searchカテゴリー選択
chevron_left

メインカテゴリーを選択しなおす

カテゴリーのご意見・ご要望はこちら
cancel
コンドルの系譜 ~インカの魂の物語~ https://plaza.rakuten.co.jp/condornokeifu/

征服者とインカの末裔たちとの戦いの物語。インカ皇帝末裔トゥパク・アマルを中心に描く長編歴史ロマン。

風とケーナ
フォロー
住所
未設定
出身
未設定
ブログ村参加

2019/01/31

1件〜100件

  • コンドルの系譜 第十話(116) 遥かなる虹の民

    ​ 戦いの場となっている教会前の広場は、せいぜい60~70メートル四方ほどの大きさで、それほと広くはない。 その中で100人近い両軍の兵がひしめき合いながら武器を振り回しているのだから、その混雑具合はかな

  • コンドルの系譜 第十話(115) 遥かなる虹の民

    教会に向かって全力疾走しながら神父の言葉を読み取り、アンドレスは覆面から覗く目を思慮深気に細める。 (村人たちを巻き込むことを案じて──まともそうな神父だな。 それに、教会の前を血で汚したくないとい

  • コンドルの系譜 第十話(114) 遥かなる虹の民

    疾走速度をさらに上げていくアンドレスたちの耳に、戦いの喧騒が次第に大きく響き渡ってきた。 その喧騒の流れ来る方角に突き進んでいくと、ほどなく、こじんまりとした質素な教会が見えてくる。 その教会前は広

  • コンドルの系譜 第十話(113) 遥かなる虹の民

    しっかり覆面で顔を隠したアンドレスたち4人は、宿屋の主人から教えてもらった村の教会へと急いだ。 よく晴れた早朝の青空から降り注ぐ陽光は、次第に強さを増してきている。 そのような中、黒々とした覆面を被っ

  • コンドルの系譜 第十話(112) 遥かなる虹の民

    「なるほど……。 神父様とはいえ、ずいぶん尖った感じのする人ですね。 これまでも危ない橋を何度も渡ってきたみたいですし。 まぁ、あのモスコーソが目の敵にするのもわかります」 実直な口調で語るペドロの言葉

  • コンドルの系譜 第十話(111) 遥かなる虹の民

    スペイン国王によるイエズス会への弾圧、そして、その渦中で行われたアンドレスの父親の暗殺。 これまでこの国で行われてきた数々の蛮行を振り返れば、そのようなことが起こっていたとしても今さら驚くにはあたらな

  • 明けましておめでとうございます!

    明けましておめでとうございます! 昨年も遅々とした更新となってしまい 大変恐縮な思いなのですが…… そのような中でも ご来訪くださりお読みくださいました読者さま 本当にありがとうございました。 また、

  • コンドルの系譜 第十話(110) 遥かなる虹の民

    再びアンドレスが深く頷く。 「確かに、ヨハンの言う通りだ。 今はあまり時間が無いから詳しくは説明できないけど、国外追放の件は大事なので話しておきたい。 ヨハンが言ったように、イエズス会の神父たちが国外

  • コンドルの系譜 第十話(109) 遥かなる虹の民

    「そうですネ。 腹が減っては戦はできぬ、ですからネ!」 そう応じて、昨夜のうちに買い置いておいた朝食のパンやチーズを皆に分けていくジェロニモを眺めながら、アンドレスは懐に大事そうにしまっていた例の貼り

  • コンドルの系譜 第十話(108) 遥かなる虹の民

    自分と宿屋の主人とのやりとりを見守っていたジェロニモやペドロたちを、アンドレスが鋭く振り向いた。 「君たちも想像がつくだろう? あのモスコーソに狙われた人間の末路がどうなるかってこと……! しかも、この

  • コンドルの系譜 第十話(107) 遥かなる虹の民

    「ああ、それでしたら、あやつらの目的は、多分、村の教会の神父様です。 神父様を逮捕しに来たのでありましょう……」 宿屋の主人は声を潜めて答えると、困惑と悲しみの混ざった表情で溜息をつき、床に視線を落とし

  • コンドルの系譜 第十話(106) 遥かなる虹の民

    一番面の割れやすそうなアンドレスが、ジェロニモの腕によって、有無を言わさぬ勢いで大棚の陰に押し込まれた。 アンドレスの姿が隠れたのを見届けてから、ペドロが軽く咳払いをして部屋の扉を開ける。 「コホンッ

  • コンドルの系譜 第十話(105) 遥かなる虹の民

    アンドレスは瞬時に目が覚めて、ベッドから飛び降りると、窓枠の陰から外に鋭く視線を走らせる。 確かに、ジェロニモの言う通り、宿屋の外のそこかしこに、スペイン兵たちが殺気だった様相でたむろしている。 ジェ

  • コンドルの系譜 第十話(104) 遥かなる虹の民

    一晩時を遡り、モソプキオ村では──。 マリオの案内で宿屋に着いたアンドレスたちは、2階の奥まった簡素な一室を借りて、商店街で仕入れた食糧で夕食を済ませ、早々に各自のベッドの中にもぐりこんでいだ。 早朝か

  • コンドルの系譜 第十話(103) 遥かなる虹の民

    その後、重側近たちをはじめとした主だった者が20人ほど集まった軍議の席で、トゥパク・アマルは、昨夜、アパサの伝令兵からもたらされたアパサ軍の戦況について説明した。 アパサは、首府リマ周辺を警護する副王ハ

  • コンドルの系譜 第十話(102) 遥かなる虹の民

    「ありがとう」 そう言って己の隣に立ち、眩げに大海原を見晴らしているトゥパク・アマルの方に、改めて本人なのかどうかを確かめるようにスペイン軍人の視線が吸い寄せられる。 インカ族らしい精悍さとインカ族ら

  • コンドルの系譜 第十話(101) 遥かなる虹の民

    翌日の早朝。 予定している軍議の時刻には、まだ大分時間がある。 トゥパク・アマルは、少し頭を冷やそうと砦の外へ出て行った。 このスペイン砦は、ほぼ長方形の形状をしているが、正面を大海原に面し、背後は荒

  • コンドルの系譜 第十話(100) 遥かなる虹の民

    トゥパク・アマルは席を立って扉の前に行くと、自らそれを開いて従軍医を招き入れた。 そして、執務机傍の椅子に座るよう勧める。 「陛下、畏れ多いことでございます」と、すっかり恐縮している従軍医の緊張をほぐ

  • コンドルの系譜 第十話(99) 遥かなる虹の民

    トゥパク・アマルは、やがて漆黒の瞳を見開くと、怜悧(れいり)な横顔を鋭くさせながら、再び、一語一語かみしめるように手元の書面に目を通していく。 『この国の<キリスト教徒>を名乗る権力者たちは、主イエス

  • 明けましておめでとうございます♪

    ・✽.。.:*・゚ ✽.。.:*・゚ ✽ 明けましておめでとうございます ・*:.。 。.:*・゚✽.。.:*・゚ ✽ 昨年もご来訪くださいまして、小説をご覧くださいまして、本当にありがとうございました! 励みになるコメントや応援をして

  • コンドルの系譜 第十話(98) 遥かなる虹の民

    記憶をたぐり寄せようとするかのように、マリオはそのまましばらく大きな瞳を見開いて、アンドレスの顔を凝視していたが、やがて小さく溜息をついた。 「だめだ。 思い出せない……!」 一方、アンドレスは、己の進

  • コンドルの系譜 第十話(97) 遥かなる虹の民

    背後の相手を刺激しないよう、アンドレスたちは動作を静止したまま、首だけ僅かに動かし、半顔だけ振り向いた。 そして、えっ!と、思わず目を瞬かせる。 彼ら4人に険しい表情を向けて、見張り小屋の前でオンダ(

  • コンドルの系譜 第十話(96) 遥かなる虹の民

    モソプキオ村――。 すっかり日が暮れて、月明りや星明りを頼りに馬を馳せてきた旅の4人が集落の辺りに辿り着いたのは、夜7時半を回る頃だった。 村の入り口と思しき場所には、木製の素朴な看板が打ち立てられていて

  • コンドルの系譜 第十話(95) 遥かなる虹の民

    こうして、ともかくも集落に向かうことにした4人が、月明りを頼りに辿った地図上の道は、この分岐点の先に「mosopuquio(モソプキオ)」という小さな村があることを示していた。 地図的には、馬を飛ばせば、30分程

  • コンドルの系譜 第十話(94) 遥かなる虹の民

    (これは……!) アンドレスの喉奥から、声にならない擦れ声がもれた。 その周りでは、ジェロニモ、ぺドロ、ヨハンが、文書を回し読みながら、それぞれの感想を口にしている。 「書かれている内容は、トゥパク・ア

  • コンドルの系譜 第十話(93) 遥かなる虹の民

    残りのメンバーも、いつしか意識を集中してアンドレスの提案に耳を傾けていたが、しばしの沈黙の後、ジェロニモが口火を切った。 「そうですねぇ、アンドレス様の言うように、今のうちにしっかり体力を蓄えておくっ

  • コンドルの系譜 第十話(92) 遥かなる虹の民

    様々な思いを抱きながらも、旅の一行は、荒野を貫いて延びる裏街道を再び馬で馳せていく。 今のところ一枚岩のチームワークとは到底言えない4人組だが、馬を走らせていく騎馬姿は、なかなかさまになっている。 こ

  • コンドルの系譜 第十話(91) 遥かなる虹の民

    こうしてトゥパク・アマルたちに見送られたアンドレスたちは、変装姿のまま人目につきにくい裏街道を馬で駆け続け、半日ほど経ったところで休憩のために馬を止めた。 辺りを原生林や岩に囲まれた清流の傍に馬をつな

  • コンドルの系譜 第十話(90) 遥かなる虹の民

    アンドレスが心の中であれこれ呟いている間にも、またヨハンが何か言い返そうと口を開きかけた。 が、強い光を放つトゥパク・アマルの漆黒の瞳に貫くように見つめ返され、ヨハンの喉元がグッと言葉を呑みくだす。

  • コンドルの系譜 第十話(89) 遥かなる虹の民

    「そなたが、ヨハン・エルナンデス殿か」 礼を込めた声音でそう言って、トゥパク・アマルが柔和な眼差しを注ぐ。 その視線の先では、にわかに周囲の注目が己に集中しだしたことに、あからさまに嫌悪感を滲ませてい

  • コンドルの系譜 第十話(88) 遥かなる虹の民

    「トゥパク・アマル様、もしかして、わざわざ見送りに来てくださったんですか?」 アンドレスが頬を上気させて問いかけている背後では、ジェロニモもペドロも歓喜と緊張の入り交じった表情で居住まいを正し、そして

  • 明けましておめでとうございます!

    遅ればせながら、明けましておめでとうございます! 昨年も『コンドルの系譜』をお読みくださいまして、 本当にありがとうございました。 励みになるコメントや応援をしてくださいました皆さまには、 重ねて

  • コンドルの系譜 第十話(87) 遥かなる虹の民

    翌朝――。 アンドレスたち一行の旅立ちの日である。 まだ夜明け前の初夏の早朝は、冷え込みも厳しい。 濃紺から澄んだ藍色へと移りゆく空の下、アンドレス、ジェロニモ、ペドロ、ヨハン、そして、彼らを見送るビル

  • コンドルの系譜 第十話(86) 遥かなる虹の民

    「そなたの身柄と引き換えに、捕虜として囚われているインカ軍の兵たちの解放を、副王に願い出るつもりだ」 「な…に……? このわたしを、あの虫けら同然の捕虜どもと交換だと? ……ッざけるな!! わたしの命は、

  • コンドルの系譜 第十話(85) 遥かなる虹の民

    「――アレッチェ殿」 トゥパク・アマルは去りかけていた足を止めて、こちらを振り向いた。 「これは失礼をした。 なんなりと聞いてくれ」 今一度、寝台横の椅子に戻ったトゥパク・アマルを、アレッチェの闇色の瞳

  • コンドルの系譜 第十話(84) 遥かなる虹の民

    「この砦の周辺に広がる大地を耕し、長期間の療養が必要な負傷兵たちの食糧を自給自足できるようにしたいというのは偽りではない。 この国を統(す)べる要職の一人として、そなたとて、見た目は荒野のようなこのア

  • コンドルの系譜 第十話(83) 遥かなる虹の民

    「それは、先ほど伝えた通り、負傷兵たちの食糧確保の手助けをしてくれる者たちが必要だからだ」 「そのような建前のことなど聞いていない。 何を企(たくら)んでいるのかと聞いている」 アレッチェの有無を言わ

  • コンドルの系譜 第十話(82) 遥かなる虹の民

    「当然ながら、この砦にある食糧には限りがある。 多国籍の多くの負傷兵が参集して大所帯の当砦では、いかに充実した食料庫を保有しているとはいえ、いずれ底をつくのは時間の問題であろう。 かと言って、近隣の農

  • コンドルの系譜 第十話(81) 遥かなる虹の民

    「いろいろ話が多くて、かたじけない。 なれど、このこともまた大切なことゆえ、聞いてほしい。 先ほどから我々の話の中心である負傷兵たちだが、そなた自身もそうであるように、まだかなりの重傷者も少なくない。

  • コンドルの系譜 第十話(80) 遥かなる虹の民

    「アレッチェ殿――」 「それで? わざわざ治療して、そのおかげで回復したスペイン兵たちを、おまえはどうするのだっけ? ああ、そうそう、敵兵といえども、回復したら、釈放するのだったかな? それが、インカ帝

  • コンドルの系譜 第十話(79) 遥かなる虹の民

    己の投げかけた話題に、僅かながらも相手が反応を返してきたことに、トゥパク・アマルは目の色を和らげる。 それからすぐに、申し訳なさそうに、まぶたを伏せた。 「すまぬ。 アンドレスの旅の行き先や、その目的

  • コンドルの系譜 第十話(78) 遥かなる虹の民

    (恐らく、公人としても、私人としても、孤高を貫いて生きてきたのであろう――) トゥパク・アマルは、眼前の敵将を見つめながら、胸の内で独りつぶやいた。 公人としてのホセ・アントニオ・アレッチェ、つまり、全

  • コンドルの系譜 第十話(77) 遥かなる虹の民

    さて、ここで、時間を少しばかり過去に戻そう。 アンドレスとコイユールが夜の中庭で語らっていた頃、トゥパク・アマルとアレッチェはどのような様相になっていたであろうか。 アレッチェの療養中の居室の中で、対

  • コンドルの系譜 第十話(76) 遥かなる虹の民

    その時だった。 砦の外回廊の方から、従軍医の聞き覚えのある声が、こちらに向かって呼びかけてきた。 「コイユール…? そこにいるのはコイユールなのかね? そんなところで何をしているんだ? ――誰か一緒にい

  • コンドルの系譜 第十話(75) 遥かなる虹の民

    驚愕と興奮で、擦れ声でささやき合う二人の視線の遥か先の上空で、その楕円形の発光物体は、確かに、動いているように見えるのだ。 いや、実際、月も星々も上空をゆっくり移動してはいるのだが、そのような天体の緩

  • コンドルの系譜 第十話(74) 遥かなる虹の民

    ――が、その閉じかけられたコイユールの瞼が、突如、ハッと、またも大きく見開かれた。 すっかり互いの顔が接近している状態だっただけに、あまりに大きく見開かれたコイユールの瞳に、今度はアンドレスの方がびっく

  • コンドルの系譜 第十話(73) 遥かなる虹の民

    「コイユール、まだ今の話しは終わっては……」 そう応じつつも、自分が不在にすることも伝えておかねばならないと、アンドレスは居住まいを正した。 「実は、俺、しばらく砦を留守にすることになってしまったんだ。

  • コンドルの系譜 第十話(72) 遥かなる虹の民

    「コイユール、まだ俺に何か隠してないよな……? 俺に心配かけまいとして、黙っていることが他にあるんじゃないのか? アレッチェが完治させろと脅してきたとき、一体、どんな会話をしたんだ? もっと詳しく教えて

  • コンドルの系譜 第十話(71) 遥かなる虹の民

    「アレッチェ様は自覚してないでしょうし、お認めにもならないだろうけど、多分、孤独感や恐怖感が、すごくあるんじゃないかしら。 あの酷いケロイドが一生治らない人生は、そして、身体が不自由な人生は、どのよう

  • コンドルの系譜 第十話(70) 遥かなる虹の民

    張り詰めていた空気がひとたび和らぐと、今まで妙に濃い闇に閉ざされたように感じられていた中庭が、にわかに月光と星々の煌めきに満ちた明るい世界に変わって見えてくる。 サヤサヤと木の葉と夜風が奏でる心地よい

  • コンドルの系譜 第十話(69) 遥かなる虹の民

    誰もいないと思っていた中庭から突然声がして、ただでさえ身を硬くしていたコイユールは、ビクッ、と大きく肩を震わせた。 「………!?」 「ごめんごめん、驚かすつもりじゃなかったんだ」 梢の間から降り注ぐ月光

  • コンドルの系譜 第十話(68) 遥かなる虹の民

    (――って言っても、コイユールは、どこにいるんだろう…? トゥパク・アマル様とアレッチェの面会が終われば、またアレッチェの看病に戻らなきゃならないんだろうから、やっぱりアレッチェの部屋の近くだろうか?)

  • コンドルの系譜 第十話(67) 遥かなる虹の民

    「え、ロレンソが俺に謝る…? 一体、何を?」 全く想像もつかないアンドレスが、先にも増して、大きな瞳をさらに大きく見開いている。 「つまり、それがだな…、さっきトゥパク・アマル様と話していて、つい、そな

  • コンドルの系譜 第十話(66) 遥かなる虹の民

    「確かに、この状況の中で、戦場を離れなければならないそなたの心境は、わたしも察するに余りある。 この瞬間にも、どこで戦火が上がってもおかしくないし、実際に、クスコではディエゴ様とバリェ将軍が激しい戦闘

  • コンドルの系譜 第十話(65) 遥かなる虹の民

    晴れた夜の空には、美しい白銀の月が煌めいている。 その夜空を、紅々と燃える松明の炎が、静かに焦がしている。 周りに誰もいないことを確かめつつ、二人は声をひそめながら、矢継ぎ早に言葉を交わし合う。 「ア

  • コンドルの系譜 第十話(64) 遥かなる虹の民

    「アンドレス様、今、何と? トゥパク・アマル様が、アレッチェ殿に直(じか)に会って、ヨハンの件を尋ねると仰っていたのですか?」 トゥパク・アマルとアレッチェが直接会うと聞いて、ビルカパサの野性

  • コンドルの系譜 第十話(63) 遥かなる虹の民

    トゥパク・アマルとアレッチェが、張り詰めた空気の中、それでも同じ空間を共にしていた頃、アンドレスたちの旅支度も、ほぼ整ってきていた。 倉庫近くの砦の一室では、ビルカパサの手ほどきの元、彼の率いる連隊兵

  • コンドルの系譜 第十話(62) 遥かなる虹の民

    扉が閉まると、室内には、先にも増して重い沈黙が訪れる。 今も、アレッチェは、寝乱れた姿を少しも正そうとはせず、寝台に長々と寝そべったまま、包帯の向こうから憎悪に満ちた両眼でこちらを睨みつけている。 一

  • コンドルの系譜 第十話(61) 遥かなる虹の民

    「気分はどうかね?」 そう語りかけて、トゥパク・アマルは、寝台上のアレッチェと同じ目の高さになるよう、床に跪(ひざまず)いた。 その様子に、コイユールは、殆ど飛びすさるようにして己の座っていた小椅子か

  • コンドルの系譜 第十話(60) 遥かなる虹の民

    「中に入ってもよいか?」 軽く振り向いて視線で問いかけたトゥパク・アマルに、従軍医は丁寧に頷き、それから、低音(こごえ)で言い添えた。 「はい、トゥパク・アマル様。 コイユールが中におり、アレッチェ様

  • コンドルの系譜 第十話(59) 遥かなる虹の民

    それ以上、追いかけようもなく、回廊の向こうからこちらを見守っているロレンソを背後に残し、トゥパク・アマルは従軍医の方へ歩んでいく。 彼の視線の先で、従軍医は、治療道具を小脇に抱えて床に目を落としたまま

  • コンドルの系譜 第十話(58) 遥かなる虹の民

    「ですが……」と、まだ立ち去りがたそうなロレンソの肩に、トゥパク・アマルのしなやかな手が、スッと、添えられる。 「そういえば、ロレンソ殿、そなたに伝えておきたいことがあったのだ。 わたしの依頼した用向き

  • コンドルの系譜 第十話(57) 遥かなる虹の民

    初夏の潮風は清々しい。 砦を支える断崖下に打ち寄せる波も、今は穏やかだ。 そろそろ夕刻時となり、傾きかけた朱色の陽光が、砦の外回廊を歩み進むトゥパク・アマルのガッシリと引き締まった両肩に降り注いでいる

  • コンドルの系譜 第十話(56) 遥かなる虹の民

    「農園作りの準備の様子を見に来たのだ。 これは戦闘ではないが、食糧の確保は、いついかなる時も重要だ。 それに、このことは、今後の礎(いしずえ)のひとつともなる大切なことだと考えている」 「……そうは仰い

  • コンドルの系譜 第十話(55) 遥かなる虹の民

    「ジェロニモ、君に折り入って頼みがあって来たんだけど、今、ちょっとだけいいか? 忙しそうなところ、悪いんだけど……。 ……っていうか、何の作業してるんだ?」 「えっ、アンドレス様、知らないんですか? 砦の

  • コンドルの系譜 第十話(54) 遥かなる虹の民

    ビルカパサの連隊兵が参集している場所をアンドレスが探し当てたとき、そこは砦の倉庫内の一角だった。 見ると、数十名の兵たちが、数十個ほどの大きな麻袋と格闘している。 彼らは、どこから運んできたのか、それ

  • コンドルの系譜 第十話(53) 遥かなる虹の民

    いきなりのことに、鳩が豆鉄砲を食らったような顔をしているペドロとヨハンに、アンドレスが有無を言わさぬ口調で通告する。 「おまえたちは、さっさとこの治療場から退去するように。 それから、出立に備えて、準

ブログリーダー」を活用して、風とケーナさんをフォローしませんか?

ハンドル名
風とケーナさん
ブログタイトル
コンドルの系譜 ~インカの魂の物語~
フォロー
コンドルの系譜 ~インカの魂の物語~

にほんブログ村 カテゴリー一覧

商用