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夫1人、子供2人、猫2匹と暮らし、映画と料理とモードが趣味。長谷川たかこのパリの日常。

たかこ
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住所
フランス
出身
世田谷区
ブログ村参加

2009/01/14

  • 芦ノ湖の衰退

    ホテルに荷物を置いたのは13時過ぎ。「この辺でお昼を食べられるとこありますか?」と聞くと、「すぐ近くにフランス料理のレストランがあります」。ここまで来てフレンチを食べたくないけど、お腹が空いてえり好みは言ってられない。お店の名前はROI(王様)、お客さんは誰もいない。お昼のメニューは:ハンバーグ、メンチカツ、ポークソテー、シーフードグラタン。どれもスープとサラダつき。日本で(本場の)味を、とわたしはハ...

  • なぜ箱根かというと

    わたしは東京で諸々用事があるけど、久しぶりに日本に来る夫のために、1泊でどこかへ出かけよう。「山がいい」と言われ、思いつくのは箱根。近いし、山だし…何よりわたしには思い出のある場所。その昔、おばあちゃんが「二束三文で」土地を買い、「もしかしたら温泉が出るかも」と庭のあちこちを掘り返したけど、何も出なかった。温泉を諦め、茅葺の山小屋のような家を建て、わたしたちは毎年夏休みをそこで過ごした。当時は小涌...

  • 発てないかと思った

    年金改革反対のスト&デモが頻度を増し、週一になっている。日本に発つ日に当たりませんように、とお祈りまでしたのに、13日、12回目のストにぶつかってしまった。RATP(パリ交通公団)は「ほぼ正常」とニュースで言っているけど、RERをよく使う友人が「ニュースはトラブルを過小評価する、スーツケース持って混んだB線に乗るのは避けた方がいい」前日、デモのコースが発表された:オペラからバスティーユ。デモ隊が終着点に着くの...

  • マリーヌ・ルペンのひとり勝ち?

    年金改革でエマニュエル・マクロン支持が落下し、野党連合NUPESは、チンピラのようなヤジや暴言で国会を混乱させ評判を落とした。それを傍観し、時々まともな発言(「マクロンは象牙の塔に篭り、国民の声を聞かない」「49.3の連発は民主主義の危機」…)をしていたマリーヌ・ルペンが一気に点数を稼いだ。先週のアンケートで「1週間後に大統領選を行えば」第一回投票でルペンは31%獲得。与党のエドゥアール・フィリップ28%、急進...

  • 何処も同じ、却下される子供の名前

    一昔前のフランスで、子供の名前はカレンダーに記されている聖人名、歴史的に知られている人の名前に限られていた。それが“自由化”されたのが1993年1月。その後に生まれた子供にはテス、ケヴィン、オセアンヌ(océan/大洋のギリシャ語)…など外国名が出てきて、それでもまだ常識的だったのが、最近、戸籍責任者が仰天するトンデモナイ名前が続出:Nutella(ニュテラ:仏版ピーナツバター)Fraise(フレーズ:イチゴ)Anomalie (...

  • 閣外相が『プレイボーイ』の表紙に

    「エイプリルフールの冗談かと思いました」とニュースキャスター。社会福祉&連帯閣外相マルレーヌ・シアパが4月8日発売の『プレイボーイ』に、女性の権利について長いインタビューを載せ、表紙に(服を着て)登場する。2017~2022年(マクロン大統領1期目)に、男女平等&差別廃止担当閣外相、次いで市民権担当大臣と若くして重要ポストに就いた。でも一見、政界より芸能界のほうが似合いそうな雰囲気の40歳。photo:causeurエ...

  • 幽霊が出そうで出ない『永遠の娘』

    誰もいない田舎の夜道を走るタクシー。乗っているのは母と娘と犬、行き先は古い館を改造したホテルだ。レセプションの女性は不愛想で、母娘の予約を見つけるのに手間取り、ホテルはガラガラなのに希望の部屋は空いていないという。ジュリーが交渉している間、母親は何も言わず隅の椅子で待っている。なんとか希望の部屋をゲットしたジュリー、「ママ、この部屋、覚えてる?」「天井の壁紙を覚えているわ」母は若い頃、このホテルに...

  • 年金改革反対:どうやって収束させるつもり?

    木曜の9回目の年金改革反対スト&デモは参加者が108万人、抗議の声も激しくなった。出発点のバスティーユ数時間後、終着点のオペラでは過激極左派も加わった。photo:BMFTV2日前の火曜日、年金改革案は可決されたものの、僅か9票差。政府に同調するはずの右派レピュブリカンの一部が寝返って不信任案に票を入れ、スレスレの可決。反対派を強気にさせた。翌日水曜、沈黙していたマクロン大統領がやっとTVニュースに現れた。大統領...

  • 不信任決議案が通ったら

    金曜日以来「49.3(キャラント・ヌフ・トロワ)」「モーション・ドゥ・ソンシュール/不信任決議案」という言葉が、耳にタコができるほど繰り返される。ラジオをつけっぱなしにしているからタコができるんだけど。49.3、憲法49条3項とは、政府が、審議中の法案を国民議会の投票なしで可決できる。つまり強行採決。モーション・・・・は強行採決をひっくり返すことができる野党の手段。国民の3分の2が反対している年金改革法案を「投...

  • クジラの哀しい目『ザ・ホエール』

    英語(=国語)教師のチャーリーはオンラインで授業を行っている。でも「カメラが壊れている」と自分の姿は見せない。チャーリーは何年か前、男性と激しい恋に落ち、妻と娘を捨てた。その彼が亡くなったあと、無茶食い障害になり、270㎏の、クジラのような身体になった。トイレに行くのも歩行器が必要で、一日中ソファから動けない。手当たり次第に食べまくる発作と自己嫌悪、孤独、後悔…の毎日。通ってくる看護師のリズが唯一の友...

  • 女性の性被害の扱われ方

    モーリーンはCFGT(CGTに次ぎフランス第二の労働組合)組合員で、同時に国営原子力発電会社AREVAの労組秘書としてAREVA従業員の権利を守る。モーリーン(イザベル・ユペール)のファッションも見もの。女社長から支持されていたが、社長が代わり、男性社長になると「女に何ができる」という風潮になった。2012年、モーリーンは、EDF(フランス電力)の情報提供者から「EDF、AREVAと中国の原発会社の間で密約が取り交わされた」こと...

  • 国際女性デーの限定商品

    昨日3月7日、年金改革反対ゼネストで公共交通はほぼマヒし、学校の一部は閉まり(推定で、小学校教員60%がスト)製油所も閉まり…。全国のデモ参加者は警察発表で130万人、労組の発表は約3倍の300万人。どう数えればこれだけ差が出るのか、フランス七不思議のひとつだが、政府VS労組の対立の深さに比例して、“参加者数”の開きも大きくなる。年金改革は、エマニュエル・マクロン立候補時の公約であるだけに、いくら反対されても...

  • 「少子化が深刻な問題になっている日本からお伝えします」

    とFrance infoのニュース。ナニナニ?とボリュームを上げた。「40年来、日本は出生率低下に直面しているが、事態は年々悪くなる一方。2022年に生まれた赤ちゃんは80万人を割った。人口はフランスの倍近いのに、フランスの出生率(72万3000)をわずかに上回るだけ」フランスもコロナのせいで、1946年以来一番低い出生数「3年間続いたコロナ禍で、出会い&結婚は減り、状況は悪化した。日本で、結婚は子供を持つための前提条件な...

  • フランスで「浅田家!」がウケる訳

    予告編がつまらなそうだったので迷っていたら、観た友人が口をそろえて「とてもよかった」。そんなら、と映画館に行ったら2度満員。封切り1か月後でやっと観た。2週間で消える作品が多い中、1か月以上の上映、観客の評価が4.1/5と非常に高い。日本では2020年公開なので「今頃?」と思われるだろうけど。「人生は一度だけ。楽しんでください」のキャッチ、『La Famille Asada』写真家志望の政志のテーマは家族。家族(両親と兄...

  • ダンスは中毒

    週2回、サルサとバシャタに通っている。ダンスをスポーツと呼べるかどうかわからないけど、男性は冬でも汗をかく運動だ。サルサを始めたのは10年くらい前。スキーで脚を折った後のリハビリで始めたのが、やめられなくなった。踊るのは好きだから、最初は「うまくなりたい」なんて思っていたが、年齢か、資質がないか、その両方かで、万年“中の下”。楽しめればいいか、と開き直ることにした。ラテン音楽が(も)好きで、頭が空っぽ...

  • ギャラリーラファイエット・グループの危機

    ローコストの靴メーカーSan Marinoが清算(=倒産)、中級プレタのKookaïに会社更生法、Go Sport とGap Franceは買い手探し…どれも近年パッとしなかったブランドではあるけど、こうバタバタと倒れると不吉な予感。そこへ、「ギャラリー・ラファイエットが経営困難」。パリのデパートの代名詞じゃない!全国に57の店舗を持っていた大チェーンは2018年から経営困難になり、2021年までに33の地方店舗を売り渡した(ギャラリー・ラファ...

  • 観たあとに良さがわかる『Aftersun』

    11歳のソフィは元気と明るさに溢れた女の子。パパとふたり、トルコでヴァカンスを過ごす。パパとママは別れたから一緒に暮らしていないのだ。海辺のヴァカンス村で、泳いだり、ビリヤードをしたり、何もしないでプールサイドに寝そべっていたり、ダンスしたり…ふたりは仲のいい兄妹のように一緒に遊び、からかい合い、喧嘩もする。パパといる時間は楽しい。「また一緒に暮らせないの?」とソフィ。「もう元には戻れないんだ」とパ...

  • 4人の人生を台無しに

    ユモリスト、つまりお笑いタレントの「ピエール・パルマッドが運転する車が対向車に激突。パルマッド重症」のニュースは金曜日の夜。photo: le Parisienその後、毎日ニュースになるのは、パルマッドが有名タレント(わたしの知っている範囲で言えば明石家さんま?)だから、だけでなく、-パルマッドがコカイン+アルコールの覚醒状態で運転していた(駆けつけた消防隊員「目が完全にイっていた」)-対向車に乗っていた女性(28)...

  • 自分の居場所探し

    ソウルのホテルのフロントで向き合う若い女性2人。お客のフレディは生まれてすぐフランス人カップルにもらわれ、韓国は初めて。言葉も全然わからない。フランス語が話せるフロント係りの女性は、その晩、フレディを夕食に誘う。フレディはレストランの見知らぬお客たちをテーブルに呼んでガンガン飲んだ。二日酔いの頭で目を覚ますと、横に若い男が寝ていた。彼女は実の両親を探そうと決める。両親は別れていることがわかり、父親...

  • 「結婚の自由をすべての人に」

    の法制化について、荒井勝喜秘書官の「(同性のカップルを)見るのも嫌だ。となりに住んでいるのもちょっと嫌だ」「秘書官室もみんな反対する」「同性婚を認めたら国を捨てる人が出てくる」…の発言には唖然とした。オフレコで記者団の取材に応じたときの発言が、内容の重大さから表沙汰になって慌て、「差別的なことを思っていると捉えられたとしたら撤回する」と荒井秘書官。この言い方!自分の発言の問題を、「差別的なことを思...

  • 頭が痛い1週間

    月曜日の朝6時、頭が締めつけられるような痛みで目が覚め、片頭痛が始まった。しばらく起こらなくてヨシヨシと思っていたのに。少し待ってからトリプタンという片頭痛専用の薬を飲む。1時間半くらい治まった。具合が悪い時、必ず猫が付き添ってくれる。治まってしまえばふつうに暮らせるけど、頭痛と薬でグッタリする。予防として、あまり画面を見るな、眼を使うな、と言われるけど、画面を見ないことには何もできない時代だ。火...

  • 人間とは奇妙な生き物:『イニシェリン島の精霊』

    1923年。対岸のアイルランドから市街戦の爆音が聞こえてくるが、ここ、離れ小島のイニシェリン島では慎ましい日常が繰り返されている。パブに行く時間だ。荒野を横切ってパードリックはコルムを迎えに行く。パードリックは40代。妹と牛を飼い、牛乳を売っている。コルムは70過ぎ、バイオリンを弾き作曲をする。2人は親友で、毎日一緒にパブへ行くのが日課…ところが窓から呼んでも、コルムは顔を背けて返事をしない。翌日もコルム...

  • 子供たちの中学時代は

    古い書類の整理をしていたら、息子の中学の給食メニューが出てきた。12月のメニュー、例えば:【エンダイヴとミモレットのサラダ七面鳥のエスカロップ、マッシュルームソースマッシュポテトチーズ(カンタル)リンゴのコンポート】【人参のサラダポークソテー(豚肉を食べない人は鶏むね肉のソテー)カリフラワーチーズ(トム・ドゥ・サボア)フルーツのフラン】photo: maire de parisなかなか美味しそうではない?でも息子は、メ...

  • マフラーで+3度

    26日(木)曇り。最低気温1度、最高4度。とにかく寒い。ボンジュールと声をかけてきた相手が、誰かわからないくらい寒い。ニット帽を目深にかぶり、鼻までマフラーで隠しているからだ。「知ってる人?」と娘に聞かれ、「そうみたい」超がつく寒がりのわたしは、ウルトラヒートテックに厚手のセーター、ストッキングにヒートテックのレギンス、靴用のホカロン…と日本のテクノロジーの宣伝みたいな恰好で外に出る。そしてマフラー...

  • 年金改革:なぜこれほど反対する?

    19日の年金改革案反対デモには100万人以上が参加した。それに気を良くした労組は、1月31日に「さらに盛大なスト(公共サービス)&デモ」を予定、2月の学校の冬休み中にも「スト&デモを辞さない」と鼻息荒い。21日はLFI(屈しないフランス)が若者に呼びかけ、15万人が(若くない人も)反対デモをした。「マクロン、われわれの定年の墓堀人」「仕事の囚人は早死にする」のプラカード。photo:la Voix du Nord改革案の中で最も拒...

  • 年金改革反対デモ:催涙ガスで泣く

    午後4時にうちを出たとき、バスティーユ広場はデモの参加者で埋まっていた。突然写真に入りたがったオジサン雰囲気は平和的、は言い過ぎだけど、わりと静か。打ち合わせの場所はレピュブリック方向に歩いて15分。大丈夫か、とボーマルシェ通りを歩き出した。レピュブリック広場とバスティーユ広場を結ぶ大通りだ。メトロ一駅分(東京の一駅分よりずっと短い)歩いた辺りで、レピュブリックから来る人の波が倍増して殆ど進めなくな...

  • このお店、2度と来ないと決めた

    プレゼントでもらった革の手袋のサイズが合わず、交換してもらいにお店に行った。マドレーヌにあるHelionという手袋専門ブランド、創業1925年という老舗だ。お店は小さく古めかしく、奥に事務机があり、書類が散らかっている。店長らしき老婦人と、オバサンの店員。2人とも近所のパン屋の店員さんのような恰好で、店長おばあさんにいたってはダウンジャケットだ。老舗ブランドのエレガンスは微塵もなく、感じの悪さだけは保ってい...

  • 差別&問題発言が多すぎて

    ディディエ・デシャンのフランスチーム総監督の契約が2026年まで更新された。ジネディン・ジダンが望んでいたポスト:「僕の夢はフランス代表チームの監督になること」。それを期待していた選手、ファンも多い。夢が叶わなかったジダンを、ブラジルが監督として欲しがっている。photo:franceinfoインタビューを受けたフランスサッカー連盟会長、ノエル・ル・グラエ「ジダンがブラジル?そんな馬鹿な・・・まぁどこでも行きたいクラブ...

  • 日本映画のリメイク2つ

    1952年.ヨーロッパは第二次大戦の荒廃から立ち直ろうとしていた。ロンドンの市役所課長、ミスター・ウィリアムズは一部の隙もない服装で毎朝定刻に出勤してくるが、持ち込まれる陳情は「急がなくてもいい」と机の脇に積み上げられ、その山はうず高くなっていた。ある日、珍しく早退し、ウィリアムズ氏はかかりつけの医院へ赴く。そこで、末期がんで余命が1年もないことを告げられる。自分の人生を振り返ってみると、仕事への情熱...

  • このフェーヴ、中国産!

    パン屋ではクリスマスの翌日から売り出すギャレット・デ・ロワ。ビュッシュ・ド・ノエルとギャレットで年商の40%稼ぐというから 気持ちはわかるけど、本当のお祝は今日、1月6日の Epiphanie/公現祭。東方の三博士がはるばるイエスの誕生を祝いに来た記念日だ。フランスで90%の人が一度は食べるギャレット、1月末まで売り続けられる人気の理由は素朴な味とフェーヴの楽しさでしょうね。元来、ソラマメ(fève/フェーヴ)を入れ...

  • 是枝裕和監督&海外俳優

    大雨の夜、若い女が、教会の「赤ちゃんポスト」の前に乳児を置いていく。赤ちゃんの名前と「必ず迎えに来る」と書かれたメモが添えられていた。間もなく、教会の養護施設に勤めるドンスとクリーニング屋のサンヒョンが乳児を連れ去った。2人は「赤ちゃんポスト」に捨てられる乳児を、子供が欲しい夫婦に斡旋する闇仕事をしていた。人身売買だ。それを捜査している女性警察官2人が現場に張っていて、サンヒョン&ドンスのワゴン車...

  • 必ず美味しいポトフー

    肉屋さんの「ポトフー用牛肉」はGîte, Paleron, Macreuse・・・これにJoue de bœuf(頬肉)が加わることもある。この中でMacreuseマクルーズは脂肪分が少なく、出来上がりがパサつくのでわたしは避ける。他の4種から2種組み合わせるのをお薦め。大晦日の夜用に、腿肉/Gîteと頬肉/Joue de bœuf半々で計1.2㎏買った。その他の材料ニンジン(できれば砂地で育った砂ニンジン/carotte de sable)大きさにより6~10本カブ(できれば黄色...

  • 東京⇒パリ便、要注意

    朝9時の便が、その日唯一の直行便だったから取ったけど、後悔した。当然その日は使えない、どころか、わたしたちは5時前に起き(睡眠時間2時間半)。5時50分にタクシーが来た。このタクシーを予約するのが一苦労。便は9時10分、羽田まで40分、だから6時に出ればいいだろうと、大手タクシー会社を3件当たったけど、全部「6時台は一台もありません」。日曜の朝早くからみんなどこへ行くのよ。それで時間を10分ずつ前倒しにし...

  • 去年と同じメニュー

    粗食に驚いた東京⇒パリ便、それからクリスマスの食事を書くのが正しい順序だけど、クリスマスから書くことに。パリに着いてからイヴまでたった5日間。疲れているのに時差で早朝に目が覚めるもんだから2~3日はボーっとし、そのうえ東京では全然クリスマスモードではなかったので頭の切り替えに時間がかかり、木曜日にハタと「準備始めないと大変なことになる!」クリスマスはディジョンの義妹の家とうちと交互にすることになっ...

  • 意味がわからない決まり

    キャッシュカードをゲットし、デパートの化粧品売り場、より正確には資生堂のコーナーへ行く。わたしはリキッドファンデーションとパウダー、娘は、「しわの予防は20代から」と乳液と保湿クリーム。綺麗な販売員が、ファンデーションをわたしの顔に伸ばしながら「プルンプルンですね」マスクを取るとたるみが目立ち、プルンプルンのわけないでしょ。娘は口の形を褒められ口紅も買うことに。さすがにお世辞が上手い。免税手続きをす...

  • なぜコンビニおでんを4回食べることになったか

    今回の帰国の一番の目的は、実家の片付けだ。おばあちゃんから三世代暮らした家は、捨てるべきものが多すぎる。例えば、「水漏れ」と貼り紙があるお茶碗までご丁寧にしまってある。昔のお中元のタオルが何箱もあり、タオルにはカビが生えている。形式だけの贈り物はこういう運命を辿るのだ。入れ子のロシア人形のように、捨てても捨ててもまだモノが出てきて、よくこれだけとっておいたもんだ。断捨離なんて言葉がない時代だったの...

  • 残る手段は

    パリから日本に発つ友人を探してキャッシュカードを持ってきてもらう、しかない。あちこちに尋ねたら、ちょうど次の週末に発つ友人が見つかった!その友人は関空に着くので、そこから送ってもらうことになり、ひと安心で眠りにつく。8日後、ついにカードを手にし-運んでくれた友人に感謝!-銀行に駆けつけた。書き忘れたけど、わたしの口座は非居住者用で制限が多い。一番不便なのはネットバンキングが-残高を見ることすら-で...

  • 忘れてくるなんてどうかしてる

    旅行に出るとき、よく大事なものを忘れるけど、日本は“何でもある国”、困ったことはなかった。でも今回は困った:キャッシュカードを忘れてきたのだ。空港で気づいたときはギョッとした。円安だし、フランスのクレジットカード(忘れていない)を使えばいいんだけど、娘と2人分の飛行機代やらAirbnb代が落ちた直後、残金わずか。通帳は持ってきたからそれでお金を下ろせるだろう。着いてすぐ週末だったので、週明けに口座のある支...

  • 東京冬景色

    灰色のパリと違って、晴れた青空が嬉しい。気分が明るくなる。洗濯物が盛大に並ぶ日本の朝。冬に夏ミカン?気候変動のせい?娘が飛び上がってゲット。香りはいいけど、皮が硬くて酸っぱそう。こっちは季節を間違っていない。美味しそう。でも人の家の木だから取ったら怒られる。ポン・ヌフの鍵の発想モトはおみくじだった?夕暮れの景色はちょっと物悲しい。夕焼け小焼け♬、カラスと一緒に帰りたくなる。ある晩、用事が長引き、レ...

  • 猫がハンスト

    スーツケースが出てくると猫は「だれかがどこかへ行く」とわかるのだ。夫がスーツケースに詰め始めてもあまり心配しないけど、娘やわたしだと、中に入って寝て「中にいたら行けないだろう」というメッセージを送ってくる。今回は娘とわたし両方がスーツケースを詰めていたので「えっ?あのオジサン(夫)と残るの?」と不安を隠せなかった。彼は猫の鳴き方の違い(「のどが渇いた」「腹が減った」「ドアを開けてくれ」・・・)がわか...

  • 羽田の不可解

    東京に着いてから、毎日慌ただしく、気が付けばもう5日目。あっという間でもあり、飛行機に乗っていたのがずいぶん前のことのような気もする。巻き戻すと、今回は、料金が一番良心的だったANAに乗った。直行便で、しかもエコノミーと僅差だったプレミアムエコノミーが取れた。エールフランスのラウンジ(ANAのラウンジはないので)に行ったら、ほぼ全員の目がテレビ画面に集中している。なるほどWCフランスVSチュニジア戦。フラン...

  • 『天国でまた会おう』の続き、『炎の色』

    1929年.大銀行家マルセル・ペリクールの葬儀にパリの政界財界の要人が集まっていた。ひとり残された娘のマドレーヌ。戦争で顔の大半が吹っ飛び仮面の男だった弟エドゥアールは7年前に自殺、夫のプラデルは詐欺行為でムショ暮らしだ(『天国でまた会おう』)。それだけで十分不幸なのに、参列者の目の前で、息子のポールが、祖父マルセルの棺めがけて窓から飛び降りた。命は取り留めたものの、半身不随になる。金融のことは全く無...

  • 出会った日が大事

    娘とその彼は、出会って6年の記念日にヴェニスに出かけた。ムム・・・冬のヴェニス、ロマンチック。彼の友達がEasyJet に勤めていて、「チケットが安くで買えた。2人で往復100€ちょっと」「ひとり50€?!田舎(パリから250㎞)に電車で行くのと一緒じゃない!」その代わり朝7時の便で、4時にうちを出て、10時には写真が送られてきた。出会った日は、結婚記念日(彼らが結婚するかどうかわからないけど)より意味がある気がする。...

  • 『最も美しいコラボ』続き

    同じ記事に載っていたクリスマス向けコラボで、より現実味がある(=買える人が多い)のは、アディダス&Rimowa/リモワ。Rimowa X Adidas - DR1898年から続くドイツの老舗ブランド、リモワは航空機にインスピレーションを得たアルミニウムのスーツケースで有名。それがバックパックになった。アディダスも(多国籍だけど)ドイツブランド。サッカー日本代表チームのユニフォームもアディダスだ。この100%ドイツコラボでスニーカー...

  • 『最も美しいコラボ』

    と題された記事の筆頭にこの写真。Richard Hennessy x Berluti - DRカーフのアタッシュケースに、超限定エディションのコニャックが組み込まれた、ベルルッティ&ヘネシーのコラボ(どちらもLVMHの傘下)。バカラのクリスタル瓶の中で琥珀色に輝くのは、1年に12樽(560㍑x12)しか造らないという希少価値のコニャック。ケースやボトルのデザインに一瞬目を見張るけど、洋ナシ形の穴の開いたアタッシュケースは実用的だろうか?(...

  • 居座るネズミと読めない漢字

    「なんで猫が2匹もいてネズミを殺せない!」と夫が怒鳴る。「そういう育て方しなかった!」とかばうわたし。猫が見張りだしてから5日目だというのに、まだネズミは出て行かない、どころか2階まで上がってきた。古い建物で(バスティーユ牢獄の石!)天井が高いので、先住人だか先々住人が中2階を作っている。中2階でも階段は10段あり、あの小さい身体で(ネズミの話)いつの間に上ってきたのか。とにかくリュリュは寝室の前に...

  • 都会の猫、田舎の猫

    タマが電子レンジを見張っている。こういうポジションの猫を見るとギョッとする。ランプで照らしたら、小さい、それは小さい灰色の姿が見えた。その日は夫が田舎に言っていたので、ひとりでゆっくり映画を観よう!と思っていたのにそれどころではなくなった。ネズミが至近距離にいると何とも落ち着かない。そのうちタマは見張り台から降りソファで丸くなったので、ランプで照らすとネズミさんはいなくなっている。入ってきた穴から...

  • 運命の分かれ道

    土曜日の朝、北フランス、リール市の中心街で、2つの建物が崩壊。photo : France Bleu住人たちが夜中に避難して無事だったのは、深夜3時過ぎに帰ってきた学生さんのお陰。友達と飲んで遅く帰ってきたら、建物の壁が反っている。彼は同居している友達と相談し、消防署に電話した。消防士はすぐに駆け付け、これは崩れる、と判断し、住人たちを避難させる。建物は翌朝9時15分に、隣の建物を巻き添えにして崩壊した。特に危険性が...

  • ボン・マルシェによる「ノエルの幸せ」

    ボウイの映画を見逃したわたしは、バスを乗り換えサン・シュルピス広場で降りた。今ではマレのほうが人気があり、週末は人が溢れているけど、この界隈には成熟した、ちょっとデカダンな雰囲気があって、小雨の降る夕暮れに似合っている。Berlutiのウィンドウ。2017年、大統領有力候補だったフランソワ・フィヨンが失墜するきっかけのひとつとなった高級ブランド。ボン・マルシェをひと回り。LVMHの傘下になる前の方が商品選びが面...

  • 腹の立つ日

    「観た?」「何を?」「ボウイの・・・」「ボウイの何?!」デヴィッド・ボウイのドキュメンタリー映画『Moonage Daydream』が9月末に封切りになったのを、友人との会話で初めて知ったのだ。ラジオはよく聞いているのに、誰も取り上げていなかった・・・とメディアに腹が立ち、気づかなかった自分に腹が立つ。パリの上映館は3つしかなく、それも一日1回か2回の上映で時間は毎日変わる。ようやく、まともな時間(18時)にカルチエラタ...

  • お墓参り

    11月1日は「諸聖人の日」で祝日。お昼ご飯のとき夫が、「アンリエットのお墓参りに行こうと思う」アンリエットは夫の大叔母さん。「子供の頃から、ずいぶん可愛がってもらった」わたしが初めて会ったとき既に未亡人で、古い家具の匂いがするアパルトマンに一人暮らし。寝たきりになってからは、失業していた若い知人の男性に世話を頼み、住み込んでもらっていた。わたしの名前を覚える前に物忘れがひどくなり、「ケザコ」と呼ばれ...

  • 必見『トライアングル・オブ・サッドネス』

    若く美しいカップルがレストランで食事を終え、男性が払ったところ。メイク直しに専心していた女性はふと目を上げ、「どうしたの?」「今夜は君が奢ってくれるって言ったよね?」「そんなこと言った?割り勘にしたいなら払うわよ」とバッグを開けるふり。「お金の問題じゃない」「じゃ何の問題なの?」「ボーイさんがここにレシートを置いたの、見たよね?」「気がつかなかったわ」「気がつかないはずないだろう」倦怠期を感じさせ...

  • 息子の急襲と子猫のお守り

    パリに帰ってくると、息子は連日友達と会ってあまり顔を合わせないけど、今回はけっこうウチにいた。従弟とヴィデオゲームをして「そこだ!行け行け!」「ろくでなし!」と怒鳴り合っている。学生の時と変わってないじゃない。近所に住む友人が子猫を飼ったと聞いてすぐ駆けつけ、「滅茶苦茶かわいい。人懐っこくて僕にもグルグル言うんだ」日本に3年いて、今年は1月から出張続き。猫に飢えているらしい。「どのくらいの大きさ?...

  • 息子の急襲とチーズの値段

    デンマークに出張している息子が「週末帰れるかも」週末が近づいても「かも」のままで、田舎に行く用事がある夫は、行くべきか行かぬべきか?2か月以上会っていないから逃したくないので、「帰れる可能性が大か中か低か、はっきりしてくれ」とメッセージを送ったけど、返事はなく、夫はブツブツ言いながら田舎に発った。そしたらその日「今夜パリに着く!」さらに「1週間いる」そういうことは早く言ってよ!週末しかいないと思っ...

  • 7年前の『Novembre』

    129人が死亡、413人が負傷した2015年11月13日パリ同時多発テロが発生してから18日までの、司法警察テロ防止室の捜査の5日間。映画の筋を要約するとたった2行だけど、不眠不休の捜査官たちのテンションと焦りが伝わり、居眠りなどできない1時間50分。『Novembre/11月』13日夜、テロ防止室には捜査官がひとり。そこへ電話が鳴りだす。彼が受話器を取らないうちに2台目の電話、3台目…すべての電話が鳴りだした。大変なことが起こ...

  • 日本じゃ着れない2023年夏モード

    NY、ロンドン、ミラノ、パリと続いたファッションウィーク。2023年春夏コレクションの傾向は、楽観(明るい色調、セクシーなスケスケ、フリル)と不安(黒、レザー、ミリタリー)に分断される、と業界紙。今のご時勢で楽観的になるのは難しい気がするけど、日本で外国人ツーリストが解禁になったし「コロナがインフルエンザ級になってきた」のは確か。一方近未来への不安の原因は、長引くウクライナ戦争、エネルギー危機、気候変動...

  • もうひとつの映画化『シンプルな情熱』

    『昨年の9月以降、わたしは彼を待つこと-彼が電話をかけてくるのを、そして家へ訪れるのを待つこと以外何もしなくなった』で始まるアニー・エルノーの自伝小説。離婚した”わたし”と、妻子ある東欧の外交官Aとの情熱的な関係を綴ったもの。“わたし”はAからの電話を逃すのを恐れて外出を控え(携帯電話がない時代だから)掃除機やドライヤーすら使わないようにし、「1時間後に着く」と電話があれば、憑かれたように部屋を掃除し、...

  • アニー・エルノーにノーベル文学賞

    「聞いた?」娘の彼、ティボーからメッセージが来てラジオをつけたら、ちょうど「アニー・エルノーにノーベル文学賞」で騒いでいた。ティボーがわざわざメッセージを送ってきたのは、彼の母親と、(義母になるかもしれない)わたしが好きな作家だから。アニー・エルノー81歳。photo:Franceinfo好きだけど、ノーベル賞はちょっとびっくり。日本でそんなに知られていないし、フランスでもベストセラー作家ではない。ノルマンディの村...

  • マレ・ザッピング

    2週間くらい前からヴォージュ広場の大半が立ち入り禁止で、この作業-木を赤いチューブでぐるぐる巻き-が行われている。こんな光景は初めて見るので何事か?とうちに帰って調べたら、樹皮を護るためだそう。なぜ突然、樹皮を護ることにしたかというと、付近(15m以内)で工事が行われるから。樹皮のすぐ内側に樹液が貯えてあり、工事で樹皮が傷つくと木が水不足になるから、こうやって保護するそうだ。なるほど。でもなぜ赤?も...

  • ロシアはほんとに怖い国

    2017年。ロシアのイルクーツクで、アリアンス・フランセーズの校長をしているマチュー。フランスに帰りたがっている妻と、最愛の娘と暮らし、仕事は順調だ。ある日突然、警察官たちが自宅に押しかけ、娘の目の前でマチューは暴力的に逮捕される。訳が分からないまま投獄され、自分の罪状がペドフィリーであることを知る。耳を疑うマチュー(ジル・ルルーシュ)。どこからそんな根も葉もないでっちあげが出てくるのか?「コンプロマ...

  • 本物のプリズンホテル

    出張でフィンランドにいる息子は、ヘルシンキからトゥルク/Turkuという町に着いた。バルト海に面した港町。「ここからフェリーでストックホルムまで11時間」「11時間!」飛行機ならひとっ飛びだけど、車があるから飛べないのだ。「ヘルシンキからだと15時間かかる。それより僕の泊まっているホテル、モト刑務所なんだよ」「!?じゃ部屋は狭い?」「ううん、けっこう広い」カメラでぐるりと見せてくれた部屋はふつうのホテルと変わ...

  • ウイキョウは美味しい

    香りはアニス、繊維質でセロリに似ているFenouil/ウイキョウ、またはフェンネル。夏から秋がシーズンだ。魚と相性がよく、レストランではスズキの付け合わせで出てくる。スズキは高級魚なのでこの一皿は高いはず。photo:comptoir des vignesあんまり一般的な野菜ではないけど、うちでは1週間に一度は食べる。フランス人はこれを真っ二つに切り、オリーヴオイルをかけ、オーヴンで焼くけど、時間がかかり、何よりかなりのオイルを...

  • こっちは現代版三角関係

    「あなたと寝たい。がまんできないくらい」とシャルロット。「そんな…早すぎる。出会ったばかりじゃないか」とシモン。彼は妻子持ちで、20年間浮気していないのだ。一方、シャルロット(サンドリン・キベルラン)は連れ合いと別れたシングルマザー。積極的でダイレクトな性格。躊躇うシモン(ヴァンサン・マッケイン)に、「お互い惹かれ合っているんだから、明日のことは考えず、今を楽しめばいいじゃない」シャルロットに押し切...

  • フランス式(?)三角関係

    中年過ぎカップル、サラ(ジュリエット・ビノシュ)とジャン(ヴァンサン・ランドン)。うっとり見つめ合い、暇さえあればキスして抱き合い…一緒になってまだ長くない雰囲気だ。仕事を探しているジャンは、ある日、「フランソワから仕事を提案された」「フランソワ?」フランソワ(グレゴアール・コラン)はサラのモト彼で、彼女とジャンを引き合わせたのも彼だった。2人の生活にフランソワが影のようにつきまとい始める。サラは...

  • フランス結婚ラッシュ

    メトロの廊下に結婚サロンのポスター。こういう伝統的結婚式をする人たち、減っているのでは?と思いきや「サロンは大賑わい」とニュース。コロナで結婚(パックス)しそこなったカップルに加えて、コロナ中に届けは出したけど、パーティができなかったカップルも押し寄せているそうだ。ロックダウンが続いた2020年に結婚したカップルは15万4600組で、第二次大戦末以来、最も少ない。その代わり、パックス数は結婚数よりやや多い。...

  • 目の不思議

    コンタクトレンズの処方箋をもらいに眼科に行ったら、先生が、「あなた、オルトピストに一度検査してもらったほうがいいですね。必要ならリハビリを」Orthopiste/視能訓練士。子供が中学生くらいの時、しろうとが見てもわからないくらいの斜視があり、リハビリ訓練に通ったのを思い出した。わたしの場合は左目が“ちゃんと見ていない”らしい。子供が通った視能訓練士に予約を取り、1回目はテスト。棒の先についたサイコロを目から...

  • フランス語との戦い

    「若気の至り」の続きです。パリに着いたばかりのわたしは、フランス語の読み書きはそこそこでも、しゃべれない&聞き取れない人だった。カフェで「カルト、シルヴプレ」と頼むとメニューの代わりにタルト(!)が出て来てショックを受け、滞在許可証の窓口で皮肉を言われても言い返せず悔しい思いをし、大学の授業で意見を言わなくちゃと思いつつ、言わずじまい。これではいかんと、言いたいことを書いて前もって丸暗記するという...

  • SFと呼ぶには現実的すぎて

    近未来の日本では、老人人口が増え続け、社会の重荷になっている。“少しでもその数を減らすため”、老人ホームを襲い、入居者を殺す事件が相次いだ。政府はついにPlan75を可決する:75歳以上の国民に安楽死という選択を与え、支援する制度だ。78歳のミチ(倍賞千恵子)はホテルで清掃婦をしている。身寄りはないし、仕事もいつまで続けられるかわからない…ミチはこのプランに申し込もうと決める。日本では6月に封切りになった早川...

  • 『再び出会うパリ』

    土砂降りの雨に遭い、飛び込んだブラッスリーは一杯で、向かい側の席は誕生パーティだ。雨が止むのを待ちながらミアがワインを飲んでいると、突然、黒づくめの男たちが踊りこんできて、お客を片っ端から撃ち始めた。耳をつんざくカラシニコフの音。飛び散る窓ガラス。床に伏せ、ミアは息を殺す。周囲には血だらけの人たちが横たわり、息絶えている人もいた。テロから3か月後。怪我も治りかけ、ミアは仕事に復帰しようとしている。...

  • 息子のロードムービー

    「今日はどこにいるの?」が息子と話すときの決まり文句になった。IT会社にいる息子は、日本の新車のIAをテストするため、ヨーロッパの街から街を走ってデータを取っている。4月~6月はドイツ、デンマーク、スウェーデン、フィンランド、エストニア、リトアニア、ポーランド…ひとつの街に4-5日いて、予め決めた道を走り、人工頭脳が標識をどのくらい読み取れるかなどテストしていた。今回はオーストリア、ハンガリー、クロアチア...

  • ミツバチを救え!

    Mickey 3Dの先見の明に驚くのは早い。「楳図かずおは、1975年のSFマンガ『漂流教室』で、既に公害・気候変動を見ていた」という記事を朝日の『天声人語』で読んだ。ある小学校が校舎ごと荒廃した未来に送り込まれる。食糧がなくお腹を空かせる子供たちは桃の花が咲いたことに喜ぶ。ところがその世界にはハチも蝶もいないので、植物には一切実がつかないのだ。アメリカで2019年にハードカバーの完全版が出た。©2007 KAZUO UMEZZ/S...

  • 2022年の夏は、これから20年の間で一番涼しい夏 !?

    2022年の夏が2003年に次いで一番暑い夏だった、と仏気象庁の発表。酷暑が早く始まり(日本もそうでした)6月16日にHérault/エロー県で40度を記録。真夏日が33日も続き、熱帯夜はニースで61日間続いた。「今から2050年までの夏の半分は、同じくらいか、更に暑くなるでしょう」という気象庁の予想に、いや、それは甘い、と気象学者のひとり。「2022年の夏は、これから20年の間で一番涼しい夏になるでしょう」ホラーな予言ではない?...

  • 若気の至り

    「思い出がどっと」からの続きです。夕食に誘われても、その頃のわたしは会話の半分しかわからなかった。“わかった部分”で何か反応したいと思っても、言葉が出てきたときは別の話題になっている。一瞬みんなポカンとし、「ああ、さっきの話ね」日本の大学で4年間フランス語をやったっていうのに…文法や読みはできても、決定的に欠けているのは会話。第一、10月に始まった大学の授業でも、みんなが自分の意見を-それがトンデモナ...

  • 思い出がどっと

    この前、Journal du Japonに載ったインタヴュー記事に「コメントが来てますよ」と言われて見たら、パリに着いて最初に友達になったベアトリス!35年以上前の思い出がどっと蘇った。ステュディオを探す間泊まっていた2つ星ホテルの受付にいた女性で、少しずつ言葉を交わすようになった。大学の授業が始まる前でひとりぼっちだったわたしを気にかけてくれて、いつの間にか彼女の友達グループに入っていた。ブルターニュ出身の女子3...

  • ティム・ロスに拍手『Sundown』

    超リッチなイギリス人家族-ニール(ティム・ロス)と妹アリス(シャルロット・ゲインズブール)とその子供2人-がアカプルコの超高級ホテルで休暇を過ごしている。プールサイドでカクテル、スパでマッサージ、レストランでディナーショー…“酒と薔薇の日々”が「親が危篤」という一本の電話で断ち切られる。すぐにロンドンに発たなければ。パニックで荷物をまとめ、飛行場に着くと、「ホテルにパスポートを忘れた」とニール。「こ...

  • 天変地異とトマトのサラダ

    ブログ上ではまだニースにいるみたいだけど、パリに戻ってもう1週間が経つ。戻って数日後の18日、コルシカ島で激しい雷雨&暴風が起こり、5人が死亡、13人が怪我。プロの写真はすごい。photo: Paolini Photography亡くなった方は、倒れた木や飛んできた屋根の下敷きになった。photo:midilibre.fr「平たく言いますと、酷暑で海水の温度が上がり、上空の冷たい空気と出会ったのが原因。気候変動の影響」とラジオ。日本の天気予報で...

  • ツートンの海、ランピア港

    帰る前日、海岸に行くと波が荒く、海がきっぱり2色に分かれている。遠目には綺麗だけど、近づくと色の薄い部分はゴミや海藻がたくさん浮いている。「底に沈んでいたゴミが、波でかき回されて浮いてきたんだ」と夫。昨日まで底が見えるほどきれいだったのに。紺碧色の部分は海が深いので、いつもの色を保っているというわけか。さすがに海に入っている人は殆どいなくて、果敢に泳いでいるのは子供2人だけ。こんなに汚いのに!親の...

  • Monoprix も負けるニースのスーパーCasino

    大きなスーパーCasinoまで歩いて5分、とすごく便利。ヴァカンス客が多いボーリューのスーパーは夏の書き入れ時、値段を上げていてパリより高かった。ここは良心的値段だ。「毎日夜11時まで」というので7時40分に入ったら、魚売り場のオジサンが魚を箱に閉まっているところだ。「えーっもう買えないんですか?」「そう、もう買えない。魚売り場は夜8時まで」「まだ20分あるじゃないですか」「わたしが8時に店を出るってこと。そ...

  • 最も貧富差が激しい街

    マルセイユはフランス第二の都市。でも面積はパリの2倍以上。フランスで最も貧富の差が激しく、20%の超富裕層の平均収入が、20%の超貧困層の5.4倍。富裕層は南に、貧困層は北に多く、この2つの層が敵対していると言われる。MUCEM博物館を探して歩く間も、修理・修復されていない建物が目についた。夫がびっくりして見ているので「似合いそうだよ」港町なので文化や人種の“交差点の街”。移民が多く、19世紀末にはイタリア人(イ...

  • マルセイユ、歩き過ぎの一日

    「マルセイユ、行かない?」と気軽に言ったのは、ニースから海岸電車に乗って1時間くらい、と思ったからだ。実は200km以上離れていてTGVでも2時間40分!方向音痴だけじゃなく、わたしには距離感もないということ。往復5時間なんて・・・と諦めかかったら、夫は逆に乗り気でTGVやMUCEM(ヨーロッパ&地中海文明博物館)の予約をしてしまった。ニース発のTGVはアンティーブ、カンヌ、サン・ラファエル、マルセイユに止まり、終点はパ...

  • 気さくな人たち

    この界隈では人が気軽に話しかけてくる。着いた日から、ベビーカーを押した女性に、アイスクリーム屋はどこか聞かれ、スーパーに入れば「西瓜の選び方」を聞かれ(日本の八百屋さんはポンポンと叩いていたけど、どんな音がすれば美味しいのかは不明)、セルフレジでは“お札が入れられない”おばさんから呼ばれる。海辺で夫がパラソルを立てようと柄で穴を掘っていると、どこからともなく日に焼けたオジサンが現れ、「こうやるんだ」...

  • ニース石ころ海岸

    アパルトマンがあるのは旧市街やプロムナード・デゾングレからかなり離れた、つまり中心街から離れた空港の近く。多い時は5分置きくらいに飛び立つ飛行機が、手を振れば乗客に見えそうなほど近くを横切っていく。ヴァカンス客がいない庶民的な地区で、レストランが一件もない。寂れたホテルが一件。あるのはスーパーと、地元の人が数人、ビールを飲んでいるバーと、宅配ピザ。一番近くの海岸まで徒歩13分。平らな道なので夫が歩け...

  • 今夏のアパルトマン

    去年会ったときはフリフリのワンピースで、それで余計リカちゃんぽかった奥さんは、黒いワンピースで大人っぽく変身していた。わーよくいらっしゃいました!と笑顔で、感じのよさは変わらない。入ってすぐのサロン。お土産に持ってきた風鈴を予想以上に喜んでくれた。それもそのはず、まだ彼らの物が残っているアパルトマンは、可愛いオブジェがあちこちに。十字架やキリスト像も各部屋にあり、熱心なカトリックのようだ。調理器具...

  • ニースへ

    今年は出遅れて、毎夏のように借りていたボーリューのアパルトマンが一杯だった。いつも頼んでいるドミニックが、「Airbnbのサイトに出てるんで、自分を介さずに予約が入る。どうしようもない」「じゃ同じような間取りで同じくらいの値段のを探して!」そしたら「一般に貸していないニースの物件」を見つけてくれた。ニース…?ボーリューはどこへでも歩いて行ける町の小ささや、海岸の家族的な雰囲気が好きなのに。「飛行場の近く...

  • 衝突の続き

    「なぜすぐ電話しなかったの!?」と娘。「だって大したことなかったから」「その男も怪我したの?」「してなかった」「バスの次は自転車!?」と息子。そんな、大昔の話じゃない。25年くらい前、わたしは信号無視のバスに跳ねられ、鼻、歯2本、肋骨2本が折れ、脳震盪まで起こした。オフィスのパソコンはつけっぱなしで、幼稚園に息子を迎えに行ってもいないので、夫は「何かあった」。パリ中の病院に電話したら何件目かで「交通...

  • 衝突

    2020年夏から、下記の標識がある場所で、自転車は、信号が赤でも歩行者を優先しつつ直進(または右折、左折)していいということになった。車を減らして空気汚染を改善するため「公共交通機関か自転車を使え」というお達しで、こういう処置になったけど、「歩行者を優先しつつ」という条件を飛ばし「信号無視していい」という理解で走ってくる自転車が多い。その上パリは、「車を締め出そう」というイダルゴ市長の政策で、あちこち...

  • 放火犯人は“消防士の鏡”

    モンプリエ近く、南仏エロー県の森林火事は1000ha近くを焼いた。photo:le monde放火の疑いで拘束されていた消防士が自供:21日のSaint Jean de la Blaquière/サン・ジャン・ドゥ・ラ・ブラキエール、26日のPrivat/プリヴァ他4か所にライターで放火した 。過去3年の地元火事についても「自分がやった」。37歳(ラジオのニュースでは44歳…)、妻と子供2人。地元サン・ジャン・ドゥ・ラ・ブラキエール出身。20年来ボランティア消防...

  • この映画はすごい

    イラン第二の都市マシュハド。女性が台所で濃い目の化粧をしている。花柄のヴェールをかぶり、眠っている女の子に「目が覚めた時、お母さんは帰っているからね」と言い、夜の街に出ていく。他に生活費を稼ぐ手段がみつからないのだ。いかがわしいその地区には同じ職業の女性が何人か立ち、車が止まるのを待っていた。バイクの乗った男が止まり、手招きする。「お金を見せて」男が札束を見せると、女はバイクの後ろに乗った。女の子...

  • 外国人差別&外国人ハンター

    児童関係の書籍を作っている友人に3年ぶりに東京で会って、ご飯を食べた。彼女曰く「日本の教育で一番欠けているのが『差別』『性教育』とわかって、この2つのテーマの企画がぞくぞく」お父さんが中学生になった息子に、「そろそろおまえにも性の話をしなくちゃいかん」「そう、パパ。何が知りたい?」というギャグを思い出し、子供は教えなくても知ってるわよ、と言いそうになり、いやいやウェブや雑誌ではなく、ちゃんと教えた...

  • 『信じられないけど本当の話』

    アランとマリーは念願の“自分の家”を探している。不動産屋が案内したのは、庭つきの2階建て。家は広くて改造の必要もなさそう。2人がかなり乗り気になっているところへ、「この家、実は驚くべき穴場があるんですよ」と不動産屋は意味ありげな笑いを浮かべ、地下室に連れていく。そこにはマンホールがあった。「コレなんです。まぁ入ってみてください。」アラン(アラン・シャバ)とマリー(レア・ドリュケール)「これ下水道でし...

  • ヴェル・ディヴ大量検挙事件から80年

    第二次大戦中の1942年7月16~17日、ナチスの占領下のフランスで行われたユダヤ人大量検挙、Rafle du Vélodrome d’Hiver 略して Rafle du Vel d’Hiv、ヴェル・ディヴ事件。フランス警察、憲兵が行ったユダヤ人狩りのことで、1万3000人(うち子供4000人、女性6000人)が検挙され、パリ15区にあった冬季自転車競技場に閉じ込められた。夏の炎天下、食料は与えられず水飲み場は1か所、トイレも殆どない。人間の尊厳などみじんもない...

  • 森と林と火事

    気温が40度を越えた南フランスで森林火事が相次いでいる。南西フランス、ジロンド県では7000haが焼け、住民1万3500人が避難。アヴィニヨン付近で14日に起こった火事は、680人の消防士が出動したのに、すでに1200haを焼き尽くした。ミストラルが火を煽り、水をかけても暑さで蒸気になってしまう。火事の多くは人為的原因:タバコの吸い殻、バーベキュー、そして放火。ポルトガルでは森林火事の原因の多くが“放火魔の消防士”だ、とポ...

  • 足して2で割るとちょうどいい

    “夕食”から約10時間後に出たスナック。〈カラダが喜ぶSky Wellness KItchen :タニタカフェの“噛む”サーモンと雑穀のショートパスタボウル〉パスタが少量入ったボックスに、〈噛むトッピングデリ:大豆ミートの肉みそ、レンコン、紫キャベツのコールスロー(いずれも一口)〉と〈豆乳トマトソース〉を入れ、混ぜ混ぜして食す。非常にアルデンテで、なるほど“噛む”パスタ、カラダが喜んだかどうか知らないけど、味は悪くない。名前...

  • 『KIMI』は『君』?

    ウトウトして目が覚めると日本時間の朝10時。夜10時に飛び立ったから12時間が経った。以前の直行便ならもうパリに着く時間。なのにヘルシンキまで3時間弱。2時間半のトランジットでさらに3時間、計8時間半・・・2つの国は遠くなった。少なくとも直行便に乗ればよかったのに、と言われるだろうが、予約時にはかなり高かったのだ。映画のプログラムを見ると、スティーヴン・ソダーバーグの『KIMI』がある。『オーシャン11~13』『...

  • 「お腹が空いて眠れなかった」

    と、1週間前、JALでパリに発った息子の彼女。「10時間、何も出なかった」は、Finnairで日本に着いたわたしのセリフ。これを聞いた食欲旺盛な息子(Finnair)は、コンビニのおにぎりやらクッキー買い込んで5日前に発った。わたしの帰途便はJALで、いくらなんでもFinnairよりいいだろうけど、羽田で何か買おう、と。ところが、吉野家とモスバーガーしか開いていなくて、ゲート内に入った後も食べ物屋は閉まっている。免税品店すら...

  • 羽田空港第3ターミナル

    は、国際線用の新しい建物で、2019年、羽田から乗ったときはまだなかった。その正面にある夥しい窓が整列した建物は、「ロイヤルパークホテル。7000室。ガラガラだそうです」とタクシーの運転手さん。オリンピックのために造られたけど、オリンピックは観客なし。コロナ感染者の隔離に使われたそうだ。「だからイメージ悪くって」ホテルもガラガラなら、第3ターミナルも人がいない。わたしは春に「誰もいない成田」を見て免疫がで...

  • パリにこういうお店があれば

    夜8時過ぎ、息子カップルと出会って、「今から食べれるのはどこ?」「オトヤに行こうか」「おと屋?音屋?」行ってみたら大戸屋だ。君たちのイントネーション、おかしいのよ。“家庭の食卓にある献立”の定食屋さんで、パリにこういう店があればウケそうだ。わたしはサバの竜田揚げ定食。890円、6€というのが信じがたい。店内には会社帰り、ひとりでご飯を食べている人も多く、買ってきたお惣菜をプラスティック容器のまま食べるよ...

  • 東京ザッピング

    再開発で駅に大きなショッピングセンターができて「どこにこんな土地があったの⁉」と驚くことは多い。お馴染みの地区で一番変わったのは二子玉川。玉川高島屋がどんどん拡張したまでは知っていたけど、その逆側が恐ろしく発展していた。「ここは前何だったっけ?」「遊園地だって」と息子。多摩遊園地?そういえば子供の頃、連れて行ってもらった。当時既に寂れていたような。この中にある蔦屋家電は、椅子がたくさんあり、本を読...

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