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(本話の量は文庫本換算4P程です。)東京でSEの仕事をしている俺だが、夏休みを得て今、妻と息子とともに、俺の田舎へ車で帰省の途上で、後部座席に、チャイルドシートに座ってよくしゃべる息子と適当に相槌を打つ妻。あと30分程走れば田舎の実家に到着するだろうが、中小のビルの並ぶこの大通り、平日夕方の渋滞ラッシュにはまったようで、この車の前にズラリと並ぶ車たちの流れは遅くて停車も繰り返している。まあ、渋滞もまた良い...
(本話の量は文庫本換算2P程です。)春休み、俺(稲岡良仁・大学生)は多摩の或る山奥へと天体観測に来ていた。東西南北地平線へと折り重なる山々と茂る木々の大海原のようで、そんな大海原を縫うアスファルト沿いに、俺の泊まっている宿が有って、庭の桜の木は、緑の波間にピンクの彩りを添える。深夜。俺は、片手に持てる素人レベルの望遠鏡と懐中電灯とともに、一人宿を出て、宿裏の山の頂上への土の小道を、三十分程で登りきった。...
(本話の量は文庫本換算3P程です。)囲炉裏のパチパチいう音と鍋のシュワシュワいう音を聞きながら、窓を通して真っ黒の空から銀色の雪がヒラヒラウジャウジャ止めどない景色を眺めていると、余計に暖かく感じられるのだった。普段東京で暮らす俺(米津秀行・29歳・予備校講師兼フリーライター)は、貯金に余裕が有るわけもないが、憧れの雪国へと気ままな一人旅に来ていた。旅館も多少奮発した。木造の、古くて広くて、天井の高い部屋...
(本話の量は文庫本換算3P程です。)グローバルの現代だが、ローカルな場所にのみ受け継がれているものは多々有る。幻想的かつ怪奇的なものは、特に…。深夜のヴァイオリン|風に舞う遠い遠い記憶【無料短編小説・幻想的な話・音楽】大学入学のために、俺(稲岡良仁)は、多摩地方の農村部に有るこの古いアパートに引っ越して来て、二週間になる。農村部の風景は、丘の点在する広い平野に、田畑や果樹園の広がる場所もあれば住宅街の一角...
(本話の量は文庫本換算4P程です。)俺(米津秀行・29歳)は大学時代、一時多摩市に有る木々茂る丘の寮に暮らしていたが、綺麗かつ奇妙な夜景スポットを見つけたのだった。オカルトライターの俺は、その時のことを考察しようと、思い出す。―日常の中の非日常|星降る丘の芋焼酎【無料短編小説・恋愛・幻想的な話・夜景】寮の最寄り駅付近は中層ビルが立ち並ぶ繁華街で、夜には色とりどりの灯りが思い思いに踊っているが、繁華街を抜けて東...
(本話の量は文庫本換算4P程です)大学同窓会の帰り道、秋風に吹かれながら辿り着いた府中駅南口の暗い路地の喫茶店にて、俺(精神科医・32歳)と小田は、きつめのウイスキーをゆっくりと飲んでいた。小田は「留年して俺たちより遅く卒業したお前も、ちゃんと医者になっていて安心したけど、精神神経科医だなんて何かの縁だ」と言ってグラスを口に付けてから、「相談じゃなくて他愛無い話しだから、診察料は取らないでくれ。大学時代に...
(本話の量は文庫本換算5P程です。)高層ビルの合間からスタートした新幹線の車窓だが、住宅街を縫って川を越えて、山々や田が地平線へと広がる風景へと巡った。東京の大学に通う俺だが、帰省先の田舎までは三時間以上の道のりで、これを良い機会として、幼い頃から未解決である自分の不可解な記憶について考察をしてみる。―田舎の家|見知らぬ魚たちが煌めく川【無料短編小説・幻想的な話・田舎】俺は、山間の村で、就学前から高校ま...