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包帯に巻かれているにもかかわらず、火のように激昂した表情が見えるかのようなアレッチェの暴言に、スペイン人医師サレスは冷静さを失わぬままに答える。 「お気持ちは察するに余りあります。 ですが、閣下の
数日後。 早速、スペイン人の医師がトゥパク・アマルたちが居を構える砦へと招かれた。 50代後半位の年代に見える落ち着いた佇まいのスペイン人医師──サレスは、アレキパ界隈では腕利きの医師として有名で、こ
トゥパク・アマルはコイユールを助け起こすと、「アレッチェ殿を見舞いに来たのだが…。大丈夫かね」と、心配そうな眼差しをコイユールに向ける。 コイユールはいっそう深々と身を低めて、アレッチェに打倒された
「アレッチェ様を殺すだなんて、そんなことするはず……」 そう擦れ声で答えながら、コイユールは悲しげに目を伏せた。 (アレッチェ様、いつも以上に荒れていらっしゃる…。 治療の効果が全然見えてこないの
トゥパク・アマル陣営──。 モソプキオ村でのアンドレスたちとロカ神父との会合が、そろそろ終わりを迎えようとしていた頃の夕刻時。 スペイン軍総指揮官ホセ・アントニオ・アレッチェが治療を受けている居室で