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シュウの話、第160話。彼女はドライでアナリストなインフルエンサー。- - - - - - - - - - - - - - - - - - - -4.「ほなシュウさん、トラス王国から指名手配されたん!?」 目を丸くするジャンニに、シュウは「そーですねー」と、あっけらかんとした様子で答えた。「なんでも『軍のストライキを扇動した』とかで、内乱罪の容疑かけられちゃいました。戻ったら死刑ですね。死刑ってまだ実施されてるのか分かんないですけども」「...
『後宮の烏』は、これまで後宮の中での出来事でしたが、女神・烏連娘娘にまつわる謎が一部解明され、物語は少しずつ世界を広げていきます。そして、これまでのように寿雪が高峻、夜明宮の人々との気軽なお茶の時間が少なくなりました。それだけ、事態は深刻に
シュウの話、第159話。斜陽の王国。- - - - - - - - - - - - - - - - - - - -3. 一方、トラス王国は本格的に斜陽を迎えようとしていた。 カプリ共和国建国以降も兵士たちのストライキは続いており、そればかりか、いつ本格的にクーデターが勃発してもおかしくない、緊迫した状況が続いていた。「……ふー……」 そんな状況では軍本営にいることもできず、かつて特区への部隊派遣を指揮していたあの狼獣人の将校は自宅にこもり、や...
2022年にアニメ化された『後宮の烏』。アニメが素晴らしかったので、原作も読んでみました。『後宮の烏』あらすじ後宮の奥・夜明宮に住む烏妃は、妃でありながら皇帝の夜伽をせず、不思議な術を使う特別な存在。新たに皇帝のくらいについた高峻は、夜更け
シュウの話、第158話。ガラじゃない。- - - - - - - - - - - - - - - - - - - -2.「な、なー、テンコちゃん、マジで俺が社長でいいのかよぉ。俺、はっきり言って算数もできねーバカなんだぜ? ガラじゃねーよぉ」 高級スーツを身にまとったダニーが、困った顔で天狐に尋ねる。が、天狐は「しゃーねーだろ」と突っぱねる。「確かに数日前まではとりあえずロロが社長ってコトになってたが、アイツが大統領やるってなった以上、ど...
その時、iPhoneの液晶には21:42と表示されていた。ここまで話して、ようやく物語の背景が見えてきた気がしていた。「こうして王妃の生まれ故郷への航海が始まった。乗っていた船は最新型で、とても快適だった。大波が来ても揺れが少ないように設計
シュウの話、第157話。建国と傾国。- - - - - - - - - - - - - - - - - - - -1. 白猫党の6度目の侵攻が失敗に終わったその日の晩、克天狐は難民特区に記者団を集め、会見を開いていた。「本日、難民特区における最大の組織であるロロ・ラコッカ氏のグループを元とした政府を設立し、難民特区全域を領土とする国家が成立したことを、ここに宣言する。国名については、かつてこの地域がカプリ州と呼ばれていたことから、『カプリ...
シュウの話、第156話。静寂の結末。- - - - - - - - - - - - - - - - - - - -10. その瞬間まで、制御室にいた誰もが勝利を――HSBMが直撃し、スチール・フォックスが爆発四散する光景がモニタに映し出されることを確信していた。 ところが着弾しようかと言うその瞬間に、モニタの映像がぶつっと途切れた。「……ん、んん?」 モニタをわしづかみにしていたグスマンは、慌ててモニタから手を離し、「壊れたか?」とつぶやく。...
シュウの話、第155話。偽装作戦と、もう一つの決定打。- - - - - - - - - - - - - - - - - - - -9. 時間は、侵攻開始直前に戻る。「着る前から分かる。無理だ」 スチール・フォックスのパワードスーツを前にしたエヴァはそう答え、首を横に振った。「だよなー」「確かにテンコちゃんの言う通り、スーツ内に別の人間がいるとなれば多少はAIをたばかることもできるだろうが、そもそもこれはジャンニ専用に設計してるんだろう?...
シュウの話、第154話。特区防衛戦、最終局面。- - - - - - - - - - - - - - - - - - - -8. 侵攻6日目――さらに巨額を費やしてドローンとMPS兵を拡充したグスマンの部隊は、不退転の決意で侵攻に臨んでいた。「今度こそ、成功させますので」「そうでなくては困る」 この日は「閣下」も制御室に臨場し、グスマンの真横に付いていた。「『トイ・メーカー』から話は聞いている。HSBMを使用することなく作戦完遂することを期...
礼拝堂を横切りながら、「こっちだ」とマリオが小声でささやき、アンドレスたちを礼拝堂奥の廊下へと導いていく。 礼拝堂を出て、そのまま廊下の突き当りまで進んだところで、マリオは足を止めた。 正面に
シュウの話、第153話。「トイ・メーカー」の所見。- - - - - - - - - - - - - - - - - - - -7.「で、僕のとこに来たと」「ああ」 白猫党本部内、AI包括管理部――モニタとサーバで埋め尽くされた部屋を訪ねたグスマンは、この部署の最高責任者「トイ・メーカー」にもう一度、今日までの状況を説明した。「AIがポンコツになった、ってのはひどいなぁ」「トイ・メーカー」は苦笑しつつ、目の前のモニタに親指を向けた。「僕が組...
「さて、これから一気に10年歳月が流れる。王妃とそれを取り巻く環境も大きく変わる。」美穂が戻ってくると僕は話を再開した。「10年経つと王子も颯太よりちょっと上くらいの年齢になるわよね。王妃はアラフォーに差し掛かったくらいかしら。」「大体、そ
シュウの話、第152話。AIの異様な不調。- - - - - - - - - - - - - - - - - - - -6. 報告を受け、グスマンは首を傾げた。「あ……? なんで26発だけ撃ったんだ? まさかAIが、たったそれだけで十分と判断したのか?」「ち、違います。26700発撃ち込んでるんです。命中が、26発です」「……なんだって!?」 グスマンが唖然としている間にもう一度攻撃が行われたが、結果は変わらなかった。「さっ、38発!?」「今...
シュウの話、第151話。本格侵攻の前に。- - - - - - - - - - - - - - - - - - - -5. 誰にも妨害されないまま、白猫党は余裕綽々で前線基地を構築した。「昨日の……対象SFはなんだったんでしょう?」「突然やって来てドローンを何台か破壊しただけで、結局逃げましたよね」 作戦開始前のブリーフィングにて、前日に出現したスチール・フォックスのことがオペレータたちから指摘されたが、グスマンも首を傾げていた。「俺にも見...
シュウの話、第150話。ドローン部隊の猛攻。- - - - - - - - - - - - - - - - - - - -4.《警告します。DF712F-2366に耐久能力の1311%のダメージを確認しました。ダメージコントロール失敗。復帰失敗。同機との接続が切断されました。同機は破壊されたと判定します》 オペレータたちの画面に損害状況が表示され、制御室に緊張が走る。「敵襲です!」「敵襲ぅ? 相手がいるのか? 故障の可能性は?」「閣下」に...
フランク・ロイド の 音楽 - Citizen Queen https://franklloyd.muragon.com/entry/262.html シチズン・クイーンは、ボーカリストのカエディ・ダリー、コーラ・イザベル、ニーナ・ネルソン、ケイラ・シャーブの4ピースで構成...
シュウの話、第149話。進撃はモニタの向こう側で。- - - - - - - - - - - - - - - - - - - -3. 王国軍全軍がストライキにより機能停止したことは白猫党側も当然察知・把握しており、彼らは早速この翌日から軍事行動に出ていた。《SD714B-1001~1060、巡航モードから警戒モードに遷移します》《DF712F-2301~2420、巡航モードから警戒モードに遷移します》《HD715E-1001~1120……》...
成り行き上、美穂に物語の続きを話さなければならなくなったので、僕は途方に暮れていた。さてどうしよう?まずは昨日見た夢の前説、背景となる物語が必要だった。その時、iPhoneの液晶には20:20と表示されていた。残念ながら美穂の言うように時間
書三代ガクト様に感想とともに作品をご紹介いただきました。ありがとうございます。 ちょっと恥ずかしいですが、動画を貼っちゃいます。 ちなみに「在郷っぺ」は「ざいごっぺ」と読みます。「在郷」とは「いなか」のことですから「いなか者」、「いなかっぺ」と言った意味で、侮蔑的ニュアンスを含んだ方言になります。 なろうの題名やあらすじにはルビがふれないのがつらいところですね。そこは改善していただけると嬉しいです。
男であれ女であれ異性に告白するのはハードルが高いもの。でも、心に秘めているだけで相手からの告白を待つだけというのは、それこそ夢か妄想の類になってしまいます。www.the-uranai.jp では、どうやって? 例えばこんなのはどうでしょう? ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 「あなたかわいいから、特別に簡単な恋愛成就のおまじないを教えてあげるわ」 「本当ですか!?」 コスタは期待で目をキラキラさせている。 「じゃあ言うわね。あなたの好きな人と目が合ったら、逸らさずに3秒間見つめ続けるの。それだけよ」 「ええっ。たったそれだけ…」 考えてみるとちょ…
素敵な感想をいただきました。皆様もぜひお読みいただけると嬉しいです。 最初は「女性向けだから合わないかな?」と心配だったのですが、三話からかなり夢中で読んでしまいました笑 彼は優しいし博識だし面倒見もいい完璧イケメンなだけかと思ったら、15話あたりからの意地悪ギャップがたまらんかったです。脳ミソが女の子になって悶えてましたw 面白かったです! — 戸岐@読み専 (@Yrf1Piy) September 29, 2022
【イチオシレビュー】ニヤニヤしっぱなしです! ~気鬱の皇女と大賢者の孫~
【完結】「気鬱の皇女と大賢者の孫 ~聖女と呼ばれた皇女は魔導士に救われる~」を読んでみませんか!出だしが暗いので、なかなか読んでいただけていない作品なのですが、イチオシレビューをいただきました。ありがとうございます。https://t.co/G5XlT5QNwz — 普門院ひかる@小説家になろう etc (@HikaruFmonin) September 29, 2022 イチオシレビュー
小説家になろうへ投稿した「双剣のルード ~剣聖と大賢者の孫は俊傑な優男だが世間知らずのいなかもの~」が完結してから、もう2ヵ月がたとうかとしております。 Webへの投稿は、1月末の完結前に、とっくに終わっていました。それから、次回作の構想を考え始め、かなりの時間が経過していますが、順調に進捗しでおりません。6月締め切りの公募に出してみようという算段ですが、間に合うのかな? それはともかく、ブログの投稿が滞っているので、「双剣のルード」にまつわる裏話を一つ。 主人公ルードヴィヒの祖父が、ローゼンクランツ「翁」と呼ばれ、尊敬されているということを、小説中で書きました。ちなみに、ルードヴィヒは、もち…
シュウの話、第148話。身の上話とヘッドハント。- - - - - - - - - - - - - - - - - - - -2. ひとしきり泣いた後、ラックはぽつりぽつりと、自分の身の上を天狐に話した。「俺の……俺が『俺』になった時の、一番古い記憶は、どこか暗いところにいたってことです。俺は……俺の中には、色んな別の俺が、……別々の人間がいて、……それが、……なんでか、一つに『まとまった』んです。でも、まとまったのは俺一つじゃなかったんです」 こ...
シュウの話、第147話。ホンモノのバケモノ。- - - - - - - - - - - - - - - - - - - -1. トラス王国が偽の緊急出動を行う、その2日前――。「お前さんがラック・イーブンか?」「学校」の片隅でひっそり過ごしていたラックのところに、天狐が現れた。「あ、はい、ども、はい。……な、なんです?」 ラックのことをじろじろと眺めている天狐に、ラックは困った顔を向ける。「妙なヤツだな」 天狐はそう言いながら右目をつむり、光...
シュウの話、第146話。克天狐流、勝利の一般理論。- - - - - - - - - - - - - - - - - - - -7. トラス王国の混乱は、ラコッカ石油にも伝えられていた。「ってワケで、もう当分は兵隊寄越すコトもねーだろ」「そっかー……良かったな、親父」 のんきそうな声を上げたダニーに対し、ロロはことさら渋い顔を向けてくる。「ちっとも良かねえだろ。今の状況、分かってんのか?」「へっ?」 きょとんとするダニーに、ロロがこう続けた...
シュウの話、第145話。メイスンリポート#52;緊急拡散案件! トラス王国のウソを暴きます!- - - - - - - - - - - - - - - - - - - -6. こんにちは、シュウ・メイスンですー。 今回はちょっと、いえ、かなり大真面目に、お伝えしたいコトがあります。重い内容になりますが、最後までご清聴いただければ幸いです。 前々回からお伝えしています、トラス王国の実情と動向についてですが、つい先程、とんでもない事実が明らかに...
やんちゃな王子の夢を見て僕は少なからず驚いた。物語は兄とのエピソードで終わりだと思っていたがどうやらまだ続きがあったらしい。夢で見たストーリーの背景に一体何があるのか?僕は仕事中に同僚の呼びかけにも上の空で、その事をずっと考え続けていた。
シュウの話、第144話。偽りの緊急出動。- - - - - - - - - - - - - - - - - - - -5. ミッドランドへ送った密使が天狐に追い返された、その数時間後――。「首相からの極秘命令が下った。この件は決して口外しないように」「は……承知いたしました」 王国軍の難民特区方面司令が、本営の一室に部下である将校数名を集めていた。「先般より我が国緊急の課題であった特区内の油田掌握計画だが、政治面からのアプローチに失敗したと、...
フランク・ロイド の 音楽 - All I Wanna Do is Make Love to You
フランク・ロイド の 音楽 - All I Wanna Do is Make Love to You 「フランク・ロイド の 音楽」のパターン①、フランク・ロイドが好きな曲をしつこいくらい別のシンガーで集めたシリーズ。 では。 Halestorm - All I Wanna...
シュウの話、第143話。次策を読む。- - - - - - - - - - - - - - - - - - - -4. 肩を落として帰っていく役人たちの後ろ姿を屋敷の窓から眺めながら、天狐はフン、と鼻を鳴らした。「コレで状況は次の段階に進んだってワケだ」「次?」 尋ねたエヴァに、のんびりコーヒーを飲んでいたロマーノが答える。「そもそも今回の彼らの訪問は非公式なものです。公式なものであれば『外務省からの者』などと立場をぼかして訪ねたりはしな...
フランク・ロイド の 音楽 - EXIT EDEN 「フランク・ロイド の 音楽」のパターン②、フランク・ロイドが好きなバンドをしつこいくらい集めたシリーズ。 では。 EXIT EDEN - Unfaithful (Rihanna Cover) Napalm Recor...
フランク・ロイド の 音楽 - Bonnie Tyler、Total Eclipse Of The Heart
フランク・ロイド の 音楽 - Bonnie Tyler、Total Eclipse Of The Heart 「フランク・ロイド の 音楽」のパターン①、フランク・ロイドが好きな曲をしつこいくらい別のシンガーで集めたシリーズ。 では。 Giulia Falcone - T...
神眼の継承者 【ジャンル】ハイファンタジー 異世界転移 ラブコメ 冒険 【人称】三人称一元視点 【あらすじ】 この物語は異世界転移を果たした二人。神眼と紅色の本レガリアを持つ【紅き】の原作者と、神の権能【神眼】を持つ白の神の少女が織り成す、救済系異世界バトルラブコメディー。 【紅き瞳のイミ】原作者の斎藤ユウタは書籍化する事なく小説家としての夢を諦め、現代社会で日々のんびりと過ごしていた。 そんなある日。彼のもとに白の神の少女モルタが現れ、【紅き瞳のイミ】の異世界が実際に存在し、主人公の九重明人が闇堕ちした時その世界が崩壊するとモルタによって明かされる。 彼は
紅き瞳のイミ 【ジャンル】ハイファンタジー ラブコメ 学園バトル 転移 【人称】三人称一元視点 【あらすじ】 この物語は異世界転移を果たした二人が織り成す、学園系異世界バトルラブコメディー。 高校生は仲間と共に戦場と化した都市の中で大規模な戦闘を繰り広げていた。 勝者には十億の賞金や願い事を叶えてくれるアルティナの勾玉が授与される為、この戦いを大規模戦線アルティナと名付けられ、高校生達の間では戦いの頂点へと君臨していた。 正体不明な謎の転移門から九重明人と苺オ・レをこよなく愛す少女ガオウがこの世界に訪れる。 元の世界クロスレゾナではレゾナスレイドと呼ばれ
シュウの話、第142話。国債償還の裏ワザ。- - - - - - - - - - - - - - - - - - - -3. 天狐の言葉に、役人たちは目を丸くする。「なんですと?」「い、いやいや、あるでしょう。あの土地はトラス王国の領土です」「14年前まではな」 そう返し、天狐は傍らの狼獣人に声をかけた。「エヴァ」「はい」 彼女は机の上にケースを置き、中身を役人たちに見せる。「この書類が何だか分かるよな? コピーだから持ってっていーぜ」「...
シュウの話、第141話。水仙狼当主ロマーノ卿の応対。- - - - - - - - - - - - - - - - - - - -2.「誤解ですと?」 尋ねたトラス王国外務省の役人に、ロマーノは眼鏡の位置をちょん、ちょんと整えながら、どこか斜に構えた様子で説明した。「まずその1。テンコちゃんが我々の庇護下にあるのではなく、テンコちゃんが我々を庇護している立場にあると言うことです。故にその2、私の意見はテンコちゃんが必ずしも聞き入れるべき強...
「鹿男あをによし」は奈良を舞台にした歴史ファンタジー(だと思う)。わたしはドラマを見てから原作を読んだのですが、原作にほぼ忠実につくられていたのに驚きました。読んでみてドラマがキャスティングもほぼ原作のイメージ通りでした。これは「鹿男あをに
シュウの話、第140話。永世中立国の遍歴。- - - - - - - - - - - - - - - - - - - -1. ラコッカ石油の起業準備は着々と進められており、難民特区は彼らの話題で持ち切りになっていた。「ラコッカの奴ら、求人出すんだとさ」「は? あいつら50人くれーいんのに、まだ人がほしいのかよ」「つっても半分ガキだろ。力仕事とかは流石に無理だろーし」「ああ……まあ……そうか。……俺、受けようかな」「マジで言ってんのかよ? 雇い仕...
おっちゃんや、サラリーマンといったユニークな風貌の神々と、人間の織りなすドタバタ新喜劇が『パーマネント神喜劇』です。また、「パーマネント」には永遠という意味があるそうです。とある小さな神社におわす縁結びの神と、そこの神社に願う人間たち、そし
シュウの話、……とはまったく関係ない昔話。下手の横好き、国を滅ぼす。- - - - - - - - - - - - - - - - - - - -緑綺星番外編 その1 どこの世界にも「下手の横好き」――己の趣味・嗜好と適正・能力が釣り合わない者はいる。それが個人で完結しているのであれば何の問題もないのだが、他人を、それも全く無関係の大衆を巻き込むようになれば、それは「害悪」に他ならない。 マーク・メルキン・トラスもこの類の、自分の「趣味」の...
シュウの話、第139話。対王国、次の一手。- - - - - - - - - - - - - - - - - - - -10.「じゃあ結局、カズセちゃんはトラスには戻らなかったのか?」 ブラウニーをつつきながら尋ねたロロに、天狐は渋い顔をしながらうなずいた。「実はな、戦争のドサクサでメルキンが死んだ後、こっそり様子見に戻ったコトがあるんだ。だが一聖がソコで見たのは、『全部一聖ちゃんのせいだ』って泣き叫ぶ、喪服姿のフェリスだったんだ」「どう...
アリゼは思いがけず兄との再開を果たした後も、島の役場で監視員の仕事を続けていた。その日もいつものように入り江に小舟を出して巡回をしていると、外海との境界辺りに見知らぬ黒船が停泊しているのを発見した。黒船が少し島から離れた場所にいた停泊してい
シュウの話、第138話。覚えてもらえなかった男の逆襲。- - - - - - - - - - - - - - - - - - - -9.《僕のことを覚えてないんだ、カズセちゃんは。そっか、やっぱりそうだよね。僕なんかのことは、あなたみたいなすごい人にとってはいないも同然の人間なんだろうな》「うっとーしーコト言ってねーで、素直に名前名乗れよ」 水を向けるが、相手は応じない。《これは率直な疑問、と言うか確認だけど、もしカズセちゃんが今、本気で...
シュウの話、第137話。続く襲撃。- - - - - - - - - - - - - - - - - - - -8. ビル風に長い黒髪が乱されるのも構わず、一聖は背負った相手に脅しをかける。「このヘンリー・トラス記念ビルの高さは約380メートル、8年前にゴールドコースト市国の貿易センタービルに更新されるまで世界最長の高層ビルだったワケだが、ま、ふつーの人間が屋上から身一つで落っこちりゃ、どーなるか分かるよなぁ?」「あ、あんたも死ぬだろ!?...
雨の日の拾い者、第3、4話(Novel Days版) 雨の日の拾い者、第3話(Novel Days版) 2017年11月18日(土)、ミノルの部屋 Ⅲ 早紀江がスマホを操作して「ほら、私のプロフがあるからそれを送る。ミノルのLINEのID教えて」とぼくのスマホを差し出した...
シュウの話、第136話。襲撃される一聖。- - - - - - - - - - - - - - - - - - - -7. まだ騒然としている王宮内で、一聖は思案に暮れていた。(妙なのは、なんで首相ともあろう人間がこんな暴挙に出たのか、だ) 王宮をそれとなく歩き回り、情報収集していく内に、監禁の際に軍や警察と言った王国内の武装勢力に、動いた形跡がなかったこと――即ち、マクファーソン首相が差し向けた兵士が王国の正規軍ではなかったことが明らかに...
雨の日の美術館、第3、4話(Novel Days版) 雨の日の美術館、第3話(Novel Days版) 2017年11月12日(日)、北千住の分銅屋 俺が美香さんを連れて行った居酒屋は、北千住の古い市街にある間口が三間ほどの小さな店だ。葦簀の簾が窓を隠し、食事処の提灯が下...