メインカテゴリーを選択しなおす
「エチカ」における実体と属性はバチクソ難解な概念で、未だに私はよく分からないんだけど、自分なりに分かる範囲で一応整理しておくことにする。 スピノザ全集の新刊は喜ばしいことだが、私に言わせれば「スピノザ事典」かゲルーの著書を翻訳刊行してもらいたいものだ。なぜなら「エチカ」...
ドゥルーズの言う「女性への生成変化」「女性になること」の意味は分かりにくいんだけど、少なくともボーボワール的な意味でないことは確かである。そもそも現実の女性などは問題になっていない。そのことは、例えばモーツァルトの音楽が小鳥への生成変化であるとドゥルーズは言っているが、あ...
差異というと普通は対象Aと対象B,C,D,...との違いのように捉えてしまうんだけど、それは表象同士の差異であってドゥルーズの言う「差異」ではない。 そうした表象的差異はヘーゲル的差異であって、必ず否定を伴う。Aの同一性はA以外のものとの差異によって捉えられるということ...
物理学では力の本質を問わないことにしている。実際、力はMKS単位系で規定されているのだから、力の単位は空間・質量・時間による合成であって、力それ自体の単独の単位は存在しない。物理学による力の捉え方は驚くほど精確であって、爆発や衝突や破壊などは力そのものではなく、力の結果と...
ドゥルーズによると、イギリス経験論(ロック、ヒューム)と大陸合理論(デカルト、ライプニッツ)は見かけほど対立しているわけではなく、どちらも人間理性とその外部(自然、神)との調和を独断的前提としている点で共通しており、カントにとっては双方とも打倒すべき相手であったという。 ...
哲学入門書としてはアリストテレス『形而上学』を読むべきであった
puf(Les Presses universitaires de France)版差異と反復 僕にとっての哲学入門書 哲学入門にはアリストテレス『形而上学』がよい 近代の哲学について考える場合 社会と哲学 僕にとっての哲学入門書 ごくごく個人的な回想になるが、僕にとっての最初の哲学入門書はジル・ドゥルーズの『差異と反復』だった。この本は、書かれたのも翻訳されたのも新しいから、ということもあるかもしれない(僕が読んだのは財津理訳の河出文庫のやつである)。二、三人の友人と定期的に輪読する形で、要約を作りながら1年ちょっとかけて読んだのだった。 フランス現代思想の哲学書、と紹介されることもあるが、…
哲学と文学の距離――いとうせいこう/千葉雅也「装置としての人文書――文学と哲学の生成変化論」を読む
前々回、千葉雅也の『動きすぎてはいけない――ジル・ドゥルーズと生成変化の哲学』(河出書房新社)の書評の続きを書くと予告してから、またしてもずいぶんと間が空いてしまった。 動きすぎてはいけない: ジル・ドゥルーズと生成変化の哲学作者: 千葉雅也出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 2013/10/23メディア: 単行本この商品を含むブログ (31件) を見る このまま放り出してもいいかなとも思っていたのだが、私もわからないままでは気持ちが悪いので、この間も『動きすぎてはいけない』関連の書評や対談が雑誌に載るたびにチェックはしていた。しかし、困ったことにそれでも私の理解は一向に前進しない。にも…
切断の原理と肯定――千葉雅也『動きすぎてはいけない――ジル・ドゥルーズと生成変化の哲学』を読む2
前回の『動きすぎてはいけない――ジル・ドゥルーズと生成変化の哲学』(河出書房新社)の書評を著者の千葉雅也さんご本人が読んでくださったようだ。おかげでやる気が出たので、続きを書いてみた。 動きすぎてはいけない: ジル・ドゥルーズと生成変化の哲学作者: 千葉雅也出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 2013/10/23メディア: 単行本この商品を含むブログ (31件) を見る 誤解のないように最初に断っておくけれども、前回わからないと言ったところは、謙遜でも皮肉でもなく、ほんとうにわからない。考えに考えて、「これはこういうことだろうか?」とそれらしい解釈を思いついたところも、あとで考えなおして…
千葉雅也の問題作――千葉雅也『動きすぎてはいけない――ジル・ドゥルーズと生成変化の哲学』を読む1
紀伊國屋書店が主催する「紀伊國屋じんぶん大賞2013――読者と選ぶ人文書ベスト30」の大賞を受賞した哲学者の千葉雅也のデビュー作『動きすぎてはいけない――ジル・ドゥルーズと生成変化の哲学』(河出書房新社)を読んだ。 動きすぎてはいけない: ジル・ドゥルーズと生成変化の哲学作者: 千葉雅也出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 2013/10/23メディア: 単行本この商品を含むブログ (31件) を見る この本は昨年2013年に刊行されたときに購入し、年内には読み終えていたのだが、うまく感想を整理することができなくて、書評を書くのがずいぶんと遅くなってしまった。やる気が起こらなかったせいもあ…