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昨日、桃猫が落としたらしい紙切れ。私は、木の上からそれを見つけていた。けれど運ぶには風が強すぎたので、ミュミュが代わりに小さく運んだ。私は、その位置を空から…
朝のテーブルに、折りたたまれた手紙がひとつ。昨日なくしたはずのものです。うたちゃんが空から見つけてきたのか、ミュミュが耳で器用に運んできたのか。ふたりは知…
陽が高くなったころ、森のはずれで若い鹿が草の上に横たわっていた。私は彼を驚かせぬよう、旋回の高さをさらに上げる。見下ろすと、鹿の耳がぴくりと動き、私の気配を…
閉店前、本屋の灯りをランプに切り替えると、ほのかなオイルの香りが、空気にじんわり広がっていきます。昼間のざわめきが少しずつ静まり、紙の匂いと木の床の音だけ…
森の中心にある大きな古木。その枝々には、朝になるとリスたちが現れる。私は空を旋回しながら、彼らの間をすり抜ける。リスたちは驚くことなく、むしろ楽しげに尾を振…
朝、ひんやりした空気のなかでくしゃみをひとつ。するとミュミュが、そっと紅茶のカップの隣に、ふわふわのストールを添えてくれました。「たおまお、冷えちゃだめ」…
森の奥へ入ると、朝露をまとった草原に、小さな白いウサギがいた。彼は私の羽音に気づくと、ぴくりと耳を立てたが、逃げることはなかった。私は高く飛ぶことをやめ、あ…
く 新しく届いた植物図鑑を開いたら、苔のページに、秘密の入口のような気配がありました。深い緑に目を凝らすうち、いつのまにかわたしは、本の中を歩いているような…
窓辺に、すみれ色の布が置かれた。あれは、なかなか良い色だった。私は何度もそこに止まり、羽根を動かして風を感じていた。桃猫はそれを「知らせてくれてる」と解釈し…
すみれ色のスカーフを窓辺に置いた日、うたちゃんが何度も、その上にとまりました。羽根と布とで、風を測っているかのよう。きっと「今日は風がいいよ」と、知らせて…
若葉が日差しを受けて、あざやかに光る朝。私は枝から枝へ飛びながら、微かな湿り気を感じ取った。空は青いが、葉の裏に、ぽつりと雨粒の気配がある。午後には、細く優…
く 陽だまりの椅子でうとうとしていたら、開いたままの本の上に、花びらがひとひら落ちてきました。これはきっと、妖精のいたずら――そう思うことにして。ほんの短い…
棚の上から落ちた私の羽根を、ミュミュが遊び道具にしていた。くるくる、ふわふわ。まるで舞う花びらのようだったが、ミュミュは真剣だったらしい。最後に羽根がレジの…
ある昼下がり、うたちゃんが落とした羽根を、ミュミュがちょん、と前脚で突いて転がしました。それは本屋の中をふわふわと巡って、最後にはレジの上にぽとり。今日の…
草むらの奥、淡い黄の蝶が一輪の花にとまった。私が飛び降りると、ふわりと舞い上がり、また別の花へ。その軽やかさに、少し心がやわらぐ。言葉ではなく、舞い方で語る…
少し眠たい朝でした。そんなときは、わたしの秘密兵器――レモンのハーブティー。酸っぱさとほんのりとした甘さが、まだ曖昧だった今日という日を、しゃんと立たせて…