得られるとポジティブ思考(?)で今日も読む。創元社の創立70周年記念新訳出版本のこちら、新訳で読んでみた。時は1900年代初頭。発展をつづけるニューヨークに孤立したように立つグリーン家の邸内で、富豪トバイアス・グリーンの相続人が次々と謎の死を遂げる。...
これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。海外にコージー・ミステリは数多いが、日本には案外少ない。その数少ない書き手のひとり、若竹七海さんが書きつづけているのが架空の半島「葉崎」を舞台にしたシリーズ。これは、その先にある島を舞台にしたいわばスピン・オフ。未読だったので読んでみた。島民30人、猫百匹以上が住む葉崎半島の先の通称「猫島」。その島の海岸で、ナイフが刺さった猫のぬいぐるみが発見され、ついで...
これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。SF作家の新井素子さん、ご自身の結婚をテーマにした作品もある。沢口靖子・陣内孝則主演でドラマ化もされた。しかし、それがもう40年前? あの時20代だった2人が、ついに定年を迎えるなんて……。月日が経つのは本当に早い!小説家の陽子さんと広告代理店勤務の正彦さん。これまでほぼ家にいなかった正彦さんが定年となり、『兼業主婦』の陽子さんは家事を分担してもらえると期待する。...
これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。前作『平凡すぎて殺される』で平凡な顔のせいで命を狙われたポールが、今度は探偵に? しかし、この著者のこと、ありきたりのストーリーにはならないはず。さて、今度の騒動は? さっそく読んでみた。恋人のブリジット、元警官のバーニーとともに探偵事務所を始めようとしたポールだが、ブリジットとは浮気で破局、バーニーは居所がわからない。傍らにいるのは、バーニーが連れてきた...
これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。初めて読む作家の本はワクワクする。早川書房から今月発売された本作は、スリランカ生まれでオーストラリア在住の作家によるミステリ。コージーっぽいタイトルとは裏腹の凝った作りに思わずイッキ読み。オーストラリア在住の推理作家ハンナが描く小説の中で、オーストラリア人の推理作家フレディは奨学金を得てボストンに滞在中。ボストン図書館の閲覧室で作品の構想を練っていると、...
これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。「断捨離」それは永遠のテーマ。すっきり暮らしたいと思いつつ、日々ものは増えていく。群ようこさんの新刊は、身内の身の回りを”断捨離”しようとする人たちを描いた連作小説だ。ご自身の住み替え経験も反映したであろう本作、さっそく読んでみた。引っ越しのため洋服を処分しようとしてなかなかできない姉と、きっぱり捨てろと迫る妹とのやり取りを描いた『捨てられない姉 捨てさせ...
これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。ときどき過去のよいミステリ作品を紹介してくれる中公文庫。野呂邦暢という名前は知らなかったが、堀江敏幸さんによる「わずらわしい世事を忘却するために」というオビの文句に惹かれて手に取ってみた。1974年「草のつるぎ」で芥川賞を受賞した著者の中短編とミステリに関するエッセイをまとめた1冊。冒頭の「失踪者」は、島に祭の写真を撮影しに行った友人が遺体で発見されたことか...
これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。貧乏お嬢さまの冒険を描く「英国王妃の事件ファイル」シリーズ。主人公ジョージーは前作でついに結婚を果たし、物語は新たな展開に。シリーズ13作目となる本作ではハネムーンへ。もちろん一筋縄でいくはずもなく……。史実も交え、どんな展開になるのか?結婚式のあとテムズ川に係留されたハウスボートで過ごし、ロンドンに戻ったジョージーを待っていたのは、ケニアへのハネムーン。女...
これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。最近ハマっているクリスティ作品の読み直し。こちらは、夫婦探偵・トミーとタペンスのデビュー作。ポアロ初登場の「スタイルズ荘の怪事件」に続く作品だが、ノリが全然違う。大まかにおぼえていたものの、細かいところを忘れていた本作、新訳で久しぶりに読んでみた。第一次大戦が終わったものの仕事が見つからないタペンス。幼なじみのトミーとともに<若き冒険家商会>を設立し、広...
これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。最近、アガサ・クリスティーを読みなおしている。ポアロやミス・マープルが登場するものは、ドラマも見ると楽しみ倍増。その中でも改めてよくできているなあと思ったのがこちら。ドラマとラストが違うところも注目。億万長者のゴードンが若い未亡人のロザリーンと結婚し、戦時中に爆死したことから経済的に追いつめられるクロード一族。姪のリン・マーチモントは、ロザリーンの兄デイ...
これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。これまでツイてない探偵 葉村シリーズとともに定期的に発表されていたのが、こちらの<葉崎市>シリーズだ。神奈川県の架空の半島にある<葉崎市>で起こる事件を描く。10年ぶりとなる新作に期待してさっそく読んでみた。山の上で私設庭園<パラダイス・ガーデン>を営む房子がある朝起きてみると、庭先に70代の女性の遺体が。自殺らしきその女性の身元は不明。折しも葉崎では重大な...
これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。累計30万部突破の人気シリーズ「行き遅れ令嬢の事件簿」。身分差別の激しい摂政時代に、26歳で未婚のベアトリスと美貌の貴公子ケスグレイブ公爵がタッグを組むコージーミステリだ。そのシリーズ3作目がこちら。前作で思わぬ怪我を追い、叔母に家に閉じこめられたビアトリス。公爵への思いに気づいたものの、身分違いの恋のつらさを忘れたいと思っていたところに、渡りに船の依頼が。...