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エルザ夫妻市場の最終日には、お孫さんまで家族全員、昔の店員さんもやってきて、賑やかな「さよなら」になった。その時、エルザから、「10月に大昼食会をするから必ず来てね。車はある?」わたしは運転できないし、夫はパリの駐車場が高すぎるので、古い車は田舎に置いてある。エルザ夫妻はオルリー空港の近くに住んでいるので、空港まで電車で行ってタクシー?「空港を右に曲がって、すぐを左に曲がったとこよ。すごく簡単」オル...
25年間通った朝市の八百屋さん、エルザおばさんが72歳で定年退職したのは今年の7月。退職後のエルザ夫妻、素敵なツーショット「死ぬまでやめない」と言っていたので「えっ?!」と思ったけど、「アレ(とご主人を指さし)がもう無理って言うから」過酷な職業だから、逆に「よく70過ぎまでがんばった」と言うべき。夜中の12時に起きて(!)冷蔵室の野菜果物をトラックに積み込む。定番の商品だけで50種類以上あり、そこに季節もの...
クリストフが亡くなったあと、3週間休んでいたチーズ屋の息子さんが朝市に戻ってきた。「ご愁傷様」はもうメッセージで書いたし、なんと言えばいいだろう、「大変でしたね」とか?と思いながらお店に行くと、息子さんが出て来て両手を広げ、わたしたちは抱き合うことになった。言葉にできないときはこのテがあった。どんな言葉より雄弁だ。息子さんの話によると、急性白血病は猛威を振るい、肝臓も侵されて黄疸が出て、血小板が殆...
朝市の“クリストフのお店”でチーズを買うようになったのは、娘がお腹にいたときだから27年前 。当時はクリストフと奥さんと、品のいい中年のおばさんの3人で店を仕切っていた。クリストフが夏のバカンスを取る40日間は、他のチーズ屋に行くけど、それ以外は浮気をせず、毎週日曜日、顔を合わせていれば仲良くもなる。「息子さんはコンテ、娘さんは固めのロカマドゥール、あなたはあまり熟成していないロブロション、ご主人は・・・・...
朝市の商店主たちは重労働だ。午前3時に起き、冷蔵室の商品をトラックに積み、市場に着くのが5時。それから出店を設置して商品を並べ値段をつけ終わると7時。早起きのお客がやってくる…とクリストフから聞いた。商品数が多い八百屋のエルザおばさんは午前3時出発と言っていた。店じまいは午後2時ごろ。残った商品をトラックに積み、帰って冷蔵室に入れると午後4時を過ぎている。2か所の市場で週に2回ずつ、それを17歳の時...
日本にいる間、日曜日ごと(2回だけ)に夫にチーズ屋さん、クリストフの容態を聞いていた。1回目は「長時間の放射線治療が効いている」という希望の持てる知らせだったけど、2回目は「え、院内感染!?」放射線で弱っていたところへ黄色ブドウ球菌に感染。家族もガラス越しでしか会えない隔離された病室だったのに、なぜ?息子さんは夫に「もう父に会うことはないでしょう」と言ったそうで、「どういうこと?もう望みはないって...