③被相続人の療養看護 これが最近では一番多くなっているのかもしれません。被相続人が病気・老齢等の理由により身体的・精神的な看護が必要である場合に、特定の相続人が長年その看護に従事したことで、本来かかるであろう看護費用が節約でき、被相続人の遺産の維持に貢献したというような場合ですね。 高齢化社会の中、同居している親族の介護などがこれに当るのかなと思います。ただ具体的に看護費用の節約につながったということを立証する必要はあります。週一回様子を見にいってたよという程度では難しいところです。
遺言 相続に関することを日々アップしていきます。 行政書士として中高年の皆様のお役に立てるよう 頑張ります。
③被相続人の療養看護 これが最近では一番多くなっているのかもしれません。被相続人が病気・老齢等の理由により身体的・精神的な看護が必要である場合に、特定の相続人が長年その看護に従事したことで、本来かかるであろう看護費用が節約でき、被相続人の遺産の維持に貢献したというような場合ですね。 高齢化社会の中、同居している親族の介護などがこれに当るのかなと思います。ただ具体的に看護費用の節約につながったということを立証する必要はあります。週一回様子を見にいってたよという程度では難しいところです。
②被相続人の事業に関する財産上の給付 これは相続人が自己の資金を提供して、被相続人の事業に関する借金を代位弁済したり、被相続人名義で事業用の資産に投資したりする場合です。結果的に被相続人の財産維持、増加に貢献したというケースです。 まぁその時には返済や求償できていなかったので、遺産で清算してねというイメージでしょうか?
①被相続人の事業に関する労務の提供 これは被相続人が農業をやっていた、自営業を行っていた場合に無償またはそれに近い状態で従事していた場合があげられます。これには医者や弁護士といった専門業も含みます。 息子が親の仕事を手伝っていた、この場合しっかりと対価をもらって仕事をしていたわけではなく、奉仕的な役割でやっていたという要件が必要です。
簡単に言うと亡くなった方のお役に立ったのだから、その分は遺産から褒美をとらそうという意味合いです。しかしこれがなかなか一筋縄ではいかない制度です。じゃー私も私もなんて出てくると収拾がつかないですし、こんな金額では不満だわなんてことも出てきます。 ではどんなことをどこまですれば、寄与に値するの?ということを見ていきたいと思います。
相続に関してのご質問で 寄与分ってあるんですよね?というご相談を受けることも有ります。 民法904条の2に規定されておりますが、内容はこうです。被相続人に対する労務の提供又は財産上の給付、被相続人の療養看護その他の方法により、被相続人の財産の維持または増加に「特別の寄与」をした相続人に対して、遺産の分割に当って法定又は指定相続分に関わらず、遺産のうちから寄与に相当する額の財産を習得させることによって、共同相続人間の公平を図ろうとするものです。
相続税の2割加算とは、相続や遺贈によって財産を取得した人が、その被相続人(亡くなった方)の父母や子、配偶者でない場合はその人の相続税額の2割に相当する金額を加算するという制度です。 つまり孫の財産が渡されたような場合は2割加算の対象になるという事です。ただし 被相続人の子供が先に亡くなっていて、代襲相続の対象として孫がなる場合は、その加算は発生しません。なぜならその孫は、被代襲者の親の代わりであるからです。 ちなみに被相続人の兄弟姉妹や甥姪は当然 2割加算の対象者となります。
再転相続と数次相続の違いというのが少し難しいところ。 再転相続というのは、先の人Aが亡くなって、その財産をうけとるか放棄するかの判断もしない間になくなってしまった相続人Bがいたような状況が再転相続。同時死亡なんかもそうですね。この場合はBの子どもCが再転相続人として登場します。 数次相続は、Aが亡くなり Bが相続人として財産をうけとるとなった時に亡くなってしまった場合ですね。この場合はAの相続手続、Bの相続手続と重なりますので手続きが少し複雑になります。再転相続では関係のなかったBの配偶者も権利者となりますので注意が必要です。
代襲相続は亡くなっても、欠格・廃除といった資格の喪失でも生じるというお話をいたしましたが、例外も存在します。 それが相続放棄です。相続放棄をすることはその者は最初から相続人ではなかった、相続人として存在していなかったとなりますので代襲相続は発生しません。 法定相続上 第一順位であるすべての子供が相続放棄をした場合は、その相続権は第二順位の直系尊属に移ります。この点はご注意ください。
さらに被相続人の子を代襲する子供が亡くなっていた場合は、さらにその子 つまり被相続人の孫が代襲者となります。これを再代襲相続といいます。直系の場合は原則的には際限なく再代襲の扱いになります。 これに対して、兄弟姉妹の場合は、一代までしか認めらえれておらず、被相続人からも見ると甥姪までがその対象となります。
代襲相続とは、相続開始となる以前に本来相続人となるべきであった子供や兄弟姉妹が死亡してしまっているために、その者の子供(直系卑属)がその者に代わって相続分を相続することを言います。相続廃除や欠格という相続人として資格を失った場合も同じくその子供たちが相続権を得ます。 なお 相続人が被相続人と同時死亡という場合もこの代襲相続が発生します。
もう一つ重複する相続権のケースとしては、以下のケース。父甲が婚外子の子供Aを認知します。その後 Aと甲が養子縁組したとすると嫡出ではない子としての地位と養子としての地位が混在することになります。 ただこの場合の見解は、両者の地位は民法上両立する資格ではなく、Aは身分の転換により嫡出でない子の身分は無くなり、養子として嫡出子の扱いとして相続権を有するとされています。
相続資格の重複というこというと以下のケースも考えられます。父甲に子供がA,Bいました。そこに養子Cが登場します。そこでAとCが結婚したとします。 その後Aが先に亡くなり、甲が亡くなったとするとCは養子としての立場とAの配偶者としての立場、両方の相続権を持つことになるのかという問題が発生します。このあたりも見解として分かれるところですが、先例としては配偶者としての相続権しか認めていないという事です。今後の判例解釈しだいではまた変わる可能性もありだと思われます。
この場合Cは、甲の養子としての地位とAの代襲相続者としての地位が二重に発生することになります。どちらを優先するのか?はたまた両方の権利を有するのか? 難しいところですね。 このあたり見解としては、分かれるところですが、先例・通説では両方の権利を得るとされているようです。 理由としては、民法が身分関係の重複を認めているので、相続資格の重複も認めるべきだという考えからくるものです。
あまりないケースですが、相続人が被相続人に対して二重の相続上の地位を有するということもあり得ます。以下のような場合です。 例えば父甲と母乙 その子供がAとB、Aには子がおりC つまり甲にとっては孫ですね。甲が孫Cが可愛いのでAとBと同列の養子縁組をしたとします。甲が亡くなる前にAが死亡し、甲が亡くなります。
嫡出子の扱いも平成25年の民法改正で変わりました。嫡出子というのは婚姻関係にない夫婦の間に生まれた子供のことでこの改正前は、相続割合が嫡出子の2分の1となっていました。民法改正後は同等となりました。 よく混同されがちですが、配偶者・子供が無い方が亡くなり 兄弟姉妹だけが相続人の場合、半血兄弟姉妹の場合は2分の1となります。半血というのは、被相続人の父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹のことで、父母の双方を同じとする兄弟姉妹は全血といいます。
昭和55年改正前の割合は、配偶者 3分の1、子供 3分の2となります。配偶者と親は2分の1ずつ。配偶者と兄弟姉妹の場合は配偶者3分の2兄弟姉妹3分の1です。 イメージ的には、昭和55年改正後は、配偶者に少し手厚くなったということでしょうか?確かに夫婦で築き上げた財産でもあるのでこの傾向は正しいような気がします。 子供などが複数いる場合は、その割合を均等割です、この辺りは現在と変わりません。
現在の法定相続分として皆さんもご存じかもしれませんが、その割合は、配偶者 2分の1 子供 2分の1です。配偶者と親なら 3分の2と3分の1、配偶者と兄弟姉妹なら4分の3と4分の1となります。 ただしこの割合というのは昭和55年の民法改正後定められたものですので比較的新しいといえます。 つまり家督相続制度と現在の制度の間に別の法定相続割合があったという事です。これは過去に遡って遺産分割協議を検討しないといけない場合検討しないといけない事柄ですので注意が必要です。
旧民法では、家督相続の原則があるため、夫が亡くなった場合は長男(家督相続人)がすべての財産を承継していました。妻(未亡人)は、直接的な相続権を持てなかったのです。そのかわり 長男が家産を管理し、母(未亡人)の生活を扶養する義務を負うとなっていました。これはこれでうまく機能すれば財産が分散することなく、家を承継し、一族が反映していくにはよかったのかもしれません。 もし家督相続人がいない場合、妻が一時的に戸主となることがありますが、最終的には家督相続できる男子を立てるということがされていたようです。(養子を迎えるなど)。
相続税については申告納税制度になっています。つまり納税義務者が自分で税額を算出し、期限内に申告書を所轄税務署に提出し、その税額を納付するという事です。税務署が勝手に調べて納税通知書を送ってくるということはないわけです。 なので不備があったり申告漏れがあった場合は、後から指摘が来るという事になります。相続税が発生しそうな場合や配偶者控除などを使う場合は、税理士さんにお願いして処理してもらった方が後々安心だと思います。
この除外された財産額の合計額から相続人が負担した被相続人の債務と葬式費用を控除して純資産額を計算します。これに相続開始前7年以内のものを加算して相続税の課税額を計算します。 課税額算出できるとあとは、先ほどお話しました基礎控除の額を控除し、相続人それぞれに按分します。 その後に配偶者控除や未成年控除などそれぞれ 該当する控除を差し引て最終の相続税額を導き出します。
相続税というのは、当たり前ですが相続や遺贈で取得した財産が対象となります。ただこの中にも例外があって含まれないものも存在します。 財産の性質、社会政策目的、国民感情などなどを加味して除外されているものが存在します。このあたりバッサリいけないところは人間味が少し残っているところですね。たとえば墓地や仏壇などの祭祀財産、公益事業用の財産、死亡保険金、死亡退職金の一定額などは非課税として控除の対象となっています。
納税義務者となった方は、相続の開始があったことを知った日(一般的には被相続人がお亡くなりになった日ですね)の翌日から10か月目までに、被相続人の住所地を所轄する税務署に相続税の申告書を提出するとともに納税をします。 税額の納付は原則 現金での振込です。これが金額が大きい場合、相続した物が不動産などの換金しにくいものであった場合は厄介だったりします。条件や手続きが必要ですが、延納や物納といった方法もあります。物納というのは、相続した不動産の一部を税金として納めるということですね。
被相続人から相続・遺贈によって「財産を取得した人それぞれの課税価格の合計額」から「相続財産の価額から控除できる債務と葬式費用の金額の合計額」を差し引いた金額が基礎控除額を上回ると相続税の申告義務が発生します。 遺産に係る基礎控除というのは、3000万円+(600万円×法定相続人の数)です。(基礎控除を越えた場合)遺贈は相続人以外の第三者に対して行われますが、特定遺贈・包括遺贈問わず相続税の納税義務者となります。
相続手続において支払う義務のある人もそうでない人も気になるのが相続税の問題です。より詳しく聞きたい人、相談を受けたい方は税理士の先生に確認をお願いします。税務署なんかでも教えてくれます。無料相談会などもうまく活用いただけたらと思います。 ここでは、相続税の仕組み 概要についてといった一般的なお話になります。
遺留分侵害額請求があった場合 まずその負担対象は遺贈による受贈者とされており、それでも不足の場合は生前贈与の受贈者とされています。 それでは死因贈与の受贈者は?という事ですが、現在のところ規定がなく、学説も分かれています。下級審の裁判例ですが、死因贈与は、遺贈の後で、生前贈与の前とされています。つまり 遺贈による受贈者⇒死因贈与による受贈者⇒生前贈与による受贈者の順です。 このあたりは今後また新たな解釈が生まれる可能性もあります。
ただ負担付死因贈与契約に関しては、その負担部分が先に履行されていた場合には、受贈者を保護する意味合いからも、特別の理由、事情がないかぎり撤回は出来ないとされています。 死因贈与契約は、口約束でも成立するとされていますが、その効力を明らかにするためにも書面にしておくべきですし、できれば公正証書で作成しておくことが望ましいと思われます。公証人のチェックもうけ法的にも抜け落ちのないものを作成しておくという事です。
死因贈与契約というものは、撤回できるのでしょうか?契約という相互の承諾が合ってするものだから無理なのでは?そう思う方もいらっしゃいると思いますが、原則としては可能です。 遺言の撤回に関する民法1022条の規定が、その方式に関する部分を除き準用されると解されています。 死因贈与契約を結んだ内容に抵触する後の遺贈やその内容を処分してしまった(売ったり消失してしまった)場合も撤回と見なされます。このあたり遺言書と同じ扱いですね。
双方にそれぞれ違いはありますが、死因贈与も贈与者の死亡によって効力が発生しますので、遺贈と同じ要素も含まれます。民法上、死因贈与には、その性質に反しない限り、遺贈の規定が準用されるとしています。 遺贈の方には特定遺贈と包括遺贈というのがあります。文字通り前者は個々の財産を特定して渡すもの、後者は全部または一部を割合として渡すものになります。これは相続手続上もいろいろ違いがあります。包括遺贈については第三者であっても相続人と同じ扱いを受けるため、遺産分割協議への参加も必要ですし、相続放棄する場合も3カ月以内、家庭裁判所への申述が必要になります。特定遺贈については、そのようなきまりは無く放棄もする…
遺贈というのは、遺言によって遺産の全部または一部を無償又は負担付きで他人に与える行為で、遺言者の単独行為になります。つまり契約行為ではない、という事ですね。 いくつか具体的に違うところがあります。 死因贈与の場合には、贈与者が生存しているときに所有権移転の仮登記をすることができます。遺贈の場合はすることができません。 また効力発生時に生じる登録免許税や不動産取得税の扱いが異なります。こちらは遺贈の場合のほうが有利です。 一長一短ということでしょうか。
死因贈与というのは、贈与者が受贈者(財産をうけとる人)に対して、贈与者の死亡をといういつかははっきりしない期限を起点として財産を無償で与えるという約束を契約でおこなうことを言います。 たとえば甲という人が「自分が死んだら 甲所有のA不動産を乙に与える」といった契約です。 似たものに負担付贈与というものもあります。これは死後財産を与える代わりに、その贈与者は残された妻の生活を支援する(金銭や生活介助など)と定めるものです。
その他には預金の払い戻しや解約という行為も出来ます。銀行などの金融機関に相続手続に行くと遺言執行者の記載欄などもありその権利が認められています。 また遺言書で遺贈の履行をする場合は、相続人によってすることは出来ず、遺言執行者によってしなくてはならないとされています。
相続分の指定がなされた場合や遺産分割の方法の指定として、遺産に属する特定の財産を共同相続人の一人または数人に承継させるという特定財産承継遺言がされた場合、法定相続分を越える部分については、登記や登録などの対抗要件が必要とされています。ここで超える部分とされていますが、実際にはその全部という解釈になります。 対抗要件を具備しなければいけないと明示されたことによって、遺言執行者においてもその義務と権利が生じました。
つまり遺言執行者が遺言内容実現のために行おうとする預金の解約や不動産登記などを邪魔して自分のものにしてはいけないよという事です。 善意の第三者に対抗できないというのは、遺言執行者が不動産の相続登記をするまえに、一部相続人から譲渡された第三者が登記してしまうとその不動産を取り戻せないという事です。この時の善意のというのは法律的な用語で、知らなかったという意味です。善悪でという意味ではありませんのでご注意を。
遺言執行者の定義を申し上げますと、遺言内容を実現するため相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の行為をする権利義務を有する者として選任された者のことを言います。 遺言執行者が設定されている場合は、相続人は相続財産の処分その他遺の執行を妨げる行為をすることは出来ず、当該行為は無効とされます。ただし善意の第三者には対抗できないと民法に定められています。
遺言執行者といってもピンとこないかもしれませんが、遺言書に明記しておき、遺言内容を実現することを職務とする人のことを言います。後から家庭裁判所に申し出て遺言執行者を選任してもらうことも可能です。 近年の民法改正でその権限は拡大され、また法的地位や職務について、明示されました。これにより訴訟を起こされた場合の遺言執行者の対応なども必要になります。もちろん遺言執行時にその職務を担うかどうかの判断は可能です。遺言書作成時から年月が経つ場合もありますので、体力的に遺言執行者の重責を担えない場合もあるからです。
④共有分割 遺産の一部または全部を具体的相続分による物権法上の共有取得とする方法です。例えば不動産を持っていて、その権利を長男、二男、三男で三分の一ずつ共有するとしてしまう事ですね。 共有分割については、現物分割、代償分割、換価分割が困難な場合、当事者が共有による分割を希望している場合などで利用されます。 ただ共有としてしまう事で、将来的に管理や処分がしにくくなることも多く、問題の先送りになってしまうことも有ります。
③換価分割 遺産を売却等で換金した後に代金を分配する方法です。これは相続人間で公平感があり、手続きを進めやすいというメリットがあります。 ただ売却手法やタイミングでその売買価格が変動することも有るので、相続人間で合意を取っておかないと後々揉める可能性もあります。 売りにくいものなどがある場合、その売買に時間がかかってしまい相続手続が長引く可能性もあります。また不動産などの場合 時間を掛けて公示することにより、高く売ることも可能ですが、その分管理費用、納税費用なども発生するため注意が必要です。
②代償分割 一部の相続人に法定相続分を超える額の財産を取得させたうえ、他の相続人に対する債務を負わせるというものです。簡単にいうと多めにもらった分だけ他の相続人に金銭でお返ししなさいというものです。 裁判所がこの分割手法を取る場合は、特別な事情が必要で、それは現物分割が不可能な場合や、現物分割をすると分割後の財産価値が著しく低下してしまう場合です。また特定の相続人が占有、利用する必要がある場合などです。非上場上の自社株なんていうのはそれに該当しますね。 代償金の支払いは、原則一括です。
①現物分割 そのままの財産の形状や性質を変更することなく分割する方法です。例えば長男Aに共住している家と土地、次男Bには、駐車場、三男Cには株式いった感じです、 また広い土地であるならば分筆してしまい、一つの土地を分割して分けるという方法もあります。 前者の方法ではどうしても受け取る金額差が少なからず出てしまいます。現物でわけたとしても、現金や預貯金でその補正をする必要がでてきますし、その評価自体が紛争の火種となることも有ります。 後者の場合もどういう風に公道に接しているかやその形状次第で価値も変わってくるので単純な話ではありません。
しかし折り合いをつけて決着しないと終わらない相続手続が目の前に残ってしまいます。そのため裁判所の調停や審判といった手段を取らざるを得ないことになってしまいます。 遺産分割の方法には4種類あります。①現物分割②代償分割③換価分割④共有分割です。 それぞれにメリットデメリットがありますの ひとつひとつ見ていきましょう。
不動産が欲しいひとは不動産の価格を低く主張し、その代償金をもらう人はできるだけ高く評価します。先にお話しした通り不動産には4つの軸となる価格設定があり、また時勢単価になると売り方ひとつで上下大きな違いが生じます。不動産の評価それだけ難しいといえます。 すべて売却して金銭に変えてしまいそれを分割するという方法もありますが、先祖から引きついだ土地や現に居住している家なんかだとそう簡単に売却も出来ません。
遺産分割の目指していくところ 具体的な分割方法について見ていきたいと思います。家族 親族であらたまって協議なんて言われても戸惑いますよね。そんなまじめなことしたことないし、あんまり昔から仲良くないんよねーといった場合なにから話していいものやらとなりがちです。 一般的に相続人が多数いて、相続財産が分けにくいもの、相場単価を特定できなものなどがあると相続人間で様々な思惑というものが交錯して、それぞれの利害関係が見え隠れして紛糾します。
調停不成立となれば、裁判官による審判での決着となります。調停から審判へは自動的に移っていきます。 調停 審判となる遺産分割上の問題点は様々ですが、相続財産に対する使途不明金などがあった場合は、相続人間で根深い争いとなってしまいます。 調停審判となった場合 2年~3年ぐらいの月日を要することになり、当事者の精神的体力的な負担も大きくなります。
ここで協議がなかなか進まないという事になると裁判所に関与してもらい解決を目指すとなります。その場合もいきなり審判ということにはならず、調停からのスタートとなります。 調停員に相続人の言い分や財産内容を話、双方折り合いがつくところを目指します。第三者でありこういった経験豊富な調停員にはいってもらう事で解決しやすくなります。
相続人 個々人で置かれた状況も違いますし、親族間の性格的な不一致も有ります。それをこの遺産分割協議という短い期間に把握し修復するというのはなかなか難しかったりします。そこで議論されるのが生々しいお金の話はもちろん、不動産の処分、親の介護の問題、お墓などとなってくると複雑かつ高度な話し合いが必要となります。
相続人と遺産がはっきりしたところで、遺産分割協議の材料がそろったことになります。 法定相続分という目安がありますが、あくまでも相続人間の協議で決めるということになります。ここから今まで構築されてきた親族間の人間関係が試されるという事になります。 場合によると全て換価して分けることもあれば、一人の方が遺産となる対象物をもらい、その代償金を支払うということも有ります。
株式の場合は、上場株かどうかで大きく分かれます。上場株については時期によってその価値が変動するという難しさのあるものの換価しやすいという面がありますので、比較的扱いやすいものではあります。(ただ相続人の好みの銘柄か?ということも有ったりします。) 非上場の場合は、事業承継の問題が絡んだり、そもそも価値の評価がしづらいものもあるので 揉めやすいといえます。経営者が持つ自社株の場合 金額もかなりの額になる場合もあり、相続税の問題も大きくなる傾向にあります。
全部換価してしまうということであれば、明らかではあるのですが、そういうわけにもいきません。また資産価値が高い広大な土地であったとしても、遠方であったり山林であったりすると、今後発生する交通費や管理費用などを考えると魅力の薄いものなったりします。 相場価格の高い 都心部であっても複雑の土地の形で利用しにくい場合もあります。 同じ相場単価の賃貸物件だったとしても、設備の老朽具合や今後の近隣エリアの発展度合いによって入居率が変わりそうなんていう場合もあります。 つまり一概に相場単価の上下だけでは、その土地を相続するかどうかの動機につながらないこともあるという事ですね。
遺産の範囲がわかったらその財産価値を鑑定していきます。現金、預貯金にそのような必要性はありませんが、不動産や株式などは総合的な判断も必要でなかなかに厄介です。 不動産には、固定資産評価額、路線価価格、公示価格、実勢価格など何種類も評価軸があります。どれを選択するかでその不動産の価値も決まるため相続人の分配金額も変化します。
こういった調査とともに重要なのが、管理です。一部の相続人に現金 預貯金が流出しないように口座凍結も必要ですし、不動産の場合建物自体の管理と勝手に登記手続きがされないようにしておくことも必要です。 残された不動産に相続人が整理と称して立ち入ることも有りますので、不用意に物品を持ち出さないようにすることも重要です。金銭価値の高い貴金属、着物、絵画などなど あとあと骨肉の争いになる場合もありますのでしっかり管理していきましょう。早い段階で写真や動画を残しておくというのもアリだと思います。
預貯金などは金融機関の通帳などがあればわかりやすいですが、今はネット銀行や通帳を発行せず管理している金融機関などもあります。またデジタル資産と呼ばれる仮想通貨も可能性がないわけではないので注意が必要です。 不動産は、納税通知書、登記情報などから内容を確定させていきますが、その範囲特定には名寄帳なども使うと他のエリアや私道など固定資産税が発生しない物件も明らかになるので有用です。
相続人の特定が済みましたら、次は遺産の範囲です。 原則として、被相続人が亡くなった時点で所有していて、現在も存在するものが、遺産分割の対象となる遺産であり、その範囲を確定することになります。 この時にはプラスの財産、マイナスの財産全てを含みます。被相続人が残された情報から預貯金、不動産、株式、動産などを一つ一つ洗い出します。
判明した相続人ですが、注意ポイントがあります。相続人のなかに未成年の方がいる場合は、そのままでは遺産分割協議に参加することができませんので特別代理人の選任を家庭裁判所に申し立てる必要があります。 また認知症など事理弁識能力に問題がある場合などは、法定後見人をたてるなどの必要性があります。行方知れずの方などがいるケースでは不在者財産管理人を立てる必要もあります。こういった可能性が予見される場合は必ず遺言書を作成しておく必要があります。
戸籍が漏れなく集まった段階でご利用いただきたいのが、法務局の法定相続情報証明制度です。これは戸籍をあつめ、それをもとにした相続人の相関図を提出し、法務局の担当者に認証をもらう制度です。 これは誰が相続人であるかというところの最終確認をしてもらえる、それも無料でという有難い制度です。申請書や相関図の書式など少し手間がかかりますが、見落としがちな誰が相続人なのかというところをチェックしてもらえることは大きいです。もちろん相続人を見落としていたり、戸籍が足らない場合は不備を指摘され再提出を促されますが、それだけの価値はあります。 この認証を受けた書類は、必要数発行してくれますし、後の相続手続がスムー…
ただご兄弟などの住民票は、個人情報保護の観点から取得が以前より難しくなっており、同居の親かご本人でなければ取得が出来ません。委任状が必要になります。このあたり戸籍や住民票取得のルールは地域によっても少し違ったりしますので注意が必要です。 よそのエリアから戸籍を取る場合 役所によると時間がかかったり、別日を指定される場合もあるようです。出生から死亡までの戸籍になると(ヒトにもよりますが、)本籍地を転々と移動されていていると役所間での確認が生じますのでさらに時間がかかります。
確認する手段としては、戸籍の収集です。亡くなった方の出生から死亡まで。そして相続人となる方の戸籍。亡くなった方の住民票の除票、相続人の住民票など。 以前は本籍が変わるとそこから戸籍を取らないといけないなんてこともあったのですが、つい最近の戸籍法改正でご本人様や亡くなった方の相続人様は、お近くの区役所で全ての戸籍が手に入るようになっています。だいぶ便利になっています。
①相続人の確定 相続に関してはまずここが非常に重要です。相続人の方はこのあたり気軽に考えがちですが、あとあと金融機関やその他手続きをしていくにあたってはとても重要視されます。またもしここに抜け落ちがあると遺産分割協議のやり直し、または相続紛争となり裁判所での調停・審判に発展することがあります。 お父さん(おかあさん)に限ってなどと思わず、前婚、認知、養子の可能性を確認してみましょう。
まずは遺言書の有無を確認しましょう。このあるなしで手続き自体が大きく変わります。 生前に遺言書の話をされていたという場合は、ある確率もぐっと高くなります。自宅タンスや金庫などをまず確認、公正証書遺言の場合はお近くの公証役場に行けばその有無は確認できますので、ご利用ください。 もしなさそうだというのが確認できましたら、遺産分割に進めていきます。
親の相続などまだまだ先だと思っていたのに、突然逝去され相続人が手続きをしないといけない状況に立たされる。という事はよくある話です。 ただ何から始めたらいいのか、どれぐらいの負担を強いられるのか?ただでさえ看取りから葬儀の手配などで精神的な疲労がある状況で、今から調べて手続きしていくのかとなると呆然とします。 なのでぜひ事前にできる範囲で相続知識を得ていたり、ご自身の親族関係を把握しておくことはとても重要です。また全部や一部を専門家に依頼することで負担も大幅に削減することができます。 遺産分割の手順を見ていきましょう。
遺留分侵害額請求について 12 遺留分侵害額請求の消滅時効について
遺留分侵害額請求は、遺留分権利者が、相続の開始及び遺留分を侵害する贈与または遺贈があったことを知った時から1年間行使しないときは、時効によって消滅します。 ここでのポイントは、遺留分侵害があったと知った時ですので、相続発生から遅れることになる場合があります。遺言書内容などから明らかな場合もあれば、そうでない場合もありうるという事です。 また相続開始の時から10年を経過した時も遺留分侵害額請求は出来なくなります。これは除斥期間の満了といい期間が来ればそれまでという意味合いです
受遺者と受贈者がいる場合は、受遺者が先に遺留分を負担し、それでも遺留分侵害額に対して不足する場合は受贈者の負担となります。 また受遺者が複数いる場合の負担割合は、遺言によって取得した財産か価額に応じて遺留分侵害額を負担することになります。 遺留分侵害額を負担することになった者は、裁判所に対し金銭債務の支払い期限の猶予を請求することができます。これを行うことで不動産などを遺産で受け取り すぐに現金での支払いができない方が遅延損害金の支払い義務を免れることができます。
遺留分権利者が遺留分侵害額請求をする相手方は受遺者と受贈者です。 受遺者とは、遺言書などで遺贈を受けた者の他、特定財産承継遺言による財産の承継又は相続分の指定による遺産を取得した者をいいます。 受贈者とは、生前贈与により財産を取得した者で遺留分の基礎財産を算定する際に加算される者をいいます。
基礎財産に加味される贈与について注意点があります。相続人以外に対する贈与は原則1年以内とされていますが、遺留分を侵害するという意図をもって行った場合はその1年以内に限定されず算定に組み込まれます。1年の期間の始まりは贈与契約締結時となります。 基礎財産の評価の基準時は、相続開始日です。なので不動産を生前に譲渡されており、その時の相場単価が1000万で相続開始日には1300万になっていた場合は1300万が基礎財産に組み込まれることになります。
贈与に関しては原則として相続開始から1年以内のものに限られますが、相続人に対する贈与の場合で婚姻もしくは養子縁組のためまたは生計の資本として受けた贈与については10年以内のものまで含まれます。 式にあらわすとしたら以下 基礎財産=相続開始時の積極財産 +相続人以外の者に対する生前贈与(1年以内のもの) +相続人に対する生前贈与(10年以内のもの) -債務 となります。
遺留分侵害額をどうやって算定すればよいのか?ということです。これが実は意外と難しい問題であったりします。遺産を管理している側でないので情報量がどうしても少ないという事が考えられるからです。 遺留分を算定するには、まず分配する元となる全体額をつかむ必要があります。これを基礎財産と呼びます。 民法によると「遺留分を算定するための財産の価額は、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額にその贈与した財産の価額を加えた額から債務の全額を控除した額」とされています。
ただこの考え方も場合によると当事者、代理人の負担や費用を増やす結果となる場合もあります。遺言無効が明確な場合はこれ一本でいくという方法もありますし、遺言無効が認められなそうという場合は遺留分侵害額請求をメインにこれに絞るということも必要かもしれません。 このあたりは当事者でよく考えてご判断いただければと思います。
遺贈や特定財産承継遺言で、遺留分を侵害された人は自分の取り分が圧倒的に少ないということなので、遺留分侵害額請求だけではなく、その遺言自体が無効だと主張することも多いです。 ご注意いただきたいことは、遺言無効の訴えをしている間に遺留分侵害額請求の消滅時効が来ないよう合わせてその意思表示をしておくことです。遺言無効が認められれば良いですが、そうならないことも考えられますので、遺留分だけでも確保できるようにセットで考えておくことが大切です。予備的請求ですね。
意思表示をしたものの任意での話し合いで決着がつかない場合は、裁判手続きを利用することになります。遺留分をめぐる紛争は、相続に関するものですので家庭裁判所の扱いになり、まずは調停ということになります。(調停前置主義) そこで不成立になった場合は、地方裁判所に提訴し審判となります。この場合は遺留分侵害額請求により生じた金銭債務の支払い履行を求めるという請求になります。
遺留分侵害額請求権は形成権であるので意思表示の方法によって行使されます。ちなみに 形成権とは、 一方の当事者の単独の意思表示のみによって 法律効果を生じさせることのできる権利です。 この場合、侵害額をいくらいくら渡せという必要もないですし、必ず訴訟しなければならないというわけでもありません。 ただ遺留分侵害額請求には、1年という消滅時効がありますので、内容証明郵便を用い明確に意思表示する必要があります。
不相当な対価でなされた有償譲渡も遺留分侵害となります。生前に被相続人が長男に自分が持っている不動産を時価の十分の一の値段で譲渡した場合などです。 もちろん無償譲渡の場合も遺留分侵害の対象となります。遺留分の金額を減少する手段としてこのような生前贈与をするケースも実際あるようです。ただそのような行為をしたとしても、遺留分算定の際の基礎財産として組み込まれます。
では遺留分が発生した時におこなう遺留分侵害額請求のお話しに移ります。 遺留分の侵害となる法律行為は、被相続人の遺言によってなされる遺贈、相続分の指定、遺産分割方法の指定により、遺留分権利者の遺留分が侵害されたときに生じます。 遺言とは別に生前贈与を行った場合も遺留分の侵害行為となります。生前贈与が特別受益にあたり、被相続人が遺言書などで持ち戻しの免除の意思表示をしたとしても、遺留分侵害の対象となります。
遺留分の放棄が認められるためには、遺留分にそうとする相応の生前贈与やそれに準じる理由が無いと家庭裁判所も認めてくれないようです。それほど遺留分というのは相続人にとって重要な権利であるということだと思います。 あと遺留分の放棄をしても相続を放棄したことにはなりませんので、遺産分割がなされる場合は、相続人として加わることができます。
遺言書を作る時に遺留分の存在について悩まれたとき、検討するのが遺留分の放棄です。相続開始前に、遺留分権利者が遺留分の放棄をするためには家庭裁判所の許可が必要です。 これは遺留分権利者が被相続人や他の相続人から圧力をかけられたりして、自己の意思ではなく遺留分放棄をさせられるというのを防ぐためです。
遺留分権利者は、兄弟姉妹以外の法定相続人です。これには代襲相続も含みます。遺留分割合は、直系尊属のみが相続人の場合は3分の1、それ以外は2分の1です。 ここで兄弟姉妹を含まないというところがポイントです。得てして相続人間で揉めることが多いのが兄弟姉妹間の相続です。疎遠になってつながりがなかったり、逆に昔からの怨恨があったりすることがあります。そういったときに遺言書で除外することで、遺留分の心配なく遺産分割協議も回避できるのです。
この制度の趣旨としては、遺族の生活保障や遺産形成への貢献など、潜在的に遺族が持っているだろう持ち分を渡すということです。 ただ現在高齢化が進んでおり、その遺族の年齢も上がり自身の生計を確保していることも多く、本来の趣旨に合致しなくなってきているという指摘もあります。
そもそも遺留分制度というものはなぜ設けられているのでしょう? 遺留分制度は、被相続人の相続財産の一部を承継することを一定の相続人に保障する制度です。本来 被相続人は遺言書などで自分の財産を自由な意思で処分できるはずです、それに対して例外と言えるのがこの遺留分制度になります。
遺言遺贈の場合は、放棄することが可能ですが、死因贈与の場合は契約に拘束されるため放棄はできません。 ただし死因贈与も遺贈の規定が準用されるため撤回は可能です。あと税制面で不動産が絡むと大きく変わってきますので注意が必要です。登録免許税が遺贈の法定相続人であれば0.4%であるのに対して、死因贈与で受け取った場合は2%、不動産取得税も遺贈の法定相続人であれば課税がありませんが、死因贈与は4%です。金額も大きい不動産ですので、結構変わります。
贈与に似てるんですが、死因贈与契約について。死因贈与契約とは贈与者の死亡を原因に効力が生じる贈与契約になります。亡くなってから被相続人から無償で渡すというところから、遺言による遺贈と死因贈与契約は似たところがあります。 似ているところそうでないところがあるので、注意が必要です。遺贈が単独行為であるのに対して死因贈与契約は契約であるので双方の合意が必要です。
対抗要件について 不動産の場合は登記が対抗要件となります。登記簿についてはすべての人が確認できるため、第三者に対しても明らかな証明となります。できる限り最速でおこなうほうが無難です。 債権の場合は、通知が対抗要件となります。受益相続人から債務者に対して確定日付の付されたもので通知し、遺言書の内容もあわせて明らかにします。 この対抗要件の具備については相続人の他 遺言執行者も行うことができます
平成30年の民法改正から、対抗要件主義というものが採られています。これは簡単に言うと法定相続分以上の割合で相続をすると超えた部分については登記や登録などの対抗要件を備えなければ、第三者に対抗できないという事です。 つまり相続があったらさっさと手続きをしないと、ほったらかしにしていると第三者が購入したりすると取り返せないよという事です。法律上は超えた部分をなんて書いていますが、実務上は相続分すべてと考えます。
特定財産承継遺言というのは、遺産の分割方法として特定の財産を共同相続人のひとりまたは数人に承継させる旨の遺言です。末尾に「相続させる」とつけます。 特定財産承継遺言の場合は、相続発生と同時に当該相続人に所有権が移るため、遺産分割が不要になります。遺言書の大半はこのような形式をとっています。遺産分割協議というものが無くなるというのは、相続手続上はかなり楽になりますね。
では債務はどうなるのかという事ですが、債務は相続人に対して法定相続分どおりの割り当てになります。 民法902条に被相続人の債権者(相続債権者)は法定相続分に応じて権利行使ができるとされています。債務者の判断で請求先を変えられてしまうと債権者が困るからです。 法定相続分にしたがって債務を返済した相続人は、指定相続分に応じて他の相続人に求償することが可能です。つまりたくさん遺産をもらった人から取り返すということになります。
法定相続分とは違う指定がされた場合、注意しないといけない場合もあります。 一つは遺留分です。指定された割合が、他の人の遺留分を侵害するところまでいってるかどうか、配偶者と子供一人がいて、財産を4分の3配偶者にといった場合、子供の本来の法定相続分は2分の1。遺留分はというとその半分ですので4分の1となります。なのでこの場合は遺言書の指定は、遺留分の心配がいらないということになります。
遺言書で書く内容として、具体的に何を相続させるという他に、相続分の指定という事が可能です。民法で定められた法定相続分がありますが、遺言書ではこれと異なる割合で分割することが可能です。 遺留分という縛りはありますが、基本的には遺言者の思う通りの配分で大丈夫です。 ただし相続分の指定の場合は、遺産分割協議が必要になります。なぜなら相続分の指定は、それだけでは個別具体的な財産を取得させるものではないからです。
包括遺贈の場合は、受遺者が相続人以外の場合でも相続人と同一の権利義務を有するとされています。そのため放棄の手法は、相続放棄の規定が適用されます。3カ月間の熟慮期間、家庭裁判所の申述など同じ適用です。 割合的包括遺贈で受遺者が相続人であった場合、その割合的包括遺贈を放棄したとしても、相続人としての地位まで遺棄したものではないとされています。
遺贈の放棄ということも可能ですが、特定遺贈と包括遺贈で少し異なります。特定遺贈の放棄の場合は、受遺者から遺贈義務者への意思表示だけで成立します。放棄の期限等についても特に定めはありません。そして特定遺贈の放棄の効力は遺言者の死亡のときまで遡ります。
遺贈されたものは、遺言者の死亡によって即座にその抗力は発生します。ただそのものが特定されていない場合は、遺贈義務者がそのものを特定した時に移転の効果が生じることになります。 ただし対抗要件を具備しないと第三者に対抗できないといわれています。対抗要件というのは自分の物ですよということを指し示す行為の事ですね。土地の場合は、登記、モノ場合は引渡しになります。 相続人全員の協力というのもなにかと足並みをそろえるのが難しかったりしますので、遺言執行者がいると受贈者との連携だけで手続きを進めることが可能です。
最後に 負担付遺贈というものがあります。 受遺者に一定の行為を負担させることによって、その条件を満たすことで財産を遺贈するというものです。 「長男Bに遺言者所有の不動産甲を遺贈する。長男Bは前項の遺贈の負担として 遺言者が負担する債務のうち、○○銀行に対する令和●年●月●日付の借入債務を支払わなければならない」 もちろんこの場合負担を実行しなければ、遺贈対象物をうけとることはできません。
割合的包括遺贈というものもあります。これは具体的な財産を特定せずに抽象的な割合を示して財産を遺贈するものです。 たとえば「遺言者は友人Aに財産の3分の1、妻のBに3分の2を遺贈する」という内容です。この場合 友人Aも相続人である妻Bと遺産分割協議をする必要があります。具体的に財産の3分の1にあたる何をもらうかという話し合いです。
つぎは全部包括遺贈です。これは消極財産(債務など)を含めすべての相続財産を受遺者に取得させるものになります。「遺言者が所有するすべての財産を孫Aに包括して遺贈する」というものです。 全部包括遺贈が行われると包括受遺者が単独相続したのと同じ意味合いになります。
遺贈には4種類あります。ひとつは特定遺贈です。これは特定の財産を遺贈の目的とします。例えば 「遺言者は、自身が所有するA駐車場を 長男甲に遺贈する」といった場合です。 特定遺言の対象財産は、遺産分割の対象から外されます。特定遺贈の効力が発生すると遺贈義務者である者は、受遺者に対して引渡しをしなければならない。この遺贈義務者は相続人もしくは遺言執行者です。
不動産の遺贈が第三者に行われた場合、遺贈義務者である相続人と受遺者で共同申請し登記を行います。ただし受遺者が相続人の場合は単独申請で登記ができ、遺言執行者がいる場合は、遺言執行者と受遺者のみで手続きが可能です。 ただし遺言執行時に受遺者が死亡していた場合はその権利が失われます。
遺贈とは、遺言によって遺言者が自己の財産を他人に与える処分行為のことです。死因贈与は契約ですが、遺贈は単独の行為であり遺言書で行いますので要式行為ということになります。 遺贈をする当事者のことを遺贈者と呼びます。遺贈によって相続財産を与えられた者を受贈者と呼びます。この遺贈に伴う手続きを行う義務のあるものが遺贈義務者です。遺贈義務者は、相続人です。
③自筆証書遺言書自体を遺言者本人が破棄した場合、または遺贈の目的物を破棄したような場合ですね。この有名な壺を長男にと遺言で書いていたが、遺言者の不注意で壊しちゃったなどですね。 A遺言がB遺言によって撤回され、B遺言がさらにC遺言によって撤回されてもA遺言は原則として復活することはない。 例えばA遺言で土地Aを長男に、B遺言では土地Aを次男に相続させるとあって、C遺言で先に作ったB遺言は撤回するとしても、A遺言は復活しないという事ですね。 ただしC遺言においてA遺言を復活する旨が明確な時はA遺言が復活します。
次の場合は、遺言書の内容が撤回されたとみなされます。 ①前の遺言と後の遺言の内容が抵触するとき。つまりA土地を長男へ としていたところ A土地を次男へと後の遺言で記載した場合は、前の遺言は撤回されたということになります。 ②遺言の内容物を生前処分してしまったような場合。遺言で渡す筈だった土地を売却したり、預貯金を使って無くなってしまった場などですね。
遺言の重要な機能の一つに何度でも書き直せるというものがあります。 民法1022条に、「遺言者はいつでも遺言の方式に従って、その遺言の全部または一部を撤回することができる。とあります。 ただ撤回する場合は、明確に今までのものを全て撤回して新しく作るのか、その一部だけ変更するのか曖昧になってしまうと、複数の遺言書の存在が混乱を生むことになります。
あと自書かどうかの判定に、実印かどうかというところも重要な要素です。遺言書は必ずしも実印ではないと作れないのかというとそういうわけではないんですが、実印で押してあるとその印影と印鑑登録証明書の確認により、遺言書の自筆性を示す有力な材料となります。 それ以外には、遺言の作成された経緯や背景事情、遺言者の生活状況、家族との関係、遺言の内容等を総合して その自筆性が判断されることとなります。
【遺言の偽造 変造】 遺言無効を訴えられる自筆証書遺言はこのパターンもあります。遺言者本人が書いていない、遺言者が書いたものを書き換えているなどです。遺言者本人の意思でない物は、もちろん無効になります。 本人が書いているかどうかを確認するためには筆跡鑑定が必要になります。ただ筆跡鑑定が絶対かというとそうでもなく、鑑定人や鑑定会社によっても意見が分かれることも有ります。
【形式不備の遺言】 自筆証書遺言の場合に多いのがこれです。自筆証書遺言には絶対外せない様式が求められますので、ここを外すと無効になる可能性があがります。 例えば 日付けの記載に問題がある。 署名押印に問題がある。 財産目録に問題がある。 あとは訂正方法に問題があるなどです。 公正証書遺言に関しては、形式的な不備はほぼないといえます。
遺言内容が不明確な場合も無効となる可能性があります。遺言書の内容の趣旨や意味が不明であったり、記載が不正確などであった場合遺言執行が非常に困難といった場合もあります。 ただし過去の判例では「遺言の意思表示の内容は当事者の真意を合理的に探究し、出来る限り適法有効なものとして解釈すべき」としています。 つまりできるかぎり遺言者の意思を汲んで有効に取り扱いましょうというのが原則であるという事です。無明確な表現があったとしても形式的に解釈するだけではなく、遺言書の全記載のとの関連、遺言書作成当時の事情や状況を考慮し、判断し読み解くということです。
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③被相続人の療養看護 これが最近では一番多くなっているのかもしれません。被相続人が病気・老齢等の理由により身体的・精神的な看護が必要である場合に、特定の相続人が長年その看護に従事したことで、本来かかるであろう看護費用が節約でき、被相続人の遺産の維持に貢献したというような場合ですね。 高齢化社会の中、同居している親族の介護などがこれに当るのかなと思います。ただ具体的に看護費用の節約につながったということを立証する必要はあります。週一回様子を見にいってたよという程度では難しいところです。
②被相続人の事業に関する財産上の給付 これは相続人が自己の資金を提供して、被相続人の事業に関する借金を代位弁済したり、被相続人名義で事業用の資産に投資したりする場合です。結果的に被相続人の財産維持、増加に貢献したというケースです。 まぁその時には返済や求償できていなかったので、遺産で清算してねというイメージでしょうか?
①被相続人の事業に関する労務の提供 これは被相続人が農業をやっていた、自営業を行っていた場合に無償またはそれに近い状態で従事していた場合があげられます。これには医者や弁護士といった専門業も含みます。 息子が親の仕事を手伝っていた、この場合しっかりと対価をもらって仕事をしていたわけではなく、奉仕的な役割でやっていたという要件が必要です。
簡単に言うと亡くなった方のお役に立ったのだから、その分は遺産から褒美をとらそうという意味合いです。しかしこれがなかなか一筋縄ではいかない制度です。じゃー私も私もなんて出てくると収拾がつかないですし、こんな金額では不満だわなんてことも出てきます。 ではどんなことをどこまですれば、寄与に値するの?ということを見ていきたいと思います。
相続に関してのご質問で 寄与分ってあるんですよね?というご相談を受けることも有ります。 民法904条の2に規定されておりますが、内容はこうです。被相続人に対する労務の提供又は財産上の給付、被相続人の療養看護その他の方法により、被相続人の財産の維持または増加に「特別の寄与」をした相続人に対して、遺産の分割に当って法定又は指定相続分に関わらず、遺産のうちから寄与に相当する額の財産を習得させることによって、共同相続人間の公平を図ろうとするものです。
相続税の2割加算とは、相続や遺贈によって財産を取得した人が、その被相続人(亡くなった方)の父母や子、配偶者でない場合はその人の相続税額の2割に相当する金額を加算するという制度です。 つまり孫の財産が渡されたような場合は2割加算の対象になるという事です。ただし 被相続人の子供が先に亡くなっていて、代襲相続の対象として孫がなる場合は、その加算は発生しません。なぜならその孫は、被代襲者の親の代わりであるからです。 ちなみに被相続人の兄弟姉妹や甥姪は当然 2割加算の対象者となります。
再転相続と数次相続の違いというのが少し難しいところ。 再転相続というのは、先の人Aが亡くなって、その財産をうけとるか放棄するかの判断もしない間になくなってしまった相続人Bがいたような状況が再転相続。同時死亡なんかもそうですね。この場合はBの子どもCが再転相続人として登場します。 数次相続は、Aが亡くなり Bが相続人として財産をうけとるとなった時に亡くなってしまった場合ですね。この場合はAの相続手続、Bの相続手続と重なりますので手続きが少し複雑になります。再転相続では関係のなかったBの配偶者も権利者となりますので注意が必要です。
代襲相続は亡くなっても、欠格・廃除といった資格の喪失でも生じるというお話をいたしましたが、例外も存在します。 それが相続放棄です。相続放棄をすることはその者は最初から相続人ではなかった、相続人として存在していなかったとなりますので代襲相続は発生しません。 法定相続上 第一順位であるすべての子供が相続放棄をした場合は、その相続権は第二順位の直系尊属に移ります。この点はご注意ください。
さらに被相続人の子を代襲する子供が亡くなっていた場合は、さらにその子 つまり被相続人の孫が代襲者となります。これを再代襲相続といいます。直系の場合は原則的には際限なく再代襲の扱いになります。 これに対して、兄弟姉妹の場合は、一代までしか認めらえれておらず、被相続人からも見ると甥姪までがその対象となります。
代襲相続とは、相続開始となる以前に本来相続人となるべきであった子供や兄弟姉妹が死亡してしまっているために、その者の子供(直系卑属)がその者に代わって相続分を相続することを言います。相続廃除や欠格という相続人として資格を失った場合も同じくその子供たちが相続権を得ます。 なお 相続人が被相続人と同時死亡という場合もこの代襲相続が発生します。
もう一つ重複する相続権のケースとしては、以下のケース。父甲が婚外子の子供Aを認知します。その後 Aと甲が養子縁組したとすると嫡出ではない子としての地位と養子としての地位が混在することになります。 ただこの場合の見解は、両者の地位は民法上両立する資格ではなく、Aは身分の転換により嫡出でない子の身分は無くなり、養子として嫡出子の扱いとして相続権を有するとされています。
相続資格の重複というこというと以下のケースも考えられます。父甲に子供がA,Bいました。そこに養子Cが登場します。そこでAとCが結婚したとします。 その後Aが先に亡くなり、甲が亡くなったとするとCは養子としての立場とAの配偶者としての立場、両方の相続権を持つことになるのかという問題が発生します。このあたりも見解として分かれるところですが、先例としては配偶者としての相続権しか認めていないという事です。今後の判例解釈しだいではまた変わる可能性もありだと思われます。
この場合Cは、甲の養子としての地位とAの代襲相続者としての地位が二重に発生することになります。どちらを優先するのか?はたまた両方の権利を有するのか? 難しいところですね。 このあたり見解としては、分かれるところですが、先例・通説では両方の権利を得るとされているようです。 理由としては、民法が身分関係の重複を認めているので、相続資格の重複も認めるべきだという考えからくるものです。
あまりないケースですが、相続人が被相続人に対して二重の相続上の地位を有するということもあり得ます。以下のような場合です。 例えば父甲と母乙 その子供がAとB、Aには子がおりC つまり甲にとっては孫ですね。甲が孫Cが可愛いのでAとBと同列の養子縁組をしたとします。甲が亡くなる前にAが死亡し、甲が亡くなります。
嫡出子の扱いも平成25年の民法改正で変わりました。嫡出子というのは婚姻関係にない夫婦の間に生まれた子供のことでこの改正前は、相続割合が嫡出子の2分の1となっていました。民法改正後は同等となりました。 よく混同されがちですが、配偶者・子供が無い方が亡くなり 兄弟姉妹だけが相続人の場合、半血兄弟姉妹の場合は2分の1となります。半血というのは、被相続人の父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹のことで、父母の双方を同じとする兄弟姉妹は全血といいます。
昭和55年改正前の割合は、配偶者 3分の1、子供 3分の2となります。配偶者と親は2分の1ずつ。配偶者と兄弟姉妹の場合は配偶者3分の2兄弟姉妹3分の1です。 イメージ的には、昭和55年改正後は、配偶者に少し手厚くなったということでしょうか?確かに夫婦で築き上げた財産でもあるのでこの傾向は正しいような気がします。 子供などが複数いる場合は、その割合を均等割です、この辺りは現在と変わりません。
現在の法定相続分として皆さんもご存じかもしれませんが、その割合は、配偶者 2分の1 子供 2分の1です。配偶者と親なら 3分の2と3分の1、配偶者と兄弟姉妹なら4分の3と4分の1となります。 ただしこの割合というのは昭和55年の民法改正後定められたものですので比較的新しいといえます。 つまり家督相続制度と現在の制度の間に別の法定相続割合があったという事です。これは過去に遡って遺産分割協議を検討しないといけない場合検討しないといけない事柄ですので注意が必要です。
旧民法では、家督相続の原則があるため、夫が亡くなった場合は長男(家督相続人)がすべての財産を承継していました。妻(未亡人)は、直接的な相続権を持てなかったのです。そのかわり 長男が家産を管理し、母(未亡人)の生活を扶養する義務を負うとなっていました。これはこれでうまく機能すれば財産が分散することなく、家を承継し、一族が反映していくにはよかったのかもしれません。 もし家督相続人がいない場合、妻が一時的に戸主となることがありますが、最終的には家督相続できる男子を立てるということがされていたようです。(養子を迎えるなど)。
相続税については申告納税制度になっています。つまり納税義務者が自分で税額を算出し、期限内に申告書を所轄税務署に提出し、その税額を納付するという事です。税務署が勝手に調べて納税通知書を送ってくるということはないわけです。 なので不備があったり申告漏れがあった場合は、後から指摘が来るという事になります。相続税が発生しそうな場合や配偶者控除などを使う場合は、税理士さんにお願いして処理してもらった方が後々安心だと思います。
この除外された財産額の合計額から相続人が負担した被相続人の債務と葬式費用を控除して純資産額を計算します。これに相続開始前7年以内のものを加算して相続税の課税額を計算します。 課税額算出できるとあとは、先ほどお話しました基礎控除の額を控除し、相続人それぞれに按分します。 その後に配偶者控除や未成年控除などそれぞれ 該当する控除を差し引て最終の相続税額を導き出します。
ただ最近公正証書作成のお手伝いしていて、いろいろ思うのはやっぱりしっかりしたものを作るのなら公正証書かなとも思います。全部公証人任せというのは、お勧めしませんがやはり法律知識にも精通した公証人の役割というのは大きいと思います。 士業のほうもしっかり遺言・相続については勉強し、遺言者の本当の気持ちを汲み取り、また相続人が後に揉めないような配慮をしつつ、遺言者と公証人の間をつなぐ役目を果たさないといけないなぁと思います。
自筆証書なのか公正証書なのかということについてですが、遺言者の体力健康、遺言内容の複雑さ、お金をかけたくないかどうかこういったところが、決定要因なのかなと思います。 個人的には自筆証書というのが進んでこないとなかなかすそ野が広がってこないような気がします。費用を支払って公正証書を作成するという方は昔から一定数いらっしゃると思いますが、まずはお気軽に始められる自筆証書かなと思います。 自筆証書に関しては、作成方法が緩和されたり、保管制度ができたりと国をあげて遺言書の作成を促しています。相続手続をきっちり行ってもらいたいというのが意図としてあるのかなと思います。
しかし専門家のほうも遺言書や相続に関して深く探求している人とそうでない人がいます。普段別の業務がメインだけど遺言の依頼があれば公証人任せの公正証書遺言を作成しているような人です。 こういった専門家は、遺言者のいう内容を文章化するだけですので、のちのち遺言書の抗力が生じたときにいろいろ困ったことが露見します。 いい専門家を見つけるためにはいろいろ質問相談をし、親身になって聞いてくれ専門的な知識に基づいたアドバイスをくれる人を探すべきだと思います。多くの士業では、初回面談無料なども行っていますので是非ご利用ください。
実際に作りたいと思われる方としては、個人的な感覚ですが、70代から80代前半にかけてが多いような気がします。意思能力がしっかりしているうちに、自分たちが残せる財産が見えてきたそんな世代です。 相続手続上もスムースにおこなえて相続人の負担も減りますのでメリットは大きいと思います。 ただ遺言書の内容については、遺留分や税金のことなど、残った配偶者の事も有りますので、できれば専門家に一度文案のご相談をいただければと思います。
これは、認知症だから遺言書を作れないというわけではないという意味でもあります。本人の意思が明確であるかどうかというのが大事なわけです。そもそも遺言書の一番大事なところは、遺言者の意思がどれだけ反映されているかということにあります。 過去 争われてきた判例でも遺言書形式、文言に不明瞭な点があっても遺言者の意思が類推されればその遺言書は有効であるという審判が下されてきたことがありました。
また自筆・公正証書問わずですが、遺言書が作成されそののちその効力が生じた(遺言者が亡くなった時)時に、遺言書作成した時に認知症だったので無効ではないかという疑義が相続人から問われる場合があります。 「認知症の父親に無理やり書かせた」なんていうあれです。どうしても不利な内容を書かれた相続人はその点を指摘し、訴訟になるなんてことも有ります。遺言書無効訴訟というやつです。 このようなことにならないためには、遺言作成時の認知症専門医の診断書などを得ておく。また遺言作成時のビデオ作成をしておくなどの対策も必要かもしれません。
注意しておかないといけないことは「認知症」の問題です。認知症の発症は、40代50代から若年性認知症の割合が増え始め、70代80代になるとかなりの割合(5人に1人以上)で認知症が増え始めます。 認知症になると遺言書がまったく作れないという事ではなく、その重症度合いによって変わってきます。遺言書の内容をしっかり把握できているかという意思能力、遺言能力がキーになってきます。公正証書遺言では、公証人の判断が大きくなります。
若いって何歳? これは難しいところですね。厚生労働省が2023年7月に発表した「令和4年簡易生命表の概況」によると、日本における日本人の平均寿命は、男性81才、女性87才だそうです。60歳の男女だと男性は20年、女性は30年弱ある計算になります。 ただ人生いつ終焉をむかえるかもわかりませんので、準備という意味合いでは、60歳以降考えておいた方が良いのかもしれません。
ご病気などをお持ちであれば、年齢が若くても作成の必要がある場合も有ります。ガン末期などで余命が示された場合は急がないといけないこともあります。 ただしあまり若い時期に作ってしまうと、財産内容や渡すべき相手に変化があること、また自分の意思も変わってしまうことも有るので、その場合は再度つくりなおす必要も出てきます。遺言書は、同じ内容を示すものは、後に作られたものが原則優先されます。しかし先に不動産だけ後に銀行預金だけといった変わった2種類の遺言書を作った場合は、両方とも残ります。
「遺言書をつくるかつくらないか」は個人の置かれた状況によって大きく変わると思います。ご自身が①~③のどれに当てはまるかは、ぜひご検討いただければと思います。 もう一つポイントとなるのは、その作成時期です。遺言作成者が何歳の時に作るのがいいのか?実際のところ遺言書は未成年でも作れます。民法961条に「15歳に達した者は、遺言をすることができる。」 とあります。つまり15歳から寿命の尽きるところまでその幅があるという事です。
また 仲の良かった兄弟間が揉めてしまうきっかけを作ってしまうことも考えられます。 例えば、父親は出来の良い次男に財産の4分の3を与えたい、残りを長男へといった遺言書を残したいと思っているケースでは、必ずしも次男がそれを望んでいないことも有り得ます。 次男としては長男とも家族ぐるみで仲良くしているし、父親が亡くなったあとの未来でも兄弟関係は続くことから、こういった遺言内容で遺産を受け継ぐよりは、公平分割を望んでいます。こうなってくると遺言者の意思は、残された相続人にとっては有難迷惑にしかならないことになります。
③作らない方がいい人 まずは作らなくてもいい人とは、例えば先に父親が亡くなり、母と子供が一人残ったような場合 その母親は遺言書を作る必要はありません。すべての財産が一人の子供にいくからです。 それとは別に作ることで揉めてしまうことが予想される場合は、あえて作らないという選択肢もあります。遺言書は作成されてから効力が生じるまでに時間がかかる場合があります。そうなると財産状況も変わってきますし、相続人の状況(生死や経済状況など)も変わってきますので、場合によればそのたびごとに作成の必要が出てきます。
②作っといてもいいかな思う人 遺言書があると相続手続が簡単、簡便になります。遺産分割協議が必要なくなるからです。遺言執行者を決め、明確に財産の内容を分割しておけばその通りに遺言執行者が内容を実現します。 相続人は遺言執行者を妨げてはいけません。内容がある程度法定相続分通りのイメージであったとしても、遺言書を作っておくメリットはあると思います。 この相続手続きの簡便化を求める場合は、公正証書にするか遺言保管制度を使って、検認不要の状態にしておきましょう。家庭裁判所で遺言書の確認をしてもらうという検認の手続きが入ってしまうと1カ月以上時間をロスしてしまいます。
おひとり様で相続人となる人がいない場合。もし残った財産があれば国へ最終的には帰属しますが、いろいろ手続きに時間がかかったり、相続財産清算人を家庭裁判所に選任してもらったりする必要も出てきます。遺言書を作成し、遺言執行者を選任、いろいろな債務を処理したのち 残った財産の帰属先を決めておいた方が処理が簡単です。 またこの場合はあわせて死後事務委任の契約をしておけば、葬儀や各種手続きの解約なども行えますので、安心の終活にもつながります。
①作る必要のある人ですが、 まずご本人の意思として、特定の人にあげたい、多めに渡したいといった場合には必要です。もしなければ残された方で勝手にわけるか、法定相続分を基準に分割されます。法定の審議になった場合は、法定相続分が落としどころとなります。 また逆に渡したくない言う場合にも利用できます。遺留分という最低限相続人に補償された額はありますが、2分の1に圧縮できます。配偶者、子供、親ではなく、疎遠な兄弟姉妹という場合は遺留分もないので完全に排除できます。
遺書には、法的な効力がないかわり、どんな書きかたでも内容でも もちろんいいという事になります。 しかし じゃ 全員 遺言書を作りましょうともなりません。①作る必要のある人②作っといてもいいかな思う人③作らない方がいい人①から③のひとについて順にみていきましょう。
では遺書と遺言書の違いはというと、まずは遺言書は要式があるという事です。必ず必要なもの、作成日付、遺言者名、印鑑が必要です。ちなみに印鑑はシャチハタが不可です。 自筆証書遺言については、原則全文自筆 財産目録などはパソコン打ちや登記簿謄本の写しなどでも対応可能になりました。 また遺言事項というものがあり、遺言書になんでもかけるというものではなく、遺言書に書くことで効力が発生する項目というものが存在します。つまり 遺言書には法的な効力が発生します。
最近「遺言書は死んでも書くな」 額田洋一さんの本を読み始めてまして、まだ全部は読んでませんの、その本に関する書評というわけではなく、自分なりに思うことを書いてみたいと思います。 遺言書と遺書には、大きな違いがあります、でも混同されている方も多いのも事実。遺言書なんて縁起でもない、そう思われることもすくなくありません。なので遺言書の話を子供が持ち出そうものなら「お前 わしを殺す気か!」などと言われかねません。でも遺言書には有効な機能も備わっているものなんです。
今まで述べてきたように相続手続を先送りすると大変厄介です。そのタイミングごとにしっかり処理をしておくことが、後の世代に大きな負担をかけない秘訣です。 遺産分割協議書は、定まった様式が無いとはいえ、不動産売買や登記に使う場合は、対象となる不動産について正確に記載しておく必要があります。 またその他の文言についても包括的な表現をとりいれたり、協議後 あらたに発見された遺産への対応を盛り込んだりと専門的な知識を要することもあります。十分ご注意ください。
厄介な相続人と揉めそうとなれば、相続分野が得意な弁護士さんにお願いしておくのが一番ですが、その報酬はかなりのものになるであろうことは推測できます。成功報酬というものも有りますので、そもそもこういった案件を受けてくれるかどうかも微妙だろうなというのは個人的な意見です。 同じような案件でも各士業たらいまわしにあってきたという事は聞いたことがあります。