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人の相続以上に会社の相続も大変です。その中でも厄介なのが「非上場株式」という換金性が低くて安易に分割できない財産です。非上場株式の相続には相続税がかかりますが、納税する現金がないという会社が良くあります。 また会社の株は、単なる財産ではなく会社の議決権という意味合いもあるので、経営上は子供一人に集約したいところですが、他の兄弟にも相続権は発生します。一つの会社を共同経営となると経営方針の違いや株の持ち分比率、役所の公平性などから、かなりの確率で揉めます。 会社不動産の場合も同じで、その不動産が無いと会社存続も出来ないが、自社株と同じく遺産分割の必要性が出てきます。また相続税を収めるための現金も…
【公正証書遺言を公証役場で作成した場合でも「家族に脅されて、本人の意思に反して作成された」】と争われるケース 公正証書作成時の証人を中立的な立場の人を選ぶことを当然ですが、相続人の一部をその作成時立ち会わせないということも必要かもしれません。付き添いでということで同居の長男が遺言者である母親を連れて作成するという状況を見たことがありますが、他に兄弟がいた場合、後でどういう感情が生まれるでしょうか?圧倒的に長男に有利な遺言内容があり、その状況で作成された遺言書であれば、上記のような主張の元に争いが生じることも十分考えられます。 公証人にはしっかりと遺言者の意思を確認してもらい、遺言者に自分の言葉…
【本人の筆跡ではない】と争われるケース 遺言書で不利益をうける相続人が、他の相続人が自分たちに利益を得るために捏造したと主張する場合です。 本人の筆跡であることが確認できる文書を残しておくことは有効です。書かれた時期が遺言書作成時期と近く、同じ文字が含まれてるような文書が理想です。 ただ筆跡鑑定というのは、法廷でも専門家によって違う解釈がされてきたという歴史もあり、絶対というわけではありません。遺言書を作成している状況を動画で押さえておくというのもとても有効です。先にでていた認知症に関しても、遺言書作成時に適切な会話ができていた動画が残っていれば証明の一つになると思います。
遺言書に関して、しっかりと方式にあわせて作ったのに、身内同士の揉め事に発展し、裁判までもつれるケースを見ていきたいと思います。【遺言の作成当時、すでに認知症で遺言能力がなかった。だからその遺言書は無効だ】と争われるケースです。 超高齢化に伴い、認知症の方の数は右肩上がりに増えてきています。遺言書を残す年齢も人生の後半期であることも多いため、遺言書の存在で不利益になる相続人は、遺言者が認知症で内容を理解せず遺言書を書いたと主張します。 対策としては、遺言書作成時、医師の診断書をもらっておく。長谷川式認知症スケールによる検査をうけておく。などが有効です。
裁判所の示す解決案に納得できない場合は、審判手続きというものに進んでいきます。審判では家庭裁判所が最終的な分割案を示します。この内容には法的に相続人は従わないといけなくなります。 このような流れだけを見るとスムーズに遺産分割が進んでいくように見えますが、家庭裁判所が隠し財産や使い込みなどを調べてくれるわけではありません。各相続人が弁護士などを立て調査し、証拠をそろえていかなくてはなりません。 そもそも感情的に相反していて、「相続人の誰かが不当に使い込んだ財産はいくらか?」「過去に受けていた贈与がもっとあったはずだ」といった遺産の前提の認識が相続人同士で食い違っている場合、なかなか分割するところ…
一度相続人がお互いを疑い始めて、少しでも多くの財産を得ようとし始めると、もう本人たち同士での遺産分割協議をまとめることは不可能になってきます。 そのような場合、一人の相続人が他の相続人全員を相手として、家庭裁判所に「遺産分割調停」を申し立てるということになります。 裁判官と調停委員は、提出された資料を確認し、双方の事情や分割の意向を聞き取り最終的に解決案を示します。原則は法定相続分の分割が勧められ、それを相続人双方が納得すれば調停成立ということになります
長女の提案は、控えめに思えますし、次女にとっても好条件のように感じます。 ただ遠方に住む次女は、母親の日々の様子、介護の事情がわかりません。次女がいったセリフがこれです。「お父さんが亡くなった時、預金は1億円あったはずです。お母さんの介護にお金がかかったとはいえ、6000万円も減っているのはおかしいわ。何に使ったの?」 次女が疑いの気持ちを持っていることは確かで、その発言は軽いものかもしれません。 長女としても、介護に適した自宅にするためのリフォームなど言い分はあるかもしれません。ただ自分が譲歩したつもりの提案に対して、お金を無駄遣いしたのではないか、盗んだのではないかという発言に対する怒り、…
あるケース既に亡くなった父親 自宅不動産(3000万) 預金1億円を妻に相続。子供は長女と次女。母親は数年後認知症になり独身の長女が約10年介護をし、遺言書を残すことなく亡くなりました。 母親の財産 自宅不動産(3000万) 預金4000万残された二人で遺産分割です。長女の提案「ずっと母親の介護をしてきました。法定相続分は二分の一であることも知っています。ただ相続で揉めたくないので、私は今住んでいる自宅だけでいいです。預金の4000万はすべてあなたが受け取ってください。」といいました。 はたして遺産分割協議はうまくいくのでしょうか?
遺言書が無い場合、残された家族が遺産の分け方について話し合い、最終的に一枚の紙にその分割内容を書いて全員の実印を押します。 残された財産が現金であれば、分割自体はしやすいですが、それが不動産であったり、亡くなった方が経営していた株式であったりすると途端に複雑になります。また介護や生前贈与というのが絡むとすべての財産の裏側で感情というものに支配され、分割がスムーズに進まなくなります。 いままで仲良かった家族、いい関係を築いていた親族関係がこの遺産分割をきっかけに崩れていき、口を利かないような関係に陥ってしまうことも少なからずあります。
⑥後見人の指定 遺言者が死亡することで親権者が不在となる未成年の子がいる場合、遺言で第三者を後見人として指定し、その未成年の財産管理などを委ねることができます。 ⑦相続人相互の担保分の指定 相続した財産いに欠陥があるなど、他の相続人の相続した財産よりも明らかに劣ったいあたことが分かった場合は、他の相続人が担保責任を負うことになります。たとえば相続した自動車のエンジンに問題があり、全く走らない場合とかです。 この担保責任の責任者や負担割合を遺言で指定することができます。 ⑧遺言執行者の指定 遺言内容の実現にあたっては、名義変更や登記の変更など様々な手続が必要となります。これらの手続きをおこなう権…
③相続人の廃除 遺言を作成する人が、相続人になる予定の人から虐待や侮辱、その他の暴行による被害に遭っており、その相続人に遺産を渡したくない場合は、遺言により相続人から相続権をはく奪することができます。ただかなり強い権利行使になりますので、家庭裁判所で認めてもらうにはなかなかのハードルになります。 ④遺産分割の禁止 遺言で、遺産分割を相続開始から5年を超えない範囲で禁止することができます。 ⑤隠し子などの認知 婚姻をしていない女性との間にできた子供がいた場合、遺言でこの子を正式に自分の子であると認知することができます。「生前に認知すると問題が発生すると考えられる場合この方法が採られます」とものの…
遺言で決められることは民法によって定められています。何でもかんでも遺言に書いといたらええんちゃうのというわけではないんですね。①相続分の指定 これは一番遺言といえばというところですが、誰それに○○銀行の預金を相続させる。誰それに○○の土地を相続させるといったものですね。また比率で分けることも可能です。Aには○○銀行の預金を2分の1、Bに2分の1みたいな感じです。 ②遺贈の指定 被相続人(亡くなった方)の財産は原則として法定相続人に相続されます。しかし被相続人が特にお世話になった人や内縁の妻、遠い親戚である甥や姪 あるいは団体などを指定して相続財産を渡すことができます。これを遺贈と呼びます。
【財産の大半が不動産であるケース】 財産の大半が不動産である場合、その分割がしづらさからもめるケースが増えます。兄弟が3人いて、不動産が複数ある場合で数的にはそれぞれの相続人に渡すことができる場合であっても、その評価額の問題や遠方にあったりということで不公平感は出てしまいます。 不動産は登記手続きや売買手続きなど金融資産に比べると時間や手間がかかります。分割にさいして揉めることないように、遺言書で指定しておく、またその意図も事前に伝えておくか付言として示しておく必要があると思います。
【息子の妻が口を出すケース】 被相続人の息子の配偶者は相続人には含まれないのですが、相続内容には口出しをしてくるケースも多く、相続人以外の人も巻き込んで相続人争いがこじれることはよくある事例です。血縁が絡まないぶんだけ、その主張に遠慮がありません。 「ちゃんともらえる分はしっかりもらってきてよ」「でも残された親の世話やお墓の管理などはまかされてこないでよ」なんてことを言ったりします。 義理の親の面倒を献身的に見てきたにも関わらず、相続権がないため報われにくい長男の妻には特別の寄与というのが認められることになりましたが、実際のところはその算定などは難しいようです。
【家族仲が良くないケース】 相続争いを引き起こす一番の原因は何といっても家族仲の悪さであることは間違いありません。また相続をきっかけに悪くなるというケースもあります。 法律上は、法定相続人がいて法定相続割合で分け合えば公平に分け合えるような立て付けになっていますが、相続に関して揉めようと思うえばいくらでも揉める要素は存在します。 相続発生前の状況として、親と同居 介護をしていた兄と遠方に住む弟というだけでも違います。また過去に留学をさせてもらっていた、金銭の贈与を受けていたなどもその要素になります。 くすぶっていた人間関係が遺産分割のタイミングで噴出するなんてことも大いにありうるわけです。
【前妻との間に子がいるケース】 再婚して現在は妻と子がいるが、前妻との間にも子供がいる場合です。夫であるあなたが亡くなった場合、法定相続人は現在の妻と子供、そして前妻との子供になります。ここでポイントとなるのが、現在の子供と前妻との子供の法律上の財産の取り分が全く一緒だということです。 お互いの家庭がほぼ他人の状態であることも多いかと思いますので、前妻の子からは遠慮なく四分の一の財産の請求が発生する可能性があります。 また今まで面識のなかった前妻の子どもを交えての遺産分割協議というのもできれば避けたいところです。 夫としては、前妻の子供にも財産をのこしてあげたいと思うかもしれませんが、後妻は果…
遺言で、○○銀行の預金を長男Aにすべて相続させると記載したが、その預金は一切使用できないのか? そんなことはないです。できれば遺言として残しておきたいという意思はあると思いますが、使用したとしても問題はありません。またそれがために遺言を書き直さないといけないというわけではありません。 相続のタイミングでしっかりと財産調査をすることになりますが、遺言内容がもし大きく変わるようなら、残される方のためにも再度遺言書の作成を検討されても良いかもしれません。
NG集をやったので次はOK集をやります。一般的にできないんじゃないの、しにくいんじゃないの?といわれてそうなことを勝手にピックアップしておおくりします。 一つ目は遺言書の撤回です。一回書いちゃうともう後戻りできないのでは・・・。そんな漠然とした思いを持っている方もいるかもしれませんが、原則 遺言の撤回は自由です。 1日でも1分1秒でも後に書いた遺言が生かされます。ただ異なる内容で書いたものは、撤回という意思表示をしないと残ることになります。つまり1通目の遺言に不動産の事を書き、2通目に預金についての遺言を書いた場合はどちらも残ります。両方同じ不動産で、相続人の相手を変えた場合などは後のものが採…
共同遺言の禁止 遺言は、二人以上のものが同一の証書ですることができない とされています。どんな仲の良い夫婦であろうが、内容が近いものであろうが一枚の遺言書に二人分書いてはダメよということですね。まぁどちらか一方の遺言の撤回があったり、実際に遺言の実行は片方の死亡により効力が生じることになると思いますし、その遺言解釈が複雑になるようなことは、しなさんなということです。 過去には、最高裁までもつれたこともあるよう論点ですが、各自 別々に作りましょうということですね。
成年被後見人も遺言の作成は可能とされていますが、それはあくまでも事理を弁識する能力を一時的に回復した時とされており、医師二人以上の立会が必要とされています。 なかなかに厳しい条件ですね。なので認知症等の疑いのある前、意識がしっかりしており、本人に遺言書作成の意思がある時に作っておかないといけないということですね。
遺言書を書くにあたっては基本的に必要な能力というのが問われます。またこれはしちゃだめよ、ということもいくつかあります。 遺言書について今まで縁のなかった方むけに、記載していきますのでお気楽に読んでいただければと思います。 まずは 民法から遺言は、未成年であっても、15歳以上の場合には単独でなすことができると961条にあります。なので14歳ではできないんですね。 意思能力を欠いていた場合には、その遺言は無効であるということも民法に記されています。ここが遺言書の有効性を争う一番のところです。「遺言を作った時すでに認知症だった、お前が無理に作らせたんだろう!」のようなやつです。
配偶者の老後の生活を維持したい、自分の作り上げてきた家業を継いでもらうためにも遺産を次男に譲りたい、介護でとても世話になった孫に遺産を引き継ぎたい、などなどいろいろな事情があると思います。そういった事情を、心のこもった文章で、また残された家族たちへの感謝をこめて書かれたものであるならばきっと想いは伝わると思います。 遺言者の想いを言葉に変えて、残された方に伝えるその役目が付言にはあると思います。私が遺言でお手伝いさせていただく場合は、ここに一番のこだわりを持ちたいと思っています。
遺言書の内容が、何を誰にという不公平があったとしても、時価の評価が法定相続分に近ければ問題はありません。そこに大きな差異があれば遺留分侵害の問題がでてくる可能性があります。 昔に遡れば、遺産は家督を相続する長男がすべて相続し、家を守っていくものでしたが、現在では相続人による法定相続分での分割、遺留分の主張といったことが当たり前になっていています。
付言と密接にかかわってくるのが遺留分です。遺言で相続人の誰か、若しくは相続人ではない人に遺産の大部分を与えてしまった場合、慰留分というのが発生します。遺留分というのは、法定相続人が遺産を受け取れる権利のことです。ただしその額は法定相続分の半分というのが目安です。 請求には期限があり、「相続開始と遺留分侵害の事実」を知ってから「1年以内」に遺留分を請求する必要があります。 またたとえ知らなくても10年がたつと主張はできなくなります。
例えば、遺言者がAよりBに対して多くの財産を残すことを遺言書で残したケースがあるとします。Aとしては、Bより少ない財産しか受け取れず、「納得できない」と考えて、遺言の効力を争ったり、Aの遺留分を侵害すると主張して、Bに対して遺留分侵害額請求をしたりすることが考えられます。Aがこれらの手段をとることを、遺言者が遺言によって法的に阻止することはできません。 遺留分だけでも確保してあげるというのも手ですが、遺言者がAよりもBに対して多くの財産を残そうと考えた動機を詳細に記載しておけば、これを読んだAが遺言者の想いを酌み、遺産をめぐる紛争を起こすことを踏みとどまる可能性があります。
これに対し、民法等で遺言をすることが出来る事項として規定されていない事項を「付言事項」と呼びます。付言事項を遺言に記載したとしても、権利義務の変動といった法的効果が生じることはありません。 法的効力は生じませんが、遺言を作成した動機等を付言事項として残すことにより、遺産をめぐって相続人同士で争うことを抑止する事実上の効果は期待できるといえます。 ただこの効果も、遺言者との精神的な距離が遠ければ遠いほど効果は薄くなってしまいます。付き合いのない兄弟姉妹や甥や姪など。その場合遺留分もないので遺言の法的効果で排除することが可能です。
遺言書に記載できる付言(ふごん)というものご存じですか?あまり知られていないと思うのですが、個人的には、これ とても大切だと思うんです。 ものの本によると「民法等は、遺言の明確性を確保するため、遺言をすることができる事項を限定して定めており、これらについてのみ法的な効力が生じます。」とあります。 このように、民法等が遺言をすることができる事項として定める事項を『遺言事項』と呼びます。 例えば、認知は民法上遺言事項とされており、遺言者の死亡により、届出を待つことなく、認知の効果が生じます。