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↓大きいサイズはこちらをクリックイラストのTシャツやトートバッグなど販売中ですhttps://www.ttrinity.jp/shop/mumyo/一枚絵・『ペツォファ』
まずもって、異なる生物であることを認識すべきなのだ。批判しているのではない、再検討を望んでいるの。 アランが川の反対側へ行きたがっているので、仕方なく水に足を差し入れて渡ってみた。渡るのは小学生ぶりだろうか。たしか、この辺りに小さなお地蔵さんがいたと、記憶を巡らせていると道を遮る幅二メートル半、高さ三メートルほどの板が登場した。こんなものがあったなんて、いつから設置されたのだろう。私の小学生時代にはなかったシロモノである。アランは先に行きたい仕草で板に隙間がないか隈なく鼻で探っているが、とうとう諦めて私の隣に寄り添う。道の横から抜けようにも川の斜面が迫っていて忍者でもない限りは川に落ちてしまう…
↓大きいサイズはこちらをクリックイラストのTシャツやトートバッグなど販売中ですhttps://www.ttrinity.jp/shop/mumyo/一枚絵・『ディーダルガンジ』
これまでの理論と成功のアプローチを真似たとすれば、それなりの成果が待ちわびているが、ありきたりの音で人は惹きつけられるんだろうかと、反対の意見に傾いている私がいる。出だしは好調でも、いずれはパターンの繰り返しにこちらが飽きてしまうはずだ。広告の一環で映像やコンテンツに付属される感度の鈍った音楽を作っても仕方ない。わかりやすさは諸刃の剣でその切っ先がいずれ牙をむく。代わりはいくらでもいるのである。 大学は先週から夏休み期間に突入し類まれな感性を磨くにはもってこいの時間を与えられたと私の気分が高揚する。かといって、四六時中ウキウキしてる、おかしなやつではなくて、床から二センチほど常に浮いている程度…
心優しい力持ちが相撲で未来を変える感動ストーリー【鬼ヶ島の金太郎】
桃太郎ワールドに金太郎が登場。まさかり&赤いはらかけ&熊と相撲という田舎っぽいイメージが先行する金太郎ですが読むと評価がガラッと変わる可能性も。桃太郎ワールドなため鬼退治がストーリーに絡んできますが己の内に相対化された正義を宿す金太郎は意外な行動に。金太郎の優しさが未来を変えていく文学的昔話です。
ここから家までは人に会わなかった。 バッグを部屋において、洗面所で顔を洗う。化粧はしていない、大学に行くためには不必要だと思っている。身だしなみだからと口々に言っても結局は好意的に見られたいがための体の良い口実。礼儀の一つだよと、窘められたこともあったっけ、懐かしい。鏡に向かってニンマリと微笑む。そう言ってくれた人は、学食で髪の毛の入った定食を持って怒鳴り散らしていたっけ。 麦茶を一杯飲み干して、さらにもう一杯をグラスに注ぎ、それを持って倉庫に移動した。ドアに繋がれたアランが切れそうなぐらい左右に尻尾をふりふり。私はいつも帰宅すると散歩に連れて行くので、反射で連れて行ってもらえると勘違いしてい…
【足柄山の桃太郎】桃太郎は金太郎ワールドでも鬼退治に粘着!?絶対化した正義のさいごとは
金太郎ワールドに桃太郎が登場!狂気をはらんだ使命感に突き動かされる桃太郎は仏か修羅か。己の内に絶対化された正義を抱える桃太郎が歪な信念の渦に自ら巻き込まれていく姿を描いた文学的童話?です。
↓大きいサイズはこちらをクリックイラストのTシャツやトートバッグなど販売中ですhttps://www.ttrinity.jp/shop/mumyo/一枚絵・『パトナー』
電車を降りてからの徒歩で確信に迫った気がする。私が取り込まれた曲は世界を斜めに観察する思考が組み込んでいたように思う。ただの怨みや妬みではなくって、もっと研ぎ澄まされて感度が良くて孤独で凛としている。ある一点からの忠実で絶対的な強振。 急勾配の坂、汗が出てこないように一定のスピードで足を前に出す。途中、道路を横断、さらに急な坂を選択。 他人の体験や想像なのに私がありありと情景をうかべられるのはなんでなんだろう。おそらく、作詞家と私が思う状態はかけ離れているはず。コンサートのお客だってそれぞれ違うはずなのに感動を湧き起こさせてしまう。 坂を登り切るとどっと汗が噴き出してきた。公園では、子供がサッ…
ギターを弾いていると、たまに曲に取り込まれる時がある。その正体を何なのかは、はっきりとしていない。歌詞もコードもお構いなしだけど闇雲に弾いているのではなくて流れるように音が連なる。一、二回。正確には二回だ。視界がシャットアウトされて別の空間に誘われたように想像の風景がプレハブの倉庫に広がったんだ。 でも、ここしばらくは出会えていない。会おうとすると気分を害して出てこないらしい。歌手というのは常にあの感触を体現しているのだろう。 気がつくと降車駅に到着して、危うく乗り過ごすところだった。ホームへ降りる階段は前方にしかないために自分のペースで歩ける。講義まではあと十分もある。数分前には教室に入れる…
学校までにこの半年を振り返えってもまだ、入学の真意には辿り着けない。なんでこんな場所に通い始めたんだろうかとも思い始めていたが、手遅れで他校へ編入する目的も気力も親の説得も私には到底叶わないので、とぼとぼと一歩でも一限目の授業に間に合わせようとする。 前を歩く人の足元と隙間の床を見つつ、目をつぶってでも歩けそうなルート。ただ、考え事にはもってこいの時間である。褐色のキラーを手にしてから半年が過ぎて、まだ前任者があのギターを手放す意味を見いだせずいた。とは言っても、そこまで深くは考えていなくて、どっぷりとただギターにのめり込んでいた私である。 月刊の教則本を買い、コードを覚えて押さえるボジション…
料理とかゲームとか投資が趣味のゆる~いブログ - 投資昔話【アリとキリギリス】 - https://okanelevel1.com/2023/05/12/folklore/ -
今見ている「物の価値」は? 情報の信ぴょう性、情報によって変わっていく物の価値を、きこりの行動を追いながら確かめます。
「買うの?」 「……欲しいですけど」値札には十一万五千の文字。「これ結構高いし、どうしよう」 「いくらなら払えるの、お金?」店員が聞いた。 「えっ?うんと、持ち合わせは……二千円です」言った傍から無鉄砲な行動を呪った。財布の中身も確かめないでギターを買おうとしていた私を疑いもしなかったことを悔やんだ。しかし、これは衝動に従っただけ。端から買えないと決め付けるよりかはマシだろう。 眉を上げて店員は言う。「じゃあ千円でいいよ。それで売ってやるよ」馬鹿にすることも、考えこむこともなく、すんなりとあっけなく店員はタダ同然の低価格を提示してきた。 「冗談ですよね?だってこれ二桁分違いますよ。駄目ですよそ…
↓大きいサイズはこちらをクリックイラストのTシャツやトートバッグなど販売中ですhttps://www.ttrinity.jp/shop/mumyo/一枚絵・『ウガリット』
今日の曲はホームページのほうに置いておきました! ジャズトリオピアノ曲「スムージーとホットな5月」を公開! - 独学ピアノブログ「ゼーレンフォルノーツ」今日の…
「ギターをお探しなら、手にとって感触を確かめてごらんよ」風貌から私が想像するミュージシャンのそれと寸分の狂いもない店員が黒の前掛けに赤い店名で音もなく私の横に現れた。髪は艷やかで後ろで一つに束ねてある。細面、スッキリとした切れ長の目元、身長は百五十代の私が見上げる程度。 「……ギター弾いたことがないんですけど、どれがお勧めですか?」 「弾くのはあなたでしょう?」酷くがっかりとしたトーンで長髪の店員が言う。「キラキラして見ていたさっきのように好きなギターを選んでみれば」この人の言うとおりだ。何をためらって何に気を使っているだろう。まだ、まだ何も始めてもいないのに決め付けるなんて馬鹿らしいではない…
↓大きいサイズはこちらをクリックイラストのTシャツやトートバッグなど販売中ですhttps://www.ttrinity.jp/shop/mumyo/一枚絵・『ビュブロス』
S駅で降車、車内とは打って変わってホームと駅構内は蒸した暑さが充満、改札までの階段を降りたらじんわりと首元に汗を掻いていた。 嫌いな人混みを歩く。 駅は商業施設との一体化で改札を抜ければ複数の百貨店が隣接、私はそのうちの一つに足を踏み入れた。エスカレーターはひっきりなしに人を運び続ける。ベルトコンベアで運ばれる商品みたいだ。店側からはそう見えても仕方ないか。入店の先を見通せる天井までのガラスを抜けると最初に目に付く花屋に複雑な香りをかがされて、エレベーターを待った。私の他にも二人の待ち人、壁に刻まれた各階の案内表示で楽器店を探した、四階である。美術館で絵画を鑑賞する時みたいに首を長く伸ばし、電…
波風が立たないのは気分が良いだろうが、別角度から観察すると現状維持で変化がないさまを表しているとも言えた。 隠してきた私がそこで鳴き声をあげた。 覆い隠された情動は扇動に耐えかねて本来の姿を取り戻そうと反力を退ける。 抗うな。任せればいいんだ。 言い聞かせるというよりかは元々の私に戻るために脱力を試みたまで。 とどめを刺して糸を切った、風船は宙を舞い、緩やかに高度を上げていく。 どんどん小さく影がなくなっていった。持っていたら、ずっと糸を手にしていたら真っ赤な楕円は私の近くにいたのに。でも、離れて見えなくなると、より身近に感じたのはなぜだろうか。もしかするともともと持っていなかったのかもしれな…
前にこのエッセイで書いた新作の進行具合ですが、2月末にストーリーを作り、3月いっぱいかけ下書きのシナリオを書き、4月から小説にかかってます。おそらく初稿ができ…
大学は可もなく不可もなくの生活を、入学から一年過ごしていた。慣れ始めた夏ごろ、知り合いの知り合い、顔を知っている程度の人が急に大学を辞めてしまったのだ。将来を見据えた選択ではないなと、思っていた私はあえて聞いてみることにした。すると彼女は平然と言ってのけた。ここにいても、何も身にはならない。就職を有利に進めるための資格は得られるだろうけど、その道だけが全てではない。わたしでいられる場所で生きていたと、そう言っていた。 無謀、突発的、集中力の無さ、海外に行くに決まっている、世界を旅する、などの周囲の意見に私も同感で間違った選択だと思っていた。しかし、それから二ヶ月後、ふらりと立ち寄ったこぢんまり…
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私服ができたので、お出かけすることにしました。今日は花ちゃんと待ち合わせです。約束の場所で遅い花ちゃんを待ってると突然後ろから…。とまあ、ありきたりなシーンを作ってみました。今回ちょっと困ったことが。雫ちゃんを動かしていて前髪が動かないことに気がつきました。たかが前髪ですが、その動きで表情の印象がかなり変わるんです。3Dでは顔の表情や髪はモーフィングという技法で動かしているのですが、なぜか前髪だけ動...
「そうじゃない。生徒一人ひとりから学費をいただいて授業を教える機会を設けられているのはむしろ先生のほうだという自覚を持たないのにあれこれと言ったってわかってもらうのは難しいと思うの」 「私立の学校しか当てはまらない?」 「先生の給料も基準を設けて変動すれば、世の中も変わるんじゃないかな。それか、完全に無償化にしてしまうか」 「費用は国が負担するのか?」 「そうよ。あとは寄付」走りだした車は緩やかな坂を登りきり、突き当りを今度は下がっていく。養われている身分の私が言っても説得力も得られない。 「疲れてる?」運転手に聞いてみた、それが事実だとしても私には何もできない。私じゃないから。 「いいや、疲…
「五分待って」私は答えた。 「車で待ってる、時間を過ぎたら発車するからな」ソファに置いたカバンを掴んで父親が言う。 「はい、はーい」リビングのドアが閉まった。 「ロサ、あんた早く起きてるんだったら、歩いて駅に行きなさいよ」母親がやっと腰を落ち着けてご飯を食べる。 「同意見だね。姉ちゃんばかり優遇されてさっ」影流が不平を述べる。 「毎回じゃないからいいでしょう」一言、言い返して食パンを頬張る。すでに半分が口内に押し込まれていた。牛乳で流し込み、液体に近いヨーグルトを一気にかきこんだ。「ふーん」 「もっと行儀良く食べられないのかしらね」母親が斜めに首を傾げる。 「無理だろうね。外野がいくら言ったっ…
↓大きいサイズはこちらをクリックイラストのTシャツやトートバッグなど販売中ですhttps://www.ttrinity.jp/shop/mumyo/一枚絵・『ヌヴィ・ヤン・シュリア』
【薙沢ムニン】創作をするときは、独りで自由で、楽しくなければいけないんだよなぁ。
貴方は普段から空想だったり、妄想だったりをしますか。 筆者も物書きの端くれなので、しょっちゅう好きなキャラクターのカップ
かき鳴らす音色の数々はどれもこれも覚えたてのフレーズ、オリジナルだとは自分でも思っていないのは重々承知だけれど、もっと先、私の理想に近づくには通らなければならない現在地。付き合いはじめたギターの音色はだんだんと本体の色が濃くなったようでそれは私の汗や垢が染み付いたための風合いなのかも。でも、味が出た、これは変わりがない事実であるし、短期間で汚れたか長期間でのそれかの違い。 朝の演奏を、一曲を通してやり終えた。義務感でやっているのではない。時間を決めてアラームを鳴らさないと学校に遅れてしまうから、あえてこうして浸っていたい時間から切り離すの。 こちらの三月は関東や西日本とは比べものにならないほど…
「……白米を使おうかな」 「ただで頂いた食品ですよ、よろしいのですか?」 「明日からライスをメニューに復帰させる。小麦も大豆もとうもろこしも同等に扱いを開始する」 「価格は落ち始めたとはいっても、以前の価格より、一・五倍ほど高額です」 「お客の需要が回復傾向の価格に反映する、僕はそう読んでいる」 「楽観的な推測、”+マルチ十二”の勢力は完全に衰えた様子には思えません。早計な判断ではないでしょうか」鋭く国見の視線に厚みが生まれた。 「栄養食品に飛びついた理由は、目新しさと食費の節約。食費の節約を願うお客は離れてくれないが、前者は常に揺れ動く」 「店長の論理に反します」 「僕はお客が食べたいと思う…
↓大きいサイズはこちらをクリックイラストのTシャツやトートバッグなど販売中ですhttps://www.ttrinity.jp/shop/mumyo/一枚絵・『エレウシス』
「そうだとしても、私、番号は教えてない」 「本当に?」 「なによ」 「いいえ、言いたくないのなら。秘密は堅守ですから」 「あんたの軽い口がばら撒いた可能性のほうがよっぽど高い」 「蘭さんの番号をそらで言えるほど、賢くありません」 「ああーあ。もう、やめよう。くらくらしてきた」 「大丈夫ですか」 「……着替えてくる」 「お大事に」 小川は店主を見上げた。 「なに?」 「いいえ、その、店長の感想を聞きたいなあと、思いまして」 「業者の反省じゃないかな」 「反省ですか?」小川が鸚鵡返し。 「うん。ほら、新商品の提案や新規顧客の獲得に、業者手持ちの商品をまずは僕ら店側に食べてもらう、味を確かめてもらう…
↓大きいサイズはこちらをクリックイラストのTシャツやトートバッグなど販売中ですhttps://www.ttrinity.jp/shop/mumyo/一枚絵・『ファレロン』
「蘭さん、真に受けたんですか?」小川が尋ねる。 「まあ、八割はいたずらだとは思った。けど、店の名前と、何より私の番号を知っているのが、どうも説明がつかなくって、どこからか漏れたにしてもだよ、回りくどく、コンビニ受け取りにするより、店に直接配送ができたはず、送料だって支払っていた。一応、お金下ろしてきたのに、まったく!」 「怒ってますねえ。店長、私開けましょうか、はい、あけましょうね」間髪いれず、小川が嬉々としてダンボールに飛びつく。方や重い荷物を運んだ国見は傍観。年齢と立場、性格の正確な把握が行動でわかってしまう。 中身は、米三キロ、小麦三キロ(薄力粉が六つ)、大豆一キロ、とうもろこし粉五百グ…
木曜の仕込みに店主は取り掛かる。第二の出勤時間に定着してしまいそうな午前八時過ぎ。店の前の雪かきを済ませたので、体がほのかに温かい。暖房を入れてから外に出て、スコップを操ったので、発熱した体だと店内は暑く感じた。水分を取ったために、汗もしっとり額ににじむ。 「店長、雪かきは一人で?」小川が帽子を取るなり、目を丸く、訴えるような表情だ。 「僕は双子ではない」 「一足遅かったかぁ」行進を踏むように小川は床を蹴った。 「雪かきは仕事に換算していない。除雪のための早い出勤は望んでいないよ」 「少しでも、助けになればって思ったんです」 「助けてほしいとき、僕は素直に求めるよ。この周辺の飲食店の様子を見て…
服が一通りできたので細かい修正をして可動領域の設定をしました。可動領域とは、3Dモデルの身体を自然に動かす為の重要な設定です。ポリゴンの構成、骨組み、可動の数値、これらが全てうまくできてないとモデルがちゃんと動かないのです。関節を曲げた肘や膝などが変形したり、服が破れたりするんです。いつも完成までには、そういう修正でずいぶんと時間がかかります。今回もそんな覚悟で作業を始めました。すると…なんというこ...
理由は、明確にはならない。 店主の予測もあいまいであった。だから、火がついたら消えるように消火器を取り付けた。 必要や心配は、取り越し苦労。いいや、最初から気になどはしていなかった。 嘘はいけない。 そう教えられた。どうしてか、理由は聞くのをためらった私だ。 聞けば、相手の立場がなくなってしまうから。 昔の話だ。 そして、とうとう、栄養価が高くて、栄養素の吸収が数日間も持続する夢の商品は、すっかり世間の広範囲な居場所を追いやられたらしい。一部、食事にわずらわしさを感じる、時間に追われる人物たちの絶大な支持は、その一定の層にのみ定着を余儀なくされた。未知数の副作用が害を及ぼすのではないのか、とい…
三月下旬。巷をにぎわす究極栄養食品の販売開始から数えて約二週間。春めいた北国の目印、日中のプラスを越える気温と夜間の路面凍結、ところどころに顔を出す除雪車の削り痕が刻まれるアスファルト、それらが日をおいて、数日間の雪を経て、またまた日差しとまぐわって春を思わせる。 二月の下旬に比済ちあみの指摘にあった他企業の栄養食品が販売され、爆発的なヒットを飛ばした。これらはお客の忘れた新聞、従業員、お客が話す内容が情報源である。「エナジー・セル」という呼称の商品は、地下鉄の車内や店までの地下道ですれ違う人々の口から、店主は日一回は耳をそばだてなくても聞こえていた。このような反響は街角、街頭に場所を定め、試…
「店長は、敵にならないと思って許可を出したんですよね」 「うーんと、どうだろか」 「ええっつ」小川が大げさに驚く。「だって契約済ませたんですよ」 「十億円がそれほど大切かな」店主はつぶやく。カレー用のたまねぎの色がやっと黒ずんできた。 「もしかして、店長の実家は相当なお金持ちでした?お屋敷とか、それこそ執事とか、ばあやとかと暮らしていた」 「執事はばあやにはいらないの?」 「そこは取り上げなくていいんです。お金持ちかどうかを聞いてます」 「車は二台あったけど、それは両親が共働きだったからで、お手伝いも両親の働きに見合った報酬を鑑み、自宅の滞在時間が極端に少ない事実に基づいて考えれば、人を雇うこ…
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「はあ、それでは、同乗させていただきます」半ば強制的に弁護士が税理士を車に乗せる許可、いいや同意の返答を引き出した。会話は弁護士が上手。 「私もお暇します」二人に遅れて、荷物をまとめると比済は引いた椅子をそのままに店を出た。知り合いの館山にも挨拶はなかった。 憶測が飛び交う厨房の二人の質問に、答えをあいまいに濁した店主である。各自にまとまった意見を確定させる狙い。そのほうが、意見の食い違いがもたらす質問が少ないため、返答がたやすく行えるというもの。ランチの片付けに目途がつき、一人目が休憩に入る間際の数分を契約内容の情報公開の場にあてた。 主に、資金の流用への質問が集中したと思う。どういった経緯…
↓大きいサイズはこちらをクリックイラストのTシャツやトートバッグなど販売中ですhttps://www.ttrinity.jp/shop/mumyo/一枚絵・『アドゥ』
「何か紙の契約書と代わりがあるのですか?」店主は、顔を傾けて二人に聞いた。代表して弁護士が応える。 「いいえ、まったく同等に扱われます。しいて、デメリットをあげると、そうですね、改ざんの恐れと契約の捺印を味わえないこと、ぐらいなものでして、紛失の恐れもありません」 「では、その契約書でお願いします」 比済は顎を引く。テーブルの改変された文書部分を書き直し、数分の時間を待たされる。店主はまた一本タバコに火をつけた。 「……こちら、ご確認を」ラップトップを画面が店主側に、見えるように回転。引き寄せて弁護士が画面を注視、税理士も眺める。今度は改変箇所のみであるから、確認に要する時間はタバコが灰に消え…
始業の二時間前に、こうして店主が到着。その五分後に小川、国見、館山の従業員三名が出勤。続いて、比済ちあみがその十分後にやってきた。そのまた十分後に店主の弁護士が、さらにさらに五分後に税理士が遅れて到着、契約の運びとなった。 比済ちあみが持参する書類を店主の弁護士と税理士が、細かにチェックを敢行、文書の記載は読解力を要する難解さを際立たせている。店主は理解の面では問題はないが、それらから派生する様々な制約に関しての知識は皆無。二人を呼んだのはそのため。彼らが読み終えた書類は店主、従業員へと手渡された。 一時間半ほどが書類の内容把握に費やされる。一時間が経過した時点でランチは、ピザの一品に決め、店…
3D雫ちゃんのワンピに合う靴をどうしようか考えながら作っていました。夏用にと思ってたので、サンダル風のデザインにしたんです。そしたらけっこう大変で時間がかかってしまいました。パーツが多くてモデリングがややこしいこと。あ~めんどくさかった…。まあ自分で決めたデザインなのでしかたありませんがねwでもこれで全体が大方できました。これから細かい調整がいっぱい必要だと思いますので、また休憩して気が向いたら続きを...
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