「とわの庭」 小川糸 (読書感想)
盲目の少女とわの壮絶な人生のお話。始まりは「とわのあい」で結ばれた母との幸せな時間。とわが楽しめるようにと、母は香りの木々を庭に植えていた。四季折々の香り漂うその庭は「とわの庭」と呼ばれた。庭に集まる黒歌鳥の声で朝が来たことを知り、とわの庭の木々の香りで季節を知り、外に出ることなく、母と二人の世界で安心して暮らす盲目のとわ。でも、いつしか人生は横道にそれていき、壮絶な孤独と飢餓がやってくる。ゴミに埋まった部屋で、必死に食べられるものを探すとわ。やっと見つけた、柑橘系の香りのするグミは、幸せの時代に母からもらった消しゴムだった。それでも生き延びたとわは、いっぽ。にほ。さんぽ。「とわの庭」を抜けて、外の世界へと出ていく。人生の再生の物語。許しの物語。愛の形の物語でもある。瀬戸内寂聴さんの「般若心経」の本を読ん...「とわの庭」小川糸(読書感想)
2023/07/28 17:28