公正証書遺言とは、公証人という法律の専門家が作成し、公証役場で原本を保管する方式の遺言です。 遺言者が口頭で内容を述べ、それを公証人が正確に文章化します。自分で書く必要がなく、形式不備で無効になる心配もほとんどありません。 また、原本は公証役場に保管されるため、紛失や改ざんの恐れもなく、安心・確実な方法です。作成には証人2名の立会いが必要で、法律の専門家(元裁判官、元検事)である公証人が関与しますので、トラブル防止の効果は非常に大きいです。
遺言 相続に関することを日々アップしていきます。 行政書士として中高年の皆様のお役に立てるよう 頑張ります。
公正証書遺言とは、公証人という法律の専門家が作成し、公証役場で原本を保管する方式の遺言です。 遺言者が口頭で内容を述べ、それを公証人が正確に文章化します。自分で書く必要がなく、形式不備で無効になる心配もほとんどありません。 また、原本は公証役場に保管されるため、紛失や改ざんの恐れもなく、安心・確実な方法です。作成には証人2名の立会いが必要で、法律の専門家(元裁判官、元検事)である公証人が関与しますので、トラブル防止の効果は非常に大きいです。
デューデリが必要だな なんてことを聞くこと読むことが増えてきました。ではそれは何?と気になるのが、ヒトの性です。 デューデリジェンス(Due Diligence)というのは、「しっかり調べること」らしいです。特に、会社を買ったり、お金をたくさん投資したりする前に、「この会社は本当に大丈夫かな?」とか「この投資は安全かな?」っていうのを、いろんな角度からきちんと確認する作業をそう呼ぶのだそうです。 ビジネスの世界では大きな金額の話になることもあるので、より慎重になるわけです。 たとえば別の会社を買う(M&A)する前にこんなことを調べます。お金の状態:借金はどのくらい?利益は出てる?会社の評判:ト…
ここまで形式面の制約などについて申し上げてきましたが、遺言は、単なる法律文書ではありません。あなたの思いを伝える、家族への「最後の手紙」でもあります。 「なぜこのように分けたのか」「みんなの幸せを願っている」など、ひとこと添えるだけでも、遺された家族の受け止め方は変わります 遺言を残される方ですので、死んだとのことは自分は知らないということはないと思います。残された方の幸せを願ってだと思いますので、心のこもった遺言を目指しましょう。
「遺言書が見つからない」「形式に不備があって無効」「内容をめぐって相続人同士が争う」など、自筆証書遺言にまつわるトラブルは少なくありません。特に、遺言の内容があいまいだと解釈が分かれてしまい、かえって争いの元になることもあります。 遺言書の内容や骨子はご自身で考えられ、そこに専門家の知恵を借りて完成させるというのが良いと思います。その際にはご自身の親族関係や財産の内容なども含めて 相談することでよりトラブル回避できる遺言書に近づくことができると思います。 ただ 専門分野としていない士業で年に2,3回しか作らない、事例研究なども行っていない方に依頼してしまうと最低限の形式程度のアドバイスしか受け…
遺言執行者とは、遺言の内容を実現してくれる人のことです。遺言で指定することができます。相続人の中から選んでもいいですし、専門家(行政書士や弁護士など)を指定することも可能です。複雑な内容や相続人同士の関係に不安がある場合は、専門家に任せるのも安心です。 また遺言執行業務は、義務や責任も明確にあることから、相続人の方が遺言執行者を行う場合でも専門家の助言は受けるようにした方が良いと思います。
遺言は何度でも書き直すことが可能です。 新しい遺言が古い内容と矛盾していれば、新しいものが優先されます。ただ確実に 前の遺言内容を取り消す場合は、「この遺言により令和○年○月○日の遺言は撤回する」と書くと明確です。 また古い遺言は破棄しておくことで、混乱を避けられます。タンスのなかから仏壇の中から貸金庫の中からなどになると相続人が戸惑いますので注意が必要です。
自筆証書遺言で多いミス ベストスリーは、①日付が曖昧、日付記入漏れ②財産の書き方が不明確③複数の遺言がある です。 たとえば①「令和○年吉日」では無効になる可能性があります。 ②では「長男にA土地をまかせる」「二男に車を与える」という記載だけだと いろんな解釈が出来たりして他の相続人とのトラブルの元になります。 ③原則新しい遺言書が有効とされますが、記載内容に重なるところがない場合は前の遺言書も有効になることから複雑になってしまいます。 丁寧で具体的な記載を心がけましょう。
遺言に書けるのは、財産の分け方や相続人の指定、遺言執行者の指定など。たとえば「自宅の土地は長男に」「預金は妻に」など、具体的に書くのがコツです。誰が見てもわかるように、財産の内容や所在を明確に書きましょう。 すべてのものを現金に精算してという場合を除き、相続割合だけを指定して遺言書を残してしまうと改めて遺産分割協議をする必要がでてきますので、遺言書の大きなメリットを損なう可能性があります。 遺言書には付言事項として思いやメッセージも添えると、気持ちが伝わります。
2020年から始まった「遺言書保管制度」では、自筆証書遺言を法務局で保管してもらえます。 これにより、自筆証書遺言の今までデメリットだった紛失や改ざんの心配がなくなり、家庭裁判所の「検認」も不要になります。 登録手数料は3,900円です。ただし保管したものを確認したり、亡くなられてから遺言書の写しを請求する場合など別途費用が掛かります。 法務局に持参すれば、その場で形式チェックもしてくれるので安心です。
自筆証書遺言の最大のメリットは、自分ひとりでいつでも作れること。費用もかかりません。つまり簡単なことです。これは緊急に遺言書をいけないといった場合にもとても有用です。公正証書で遺言を作る場合1カ月~2カ月程度お時間をみとく必要があります。 一方で、形式の不備で無効になるリスクが高い点がデメリットです。また、家族に見つけてもらえなかったり、改ざんの恐れもあります。正しく作って、きちんと保管することがとても大切です。
自筆証書遺言は、全文を自分で手書きするのが原則です。 日付・氏名・押印も忘れずに、ここは自筆証書遺言の絶対必要なところです。 日付けについてですが、「令和○年○月○日」と具体的に書かないと無効になることがあります。印鑑は実印でなくても構いませんが、トラブル防止のためにも普段使っている印鑑を使いましょう。とはいえ遺言者の明確な意志であるという証明のためにも実印をお勧めします。 また、財産や相続人の名前も、はっきりとわかるように書くことが大切です。
遺言にはいくつかの種類がありますが、「自筆証書遺言」は、全文を自分で書いて作成する最も身近な遺言の一つです。 手軽に作れますが、一定のルールを守らないと無効になることもあります。 例えば、日付や署名、押印が必要です。最近では法務局で保管できる制度も始まり、安全性が高まりました。このシリーズでは、自筆証書遺言の基本から作成方法、注意点までをわかりやすく解説していきます。
死後事務委任契約は、①依頼する人を決める→②任せたい内容を整理→③公正証書で契約を交わす、という流れです。 費用目安については、①まず誰に頼むかで大きく変わります。親族に頼むのか?専門家に頼むのか?です。 ②任せたい内容ですが、モレがあっても困りますので慎重に検討し受任者に伝えます。それを③で公正証書での契約書として依頼者に委任する内容を確定させます。 契約書作成費用と死後事務実務の費用が別でかかります。契約書作成費用で数万円、実務費用は内容次第ですが50万~150万といったところが目安でしょうか? 死後事務委任契約の大事なところは、委任者が亡くなった後に発効するものですので、第三者がみてもそ…
死後事務を任せる相手というのが実は難しいところです。 候補としては、信頼できる親族や知人、または専門職(行政書士・司法書士など)に依頼するのが一般的です。 身近に頼れる人がいない場合でも、専門家に依頼すれば契約内容に従って実行してもらうことが可能です。責任も実務量も重いため、報酬はそれなりにかかりますが、自分の希望通りに死後のことを進めてもらえるという安心感はお金には代えがたいものです。
「遺言」は相続や遺産分割についての指示が中心ですが、「死後事務委任契約」はお金の分配ではなく、葬儀や手続きといった“実務”を任せる契約です。 遺言だけでは誰も役所に届けてくれない、家の片付けもしてくれません。おひとり様にとっては、遺言書と死後事務委任は役割が異なるので、併用することでより安心な終活になります。
死後事務委任契約で頼める内容はさまざまです。たとえば①葬儀・納骨の手配、②役所への死亡届、③家財道具の処分や住居の明け渡し、④ペットの引き取り、⑤SNSや携帯契約の解約などです。 家族がいないと誰かがやってくれるとは限りません。逆に家族がいても「迷惑をかけたくない」と思う方には、元気なうちに準備しておくことで安心につながります。
「死後事務委任契約」とは、自分が亡くなった後の手続きを信頼できる人にお願いしておく契約です。葬儀や火葬、役所への届出、住まいの片付けなど、遺族がいない人や、家族に迷惑をかけたくない人にとって安心な仕組みです。遺言とは異なり「亡くなった後すぐ」に必要な事務手続きを対象としています。最近はおひとりさまや高齢者の間で注目されています。
許可を取らずに農地を転用すると、農地法違反として厳しい行政処分を受けます。処分としては 工事や営業の即時停止命令、原状回復命令などです。 したがわない場合、三年以下の懲役または三百万円以下の罰金(法人は一億円以下)が科されることになります。 結果的に 登記も認められず、金融機関の融資もとめられるということになります。さらに周辺農家からの損害賠償請求や地域イメージの悪化といった悪影響も出てきます。事前許可の手間より、無許可の代償の方がずっと高いといえます。
転用許可を得るために抑えるべきポイントは、①立地 ②必要性 ③周辺農地への影響、などです。 市街地に近く農業振興上支障が少ない場所か、農業後継者がいないなど合理的な理由があるか、排水・騒音で隣接農家に迷惑をかけない設計かなど いろいろ要素が必要です。これらを図面や写真で具体的に示すというのも許可にむけて効果的です。さらに農地の区画整理や代替農地の確保策を提案できれば、許可取得の可能性はぐっと高まります。地域説明会を開き、住民合意を得る姿勢も評価されます。
農地転用の許可が必要なのは、農地を農業以外に利用したり、農地以外の者に売却・貸借する場合です。 たとえば畑に太陽光パネルを設置する、田んぼを宅地に造成する、農家でない人に貸し駐車場として使わせるといった場合、いずれも許可が必要になります。 特に市街化調整区域内では厳格に審査され、不許可も珍しくありません。許可を得ずに着工すれば、工事の停止命令や現状復帰命令 罰金などが科されることもあります。申請前に事業計画を整理し、県の農業振興課とも早めに協議するとスムーズです。
農地転用とは、農地を住宅や駐車場、店舗など農業以外の用途に変えることです。日本の農地は食料安全保障を考えるにとても大切です。 勝手に転用すると農地が減り、地域の農業基盤が崩れる恐れがあります。そのため農地法では、市町村や都道府県の許可を得ることを義務づけ、転用の必要性や周辺環境への影響を慎重に審査します。 許可なく行えば原状回復命令や罰則の対象になるので注意が必要です。まずは農地の所在する市町村農業委員会に相談しましょう。
農地法とは、農地を守るための法律です。簡単に言えば、「勝手に農地を家や駐車場に変えたり、売買したりできませんよ」という決まりごとです。 実際のところ 日本の農地は年々減っており、食料自給にも関わる大切な問題です。農地を他の用途に使いたいときは、きちんと許可を取る必要があります。許可なしで使うと、法律違反になります。相続や売買の場面でも、農地法のチェックは欠かせません。 「農地=自由に使えない土地」との理解で大丈夫かと思います。
④共有する 作成した尊厳死宣言は、家族やかかりつけ医に渡すか、保管場所を知らせておきましょう。特に家族にはその文面だけでは表現できない想いを伝えておきましょう。⑤定期的に見直す 人生観や健康状態が変わったときは、内容を更新しましょう。尊厳死宣言も“生きた文書”です。 終末期をどう迎えるかは、人それぞれの価値観に基づく、深く個人的な選択です。だからこそ、迷いながらでも“今の気持ち”に向き合い、自分なりの形で記しておくことが大切です。それが、あなたとあなたの大切な人を守る力になります。
【尊厳死宣言 5つの行動ステップ】①自分の考えを整理する 延命治療に対する希望、苦痛緩和の希望、家族への想いなどを紙に書き出してみましょう。②信頼できる人と話す 家族やパートナー、医師などと、自分の考えを率直に話す機会を持ちましょう。いろいろな人の意見が参考になると思います。③書面に残す 自筆で作成するか、行政書士などの専門家に相談し、公正証書での作成も検討しましょう。自分の意思をできる限り正確に具体的にその宣言書に記載する必要があります。
最期の時に「こうしてほしかった」と後悔しないために、そして家族に「どうすればよかったのか」と迷わせないために、尊厳死宣言は大きな意味を持ちます。 人は皆、いつかは必ず旅立ちます。そのときの「自分らしい選択」をあらかじめ言葉にしておくことは、生きている今だからこそできる、未来への備えといえるかもしれません。
ただ現実としては、尊厳死宣言書があっても、医療機関によっては対応が異なる場合があります。 特に救急医療の現場では、書面の存在が確認できないまま延命処置が始まることもありえます。なのであらかじめかかりつけ医に伝えておく、宣言書を携帯する、家族が内容を理解しておくといった対策が必要です。また、リビングウィルを積極的に受け付けている病院を探しておくというのもアリかもしれません。
かつては「死について語るのは縁起が悪い」と話題にするのも考えるのも忌み嫌われていた時代もありました。しかし最近では少子高齢化や医療の高度化を背景に、「最期の迎え方」を主体的に考える人が増えています。 「人生会議」や「終活」が社会に広まり、尊厳死も選択肢の一つとして関心を集めるようになりました。今や“死はタブー”ではなく、“準備するもの”になりつつあります。
誤解されやすいところですが、尊厳死宣言は「死を選ぶ」ものではなく、「最期どう生きるか」を決める行為です。命の終わりを“自分らしく”迎えるための準備とも言えるでしょう。 「まだ早い」と思っても、元気なうちにこそ、意思を言葉にすることが大切です。これは自分のためだけでなく、家族への思いやりにもなります。なぜなら本人が意思決定も難しくなった状態で重大な選択を迫られるのが、家族であったりするからです。
遺言や相続を専門としている行政書士は、尊厳死宣言の内容整理や文案作成、公証人との調整などを支援できます。 高齢の方や家族との意思疎通に不安がある方にも、第三者のサポートは心強いものです。また、尊厳死に加えて任意後見契約や死後事務委任契約、遺言書の作成も併せて進められると、将来の備えとしてさらに安心です。
公正証書作成の流れですが、まず、文案を作成することになります。公証役場で公証人に直接 相談するという方法もありますし、事前に行政書士や専門家に相談するということも出来ます。 できるだけご自身の事情、ご希望などに沿った形で文案を作成したいといった場合は、専門家へのご相談をお勧めします。こういったことを専門としていない士業を選んでしまうと雛形を当てはめるだけのいい加減なものになってしまうので注意が必要です。 次に、公証人との事前打ち合わせを経て、公証役場での作成日を決めます。当日は本人確認と意思の確認が行われ、署名・押印ということになります。書類は本人と公証役場に保管され、必要に応じて取り出せます…
尊厳死宣言は自筆でも作成できますが、公正証書にすることで第三者に証明しやすくなります。公証人が本人の意思を確認し、日付や署名などを公式に記録するため、家族や医師に「確かに本人の意思だ」と納得してもらいやすくなります。 もし兄弟のうち一人だけにご本人の意思を書面で伝えておいたとしても、他の兄弟から見ると疑念が生じる場合があります。第三者である公証人が公証役場という公的な場所で認証することに大きな意味があるといえます。
「人生会議(ACP:アドバンス・ケア・プランニング)」という言葉はご存じでしょうか? これは、将来の医療やケアについて家族や医療者と話し合っておく取り組みです。尊厳死宣言は、その一環として位置づけられます。 先ほど親族や医療関係者に伝えておく重要性を申し上げましたが、それを具体的に取り組む仕組みがこの人生会議です。人生会議というネーミングはどうかと個人的には思いますが、必要なことだと思います。
尊厳死をめぐるトラブル事例としては、本人が尊厳死宣言をしていたのに、家族が「助けてください」と懇願し、延命治療が始まってしまった例もあります。弱っていく親を見守る子供としては、少しでも長く時間を共有したいという気持ちはわかります。しかしその延命治療が患者本人を苦しめているかということはなかなか理解しにくいものです。 医師も家族の意向を無視できず、結果的に尊厳死の意思が実現しないまま亡くなったケースが発生してしまいます。こうした事態を防ぐためにも、書面の準備と事前の説明がセットで必要です。
ただ書面があっても、家族がその内容を知らずに反対するケースは少なくありません。「そんな話聞いてない」と治療継続を求めれば、医師も判断に迷います。 尊厳死宣言は“伝えてこそ意味がある”ものです。家族や信頼できる人にきちんと話し、医療機関に文書を預けておくことも必要かもしれません。
尊厳死宣言の内容ですが、「どのような医療行為を望まないか」「意識が戻らない場合の対応」「苦痛緩和の希望」などを具体的に記載することが重要です。 事前に信頼できる家族との会話が十分にできる場合は良いですが、そうでない場合(疎遠な親族など)抽象的な表現では判断が難しくなるため、「人工呼吸器は使用しない」「心臓マッサージは望まない」など、できるだけ具体的な記述が必要です。
どのような形で作成するのかですが、尊厳死宣言書は自筆で作成することもできますが、公正証書にしておくとより信頼性が高まります。 公証役場で作成する場合は、本人の意思確認がされ、証人も立ち会うため、第三者にも説明しやすくなります。また、遺言書、任意後見制度や死後事務委任契約と併せて検討するのも安心につながります。
この尊厳死宣言を作るにあたっての注意点としては、法的に効力のある遺言とは異なり、医師や家族がその意思を尊重するかどうかにかかっています。 そのため、書類だけでなく、家族への説明や医師との共有が重要です。また、自分が判断できるうちに作成する必要があります。意思能力がないとみなされれば、作っても無効になるおそれがあります。
多くの人は「家族がわかってくれている」と思いがちですが、実際の現場では家族が判断に迷い、結果として望まない延命がなされるケースもあります。 医療現場でも本人の意思が確認できなければ、命をつなぐ方向に傾きます。尊厳死宣言書をあらかじめ作っておくことで、自分の意思をはっきりと伝えることができるということですね。この部分がなぜ尊厳死宣言書を作っておいた方が良いのかという理由です。
尊厳死とはそもそも何でしょうか? 「尊厳死」とは、延命治療を望まない意思を表明することにより、人生の最終段階を自然なかたちで迎える選択です。 医学の進歩により、意識がなくなっても機械で命を長らえることが可能になりましたが、「生かされる」ことが本当に本人の望みかどうかが問題となります。その意思を明確にするための手段が「尊厳死宣言」です。いいかえると痛みや苦しさは感じているが、意思表示ができない状況を回避する事前の準備という事です。
戸籍収集とは別の話ですが、高齢おひとり様の兄弟姉妹相続の難敵は認知症です。重症度の高い認知症の方だと遺産分割協議が出来ませんので、後見人をつけるという手段しかなくなり、遺産分割のためだけに一生涯ついて回る後見人をつけなくてはいけなくなります。 おひとり様 高齢者の方は、遺言書の作成を強くお勧めします。兄弟の中の特定の誰かに渡すやどこかの財団に寄付するとか これがあるだけで相続手続が格段にスムーズになります。 兄弟姉妹には遺留分がありませんので、とくにこの遺言書の効力は大きいもの、つまり法的にも揉める要素を抑えられるという事になります。
③亡くなっている兄弟姉妹の出生から死亡までの戸籍 おひとりさまが80代以降になるとその兄弟姉妹も亡くなっていいたりする場合もあります。この場合甥姪に相続権が移りますので、亡くなった方を代襲相続するのが誰なのかということを調査する必要がでてきます。 この先に亡くなった兄弟姉妹がバツ3だったりするとさらに複雑でそこで認知した子供にも権利がでてきますのでさらに複雑です。
②亡くなった方の両親の出生から死亡までの戸籍 これは本当に今確認兄弟姉妹だけが相続人かを確認するためになります。もしかするとご両親に前婚歴があり、認知していた子供がいたなんて言う場合も考えられるからです。ただご両親が亡くなった時にしっかりと相続手続を行っていればその段階でこの辺りの調査は済んでいる可能性はあります。 ただこのおひとりさまが80代でなくなっていたとすると、ご両親の戸籍を遡ると大正、明治の戸籍を調べることになるので、その書式や筆跡の読み取りに苦労する可能性があります。
亡くなった方がおひとり様で、兄弟のみが相続人の場合 戸籍収集が複雑かつ広範囲に広がる場合があります。 戸籍の集める範囲とすれば、 ①亡くなった方の出生から死亡までの戸籍 これは亡くなった方が本当に結婚歴がなく、認知した子供がいなかったどうか確認するためのものです。まわりの人が聞いていたのとは違っていたなんてことはよくあります。また兄弟姉妹の場合 かなり長い間疎遠になっていてまったく知らない期間が存在するといった場合 慎重に調べる必要があります。
遺産相続に必要な戸籍ってなんでしょうか?そもそもなぜ戸籍が必要なのか?というところが問題です。見てきたように現状の戸籍には載っていない身分関係などが存在します。 そのため相続人を特定するためには、亡くなった方の出生から死亡までの戸籍を漏れなくあつめて、一つ一つ確認していく必要がでてきます。養子や認知した子供、前婚の有無などです。 一人二人相続人を見落としていたために、せっかく相続人を集めて行った遺産分割協議が無効になってしまうということがあり得るからです。
夫婦に子がいる場合妻が復氏しても 当然にはこの姓は変わりません。 夫との親族関係を姻族関係ともいいますが、旧姓に戻ったとしても姑に対する扶養義務は変わりません。その関係を切りたい場合は、姻族関係終了届を出せば大丈夫で、戸籍にもそのように記載されます。 この姻族終了届は、復氏しなくても出来ますし、姻族の同意も必要ありません。遺産相続の放棄を前提とするというわけでもないです。
夫が亡くなった場合 妻としてはどのような形として戸籍に残るのでしょうか?戸籍の筆頭者である配偶者 夫が亡くなった場合、妻は夫婦の姓(夫の氏)のまま暮らすことも結婚前の旧姓に戻すことも自由です。 離婚の場合は、原則復氏することになりますが、亡くなった場合は、復氏届を出さない限り、旧姓には戻りません。復氏届が出されると前の戸籍に戻るか、新しい妻単独の戸籍が作られます。
亡くなった人の親族や同居人、大家さんなどはその亡くなった日から7日以内に本籍地の市町村に死亡届を出すことになります。死亡届が受理されますと、亡くなった人は戸籍から除籍されるという事になります。 ただ亡くなった方が筆頭者の場合はそのまま筆頭者として戸籍に残ることになります。在籍者全員が戸籍されると戸籍自体が消除されて、除籍簿というところに戸籍が移ります。
人が亡くなった場合、戸籍というのはどのように表示されるのでしょうか? 人が亡くなると身分上の変更が生じたり、相続が発生したりと重要なイベントが重なります。そういったときにその証明となるのが戸籍でありいろいろな手続書類として必要になります。
今お話した養子とは別に特別養子というのもあります。これは実親との親子関係を完全に断ち切り、戸籍上も養子とは分からない配慮がされています。 この特別養子縁組には実親の承諾や家庭裁判所の許可など普通養子縁組には不要な手続が必要です。また夫婦ふたり、どちらかが25歳以上もう一人は20歳以上という制約などもあります。 これは育児放棄や虐待など重大な問題を解決するために利用されることも有りますので、より慎重な対応が必要です。
養子というのは、血のつながりのない親と子に法律上の親子関係を認めようという制度から生まれたものです。養子縁組に同意した養親と養子が養子縁組届を役所に提出し受理されると、養子は養親の戸籍に入り実親の戸籍からは除籍されます。 ただし養子の面白いところは、戸籍を離れても実親との法律的な親子関係は切れません。つまり養子の人は、養親からも実親からも遺産をもらえるという事です。
市町村の役場で認知届が受理されると法律上の父子関係が成立します。ただしこの場合も父親の姓を名乗れるようになるとか戸籍に入れるというわけではありません。父の姓を名乗り戸籍に入るには家庭裁判所で「子の氏の変更許可」をとり、改めて役所に入籍届を出す必要があります。 認知された子は父親の遺産相続権を得ますが、それは嫡出子と同じ割合です。認知届の後 母親が父親と結婚した場合は改めて嫡出子となります。このことを準正と言ったりします。
婚姻関係のない(事実婚も含む)男女に生まれた子には、法律上の父子関係は存在しません。認知という手続きが必要になります。認知がないと父親からの扶養や相続上の権利が発生しないことになります。 認知には、父親が市町村の役場に認知届をだす任意認知と裁判所に調停・審判をもとめて行う強制認知があります。その他には遺言書でおこなう死後認知というのもあります。
未成年の子供がいる場合 親権者を決めないと離婚届が役所で受理されないというお話をいたしました。 この場合筆頭者でない父、母は夫婦の戸籍から除籍されるわけですが、子供の方は戸籍に残ったままになります。親権者を筆頭者でない親を離婚届で指定していたとしてもです。家庭裁判所へ別途変更許可の審判を申立て許可をもらう必要がでてきます。すこし面倒ですね。 未成年の場合は親権者が、成年の場合は本人がその手続きをすることになります。
夫婦の間に子が生まれると、その子は法律上嫡出子としての身分を取得します。そして夫婦の戸籍に入ります。 それに対して非嫡出子(婚姻関係にない夫婦の子供)の場合は母親の戸籍に入ることになります。 父または母は、子が生まれてから14日以内に役所・役場に出生届を出さないといけません。正当な理由もないのに出生届を出さないと5万円以下の過料になります。
結婚で姓を変えた妻は旧姓に戻ります。復氏といいます。しかし離婚後夫婦の姓を使いたいときは、離婚後3カ月以内に「離婚の際に称していた氏を称する届」を提出することで使用が可能です。夫の許可もいりません。お仕事の関係等 対人的にも必要な事情はあると思いますので。
離婚した場合 筆頭者でない配偶者 (ここでは妻と仮定して話を進めていきます)は夫婦の戸籍から除籍され 原則結婚前の戸籍に戻ります。復籍といいます。 ただし前の戸籍がすでに除籍簿に入っている(戸籍上誰もいなくなった)場合や本人が新戸籍を望んだ場合は前の戸籍に戻らず、妻を筆頭者とする戸籍が作られます。
次は離婚した場合の戸籍のお話しです。夫婦が離婚した場合、筆頭者ではない配偶者は夫婦の戸籍から除籍することになります。これは法律婚の夫婦が離婚届を提出するという前提が必要です。 未成年の子供がいる場合、その子の親権者が夫婦のどちらかに決めないと離婚届は受理されません。また離婚届には、婚姻届と同じように証人が二人必要です。成人していれば誰でもOKです。
婚姻届けを出さない夫婦を内縁といいます。届を出した夫婦を法律婚、出さない夫婦を事実婚と呼んだりもします。 法律婚の夫婦にくらべると戸籍の他にも法定相続権が無かったりいろいろ不利な点もあるので確認しておくことも必要です。 この婚姻届の提出には形式的な確認はされますが、本人の意思はまでは確認されません。しかし民法上は、当事者間に婚姻をする意思がない場合は無効と規定しているため、たとえ受理されたものであったとしても、後でこの届出が亡くなることも有り得ます。ただし家庭裁判所の許可が必要です。
この新戸籍は、本籍地または住所地の役所に婚姻届を出すことで作られることになります。 婚姻届けの用紙は、各市町村の本庁や出張所の窓口でもらえます。届出に必要事項を記載し、夫婦の署名と証人となる成人2名の署名押印が必要です。本人確認書類なども必要になります。 この届出が受理されると法律上の結婚が成立します。
戸籍は、夫婦とその間に生まれた夫婦と同じ姓を名乗る子どもごとに作られます。この場合養子も含みます。そしてその子供も結婚して親の戸籍から離れると新たな戸籍が生まれます。この場合親の戸籍からは除籍され、新しい戸籍が作られることを新戸籍の編製といいます。 この場合 夫婦の姓(苗字)を決めた元々の夫妻が筆頭者となります。
②での取得の場合は、返信用封筒(切手付き)や郵便小為替などが必要です。 最近全国的に使用できるようになってきたのが③のコンビニです。これに必要なものは、マイナンバーカードと4桁の暗証番号です。取得に際して必要な費用も安いですし、近隣どこでもできて、待たずに行えるのでとても便利です。操作方法も簡単です。 注意しないといけないのは、忘れ物です。出力した戸籍やマイナンバーカードなどは重要なものですので、十分ご注意ください。
戸籍の取得方法は、現在3種類あります。①役所窓口②郵送③コンビニ です。戸籍に載っている情報は、大切な個人情報です。なので交付請求できる人は法律で制限されています。 戸籍に記載されている本人、配偶者、直系親族が原則です。他には委任を受けた正当な理由を持つ人になります。 ①での取得の際には、各市町村ごとにある戸籍取得のための請求書、自分の身分証明書などが必要です。
手続きにおいて証明する内容によって使い分けします。ただし最近では役所における手続きでは、添付が不要というものも増えてきています。電子化が進んできているので、事務省力化 役所内で参照が可能という理由もあるかと思います。 戸籍は大切な個人情報ですので、手続きの相手先に抄本で済むのに、わざわざ戸籍謄本を渡して、余分な情報を与えることもないということも言えます。
提出を求められる場合 戸籍謄本と戸籍抄本 どちらかの指定があったり、どちらでもよかったりということがあります。 戸籍に載っている全員の記載部分をコピーしたものが戸籍謄本、特定の個人の記載だけコピーしたものを戸籍抄本といいます。 また電子化された戸籍に関しては、前者を全部事項証明書、後者を一部事項証明書(個人事項証明書)といいます。
こういった変更の実施時期は、全国一斉にというのはなかなか実際のところは難しく、各市町村ごとに順をおって実施されています。 最後の法改正のもと行われた変更は、ほとんどの自治体で終了しています。 この法改正で新基準の戸籍に作り変えることを改製といいます。婚姻、分籍、転籍と同じように戸籍を作り変える編製理由のひとつとされています。新しくなる戸籍の一つ前の状態 それが改製原戸籍です。新しい戸籍には入っていない内容を確認するためには大事な戸籍です。
戸籍の記載方法や内容については、戸籍法や戸籍法施行規則に規定があり、明治以降何度か改められてきました。 もっとも新しい基準は平成6年の法改正のもので、電子化された者です。戸籍が縦書きから横書きに変わりました。
改製原戸籍という言葉も昔の戸籍を集める際には出てくる言葉です。読み方としては、「かいせいげんこせき」と読みます。ただ現在の新基準の戸籍の事を現行戸籍、現在生きている戸籍を現戸籍などというため、聞き間違いをしないように「かいせいはらこせき」と呼んだりします。 実務上は、はらこせきと呼ぶことの方が多いような気がします。
一般の方が相続で戸籍を集めていく場合、除籍謄本も必要です!なんていわれて ?となることがあります。戸籍謄本ですらそれほど馴染みがないのにさらに除籍謄本と言われても困りますよね。 簡単にいうと 戸籍の中が空っぽになった状態の物が除籍謄本です。戸籍にいる人物が 死亡や結婚、分籍などがされて、抜けていきます。最後の1人が抜けた段階でその戸籍は除籍謄本となり、戸籍とは別の場所で管理されるようになるという事です。このことを消除と言ったりします。除籍謄本には消除日の記載が行われます。
分籍の手続きについてですが、分籍届を役所に提出するだけです。なのでいたって簡単です。分籍届は、役所やホームページなどから取得が可能です。 届け出先は、本籍地、住所地、新本籍地のいずれかになります。分籍届が受理されると、本人を戸籍筆頭者とする新しい戸籍が完成します。従来の本籍とは違う市町村に分籍をしたい場合 転籍などの手続きは不要で、分籍届の新しい本籍欄に記入するだけで大丈夫です。
戸籍に関して 分籍というのは在籍する戸籍から分離独立して、新しく単独の戸籍をつくることです。 戸籍筆頭者または配偶者以外の人で、成人であれば自由に分籍できます。結婚すれば自動的に新たな戸籍となりますが、結婚しなくても戸籍から抜けて自分の戸籍が作られるという事です。その際の本籍地は、自分の住んでいる街でもいいですし、全く違う自分の好きな土地を本籍地とすることも可能です。
つまり本籍地は何度でも変えることが可能だということです。そしてもう一つ面白いことは日本の領土内であれば好きなところに設定が可能だという事です。ディズニーランド、甲子園、富士山頂なども本籍地として選べることになります。 たしかに自分の本籍地 甲子園なんてちょっと魅かれますね。 近年の法律改正で、本人であるならば近所の役所でどこの本籍地の戸籍でも取れるようになったので、こういったことも増えていくかもしれません。
ただ以前は自分の戸籍も取得する際には、その本籍地に行って戸籍をとるか郵送請求するかしかなかったので意外と面倒だったわけです。 なので逆に転居のたびに本籍地を移すという方もおり、その方が亡くなって出生から死亡までの戸籍を請求するとスゴイ戸籍の束になることもありました。
自分の本籍地を確認するとこれどこなんてことがあります。最初生まれたときは親の戸籍に入りますので親の戸籍と同じです。 職業柄戸籍を確認することも多いのですが、3代前から本籍がみんな一緒なんてことに遭遇することもあります。 後の世代の人からみるとここどこ?になるわけです。でもあまり戸籍を取ることも無く関心のなかった方の場合そういうこともあり得るわけです。
このような意味があるので、相続の際には相続人が被相続人の戸籍を遡って取得する必要があるのです。 認知の方法ですが、戸籍上の届出で行うことができます。これはすんなりいくパターン。ただし認知される側が成年の場合は本人の承諾が必要です。支援はしてきてないが、老後の面倒は見てもらいたいなんてことは通じないという事ですね。 訴訟によって認知をさせるということも可能です。また本人死亡後に認知させることもできますが、亡くなって3年以内にしないといけないという制限もあります。
ただし認知されたからといって父親の戸籍に入るわけではありません。母親の戸籍にとどまります。 また認知に関しての内容は、父親の戸籍に記載が入りますが、新しく戸籍を作られた場合 父親の次の戸籍には転記されません。父親が新しい相手と婚姻したり、改製による新戸籍、または意図的に戸籍を新しく作成した場合などです。なので最新の戸籍だけからは、その人に認知した子供がいるかどうかなどはわからないことになります。
結論的には父親の戸籍には入りません。母親が出生届を出し、母親の戸籍に入ることになります。その子が結婚などによっては母の戸籍を出るまでは、その戸籍にとどまることとなります。 嫡出でない子供は母親の姓を名乗ることになります。戸籍の中には父と母の記載欄がありますが、この状態では父の欄が白紙になっています。ただ父親が認知をすれば父親欄には記載が入ることになります。
婚姻届けを出し戸籍に配偶者として記載のある妻が生んだ子は、夫の子であると推定を受けます。したがって出生届を出せば、その子は夫の嫡出子として戸籍に記載されることになります。 しかし夫婦間の子でない場合はそのように記載されません。けっこうこういった事例は多いようです。 ではこういった場合 どういった扱いになるものでしょうか?
紙でも管理だとどうしても破れたり汚れたり、文字が薄くなったりすることがあります。そういったことを解消するために電子化するという方法を取るようになりました。(コンピュータ化という謎の表現の仕方もあるようです。) ここから従来の縦書きからA4横書きが始まりました。 呼び名も戸籍謄本から「全部事項証明書」、戸籍抄本は、「一部事項証明書」となりました。とはいえほとんどの人が今まで通りの名前で呼んだりしておりますが。。。
戸籍に関して形式については今まで何回も変わってきましたが、本当に大きな変化としては電子化されたことではないでしょう? 今まではB4の丈夫な用紙を使って戸籍簿を綴るという まさにアナログな管理方法でした。古くは手書き 筆書きの頃からタイプ印字されたものであっても 謄本の交付は原本をコピーするというこれまたアナログな手法でした。
ちょっと戸籍とは別のお話しですが、戸籍の附票というものも存在します。 戸籍には、現在の居住の住所などを記載する欄はありませんが、戸籍の附票という別シートでその住所地を管理しています。この附票には、住民登録がされるたびにその附票に記載されることとなっており、住所の変遷が確認できるようになっています。 ただこの附票を取られることで、住所を知られたくない人に知られてしまうという(DV被害者)ことも起こりうるので役所として慎重にその請求者を審査しています。
これ以外に戸籍が自動的に複製されるということもあり得ます。戸籍法が変わることで戸籍の形式が変わった場合は本人の意向に関わらず新たな戸籍が出来上がることがあります。この前の戸籍のことを改製原戸籍といいます。 出生から死亡までの戸籍を集めると、時代によってはこの改製原戸籍にもあたることもあるので、一人の戸籍が4通5通となってしまうこともあります。
戸籍の形式も明治時代から現在までいろいろ変わってきました。明治時代の戸籍には親族一同が含まれるようなないようであったことは、先に述べた通りで、現在の戸籍は、一組の夫婦とその夫婦の子供毎に作られています。(これを夫婦同一戸籍の原則といいます。) 出生時にはいる戸籍があり、あとは人それぞれの人生の中で戸籍が作られていきます。 婚姻してあらたな戸籍に入る方、住所地が変わったついでに本籍地も変える方、ずっと本籍変わらず実家を守る方 ほんといろいろです。
戸籍の記載事項としては①氏名②出生年月日③戸籍に入った原因及び年月日④実父母の氏名及び実父母との続柄⑤養子である時は、養親の氏名及び養親との続柄⑥夫婦については、夫又は妻である旨⑦他の戸籍から入った者については、その戸籍の表示⑧その他法務省令で定める事項です。
今話題の不動産の相続登記にもこの辺りは必要になってきます。相続登記手続きにおいてもこの戸籍が必要で、亡くなった方の戸籍は出生から死亡までといった複数の戸籍が必要だからです。 実は祖祖父の土地がまだ登記されていなくて なんていう場合は、今まで亡くなった人すべてのひとの出生から死亡までの戸籍が必要ですし、明治時代の戸籍まで遡る必要がでてきます。 この明治時代の戸籍というのが曲者で、達筆なうえ筆文字、劣化のためかすれている どうやって読み取るの?なんてこともあります。
そもそも戸籍は何のためにあるのかという疑問がわいてきます。究極をいうと本人の存在の証明です。戸籍に記載されていることによって、誰を親としていつ生まれ、こういった名前で存在するということが明らかになります。 つぎに親族関係の確認と証明です。婚姻関係、親子関係(その他の親族関係)については、特に相続関係ではとても重要です。莫大な遺産が誰のものなのか?なんてドラマでも現実でもよくある話です。
日本で戸籍制度が出来たのは、明治5年です。ただ全くのゼロから作られたわけではなく、江戸時代の人別帳、宗門帳などから来ているともいわれています。 また明治維新のころ長州藩の制度が京都にもたらされたものが原型だという説もあります。 現在の戸籍にも筆頭者という記載がありますが、これは明治時代の戸籍の戸主の発想からきており今も残っています。ただいずれは日本も個人単位の戸籍制度になっていくでしょう。
これに対して世界の主流は、個人単位の記録簿です。世界でも同じような戸籍制度が存在すると思われがちですが、日本の戸籍制度はかなり独特のものらしいです。 ただ日本が戦争で占領していた国などでは一部残っているところもあるらしいです。
日本の戸籍のイメージは、「家」です。一つの家のなかの状態を紙面に書き写すと戸籍になる感じです。その昔「家」には戸主(家の中で一番偉い長)がいて、戸主を筆頭にその家族を記載したものが戸籍でした。 なのでその戸籍には、親戚の叔父さん、叔父さんの奥さん、おじいさんやおばあさん、孫までたくさんの人の記載がありました。その当時の家の在り方もそれに近かったといわれています。
いきなり戸籍の取り方なんてところから話を始めましたが、戸籍というもの自体を見ていきたいと思います。 戸籍というものは、戸籍法というもののなかに取り決めがあります。ただ戸籍とは何ぞやということは、その戸籍法に明確に書いているわけではなく、それを読む専門家や役人により解釈され制度が出来てきたという感じでしょうか。
本籍地が地元にあれば、コンビニでも取れます。役所にいって並んだりする必要もありません。 必要なものはマイナンバーカードと4桁の暗唱番号です。発行手数料もお安くなっています。あまりにあっけなく取れてしまうのでちょっと驚いたぐらいです。 戸籍の他には、住民票、印鑑登録証明書などもとれます。
以前ならだれでも戸籍をとれるような状況の時代もあったのですが、最近ではプライバシー管理・保護の目も厳しくなり、取得できる者が制限されるようになりました。 長い間戸籍をとるには、その戸籍のある役所にとりにいくか、郵送で行くしかありませんでした。それが最近 本人であるならという限定が付きますが、近所の役所で遠い本籍の戸籍がとれるようになりました。これはなかなかに画期的です。
戸籍は戸籍係で取れるといいましたが、誰でも取れるというわけではありません。記載されている本人や、法的な関係者、請求するにあたって正当な理由のある者だけが請求できます。 このあたり近年どんどんそ厳しくなってきています。法的な関係者とは弁護士をはじめとする士業の専門家を指しますが、以前に比べてその使用用途は絞られ、手続きも厳格です。 正当な理由があるものもそうです、相続などよっぽど誰がみても明らかなものでないと難しいです。
戸籍に登録された全員が死亡したり転出した場合、戸籍の中の生存者が誰もいなくなりますので、戸籍は除籍という扱いになります。それまでの戸籍は除籍簿と呼ばれます。 その管理も市町村の戸籍係が行い、請求する場合は除籍謄本(抄本)という形を取ります。
日本人であるかぎり原則戸籍は存在します。戸籍がある場所を本籍といい 本籍地と呼んだりもします。 戸籍があればその証明書を取ることができます。その証明書を戸籍謄本、戸籍抄本と呼びます。この戸籍は各市町村の管理下に置かれていて、戸籍係(役所によって呼び方は少し変わります。) 証明証が必要な場合はその戸籍係に請求します。郵送での依頼も可能です。
しかし今回の場合は、子Cが父Bの相続を放棄した段階では祖父Aは存命であり、その財産状況はわかりません、つまり祖父Aの相続を考慮して父Bの相続に対して承認・放棄を検討したわけではないといえます。 なのでこの場合子Cの祖父Aに対する代襲相続権を認めるという判例が残っています。これは相続欠格や廃除の場合、その親が相続権を失ってもその子には権利が代襲するというものに似ているかもしれません。
祖父A、父B、子Cの再転相続のご説明の際に、放棄するなら順番が大切ですと申しました。1次2次相続と連続で発生した場合、子Cは最初に父Bの相続について放棄すると、もはや父Bの地位をなんら承継しなくなるので、子Cは祖父Aの第一次相続についての承認も放棄も出来ない、つまり相続する分はないとの結論でした。
こんな場合どう考えますか?子供Cが父Bの死亡時、借金がかなりあったため、相続放棄しました。その後子供Cの祖父Aが死亡しましたが、じつは祖父Aは資産家でお金を持っています。 このような場合、子供Cは相続放棄しちゃっていますが、祖父Aの採算を代襲相続することができますか?
いろいろ解釈上の論点はあるようで、今後も論争はありそうですが。通説上は、子Cが先に第二次相続で父親Bの相続を放棄した場合は、第一次相続である祖父Aを承認することは出来ず、相続人ではそもそもなかった、相続分は無いよという扱いになるようです。 ちなみに子Cが先に第一次相続である祖父の相続財産に承認しておけば、後で第二相続である父親Bの相続を放棄したとしても第一次相続分は確保できると解されています。 承認放棄の順によって、結果が大きく変わってくるという再転相続の不思議なところですね。
ここでややこしい問題がありまして、Bの子供であるCが、第二次相続であるBの遺産相続の承認放棄とは無関係に第一次相続であるAの遺産相続を承認・放棄できるかという事です。 父親であるBには、結構な借金がある、祖父であるAにはそこそこ財産がある。できれば財産は受け取りたいが借金はいらない、これは普通によくある感情だと思います。 相続放棄すると最初から相続人ではなかったことになる、これはよく聞くことではあります。では相続人として存在しなければ、Aの相続人でもなくなる??? 悩ましく難しい問題です。
あまり聞き馴染みのない言葉ですが、再転相続というものがあります。どのようなものかと言いますと、被相続人祖父Aが死亡し、その相続(第一次相続)したとたん、Aの相続人Bがその相続の承認、放棄を選択する前に死亡してしまったような場合があったします。そのBの子供Cに相続権が移った場合 CはAの分の相続権を承認するか放棄するかの選択権を有することになります。 これを再転相続と呼んでいます。Cは再転相続人となります。
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公正証書遺言とは、公証人という法律の専門家が作成し、公証役場で原本を保管する方式の遺言です。 遺言者が口頭で内容を述べ、それを公証人が正確に文章化します。自分で書く必要がなく、形式不備で無効になる心配もほとんどありません。 また、原本は公証役場に保管されるため、紛失や改ざんの恐れもなく、安心・確実な方法です。作成には証人2名の立会いが必要で、法律の専門家(元裁判官、元検事)である公証人が関与しますので、トラブル防止の効果は非常に大きいです。
デューデリが必要だな なんてことを聞くこと読むことが増えてきました。ではそれは何?と気になるのが、ヒトの性です。 デューデリジェンス(Due Diligence)というのは、「しっかり調べること」らしいです。特に、会社を買ったり、お金をたくさん投資したりする前に、「この会社は本当に大丈夫かな?」とか「この投資は安全かな?」っていうのを、いろんな角度からきちんと確認する作業をそう呼ぶのだそうです。 ビジネスの世界では大きな金額の話になることもあるので、より慎重になるわけです。 たとえば別の会社を買う(M&A)する前にこんなことを調べます。お金の状態:借金はどのくらい?利益は出てる?会社の評判:ト…
ここまで形式面の制約などについて申し上げてきましたが、遺言は、単なる法律文書ではありません。あなたの思いを伝える、家族への「最後の手紙」でもあります。 「なぜこのように分けたのか」「みんなの幸せを願っている」など、ひとこと添えるだけでも、遺された家族の受け止め方は変わります 遺言を残される方ですので、死んだとのことは自分は知らないということはないと思います。残された方の幸せを願ってだと思いますので、心のこもった遺言を目指しましょう。
「遺言書が見つからない」「形式に不備があって無効」「内容をめぐって相続人同士が争う」など、自筆証書遺言にまつわるトラブルは少なくありません。特に、遺言の内容があいまいだと解釈が分かれてしまい、かえって争いの元になることもあります。 遺言書の内容や骨子はご自身で考えられ、そこに専門家の知恵を借りて完成させるというのが良いと思います。その際にはご自身の親族関係や財産の内容なども含めて 相談することでよりトラブル回避できる遺言書に近づくことができると思います。 ただ 専門分野としていない士業で年に2,3回しか作らない、事例研究なども行っていない方に依頼してしまうと最低限の形式程度のアドバイスしか受け…
遺言執行者とは、遺言の内容を実現してくれる人のことです。遺言で指定することができます。相続人の中から選んでもいいですし、専門家(行政書士や弁護士など)を指定することも可能です。複雑な内容や相続人同士の関係に不安がある場合は、専門家に任せるのも安心です。 また遺言執行業務は、義務や責任も明確にあることから、相続人の方が遺言執行者を行う場合でも専門家の助言は受けるようにした方が良いと思います。
遺言は何度でも書き直すことが可能です。 新しい遺言が古い内容と矛盾していれば、新しいものが優先されます。ただ確実に 前の遺言内容を取り消す場合は、「この遺言により令和○年○月○日の遺言は撤回する」と書くと明確です。 また古い遺言は破棄しておくことで、混乱を避けられます。タンスのなかから仏壇の中から貸金庫の中からなどになると相続人が戸惑いますので注意が必要です。
自筆証書遺言で多いミス ベストスリーは、①日付が曖昧、日付記入漏れ②財産の書き方が不明確③複数の遺言がある です。 たとえば①「令和○年吉日」では無効になる可能性があります。 ②では「長男にA土地をまかせる」「二男に車を与える」という記載だけだと いろんな解釈が出来たりして他の相続人とのトラブルの元になります。 ③原則新しい遺言書が有効とされますが、記載内容に重なるところがない場合は前の遺言書も有効になることから複雑になってしまいます。 丁寧で具体的な記載を心がけましょう。
遺言に書けるのは、財産の分け方や相続人の指定、遺言執行者の指定など。たとえば「自宅の土地は長男に」「預金は妻に」など、具体的に書くのがコツです。誰が見てもわかるように、財産の内容や所在を明確に書きましょう。 すべてのものを現金に精算してという場合を除き、相続割合だけを指定して遺言書を残してしまうと改めて遺産分割協議をする必要がでてきますので、遺言書の大きなメリットを損なう可能性があります。 遺言書には付言事項として思いやメッセージも添えると、気持ちが伝わります。
2020年から始まった「遺言書保管制度」では、自筆証書遺言を法務局で保管してもらえます。 これにより、自筆証書遺言の今までデメリットだった紛失や改ざんの心配がなくなり、家庭裁判所の「検認」も不要になります。 登録手数料は3,900円です。ただし保管したものを確認したり、亡くなられてから遺言書の写しを請求する場合など別途費用が掛かります。 法務局に持参すれば、その場で形式チェックもしてくれるので安心です。
自筆証書遺言の最大のメリットは、自分ひとりでいつでも作れること。費用もかかりません。つまり簡単なことです。これは緊急に遺言書をいけないといった場合にもとても有用です。公正証書で遺言を作る場合1カ月~2カ月程度お時間をみとく必要があります。 一方で、形式の不備で無効になるリスクが高い点がデメリットです。また、家族に見つけてもらえなかったり、改ざんの恐れもあります。正しく作って、きちんと保管することがとても大切です。
自筆証書遺言は、全文を自分で手書きするのが原則です。 日付・氏名・押印も忘れずに、ここは自筆証書遺言の絶対必要なところです。 日付けについてですが、「令和○年○月○日」と具体的に書かないと無効になることがあります。印鑑は実印でなくても構いませんが、トラブル防止のためにも普段使っている印鑑を使いましょう。とはいえ遺言者の明確な意志であるという証明のためにも実印をお勧めします。 また、財産や相続人の名前も、はっきりとわかるように書くことが大切です。
遺言にはいくつかの種類がありますが、「自筆証書遺言」は、全文を自分で書いて作成する最も身近な遺言の一つです。 手軽に作れますが、一定のルールを守らないと無効になることもあります。 例えば、日付や署名、押印が必要です。最近では法務局で保管できる制度も始まり、安全性が高まりました。このシリーズでは、自筆証書遺言の基本から作成方法、注意点までをわかりやすく解説していきます。
死後事務委任契約は、①依頼する人を決める→②任せたい内容を整理→③公正証書で契約を交わす、という流れです。 費用目安については、①まず誰に頼むかで大きく変わります。親族に頼むのか?専門家に頼むのか?です。 ②任せたい内容ですが、モレがあっても困りますので慎重に検討し受任者に伝えます。それを③で公正証書での契約書として依頼者に委任する内容を確定させます。 契約書作成費用と死後事務実務の費用が別でかかります。契約書作成費用で数万円、実務費用は内容次第ですが50万~150万といったところが目安でしょうか? 死後事務委任契約の大事なところは、委任者が亡くなった後に発効するものですので、第三者がみてもそ…
死後事務を任せる相手というのが実は難しいところです。 候補としては、信頼できる親族や知人、または専門職(行政書士・司法書士など)に依頼するのが一般的です。 身近に頼れる人がいない場合でも、専門家に依頼すれば契約内容に従って実行してもらうことが可能です。責任も実務量も重いため、報酬はそれなりにかかりますが、自分の希望通りに死後のことを進めてもらえるという安心感はお金には代えがたいものです。
「遺言」は相続や遺産分割についての指示が中心ですが、「死後事務委任契約」はお金の分配ではなく、葬儀や手続きといった“実務”を任せる契約です。 遺言だけでは誰も役所に届けてくれない、家の片付けもしてくれません。おひとり様にとっては、遺言書と死後事務委任は役割が異なるので、併用することでより安心な終活になります。
死後事務委任契約で頼める内容はさまざまです。たとえば①葬儀・納骨の手配、②役所への死亡届、③家財道具の処分や住居の明け渡し、④ペットの引き取り、⑤SNSや携帯契約の解約などです。 家族がいないと誰かがやってくれるとは限りません。逆に家族がいても「迷惑をかけたくない」と思う方には、元気なうちに準備しておくことで安心につながります。
「死後事務委任契約」とは、自分が亡くなった後の手続きを信頼できる人にお願いしておく契約です。葬儀や火葬、役所への届出、住まいの片付けなど、遺族がいない人や、家族に迷惑をかけたくない人にとって安心な仕組みです。遺言とは異なり「亡くなった後すぐ」に必要な事務手続きを対象としています。最近はおひとりさまや高齢者の間で注目されています。
許可を取らずに農地を転用すると、農地法違反として厳しい行政処分を受けます。処分としては 工事や営業の即時停止命令、原状回復命令などです。 したがわない場合、三年以下の懲役または三百万円以下の罰金(法人は一億円以下)が科されることになります。 結果的に 登記も認められず、金融機関の融資もとめられるということになります。さらに周辺農家からの損害賠償請求や地域イメージの悪化といった悪影響も出てきます。事前許可の手間より、無許可の代償の方がずっと高いといえます。
転用許可を得るために抑えるべきポイントは、①立地 ②必要性 ③周辺農地への影響、などです。 市街地に近く農業振興上支障が少ない場所か、農業後継者がいないなど合理的な理由があるか、排水・騒音で隣接農家に迷惑をかけない設計かなど いろいろ要素が必要です。これらを図面や写真で具体的に示すというのも許可にむけて効果的です。さらに農地の区画整理や代替農地の確保策を提案できれば、許可取得の可能性はぐっと高まります。地域説明会を開き、住民合意を得る姿勢も評価されます。
農地転用の許可が必要なのは、農地を農業以外に利用したり、農地以外の者に売却・貸借する場合です。 たとえば畑に太陽光パネルを設置する、田んぼを宅地に造成する、農家でない人に貸し駐車場として使わせるといった場合、いずれも許可が必要になります。 特に市街化調整区域内では厳格に審査され、不許可も珍しくありません。許可を得ずに着工すれば、工事の停止命令や現状復帰命令 罰金などが科されることもあります。申請前に事業計画を整理し、県の農業振興課とも早めに協議するとスムーズです。
この即効型の任意後見契約ですが、理論上は先に述べたように可能です。しかし判断能力の低下の度合いによっては、契約当事者の権利侵害を疑われる可能性も否定できません。なので実務上はしっかり検証し格段の合理性を確認したうえで実施すべきだといえます。 本来任意後見契約は、将来型の契約であり、いつの日か必要になった時に発動するといったものです。なのでこの即効型に関してはあくまでも例外的なものとしてとらえておくほうがよさそうです。
任意後見契約に関していえば、判断能力が不十分であるが意思能力はあるので、契約自体は有効に締結することができます。しかし判断能力が不十分であるので即座に家庭裁判所に監督人の選任を申出すれば 任意後見を開始することができます。 これを即効型の任意後見契約と呼びます。 この即効型を使うことで、法定後見では希望する後見人をつけることが難しい面があるということを回避できることになります。
遺言書をつくりたいが認知症である。短期記憶が失われていたり、幻覚が見えたりしている、でも遺言を作りたいという意思ははっきりしているし、内容も理解している。このような場合 基本的には遺言書を作成することが可能です。たとえ公証人立ち合いの公正証書遺言であったとしてもです。 ただし別問題として 残された相続人達が自分の有利不利をめぐって、その遺言書の有効性を裁判で争うということも有り得ます。
まとめると判断能力は契約などの個々の法律行為と直接関係はなく画一な一般能力であり、意思能力は個々の法律行為を強く結びついた相対的な法的な能力であるといえます。 ただわかりにくいですね。判断能力には、不十分なところがあったとしても本人の意思がはっきりしていれば公正証書作成などの法律行為は行えるということです。
では意思能力というのは何でしょうか? 意思能力というのは、法律上の定義はないですが、個別の法律行為・個別の契約ごとにそれを有効とするか無効とするかという判断基準になっています。つまり「本当にあなたの意思でするのですか?」という事ですね。 なのでその有無が重要なのであり、程度については問題になりません。
判断能力というのは法律でよく使われる「事理を弁識する能力」をわかりやすく言い換えた言葉になります。法律的な解釈によると判断能力というのは、知的能力・日常的な事柄を理解する能力・社会適応能力の3つの概念を統合した広義の能力を意味するらしいです。 この能力が不十分なのか全く欠く常況なのかというのが成年後見制度に関わる尺度になっているようです。
遺言書をつくるにも任意後見契約を結ぶにも 必要になってくるのが意思能力、判断能力になります。自分の財産や命に係わる大事な内容、契約を作るのですから、自分が良く考えて実行する大切さはよくわかります。認知症や精神疾患がある状態で、周りにそそのかされてつくったものが有効になってしまえば困りますよね。 ではそもそもその能力ってなんでしょうか?そのあたりを考えていきたいと思います。
今まで見てきた内容で任意後見契約の準備は終了です。 実際に任意後見契約がスタートするタイミングは、判断能力が不十分になった時に家庭裁判所に任意後見監督人の選任をしてもらったときになります。逆にそういった状態にならない限り発動しないとも言えます。 入院手続きや財産管理といった第三者では、行いづらい代理業務を任意後見契約という登記も行われ家庭裁判所の目も届く仕組みでになっていくというのが任意後見契約の制度になります。
他のお金の事。任意後見人を身内で行う場合報酬設定しない場合が多いですが、第三者(士業含む)に依頼した場合は毎月発生します。これは事前に双方で相談しておき、公正証書に記載します。2万円~3万円ぐらいが多いところかと思います。 また任意後見監督人にも毎月発生します。これは身内はなれませんので必須の費用です。金額がいくらになるかは家庭裁判所の判断にはなりますが、目安としては任意後見人の約半分ぐらいと考えとけばよいかと思います。
任意後見契約書を作成するにあたって公証人の手数料がかかります。登記費用、郵送料などを含めて28000円前後になるかと思います。士業に公証人との対応、文案作成を依頼する場合は別途かかりますが、その事務所ごとに違いがあります。 日程的には、公証人にその文案を渡して約1週間ぐらいすると返信(修正や追加があれば変更されたものが返ってきます)あります。そこから日程を調整し 本人 受任者が公証役場に出向いて署名押印して出来上がりです。
任意後見契約書には、代理権目録として何を代理してもらうかという事柄を過不足なく記載する必要があります。一般的な雛形はありますが、個々人で必要なものそうでないものがありますので、そのカスタマイズは必要です。 詳細な生活状況、資産状況を確認したうえで実際の代理権目録を定める必要があります。この代理権目録から外れるものについての代理権は原則ありませんので、慎重に抜け落ちがないようにに作成します。
中には本人ではなく、その任意後見人の対象となる親族の方だけが来られて相談される場合も有ります。「現在 自分は、本人の財産も預かっており信用されている。周りの兄弟も了承済みです。なので本人の面談は必要ありません。」とおっしゃる方もいます。 しかしその場合も必ずご本に様に十分な説明をし、理解と同意を得たうえですすめていく必要があります。なぜなら成年後見制度自体が「本人の権利擁護」「自己決定の尊重」を重要視しているからです。(実際のところそれほどまでに信用されていない、実は兄弟が不仲だった。といった場合思わぬ紛争に巻き込まれてしまうこともあります。)
また受任者を親族とする場合、その対象となる方と別途お話を伺う必要が出てきます。任意後見人としてどこまで対応できるのか、ご本人の意向に沿うことができるのか。場合によると遠方に住んでいたり、お仕事が忙しかったりと個々によって事情は様々です。 任意後見人には、監督人への報告義務も有りますし、意外と負担に感じられることも多いものです。
居住関連、生活状況などを伺うことで、ご本人が現在将来に向けて感じている不安点や解決すべき問題点が徐々に浮き彫りになってきます。そしてご本人の意向を再度深堀していきます。 任意後見契約を行うにあたって その周辺状況の把握、また受任者としての信頼関係を気付くためにも重要な聞き取りとなります。なのでこの部分に関しては十分な時間が必要であり、単日では終了できないことも考えられます。
さきのお話の中ででた 任意後見契約を考えるに至った外部状況を確認していきます。〇居住関連 本人を含めた同居しているご家族や別居している親族などの居住地、交流関係など(仲が良い?疎遠?断絶?) 〇生活状況 ご本人の持病や健康状態。食生活などの日常の生活状況など。趣味 趣向など。 このあたりはざっくばらんに多少の脱線があっても時間をかけてもしっかりお伺いするところです。
制度利用のきっかけとしては、何らかの不安が存在する可能性が高いです。本人や家族内で何らかの事情がすでに発生している、もしくは将来起こる可能性が高い、そしてそういった不安を抱えているなどがあげられます。そういった今回のご相談の核になる部分をまずうかがい 具体的なところをこの後にお話いただきます。
まずは最初に述べた聞き取りからのスタートになります。〇任意後見制度を利用しようと思った経緯 任意後見契約についての意向を確認するとともに、この制度に対して誤解や不足している知識が無いか確認していきます。任意後見契約には、任意後見人への費用と後見監督人への費用が毎月発生し、原則としてその後見原因が解消されない限り 終生後見契約は続くことになります。この辺りこの契約の利用の継続にも関わってくることですのでしっかり説明をさせて頂くことが大事です。
任意後見契約をつくるまでというお話をしていきますが、任意後見契約だけが解決方法であるわけでもなく、他のものを選択したほうがいい場合も有りますし、他のものと組み合わせたほうがいい場合も有ります。 現在の生活環境や将来の不安などをまずはピックアップしたうえで ご自身が思い描く目的に任意後見制度が沿うことができるのかというのが大事なポイントです。 ここでは、専門家がお客様の任意後見を希望されるご相談に対してどのような対応をするのか記載させていただき、ご検討の参考にしていただければと思います。専門家目線のお話です。
後見人が選任されるとそのご本人の人権も制限されるのでは?という懸念もあります。 このあたりは海外の潮流をうけて本人の意思や人権をできるだけ尊重すべきとして状況も変わりつつあります。法定後見では同意権や取消権といった職務権限も一部認められてはいますが、自己決定権の尊重は、成年後見制度の基本理念として重要視されています。 ただし財産管理に関しては、本人の判断能力が減退している状況ですので、運用といった管理は行えず、あくまでも維持管理をベースに行われることになります。
弁護士や司法書士など専門士業が行う場合 関係機関での独自の監査があったりとかなり厳しくみられる傾向にあります。どちらかというと身内で後見業務を行う時に不適切な財務処理が行われたりと問題があることも多いです。どうしても自分たちの財布とというイメージで本人の資産に手を付けてしまうことが多いからです。 実際のところ士業内部から見てると任意後見業務をメインでやっていこうという方は少ないようにも思えます。それだけ責任が重く、後見を受ける方への対応に適性が必要なのだと思います。