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横溝正史が描いた八つ墓村埋蔵金伝説のルーツを求めて、十数年ぶりに訪れた岡山県。真っ先に足を運んだのは、JR岡山駅から東へ約1キロ、岡山城のすぐ南側に位置する岡山県立図書館だ。 旭川のほとりにそびえる岡山城 この種の伝説調査をする場合、新旧の郷土資料が大量に所蔵されている地元の図書館は「宝の山」であると言っていい。もちろん、文献調査なんかすっ飛ばして、いきなり現地で住民に聞き取りをするという選択肢もあるが、僕の経験から言えば、それはあまりにも効率が悪すぎる。 なぜなら、日本各地に残る伝説・民話の類は近年ものすごいスピードで消滅しつつある。戦前生まれの古老が健在だった昭和の時代ならと
まずは、八つ墓村埋蔵金伝説のモデルとなった伝説を探すにあたって僕が参照した主な文献を紹介しておこう。 1冊目は、日本における埋蔵金研究のパイオニアである畠山清行氏(1905~1991)の「日本の埋蔵金」(1973年・番町書房)だ。北海道の山奥から鹿児島の離島まで全国50カ所近くの埋蔵金伝説を取りあげ、現地調査の結果も交えながら各伝説の信憑性を考察した上下2巻本。埋蔵金マニアの間では「バイブル」と呼ばれていて、絶対に外すことのできない名著である。 2冊目は「別冊歴史読本 日本列島埋蔵金地図」(1984年・新人物往来社)。この本の特筆すべき点は「全国埋蔵金伝説総覧」と題した膨大なリ