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ここからは「八つ墓村」のモデルとなった実在の土地や事件、伝説などを紹介し、創作の裏側に迫っていくことにしよう。 横溝正史がこの小説を構想するにあたって、かつて岡山県で発生した大量殺人事件から多大なインスピレーションを受けたことは、ミステリーファンなら知らぬ者がいないくらい有名な話だ。 その事件とは、いわゆる「津山三十人殺し」(別名・津山事件)である。 横溝正史を戦慄させた津山事件 日中戦争開戦の翌年にあたる1938年(昭和13年)の5月21日未明、岡山県北部の旧西加茂村(現在は津山市の一部)の山間集落で、都井睦夫なる21歳の青年が猟銃や日本刀を使って民家を次々と襲撃。一夜に
横溝正史の「八つ墓村」と聞いて、あなたは何を思い浮かべるだろうか。 原作小説(1949年発表)を読んだことのある人なら、迷信に支配された山村で次々発生する連続殺人事件の不気味さを思い出すかもしれない。 あるいは、「祟りじゃ~」という流行語を生みだした松竹映画「八つ墓村」(1977年公開)の、あまりにも残虐な落人襲撃シーンを思い出して身震いするかもしれない。 あるいは、あなたが犯罪マニアなら、この小説のモデルになったと言われる昭和初期の現実の事件、「津山三十人殺し」を連想するかもしれない。 いずれにせよ、今から半世紀上前に横溝正史によって紡ぎだされた「八つ墓村」という物語は、推