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幼虫から育てていたカブトムシは8月も終わりに近づくと食が細くなっていた。そして9月に入るととうとう死んでしまった。 「土に埋めてあげたら?」「そうする」 しばらくすると子供は戻ってきた。「桜の木の下にお墓つくってあげた」「えっ?」 てっきり庭に埋めたと思っていたが近所の公園の桜の木の下に埋めたというのだ。「桜が咲いてキレイじゃない。カブトムシって桜見れないから」「・・・そうだね」 なんて詩的なことを言うんだと驚いた。そんなこと言う子供じゃないのに死に対峙したことで何かが変わったのだろうか? 「桜の木の樹の下には屍体が埋まっている」梶井基次郎を息子が知るはずもないが思考は同じように思える。 梶井…