そして私にとってそれは私によって私自身の魂を鎮めること。死者である私のために私が祈る祈りなのである。だから私は静のことを語ろうと思う。ふるえる声で語ろうと思う。そう、それこそnovelのように。(p.352) どうも現代に「いる」らしい源義経が、みずからの生涯を生真面目に語って語って語りまくり、その語りの波というかうねりというかグルーヴというか磁場に飲み込まれて、本から離れることができず、寝るのも忘れて爆笑しながら読み進めるのが私にとっての『ギケイキ』シリーズである。三作目の本作も、義経の語りの渦に身を委ね、最高に楽しくて踊りながら読んだ。 読んでいて時々、思うのだけれども、義経は、いま、どこ…