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「こびとの靴屋」というお話はご存知の方も多いと思う。こびとが夜な夜な靴職人のおじいさんの代わりに靴を仕上げてくれて、その靴はおじいさんが作る靴よりも高値で売れてそれが何度か続いておじいさんもおばあさんも裕福になって幸せにくらしましたとさ、的なものだ。 このお話、どうしても引っ掛かるものがある。こびとが靴を仕上げてくれるのは代わりに労働をしてくれているのだから結構なことだが、その成果物が本人のクオリティ超えちゃって良いものなんだろうかと。 そもそもおじいさんは腕の良い靴職人という設定のはず。作品のフィニッシュを他人に譲って、あまつさえ自分の作品よりもゼニを稼ぐ作品が出来上がっていることに何も感じ…
『完訳グリム童話集(一)金田鬼一訳』その21 『ホレのおばさん』<KHM24> 【あらすじ(要約)】 ある寡婦(ごけ)さんに二人の娘がいました。 その一人は美しくて働き者で、もう一人は器量が悪く怠け者でした。 けれども、母親は器量が悪い怠け者の娘が本当の娘なのでずっとかわいがり、もう一人の娘は、家中の仕事を一人で引き受け、灰だらけになって働かなければなりませんでした。 かわいそうにこの娘は、井戸のそばに座らせられて、指から血が出るほどたくさんの糸を紡がなければなりませんでした。 ある時、糸巻きが血だらけになったので、井戸にかがみ、糸巻きを洗おうとしたら、井戸の中に落としてしまいました。 娘は泣…
だいぶ前になるがスマホのアプリで青空文庫というものがある。 多分著作権フリーの本を無料で読めるようにしているアプリだと思うがその中にヘンデルとグレーテルを見つけた。 グリム童話の名作である。多分皆さんも御存知だろう。 この本をなぜ読もうとしたかと言うと、この少し前にジェレミー・レナーとジェマ・アータートン主演の映画「ヘンデルとグレーテル」を観たからだ。 この映画はその15年後のヘンデルとグレーテルを描いていて、そのときお菓子を食べ過ぎた兄・ヘンデルは定期的にインスリンを打たなければならなくなっていて、妹・グレーテルは魔女を殺したのが快感になってヘンデルと共に魔女ハンターをしているという面白い映…
『完訳グリム童話集(一)金田鬼一訳』その20 『はつかねずみと小鳥と腸づめの話』〈KHM23〉 【あらすじ(要約)】 昔、はつかねずみ、小鳥、腸づめが友達になって所帯をもち、仲良く豊かに暮らしていました。 小鳥の仕事は、毎日森で薪を取ってくること。はつかねずみは水を汲み火をおこしてお膳立て、腸づめは料理をする役でした。 幸せ過ぎる者は、何か違ったことをしてみたいと思うものです。 ある日、小鳥は別の鳥に会い、「 おまえが骨折って働いてる間に、あとの二人は楽をしているぞ 」と言われます。 確かに、はつかねずみは火をおこし、水を汲んでしまえば自分の部屋に引っ込んで、お膳立てまで休んでいられるし、腸づ…
SNSで話題の【蛙化現象】って実は昔からある「百年の恋も一時に冷める」ってやつじゃんね
< いろいろある不条理な人間行動のどれにスポットをあてるかで話題を作っているですかね > 「蛙化現象」っていうネーミングの由来っていうのは、グリム童話の「かえるの王さま」から来ているっていうのが定説みたいです。 「かえるの王さま」っていう話は、副題まで含めますと「かえるの王さま、あるいは鉄のハインリヒ」っていうんです。あんまり面白い話じゃないように思えます。そんなに有名でもないですよね。 (adsbygoogle = window.adsbygoogle []).push({}); 「昔むかし、ある国にそれは美しいお姫様がおりました」「お姫様はある日、森の泉に金の毬を落としてしまいました…
『完訳グリム童話集(一)金田鬼一訳』その19 『子どもたちが屠殺ごっこをした話』第一話・第二話 【あらすじ(要約)】 第一話 西部フリースランド(オランダ)のフラネッケルという小都会で五~六歳くらいの男女の子どもたちが遊んでいました。 やがて子どもたちは役割を決め、一人の男の子に、お前は牛や豚をつぶす人、またもう一人の男の子には料理番、またもう一人の男の子には豚だよと言いました。 それから女の子にも役をつくり、一人は料理番、もう一人は料理番の下働きにしました。この下働きは腸詰をつくるときに豚の血を容器に受ける役目です。 役割を決めると、豚をつぶす人は豚役の男の子につかみかかり、ねじ倒し、小刀で…
『完訳グリム童話集(一)金田鬼一訳』その18 『なぞなぞ』〈KHM22〉 【あらすじ(要約)】 昔、ある国の王子が世界を見て回りたいと、家来を一人だけ連れ出発しました。 ある日、森へ入り日が暮れ、宿を探していると若くてきれいな娘が小さな家へ歩いていくのが見えます。 王子は「今夜、泊めてもらえるだろうか」と話しかけます。 娘は「泊まれないことはないが、お勧めしない」と言いました。 王子がたずねると、娘は「母親が悪い術を使い、客を大切にしない」と言います。 王子は、魔女の家だとわかりましたが、夜もふけ、先へ行くことができず、怖くなかったので家に入っていきました。 婆さんは、椅子に座って知らない客人…
『完訳グリム童話集(一)金田鬼一訳』その17 『灰かぶり』〈KHM21〉 【あらすじ(要約)】 お金持ちの男の妻が病気になり、死ぬときに幼い一人娘に、「いつも神様を大事にして、気立てよくすれば神様は助けてくれて、母さんも天国から見ている」と言い亡くなりました 娘は毎日墓で泣いていましたが、神様を大事にして気立てよくしていました。 それから父親は別の妻を迎え、二人の娘の連れ子がいて、美しくて白いのは顔だけで心は汚く真っ黒でした。 その時から継娘として辛い日々が始まり、綺麗な着物は剥ぎ取られ、古い汚い服を着せられ、木の靴をあてがわれました。 それから日の出前に起き、水を運び、火を焚き、食事の準備、…
『完訳グリム童話集(一)金田鬼一訳』その16 『いさましいちびっこのしたてやさん』〈KHM20〉 【あらすじ(要約)】 夏の朝、ちびの仕立屋さんが一生懸命縫物をしていました。 そこにお百姓さんのおかみさんがジャムを売りに来たので買いました。 仕立屋さんはパンにジャムを塗りますが、食べる前にこのジャケツを仕上げてしまうことにします。 そのうちに、ジャムの甘い匂いにハエが誘われて、パンの上に集まってきたので、仕立屋さんは布きれでハエを叩きました。布きれを見ると、7匹のハエが死んで手足を伸ばしています。自分のいさましさに我ながら感心します。 仕立屋さんは町中に知らせてやろうと、帯を一本縫い上げ、それ…
『完訳グリム童話集(一)金田鬼一訳』その15 『漁夫とその妻の話』〈KHM19〉 【あらすじ(要約)】 昔、漁師とおかみさんが、汚い小さな家に住んでいました。 ある日、漁師が釣りに出かけると、一匹のカレイが釣れました。 漁師はそのカレイを売ろうとしますが、カレイに話しかけられ、自分は魔法をかけられた王子と言い、お礼をするから海へ戻してほしいと話します。漁師はビックリしましたが、カレイをカゴから出してやり、海へ放してやりました。 漁師は家に帰り、そのことをおかみさんに話すと、お礼をすると言っているのだから、こんな汚い家ではなく、小さくても新しい家がほしいと今すぐカレイのところに行って、願いごとを…
『完訳グリム童話集(一)金田鬼一訳』その14 『わらと炭とそらまめ』〈KHM18〉 岩波文庫(1979) 【あらすじ(要約)】 どこかの村に貧乏なお婆さんがいました。 お婆さんはそらまめを煮るつもりで、かまどに火をおこして、わらをひとつかみ、くべました。 そらまめをお鍋にあけるとき、滑り落ちた一つが土間へ落ちると、わらの隣へ転がりました。 それから、炭が一つはねて、その隣に転がって行きました。 わらがどこから来たのかと聞くと、炭が火の中から跳ね出してきた、このままだと灰になるところだったと言います。 そらまめもぐつぐつ煮られてドロドロになる前に逃げ出してきたと言いました。 すると、わらが自分の…
『完訳グリム童話集(一)金田鬼一訳』その13 『白へび』〈KHM17〉 【あらすじ(要約)】 昔あるところに賢い王様が住んでいました。 王様には変わった習慣があり、毎日お昼の食後、だれもいなくなると、信頼の厚い召使いが、もう一皿持ってきます。それには蓋がされ、その召使いも何が入っているのか知りません。王様は一人にならないと食べようとはしないからです。 ある日、召使いは中身が知りたくて皿を自分の部屋に持っていき、蓋をとってみると中には一匹の白ヘビが入っていて、少し切って、口に入れました。 舌に触った途端、外からひそひそ話が聞こえ、召使いはヘビを食べたせいで、動物たちの言葉がわかるようになりました…
絵本紹介♪ 第百八十八回 ブレーメンのおんがくたい グリム童話
*表紙画像の著作権は出版社のHP参照・又は問い合わせを経てルールに基づき使用しております。 こんばんは。MOOMINです。 「ブレーメンのおんがくたい」はとても有名なお話で,絵本もたくさんの方々が描かれいるので,読み比べてみるとそれぞれ味わいも違ってとても面白いです! はじまり、はじまり 有名なグリムの昔話。年をとり、働けなくなったろば。主人に捨てられることになり、自分からブレーメンの町の音楽隊に入ろうと家を出ます。道中、同じく年をとり同じ境遇の、猟犬、ねこ、おんどりも仲間に入り、ブレーメンをめざします。 おしまい 作品名 ブレーメンのおんがくたい 作 グリム 絵 ポール・ガルドン 訳 晴海耕…
『完訳グリム童話集(一)金田鬼一訳』その12 『三まいの蛇の葉』〈KHM16〉 【あらすじ(要約)】 あるところに、貧しい男がいましたが、貧乏がひどくなり、ひとり息子を養えなくなりました。息子は、これ以上父親の重荷になるのがつらくなり家を出ます。 このとき、国は戦争中で、息子は戦争で手柄をあげ、王様は宝物を授けました。 王様にはひとり娘がいて、とても美しい方でしたが、相当な変わり者でした。 自分が死んだとき一緒に、生きながら埋葬されてもいいと約束できる人でなければ、結婚しないというのです。 逆に相手が先に死んだら、自分も一緒に埋葬されると言います。 男は、お姫様の美貌にまいっていたので、王様に…
絵本紹介♪ 第百七十九回 こびとのくつや グリム童話 バーナデット・ワッツ
*表紙画像の著作権は出版社のHP参照・又は問い合わせを経てルールに基づき使用しております。 こんばんは。MOOMINです。 最後の革を裁って眠りについた貧しい靴屋の夫婦は、翌朝、仕事場を見て驚きました。 冬の定番絵本。 はじまり、はじまり むかし、くつやのうちがだんだんまずしくなり、おしまいにくつをいっそくつくるかわしかなくなってしまいました。くつやは夜かわをたつと、あしたぬいあわせようとおもいました。そしてあとはかみさまにおまかせして、ねむってしまいました。 おしまい 作品名 こびとのくつや 作 グリム 絵 バーナデット・ワッツ 訳 ささきたづこ 出版社 西村書店 (function(b,c…
『完訳グリム童話集(一)金田鬼一訳』その11 『ヘンゼルとグレーテル』〈KHM15〉 【あらすじ(要約)】 どこかの大きな森の入り口に貧しい木こりの夫婦とヘンゼルとグレーテルという名の兄妹が住んでいました。 生活は苦しく、パンすら手に入らなくなり、ある夜、ヘンゼルとグレーテルは、母親が父親に「もう食べるものがない。明日、森へ出かけて、子どもたちを置き去りにしよう」と話すのを聞きます。 泣くグレーテルにヘンゼルは何とかするからと冷静に言い、庭の白い小石をたくさん集めます。 翌日、子どもたちは森に置き去りにされますが、ヘンゼルが家から小石を落として目印をつけていたおかげで、家に戻ることができました…
『完訳グリム童話集(一)金田鬼一訳』その10 『糸くり三人おんな』〈KHM14〉 【あらすじ&ひとりごと】 昔、怠け者の女の子がいて、糸を紡ぐことを嫌がりました。 母親は、女の子が言うことを聞かないので、腹が立って、つい殴りつけました。 すると、娘が泣いているところに王様のお妃が通りかかり、なぜ泣いているのか尋ねます。 母親は、怠け者の娘を恥ずかしく思い、娘が糸くりをいつまでもしていたいと言うが、うちは貧乏で麻がないとお妃に話します。 するとお妃は、娘を今すぐ御殿へ来させ、嫌と言うほど糸くりをさせてあげようと話します。 御殿に着くと、見事な麻がぎっしりつまった部屋へ連れていき、この麻を残らず紡…
BASEにて販売開始しました新作です。OpenSeaも試みましたが、やはり出品数制限の為不可でした。 BASEより 赤ずきん(コスプレ) オリジナルキャラ…
岩波文庫(1979) 『完訳グリム童話集(一)金田鬼一訳』その7 『ならずもの』〈KHM10〉 【あらすじ&ひとりごと】 雄鶏と雌鶏のつがいは、山へ出かけ、クルミをたらふく食べた後、歩いて帰るのが嫌になったため、クルミの殻で小さな引き車を作りました。しかし、どちらが車を引いていくかで口喧嘩になります。 しばらくすると、遠くから一羽のカモがやってきて、鶏が自分の山のクルミを無断で食べてしまったことに怒り、襲いかかりましたが、負けてしまい罰として車を引かされます。 走っていくと途中で留め針と縫い針に出くわし、車に乗せて欲しいと頼まれ、乗せます。 夜になり、宿屋にたどり着きますが、宿の主人は、うさん…
野球中継終了で栃木二日目は栃木市から下野(しもつけ)市をアップします~ あんなに飲んだのに朝ご飯モリモリ 良く食べるね。 🍛がウマイ!宇都宮市内ではたらい…
【読書】グリム童話『こわがることをおぼえるために旅にでかけた男の話』<KHM4>
『完訳グリム童話集(一) 金田鬼一 訳』その3 『こわがることをおぼえるために旅にでかけた男の話』<KHM4> 【あらすじ&ひとりごと】 父親と息子二人の家族がいました。兄は賢くて気が利き何でもできましたが、弟は何もできません。 人々は弟を見ると、父親の厄介者だと言いました。何かすることがあればいつも兄がやることになります。 父親が夜更けになって上の息子にお使いを頼むと、行く道に墓地があり気味が悪くてぞっとするからごめんだと言います。 それを聞いた下の息子は何のことなのかわからないため、ぞっとすることはどういうことかを覚えたいと言い出しました。 下の息子は、お寺で幽霊のふりをしたお坊さんにもぞ…
【読書】グリム童話『猫とねずみとお友だち』<KHM2> 『マリアの子ども』<KHM3>
『完訳グリム童話集(一) 金田鬼一 訳』その2 完訳グリム童話集 金田鬼一訳 『猫とねずみとお友だち』<KHM2> 【あらすじ&ひとりごと】 猫がハツカネズミと知り合いになって一緒に暮らすことになります。 猫とネズミは冬に備え、小さい壺に入ったフェット(牛脂)を買い、教会に隠すが必要なときまでは手をつけずにすることにします。 ところが、猫は我慢ができなくなり、「叔母からいとこの名付け親になってほしいと頼まれた」と嘘の理由で外出し、ネズミに内緒でフェットを舐めに教会へ行くようになります。 ネズミは、油の多い上皮の部分を舐めてケロリと帰ってきた猫に、いとこの名はどんな名前を付けたのか聞くと、「カワ…
『完訳 グリム童話集1 金田鬼一 訳』その1 以前から『グリム童話』をもう一度読み直してみたいと思っていました。 子どもの頃、代表的な物語は読んだことがありますが、いったいどのくらいの物語があるのか。 実際、岩波書店さんの『完訳グリム童話集』を購入してみると全5冊、初版本から省かれた物語や遺稿、断編を合わせると計248編もの作品があり、その中で私が知っていたのはごく一部でした。 『グリム童話』は、皆さんご存知のとおり、グリム兄弟がつむぐドイツの古いお伽噺(メルヒェン)。 正式名称は、『子供と家庭の童話集』(ドイツ語でKinder-und Husmarchen)というそうで、一話一話のタイトルに…
昨日はカッセルにあるGrimmwelt Kassel(リンク先:英語公式サイト)という、グリム兄弟の博物館へ行ってきました。2015年に開館したばかりのこの博物館には、兄弟関連の資料だけでなく、