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「どうしたの、なんだか口調が堅苦しいけど」金光の問いかけは彼女のまなざしで一掃される。「……ううーんと、どうだろうかな、そうさねえ、ああ、まずい時間が。光を指して声を上げたの僕だけだったし、たぶんだけれど、誰も見てなかった。うん、そうだ。停電に意識は持っていかれたしね」 確認の合図を彼女に送ろうか。ここできっぱりと別れを告げるべきかもしれない。 「電気が消え、光が目に入った。光というのは停電前に気がつかない明るさだった、それとも通行人の目に留まっていた可能性はあるの?」 「探偵みたいだ」金光はくすっと笑い、口元に親指と人差し指の股を当てる。引き締まる彼女の表情に、反射的に彼は姿勢を正した。少し…
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「時間がない。もうすぐにでも出なくちゃ。用件を言ってくれないかな」 「……」焦点の合わない瞳が瞼から覗く、ぞっと鳥肌が立った。何もかも見透かされている、そんな意思が目に宿ってるようだ。「立ち上がりましたね、あの夜。私が通りかかった夜です」 「うん?ああ、生徒と一緒にいた夜のことだね」我ながら弁解がましく、わざとらしい。 「答えてください」 「そうだよ」 「通りの向こうはにぎやかでした。後で調べたら、商品を買い求める行列とわかった。ただ、おかしな事実が浮上しました。あなたの座っていた席には階段で上がるデッキのような場所に椅子が置かれていたし、店に上がるにも階段を数段上った。したがって歩道よりも五…
目が見えない、というのはもしかすると……、金光俊樹派はコックコートのままで手だけは綺麗に汚れを落として、S駅内の喫茶店を訪れた。 穏やかな風の流れが駅前の風景に見て取れる、金光は窓際の席に腰を下ろした。コーヒーを注文するが、やっぱりと、訂正、ウエイターにオレンジジュースを頼んだ。滞在は数分が限界、僕が主催する午後の調理講習が一時から始まる。早足で歩いて五分はかかった、往復で十分の計算。現在時刻から、彼は腕時計を見る、滞在時間は五分がいいところ。 「それでなに?急に呼び出して。できれば、メールにして欲しかった」 金光は一気に水を含む。氷が冷たく、歯に染みる。 微妙にずれた顔を彼女は向ける。笑った…
顔を上げる、呆れた真下がコーヒーを啜っていた。どのくらい、……数分は黙りこくっていただろう、と稗田が反省を舌で表した。「ごめん、ついうっかり考え事を」 「慣れたものよ。何年も見続けている」 「ブルー・ウィステリアに仕事終わり、事情を聞きに行こうと思う」 「店側が、あなたに教えるとは思えない」 「探りを入れるだけ、名刺入れを落としたとかとりつくろってね、それから、困っていると物語性も加えて、もしみつけらたら連絡して欲しいってね」稗田は顔を近づける、テーブルの中央で言った。「相手の反応を見るの。私がお客をどれだけ見てきたと思うの、嘘ぐらい見破れる。相手の反応は端々、本人の無意識な箇所に出現するんだ…
「食べるか、考えるかにしたら?」 「……ああ、うん。そうね、とっと食べちゃわないと、喋る時間がないんだった」真下の提案を受け入れる。彼女の言い方は強くもあり、優しさも携える。不思議な響きを持って届くのだ。彼女にあこがれる後輩は多い、また嫌悪の対象もその同数を獲得する、その点私はというと、頼られるはするが、学生の先輩という立場が当てはまる。あまりに距離が近すぎて何度か怒鳴りつけたこともしばしば、距離感覚が掴みにくい年配の同僚と噂されているはずだ、陶器のように見守られる真下とは違って。 真下の食事が終わると、稗田はブルー・ウィステリアと支店長との関連を話した。ニュースで報道された死体の死亡時刻と支…
二階の突き当たり、油絵が飾られる壁際の席に腰を落ち着ける。 稗田真紀子は一人、コーヒーとサンドイッチを黙々と頬張る。 昼休み。彼女はここ二日間を何気に振り返っていた。誰にでも気軽に話せる類の内容ではなかったことが、ため息と身を隠すように訪れたこの風変わりで昭和ロマンな喫茶店が何よりの証拠。 三日前に支店長が店を休んだ。突発的な病気だと思った。しかし、翌日と次の日も支店長は姿をみせず、連絡すら取れない状況が続き、昨日はとうとう痺れを切らせた本社が人員を派遣し、支店長の役回りを代役に任せた。それでも、いくらか役立った程度、焼け石に水とはこのこと、特に店舗内の接客に関わる諸事項の際立った成果を支店長…
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「樽前さん」宇木林は目を光らせた。「ただものを売ることをね、私は卒業した。継続的な集客は望めるとは思います、好条件の立地がそれを後押しする。ただし、そこに居続ける存在意義を街の流れに合わせることはやめたのですよ。わかりますか?あなた方のような土地に生きる店の来客を、ビルに反映させたい。もう地方の掘り起こした価値のある産業を都市部で売り出す手法はそこをつき、均質化される。すぐに」 「時間がありませんので、話をまとめます」店主は樽前の背後の時計を首を逸らして、時間を確認する。「この店の改修は私の同意如何に関わらず、いずれ着工が法改正によって定められ、行わなくてはならない」 「はい、お伝えするのが遅…
「いいえ、私が資金面の交渉を持ち出さなければ、あなたは通常の資金調達の過程をもう一度、潜り抜けなくてはならなかった。あなたはあなたが提供するものの価値を、外から見定める習慣を持つべきかも知れない。年長者の忠告です」 桂木がしみじみいう。「いやぁ、店長さんの才能を私は見間違えてましたなあ。あなたがここまで、頭が切れるとは、いやはや、お見それしました。謝ります」 「まったくお詫びをされる覚えはありません。それにずっと舐められていたほうが、私には動きやすくて助かります」 「樽前さんは了承してくださる、ということでよろしいかな?」宇木林が細く煙を吐いたと同時に訊いた、まだ長いタバコが押し付けられる、包…
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明瞭な裏と表の表出は珍しいといえるか、店主はものめずらしく樽前の変容を目を細めて眺める。 「二つの店を看板に据える、これがコンセプト。樽前さん、本気でその、これは申し訳ない」宇木林は笑みをかみ締める。「私がプロデュースを手がける商業ビルの改築、開業、集客力をあなたは重宝するはずです。しかし、飲み物だけでは、しかもテイクアウト専門となれば、建物を通路のようにお客は利用してしまう。それでは、当然施設内にお客を誘導し、お金を落す経路の確保には不十分だ。呼び水、というのは聞こえが悪いかもしれない、ですが、それは裏を返すと、はい、あなたの店を心から賞賛している、私はそのように受け止めています」演説みたい…
3Dの制作時はできるだけ季節に合わせた画像を考えています。夏だったら、水着とか麦わら帽子とかひまわりとか…。でも長いことやってると、もうネタが思いつかなくなって困っていました。そこに地元の花火大会が…。あ、コレやってなかった、と気がついたんです。てことで今回は、きらりちゃんと花火の図です。やっぱり夏には花火も鉄板ですよね。まぁ私は見に行きませんが。花火自体は見たいけど、人混みがイヤでうんざりするんです...
今回はフリーゲーム「明日、初めて彼女と ❤ 」のメイキング企画第一弾ということで、α版からの進化の軌跡をまとめてみました! 懐かしのα版作成時の記事は こちら です。ほぎゃーもう二年前やん・・・・・・!?
講釈がようやく途切れた。宇木林は豪快にカップを傾ける、喉が鳴った。彼の話をまとめると、建物の改修期間に店の形態を一時的に変えるように、そのサポートを名刺に書かれた飲食経営事業を生業とする彼らの会社が買って出る、ということ。つまり、どこかに店舗を移して営業をこちらに続けさせるたくらみだ。彼らのうまみは、こちらの集客力だろう、店主はわざと思い悩んだ態度を表した。ぶっきらぼうに無関心、傍目からその内情を観察可能なほど、一般的に困惑を作り出した。尖った口元がその代表例。 見せつけておいて、その間に明日のランチを考えるとしよう。 冷蔵庫には何が残っていたっけ? うまく映像が展開されない、考え残した問題を…
「あなたがその事態を知りえて、今日まで何故、私に伝えることを躊躇ったのでしょうか。当然、他の方策、つまり代替案を考えていたことは想像がつきます。しかし、真っ先に起こす行動はありのままを、契約の無効を了承するあなた方不動産屋の不利益を被ってまでも、事実を明らかにする。それが真摯な態度ではないでしょうか」 「ごもっともで、返す言葉もありません」 「……」口を開けた樽前は店主の発言に圧倒される。それとは対照的に、正面に宇木林はにこやか、片方の頬を引き上げた微笑を携える。 「そこで私どもが呼ばれた」宇木林はスーツの胸ポケットから煙草を取り出し、掲げた。どうやら喫煙の許可を求められたらしい、僕は軽く頷く…
今まで撮った写真を使ってまとめました。 はじめに 「美」の表現には、さまざまな種類がある。絵画や彫刻などの視覚的な表現や、音楽や文学での表現など。 写真は、視覚的表現の1つ。 近年では技術の発達により、質の高い写真を撮影できる機材が身近になり、誰もが気軽に作品づくりに取り組めるようになった。 でも、実際に撮影するとして、何を撮ればいいのか。テーマを決めて撮影するのがよいといっても、どのように考えたらよいのだろうか。 今回は、写真のテーマの決め方について、具体例とともに解説します。 はじめに テーマを考えてみよう! 1.普段の生活の中から~愛犬の散歩中の写真~ テーマ「まつぼっくり」 テーマ「セ…
「私はお断りしたんですよ、信じてください。どうしてもと、おっしゃるもので、仕方無しに、なくなく……、私も折れた側です」 「では、やはり樽前さんが場所の指定を?」 「違います」樽前は首を竦めて、二度顔を往復。 「噛み合いませんね」 「いやはや、みなさんお揃いで」加えてもう一名、今度はひげを蓄えた背の高い男性がドアの前に立つ。クローズの看板は続けざまに目に入らなかったらしい。三番目に足を踏み入れた男性の一歩は堂々の振る舞い、店内を窺う謙遜は微塵も感じられなかった。 最後に入ってきた男性は宇木林と名乗る、彼は僕に名刺を渡した。 三名をホールのテーブル席に店主は案内、とにかく事情の把握のため、残りの二…
「いただきます。私も含めてコーヒー党ですので」 「それはよかった。手土産になにか持っていこうと思ったのですが、なにせ一人で店のすべてを行うと時間がなくって」紙の容器にプラスチックの蓋、容器に描かれた家紋のようなマークを際立たせるため、線や柄はなく、赤茶色の容器と黒の紋様一つが目に入った。カウンター越しに彼は小川にも手渡す。 「まだなにか用事?」僕は小川にきいた。対面に立ち尽くして話が始まるを観覧のお客みたいにじっと物語を見つめるのだ。 「えっとうですね、樽前さんが店を始めたきっかけ、コーヒーに目覚めた理由などをできれば聞きたいです、はい」 「仕事が残ってるね」 「……はい、もどります」 小川が…
「はぁ、面白い方、ですね」苦笑いの樽前は、場を改めるアイテムに、持参した袋を店主へ差し出した。僕はカウンターに座るように勧める、仕込みの時間は惜しいが、彼は気になるフレーズを口にした、危険因子は見つけ次第対策を講じる必要がある、野放しではいけない、いずれ牙をむくなら、取り掛かった作業を後回しにする方が、後々に響くのだ。 樽前は恐縮しきって、こちらの着席まで腰を下ろすのを躊躇った、僕が高圧的に映ったのだろうか。ホールの窓、風に舞うゴミ袋が横切った、春にもみられた横殴りの風である。気温差によって風が作られたのだろう。春の一番のような呼ばれ方がないのは、憂鬱な寒さが身に染みるできれば迎えたくはない厳…
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今日のピアノ曲を、ホームページのほうにアップロードしておきました。 ピアノ曲「雨はいつしか過ぎていく」を公開! - 独学ピアノブログ「ゼーレンフォルノーツ」雷…
「ああ、食べに来たのではなくってですね、あれっ、もしかして移転の話を聞いないんですか?」 「移転?」 「なに、どうしました」小川が話し声を聞きつける、皿をカウンターの戻すついでを彼女は装う。 「いや、まだなにもきいてないよ」 「ああうっと、これは朝はご馳走さまです」小川は頭ごと、首を胸に格納するように織り込む。小川は樽前を紹介した。相手はこちらのことを知っていたらしい、店主は顔を合わせた覚えはない。中心街へ車で通勤するのは利便性と費用面からも考えにくい、そのため店を出入りする朝と閉店後に地下鉄か、改札までの地下通路で見かけた可能性はあるのかもしれない。 彼は顔の横で手を振った。音を立てる紙袋の…
二日前の気温低下をきっかけに、一挙に秋めいた気候に移りつつあった。ランチのメニューにはかろうじて残暑の到来を待ち構えているが、取り越し苦労に終わることは目に見えている。 北の秋は日中こそ半そでを強要するも、朝晩の冷え込みは長袖、山間や海岸沿いは薄手のコートの着用義務が下る。ファッションは秋や冬が盛んだと、店主はきいた。二十歳の小川安佐がもたらした情報である。彼女たちの年代を推測するに、その日の気分に服装を合わせる、あるいは気分を高めるために昨日とは一昨日とは印象の異なる服を着用する、ということに思える。あくまでも想像だ、僕はほぼ同じ装いで十分に気分のコントロール、統制は取れている。外部に影響の…
話題のAIチャットボット「ChatGPT」と「Bard」に対し、物語のことを質問したらどう答えるか試してみました。質問はわたくしKATARAが過去にエッセイで…
「必要以外、私は端末を利用しない」はっきりと間違いを彼女は訂正する。 「一般的な意見だよ。お前……じゃなかった、種田は例外中の例外」鈴木に対して、上司やもう一人の先輩に対しても種田は常に自分を名前で呼ぶように求める。男性的な呼び方は嫌う、ということではない。お前と種田の文字数は同じなのだから、名前で呼ぶべきだと考える。おそらく女性差別に要因があるのだろう、鈴木たちは思っているはずだ。思わせておけばいい、訂正はしない。彼らは私ではない。 「こちらの船体が昨日の午後九時ごろS市上空を飛んでいた事実をあなたは、どのように判断をされるのか、意見をお聞かせください」種田は視線を飛田に向けた。ほぼ正面に彼…
車に乗り、平原を走る、山中であるため、多少の傾斜を走行時に感じた。遠くから見るのとではかなり印象が異なった種田である。しかし、傾きは背後のプレハブが視界に消える急な段差を降りた辺りから、さらに平らな空間が広がり、かつての牧場小屋の扇形のフォルムが姿を見せた。内部はひんやりと空気が低下、鈴木はくしゃみを連発する。 斜めに飛行船の船体が出迎えた。乗船室は口径の大きなタイヤを配した台座のような運搬機に乗る、おそらくあれで飛行場所まで引っ張るのだろう。船体は横が約七十、縦が十、幅が十五メートル。機体にブルー・ウィステリアのロゴや新商品の広告の文字は見当たらない、銀色が鈍く光っているのみだった。 「こち…
「保管された場所から持ち出されて、勝手に使用されたとおっしゃる?」と、鈴木。「はい、苦しい言い訳に聞こえるかもわかりませんが、これが事実です。私はその、正直に申し出れば、疑いのほうが強まるように、思ってですね……」「社長は修繕を頼んだ業者から届くバルーンを機体に設置して、それから私と一緒に帰りました。飛行船は一人では絶対に飛ばせない、最低でも二人、地上で待つ役割の人間が必要なんですから、一人でなんて、そんな無謀な行為は死に直接結びつく、いいですかあ、私たちは人の命を預かるのですよ、スカイダイビングとかの連中と一緒にしないでいただきたい」おっとりとした舞先の豹変した剣幕は鎖につながれた番犬を思い…
【ストーンアート】石に穴を開けるトリックアート! 美術や図工の授業にいかがですか?
石という素材で作るからこそ面白い独特の表現を楽しみたい。 たとえば、トリックアート。 石に穴を開けたように見せたら面白そうじゃないかなと、思いつく。 石は硬くて、実際には機材がないと穴を開けられない。自然の石に穴が開いていたら不思議な感じがするかもしれない。 トリックアートの技法で作り、面白い写真を撮ってみよう! ストーンアート第13回。制作手順を紹介。 「穴の開いた石」制作手順 1.下描き 2.着色 穴の向こう側を描く 穴の壁面を描く 穴の中に影を描く 仕上げ 3.撮影 まとめ 感想 「穴の開いた石」制作手順 厚みのある石、薄い石。タイプの違う形の2つ石を選んだ。 制作手順は、薄い石の方を使…
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「昨日ですか、飛行船は飛ばしてませんよ」取り繕う様子はない、彼女は飛田の動作、表情を逃さないように捉える体勢。 「S市上空で飛行船が目撃、写真に収められていることはご存知でしょうか」 「いいえ、まさか。うちのじゃありませんよ。飛べる状態ではなかったのですからね」 「と、いいますと?」 飛田は機体の形をジェスジャーで形作る。「卵型が機体の特徴です。均等に圧力がかかるよう骨組みで補強した外側の膜の内部に気嚢と呼ばれる充填したガスのバルーンを膨らませて、空に浮かびます。バルーンの一つが点検に引っかかりましてね、その修理に昨日は終日追われていたんです、飛べはしませんよ」 「しかし、不測の事態に備えてい…
「価値とは見出すもの。そのほかはゴミとして捨てる。取り上げる者と、それを供給する者との関係性が噛み合い、本来の伝える、伝わるという関係に昇華するのです。土壌が広く、作物が増えたら、それらを食べる人が必要になります。当然、多ければ、収穫されても消化は見送られ、あまった作物は廃棄にまわす。情報とはすなわち、供給側が受け取って完了となる」 「いつも思うんだけどさ、小難しいことをいつ考えてる?」鈴木がきいた。彼は呆れて、肩を竦める。 「難しくはありません。わかりやすいよう例えてお話しました」 「あっ、そう。なんだか、やんわりと馬鹿にされた気がする」 「あの建物でしょうか?」種田は鈴木の発言を無視して、…
話題のAIチャットボット「ChatGPT」と「Bard」に対し、物語のことを質問したらどう答えるか試してみました。質問はわたくしKATARAが過去にエッセイで…
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飛行船の発着場である山中へ種田と鈴木は車を走らせた。ブルー・ウィステリアの店舗周辺の聞き込みはS市から直々に捜索の禁止が念を押して伝えられた。駐車場の待機車両で警戒に従事する捜査員数人に取り囲まれ、あれは脅迫めいた威圧感を伴っていたように思う。鈴木の萎縮が物語っていただろう、種田は四名の顔を取り込み、言葉は受け流した。同じ場所に大勢が居続けるのは人目を引く、そういったニュアンスで代表した声の主はバンに颯爽と乗り込み、見張りに戻って、他三名もそれぞれの持ち場に踵を返した。理に適っているようで不要な外面、見え方に気を遣う、その怪しく整ったスーツという服装を着替えるべきだと、彼女は感じた。これらによ…
「とまあ、振り返るとこんなところかな」鈴木はそろそろお腹にゴロゴロ、悪影響を及ぼすアイスコーヒーをそろそろと流し入れる。「彼は目撃者だね」 彼、とは隣のテーブルにステッキを突く女性を連れた男性のことである。漏れ聞こえた会話はしかし、曜日と屋上と停電。それらから推測するに昨日のブルー・ウィステリア社屋、屋上の出来事を目にした、といえるだろうか。確証はない。しかも、ここは喫茶店の中。手帳を取り出すには、お客の関心が引いてからでなくては、種田はまだステッキに倒れ込むアンテナが見えていた。そっけない、無関心なお客ほど、人の会話を欲しがる。 「停電だったようですね、調べます」種田は端末を取り出す、昨夜は…
ずっと昔に書いた 中短編を 昨日まで 17回に渡って ブログにのっけさせていただいておりました。 何せこのところ 追われて追われて 文章を 捻り出す時間が 取れなくて 奥の手として 引っ張り出した 中短編 これなら 元あるものを 切り分けるだけだから 楽でしょ と 思った のは 大いなる勘違いだった。 始める前は 長い1本のお話を ちょんちょんちょーんと 600〜800文字くらいで切っちゃえば いいや と気軽に考えていたところ が 切ればいいってもんじゃあ なかった 書いた当時は word縦書きで 改行も少ないし 一文も長い けれど、ブログに載っけるってことは ブログ仕様にするってこと 内容の…
【ストーンアート】石にキャラクターを描く「ちょいワル犬のブルース」
ストーンアートは、何かのモチーフ(素材)を想像して石にデザインする。 でも、石がこちらに語りかけてくるかのように、自然とモチーフを思いつくことがある。 色を塗らなくても、まさにこれは犬の頭。こっちは象の顔。 そんな2つの石と出会ったので、迷わず描く。 作品のタイトルは「ちょいワル犬のブルース」と「私は象だ」。 ストーンアート第12回。 キャラクターや漫画の技法を利用した描き方と、制作手順を紹介します。 「ちょいワル犬のブルース」制作手順 1つ目の作品に使ったのは、味のあるゆがみをもった石。 犬の顔が見える石 1.石からモチーフを発想する この石は犬。どこから見てもそんな形をしている。どんな犬な…