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複数の相続人が別々の不動産を取得する場合は1回の協議で遺産分割しましょう
夢に出てきた架空の話です。目覚めた時は酷い寝汗をかいていて、動悸もしていました。司法書士としての自尊心も失っていました。ここで吐き出します。よくよくタイトルを見ると当たり前の話ですよね。不動産に限らず普通は1回です。被相続人A(配偶者Bは先...
④共有分割 遺産の一部または全部を具体的相続分による物権法上の共有取得とする方法です。例えば不動産を持っていて、その権利を長男、二男、三男で三分の一ずつ共有するとしてしまう事ですね。 共有分割については、現物分割、代償分割、換価分割が困難な場合、当事者が共有による分割を希望している場合などで利用されます。 ただ共有としてしまう事で、将来的に管理や処分がしにくくなることも多く、問題の先送りになってしまうことも有ります。
③換価分割 遺産を売却等で換金した後に代金を分配する方法です。これは相続人間で公平感があり、手続きを進めやすいというメリットがあります。 ただ売却手法やタイミングでその売買価格が変動することも有るので、相続人間で合意を取っておかないと後々揉める可能性もあります。 売りにくいものなどがある場合、その売買に時間がかかってしまい相続手続が長引く可能性もあります。また不動産などの場合 時間を掛けて公示することにより、高く売ることも可能ですが、その分管理費用、納税費用なども発生するため注意が必要です。
②代償分割 一部の相続人に法定相続分を超える額の財産を取得させたうえ、他の相続人に対する債務を負わせるというものです。簡単にいうと多めにもらった分だけ他の相続人に金銭でお返ししなさいというものです。 裁判所がこの分割手法を取る場合は、特別な事情が必要で、それは現物分割が不可能な場合や、現物分割をすると分割後の財産価値が著しく低下してしまう場合です。また特定の相続人が占有、利用する必要がある場合などです。非上場上の自社株なんていうのはそれに該当しますね。 代償金の支払いは、原則一括です。
①現物分割 そのままの財産の形状や性質を変更することなく分割する方法です。例えば長男Aに共住している家と土地、次男Bには、駐車場、三男Cには株式いった感じです、 また広い土地であるならば分筆してしまい、一つの土地を分割して分けるという方法もあります。 前者の方法ではどうしても受け取る金額差が少なからず出てしまいます。現物でわけたとしても、現金や預貯金でその補正をする必要がでてきますし、その評価自体が紛争の火種となることも有ります。 後者の場合もどういう風に公道に接しているかやその形状次第で価値も変わってくるので単純な話ではありません。
しかし折り合いをつけて決着しないと終わらない相続手続が目の前に残ってしまいます。そのため裁判所の調停や審判といった手段を取らざるを得ないことになってしまいます。 遺産分割の方法には4種類あります。①現物分割②代償分割③換価分割④共有分割です。 それぞれにメリットデメリットがありますの ひとつひとつ見ていきましょう。
不動産が欲しいひとは不動産の価格を低く主張し、その代償金をもらう人はできるだけ高く評価します。先にお話しした通り不動産には4つの軸となる価格設定があり、また時勢単価になると売り方ひとつで上下大きな違いが生じます。不動産の評価それだけ難しいといえます。 すべて売却して金銭に変えてしまいそれを分割するという方法もありますが、先祖から引きついだ土地や現に居住している家なんかだとそう簡単に売却も出来ません。
遺産分割の目指していくところ 具体的な分割方法について見ていきたいと思います。家族 親族であらたまって協議なんて言われても戸惑いますよね。そんなまじめなことしたことないし、あんまり昔から仲良くないんよねーといった場合なにから話していいものやらとなりがちです。 一般的に相続人が多数いて、相続財産が分けにくいもの、相場単価を特定できなものなどがあると相続人間で様々な思惑というものが交錯して、それぞれの利害関係が見え隠れして紛糾します。
調停不成立となれば、裁判官による審判での決着となります。調停から審判へは自動的に移っていきます。 調停 審判となる遺産分割上の問題点は様々ですが、相続財産に対する使途不明金などがあった場合は、相続人間で根深い争いとなってしまいます。 調停審判となった場合 2年~3年ぐらいの月日を要することになり、当事者の精神的体力的な負担も大きくなります。
ここで協議がなかなか進まないという事になると裁判所に関与してもらい解決を目指すとなります。その場合もいきなり審判ということにはならず、調停からのスタートとなります。 調停員に相続人の言い分や財産内容を話、双方折り合いがつくところを目指します。第三者でありこういった経験豊富な調停員にはいってもらう事で解決しやすくなります。
相続人 個々人で置かれた状況も違いますし、親族間の性格的な不一致も有ります。それをこの遺産分割協議という短い期間に把握し修復するというのはなかなか難しかったりします。そこで議論されるのが生々しいお金の話はもちろん、不動産の処分、親の介護の問題、お墓などとなってくると複雑かつ高度な話し合いが必要となります。
相続人と遺産がはっきりしたところで、遺産分割協議の材料がそろったことになります。 法定相続分という目安がありますが、あくまでも相続人間の協議で決めるということになります。ここから今まで構築されてきた親族間の人間関係が試されるという事になります。 場合によると全て換価して分けることもあれば、一人の方が遺産となる対象物をもらい、その代償金を支払うということも有ります。
株式の場合は、上場株かどうかで大きく分かれます。上場株については時期によってその価値が変動するという難しさのあるものの換価しやすいという面がありますので、比較的扱いやすいものではあります。(ただ相続人の好みの銘柄か?ということも有ったりします。) 非上場の場合は、事業承継の問題が絡んだり、そもそも価値の評価がしづらいものもあるので 揉めやすいといえます。経営者が持つ自社株の場合 金額もかなりの額になる場合もあり、相続税の問題も大きくなる傾向にあります。
全部換価してしまうということであれば、明らかではあるのですが、そういうわけにもいきません。また資産価値が高い広大な土地であったとしても、遠方であったり山林であったりすると、今後発生する交通費や管理費用などを考えると魅力の薄いものなったりします。 相場価格の高い 都心部であっても複雑の土地の形で利用しにくい場合もあります。 同じ相場単価の賃貸物件だったとしても、設備の老朽具合や今後の近隣エリアの発展度合いによって入居率が変わりそうなんていう場合もあります。 つまり一概に相場単価の上下だけでは、その土地を相続するかどうかの動機につながらないこともあるという事ですね。
遺産の範囲がわかったらその財産価値を鑑定していきます。現金、預貯金にそのような必要性はありませんが、不動産や株式などは総合的な判断も必要でなかなかに厄介です。 不動産には、固定資産評価額、路線価価格、公示価格、実勢価格など何種類も評価軸があります。どれを選択するかでその不動産の価値も決まるため相続人の分配金額も変化します。
こういった調査とともに重要なのが、管理です。一部の相続人に現金 預貯金が流出しないように口座凍結も必要ですし、不動産の場合建物自体の管理と勝手に登記手続きがされないようにしておくことも必要です。 残された不動産に相続人が整理と称して立ち入ることも有りますので、不用意に物品を持ち出さないようにすることも重要です。金銭価値の高い貴金属、着物、絵画などなど あとあと骨肉の争いになる場合もありますのでしっかり管理していきましょう。早い段階で写真や動画を残しておくというのもアリだと思います。
預貯金などは金融機関の通帳などがあればわかりやすいですが、今はネット銀行や通帳を発行せず管理している金融機関などもあります。またデジタル資産と呼ばれる仮想通貨も可能性がないわけではないので注意が必要です。 不動産は、納税通知書、登記情報などから内容を確定させていきますが、その範囲特定には名寄帳なども使うと他のエリアや私道など固定資産税が発生しない物件も明らかになるので有用です。
相続人の特定が済みましたら、次は遺産の範囲です。 原則として、被相続人が亡くなった時点で所有していて、現在も存在するものが、遺産分割の対象となる遺産であり、その範囲を確定することになります。 この時にはプラスの財産、マイナスの財産全てを含みます。被相続人が残された情報から預貯金、不動産、株式、動産などを一つ一つ洗い出します。
判明した相続人ですが、注意ポイントがあります。相続人のなかに未成年の方がいる場合は、そのままでは遺産分割協議に参加することができませんので特別代理人の選任を家庭裁判所に申し立てる必要があります。 また認知症など事理弁識能力に問題がある場合などは、法定後見人をたてるなどの必要性があります。行方知れずの方などがいるケースでは不在者財産管理人を立てる必要もあります。こういった可能性が予見される場合は必ず遺言書を作成しておく必要があります。
戸籍が漏れなく集まった段階でご利用いただきたいのが、法務局の法定相続情報証明制度です。これは戸籍をあつめ、それをもとにした相続人の相関図を提出し、法務局の担当者に認証をもらう制度です。 これは誰が相続人であるかというところの最終確認をしてもらえる、それも無料でという有難い制度です。申請書や相関図の書式など少し手間がかかりますが、見落としがちな誰が相続人なのかというところをチェックしてもらえることは大きいです。もちろん相続人を見落としていたり、戸籍が足らない場合は不備を指摘され再提出を促されますが、それだけの価値はあります。 この認証を受けた書類は、必要数発行してくれますし、後の相続手続がスムー…
ただご兄弟などの住民票は、個人情報保護の観点から取得が以前より難しくなっており、同居の親かご本人でなければ取得が出来ません。委任状が必要になります。このあたり戸籍や住民票取得のルールは地域によっても少し違ったりしますので注意が必要です。 よそのエリアから戸籍を取る場合 役所によると時間がかかったり、別日を指定される場合もあるようです。出生から死亡までの戸籍になると(ヒトにもよりますが、)本籍地を転々と移動されていていると役所間での確認が生じますのでさらに時間がかかります。
確認する手段としては、戸籍の収集です。亡くなった方の出生から死亡まで。そして相続人となる方の戸籍。亡くなった方の住民票の除票、相続人の住民票など。 以前は本籍が変わるとそこから戸籍を取らないといけないなんてこともあったのですが、つい最近の戸籍法改正でご本人様や亡くなった方の相続人様は、お近くの区役所で全ての戸籍が手に入るようになっています。だいぶ便利になっています。
①相続人の確定 相続に関してはまずここが非常に重要です。相続人の方はこのあたり気軽に考えがちですが、あとあと金融機関やその他手続きをしていくにあたってはとても重要視されます。またもしここに抜け落ちがあると遺産分割協議のやり直し、または相続紛争となり裁判所での調停・審判に発展することがあります。 お父さん(おかあさん)に限ってなどと思わず、前婚、認知、養子の可能性を確認してみましょう。
まずは遺言書の有無を確認しましょう。このあるなしで手続き自体が大きく変わります。 生前に遺言書の話をされていたという場合は、ある確率もぐっと高くなります。自宅タンスや金庫などをまず確認、公正証書遺言の場合はお近くの公証役場に行けばその有無は確認できますので、ご利用ください。 もしなさそうだというのが確認できましたら、遺産分割に進めていきます。
親の相続などまだまだ先だと思っていたのに、突然逝去され相続人が手続きをしないといけない状況に立たされる。という事はよくある話です。 ただ何から始めたらいいのか、どれぐらいの負担を強いられるのか?ただでさえ看取りから葬儀の手配などで精神的な疲労がある状況で、今から調べて手続きしていくのかとなると呆然とします。 なのでぜひ事前にできる範囲で相続知識を得ていたり、ご自身の親族関係を把握しておくことはとても重要です。また全部や一部を専門家に依頼することで負担も大幅に削減することができます。 遺産分割の手順を見ていきましょう。
遺産分割の対象範囲としては、あまり持っている人の割合は少ないと思いますが、国債や投資信託、といったものもあります。 その他にはゴルフの会員権、仮想通貨 動産である車や貴金属、絵画などいろいろなものがありますので、そのものに応じて手続きや換価処分、または一人の人が所有して代償金を支払うなんてことも有ります。 あまりに複雑な財産構成の場合は、相続の専門家に任せて手続きから遺産分割協議まで任せるという方法もありかなと思います。
原則相続財産と見なされませんので、遺産分割協議の対象となりません。規定に従い会社が指定した遺族に支給されます。そのため、相続人同士で分配のルールを決めることはできません。 ただし、「特別受益」として考慮される可能性がある点に注意が必要です。 例えば 特定の相続人(例:長男)が多額の死亡退職金を受け取った場合、他の相続人(例:次男)が「これは特別受益にあたる」と主張することがあるということです。
死亡退職金は「みなし相続財産」として相続税の課税対象になりますが、一定の非課税枠が設けられています。① 非課税枠以下の計算式で求められる金額までは相続税がかかりません。 非課税限度額 ◎ 500万円 × 法定相続人の数例:法定相続人が3人(配偶者+子2人)の場合 500万円 × 3人 = 1,500万円まで非課税支給された死亡退職金の合計額がこの非課税枠を超えた場合、その超過分が相続税の課税対象となります。
【死亡退職金】 死亡退職金とは、従業員が死亡した際に会社から遺族に支払われる退職金のことです。 死亡退職金は、原則として相続財産には含まれません。これは、会社が退職金の支給を「遺族への弔慰金や生活保障」として支払う性質を持つため、被相続人(亡くなった人)の財産ではなく、会社から遺族へ新たに支払われるものと考えられるからです。ただし会社による規程の違いも大きいため例外として相続財産と同視される可能性もあるので注意が必要です。
相続の手続きとしては、 上場株式の場合は、被相続人が口座を開設していた証券会社に連絡をし、手続きに必要な書類を集めて名義変更の手続きを行います。いきなり換金という事はできず、相続人がその証券会社に口座を持っていなければ作る必要があります。 非上場株式の場合は、名義書き換え手続きについて発行会社にまず確認、場合によっては会社側が相続人に対して株式の売渡しを請求できる権利を定めている場合もあるので、その場合は会社に購入してもらうことになります。この場合の価格に関して合意できない場合は裁判所に申し立てすることになります。
【株式】 株式は、遺産分割がされるまでは共同相続人全員での準共有状態になります。株主は株主である地位に基づいて、剰余金の配当を受け取る権利、残余財産の分配を受け取る権利、株主総会の議決権などいろいろな要素が含まれますので、相続発生段階で当然に法定相続分で分割ということはできません。 またその株が上場株式かそうでないかで手続きが大きく変わります。
相続人のうち一人が保険金受取人として指定されていて、その保険金が遺産に入らないとなると他の共同相続人から不公平だといわれるかもしれません。しかし原則としては遺産ではなく固有の権利として保険金の受取があるので遺産分割の対象にはなりません。 ただし保険金の額、保険金の額の遺産総額に対する割合、保険金受取人と他の相続人との関係性などによっては、特別受益と解釈され持ち戻しの対象となることがあります。
【生命保険】 生命保険は受取人固有の財産となるため相続財産とはなりません。受取人が指定されている場合はその方に、されていない場合は保険約款に基づいて相続されます。これは民法の定めるものとは違う、代襲相続や兄弟姉妹の扱いなどもありますので確認しておく必要があります。 保険に入る段階でも説明されますが、受取人に設定できる範囲も定められています。いきなり第三者や団体を指定することは原則できないと思っていたほうが良いと思います。 確かにそんなことができてしまうといろいろな事件や犯罪に生命保険が使われることになるでしょうから、当然と言えば当然です。
民法909条に 各共同相続人は、遺産に属する預貯金債権のうち、その相続開始の時の債権額の三分の一に当該相続人の法定相続分を乗じた額については、他の共同相続人の同意がなくても単独で払い戻しができるとされています。 ただし同一の金融機関の払戻金額は上限が150万と定められています。 ちなみに結果的に自分の相続分よりも大きな金額になってしまった場合は代償金として精算することになります。
預貯金債権が相続発生時に相続人に権利があるとなると、各自に勝手に引き出してしまったり、使途不明金の問題が生じたりとなにかとややこしい問題にもなりかねませんので、一旦資産凍結し遺産分割協議できっちりわけるといったいったほうがいいのかもしれません。 ただそうは言っても被相続人の葬儀費用や医療費の支払いなど不都合がある場合もありますので、そういったことに備えて預貯金の一部払い戻しも認められています。
普通預金債権、通常貯金債権、定期貯金債権は、遺産分割の対象とすると判示されました。 なぜこうなったかというと ①預貯金は、確実かつ簡易に換価することができるので、現金と大差なく、具体的な遺産分割をする際に調整用の遺産としても有用であること。 ②預貯金債権の相続は、預貯金契約上の地位の承継としての側面があること。
【預貯金債権】 以前は、預貯金債権については金銭債権であるので可分債権として相続開始時に当然に相続分に応じて分割されるとされていました。実際の判例や実務もその対応でした。(相続人全員でその分も遺産分割協議をするぞという合意があれば別ですが) しかし 平成28年最高裁の大法廷決定により 従来の判例が変更されることになりました。
相続財産の範囲と遺産分割の対象となる財産は、必ずしも一致するとは限りません。つまり相続の対象となる遺産であっても、遺産分割の対象とはならず、法律上当然に法定相続分に従って分割され、各共同相続人に分割されるというものがあります。このあたりが少々ややこしいいですね。 例を挙げると「売買代金請求権」「損害賠償請求権」などの金銭債権、または貸金債務のような金銭債務です。
②人格権 名誉やプライバシーといった人格権や人格的利益自体は、その性質上一身専属権になります。 ③人的信頼関係に基づく契約上の権利義務 これは使用貸借契約における借主の地位などがそうです。無償で被相続人が土地を借りていた、しかしそれは被相続人だからこそ信頼して貸していたわけであって、他の者なら話は別なんていうのはよくある話です。 契約当事者間における信頼関係を基礎に置いているような契約上の地位は、被相続人死亡のタイミングで無くなることが多いです。
一身専属権という言葉を聞いたことがある方もあるかと思います。これも例外として相続財産から除外されます。以下例を挙げていきます。 ①被相続人が履行することが大事な債務 雇用関係に基づく労働者の地位などがあげられます。よく言われるのは、俳優が映画・舞台などへの出演契約を結んでいる場合です。音楽家の演奏なんていうのもそうです。つまりその人でないとダメで他の人では果たせない義務のことになります。
相続が開始すると、相続人は被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継するのが原則であり、これを包括承継と呼びます。まさにすべてと言ってよいかもしれません。ただし原則があれば例外ありという事で、お墓や仏壇仏具といった祭祀財産は除かれます。これは相続財産とはまた別途承継する人が決まります。
民法896条に、相続人は相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継するとあります。不動産、動産、現金、預貯金などの債権、債務、契約上の地位などの法律関係などがすべて相続財産となります。 ただし例外的に一身専属権や当事者相互の信頼を基礎とする契約に基づく地位などは相続財産から除外されます。
遺言書内容を決める際には、相続人や受遺者 全員の希望にそぐわないものではないかを考える必要があります。長男ひとりに全財産を相続させるといっても他兄弟がいる場合、その親族間の人間関係は被相続人亡き後も続いていきます。 仲の良かった兄弟間が相続をきっかけとして、疎遠になったりいがみ合ったりすることになってしまうと望むべきでない未来になる可能性もあります。長男としても自分一人が財産を受け取るような遺言書を望まない場合もあります。ぜひこの辺りは事前によく話し合うか第三者の専門家のアドバイスを受けるなどして決めてもらえればと思います。
ただ遺言書は遺言者のもつ財産を遺言者の意思で処分するという本来 根源的な権利であるはずです。なのでこういった状況を生まないような配慮が必要です。つまり残された人が誰一人望まない内容は避けるべきだという事です。 本来遺言書は後日の紛争防止や手続きの簡略化ができる優れた機能をもつものです。実現可能性をシッカリ踏まえた内容にしましょう。
またたとえ一部の相続人が勝手に被相続人の財産を処分した場合や遺言執行者の行為を妨害した場合なども無効になるとされています。 しかし 相続人、受遺者全員が遺言内容とは違う遺産分割内容に合意し、遺言執行者がそれに同意した場合は、遺産分割協議が有効とされています。 遺言執行者としては、その職を辞するということになります。
遺言書では、遺言執行者をつけるということもおおくのケースでされています。この場合は、遺言執行者の同意も必要になります。 遺言執行者は遺言内容を実現するため、管理処分権を有します。つまり相続人が遺言内容と異なる内容(遺産分割割合の変更など)を希望したとしても、遺言執行者の権限で遺言通りに進めることが可能です。
過去の判例から見てみても相続人と受遺者(遺言書で遺贈するとされた相続人以外の第三者)全員が、遺言書の内容を否定し遺産分割をした場合、その遺産分割協議書が無効となった例はないようです。 ただしこの場合その対象者が、遺言内容を正確に把握したうえでというのが大前提です。うその内容を知らされてそれならと遺言内容を拒否というのは成立しないという事ですね。
遺言書は、遺言者がその作成時に思っていたこと その意思によって作成されますが、実際にその遺言書が有効になる時期というのはずっと先だったりする場合があります。 そうなると遺言内容が残された者たちにとって実状そぐわないものになっているという可能性も出てきます。財産も目減りしていたり最悪なくなっていたりという事です。 また全員の相続人が望まない内容であったりする場合もあります。
家を長男に引き継ぎたい、絶対手放さないように。そのためのリフォーム費用などは他財産から捻出するため、それも長男に相続させるなんて書いてあっても いやいや今から無理でしょとなります。 そういった場合遺言書を無視したり廃棄してしまったりしたらどうなるんでしょう? 原則は遺言書どおりにしましょうになるか、遺言書内容では一番取り分の多かった長男が遺産分割協議の無効を訴訟提起するかもしれません。