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千葉雅也 二村ヒトシ 柴田英里『欲望会議 性とポリコレの哲学』
二村 なぜ、境界線を引いて敵と味方をはっきりと分けたいんだろう。 千葉 それは、柴田さん的に言えば、気持ちいいからでしょう。 柴田 はい。「敵」の存在は、コミュニティの結束を高めますからね。そこには共感の快楽があります。 (p.104-105) 名著、と呼ばれるものは、いつの時代だって「いま」読まれるべき書物である。逆に言えば、そういう、時を超えてアクチュアルな何かを帯びている作品が、名著ということになる。つまり本書『欲望会議 性とポリコレの哲学』もまた、名著ということである。 なぜなら、この本には、2017年から2021年にかけて行われた鼎談が収録されているのだけれども、2023年のいま読ん…
思春期をしくじって大人になった人間の多くがそうであるように、私もまた、生真面目な性格をしている。責任感も強い。 と、自分で自分のことを立派な人間のように語ることの厚かましさ、格好悪さ、鼻持ちならなさ、は分かったうえでも言わなきゃやってられないような世の中である。 生きづらいなあ、と声を大にしては言いにくい年齢になってしまった私だが、でも、少なくとも生きやすくはないですよね、と、ふんわりした感想くらいだったら口にしても良いだろう。まったく毎日がくたびれるよ。 しかし、『深夜、生命線をそっと足す』を読んだら少し気持ちがほぐれて、楽になった。血行も良くなった気がする。 本書に収録されている燃え殻さん…