真夜中に猫のけたたましい足音。この興奮した走り方の理由はひとつ:ネズミ。わたしがむっくり起き上がるのと同時にリュリュが部屋に駆け込んできて、ネズミ(姿は見えない)をタンスの下に追い詰める。タンスの下は隙間があるけど、さすがのリュリュも入れないので見張り態勢に入った。これでもう出てこれない?と思ったら、勇敢なネズミは隠れ家を飛び出した。全長5㎝、なんと小さい!と感心している間にネズミと猫は再び全力疾...
「補聴器の電池が切れたみたい。よく聞こえないのよ。代えてもらって」3月に帰ったとき、母は毎日のようにこのセリフを言う。そんなに早く切れるわけない、と思いながらスタッフの人に頼むと「またですか」という顔で代えてくれる。けど前のも捨てないでとってあるようだ。「補聴器が合わなくなってるんじゃない?」と言うと、「そうねぇ、だいぶ古いから」補聴器屋さんは渋谷だ。ホームから歩いて5分の川沿いまで「桜を観に行こ...
兄は金持ち専門の弁護士。若い妻と赤ちゃん、前妻との娘と豪勢な家に住んでいる。弟は小児外科医。妻と息子、認知症が始まった母親を引き取って、中流の生活をしている。弁護士、医者と言えば、どちらも社会的にはレベルが高いけど、兄は物質主義、弟は理想主義で気が合わない、どころか軽蔑し合っている。それなのに月に一回、星付きレストランで食事をするのが恒例だ。誰も乗り気じゃない“建て前”の会食。ある日、若者2人が浮浪...
最年少生徒さんは14歳、コレージュ5年生(中学2年生)の女子で、超多忙な毎日を送っている。授業は朝8時から午後4時半(時々5時半)まで。放課後は演劇、柔道、カテキズム(カトリック教理)、Kポップダンス・・・・などで連日埋まっていて、土曜日に日本語を習っている。そして、毎週“コントロール”と呼ばれるテストが2~3回。その上ボーイスカウト(女子も入れる)の活動で、時々泊りがけでどこかへでかけていく。フランスの...
介護ホームで、母がとりわけ懐いているケアマネジャーのAさん。色白の若い女性で、わたしは20代後半?と思ったけど、母に言わせると「若く見えるけどしっかりしているから30は過ぎてる」そのAさんに去年の年末「お話がある」と言われた。「ここを辞める?」と嫌な予感がしたら、果たしてそうだった。理由は「ホームのスタッフとしてできることには限界があるので、独立して、介護や家事支援、散歩、通院などの付き添いをアラカルト...
舞台は夏の神戸。木山、河辺、山下は小学校6年生のサッカー好き3人組。ある日、山下のおばあさんが亡くなりお葬式に行った話を聞き、「死」に興味を持ちだした。近所の一人暮らしのおじいさんが「もうすぐ死にそうだ」という噂を聞き、おじいさんの家を見張ることにする。庭は草木がぼうぼう、縁側のすだれはボロボロ、庭に捨てられたゴミ袋は悪臭を放っている。そのうちおじいさんに見つかり(「まったく親の顔が見たい!」)3...
パリ・サンジェルマン(PSG)がチャンピオンズリーグ(CL)決勝戦でインテルを5対0で破り初優勝を飾ったのが31日の夜。バスティーユ広場まで行ってみたら優勝に熱狂する人の波、爆竹、発煙筒・・・・CL優勝ってそんなにすごいことなの?とびっくりし、暗いニュースが多い中で、これだけ人を沸き立たせるスポーツの力に感心した。シャンゼリゼ大通りはもっと多くのサポーターで溢れた。こういう時、必ず現れるのが壊し屋。デモや集会の...
ジェームスとケンダルの痴話喧嘩は、バーのお客たちが振り返るほど激しかった。「アンタとはもうお終いよ!」と叫んでケンダルは土砂降りの中へ飛び出していく。ジェームスは車でその後を追った。翌朝、ケンダルの死体が橋の下で見つかり、ジェームスは殺人容疑で逮捕される。ジャスティンはこの殺人事件の裁判の陪審員に選ばれた。「いつ生まれるかわからない」臨月の妻を心配して断ろうとするが「そんなに時間は取らない」と裁判...
2023年1月。モンパルナス駅からTGVでボルドーに向かおうとしていた母と娘(15歳)と猫(4歳)。突然、かばんの中に入れた猫が飛び出し、停まっている電車の下に入ってしまった。母娘は、電車の出発を遅らせて猫を捕まえてくれるよう懇願したが、SNCF(国鉄)職員は「猫?電車が走りだせば逃げますよ」と取り合ってくれない。自分たちが線路に降りて捕まえるのも「危険だからダメ」。電車は走り出し「猫は真っ二つになった」と娘...
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