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千葉雅也 二村ヒトシ 柴田英里『欲望会議 性とポリコレの哲学』
二村 なぜ、境界線を引いて敵と味方をはっきりと分けたいんだろう。 千葉 それは、柴田さん的に言えば、気持ちいいからでしょう。 柴田 はい。「敵」の存在は、コミュニティの結束を高めますからね。そこには共感の快楽があります。 (p.104-105) 名著、と呼ばれるものは、いつの時代だって「いま」読まれるべき書物である。逆に言えば、そういう、時を超えてアクチュアルな何かを帯びている作品が、名著ということになる。つまり本書『欲望会議 性とポリコレの哲学』もまた、名著ということである。 なぜなら、この本には、2017年から2021年にかけて行われた鼎談が収録されているのだけれども、2023年のいま読ん…
【読書記録】GE のアンプから始まる小宇宙「エレクトリック』千葉雅地
エレクトリック千葉雅也新潮社2023-05-31芥川賞候補作設定は1995 年インターネット黎明期の宇都宮市主人公は高校2年生の達地と、その父広告業を営む父に憧憬を抱いており、父が仕事の関係からインターネット接続を始め、達地に試させる。また、取引先の社長に取り入るため
みなさま、鹿人(仮)です。 「脱構築」はご存知でしょうか?哲学を勉強されている方なら、たいていご存知かと思いますが、デリダのあの「脱構築 déconstruction」です。学生時代、解説をあたってみても、「なるほどよくわからん」となることが多かったです笑。 さて今回
2021年7月に初版された「オーバーヒート」第165回芥川賞候補作、哲学者の書いた本格的純文学、そういう肩書を見ただけでアレルギー反応を起こしそうなんですがここに登場する主人公「僕」がゲイで筆者であり大学院教授である千葉雅也さんと重なるところが多い私小説的なお話
哲学と文学の距離――いとうせいこう/千葉雅也「装置としての人文書――文学と哲学の生成変化論」を読む
前々回、千葉雅也の『動きすぎてはいけない――ジル・ドゥルーズと生成変化の哲学』(河出書房新社)の書評の続きを書くと予告してから、またしてもずいぶんと間が空いてしまった。 動きすぎてはいけない: ジル・ドゥルーズと生成変化の哲学作者: 千葉雅也出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 2013/10/23メディア: 単行本この商品を含むブログ (31件) を見る このまま放り出してもいいかなとも思っていたのだが、私もわからないままでは気持ちが悪いので、この間も『動きすぎてはいけない』関連の書評や対談が雑誌に載るたびにチェックはしていた。しかし、困ったことにそれでも私の理解は一向に前進しない。にも…
切断の原理と肯定――千葉雅也『動きすぎてはいけない――ジル・ドゥルーズと生成変化の哲学』を読む2
前回の『動きすぎてはいけない――ジル・ドゥルーズと生成変化の哲学』(河出書房新社)の書評を著者の千葉雅也さんご本人が読んでくださったようだ。おかげでやる気が出たので、続きを書いてみた。 動きすぎてはいけない: ジル・ドゥルーズと生成変化の哲学作者: 千葉雅也出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 2013/10/23メディア: 単行本この商品を含むブログ (31件) を見る 誤解のないように最初に断っておくけれども、前回わからないと言ったところは、謙遜でも皮肉でもなく、ほんとうにわからない。考えに考えて、「これはこういうことだろうか?」とそれらしい解釈を思いついたところも、あとで考えなおして…
千葉雅也の問題作――千葉雅也『動きすぎてはいけない――ジル・ドゥルーズと生成変化の哲学』を読む1
紀伊國屋書店が主催する「紀伊國屋じんぶん大賞2013――読者と選ぶ人文書ベスト30」の大賞を受賞した哲学者の千葉雅也のデビュー作『動きすぎてはいけない――ジル・ドゥルーズと生成変化の哲学』(河出書房新社)を読んだ。 動きすぎてはいけない: ジル・ドゥルーズと生成変化の哲学作者: 千葉雅也出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 2013/10/23メディア: 単行本この商品を含むブログ (31件) を見る この本は昨年2013年に刊行されたときに購入し、年内には読み終えていたのだが、うまく感想を整理することができなくて、書評を書くのがずいぶんと遅くなってしまった。やる気が起こらなかったせいもあ…