お手を拝借、今日はどちらに赴きましょうか?7-3
店主が語った内容を鈴木が打ち込み、印刷した用紙をカウンターの衝立に店員に見えるよう鈴木が置いたのが、数分前。美弥都は作業の片手間に紙を覗き込む仕草を一度だけ行った。一度で覚えたのだろう。そうではないか、画像として記憶にとどめた、速度だったと思う。お客が帰らないと、事件の話は聞けない、これは鈴木も承知していて、喫茶店には付き合うが、三十分以内に返答が聞かれなければ、即座に店を出て現場に向う、と種田は車内、喫茶店の駐車場で約束を交わしていた。現場に戻ったとして現場周辺の捜査は限られているのだから、と鈴木は反論したが、ネットに溢れた目撃情報の変容が気にかかったのだ。昨夜自宅に戻り、珍しく種田はネット…
2023/10/02 16:12