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「ファスト&スロー(下)」ダニエル・カーネマン著、村井章子訳、ハヤカワ・ノンフィクション文庫、2014年6月ファスト&スロー(下)ダニエルカーネマン早川書房にほんブログ村上巻で解説した「速い思考」と「遅い思考」の特徴を分析し、人がいかに錯覚に陥りやすく不合理な決定を行うかを浮彫りにした本。上巻は心理学、統計学の理論が中心でしたが、下巻では上巻の内容をベースに、行動経済学の理論を解説しています。プロスペクト理論、保有効果、メンタル・アカウンティング、フレーミングと本書で解説されている用語を追ってしまうと、多くの行動経済学の書籍と同じになってしまいますが、友野典男氏が解説で述べている以下の3つの概念の二項対立という観点で読み返すと、他とは一線を画した内容と言えます。・「システム1」と「システム2」・「エコン」...ファスト&スロー(下)
「ファスト&スロー(上)」ダニエル・カーネマン著、村井章子訳、ハヤカワ・ノンフィクション文庫、2014年6月ファスト&スロー(上)ダニエルカーネマン早川書房人が判断エラーに陥るパターンや理由を、行動経済学・認知心理学的実験で徹底解明した本。行動経済学の本を多数読み、当ブログでレビューしておきながら、行動経済学のバイブルとも言える本書をまだ読んでいませんでした。上下巻に分かれており、まずは上巻を読みました。著者のダニエル・カーネマンはキャリアのスタートがイスラエル国防軍心理学部門なだけあって、心理学、統計学の観点での説明が多いです。人の思考を直感的思考のシステム1と熟慮的思考のシステム2に分類し、実験や日常において、それぞれどのように働いているかを解説しています。行動経済学について8~9割は面白くて役立つと...ファスト&スロー(上)
「実力も運のうち能力主義は正義か?」マイケル・サンデル、ハヤカワ・ノンフィクション文庫、2023年9月実力も運のうち能力主義は正義か?(ハヤカワ文庫NF)マイケル・サンデル早川書房「これからの「正義」の話をしよう」のマイケル・サンデルが、現在の行き過ぎた能力主義に警鐘を鳴らした書籍。邦題「実力も運のうち」は穏やかですが、原題「TheTyrannyofMerit」は直訳すると「能力の専制」。厳しいです。自分なりに本書を要約しました。「人種・階級・宗教・民族・性別などに関わらず、努力して高い能力を身につけた者が、社会的成功とその報酬を手にする「能力主義」は平等に思える。しかしある世代でついた経済的優劣は次の世代に引き継がれ、その差がさらに拡大する傾向にある。能力主義以前、貧困層は貧困であることを人種・階級など...実力も運のうち
「不道徳な経済学」ウォルター・ブロック著、橘玲訳、ハヤカワ・ノンフィクション文庫、2020年1月不道徳な経済学転売屋は社会に役立つ(ハヤカワ文庫NF)ウォルターブロック早川書房サブタイトルは「転売屋は社会に役立つ」。経済学者でリバタリアン(自由原理主義者)の著者が、世間から「不道徳」と見られる人を経済学の理論を用いて擁護する本。原題は「DefendingTheUndefendable」。「擁護できないものを擁護する」という意味でしょうか。著者も無理を承知で擁護しています。訳者の橘玲氏があとがきで触れていますが、著者の論理には手を加えていないものの、橘氏が意訳・超訳しています。原書は1976年にアメリカで出版されていますが、現代的・日本的な具体例が多いです。擁護の対象として、・ツイッター・ホリエモン・ダフ屋...不道徳な経済学