タマがいなくなって1週間は泣いてばかりいた。朝、フロマージュブランを食べながら・・・・「ボクも!」とタマは必ずテーブルに上がってきた。「鼻の頭についてるよ」歯を磨きながら・・・・「水をくれ」と必ず洗面台に飛び乗ってきた。一番泣けたのは、タマを探すリュリュの姿。ベッドの下や押し入れの中まで点検し、探し疲れると玄関の前に座り込んで待つ。わたしの顔を見ると今までになく鳴いた。「どこに行ったの?」「いつ帰...
タマがいなくなって1週間は泣いてばかりいた。朝、フロマージュブランを食べながら・・・・「ボクも!」とタマは必ずテーブルに上がってきた。「鼻の頭についてるよ」歯を磨きながら・・・・「水をくれ」と必ず洗面台に飛び乗ってきた。一番泣けたのは、タマを探すリュリュの姿。ベッドの下や押し入れの中まで点検し、探し疲れると玄関の前に座り込んで待つ。わたしの顔を見ると今までになく鳴いた。「どこに行ったの?」「いつ帰...
「あたしが死に際にいないなんてタマは理解できない」と娘。でも・・・・タマを祖母(わたし)に預けて日本に飛んで行ったときから、この事態は予想できたでしょう?と内心思う。「明日の飛行機に乗ったら?」と娘。「・・・・」そんなお金ないくせに。それにそんな旅、悲しすぎる。どのくらい“持つ”のか、先生に聞いてまたかける、と電話を切った。「いつをお考えですか?」「わたしは14時までいます」と先生。4時間後・・・・「明日でもいい...
翌日、仕事が終わって、これから行きますとクリニックに電話したら「今日はもう遅いからお見舞いはダメ」と受付のおねえさん。昨日は19時でもいいって言ったのにケチ。クリニックでくれるフランス製チュルにタマはそっぽを向くので、日本製をバッグに入れていたのに。ご飯も食べていると言うのでまぁ安心して、翌朝。お医者さんからのメッセージ。「タマですが、腎機能は点滴で改善されているようです。しかしですね、他に不全が出...
翌日の朝、クリニックに電話したら「タマはご飯も食べるし、排泄もするし、鳴かないいい子です」と看護婦さんに言われ、一安心。わたしには「水をくれ」「腹が減った」「外に出たい」・・・・と鳴くのに、全く外ずらのいい猫だ。夕方顔を見に行こうと思っていたら、お昼過ぎ、今度は獣医さんから電話。血液検査の結果が出た:点滴をしても尿素の数値がさらに上がって、正常値の上限のほぼ3倍。クレアチニンは上限の3倍以上。というこ...
血尿?!最初にタマの血尿を見つけたのは去年の11月。娘とわたしは日本にいたので夫が大奮闘でクリニックに連れて行き「甲状腺機能亢進症と腎不全」と言われた。老猫の腎不全はよく聞くし、水の飲み方から予想していたけど甲状腺も!それ以来、一日に2回Apelkaというホルモンを押さえる薬を飲んでいた。それ以来初めての血尿。獣医さんに電話したら「今日の午後、連れて来なさい」。急に言われても・・・・「石が詰まってオシッコが出...
と言っても、マリーヌ・ルペンはジョルダン・バルデラと訣別したいわけじゃない。バルデラは人気がある。特にSNSではマリーヌおばさんを凌ぎ、とりわけ今まで“ルペン”を毛嫌いしていたブルジョワ層に人気がある。「だからバルデラを骨抜きにして、つまり権限を減らして、党のショーウィンドウに飾っておきたいのです」とラジオのニュース解説者。一方、大統領になったつもりでいたバルデラは“セリフのない飾り物”では満足できない...
2027年4月の大統領選で「だれに投票するか?」アンケートで不動の1位が(残念極まりないことに)極右、国民連合のマリーヌ・ルペン。2025年3月、公共料金横領で有罪判決になったにも関わらずだ。第一審で懲役4年(うち実刑2年)、5年の公職選挙権はく奪の判決が下った。もちろんルペンは控訴したが、もしこの判決が揺るがなければ、大統領選に立候補できない。ルペンは2017年と22年、第二回投票に残り、マクロンに敗れている...
1940年6月、フィリップ・ペタンが首相になり独仏休戦協定が結ばれた。その結果、北フランスはドイツに占領され、政府はボルドーに移される。名もない将軍だったシャルル・ド・ゴールはロンドンに亡命し、6月18日、BBC放送から国内外のフランス人にレジスタンス運動を呼びかけた。兵士も武器も支持者もなく、あるのは岩のような意志だけ:フランスの戦いは終わっていない。フランスは負けていない。少しずつ、イギリス、フランス...
以前は夫と、午前中と午後、2回海岸に行っていた。それが数年前から1回になり、今回なんてわたしが先に行っていて、夕方少し泳ぎに来るだけ。それ以上だと「疲れる」。以前は海岸線を走る電車に乗って、アンティーブやエズ、マントンに遊びに行っていた。圧迫骨折がある夫は歩くのがしんどいと言って、今はどこへも行かない。駅前のスーパーでの買い出しもわたしひとりで行く。「どこでも好きなとことに行って来て」と夫は言うけ...
正確には猫の世話をしてくれる人の日程で決まる。タマは去年から腎臓と甲状腺の薬を1日2回飲んでいるので、猫シッターさんは泊まり込んでくれる娘の友達エマだ。発つ前にキャッツフード(ふつうのと腎臓病用)の量や、薬の飲ませ方を説明書きを貼り、「リュリュは怖がりで、最初はベッドの下に隠れているかも。でも心配しないで」「タマは給水器じゃなくて、蛇口から飲みたいって言うのよ、面倒でごめんね」などなど言い置いて出...
日本の海岸の特色が「人がいない」(わたしの見た限り)なら、フランスの特色は「海に入っている人が稀」。男女年齢を問わず海岸に寝そべり、表裏と焼いている。日本女性が見たら狂気の沙汰だろうけど、これはがまん大会の世界。5分も寝そべっていたら汗はダラダラ、皮膚はジリジリで海に飛び込みたくなる。それを何時間もやっているんだから、欧米人は意外と我慢強い。いつもはイタリア人が多いけど、「今年はウクライナ人が多い...
ボーリュー・シュルメールはニースから10kmの小さな海岸町。面積は1㎞平方弱、人口3800人。夏の3ヶ月、人口は倍以上になる。Beaulieu sur mer/海の上の美しい場所、この町がある郡はBeausoleil/美しい太陽。パリでは絶対出会わない名前がつけられている。北フランスとは全然違う光が紺碧の海に降り注ぐ、たしかに美しい場所だけど、入ってみると海はそんなにきれいじゃない。毎日の晴天も、酷暑、深刻な水不足、山火事・・・・と毎日...
飛行機の出発3時間前にうちを出て、2時間前にシャルルドゴール空港に着いた。いつも電車だったから国内線に乗るのは何年ぶり?チェックインのすべての手続きが機械化されていて、預ける荷物につけるタグの印刷も自分でしないといけない。10台くらいあるマシンの前に列ができ、でもちゃんと印刷できる人は5人に1人くらい。サポートしてくれるスタッフは1人だけなので、列は全然進まない。わたしの番で、搭乗券をスキャンしたら...
母のいる介護ホームに週1回、近所の医院長が問診に来る。最初にお会いしたとき「お母さんは崖っぷちに立っているようなもんです」と言われたあの先生だ。「ちょっと強い風が吹けば転落します」そして「だからご心配なく」。そう言われて心配しない人がいるだろうか。年に1~2回、その先生と話をする。「崖っぷち」の比喩はもう出ないけど、「耳が殆ど聞こえなくなっていて筆談が多くなってますけど」と言えば「補聴器を変えたら...
-もう2か月も前だけど-嬉しかった贈り物3つ。順序は時系列。中学生の生徒さんが作ってくれたピアス。彼女はいつもオーバーサイズのTシャツ&バギーのジーンズに、自分で作ったピアスをとっかえひっかえつけてくる。ゴールドの金具とビーズでなかなか可愛い。時々褒めていたら(催促した?)誕生日2日前に「はいコレ」「いつもシルバーだから。真珠が好きそうだし」とちゃんと観察されていた。バッチリわたしの好み。嬉しかっ...
夕方の5時過ぎに夕食が運ばれてくる。病院と一緒で早い。焼き魚、小松菜のお浸し、オクラとしらすの和え物、お味噌汁…「全然動かないからお腹が空かないのよ」母はホームのご飯を殆ど食べなくなった。「あなた、食べてよ」と言われても、5時じゃお腹空いてない。でも「少し食べないと怒られるから」とせがまれ、食べてみると、よく言えば薄味で上品、まぁ淡泊だ。2年くらい前までは「ご飯、まだかしら?」「うちの味付けに似て...
「お母様は夏に寂しくなるんです」と介護士のAさん。以前は母のいる介護ホームで働いていたが「入居者の話を聞く時間がない」とフリーになり、1週間に1回、1時間、母の話し相手になってくれている。夏は太陽、青空、夏休み・・・・で逆に気分が高揚する季節じゃない?それに日本にいた頃、母が夏に落ち込んでいた記憶はない。「でもここ3年くらい、6月初めから3~4か月、頻繁に電話がかかってきますよ。『寂しいから来て』とか...
「フランス、猛暑で大変ですね」会う人ごとにそう言われる。そして「クーラーないんですって?!」その行間に「フランスってそんなに貧しい国だったのか」を感じ取り、これは弁護しなければ。「北フランスはこれまでクーラーが必要なかったんです。住み始めて20年くらい、2000年初めまで夏服を着ずに夏が終わることがよくありましたよ」「だってパリは稚内よりさらに北なんですよ。稚内出身の友人が朝はストーブをつけることがある...
料理の先生 兼 日本語の生徒さん 兼 友人でもあるNは、わたしが日本に行く度買い物を頼む。頼まれるのは、どこどこ産のスルメイカとか、直径7㎝の急須敷きとか、見つかりにくいものばかり。今度はおぼろ昆布5袋だった。あの白っぽい昆布は実家の食卓に現れたことがなかった。何に使うの?と聞いたら「トマトの昆布締めカルパッチョ」と聞いてあまり食指はわかないけど、探しましょう。近くのイオンマーケットでは、お店の人が探...
中学生の生徒、Mちゃんに七夕の話をした。「織姫と彦星が1年に1度会える日が7月7日なの」「すごーい!長距離恋愛」「ところで、好きな人いるの?」Mちゃんは「なんたる質問!」と言う顔で「まさか!男子はみんなガキ過ぎでアホばっか」そうだね、精神年齢の差が顕著に出る年頃だ。母のいる介護ホームに七夕飾りがある。キラキラのすだれのせいで、一瞬クリスマスツリーに見えた。七夕の風情がないじゃない、と近寄ると、入居者...
出発は30分、45分…そして1時間遅れになった。理由は「東京から着く飛行機が遅れたため」そこでハタと気がついた。東京から15時間も飛んでパリに着いた、その同じ飛行機が、整備や清掃をしてもらって、東京に取って返すのだ。いくら機械と言っても重労働!今まで気がつかなかった・・・・その上、乗ってみると古い機体、つまり老体。JALが(ANAも?)機体を新しくして「さらに快適に!」というメールをもらったので期待してたんだけど...
空港までのウーバーの運転手さん。「日本に行くの?あなた日本人ですか?」「はあ」「ゲイシャがいるでしょ」「は?」10年前ならこういう質問もあったけど。「宴席に行って男の人たちを楽しませる・・・」「楽しませるって、踊ったり唄ったりでそれ以上はしませんよ。修業が大変なんですって。京都に行かないと見れませんよ」しばし沈黙の後。「日本のスポーツはお相撲ね」運転手さんは50代半ばか。一昔前の日本の固定イメージその...
と夫。その質問を待っていたのよ。もう何年も同じ水着を着ているから「水着が欲しい!」年増女(特に)が着たがる水着は、高いけど欠点を隠してくれるERESだ。週末 ERESに駆けつけたら、サイトで見た2ピースがあった。ヒップをスッポリ包んで持ち上げる(?)ハイウエストのショーツ。ボタンがレトロ。photo: ERES着て見たら悪くない。欠点を隠している、ような気がする。値札を見たら295€。高いけど水着は滅多に買わないから・・・・...
現実に起こっただけに尚更怖い話だ。夫は「観たくない」。そして「君はマゾか?」2020年10月、テロリストに斬首された地理歴史教師、サミュエル・パティの最後の11日間を辿った『L’Abandon』(見捨てられて)。カンヌ映画祭のコンペティション外作品。マゾと言われても観たのは、この事件のショッキングな終末だけが世界中で騒がれ、その経過はあまり報道されなかったからだ。中学の歴史の授業。サミュエル・パティは「表現の自由...
「月よう日、19じから じゅうどうをします。むずかしいです。火よう日、18じから げきを します。たいくつです。水よう日、18じから Kポップダンスを します。つかれます。木よう日、18じから すうがくの ほしゅうをします。たいくつです。金よう日、18じから カテキズムを します。すきじゃないです。土よう日、16じから 日本ごを します。とても おもしろいです。日よう日、なにも しません」中2女子の生徒さんが...
ある日、警察から電話があり、理子は兄が亡くなったことを知らされる。自分勝手で嘘つきで金欠で、ずっと疎遠になっていた兄。だけど、取るものもとりあえず電車に乗り、やはり駆けつけた元妻、加奈子と娘、満里奈と再会。3人で、葬儀や散らかり放題のアパートの片付けに奔走する4日間を描いた『兄を持ち運べるサイズに』がフランスで公開されている。邦題を訳しても何のことだかわからないので(土葬の国だから)『Mon grand fr...
という貼り紙。えーっ7時間も?!運悪く、義妹夫婦が泊まりに来る。ポール・サイモンのコンサートを観に(聴きに)ディジョンからやってくるのだ。リタイアした義妹は寝坊で9時前に起きるとは思えない。「一日くらいシャワー浴びなくても死にゃせん」と夫は言うけど、でもトイレは行くし、ごはんは食べる。それに腎不全のタマ!水をよく飲むのはいいけど、蛇口からしか飲まない。姿はしおらしいけど、誰か来るまで執拗に鳴き続け...
舞台は1985年、パリ郊外の団地に住む4人家族。お父さんのイヴは毎朝、スーツにネクタイ、トレンチコートにアタッシュケースの“営業マン”スタイルでうちを出て行く。が、実は失業中。子供たちには内緒なので、妻のサンドリンも「面接」を「会議」と呼んでいる。「万年コピーとお茶くみはいや」とサンドリンがパソコンの研修を受け始めたので、「妻が昇進?」と思うと、お父さんののプレッシャーはさらに増すのだ。長男は高校生、長...
『La Fille de Konbini』(コンビニの女子)というタイトルを見て、てっきり村田沙耶香の小説『コンビニ人間』の映画化だと思った。かなり前に読んだので大雑把な記憶だけど、主人公はコンビニ勤務なんと18年目。子供の頃から人間関係が苦手で、友達も恋愛経験もなく、周囲から変人扱いされていた。ところが、コンビニで働き始めてみると、その特殊な環境に馴染み、自分と折り合いがつくようになってきた・・・・というような話で好き...
極右Rassemblement National(国民連合)の党首、ジョルダン・バルデラと両シチリア王国の末裔、マリア=カロリナ・ドゥ・ブルボン・デ・ドゥ・シシルが仲良くコルシカ島の海岸を歩く写真が、Paris Matchに載った。ジョルダン・バルデラはマリーヌ・ルペンの後継者。移民排斥、妊娠中絶反対、EUからの脱退・・・・を謳っていたお父さん、ジャン=マリー・ルペンの「Front National/国民戦線」時代から大きくイメージチェンジを図り、支...
2025年、パリで一日に一件ずつ誕生し、今や1400店舗を数えるのは何でしょう?・・・・Coffee Shop ! その代わりパリのシンボルであるカフェは半分以下になっている。ところでカフェとコーヒーショップの違いとは:〇カフェは飲み物だけでなく食事を出す。伝統的なインテリアで、白いタブリエの必ずしも若くないギャルソンが朝早くから深夜まで働いている。のに対して、〇コーヒーショップは美味しい(自称)コーヒーとペストリーが基本...
近くの広場に高給食品ル・ノートルの大きな店があった。できたのは10年くらい前、当初はそれなりに人が入っていたけど、最近は閑散としていて店員さんが退屈そうにしている。不景気&インフレの時代、テイクアウトのプレート一人前(量はかなり少な目)が27ユーロ、売れなくて当然だ。よくやっていけると感心していたら去年の8月ついに閉店した。数か月、後釜が決まらなくて「広かったからねぇ」「家賃高そう」と噂していたら、12...
わたしが東京にいる間、生徒さんのナタリーがご主人と友達3人と一緒に来ていた。魚の名前をすべて覚えて2年半前に日本に来た料理研究家だ。わたしより10日早く日本に着いた彼女たちの今回のテーマは「北日本、列車の旅」。五所川原から津軽鉄道ストーブ列車に始まり、超レトロ!よく見つけたわね・・・・photos: greenkotu北海道も鉄道で移動するというもの。フランス人は人の行かないところに行きたがる、と言われる所以。最後の数...
1週間の入院を突然1日にする、これは入院させるためのお医者さんの策略ではないか?というのは勘ぐりすぎで、9時に母の部屋に行くと退院準備が始まっていた。病室には請求書が届いていて、それを「1階の会計で払い領収書を持ってまた上ってきてください」(病室は9階)請求書を見て、思ったより高いのでびっくり。日本の病院は1泊でも2日分取ることを知りませんでした。病室に戻ると会計の人が領収書を取りに来て、入れ替わ...
手術後に部屋に戻った母は、ベッドにちょこんと座っていた。「どうしてこんなとこに入れたの?」が第一声。手術より場所が変わったことで混乱している、というより怒っている。オデキがこれ以上大きくならないうちに取っちゃいましょう、ということになって・・・・と説明する。「明日の朝、一緒におうちに帰ろう」と、小さくなった身体を抱きしめた。最初は1週間の入院と言われていた。母が「手術はしてもいいけど入院はイヤ」と言い...
母はわたしの滞在中に、頭の腫瘍を取ることになっていた。腫瘍と言っても頭の中ではなく、表面の、母が“オデキ”と呼んでいるもの。枕に血がついていたので発見できた。このままにしておくと傷口から感染したり、オデキがさらに大きくなり、痛みが増す可能性があるので、皮膚科の先生は「早いうちに取ったほうがいい」。母は、先生の前では大人しく「はい」と答え、病院を出れば「絶対しない」。局部麻酔とは言っても高齢の手術は、...
母との筆談にも少し慣れたけど、やっぱり会話をしている気がしない。書くのに時間がかかるから“話す”量も少ない。「ママと会話ができないのはつまらない・・・・」と書いたら、今まで補聴器屋に行くのは「しんどい、めんどくさい」と拒否していた母が、まっすぐわたしを見て、「そうだわね、じゃ行こうかしら」感情を口に出すのは時に効果がある!母は感情を理屈に変えるのが得意な人で、子供の頃から「自分は果たして愛されているのか...
3ヶ月ぶりに会う母は、見た目は変わりないけど、耳が殆ど聞こえなくなっていた。介護士さんは「補聴器にホコリが溜まっているからでは?」聞こえる方の耳のそばで大声で話しても、困ったように首をかしげる。「いつから聞こえないの?」とノートに書く。「さぁ・・・・話す人もいないからわからない」と寂しいことを言うけど、フリーの介護士のAさんが毎週1時間、友人のTさんも10日置きくらいに来ているし、毎日何回も誰かが部屋に...
日本ではみんなが心配してくれていた。確かにパリ→東京は中東、中央アジア上空を飛ぶので、ドバイやアブダビ経由は欠航になっている。わたしは能天気に『One Battle After Another』(傑作!)を観て喜んでいた。子供の時、よくお弁当に登場した3色ご飯!懐かしいけどちょっと塩辛い。ロシアのウクライナ侵攻が始まったのはちょうど4年前。日本行きの便が殆ど欠航になり、どうしても行かなくてはならなかったので大苦労した。今...
娘は「なるべく安いのを!」とChina Air/中華航空のチケットを買っていた。北京まで10時間。3時間のトランジット、羽田まで3時間。中国の飛行機は唯一ロシア上空を飛べるから北京までは速い。片道600ユーロちょっと。チェックインカウンターに行くと、信じられない長蛇の列。私たちの前にいた中国人女性が「この列、飛行機2機分でしょうか?」と言うほど。その上、荷物の量が-スーツケース4個とか-多い人が目立つ。こんなに...
2か月パリにいた娘が日本へ発っていった。一番がっかりしているのはタマ息子も娘も、目下の定住地は日本だから、“帰った”というほうが正しい。それが夫にはショックなのだ。夫の妹は、長男がアメリカで4年前に結婚した。夫の従妹は長女がアメリカで結婚して20歳の子供がいる。2人とも最初は絶望的になっていたけど、今は慣れて(諦めて?)年に1回会いに行っている。「2人とも英語が話せるから一人歩きできるけど、日本ではそ...
夫の手術(危険はなく日帰り)の前夜。9時近くなって「明日の朝飲む薬を買い忘れた!」処方箋を見ると「病院に来る前に飲むこと」と書いてある。なんで今頃!と思いながら、あたしが行ってくる、とコートを着た。「わからないことがあったら電話するからちゃんと返事してよ」(夫は電話を取らないので有名)。フランスは以前、ヨーロッパで薬局が一番多い、つまり薬好きの国だったけど、近年、かなりつぶれて4位に落ちた。トップ...
BHVの“空っぽ”に思わず「あっ!」。デパートのこんな姿は見たことない。この地上階は日本のデパートのように、Dior、Chanel、エルメス、ゲルラン、資生堂、クリニーク・・・・とコスメブランドが並んでいたけれどすべて撤退し、空間埋めに残り物のローションやクリームを並べてみるも、がらんどうさは隠せない。エレベーターであがったプレタの階も同様で、サイズがあるか試しに聞いてみると「出てるだけ」。売り切ったら店仕舞い、と...
夫が田舎に行った。独身の週末!と土曜日の夕刻、レアールに映画を観に行く。が、満席・・・・気を取り直し、リヴォリ通りを歩いて帰ることにした。歩くのが嫌いな夫とはできない気晴らしのひとつ。ルーヴル美術館の前を通り、左にイケア。初めてパリ市内にできた店舗で、入ったことはないけど、いつも混んでいる。その斜め前にデパートSAMARITAINE/サマリテーヌのネオンが見えた。Braderie (一掃セール)の貼り紙に惹かれて入ってみ...
「何年ぶり?」と妹。「2年かな」ハンドルを握る兄。山奥にひとりで住む父親に会いに行くところ。時々父親に借金をせがまれる兄は、妹より憂鬱そうな顔だ。父(トム・ウェイツ)は、お前たちに会えて嬉しい、と歓迎する。「さて、何か飲むかね?・・・・水はどうだ?」父の金欠を知っている2人は「ああ、水がいい」父が運んできた水道の水を3人は黙って飲む。話はあまりはずまない。これが第一話 Father場面は変わって町中のお洒落...
「あげます・もらいます・くれます」の練習+好奇心で、クリスマスプレゼントに何をもらったか、あげたか、を生徒さんたちに聞くことにしている。13歳のMちゃんは「マンガたくさんとKポップのCD」26歳のKさんは「うちは子供にしかプレゼントをあげない習慣」なので、親からは何ももらわず、彼女からは遊戯王のゴールドカード。ぬいぐるみを集めている彼女(ぬい活?)にレモンタルトのぬいぐるみ。可愛いすぎ!若い世代に日本&韓...
人間が不死身になった近未来。その代わり夢を見ることができなくなった。まだ夢を見れる少数の人間は「Rêvoleur/夢盗人」と呼ばれている。ある女性が、死にかけている夢盗人に出会い、一体どんな夢を見ているのか?と彼の夢を再現しようとする。夢の背景は1920年代、中華民国の初期に始まり、国共戦争、文化革命、共産主義から資本主義へ、そして20世紀最後の日まで。そして夢はそれぞれ五感のひとつに結びついていた。・・・・という...
タマを獣医さんに連れて行く日。娘(タマの“母”)は朝から落ち着かない。「うまく捕まらなかったらどうしよう?」「パパ(猫たちがあまり懐いていない)にできたんだから、あたしたちにできないわけがないでしょ」「籠に入ったらパニックになる!可哀そう・・・」「子供が病気のとき、親はどっしり構えてないといけないの。親がパニックになったら子供はもっと不安になるでしょ」「タマの苦しみはわたしの苦しみ。代わってやりたい・・・...
東京で会う人ごとに「観た?」「読んだ?」と聞きまくり、結局「読んだし観た」のは友達の娘さん(中学2年)だけだった『国宝』。それでも観客動員数1100万人は記録的大ヒットだ。待ちかねた『国宝/le Maître de Kabuki』がクリスマスイヴにフランスで封切りになった。早速観に行こうとサイトを見て、上映館が少ないのにびっくり:全国で138館。一方『Avatar : Fire and Ash』は1380館!まぁAvatarと比べちゃいけない、と言われれ...
タマの病気では思わぬ活躍をした夫だが、東京から帰るとわたしは再び「苦情処理窓口」になった。放射線療法が終わったのはいいけど、筋肉がガタッと落ちたせいで、神経痛や圧迫骨折が前より痛くなり、朝、最初に見る顔がすでにしかめ面だ。辛いのはわかる。病気弱いのもわかってる。でも一日中、「世界中の不幸を背負ったような」顔をされると、完璧に伝染する。先日、友達夫婦に夕食に呼ばれた。道中、夫は息切れして、歩くのもし...
東京にいる間、猫と留守番の夫から「こっちは変わりない。猫たちは元気だ」「リュリュが前より懐いてきた」と子守(猫守り)業務連絡が送られてくる。そういえば今回はなかった。実は大いに変わりがあったことをパリに戻って知らされた:ある朝、浴槽に血がついていた。「自分のじゃない!ということは・・・・猫?」と、夫が血の跡を辿るとタマが寝ている。血尿!タマは老猫によくある腎不全を患っている。一緒にいた義妹に言わせると...
カロラインとアンガスは60過ぎのカップル、一度も行ったことがない日本に1年滞在するという計画を立てて今年2月に出発した。2人とも早期定年退職して、ご主人のアンガス(そう、アンガスビーフと同じくスコットランド出身)は退職金で日本語集中講座を受けてから、わたしと始め、カロラインのほうは「あいうえお」から始めた。でも彼女はあまりやる気がなく・・・・無理もない。何の手がかりもない日本語を60過ぎてから始めるなんて...
息子と母に会いに行ったとき、母の第一声は「なんてすごいヒゲ!」息子は毎日ヒゲを剃ると肌が荒れると言って、数ミリのヒゲを顎まで生やしている。そういえば口ヒゲの日本人は見るけど、ここまで広範囲に生やしている人はいないかも。母はよほど驚いたらしく、5分置きに「すごいヒゲ!」を連発し、「どっちの遺伝かしら?」そして、自分も若い頃は毛深くて苦労した、とか、看護師さんに「あなたはつるつるでいいわねぇ」とか「毛...
雑用であちこちに行き、気がつくと午後の2時。お腹が空くはずだ。近くに大戸屋があったので入る。WIFIフリーだし、味も悪くない。案内されたのは制服の女子高生3人のテーブルの隣。へぇ女子高生がこんなとこに来るのね。彼女たちが焼き魚定食を、上手に身をはがしながら食べているので、さらにびっくりした。この年頃なら、から揚げ定食とか食べそう、というのは先入観ですね。わたしは牡蠣フライ(フランスでは食べられない)を...
フランスの健康保険にはALD(Affection Longue Durée)というシステムがあって、長期疾患のある人の医療費が一部、または全部タダになる。夫は心不全なので心臓関係の検査や診察は全部タダ。今回の放射線療法も無料、その上往復のタクシー代も出してくれる、という。放射線をやる病院がパリの西の外れで、往復2時間以上かかり、毎日のことだから自腹で払ったらかなり高額。これはありがたい、と事前に「病人送迎契約タクシー」を...
母の具合が悪くて、再び東京に行くことになった。酸素チューブ(鼻カニューレ)は24時間つけていて、あれでよく眠れると感心するけど、文句を聞いたことはない。電話でも「あまり元気とは言えないわね…」という程度だ。一方、夫は初期の前立腺ガンが見つかり、ホルモン療法を1か月した後、放射線療法に通っている。男性の2人に1人はなるという前立腺ガンは、ガンの中でも大人しいガンで生存率1位。お義父さんもなり、手術をせ...
5日、SHEINがデパートBHVにオープンの日の様子は、ニュースの冒頭で中継された。「なんか変な雰囲気です」とラジオのアナウンサー。13時の開店を待つお客たちの前にBHV社長、フランスSHEIN社長が宣伝に姿を見せ、反対派が詰めかけて警官も出ている。買い物袋を持って出てきたお客さんにマイクを向けると「『サイトより高い』という声が多い・・・・(パリの中心の家賃を考えると当然でしょ)。実店舗で商品を見てサイトで買うお客さん...
ロレアルの後継者で、世界長者番付の上位に出る唯一の女性、リリアン・ベタンクール。雑誌の撮影で写真家、フランソワ=マリー・バニエ知り合う。当時リリアンヌ65歳、バニエ40歳。物おじせず奔放なキャラで、自分を笑わせてくれる唯一の人間、とリリアンヌは夢中になり、バニエに貢ぎ始める。ただしバニエはゲイなので愛人関係ではなかった。2007年、リリアンヌの夫が亡くなり、ひとり娘のフランソワーズは、貢の桁外れの額を知る...
10月初め、デパートBHV Marais が中国製“ウルトラ ファスト ファッション”Sheinの実店舗を開くと発表すると、批難の嵐が巻き起った。BHVは『Bazar de l’Hôtel de Ville/市庁舎のバザール』の略で1856年創業。もともとブリコラージュ(日曜大工)が好きなオジサン&オニイサンが通う、モードとは程遠いデパート、旅行者も殆どいない。夫は時々、金槌や電球やペンキを買いに行っていた。2000年初めからマレがだんだんお洒落なゲイの...
母にパリから持って行くおみやげには、いつも頭を悩ます。数年前までは「香水買って来て」と言われ、ああ、まだおしゃれ心が残っている、と喜んだけど、最近は言わなくなった。髪もしばらく染めていないし。そこで「おやつに食べるもの」を持って行くことが多いけど、日本には美味しいお菓子が山ほどあるし、ブランドお菓子はほとんど輸入されている。でも今回は迷わずアラン・デュカスのPalet/パレと呼ばれるチョコレートクッキー...
日本の公開から3年近く経って『Egoist/エゴイスト』が公開になった。上映館が少ないのは、監督の 松永大司がフランスで知られていないから?でも批評はすごくいい。迷っていたら、日本映画に詳しい友人が絶賛。「男同士のラブストーリーかと思ったら、それがテーマじゃないの」NYタイムズ(確か)の映画評で「今年の最高傑作」「構築が完璧」と書かれてあったとか。「あなたも観るだろうから筋は言わないけど」と言いながら、けっ...
ブログ上でも、いい加減に帰らなければ。帰りは直行便が高すぎて、ヘルシンキ経由フィンエアー。夜10時過ぎの便なので、ほぼ一日使える。母に会いに行き、お昼は、最初で最後(グスン)のお寿司夜7時半に羽田に着くと、帰国する外国人観光客ですごい混雑。日本もフランスのように、観光収入が大切な財源になりつつある・・・と思いながら、やっと税関を通り、夫に日本酒、友達に頼まれた「白い恋人」(空港にあるくらいだから世界...
KFCの後は、また海岸、銭湯というコースになった。芥屋(けや)海水浴場。前日の相賀の浜に比べて人が多く-多いといってもこのくらい-みんな常連らしくてしっかり日焼けしている。海の家ではバーベキューをやっていた。9月最初の日曜日。この日で“海終い”らしく、夕方になると「また来年!」という声が飛び交った。これだけ暑くて、これだけ天気がいいのに海を閉じるの?もったいないような、寂しいような・・・・海のあとは糸島の...
翌日は糸島へ。島かと思っていたら半島の名前だった。雷山千如寺、正しくは雷山千如寺大悲王院。十一面千手千眼観世音菩薩、つまり顔が11、手と眼が千個ある菩薩像が祀ってあるお寺。でも見どころは11の顔より庭、パンフレットには紅葉の写真しかないけど夏の庭も素晴らしい。そして誰もいない。昨日から行く先々誰もいない。天神には観光客がたくさんいるのに、どこへ行っているんだろう?と言いつつ、白糸の滝へ向かった。そした...
以前、息子を数日泊めてくれた友人が「徹底的に遊ぼうとする姿に感動すら覚えた」と言っていた。彼らとつき合っていると友人の言う通り、でも感動するよりあきれる。仕事のときは「徹底的に」やってないでしょう…和洋が揃う(日本では当たり前?)ホテルの朝食。子供たちは洋食(日頃食べない)、わたしは卵焼き、カニしゅうまい・・・(日頃食べられない)さらに(ウェイターの視線を感じながら)ナフキンにおやつ用ペストリーをいく...
西を目指して車は波戸岬までやってきた。浜辺に寝転んで日が沈むのを待つ。同じように待っている人が10人くらい。日没時間は18時半。なかなか動かなかった太陽が、燃えるようなオレンジになって山の間に沈んでいく。夕焼け小焼けで日が暮れて・・・・は、まともに歌える唯一の童謡。子供たちも歌っていた。カラスは鳴かないけど、日没を見たらおうち(ホテル)に帰ろうと思っていたら「次は温泉!」と娘。「は?佐賀に温泉があった?」...
「次は海岸、こう暑くちゃ泳ぐしかない」「水着持ってない!」「ええ!福岡に来るのに水着持ってこなかったの?!」と娘。彼女はサンスクリーンやメイク用品の入った大きな化粧ポーチまで持参していて準備万端。「言ってくれればいいのに・・・・」「ジョーシキです」というわけで、車は海岸を目指し、玄海町を東に向かっていた。たどり着いたビーチを見てしばし絶句。海の色、空の色、見渡す限りだれもいない浜辺・・・・ガイドブックでし...
翌朝、トヨタプリウスをゲットし「どこへ行く?」「着いてのお愉しみ」と息子。もう行き先は決まっているらしい。娘は音楽担当でスマートフォンを接続した。どうせラップだろうと思ったら、なんとユーミン。以前は「ナニこれ!」とバカにしていたくせに。一緒に歌ったりしているから、わたしのためではないらしい。続いて竹内まりあ、杏里…こういう懐かしのジャパンポップスが好きなの!車は高速に乗り、どうやら福岡を離れる気ら...
母方の故郷は福岡だ。正確にはおばあちゃんは鹿児島出身、結婚して佐賀に移り、間もなく福岡に引っ越した。そこで母や叔母たちは子供時代を過ごし、町子がサザエさん家族の名前を思いついたのが百道海岸・・・・までは知っていたけど、福岡の思い出はあまり聞いたことがなかった。子供たちに「家族の故郷に行ってみたい」(父は10代続いた江戸っ子)と言われ続けていたので、今回決行することに。と言っても福岡に最後に行ったのは・・・・...
介護ホームの部屋に行くと、母は手つかずの昼食の前に座ってテレビを観ていた。「何も食べてないじゃない!」「お腹空かないのよ。食べないと怒られるからあなた食べて」メニューは豚のしゃぶしゃぶに茹で野菜が少し、春雨の和え物、お味噌汁にご飯。高齢者用だから量は少ないけど、薄味でなかなか美味しい。食事を下げにきたスタッフが「まぁよく食べましたね」「実はわたしが…」翌日行ったのは夜だった。母はうつらうつらしてい...
飛行機の、わたしの席に行くと、中学生くらいの男子がゲームに熱中していた。「ここ、わたしの席ですけど」と言うと、お母さんが「まぁすみません」親子3人で床にも荷物が一杯。お父さんは既にパジャマ姿だ。最近あるパジャマ風パンツスーツではなく本物のパジャマ。まさかこの格好で空港にやってきたわけではないだろうから、乗ってすぐ着替えたの?最前列の4人席。このお父さんがわたしの隣、その隣がお母さんで中学生は端っこ...
東京に住む息子がお財布を落とした。会社のカードも入っていたので真っ青になって、駅やコンビニや通った道を探したけど見つからない。もしかしたら、と駅の近くの交番に行って「お財布の落し物はありませんでしたか?」と聞くと「何色ですか?」という返事。果たして彼のお財布で、届けた人は名前も残さず。フランスじゃまずありえない。でも「フランスも日本のようになれると思う」と息子。「フランスには拾ったものを届ける場所...
ラジオで会社と社員間の訴訟例をやっていた。何かの修理で地方に一泊出張を命じられた鉄道関係技師。夜、レストランで知り合った女性のアパートに行き、ことの最中に心臓マヒを起こし22時に死亡。女性は警察に通報し、雇い主にも連絡が行き、雇い主は社会保障に知らせた。すると社会保障は「それは業務中の事故扱いになり、労災が適応される」雇い主「とんでもない!社員は会社が取ったホテルには帰らず、自分のお愉しみのために見...
わたしたちが行く海岸は「Promenade Baie des Anges/天使の入り江散歩道」という名前がついていて、ジャック・ドゥミの『天使の入り江』を思い出した。賭け事に身をやつしたジャンヌ・モローに若い銀行員(クロード・マン)が一目惚れし、彼女を救おうとする1963年の映画。ジャンヌ・モロー35歳、彼女が一番官能的で美しかった時代。3回は観たのに彼女を救えたかどうかは覚えていない。とにかく「あの映画の舞台!?」と一瞬興奮...
ニースから20㎞、ヴィルヌーヴ・ルーベ/Villeneuve-Loubetという海岸町に来ている。いつも行くボーリューのアパルトマンは家主が値段を吊り上げたので諦め、毎年頼んでいる不動産屋ドミニックが推薦してくれた「海岸まで5分、スーパーまで5分、バカンスの香りがする」レジデンス・・・・謳い文句にウソはなかった。でもボーリューのよりかなり狭く、オーブンがない、冷凍庫もない。プールがある。これが「バカンスの香り」?今年の地...
「だって同じリズムで年取らないから」文字通りの意味と、比喩的な意味で。モニックは膝の関節疾患で歩くのが遅いから、2人で出かけるとき先に出発する。頭の老い方も違うから、相手の物忘れや聞き間違いに苛立ちやすい。「それでも離婚や死別で一人暮らしをしている友達を見ると、パートナーがいてよかった」「大切なのは一日にひとつ、愉しみを見つけること」とモニック。「好奇心を持ち続けること」とシモン。「一日を長いと感...
シモンは娘のゴッドファザーだ。娘が小さい時はあまり興味を示さなかったけど、まともな会話ができるようになると娘を可愛がってくれた。誕生日やクリスマスには2人で出かけて行き、バンドデシネ5冊とか香水とか気前のいいプレゼントをくれた。モニックはわたしと仲が良く、前の会社でモラルハラスメントに遭ったとき一番話を聞いてくれた。2人ともすごいグルメ&食いしん坊で、夕食に呼ばれると食べきれないほどの料理が並ぶ。...
友達夫婦、シモン&モニック。串団子のようにいつも一緒で、仲がいいカップルの口から意外なセリフ。「だって同じリズムで老いないから」大柄でふくよか。菩薩を思わせる綺麗な顔立ちに子供のようなキラキラした目が印象的なモニック。シモンは逆に小柄でほっそり。銀髪に口ひげ、一見怖そうだけどブラックなユーモアの持ち主。子供がいない夫婦は、現役時代から展覧会、オペラ、外国旅行、夏はアルデッシュのセカンドハウスに1か...
“先天性無痛症”のマガリは14歳のときから、自分を傷みつける-バッテリー充電器を歯に挟んだり、金槌で思い切り手を叩いたり-動画を投稿し始めた。15年後の今、生活感(特に金銭感覚)もモラルもない、大金持ちのSNSスターになっている。自虐ヴィデオはどんどんエスカレートし、最新の“作品”は空中10mに吊り上げたピアノを自分の上に落とすというもの。痛みは感じなくても重傷を負った。首と腕にギブスをしたマガリは、アシスタ...
モノプリ自社製品のトースター、可愛さに惹かれて買ってしまったけど、実は“可愛いだけ”であることがすぐ判明した。決定的なのは、パンがちょっと厚いと入らない。バゲットを縦二つ切りにしたのも入らないし、(日本式)厚切り食パンは到底入らない。仕方なくオーヴンで焼いていた。それもオーヴントースターではなく、鶏の丸焼きができるデカいやつなので、バゲット一切れのために使うのはバカバカしいと言うかもったいないと言う...
独身で彼もいないマリアンヌを心配して、親友のヘイディが出会いディナーを企画する。マリアンヌはフェリーに乗って離婚したての男性宅に出かけていく。彼女はオスロの病院のガン専門医だ。帰りのフェリーで同じ科の看護夫トールに出会う。ゲイの彼は「一夜のアヴァンチュールのパートナーを見つけるために、夜フェリーに乗る」。マリアンヌも離婚したて男性の話をする。「また会うつもり?」「さぁ・・・・ほんとうは今夜一緒に寝て、...
“ネズミ防止超音波”というものがあるのを友達に聞いて、アマゾンで購入し(4個パック25ユーロ)、数年前から台所や寝室や窓辺に設置している。現にネズミは現れるので、果たして効果があるのかどうか・・・・つまりアンチエイジクリームみたいなもんだ。効果は目に見えないけど、もし使わなかったらもっとシワ(ネズミ)が増えるんじゃないかと使うのをやめられない。先日は、まだ生々しくて書けなかったけれど、ラタトゥイユ(日本版...
不況、購買力低下で、けっこうつぶれるお店が増えている。何がつぶれるかというと、まずアパレル。ファストファッションに押されて、仏中級ブランドが軒並み店舗数を減らしている。前にも書いたコントワール・デ・コトニエとランジェリーのプランセス・タムタム。当時大人気だった2ブランドは、2005年ユニクロが買収してからジリジリと人気を落とし(ユニクロはますます発展)先週「会社更生法が適応された」とニュース。コトニエ...
真夜中に猫のけたたましい足音。この興奮した走り方の理由はひとつ:ネズミ。わたしがむっくり起き上がるのと同時にリュリュが部屋に駆け込んできて、ネズミ(姿は見えない)をタンスの下に追い詰める。タンスの下は隙間があるけど、さすがのリュリュも入れないので見張り態勢に入った。これでもう出てこれない?と思ったら、勇敢なネズミは隠れ家を飛び出した。全長5㎝、なんと小さい!と感心している間にネズミと猫は再び全力疾...
「補聴器の電池が切れたみたい。よく聞こえないのよ。代えてもらって」3月に帰ったとき、母は毎日のようにこのセリフを言う。そんなに早く切れるわけない、と思いながらスタッフの人に頼むと「またですか」という顔で代えてくれる。けど前のも捨てないでとってあるようだ。「補聴器が合わなくなってるんじゃない?」と言うと、「そうねぇ、だいぶ古いから」補聴器屋さんは渋谷だ。ホームから歩いて5分の川沿いまで「桜を観に行こ...
兄は金持ち専門の弁護士。若い妻と赤ちゃん、前妻との娘と豪勢な家に住んでいる。弟は小児外科医。妻と息子、認知症が始まった母親を引き取って、中流の生活をしている。弁護士、医者と言えば、どちらも社会的にはレベルが高いけど、兄は物質主義、弟は理想主義で気が合わない、どころか軽蔑し合っている。それなのに月に一回、星付きレストランで食事をするのが恒例だ。誰も乗り気じゃない“建て前”の会食。ある日、若者2人が浮浪...
最年少生徒さんは14歳、コレージュ5年生(中学2年生)の女子で、超多忙な毎日を送っている。授業は朝8時から午後4時半(時々5時半)まで。放課後は演劇、柔道、カテキズム(カトリック教理)、Kポップダンス・・・・などで連日埋まっていて、土曜日に日本語を習っている。そして、毎週“コントロール”と呼ばれるテストが2~3回。その上ボーイスカウト(女子も入れる)の活動で、時々泊りがけでどこかへでかけていく。フランスの...
介護ホームで、母がとりわけ懐いているケアマネジャーのAさん。色白の若い女性で、わたしは20代後半?と思ったけど、母に言わせると「若く見えるけどしっかりしているから30は過ぎてる」そのAさんに去年の年末「お話がある」と言われた。「ここを辞める?」と嫌な予感がしたら、果たしてそうだった。理由は「ホームのスタッフとしてできることには限界があるので、独立して、介護や家事支援、散歩、通院などの付き添いをアラカルト...
舞台は夏の神戸。木山、河辺、山下は小学校6年生のサッカー好き3人組。ある日、山下のおばあさんが亡くなりお葬式に行った話を聞き、「死」に興味を持ちだした。近所の一人暮らしのおじいさんが「もうすぐ死にそうだ」という噂を聞き、おじいさんの家を見張ることにする。庭は草木がぼうぼう、縁側のすだれはボロボロ、庭に捨てられたゴミ袋は悪臭を放っている。そのうちおじいさんに見つかり(「まったく親の顔が見たい!」)3...
パリ・サンジェルマン(PSG)がチャンピオンズリーグ(CL)決勝戦でインテルを5対0で破り初優勝を飾ったのが31日の夜。バスティーユ広場まで行ってみたら優勝に熱狂する人の波、爆竹、発煙筒・・・・CL優勝ってそんなにすごいことなの?とびっくりし、暗いニュースが多い中で、これだけ人を沸き立たせるスポーツの力に感心した。シャンゼリゼ大通りはもっと多くのサポーターで溢れた。こういう時、必ず現れるのが壊し屋。デモや集会の...
ジェームスとケンダルの痴話喧嘩は、バーのお客たちが振り返るほど激しかった。「アンタとはもうお終いよ!」と叫んでケンダルは土砂降りの中へ飛び出していく。ジェームスは車でその後を追った。翌朝、ケンダルの死体が橋の下で見つかり、ジェームスは殺人容疑で逮捕される。ジャスティンはこの殺人事件の裁判の陪審員に選ばれた。「いつ生まれるかわからない」臨月の妻を心配して断ろうとするが「そんなに時間は取らない」と裁判...
2023年1月。モンパルナス駅からTGVでボルドーに向かおうとしていた母と娘(15歳)と猫(4歳)。突然、かばんの中に入れた猫が飛び出し、停まっている電車の下に入ってしまった。母娘は、電車の出発を遅らせて猫を捕まえてくれるよう懇願したが、SNCF(国鉄)職員は「猫?電車が走りだせば逃げますよ」と取り合ってくれない。自分たちが線路に降りて捕まえるのも「危険だからダメ」。電車は走り出し「猫は真っ二つになった」と娘...
タマがいなくなって1週間は泣いてばかりいた。朝、フロマージュブランを食べながら・・・・「ボクも!」とタマは必ずテーブルに上がってきた。「鼻の頭についてるよ」歯を磨きながら・・・・「水をくれ」と必ず洗面台に飛び乗ってきた。一番泣けたのは、タマを探すリュリュの姿。ベッドの下や押し入れの中まで点検し、探し疲れると玄関の前に座り込んで待つ。わたしの顔を見ると今までになく鳴いた。「どこに行ったの?」「いつ帰...
「あたしが死に際にいないなんてタマは理解できない」と娘。でも・・・・タマを祖母(わたし)に預けて日本に飛んで行ったときから、この事態は予想できたでしょう?と内心思う。「明日の飛行機に乗ったら?」と娘。「・・・・」そんなお金ないくせに。それにそんな旅、悲しすぎる。どのくらい“持つ”のか、先生に聞いてまたかける、と電話を切った。「いつをお考えですか?」「わたしは14時までいます」と先生。4時間後・・・・「明日でもいい...
翌日、仕事が終わって、これから行きますとクリニックに電話したら「今日はもう遅いからお見舞いはダメ」と受付のおねえさん。昨日は19時でもいいって言ったのにケチ。クリニックでくれるフランス製チュルにタマはそっぽを向くので、日本製をバッグに入れていたのに。ご飯も食べていると言うのでまぁ安心して、翌朝。お医者さんからのメッセージ。「タマですが、腎機能は点滴で改善されているようです。しかしですね、他に不全が出...
翌日の朝、クリニックに電話したら「タマはご飯も食べるし、排泄もするし、鳴かないいい子です」と看護婦さんに言われ、一安心。わたしには「水をくれ」「腹が減った」「外に出たい」・・・・と鳴くのに、全く外ずらのいい猫だ。夕方顔を見に行こうと思っていたら、お昼過ぎ、今度は獣医さんから電話。血液検査の結果が出た:点滴をしても尿素の数値がさらに上がって、正常値の上限のほぼ3倍。クレアチニンは上限の3倍以上。というこ...
血尿?!最初にタマの血尿を見つけたのは去年の11月。娘とわたしは日本にいたので夫が大奮闘でクリニックに連れて行き「甲状腺機能亢進症と腎不全」と言われた。老猫の腎不全はよく聞くし、水の飲み方から予想していたけど甲状腺も!それ以来、一日に2回Apelkaというホルモンを押さえる薬を飲んでいた。それ以来初めての血尿。獣医さんに電話したら「今日の午後、連れて来なさい」。急に言われても・・・・「石が詰まってオシッコが出...
と言っても、マリーヌ・ルペンはジョルダン・バルデラと訣別したいわけじゃない。バルデラは人気がある。特にSNSではマリーヌおばさんを凌ぎ、とりわけ今まで“ルペン”を毛嫌いしていたブルジョワ層に人気がある。「だからバルデラを骨抜きにして、つまり権限を減らして、党のショーウィンドウに飾っておきたいのです」とラジオのニュース解説者。一方、大統領になったつもりでいたバルデラは“セリフのない飾り物”では満足できない...
2027年4月の大統領選で「だれに投票するか?」アンケートで不動の1位が(残念極まりないことに)極右、国民連合のマリーヌ・ルペン。2025年3月、公共料金横領で有罪判決になったにも関わらずだ。第一審で懲役4年(うち実刑2年)、5年の公職選挙権はく奪の判決が下った。もちろんルペンは控訴したが、もしこの判決が揺るがなければ、大統領選に立候補できない。ルペンは2017年と22年、第二回投票に残り、マクロンに敗れている...
1940年6月、フィリップ・ペタンが首相になり独仏休戦協定が結ばれた。その結果、北フランスはドイツに占領され、政府はボルドーに移される。名もない将軍だったシャルル・ド・ゴールはロンドンに亡命し、6月18日、BBC放送から国内外のフランス人にレジスタンス運動を呼びかけた。兵士も武器も支持者もなく、あるのは岩のような意志だけ:フランスの戦いは終わっていない。フランスは負けていない。少しずつ、イギリス、フランス...
以前は夫と、午前中と午後、2回海岸に行っていた。それが数年前から1回になり、今回なんてわたしが先に行っていて、夕方少し泳ぎに来るだけ。それ以上だと「疲れる」。以前は海岸線を走る電車に乗って、アンティーブやエズ、マントンに遊びに行っていた。圧迫骨折がある夫は歩くのがしんどいと言って、今はどこへも行かない。駅前のスーパーでの買い出しもわたしひとりで行く。「どこでも好きなとことに行って来て」と夫は言うけ...
正確には猫の世話をしてくれる人の日程で決まる。タマは去年から腎臓と甲状腺の薬を1日2回飲んでいるので、猫シッターさんは泊まり込んでくれる娘の友達エマだ。発つ前にキャッツフード(ふつうのと腎臓病用)の量や、薬の飲ませ方を説明書きを貼り、「リュリュは怖がりで、最初はベッドの下に隠れているかも。でも心配しないで」「タマは給水器じゃなくて、蛇口から飲みたいって言うのよ、面倒でごめんね」などなど言い置いて出...
日本の海岸の特色が「人がいない」(わたしの見た限り)なら、フランスの特色は「海に入っている人が稀」。男女年齢を問わず海岸に寝そべり、表裏と焼いている。日本女性が見たら狂気の沙汰だろうけど、これはがまん大会の世界。5分も寝そべっていたら汗はダラダラ、皮膚はジリジリで海に飛び込みたくなる。それを何時間もやっているんだから、欧米人は意外と我慢強い。いつもはイタリア人が多いけど、「今年はウクライナ人が多い...
ボーリュー・シュルメールはニースから10kmの小さな海岸町。面積は1㎞平方弱、人口3800人。夏の3ヶ月、人口は倍以上になる。Beaulieu sur mer/海の上の美しい場所、この町がある郡はBeausoleil/美しい太陽。パリでは絶対出会わない名前がつけられている。北フランスとは全然違う光が紺碧の海に降り注ぐ、たしかに美しい場所だけど、入ってみると海はそんなにきれいじゃない。毎日の晴天も、酷暑、深刻な水不足、山火事・・・・と毎日...
飛行機の出発3時間前にうちを出て、2時間前にシャルルドゴール空港に着いた。いつも電車だったから国内線に乗るのは何年ぶり?チェックインのすべての手続きが機械化されていて、預ける荷物につけるタグの印刷も自分でしないといけない。10台くらいあるマシンの前に列ができ、でもちゃんと印刷できる人は5人に1人くらい。サポートしてくれるスタッフは1人だけなので、列は全然進まない。わたしの番で、搭乗券をスキャンしたら...
母のいる介護ホームに週1回、近所の医院長が問診に来る。最初にお会いしたとき「お母さんは崖っぷちに立っているようなもんです」と言われたあの先生だ。「ちょっと強い風が吹けば転落します」そして「だからご心配なく」。そう言われて心配しない人がいるだろうか。年に1~2回、その先生と話をする。「崖っぷち」の比喩はもう出ないけど、「耳が殆ど聞こえなくなっていて筆談が多くなってますけど」と言えば「補聴器を変えたら...
-もう2か月も前だけど-嬉しかった贈り物3つ。順序は時系列。中学生の生徒さんが作ってくれたピアス。彼女はいつもオーバーサイズのTシャツ&バギーのジーンズに、自分で作ったピアスをとっかえひっかえつけてくる。ゴールドの金具とビーズでなかなか可愛い。時々褒めていたら(催促した?)誕生日2日前に「はいコレ」「いつもシルバーだから。真珠が好きそうだし」とちゃんと観察されていた。バッチリわたしの好み。嬉しかっ...
夕方の5時過ぎに夕食が運ばれてくる。病院と一緒で早い。焼き魚、小松菜のお浸し、オクラとしらすの和え物、お味噌汁…「全然動かないからお腹が空かないのよ」母はホームのご飯を殆ど食べなくなった。「あなた、食べてよ」と言われても、5時じゃお腹空いてない。でも「少し食べないと怒られるから」とせがまれ、食べてみると、よく言えば薄味で上品、まぁ淡泊だ。2年くらい前までは「ご飯、まだかしら?」「うちの味付けに似て...
「お母様は夏に寂しくなるんです」と介護士のAさん。以前は母のいる介護ホームで働いていたが「入居者の話を聞く時間がない」とフリーになり、1週間に1回、1時間、母の話し相手になってくれている。夏は太陽、青空、夏休み・・・・で逆に気分が高揚する季節じゃない?それに日本にいた頃、母が夏に落ち込んでいた記憶はない。「でもここ3年くらい、6月初めから3~4か月、頻繁に電話がかかってきますよ。『寂しいから来て』とか...
「フランス、猛暑で大変ですね」会う人ごとにそう言われる。そして「クーラーないんですって?!」その行間に「フランスってそんなに貧しい国だったのか」を感じ取り、これは弁護しなければ。「北フランスはこれまでクーラーが必要なかったんです。住み始めて20年くらい、2000年初めまで夏服を着ずに夏が終わることがよくありましたよ」「だってパリは稚内よりさらに北なんですよ。稚内出身の友人が朝はストーブをつけることがある...
料理の先生 兼 日本語の生徒さん 兼 友人でもあるNは、わたしが日本に行く度買い物を頼む。頼まれるのは、どこどこ産のスルメイカとか、直径7㎝の急須敷きとか、見つかりにくいものばかり。今度はおぼろ昆布5袋だった。あの白っぽい昆布は実家の食卓に現れたことがなかった。何に使うの?と聞いたら「トマトの昆布締めカルパッチョ」と聞いてあまり食指はわかないけど、探しましょう。近くのイオンマーケットでは、お店の人が探...
中学生の生徒、Mちゃんに七夕の話をした。「織姫と彦星が1年に1度会える日が7月7日なの」「すごーい!長距離恋愛」「ところで、好きな人いるの?」Mちゃんは「なんたる質問!」と言う顔で「まさか!男子はみんなガキ過ぎでアホばっか」そうだね、精神年齢の差が顕著に出る年頃だ。母のいる介護ホームに七夕飾りがある。キラキラのすだれのせいで、一瞬クリスマスツリーに見えた。七夕の風情がないじゃない、と近寄ると、入居者...
日本の公開から3年近く経って『Egoist/エゴイスト』が公開になった。上映館が少ないのは、監督の 松永大司がフランスで知られていないから?でも批評はすごくいい。迷っていたら、日本映画に詳しい友人が絶賛。「男同士のラブストーリーかと思ったら、それがテーマじゃないの」NYタイムズ(確か)の映画評で「今年の最高傑作」「構築が完璧」と書かれてあったとか。「あなたも観るだろうから筋は言わないけど」と言いながら、けっ...
ブログ上でも、いい加減に帰らなければ。帰りは直行便が高すぎて、ヘルシンキ経由フィンエアー。夜10時過ぎの便なので、ほぼ一日使える。母に会いに行き、お昼は、最初で最後(グスン)のお寿司夜7時半に羽田に着くと、帰国する外国人観光客ですごい混雑。日本もフランスのように、観光収入が大切な財源になりつつある・・・と思いながら、やっと税関を通り、夫に日本酒、友達に頼まれた「白い恋人」(空港にあるくらいだから世界...
KFCの後は、また海岸、銭湯というコースになった。芥屋(けや)海水浴場。前日の相賀の浜に比べて人が多く-多いといってもこのくらい-みんな常連らしくてしっかり日焼けしている。海の家ではバーベキューをやっていた。9月最初の日曜日。この日で“海終い”らしく、夕方になると「また来年!」という声が飛び交った。これだけ暑くて、これだけ天気がいいのに海を閉じるの?もったいないような、寂しいような・・・・海のあとは糸島の...
翌日は糸島へ。島かと思っていたら半島の名前だった。雷山千如寺、正しくは雷山千如寺大悲王院。十一面千手千眼観世音菩薩、つまり顔が11、手と眼が千個ある菩薩像が祀ってあるお寺。でも見どころは11の顔より庭、パンフレットには紅葉の写真しかないけど夏の庭も素晴らしい。そして誰もいない。昨日から行く先々誰もいない。天神には観光客がたくさんいるのに、どこへ行っているんだろう?と言いつつ、白糸の滝へ向かった。そした...
以前、息子を数日泊めてくれた友人が「徹底的に遊ぼうとする姿に感動すら覚えた」と言っていた。彼らとつき合っていると友人の言う通り、でも感動するよりあきれる。仕事のときは「徹底的に」やってないでしょう…和洋が揃う(日本では当たり前?)ホテルの朝食。子供たちは洋食(日頃食べない)、わたしは卵焼き、カニしゅうまい・・・(日頃食べられない)さらに(ウェイターの視線を感じながら)ナフキンにおやつ用ペストリーをいく...
西を目指して車は波戸岬までやってきた。浜辺に寝転んで日が沈むのを待つ。同じように待っている人が10人くらい。日没時間は18時半。なかなか動かなかった太陽が、燃えるようなオレンジになって山の間に沈んでいく。夕焼け小焼けで日が暮れて・・・・は、まともに歌える唯一の童謡。子供たちも歌っていた。カラスは鳴かないけど、日没を見たらおうち(ホテル)に帰ろうと思っていたら「次は温泉!」と娘。「は?佐賀に温泉があった?」...
「次は海岸、こう暑くちゃ泳ぐしかない」「水着持ってない!」「ええ!福岡に来るのに水着持ってこなかったの?!」と娘。彼女はサンスクリーンやメイク用品の入った大きな化粧ポーチまで持参していて準備万端。「言ってくれればいいのに・・・・」「ジョーシキです」というわけで、車は海岸を目指し、玄海町を東に向かっていた。たどり着いたビーチを見てしばし絶句。海の色、空の色、見渡す限りだれもいない浜辺・・・・ガイドブックでし...
翌朝、トヨタプリウスをゲットし「どこへ行く?」「着いてのお愉しみ」と息子。もう行き先は決まっているらしい。娘は音楽担当でスマートフォンを接続した。どうせラップだろうと思ったら、なんとユーミン。以前は「ナニこれ!」とバカにしていたくせに。一緒に歌ったりしているから、わたしのためではないらしい。続いて竹内まりあ、杏里…こういう懐かしのジャパンポップスが好きなの!車は高速に乗り、どうやら福岡を離れる気ら...
母方の故郷は福岡だ。正確にはおばあちゃんは鹿児島出身、結婚して佐賀に移り、間もなく福岡に引っ越した。そこで母や叔母たちは子供時代を過ごし、町子がサザエさん家族の名前を思いついたのが百道海岸・・・・までは知っていたけど、福岡の思い出はあまり聞いたことがなかった。子供たちに「家族の故郷に行ってみたい」(父は10代続いた江戸っ子)と言われ続けていたので、今回決行することに。と言っても福岡に最後に行ったのは・・・・...
介護ホームの部屋に行くと、母は手つかずの昼食の前に座ってテレビを観ていた。「何も食べてないじゃない!」「お腹空かないのよ。食べないと怒られるからあなた食べて」メニューは豚のしゃぶしゃぶに茹で野菜が少し、春雨の和え物、お味噌汁にご飯。高齢者用だから量は少ないけど、薄味でなかなか美味しい。食事を下げにきたスタッフが「まぁよく食べましたね」「実はわたしが…」翌日行ったのは夜だった。母はうつらうつらしてい...
飛行機の、わたしの席に行くと、中学生くらいの男子がゲームに熱中していた。「ここ、わたしの席ですけど」と言うと、お母さんが「まぁすみません」親子3人で床にも荷物が一杯。お父さんは既にパジャマ姿だ。最近あるパジャマ風パンツスーツではなく本物のパジャマ。まさかこの格好で空港にやってきたわけではないだろうから、乗ってすぐ着替えたの?最前列の4人席。このお父さんがわたしの隣、その隣がお母さんで中学生は端っこ...
東京に住む息子がお財布を落とした。会社のカードも入っていたので真っ青になって、駅やコンビニや通った道を探したけど見つからない。もしかしたら、と駅の近くの交番に行って「お財布の落し物はありませんでしたか?」と聞くと「何色ですか?」という返事。果たして彼のお財布で、届けた人は名前も残さず。フランスじゃまずありえない。でも「フランスも日本のようになれると思う」と息子。「フランスには拾ったものを届ける場所...
ラジオで会社と社員間の訴訟例をやっていた。何かの修理で地方に一泊出張を命じられた鉄道関係技師。夜、レストランで知り合った女性のアパートに行き、ことの最中に心臓マヒを起こし22時に死亡。女性は警察に通報し、雇い主にも連絡が行き、雇い主は社会保障に知らせた。すると社会保障は「それは業務中の事故扱いになり、労災が適応される」雇い主「とんでもない!社員は会社が取ったホテルには帰らず、自分のお愉しみのために見...
わたしたちが行く海岸は「Promenade Baie des Anges/天使の入り江散歩道」という名前がついていて、ジャック・ドゥミの『天使の入り江』を思い出した。賭け事に身をやつしたジャンヌ・モローに若い銀行員(クロード・マン)が一目惚れし、彼女を救おうとする1963年の映画。ジャンヌ・モロー35歳、彼女が一番官能的で美しかった時代。3回は観たのに彼女を救えたかどうかは覚えていない。とにかく「あの映画の舞台!?」と一瞬興奮...
ニースから20㎞、ヴィルヌーヴ・ルーベ/Villeneuve-Loubetという海岸町に来ている。いつも行くボーリューのアパルトマンは家主が値段を吊り上げたので諦め、毎年頼んでいる不動産屋ドミニックが推薦してくれた「海岸まで5分、スーパーまで5分、バカンスの香りがする」レジデンス・・・・謳い文句にウソはなかった。でもボーリューのよりかなり狭く、オーブンがない、冷凍庫もない。プールがある。これが「バカンスの香り」?今年の地...
「だって同じリズムで年取らないから」文字通りの意味と、比喩的な意味で。モニックは膝の関節疾患で歩くのが遅いから、2人で出かけるとき先に出発する。頭の老い方も違うから、相手の物忘れや聞き間違いに苛立ちやすい。「それでも離婚や死別で一人暮らしをしている友達を見ると、パートナーがいてよかった」「大切なのは一日にひとつ、愉しみを見つけること」とモニック。「好奇心を持ち続けること」とシモン。「一日を長いと感...
シモンは娘のゴッドファザーだ。娘が小さい時はあまり興味を示さなかったけど、まともな会話ができるようになると娘を可愛がってくれた。誕生日やクリスマスには2人で出かけて行き、バンドデシネ5冊とか香水とか気前のいいプレゼントをくれた。モニックはわたしと仲が良く、前の会社でモラルハラスメントに遭ったとき一番話を聞いてくれた。2人ともすごいグルメ&食いしん坊で、夕食に呼ばれると食べきれないほどの料理が並ぶ。...
友達夫婦、シモン&モニック。串団子のようにいつも一緒で、仲がいいカップルの口から意外なセリフ。「だって同じリズムで老いないから」大柄でふくよか。菩薩を思わせる綺麗な顔立ちに子供のようなキラキラした目が印象的なモニック。シモンは逆に小柄でほっそり。銀髪に口ひげ、一見怖そうだけどブラックなユーモアの持ち主。子供がいない夫婦は、現役時代から展覧会、オペラ、外国旅行、夏はアルデッシュのセカンドハウスに1か...
“先天性無痛症”のマガリは14歳のときから、自分を傷みつける-バッテリー充電器を歯に挟んだり、金槌で思い切り手を叩いたり-動画を投稿し始めた。15年後の今、生活感(特に金銭感覚)もモラルもない、大金持ちのSNSスターになっている。自虐ヴィデオはどんどんエスカレートし、最新の“作品”は空中10mに吊り上げたピアノを自分の上に落とすというもの。痛みは感じなくても重傷を負った。首と腕にギブスをしたマガリは、アシスタ...
モノプリ自社製品のトースター、可愛さに惹かれて買ってしまったけど、実は“可愛いだけ”であることがすぐ判明した。決定的なのは、パンがちょっと厚いと入らない。バゲットを縦二つ切りにしたのも入らないし、(日本式)厚切り食パンは到底入らない。仕方なくオーヴンで焼いていた。それもオーヴントースターではなく、鶏の丸焼きができるデカいやつなので、バゲット一切れのために使うのはバカバカしいと言うかもったいないと言う...