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「どういうこと?なんとか言いなさいよ!」怒声が彼女の口から発せられる。外見とは裏腹。では、怒声に似合った外見とは、店主は考えるも最適な顔は浮かばない。 「あなたはその紙を見て、何か文字を読んであるいはイラストを見て、問いかける。私が拝見していないのに、どうして答えられるでしょうか?」つかつか、板張りの床がきしみ、彼女の靴音が固い音を鳴らす。胸に突き刺す勢いで紙が渡された。 突然のお手紙をお許しください。私はあなたの料理に感銘を受けた大豆を敬愛する者です。忘れもしません、行列に並び手にした大豆のあの味はこれまで出会う大豆の中でもっとも感銘と至福を与えてくれた、この世に二つとない最高の食べもの。私…
「小麦のみのメニュー変更が果たして有効な手段でしょうか。私にはそうは思えない」店主は、首を振って彼女の意見をはねつけた。 「今後は小麦が穀物の王様になる。米は、特定の層にだけそのために作られるわ。農家の囲い込みはもうじき終わるんじゃない。永続的に特定の企業や媒体と取引。企業は自分たちでは作らないでしょうね、売れる分だけに見合う作付面積が確保できれば、問題がないもの」日本の土地、米の農作に適した土地は、温暖化による気候変動にしたがって、米の産地が段々と北に移動している。現在は北海道の南部、本州北部が最適。今後を見込んだ予測は、さらに北の地域が長期の栽培を可能にするとされ、企業がいち早く土地を買い…
「そうやって料理も教えるんだ?」馬鹿にしたような言い方。おちょくっている、あるいは、神経をさかなでる効果を狙ったのだろう。しかし、店主は動じないどころか、仕掛けから相手の傾向を探る。 「五分に設定しました、これ以後は回答を拒否します」 「もう、せっかちな人は嫌われますよ。まったくう。しょうがない、早起きが報われると思ったのにな。なんでもないこっちの話」彼女は咳払い。「小麦をね、これまで以上にこの店で使って欲しいの。いいや、使えっていう命令かな。使用許可を私たちが認めるのは、前例のないことよ。要するに、名誉っていう話。使いたいだけ使えるよう生産業者は手配してあるから、お望みならいつでもどれだけで…
マンションを出る直前にかすれた声の小川から連絡が入っていた。インフルエンザらしく熱が出て動けない、休ませてくれ、そういった内容。即座に一週間の休暇を彼女の言い渡す。半ば諦めるように、彼女は言いかけた言葉を呑む、息遣いがスピーカーを伝わってきこえた。呼吸の乱れとも思えた。ただ、一週間の労働はアルバイトの彼女にはかなりこたえる金額だろう。しかし、熱の下がった彼女を店に出すわけにはいかない。食品を扱うのだ、唾液や鼻水の飛まつがマスクを覆うからとって、完全に防ぎきれると言えず。また、マスクだらけの店にお客が好んで入りたがりはしない。そういった視点も彼女の長期離脱を言い渡す理由である。 と言うわけで、ラ…
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同人誌(?)を作りました…というか、現物が発注段階だから作っています、が正解か。自分で執筆から販売までやる、という意味では間違いなく同人誌なのですが、一次創作の文字というだけで現代ではレア領域に入るのに、ジャンルが偏り過ぎていてどこに宣伝していいかも分か
書きたいことはないと思う時でも書いた方がいい事は書かなければならない事はいくらでも溢れてるもので書きたいことがない時も書いた方がいい事はそこら辺で待ってくれてて書きたいことがない時も書かなければならない事はそこら中で舞ってくれてて書いた方がいい事を書いて
333万篇を書き33万篇を考え3万篇を磨き3千篇を解き3百篇を放ち30篇を届け3篇が響く。これでいい。これくらいでいい。これを出来たら良い。
データ収集から一週間の月日が過ぎた。精査するデータには誤差を与えた。平均気温の割り出しとは異なる。あちらは誤差を含まず明確な観測指数のみを数えている。地下道のビジョンに映るニュースが過ぎり、それに対して誤解を招かないよう先手を打ったのだ。 店主は店内のカウンターで昨日の新聞に目を通す。お客が置いていったものだ。捨てる手間をお客が省いた。新聞や雑誌ならば見ても構わない、という了見は、これらが読むことで価値を生む商品であるから。財布を忘れて中身を見たとしても、罪に問われない。しかし、財布の現金を使えば、捕まるかもしれない。新聞の場合は、何度読んでも価値が減らないから、という見方ができる。そうである…
「考えすぎ」 店主はロッカーに場所を移す。ホールから呼び声。内部には響かない、単なる振動に声の解釈を切り替えた。 動揺している?私が? 寂しいという言葉に反応が見られた。隠していたのだろうか、表に出ないように。 考えても無駄。試すしかない。また、実行が増えた。明日のランチ、待機時間の長さでイライラしている。ああ、そこには苛立ちが備え付けてある。紹介された物件に前住人の家具が置いてあるようなものか。 上着を着て、マフラーを巻く。鏡は見ない、見ているのは他人。僕がその他人を見ている。 厨房の照明を切る。 接近する物影。 視点を定める。 衝撃。胸を圧迫。ホールド。 左右へ振る。しかし、離れない。 水…
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「それでは、私が帰ります」 「待ちなさいって」段差を降りた店主が呼び止められる。これまでよりも彼女の内部を引き出す声の響きだった。 「鍵はレジの下、半透明の箱に入っています。めずらしい形の大振りな鍵です」 「話を聞きなさいって、言っているのがわからないの!」 「応えないから、聞こえていないという理屈はあなたが思った解答を必ず相手は応えてくれるという論理上に成り立つ。私はあなたの執事やあなたに特別の感情を抱いてもいない、許容されるのはあなたに価値を求めるのではない、あなたの背後を誰もが見ている。だから、あなたのわがままも可愛く、また安易に応じられる。すべては自己の利益、身を守るため。存続、息を永…
手術後、切除した腫瘍を検査した結果、がんはありませんでした。正確には数か月後にもう一度確認の為、手術後の検査をしますが、とりあえず一安心です。昨年に手術が決まってからは、やっぱり気分がヘコんで気が滅入っていました。CGとかもイマイチ気が乗りません。ましてやマンガやイラストとなると精神状態がもろにタッチへ影響します。とても描けたもんじゃありません。今はやっと落ち着いたので、しばらく絵を描いてなかった分...
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「面白い方」女性は笑う。「申し送れました、私、有美野アリサと申します。あは有するのあ、美は美しいのび、野は、野原の野です。アリサはカタカナ。アリスを日本風にアレンジしたようです、母親の趣味です」名前の由来を聞いてもないに、有美野アリサはこともなげに応えた。自己紹介は何度も繰り返され、洗練された感触を受ける。ちょうど、観光地で重要文化財を解説する、建築物には一切興味のない無機質で完成された、遊びのない、きっちりとはめ込まれた言葉を聞いているみたいだ。 店主は有美野を見つめる。彼女は思い出して、本題に入った。「無償の供給を断る要因を教えていただけないでしょうか?私は大変にこちらの料理をこよなく愛す…
とうもろこしが注目を浴びる日は遠くない。 需要の高まりが生産性を向上させた。 店主は手にする注文用紙を指ではじいた。 要望が集まり、資金が舞い込む。 設備が整い、生産性が改善される。 多くの人に行き渡り、安定的な消費が実現。 一定量が食卓に並ぶのなら、この上ない利益が生み出せる。 変化の少ない、競合も存在しない、家庭消費における位置づけが永続性を実現する。 注文を送り、店は今日の業務を終えた。従業員は不思議そうに僕を見つめるまではいかず、数秒表情から内情を窺う程度で、はっきりと心境を聞きだす暴挙には出なくて、こちらとしては安心した。 明日のランチのために、仕込み作業に取り掛かる。厨房の二人、小…
「見せ掛けかもしれません」 「個人的な恨みですかね」 「どれも事件は個人的です」 「引き続き捜査をお願いできますか?」 「他に事件が起きなければ、体は空いていますので、彼女を離れる際は一報を入れます」 「そうですか。では」 「では」 従業員たちは店主の電話の相手に気を利かせたのか、もしくは好奇心を押さえつけたのか、詮索することを躊躇ったようである。店主にとっては嘘をつく手間が省けたのは幸い。襲撃は国を巻き込む壮大な操りか……。食を動かせば、街が動き、それらが全体に波及的な効果、国に跳ね返って、経済が働く。システムは全体と個が大まかにひとつ。鎖のように、連結部は細い。出入り口が様変わりするのであ…
「はい」 「営業時間だったでしょうか?」 「いいえ、帰るところです」 「午前に店を飛び出した人物の身元が判明したので、一応お伝えしようと思い、連絡を入れました」 「それはご丁寧に」 「従業員が狙われた事件とは無関係と私は判断します」 「アリバイがあったのですね」 「はい。駐車禁止の取り締まりに言いがかりをつけるトラブルが起こす様子を防犯カメラが捉え、最寄りの警察の確認も取れてます。また襲撃については、カフェの店員によれば、彼女の座り位置が壁際のテーブルから数えて二つ目であったことが、発見が遅れた要因ではないかと推察されます。彼女の背後の席にお客が座ってからしばらく時間が経過したのちに、お客から…
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ブログを見ていただき、ありがとうございます!ピアノ曲「開花を待つ花」公開!
ちょっと間が空いてしまいましたが、今日も元気に自作曲を投稿です。 曲はホームページのほうにあります。 ピアノ曲「開花を待つ花」を公開! - 独学ピアノブ…
「嫌なのに付き合うの?」 「それは、だって、友達ですから。今後の付き合いや私の趣味を押し付ける時にだって相手は丸々同意をしてくれているとは思ってません」 電話のベルが鳴る。厨房の子機を小川が取る。館山が倉庫の在庫を確かめてピックアップ、足りない食材が書かれた紙をカウンター越しに受け取る。 「はい、もしもし。そうです。はい。店長ですか?はい、少々お待ちください」 「店長、お電話です。ええっつと、種田さんという、……たぶん、女性の方です」語尾に含みを持たせる小川の言い回しに店主は動じない。紙を指に挟んだ手で子機を受け取ると通話ボタンを押した。 「はい」 「営業時間だったでしょうか?」 「いいえ、帰…
「小川さん、休憩」 「わはっつ」膝が折れて、がぐんと体が片側に沈み込む。「寝てませんよ、瞑想です。こう集中力を高めるのって、ほらお坊さんがやっているじゃないですか、肩をぱちんと、ほら、しゃもじみたいな、これとは違うな、材質は同じ板で叩くでしょう。私は、集中していたんですよ」 「苦しい言い訳」レジで聞いていた国見が一言。 店主は反省の色が見えようと、そうでなかろうと、特段気にも留めない。僕は彼女ではないのだ。従業員、特に厨房の二人は疲労の色が濃く、動きにも緩慢さが見て取れた。 疲れを引きずって、平日の込み具合のディナーが終わった。 後片付け、明日のランチを頭に入れつつ、発注する商品を選ぶ厨房。 …
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創る時の仕上がった時の高揚感味わいたいなぁ~再びこの詩以前に載せたかな書いたのは・・27年前?!・・・吃驚だ・・ 春の戦慄私の感情を逆撫でするような風に煽られ私は冷静でいられなくなる〝希望〟等という馬鹿げた慰めと〝絶望〟等という極めて下品な導きが蠢く春の旋律に促され冬眠から醒めかかるそれを私は私の力で抑えることが不可能であることを充分承知の上で今年も又悪あがきをするハメになる慄(ふる)えな...
今回は時間の許す限り、つまり午後二時までを制限としたランチを提供した。 ハンバーガーがとうもろこしパンに常に優勢をみせて、先に売り切れとなった。ただし、とうもろこしパンもその場で一口食べたお客の感想を皮切りに注文数は次第に増えて、ハンバーガーと競ったメニューではもっとも僅差の個数をたたき出した。具材のひき肉と鶏ひき肉は開店一時間に品切れを予測、店主は慌てて餡作りに取り掛かかりるものの、ハンバーガーはブーランルージュのバンズを使用したため、個数に限りが生じてしまったのだ。本来ならば、ハンバーガーが売れ続けたかもしれない、しかし、それはまた実験をしてみなくては、店主は次の課題を見つけた。 午後に照…
「メニューに取り入れてはもらえませんかね、とうもろこしの粉を」男は座りなおして、切り出した。店主は釜で焼く効率性とフライパンの正確な形を天秤にかける。 「……何か言いましたか?」 「とうもろこしの粉を使った料理をランチといわず、メニューにのせる案をどうかご検討してくださいませんかね?」男の顔に赤みが差す。 「お約束はできかねます」 「では、試しに粉を置いていきますので、お好きなように使ってください」 「また反応を聞きに店を訪れるのですか?」 「お邪魔ですか?」 「頂いた粉はまだ残されています、偶然にも今日のランチでとうもろこしの粉を使う予定です」 「ほう、それはまた、なんと。いやあ、いい日に足…
↓大きいサイズはこちらをクリックイラストのTシャツやトートバッグなど販売中ですhttps://www.ttrinity.jp/shop/mumyo/一枚絵・『グンデストルップ』
現在じゃないのですが、猫の日にTwitterに投稿しようと思っていたイラストを描いていました。ものすごく慌てていたので昔描いた猫耳キャラをトレースした二次創作です。わくわくアニマルマーチの魔女さまです。本来は巨乳なキャラなのですがデフォルメキャラはどうしたらいい
「通常の、これまでの取引とは異なる、大掛かりな契約ですか?」店主がそっけなくきいた。 「さすがに話が早い」コーヒーが運ばれる、小川が引き下がって、男は話を続けた。「米の需要が飛躍的な伸びを計上しているのは、ご存知のはずですが、小麦も価格の高騰が止まらない。さらに、米、小麦に代わる穀物の価格をも全体的な底上げの傾向が見え始めた。我々は最近の情勢をある程予測を立て、ある商品をあらかじめ大量にそして正当な価格に流通を見込んだ。それがこれです」 足元のバッグから引き出されたのは、見覚えのある文字。イラストはポップにデフォルメされた海外の浅黒い人が微笑んでいる。その手には、とうもろこしが天を貫く伝説の剣…
一人前を炒めて、とうもろこしのパンに挟み、味を確かめているときに、開店前に三度目の来客が姿を見せた。 「どうも、ご無沙汰しております」四角い顔に頬のふくらみが特徴的な男性がにこやかに店に足を踏み入れる。微笑をたたえれば、入店は許可されたものと解釈している業者の男の考えが読み取れる。歳を重ねるにつれてずうずうしくなるのは、経験に裏打ちされた行動の決定なのだろう。しかし、その経験もかなりの頻度で修正が加えられている、つまりプラスに働き心理的に思い返しても傷を追わないような配慮が行き届いた経験。相手は受け入れる、謝った見方だ。僕は信用しない。相手に抱く心理も、変化の猶予をもたせている。なので、相手と…
そして従業員が各自の仕事に取り掛かる。 ランチメニューの一つはハンバーガーに決めていたので、昨夜に直接、アーケード街のパン屋、ブーランルージュにハンバーガーのパンズを注文していた、これを小川に店まで受け取るようにお願いする。館山には、裏口に配達されたひき肉を半解凍の状態で味付けを施して、混ぜてもらう。国見は、店の清掃を行う。 ハンバーガーはどのメニューと組み合わせても数では同等か、圧倒的な勝利を収める。しかし、夏場や秋の屋外でも食べられる気候での結果である。冬季間のデータはまだ観測していない。また、雪が降ってからはテイクアウトもまだ数えるほどしか行っていない、そのため店内での飲食の要望も計測す…
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「現実が見えていないともいえる」国見が反対の意見を述べる。 「見えてますぅ」小川が反論。「あえて見ないようにしてるだけ。本当は知ってますよ、並ばされているんだってね。でも、私はまだましな方ですけど、飲食に携わっていてもいなくても、周りが見えていない振りで愉しむんです、みんなそうしてます」 「表向きの情報ばかり、その場しのぎ、現実逃避、誰かの将来なんて語りたくないけどね、雑誌で取り上げられるために作る料理に価値は無い」館山は言い切って、奥に消える。 「リルカさんは絶対に結婚できない」館山の後を追うように小川は席を立って、ロッカーへと歩く。国見が一人、カウンターに立って取り残されている。いいや、何…
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【Sims4】Spin-off解説④【Del Sol Valley編】
Del Sol Valley編の登場人物がSeason 1&2のどこに出ていたのか、裏設定や物語のその後を少しだけご紹介します。
「却下します」 「……」 「おっはよううございますです」小川安佐が陽気に引いたドアで仰け反る。「わあお、人だ。うん、ああ刑事さん、朝からまた、どうしたんで……」ドン、逸れた種田の視線が男に向き直る間に、入り口の小川に体当たり、男は逃走を図った。 「痛いなあ、もう。大事な手首を折ったらどうしてくれんのよ!」小川は種田に手を引かれ立ち上がったようだ、店主からは死角、ドアの外枠に小川のコートがちらりと見えていた。 「逃げられた」種田は独り言をつぶやく。振り返り、店主に報告する。「彼女は送り届けましたので」そういって種田のコートがひらめくと、開け放たれたドアを抜け、小走りで男を追いかけた。 「あれこそ…
彼はこちらを見つめて笑う、同調の意味を知っているようだが、不敵な笑みの効果は知らないらしい。 「本日のランチは、決まっているのでしょうか?」 「あなたの相手をしていると一生作れない」 「返しがお上手」 「私が置かれる明確な現状です。お願いですから、お帰りを」 「それは難しい、私はお嬢様の言いつけを受けて、こちらを訪問した。店を出るのは、了解の取り付けをいただかないと、報告がままならない。私の言う報告はライスの提供再開のみ」 「おはようございます」国見が出勤してきた、彼女に続いてもう一人女性が姿を見せる。国見の見張りを頼んだO署の種田という刑事であった。短い髪の毛と高身長は、登場では目を引く、と…
↓大きいサイズはこちらをクリックイラストのTシャツやトートバッグなど販売中ですhttps://www.ttrinity.jp/shop/mumyo/一枚絵・『アスタルテ』
「溺れる魚」という作品があるが、 自分は読んだことも観たこともない。 けれども、どうしてか… この言葉に、ずっと惹かれている。 そもそも、海が生活圏である魚が、 溺れる姿とは…一体どんな姿なのだろう? あんな優雅に泳いでいる魚が、 溺れる姿など見たいとも思わないのだが。 人間もきっと、地上が生活圏であるはずなのに… 「溺れる」ことが多くなった気がする。 社会の中でうまく生きていけないということだ。 仕方ない…だって、色々と気を遣うことも増えてきている。 このスキルも必要、あのスキルも必要…。 経験値を上げなければならない、 あの人の気分を損ねてはいけない…などなど。 単純に生き
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良い詩を書かなくていい良い詩を書けなくてもいいできれば良い詩の方がいいのはもちろんだが結果的に良い詩にならなくてもいい その時書きたいと思った詩を書いた方がいいと想った詩を書けばいいだけふらっと書いてもいいしっかりと書いてもいい結果的に書いた詩が良い詩な
「何も無い所から得られた利益に興味はない。どうかお引き取りを、ドアはあなたの左手、ノブを捻って、引きあけると外に出られます」店主は右手を開いて方向を指す。「どうぞ、お帰りを」 「はあ。頑固ってのは、私がもっとも苦手な人種。お嬢様があなたの店を嫌いと口にした、数時間後に店はすっかり姿を変えている。言っている意味がわかりますか、店長さん?」顔を突き出した口調は、人を小バカにし、いやらしく、回りくどく、ねっとりしている。この人物、またはお嬢様と形容された雇い主とは法外な力を持つ団体のことか、それとも表向きの搾取が大手を振って歩く大企業だろうか。 「日本語は一応、話せますので」本心を聞き出す。 「………
厨房に入って間もなく、店のドアが開いた。見知らぬ人物は堂々と店内に踏み、ホール内をじっくり観察。名前を覚えない店主であるが、人の顔は割合覚えている。相手との間柄で、その関係性を把握している。 「こちらの店で、ライスの注文を断っている。そう、風の噂でみみにしました。これは事実でしょうか?」膝を隠すロングコート、紺色に、皮の手袋、飾り用なのかマフラーを首から提げる男性は、突然の訪問に店主が受け入れる時間をまったく考慮してない風である。 「提供を一時的に中止しているのです。断りとはニュアンスが違います」 「失礼、あなたが店長さん?」 「はい」 「間違いなく?」 「ええ」 「もう一度お尋ねします?あな…
【Sims4】Spin-off解説③【Brindleton Bay編】
Brindleton Bay編の登場人物がSeason 1&2のどこに出ていたのか、裏設定や物語のその後を少しだけご紹介します。
実験によって、教授が実際に公園でブランコに乗る模様がスクリーンに映し出された。講義の主張や説明は、異なる重さの物質を同じ高さから落とすと、重力の影響により重いほうが先に地面に到達する。だが、重力が地球の六分の一の月での実験では、重さが異なるものもほぼ同時に地面に落ちた。重力が落下物に与える影響が軽減されるのだ。 そこで同じ高さ、重量で同じ往復回数を数える間に要する時間を計れば、重力の物質への影響を説明する理論はこれで証明されると画面の中の教授は言っていた。ただ、そこには誤差を含ませていた。つまり、不正確な実験であると言うことを盛り込んでおいたのだ。そして、実験を複数回繰り返し、それらを回数で割…
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