chevron_left

メインカテゴリーを選択しなおす

cancel
6000冊以上の本を読んできた。これからも読みます! https://booklover55.blog.fc2.com/

これまで読んで記録してきた6000冊(もうすぐ7000冊)の本から、面白かった本を紹介。興味を持ったらぜひ読んでみてほしいです!

booklover55
フォロー
住所
未設定
出身
未設定
ブログ村参加

2022/02/28

  • いつまでもミステリを楽しみたい「ぼくのミステリ・マップ 推理評論・エッセイ集成」

    これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。海外ミステリといえば、なんといってもアガサ・クリスティ。そのクリスティ作品を多く翻訳されたのが詩人の田村隆一さん。この方の訳された本を何冊も読んだ。ミステリに関するエッセイ集が出たとなると読まずにはいられない。「探偵小説、あるいは推理小説は、ユーモアのセンスとウィットの知的活性で味つけされた御馳走(エンターテインメント)」。クリスティやダールなど戦後の海...

  • いろいろあっても明るく乗り切る「ママ探偵の事件簿② 秘密だらけの小学校」

    これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。先日読んだ「ママ探偵の事件簿」シリーズ。第1作のあとがきにあったフライフォンの行方が知りたくて2作目を読んでみた。ドタバタ度倍増の上に、新たな展開?いろいろあった第1作から1年後、パート探偵を続けるマージー。義母の援助で有名小学校に入学することになった娘のエルシーは、相変わらず犬のふりを続けている。家庭内の問題も解決しないまま夫は留守になり、代わって自然...

  • みえなくてもいいから感じたい「一(にのまえ)教授はみえるんです 京の都は開運大吉!」

    これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。この世には説明がつかない事柄も多い。そういうとき、日本語には「縁」や「めぐり合わせ」などの便利な言葉がいくつもある。かの羽生善治九段も勝負を最後に決めるのは「運」だとおっしゃったとか。京都の町を舞台にしたこの本も、説明が難しい不思議な世界を描いた一冊。女子大生のようなルックスでアラフィフの大学教授一(にのまえ)凛子は不思議な力の持ち主。魔物探知ができる愛...

  • またひとつトリビアが生まれた「江戸藩邸へようこそ 三河吉田藩「江戸日記」」

    これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。「どうする家康」ではないが、江戸時代には知らないことが多い。学生時代の日本史は江戸幕府が始まったあと幕末から明治に飛んでしまったし、情報のほとんどは時代劇由来。全員が三河屋や悪代官のはずはなく、当然「暴れん坊将軍」でもない一般(?)の武士はどう暮らしていたのか?江戸の武家地の約55パーセントを占めたという江戸藩邸。現在の愛知県豊橋市にあった三河吉田藩に残る...

  • ママでも探偵 「ママ探偵の事件簿① ママ、探偵はじめます」

    これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。「ママ」と「探偵」は、どうも不釣り合い。しかし、そんな「ママでも探偵」な主人公がこちら。子育てと探偵業の両立に興味津々で読んでみた。育児ストレスから食べ過ぎて、すっかりぽっちゃり体型になった30代の主婦マージ―・ピーターソン。弁護士の夫は仕事が忙しいが、子供2人が幼稚園に入ったことから、高額の保育料を賄うために働くことを決意。しかし、応募できそうな求人はスト...

  • トンデモ警部はドイツにもいた!「ミルク殺人と憂鬱な夏 中年警部クルフティンガー」

    これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。ミステリには不可欠な中年警部もの。古くはジョイス・ポーターのドーヴァー主任警部や、比較的最近ではウィングフィールドのフロスト警部など、ちょっとお下品な警部が実は敏腕で見事に事件を解決するのがお約束。その系譜につながりそうなこちらは、ドイツ語圏で450万部を超えるベストセラーになったシリーズの第1作。ここはドイツの片田舎の平和で小さな町。音楽隊の大太鼓の練習...

  • 1度はやってみたいルーツ探し?「おばあちゃん姉妹探偵3 さわらぬ先祖にたたりなし」

    これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。先日来、でこぼこ姉妹のやり取りにハマっている「おばあちゃん姉妹探偵」シリーズ。シリーズ8冊のうち、邦訳されている第3作を読んでみた。身長154センチ、体重48キロのパトリシア・アンと、身長178センチ、体重113キロのメアリー・アリスは、家で生まれていなければ病院で取り違えられたと思えるほど似ていない姉妹。メアリー・アリスの娘デビーとパトリシア・アンの教え子ヘンリー...

  • 毎年同じことができるってありがたい「青嵐の庭にすわる 「日々是好日」物語」

    これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。森下典子さんといえば、かの週刊朝日の「デキゴトロジー」の取材記者として有名だった。舞妓になった体験を書いた『舞妓どすえ』も、当時興味深く読んだ。最近では、長年習っておられるお茶に関する本も執筆されている。なかでもこれは、映画化された『日々是好日』のエピソードが満載の一冊。黒木華主演、樹木希林や多部未華子らが共演した映画「日々是好日」。その映画化の始まりか...

  • 芸術は爆発?「おばあちゃん姉妹探偵2 作者不明にはご用心」

    これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。先日偶然読んだ「おばあちゃん姉妹探偵シリーズ」。でこぼこ姉妹のかけ合いが面白くてハマったので、2作目も読んでみた。身長154センチ、体重48キロのパトリシア・アンと身長178センチ、体重113キロのメアリー・アリスは、自宅で生まれていなければ病院で取り違えられたのかと思うほど外見が似ていない姉妹。クリスマス直前、2人で出かけた画廊のパーティの夜にオーナーが不自然な死...

  • 女王への愛はきっと永遠「エリザベス女王の事件簿 バッキンガム宮殿の三匹の犬」

    これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。昨年9月、96歳で亡くなられたエリザベス女王。初めて見る英国君主の葬儀の模様に、女王がいかに敬愛されていたかを実感した。その女王を探偵役としたミステリの第2弾がこちら。亡き女王をしのびつつ、さっそく読んでみた。国民投票でEU離脱が可決された2016年。バッキンガム宮殿内のプールでハウスキーパーのミセス・ハリスの死体が発見される。折しも、ミセス・ハリスを含む宮殿の職...

  • 買い物名人になりたい!「買物71番勝負」

    これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。2021年『父のビスコ』で第73回読売文学賞を受賞された平松洋子さん。おいしそうな食エッセイや楽しい読書エッセイを多く発表されているが、何度も読み返しているのがこの本。読むと買い物がしたくなる。フードジャーナリストの著者が出会った品々を愛を込めて語る買物エッセイ。単行本化された6章(「オンナを上げます」、「きれいのためなら」、「生ツバ、ごくり」、「失敗してこそ...

  • 「おばあちゃん」のイメージが覆る?「おばあちゃん姉妹探偵① 衝動買いは災いのもと」

    これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。作家で詩人、ピューリッツァー賞候補にもなった著者のアガサ賞受賞作がこちら。格式が高い作品?と思いきや、予想を裏切るズッコケぶりが楽しいミステリ。パトリシア・アンは身長154センチ、体重48キロ、60歳の元教師。夫のフレッドとは40年間連れ添っている。65歳の姉メアリー・アリスは身長178センチ、体重113キロで3人の夫に死に別れた。家で出産していなければ、病院で取り違え...

  • 「キュン」のある毎日を大事にしたい「好きになってしまいました。」

    これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。「風が強く吹いている」、「神去なあなあ日常」、「舟を編む」など、独自の視点で描かれた三浦しをんさんの作品を欠かさず読んできた。無類の本好き、マンガ好きとしても知られる著者の最新エッセイを久しぶりに発見し、思わずサイン本を購入。2012年から2022年のあいだに、いろいろな雑誌・新聞で書いたエッセイを一冊にまとめたもの。一章は「日常の中の美」をテーマにした比較的新...

  • これぞ不朽の名作ミステリ「ナイルに死す」

    これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。アガサ・クリスティーが「外国旅行物」の中でもっともいい作品のひとつと考えていた本作。数々の映画やドラマになり、日本を含む各国で舞台化された。社交界の花形であり財産家でもあるリネットとその夫サイモン。エジプトをハネムーン中の2人をつけ狙うのは、サイモンの元恋人のジャクリーン。ナイル河観光船の中でそんな3人の関係に気づいたポアロはジャクリーンに忠告するが、忠告...

  • 古きよき時代のグランドホテル・ミステリ「メナハウス・ホテルの殺人」

    これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。アガサ賞といえば、アガサ・クリスティに敬意を表したミステリ文学賞。長編賞、歴史小説賞、短編小説賞と並んで、優秀なデビュー作に与えられるデビュー長編賞がある。これは、異色の経歴を持つ著者の2020年最優秀デビュー長編賞受賞作。時はアメリカ禁酒法時代の1920年代、若くして戦争未亡人となったジェーンは、叔母のつきそいでピラミッドを見渡せるカイロのメナハウス・ホテルに...

  • ロマンチックな古い橋「死ぬまでにやりたいことリストVol.2 恋人たちの橋は炎上中!」

    これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。70代のシニア女性たちの「死ぬまでにやりたいことリスト」を題材にしたミステリの2作目を読んでみた。探偵役のシャーロットの「セクシー写真を撮る」という夢のために訪れた古い橋で事件に巻きこまれるメンバーたち。さて、どうなる?「屋根付き橋フェスティバル」でにぎわうインディアナ州パーク郡のローズヴィル橋。主人公フランシーンと夫ジョナサンのロマンチックな写真を撮るた...

  • 人生が完成する日とは「ふたりからひとり ときをためる暮らし それから」

    これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。愛知県春日井市にある高蔵寺ニュータウン。昭和43年に開発されたその町の、自然と融和したコンセプトに感動した。その建設に携わったつばたしゅういちさんとその妻英子さんのライフスタイルはドキュメンタリー映画にもなった。この本には、90歳で亡くなったしゅういちさんの生前の言葉やその後の英子さんの暮らしが描かれている。造成地に建つ丸太小屋が2人の住居。広い庭と畑があり...

  • ありそうでなかったヒストリカル・ミステリ「侯爵さまがあやしいです」

    これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。「ヒストリカル」といえばロマンス小説の分野ではファンも作品も多いが、ミステリ作品は案外少ないのでは。今からは想像できないほど身分が厳しかった時代のミステリとは? さっそく読んでみた。ベアトリスは幼少期に両親を亡くして、叔母の家に居候中。20年に及ぶ居候生活ですっかり引っ込み思案になった結果、26歳の今は世間でいう「行き遅れ」に。そんなある日、叔母の学友である...

  • 老後も人次第?「ここが終の住処かもね」

    これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。久田恵さんといえば『フィリッピーナを愛した男たち』で大宅壮一ノンフィクション賞を受賞したノンフィクションライターだが、近年は都会を離れ、自然豊かな土地のサ高住にお暮しになっているはず。その経験で書かれたに違いない本書、興味津々で読んでみた。70代の主人公カヤノは、仕事で訪れた風光明媚な丘陵地の「サ高住」が気に入り住人となった。入居金は亡父のホーム退所金を充...

  • ザ・推理小説「皇帝のかぎ煙草入れ」

    これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。ミステリといえば、ジョン・ディクスン・カーを忘れてはならない。英ミステリの女王クリスティに「このトリックには脱帽」と言わしめた名作を新訳で読んでみた。不実な夫ネッドとの離婚を果たし、フランスの避暑地に暮らすイギリス人女性イヴ。向かいの家の一家と懇意になり、息子のトビーと婚約する。ところが、トビーの父親であるサー・モーリスが殺害された夜、寝室に前夫が忍び込...

  • 受けつがれる「思い」とは「よき時を思う」

    これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。これまでずっと読みつづけている作家は何人かいるが、この方もそのひとり。久しぶりに新刊が出たので、さっそく読んでみた。29歳の綾乃は、90歳になる祖母の徳子から赤銅色の端渓の硯を譲られる。16歳で最初の結婚をした徳子は結婚後わずか2週間ほどで出征した夫を失い、教師となったあと綾乃の祖父と再婚した。逸品の硯ばかりでなく、来歴を持つさまざまな品物を孫たちに譲り始めた...

  • 波乱万丈の人生もお風呂があれば大丈夫「湯あがりみたいに、ホッとして」

    これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。人の職歴はさまざま。たまに、「え、それはまたどうして?」と思うような経歴の人を見かけることがあるが、この本の著者もそのひとり。有名大学の大学院で建築を学んだあと、設計事務所で建築家を目指していた著者が、銭湯の番頭になったいきさつを知りたくて読んでみた。双葉社の文芸総合サイト「カラフル」に掲載されたエッセイを書籍化したもの。「銭湯編」「生活編」「サウナ編」...

  • シニア女子のバディ・ミステリ「死ぬまでにやりたいことリストvol.1 真夜中の女子会で事件発生!」

    これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。「死ぬまでにやりたいことリスト」をテーマにした作品はけっこう多い。これもそのひとつ。ブリッジクラブの平均年齢70代の5人が事件にアプローチしていく。ご近所の仲良しグループ「サマーリッジ・ブリッジクラブ」の5人は、12年前、60歳になった記念に年齢と同じ60個の「死ぬまでにやりたいことリスト」を作成。以来、ひとつずつ達成してきて、残ったのは人に言えない恥ず...

  • 翻訳が待ちきれない!「マクベス巡査シリーズ1 ゴシップ屋の死」

    これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。2019年に世を去ったスコットランド生まれの作家、M・C・ビートン。「アガサ・レーズンシリーズ」で日本に紹介された彼女の、もうひとつの代表作がこちら。BBCスコットランドの人気ドラマシリーズ第1作ということで、さっそく読んでみた。ハイランド北部の村、ロックドゥ。その村のホテルでは、ジョンとヘザーのカートライト夫妻によるサケマス釣りスクールが開催されていた。各所か...

  • これを読めばあなたも楽観主義者?「オプティミストはなぜ成功するか」

    これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。これまでに何度も読み返した本がいくつかあるが、これもそのひとつ。一世を風靡した世界的ロングセラー。現在は新装版がパンローリング社のフェニックスシリーズで読める。「フロイト以来の革命的理論家」と評された心理学者のマーティン・セリグマンが豊富な研究成果をもとに楽観主義の力を解き明かした。失敗や拒絶にめげす生きていける人がいるのはなぜか、また、挫折に遭うと長い...

  • 贅沢は金をかけるにあらず?「貧乏だけど贅沢」

    これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。バックパッカーのバイブルとなった「深夜特急シリーズ」の著者、沢木耕太郎。そのほかにも、さまざまな作品を発表しているが、中でも一番好きで読み返すことが多いのがこの本。これを読むと旅に行けなくても行った気になり、そしてまた旅に行きたいと思う。旅における「贅沢な時間」をめぐって10人と語りつくした対談集。井上陽水、阿川弘之、高倉健、群ようこ……。何より読んで面白く...

  • これもちゃんとしたミステリでした「事件当夜は雨」

    これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。以前「失踪当時の服装は」で感心したフェローズ署長の警察小説シリーズ。宮部みゆきさんの推薦文「落ち込んだときに取り出しては読み返す、暗夜の灯台のような作品。」に惹かれて読んでみた。どしゃぶりの雨の夜に訪ねてきた男は、「50ドルの貸しがある」と言って被害者を撃った。恨みによる犯行と見えた事件は解決が容易と思われた。しかし、フェローズ署長とウィルクス部長刑事の捜...

  • 巨匠の名作を新訳で「連続自殺事件」

    これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。最近、古典の名作を読むことにハマっている。この本もそのひとつ。以前読んだことがあるが、新訳でまた読んでみた。歴史学者のアラン・キャンベルは遠縁の親戚が亡くなったことで家族会議に呼ばれ、スコットランドに向かう。途中、列車のコンパートメントで出会ったのは、なんと新聞で議論を戦わせていたK・I・キャンベル。実は女性で、彼女も家族会議に呼ばれていたのだ。たどり着い...

  • マンドリンの秘密「Yの悲劇」

    これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。エラリー・クイーンの数ある作品の中で、おそらく知名度第1位のこの本。だいぶ昔に読んだきりだったので、新訳出版を機に読んでみた。名門ハッター家の当主で化学者のヨーク・ハッターがハドソン川から遺体で発見された。自殺とみられたその事件の2ヶ月後、ヨークの娘ルイザの飲み物に毒物が混入される。狙われたのはルイザと思いきや、今度はヨークの妻でハッター家を牛耳っていた...

  • 今日も自分の幸せを考える「今日はいい天気ですね れんげ荘物語」

    これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。無職のまま、月10万円の生活を続けるキョウコが主人公の「れんげ荘物語」シリーズ第7弾がこれ。オビの「幸せは、ひとそれぞれ。」というコピーが心に沁みる。究極の癒し本。有名企業を自主的に早期退職したキョウコ。近所の小学生から「たおれ荘」と呼ばれる古いアパート「れんげ荘」で貯金を切り崩しながら暮らしている。2人の隣人、自由なクマガイさんと田舎との二拠点生活をして...

  • 最後の謎を解くのはあなた!「名探偵のままでいて」

    これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。毎年、話題作を世に送り出している『このミステリーがすごい!』大賞。その21回大賞受賞作がこの本。認知症の祖父が探偵役と知って、さっそく読んでみた。かつて小学校の校長として『まどふき先生』と呼ばれ慕われていた楓の祖父は、レビー小体型認知症に罹患して時々幻視を見るようになっていた。それでも、かつての祖父を取り戻したいと楓が持ち込むさまざまな謎を鮮やかに解いてみ...

  • ニューヨークの必殺仕事人「ミス・メルヴィルの後悔」

    これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。1990年頃アメリカでたくさん出版された女性が探偵役のミステリ。同時代に発表されたこちらの主人公は、なんと殺し屋。富豪の生まれでありながら、射撃の腕を生かして存在しないほうがいい人物だけをターゲットにするミス・メルヴィルは当時とても斬新だった。名家の生まれだが、父親が財産を持って失踪してしまったミス・メルヴィル。唯一の収入源、美術教師の職を失いもはやこれまで...

  • ”捜索者”は何を探しているのか「捜索者」

    これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。今まで読んだことのない作家の本を読むのは楽しい。これは米英の年間ベスト・ミステリに選出された一冊。「本の雑誌」が選ぶ2022年上半期エンターテインメント・ベスト10の第1位に輝いた。元シカゴ警察の警官カルは、離婚後、アイルランド西部の小さな村に廃屋を買い、修理しながら暮らしている。隣人のマートや雑貨屋のノリーンは何かとおせっかいだ。あるとき誰かに見られていると...

  • 復刊本は意外にも女性が活躍していた「毒を食らわば」

    これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。年末年始はゆっくり読書をするのに最適な時期。2021年の復刊フェアで復活したセイヤーズのこの本は、意外にも女性が活躍していた。推理作家のハリエット・ヴェインは恋人をヒ素で殺害した容疑で被告人となった。起訴の理由はハリエットが恋人と別れたことと偽名でヒ素を購入したこと。さらに、ハリエットと会った時間以外に被害者が毒を摂取する機会はないようだ。この圧倒的に不利な...

  • 本ができるまでにはいろいろな人が関わっていると実感「文にあたる」

    これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。石原さとみ主演でドラマ化された「校閲ガール」で注目を浴びた校正の仕事。あまり知られていなかった校正の世界を著者の体験を通じて教えてくれる貴重な本がこちら。これまでお世話になったこともあるが、あの鉛筆書きの背景にこんな苦労があったとは。気づかずすみませんでした。白地に原稿用紙のようなマス目。シンプルな黒い文字でタイトル。清涼な印象を与える1冊。日本の校正の...

  • 2022年のベスト本を考えてみた

    これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。2022年も明日で最後。今年も1年いろいろあった。数えてみると、ここまで読んだ本は168冊。以前に読んだ本の再読も含めると総数は200冊ほど。行く年を振り返りつつ、今年出版された本の中からベストを選んでみた(出版月順)。<ミステリ部門>死の味 上・下 P・D・ジェイムズ 青木久惠訳 ハヤカワ文庫今年はP・D・ジェイムズのよさを再発見。ダルグリッシュ警部シリーズを全作再...

  • ぼんやり見ていてすみませんでした「フィギュアとは”生き様”を観るスポーツである!」

    これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。すっかり過去の記憶となった北京オリンピック。今年、突如競技に復帰して周囲を驚かせた織田信成選手が書いたこの本、スケート愛が詰まっていて学びが多い。プロフィギュアスケーターで、解説やタレント業でも活躍している著者が「フィギュアスケートの魅力を全方位解説!」した2冊目の著書。平昌から北京までの4年間で変わったこと、日本フィギュアスケートの礎を作った選手たち、...

  • フランスミステリの白眉?「黄色い部屋の謎」

    これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。最近、昔読んだミステリの古典を読み返している。江戸川乱歩が選んだ探偵小説黄金時代のベストテンの第2位にランクインしたこの本、横溝正史の「本陣殺人事件」はじめ、さまざまな作品に影響を与えたフランスの密室ミステリだ。フランスの古城グランディエ城の離れで、高名な科学者スタンガルソン教授の令嬢マティルドが襲われた。ところが、「黄色い部屋」と呼ばれるその部屋は窓に...

  • クリスマスにおすすめ「雪の夜は小さなホテルで謎解きを」

    これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。クリスマスを扱ったミステリはいくつかあるが、これは大人も子供も楽しめる本。雪に閉ざされる地方の人も、そうでない人も、ひととき雪のホテルの滞在客気分を味わえることうけあい。今日からクリスマス休暇。両親の営む小さなホテルにはこの時期にはひとけがない。12歳のマイロは両親と過ごすクリスマスを楽しみにしていた。ところが、今年に限って5人の宿泊客が訪れる。その誰もが...

  • トンデモ警部のクリスマス「クリスマスのフロスト」

    これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。もうすぐクリスマス。この時期になると読みたくなる本が何冊かあるが、これもその1つ。1994年度にミステリランキングで1位を獲得した「不屈の仕事中毒にして下品きわまる名物警部フロスト」のデビュー作だ。ロンドンから100㎞以上離れた田舎町デントン。そこでクリスマスだというのに次々と起こる怪事件。8歳の少女が姿を消したかと思うと、だれかが銀行の玄関をかなてこでこじあけよ...

  • ブッククラブ新刊は豪華クルーズの旅「危険な蒸気船オリエント号」

    これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。オーストラリア発ミステリ第2弾は、豪華クルーズ船での事件を扱ったもの。その名も「オリエント号」とくれば、さっそく読んでみたくなる。前回ブッククラブメンバーの殺人事件を解決したアリシアとその他の面々。今度は、メンバーの1人アンダースが船医を務めることになった豪華クルーズに格安で参加することに。現代によみがえった蒸気船オリエント号の船上では、盗難や乗客の行方不...

  • 新ジャンルを作った記念作「失踪当時の服装は」

    これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。海外の警察小説といえばエド・マクベインの72分署シリーズなどが思い浮かぶが、これは1952年に「警察捜査小説」というジャンルを生みだした記念的作品。その新訳版を読んでみた。1950年3月、アメリカのマサチューセッツ州にあるカレッジから1人の女子学生が姿を消した。周囲の聞き取りに失踪の理由は浮かばない。地元警察署長で叩きあげのフォードは、部下とともに地道な捜査を開始す...

  • 断捨離は永遠の課題「たりる生活」

    これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。累計34万部と多くの読者に支持されている群ようこさんの「生活」シリーズ。第5弾となる本作では前期高齢者となった群さんが愛猫を見送ったあと、一人暮らしには大きすぎる部屋から引っ越すことになる。興味津々で読んでみた。ひとつの階に2部屋だけのマンションに住んで27年。愛猫「しいちゃん」を見送っていよいよ引っ越すときが。「高齢者」となっての家探し、ダインサイジングのた...

  • たまには古典も「赤毛のレドメイン家」

    これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。江戸川乱歩が選んだ探偵小説黄金時代のベストテンの堂々第1位がこちら。1922年刊行の古典作品を新訳で読んでみた。ふつうならあらすじが書いてある開きの部分に、乱歩による解説が載っているところも力が入っている。さすが創元推理文庫創刊60周年記念作品。スコットランドヤードの刑事ブレンドンは、日暮どきのダートムアの荒野で1人の女性と出会い、恋に落ちる。その数日後、助けを...

  • 待望のバディ・ミステリ第3弾!「疑惑の入会者」

    これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。第二次大戦後のロンドンで、女性2人が経営する結婚相談所をめぐるミステリ「ロンドン謎解き相談所」シリーズの第3弾がこの本。「世界を人でいっぱいに!」を合言葉に、2人は今日もマッチングと謎解きに励む。元スパイのアイリスと、上流階級出身のグウェンが営む<ライト・ソート結婚相談所>に、初のアフリカ系の相談者がやってきた。しかし、人に対する直観が鋭いグウェンは、そ...

  • 「よしなしごと」はきっと大事「これでよろしくて?」

    これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。谷崎潤一郎賞受賞作「センセイの鞄」を始め、これまでにない視点で描く物語が魅力の著者の「ガールズトーク」小説がこちら。元カレの母親と再会する場面から、予想できない展開になるのは著者ならでは。上原菜月38歳。結婚してもうすぐ8年目、専業主婦として商店街の「主婦のけもの道」を毎日回る日々。そんな「けもの道」巡りで元カレの母親である「土井母」と出会った菜月は、『こ...

  • 英国ミステリファンならおさえておきたい「ウィンダム図書館の奇妙な事件」

    これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。数々の作品の舞台となったケンブリッジ大学。そのカレッジにある図書館での事件となれば、英国ミステリファンなら読んでみたくなる。その図書館に、寄付した故人の指定したおかしな規約があると聞けばなおさらだ。イモージェンは、ケンブリッジ大学の貧乏学寮セント・アガサ・カレッジのカレッジ・ナース(学寮付き保健師)。今日も学生や教師が不調を訴えてやってくる。学寮の資金繰...

  • やっぱり名作 クロフツの「樽」

    これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。たまに読み返したくなるミステリの名作。江戸川乱歩が選んだ探偵小説黄金時代のベストテン9位にランクインしたクロフツの「樽」。ほんとうに久しぶりに新訳で読んでみた。彫像入りとしてパリから発送された頑丈な樽。汽船の荷揚げ中に破損した樽の中には女性の死体が? 受け取りに来たのはフランス人らしい髭の男。スコットランドヤードのバーンリー警部は樽の行方を捜査する。事件...

  • 「あの作家」が書いたほっこり小説「文庫版オジいサン」

    これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。京極夏彦といえば、『百鬼夜行シリーズ』、『巷説百物語シリーズ』など、ちょっとおどろおどろしい作品の印象が強い。独特の世界観は唯一無二だが、その著者が書いた「ほっこり小説」がこれ。解説の宮部みゆきさん曰く、「すごく面白い。続きが読みたい!」 はい、同感です。72歳の徳一は定年退職後、公団アパートで一人暮らし。ある朝、公園で呼びかけられた「オジいサン」という声...

  • 斬新な女性探偵登場「幸運は死者に味方する」

    これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。アメリカでは戦時中、男性が戦地に送られたため、不足の労働力を女性が補っていたという。マドンナも出演した映画「プリティ・リーグ」では、女性のプロ野球リーグがテーマだった。この本は、そんな時代を背景にしたミステリだ。酔って暴力を振るう父親の元を逃げだし、サーカス団員になったウィルは、ある事件をきっかけにニューヨークきっての女性探偵リリアン・ペンテコストと知り...

  • プーさんだけじゃない! ミルン「赤い館の秘密」

    これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。A・A・ミルンといえば、「クマのプーさん」。そのミルンが書いた長編探偵小説がこちら。江戸川乱歩が選ぶ探偵小説黄金時代のベストテンの中にも選ばれ、英国ミステリの層の厚さを感じさせる一冊。田舎の名士、マーク・アブレットの屋敷で発せられた一発の銃声。たまたま屋敷に滞在中の友人べヴァリーを訪れたギリンガムは、マークの従兄弟のケイリーとともに死体を発見する。その日は...

  • おばあちゃんは、あなどれない「静子の日常」

    これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。この人の小説には常に不穏な気配がある。直木賞受賞後に書かれた長編小説、75歳の静子の一見穏やかな日常を描くこの本にも、見た目とは違う意外なものが潜んでいる。宇陀川静子、75歳。1年と少し前に夫を亡くし、今は息子夫婦、高校生の孫とともに郊外に住む。最近、バスですぐ近くのフィットネスクラブでスイミングを習い始めた。スクールの貼り紙、息子や孫の隠しごと、人のうわさ...

  • たしかにみんなこんな感じだよね 「三人の名探偵のための事件」

    これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。これまで名作のパスティーシュは数々行われてきたが、どれも作者の趣向が凝らされていて面白い。この本は、英国ミステリに名だたる名探偵3人と村の巡査部長がひとつの事件を捜査する仕立てが格別。サーストン家のウィークエンド・パーティの夜、女主人メアリーが殺害される。悲鳴を聞きつけて一同が駆けつけると、扉には閂がかかり、窓は開いていたが地面に足跡はない。不可能犯罪の...

  • ホントに「若気の至り」? 「ウッドハウス名作選 アーチー若気の至り」

    これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。エリザベス女王はもとより、日本の王室にも愛読者が多いと言われるウッドハウス。これまで、バーティとその執事ジーヴスやドローンズクラブの面々など、さまざまな(おバカ)キャラが作品に登場してきた。本作のアーチーもキャラではひけをとらない。さらに、唯一の既婚者という。第一次大戦に従軍し、英国に戻ったアーチー。つぶしが効かないため親族からアメリカ行きを命じられ、ニ...

  • 期待を裏切らない続編「木曜殺人クラブ 二度死んだ男」

    これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。2020年9月に本国英国で刊行後、累計600万部突破の世界的ベストセラーとなり、日本では2021年9月に翻訳出版されて各誌で話題を呼んだ「木曜殺人クラブ」の第2作がこちら。1作目はリタイヤメントホーム内部の事件だったが、今回はスパイにマフィアとグッとスケールが大きくなった。相変わらず過去の事件を検証する「木曜殺人クラブ」の4人(平均年齢76歳)。ところが、リーダーのエリ...

  • 『名探偵ポワロ』は世界屈指の”メイドもの”だった!?「『名探偵ポワロ』完全ガイド」

    これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。世界中で視聴されつづけるクリスティーの『名探偵ポワロ』シリーズ。デビッド・スーシェが出演した全70話を徹底解説したこのガイドブックはファン必見。著者は英国文化研究家。著書の『英国メイドの世界』にも興味があるが、本作はポワロ作品を1作ごとに見開きページで解説。合間には著者の専門である英国文化のレクチャーつき。家事使用人の服装や立場、ポワロと家事使用人の関係な...

  • 移民王国アメリカは奥が深い「ビール職人の醸造と推理」

    これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。地方によって文化は異なる。国内で時差があるアメリカであれば、その違いも大きい。この本の舞台は、ドイツ移民が作った実在する町ワシントン州レブンワース。日本でもはやりのクラフトビールが名物の町で事件が起きる。南ドイツに似た風景の町レブンワース。夫の一家が経営するブルワリーでビール職人をするスローン。仕事や高校生の息子の子育てに追われるある日、夫マークの浮気の...

  • オビ文句がすばらしい「こう見えて元タカラジェンヌです」

    これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。未知の世界、宝塚。特にファンではないが、テレビなどで演目が放映されると見入っている自分がいる。なんといっても華はやっぱり男役。見とれるほどに、りりしくかっこいい。それとは一味違う、バッチリ宝塚メイクに角刈りの表紙に思わず手に取ったのがこの本。「見たくなくても あなたの瞳にダイビンク☆」 2021年初頭にAmazonランキング第1位を獲得した、元タカラジェンヌの「た...

  • たしかにポワロの回想録と間違えそう「ポワロと私 デビッド・スーシェ自伝」

    これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。アガサ・クリスティーのポワロといえば数々の名優が演じてきたが、なんといっても決定版はデビッド・スーシェのポワロ。ポワロが登場する70作品をドラマで演じきったスーシェの貴重な自伝がこの本。索引も含めおよそ380ページの本書。ポワロの死を描いた「カーテン」の撮影エピソードを幕開けに、25年に及ぶ70話の撮影秘話とスーシェの俳優人生を語っていてポワロファン必読。巻末に...

  • 希望を捨てずに生きていく「一橋桐子(76)の犯罪日記」

    これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。ちょっとひねった作品がクセになる原田ひ香。最近NHKでドラマ化されたこの本は、貧困高齢者の問題を扱っていて、とても他人事とは思えない。この問題に作者が与えた解とは?76歳の一橋桐子は、身寄りもなく、一緒に暮らしていた親友の知子にも先立たれる。そのうえ、香典泥棒に知子の香典などを盗まれてしまう。いろいろなことが重なって将来を悲観した桐子は、ニュースで生活苦で刑...

  • ずっと読み継がれてほしい「戦争とおはぎとグリンピース」

    これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。今年はウクライナで戦争が始まり、ものの値段も上がって何かと落ち着かない。この本は、日本の敗戦から9年後の1954年に、西日本新聞が女性読者に向けて「婦人の真実の声」を呼びかけた投稿欄「紅皿」をまとめたもの。ここにあるのは、あなたやわたしと変わらない当時のふつうの人の声だ。「紅皿」欄誕生から10年間に寄せられた約3千もの投稿の中から、「時代や空気のにおいまでが伝わ...

  • ストレスってなんだっけ? 「幸せってなんだっけ? 世界一幸福な国でのHuggeな1年」

    これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。オビの「デンマーク人はストレスという言葉を知らない。」という言葉が衝撃的なこの本。欧州委員会で幸福度が40年連続でトップというデンマーク(確かアジアにもそんな国が)。「幸福度」が高いのはいったいなぜ?著者はイギリス人ジャーナリスト。夫の転職をきっかけにデンマークに住むことになった。1年を通じて調べた「幸福の理由」が月ごとに紹介されていく。そういえば、ベーカ...

  • シングルマザーの夢物語? 「サスペンス作家が人をうまく殺すには」

    これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。本国で10万部突破したという本書。タイトルは「サスペンス作家」となっているが、主人公の属性としては「シングルマザー」が強し。こんなに売れたのは、育児に家事にストレスまみれの女性たちの心に届いたからなのでは?売れない作家フィンレイは、2人の子供を育てるシングルマザー。浮気されて別れた元夫の家に家賃を払って住みつつ、日々の払いや子供の世話に追われ、おかげで今日...

  • こうもり傘探偵再登場!「ミス・シートンは事件を描く」

    これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。第1作が衝撃の面白さだった本シリーズ。本国英国では3人の作家が書き継いで20作を超えるが、邦訳はたったの2冊だけ。その2作目もさっそく読んでみた。まだ美術教師を退職してプラマージェン村に移住する決心のつかないミス・シートン。復活祭の休暇で村にやってきた。頼まれて村の少女の絵を描いてみると、なぜかデス・マスクになってしまう。何かの病気?と悩むミス・シートンに、...

  • ちっぽけな細胞=自分が変われば世界が変わる?「たとえば、葡萄」

    これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。コロナを機に自分の生き方を見直した人も多いはず。作家生活30周年を迎えた作者の描き出す選択はどんなものか、読んでみた。26歳の美月は大手化粧品会社をなんのあてもないまま退職し、母の友人である市子の家に転がり込む。そこへ始まるコロナ禍。働き口のないまま、美月はこれも母の友人である、まりの住む山梨に行き、そこでぶどう農家を手伝うセブンと再会し……。正直、あらすじを...

  • 「ワニ町」シリーズ作者の別シリーズ読んでみた「Trouble in Mudbug」

    これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。ルイジアナ州の小さな町、シンフルを舞台に2人のタフな高齢者とCIAエージェントのドタバタを描く「ワニ町」シリーズ。その作者、ジャナ・デリオンのロマンス小説(!)を読んでみた。なんとこれが、ゴーストものなのだ。植物学者のマリーゼ・ロビショーは、2年前に失踪した夫の残した借金を返しつつ、調査先のバイユーでガンの特効薬となる薬草をひそかに探している。夫の母親が急死...

  • そんな自分を愛しましょう「すべて忘れて生きていく」

    これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。はじめて著者の「生きていてもいいのかしら日記」を読んだのは、いつだったろう? 自分とのギャップにため息をつくようなステキなエッセイがあふれる中、こんな自分でもいいんだね!と思わせてくれた。40代(当時)独身・趣味昼酒の著者が、さまざまな媒体に執筆したエッセイをまとめた「珠玉のエッセイ集」。日常の気づき、相撲への偏愛、読書や食に関するエッセイに加えて、掌編小...

  • もっと早く気づけばよかった面白本「こうもり傘探偵① 村で噂のミス・シートン」

    これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。新しい「面白本」の発見は何よりもうれしい。この本は「楽天ブックス」のおすすめで見つけたもの。なぜもっと早く気づかなかった!と思いつつ読んでみた。ロンドンで美術教師をしているミス・シートンは、名づけ親が遺してくれた田舎のコテージに休暇で出かける前夜、殺人事件に遭遇。そうとは知らずにこうもり傘で撃退したうえに、似顔絵で犯人を特定したお手柄にマスコミは大喜び。...

  • 永遠の愛読書「おねえさんといっしょ」

    これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。子どものころから繰り返し読みつづけている本がある。この本もそのひとつ。たっちゃんとおにいちゃん、それにおねえさんの日常がいとおしい。やんちゃなたっちゃんは、しっかりもののおねえさんと小学4年生のおにいちゃんとおとうさんの4人暮らし。おにいちゃんは少しずるがしこく、まだ学校に行かないたっちゃんは毎日おねえさんとすごしている。今日も学校から帰ったおにいちゃん...

  • 今回も面白かった「ワニ町シリーズ」新刊 「どこまでも食いついて」

    これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。今年ハマって読みつづけているジャナ・デリオンの「ワニ町シリーズ」。待望の第5作が翻訳出版されたので、さっそく読んでみた。フォーチュンが保安官助手のカーターとのロマンチックなデートにこぎつけた翌朝、シンフル・レディース・ソサエティの宿敵シーリアが町長選挙に立候補したとの連絡が。それだけでなく、なんと調査に出たカーターが銃撃されたという。どうやら、シンフルで...

  • 翻訳出版されなかった1作目を読んでみた「DOUBLE BOOKED for DEATH」

    これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。先日読んで面白かった、アリ・ブランドンの「書店猫ハムレットシリーズ」。実は、シリーズ6作のうち、日本語で出版されているのは5冊だけ。翻訳されていない1冊目を読んでみた。主人公ダーラが、大伯母のディーからブルックリンの書店を相続して半年。書店猫ハムレットを始め、店の「資産」にようやくなじみはじめた。そんな中、店では主人公が幽霊になって高校の事件を解決する

  • 幸せってきっとこういうことだよね? 「せきれい」

    これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。庄野潤三といえば、遠藤周作などと並ぶ「第三の新人」の1人。その晩年に描かれたこの作品を読むと、いつのまにか呼吸がゆっくりと深くなる。タイトルの「せきれい」は、ブルグミュラーのピアノ練習曲。本作は、妻が通うピアノ教室の「姉弟子」である絵里ちゃんとお母さんが、函館のお土産を持って庄野家を訪ねてくるところから始まる。手近なおいしいものを食べ、季節の移ろいを楽し...

  • 働くってどういうこと? 「定年就活 働きものがゆく」

    これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。書店で「60歳の就活サバイバル小説!」というオビの文句と、作者名で即買いしたこの本。「うっかり定年退職してしまった」らしい主人公の就活とは? 興味深々で読んだ。株式会社オジン(小川甚五郎が創業した総合商社)の北関東支店で経理係長を務める妙子は、高卒で就職して42年。定年後も継続して働くはずだったが、後輩女子たちにトイレで「オババ」と陰口をたたかれ、さらに同期...

  • ネコのほうが探偵向き? 「書店猫ハムレットの跳躍」

    これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。猫が探偵役といえば、日本では赤川次郎「三毛猫ホームズ」シリーズ、海外ではリリアン・J・ブラウンの「シャム猫ココ」シリーズが思い浮かぶ。確か、両方とも雌猫だったはず。しかし、本作のホームズは、アメリカン・ショートヘアの雄猫だ。伯母からニューヨークの書店を相続したダーラ。書店には黒猫ハムレットと、地階の借家人ジェイクも付いてきた。えり好みの激しいハムレットの...

  • ロンドン郊外のおばちゃん探偵団「マーロー殺人クラブ」

    これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。書店をぶらついていて、ふと目についた本。それが面白かったときのオトク感ときたらハンパない。この本もそれ。萌黄を基調にしたアースカラーのカバーの絵もナイス。77歳のジュディスは、伯母の遺した家で誰に気づかうこともない一人暮らしを満喫している。暑い夏の夜は目の前の川を裸で泳ぐことが日課。その日も泳いでいると、隣家で銃声が。警察に通報したが真剣に捜査しているとは...

  • 読めば納得のタイトル?「ど田舎警察のミズ署長はNY帰りのべっぴんサ。」

    これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。「都会」とのギャップがミステリの題材に事欠かない、アメリカの「田舎」。そんな田舎町マゴディを舞台に女性署長が奮闘(?)するジョーン・ヘスのこのシリーズは本国では16作に及ぶが、日本での刊行は初めの3作のみ。インパクトのあるタイトルが誤解を生んだ?NYからUターンし、故郷マゴディ(人口755人)の警察署長になったアーリー。記憶に残る大きな事件と言えばボヤくらいのこ...

  • 謎と事件の宝石箱?「日曜の午後はミステリ作家とお茶を」

    これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。「隅の老人」やホームズものなど、探偵の推理を語り手が描写するミステリは多いが、語り手本人が謎を解く連作ミステリは少ない気がする。この本は、アルフレッド・ヒッチコックス・ミステリ・マガジン(AHMM)に掲載された短編を集めたもの。しかも翻訳者の「持ち込み企画」だったというから、これは読むしかない。ミステリ作家のシャンクスは、「事件を解決するのは警察だ。ぼくは話...

  • 笑った! それも何回も!「生きるか死ぬかの町長選挙」

    これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。第1作を読み、はまってしまって既刊4冊を一気読みしてしまった「ワニ町」シリーズ。本国では20冊以上を重ね、舞台であるルイジアナ州シンフルのサイトもあるらしい。1作目もよかったが、中でも一番笑えたのがこの第3作。第2作で町長不在となったシンフル。町長選挙が行われることになり、<シンフル・レディース・ソサエティ>のリーダー、アイダ・ベルが立候補した。対立候補テッ...

  • こんなことも京都なら納得 「一(にのまえ)教授はみえるんです」

    これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。府外、特に関西圏以外に住む者にとって、まさに異世界と言ってもいい京都。何があってもおかしくなく、また、あってほしいあこがれの地。「京都」をテーマにした本はつい素通りできないが、この本は癒し系で著者買い。京都の女子大で教鞭を取る一(にのまえ)凛子は、外見は女子大生だが、みえざるモノが「見える」体質。愛犬「にぬき」とともに、ひそかに京都の平和を守っている。に...

  • オビに偽りなし! 待望の最新作「キュレーターの殺人」

    これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。過去2作とも新たな趣向で愉しませてくれた、M・W・クレイヴン<ワシントン・ポー>シリーズの最新作が刊行! 季節はずれではあるが、さっそく読んでみた。クリスマスの英国カンブリア州で切断された人間の指が次々と発見され、現場には″#BSC6″という謎めいた文字が。NCAの刑事ポーは、相棒ティリーとともに被害者の身元の特定を開始した。ティリーの情報分析と、ポーのカンで次々...

  • アメリカはやっぱりスケールが違う? 「ワニの町へ来たスパイ」

    これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。アメリカのミステリといえば、シカゴやニューヨークなど北部のイメージ。一方、この本の舞台は、ハリケーン襲来でよくニュースになる南部ルイジアナ州。少し前の刊行だが、さっそく読んでみた。CIA工作員のレディングは任務で追われる身となり、人口3百人のルイジアナ州の町シンフルにフォーチュンと名乗って潜伏することに。元ミスコン女王の司書という触れこみで静かに暮らすはずが...

  • 社会派? いや、本格ミステリ「Iの悲劇」

    これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。日本のミステリも面白い! 直木賞も受賞して作品にさらに磨きがかかった著者の、読み応えたっぷりの一冊を文庫版で読んでみた。舞台は、とある地方都市、南はかま市。その真野出張所で「甦り課」に勤務する万願寺は、無人になった山間の集落・蓑石に移住者を定着させるという市長肝入りのIターンプロジェクトを担当している。同僚は働く気皆無の西野課長とやる気のない新人の観山の...

  • ホロヴィッツ待望の新刊!「殺しへのライン」

    これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。待ちに待ったアンソニー・ホロヴィッツの<ホーソーン&ホロヴィッツ>シリーズ最新刊がいよいよ刊行! さっそく読んでみた。『メインテーマは殺人』刊行の前宣伝として、ホーソーンとともにチャンネル諸島はオルダニー島の文芸フェスに参加することになった「わたし」。自然豊かで見た目は平和なオルダニー島では、発電所の建設を巡って反対派と賛成派の対立が。そんな中、島の有力...

  • 本好きなら一度は思う?「増補 本屋になりたい」

    これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。「本屋になりたい」ー本好きなら一度は思ったことがあるのではないか? しかし、行うは難し。2011年に新刊書店員から古書店主に転身し、沖縄の市場に「市場の古書店ウララ」を開店した著者。『那覇の市場で古本屋』を読み、以後ひそかに注目していた。この本は、2015年出版のちくまプリマ―新書の増補版として、その後の7年間を加筆してあらたに出版された。序章から第四章までは、古...

  • クリスティー 不朽の名作「アクロイド殺し」

    これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。クリスティーの作品史上、おそらく最も論議を呼び、そして評価も高いこの作品。日本では野村萬斎主演のドラマがあるが、世界中でさまざまに脚色されてきた名作。そのトリックがフェアかアンフェアかで専門家の意見もわかれる話題作だ。キングス・アボット村の名士、ロジャー・アクロイドの刺殺体が自身の書斎で発見された。警察は、ロジャーの家族、使用人、村の名士など関係者を尋問...

  • 90歳の名探偵? 「エリザベス女王の事件簿」

    これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。英国人の王室愛はつとに有名だが、ついに90歳の女王を探偵役とするミステリまで登場。英国では10万部突破というこの作品、さっそく読んでみた。英国ウィンザー城で、宿泊晩餐会《ダイン・アンド・スリープ》の翌朝に発見されたロシア人ピアニストの死体。不名誉な事故死に見えたが、実は殺人だった。MI5がロシアの関与を疑う中、それに疑問を抱いたのはエリザベス女王。若き秘書補官...

  • MWA賞の第一作も面白かった!「見知らぬ人」

    これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。2作目の「窓辺の愛書家」を先に読んだが、MWA賞最優秀長編賞受賞作の本作も違った味わいで読み応えがあった。こちらはホラー仕立てだが、著者得意の、登場人物それぞれの視線から語られる構成が読み手を飽きさせない傑作。イギリスのセカンダリー・スクール(中等学校)タルガー校で英語教師をしているクレアは、タルガース校の元の持ち主だったホランドを研究している。ある日、ク...

  • コロンボ、古畑、そして福家?「福家警部の挨拶」

    これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。コロンボ・古畑任三郎に代表される倒叙ミステリ。ともに探偵のキャラが立っている。本では例が少ないのは、キャラ作りが難しいから? その点、このシリーズは、犯人たちのトリックと福家警部補の不思議キャラがダントツに面白い。本を愛するゆえの図書館長の犯罪「最後の一冊」、教授が過去を封じるために殺人を犯す「オッカムの剃刀」、女優同士の反目に端を発する「愛憎のシナリオ...

  • 肩の力が抜ける不思議な味わいのミステリ「窓辺の愛書家」

    これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。「本好きの老婦人の死」というオビの文句に惹かれて読んでみたところ、よい意味で期待を裏切られてうれしい驚き。前作はMWA賞最優秀長編賞を受賞しているそうだが、がぜんそちらも読んでみたくなった。本好きの老婦人ペギーが死んだ。部屋を片づけていた介護士のナタルカは、複数の推理作家が著作でペギーに謝辞を送っていることを知る。ペギーは「殺人コンサルタント」だったようだ...

  • 令和に昭和な《おばさん名探偵》「おばさん探偵 ミス・メープル」

    これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。《おばさん探偵》と言えば思い浮かぶのが、アメリカのテレビドラマ「ジェシカおばさん」。アンジェラ・ランズベリー演じるジェシカは堂々たる風情だが、このシリーズの主人公、柊子はもっと乙女チックかつオタッキーで、そこが魅力。世田谷の一等地に建つレトロな洋館。近所の小学生から魔女が住むと言われる屋敷の主、森野柊子はおっとりして世間知らずだが、実は「大河ショー和」の...

  • ちょっとダークなヒロインがクセになる「アガサ・レーズンの困った料理」

    これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。コージーミステリの主人公と言えば、善良かつ正義感にあふれたタイプが一般的。移住先で起きた事件を、「放っておけない」と仲間とともに捜査するのがよくあるパターン。しかし、このシリーズ、主人公は、ワタシやアナタと同じく欠点ありだが、いいところもないわけではないタイプというのが異色で面白い。53歳のアガサ・レーズンはPR業界を引退し、英国一美しいと言われるコッツウォ...

  • 読書会は事件の宝庫?「マーダー・ミステリ・ブッククラブ」

    これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。欧米圏で重要なコミュニティ活動のひとつである読書会。「ブッククラブ」を題材にした作品も多いが、8月刊行のこのミステリの舞台は少し珍しいオーストラリア。しかもクリスティ愛好家の読書会とくれば、読まないわけにいかない。雑誌編集者のアリシアは、職場の同僚に押しつけられた読書会になじめず、妹とともに自身の読書会を立ち上げることに決めた。その名も、「マーダー・ミス...

  • 隠れた探偵小説の名作 「フォー・ディア・ライフ」

    これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。新宿&探偵と言えば有名なのは「新宿鮫」シリーズだが、同じ新宿を舞台にした探偵もので名作だと思ったのが、柴田よしきの「花咲慎一郎シリーズ」。その第1作がこの本だ。新宿にある24時間営業の無認可保育園「にこにこ園」。その園長、花咲慎一郎は私立探偵でもある。今日も今日とて『城南探偵事務所』の下請けで少年を救いだしたり、家出少女を探したり、その一方で保育園も回さな...

  • 当然面白いゴールドダガー受賞の第一作「ストーンサークルの殺人」

    これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。2作目「ブラックサマーの殺人」を先に読み、遅ればせながらこのたびシリーズ1作目の「ストーンサークルの殺人」を読んでみたが、やはり一気読みの面白さ。停職中の国家犯罪対策庁の警官ワシントン・ポーのもとに、かつての部下で今は警部に昇進したフリンが訪ねてくる。カンブリアに点在するストーンサークルで起きた連続殺人事件の3人目の被害者の胸にポーと名前と「5」とおぼし...

  • まるでミステリ小説?「消えたフェルメール」

    これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。日本人も大好きフェルメール。30数枚しかないと言われるその作品は人気のせいか盗難も多く、中には2度盗まれたものも。ボストンのガーデナー美術館から盗まれた『合奏』は今も見つかっていない。今後、姿を現す可能性はあるのか?1990年3月、米ボストンのガードナー美術館から10数点の美術品とともに盗まれたフェルメールの『合奏』。果たして、その動機は政治的なものなのか、はた...

  • ミステリの古典ながらとぼけたユーモア「誰の死体?」

    これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。クリスティと並ぶ「ミステリの女王」といえば、ドロシー・L・セイヤーズ。そのとぼけたユーモアのセンスが光るウィムジイ卿シリーズ長編第一作がこの本。まじめな建築家がその母親と暮らすフラットの浴室で、見知らぬ男の死体が発見された。母親であるデンヴァ―先代公妃の連絡を受けた”貴族探偵”ウィムジイ卿は、友人のパーカー警部とともに、鼻眼鏡をかけただけの裸の男の正体と事件...

  • 寡作作家の14年ぶりの”新作”「それまでの明日」

    これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。ずっと読みつづけてきた原尞の「沢崎シリーズ」、2004年刊行の「そして夜は甦る」の「新シリーズ」というフレーズに続編を期待した。その”最新作”が、14年後、2018年刊行のこの本だ。11月初旬のある日、沢崎のもとを訪れた一人の紳士。調査を依頼された赤坂の料亭の女将はすでに死んでいた。依頼人が姿を消し、沢崎は金融がらみの事件に巻きこまれる。このシリーズにあらすじは無意味...

  • 続編も面白い!「優等生は探偵に向かない」

    これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。『このミス』を始め2022年のミステリランキングで上位を占めた『自由研究には向かない殺人』の続編がとうとう刊行! 続編も面白かった。前作で事件を解決し、話題の人となったピップ。今は事件に関連した裁判の様子などをポッドキャスト配信し、何十万ものリスナーを獲得している。そのネットワークを見込んだ友人コナーに兄ジェイミーの行方探しを依頼され、いったんは断ったピップ...

  • 最後の一文だけでも読む価値あり「秘密」

    これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。2014年に94歳でこの世を去ったP.D.ジェイムズの、ダルグリッシュ警視長シリーズ最終話。本作は88歳の時の作品。90歳を過ぎても作品や評論を発表していた著者の人生に対する姿勢が感じられる。視点の鋭いルポで成功したジャーナリストのローダが命を縮めることになったのは、34年間放置してきた顔の傷を治療しようとしたせいかもしれない。荘園のクリニックで手術を受けたその夜、ロー...

  • SF作家の古書ミステリ 「平成古書奇談」

    これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。書店をぶらついていて、新刊の棚で見つけたのがこの本。2019年に亡くなった、SF作家で古書愛好家の横田順彌の短編をまとめたもの。「SF界の異端児が残した古書ミステリ、初の書籍化」のオビ文句につられて手に取った。主人公馬場浩一は、フリーライターをしながら作家を目指して懸賞小説に応募する毎日。何かと相談するのは、古書店「野沢書店」の店主、野沢勝利だ。ときおり金欠にな...

ブログリーダー」を活用して、booklover55さんをフォローしませんか?

ハンドル名
booklover55さん
ブログタイトル
6000冊以上の本を読んできた。これからも読みます!
フォロー
6000冊以上の本を読んできた。これからも読みます!

にほんブログ村 カテゴリー一覧

商用