メインカテゴリーを選択しなおす
朝市の“クリストフのお店”でチーズを買うようになったのは、娘がお腹にいたときだから27年前 。当時はクリストフと奥さんと、品のいい中年のおばさんの3人で店を仕切っていた。クリストフが夏のバカンスを取る40日間は、他のチーズ屋に行くけど、それ以外は浮気をせず、毎週日曜日、顔を合わせていれば仲良くもなる。「息子さんはコンテ、娘さんは固めのロカマドゥール、あなたはあまり熟成していないロブロション、ご主人は・・・・...
朝市の商店主たちは重労働だ。午前3時に起き、冷蔵室の商品をトラックに積み、市場に着くのが5時。それから出店を設置して商品を並べ値段をつけ終わると7時。早起きのお客がやってくる…とクリストフから聞いた。商品数が多い八百屋のエルザおばさんは午前3時出発と言っていた。店じまいは午後2時ごろ。残った商品をトラックに積み、帰って冷蔵室に入れると午後4時を過ぎている。2か所の市場で週に2回ずつ、それを17歳の時...
日本にいる間、日曜日ごと(2回だけ)に夫にチーズ屋さん、クリストフの容態を聞いていた。1回目は「長時間の放射線治療が効いている」という希望の持てる知らせだったけど、2回目は「え、院内感染!?」放射線で弱っていたところへ黄色ブドウ球菌に感染。家族もガラス越しでしか会えない隔離された病室だったのに、なぜ?息子さんは夫に「もう父に会うことはないでしょう」と言ったそうで、「どういうこと?もう望みはないって...