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釣りが大好き(?)モーパッサンの短編集。新潮文庫からの短編集は3巻に渡るのですが、Ⅲは反戦小説と幻想小説を集めたものです。「二人の友」から「従卒」までは戦争の話です。モーパッサンは20歳の学生時代、普仏戦争に召集された経験を持ちます。前半の短編は、反戦思想が強くでている上に、ストレートな内容で戦争心理の生々しさを感じるものが多いです。「恐怖」から「狼」までは幻想小説と呼ぶのがしっくりくるでしょうか。モーパッサンは41歳で発狂し、41歳で没しましたが、「オルラ」のように精神的な不安を表している短編もあります。最後の2編、「月光」と「パリ人の日曜日」は、戦争ものでも幻想ものでもなく、恋愛や日常を喜劇的に書いた作品で。モーパッサンは、30歳からおよそ10年間のみの短い活動期間で約360編の中短編小説のほか、長編...モーパッサン短編集Ⅲ青柳瑞穂訳(新潮文庫)
こんにちは。RIYOです。今回はこちらの作品です。 プロシア軍を避けてルーアンの町を出た馬車に、“脂肪の塊”と渾名(あだな)される可憐な娼婦がいた。空腹な金持たちは彼女の弁当を分けてもらうが、敵の士官が彼女に目をつけて一行の出発を阻むと、彼女を犠牲にする陰謀を巡らす――ブルジョア批判、女性の哀れへの共感、人間の好色さを描いて絶賛を浴びた「脂肪の塊」。同じく、純粋で陽気な娼婦たちと彼らを巡る人間を活写した「テリエ館」。 1868年、スペイン女王イザベラの悪政に見切りをつけた役人や軍人は、クーデターを決行して国政から追放し、フランスへ亡命させるに至ります。空位となったスペイン王座を利用しようと画策…