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2019/09/12

1件〜100件

  • パフィー (69)

    2035年1月25日は、歴史上記念せられるべき日となった。地球上で知能が高い猫の一人(一匹ではない)と考えられていたパフィーさんが、ヒトの言語を、それも日本語を意味あるものとして発した初めての日となったからである。この一見、マイナーなニュースは地方の報道機関により、さしずめ午後のお茶に付く甘味のような意味合いで取り上げられると、瞬く間にネットに媒介され、 猫族進化における輝かしい一日 ! 人類新たな同僚を得る ! などの見出しとともに世界中を席巻し、人々を興奮のるつぼに叩き込んだのである。事の次第は以下のようである。 メインクーンとツシマヤマネコのミックスであるパフィーさんは、動物行動学および…

  • 日常小噺7

    今日は天気が良く、 朝から爽やかな風が吹き、緑も美しい。 近くの家では、 水道関係の業者が来て、 車から降ろした自家発電機を作動させ、 何かしら作業をしている、 そこに、 サントリー・グリーンダカラのCMに出てくる、 ムギちゃんのような可愛い女の子が登場、 作業していた中年のおじさんに近づいて行く、 おじさんと幼女の微笑ましい交流が 見られるのかと心和む、 幼女、おじさんの目の前で立ち止まると一言 「ウルサイ」、 おじさん涙目、 20分ほど発電が止まりました、 うん、確かにうるさかった、 【栗きんとん・栗菓子の恵那川上屋オンラインショップ】 【栗の専門店】恵那川上屋がお届けする栗菓子スイーツ

  • 動物-肉2 (68)

    近年の人工肉、培養肉産業の拡大には、動物に対する愛護的感情、肉利用に関する宗教的問題、家畜の排出するメタンガスの問題、畜産業としての環境の悪化など、複数の要因が関係しているわけであるが、細胞培養技術、特に大規模培養技術の進展が寄与するところが大きいように思う。 畜産業では、放牧地や厩舎等の維持管理、病害を抑制しつつ長期間肥育する工程、次世代を得る繁殖工程などの業務があるわけであるが、培養肉産業では、これらの作業、工程の多くが存在しない。基本的には、培養施設、種(たね)細胞の保存設備、(どのような状態で出荷するかによるが)培養肉の加工設備や研究室のみであり、基本、1つの建物内で完結することになる…

  • 動物 - 肉 (67)

    哺乳動物の進化上の話題で驚いたことが二度ほどある。一つは、だいぶ前のことであるが、アフリカの中央領域や南アフリカに住むケープハイラックス(Cape Hyrax, Rock Hyrax, Procavia capensis)という小動物が、ゾウに近縁の動物であるということを知った時である。このイワダヌキという少しユーモラスな目に分類される動物は、一見すると、ネズミやリスのような齧歯目を想起させ、個人的には北海道のガレ場を駆け回るエゾナキウサギ(Ochotona hyperborea yesoensis)を思い出させる。クリスタリンの配列情報の解析に基づくものであり、当時かなり衝撃を受けた事を覚え…

  • 日常小噺6

    自分は野菜好きで、しばしば大量に購入する。そして購入した葉菜等に、時折、生き物が付いていることがある。 以前、キャベツの葉をむしると、モンシロチョウの幼虫と思われる青虫が勢いよく動き出し、びっくりしたことがある。また、購入してしばらく冷蔵庫に放り込んでおいたプーリーレタスにナメクジが付いており、洗う前に動き出したことがある。そして今回は、レタスにカタツムリが付いていたわけである。添付はその時の写真である。意外に大きく見えるが殻の径は1㎝程であろうか。 以上のようなケースは、野菜が低農薬で栽培されていることを意味しているのか、これら生き物が、農薬に耐性を持ちつつあることを意味しているのか、わから…

  • 火星-居住5 (66)full

    (火星-居住4 (65)より) そして、隔壁内の、先に述べたユニットではない建家に浴室を作ることも想定され、さらに推し進めると建家の一部を開放系にし、露天風呂のようなものを構築することも考えられる(日本人的な発想ではあるが)。このように、身体の清潔化における入浴の導入は、未踏の探査地であった火星を、入植地、開拓地に変える転換点となるイベントであるように思われるわけである。 ここまで、火星に人類が降り立ち、居住ミッションを開始し、補給ミッションを受けながら(人員の増加や交代を行いつつ)、居住基地を複雑化し(step 1→step 4)、やがて、町や都市の前駆となる基地群(c1→c3)を形成する過…

  • 火星-居住5 (66)

    (火星-居住4 (65)より) そして、隔壁内の、先に述べたユニットではない建家に浴室を作ることも想定され、さらに推し進めると建家の一部を開放系にし、露天風呂のようなものを構築することも考えられる(日本人的な発想ではあるが)。このように、身体の清潔化における入浴の導入は、未踏の探査地であった火星を、入植地、開拓地に変える転換点となるイベントであるように思われるわけである。 ここまで、火星に人類が降り立ち、居住ミッションを開始し、補給ミッションを受けながら(人員の増加や交代を行いつつ)、居住基地を複雑化し(step 1→step 4)、やがて、町や都市の前駆となる基地群(c1→c3)を形成する過…

  • 日常小噺5

    先日、帰りに某スーパーに寄った。夕食は何にしようかと店内を回っていると、鮮魚コーナーで大量の刺身の盛り合わせセットを見かけた。営業時間も終盤に入ってきて、売り切ってしまいたいという意図からか、少し値下げもしている。刺身を買うことなどあまりないが、たまにはいいかということで、その日の夕食は刺身に決まった(盛り合わせに好きなタコが入っていた事もある)。 帰宅し、夕食の準備をし、刺身を食する事となった。まず、右下にあるメバチマグロからという事で、摘まもうと刺身に触れると刺身の動きで、一瞬本体と箸の間に隙間ができ、その時糸を引いたように見えた。まさかそんな事は無いだろうと、そのまま口に運び味わってみる…

  • つれづれ

    先日、帰りに某スーパーに寄った。夕食は何にしようかと店内を回っていると、鮮魚コーナーに大量の刺身の盛り合わせセットが売られているのを見かけた。営業時間も終盤に入ってきて、売り切ってしまいたいという意図からか、少し値下げもしている。刺身を買うことなどあまりないが、たまにはいいかということで、その日の夕食は刺身に決まった(盛り合わせに好きなタコが入っていた事もある)。 帰宅し、夕食の準備をし、刺身を食する事となった。まず、右下にあるメバチマグロからという事で、摘まもうと刺身に触れると刺身の動きで、一瞬本体と箸の間に隙間ができ、その時糸を引いたよう見えた。まさかそんな事は無いだろうと、そのまま口に運…

  • 火星-居住4 (65)

    (火星-居住3 (63))より さて、この様な隔壁で覆われた居住地が、一定の区域に複数できると、それら基地どうしが回廊で結ばれることが予想される(図4.c1)。また、個々の居住基地表面や回廊から気密域が拡張されることも考えられ、それは、既存の外壁を構造の一部として外側に隔壁が形成され、構築後は元の外壁を取り去り既存の気密域と一体化されるもので、表面的には酵母やヒドラの出芽に似ている(図4.c2)。さらに、既存の気密域や回廊をベースとして増築や拡張が進行すると、ちょっとした町の様相を呈するようになる(図5.c3)。 (図4. 1は(63)のstep 4に相当する居住基地を想到している。 そろぞれ…

  • 火星-娯楽 (64)

    ISSの人員は、日々、健康維持の運動、計画された観測や実験の実施、地上への報告もあるであろうから、決して暇ではないと推定される。伝え聞くところによると、食事が最大の楽しみということであるが、自由時間だってちゃんとあるはずである。では、その自由時間をどう過ごすのか、時折、ささやかに誕生日パーティーをやるようであるが、複数の人員で行う娯楽みたいなものはあるのであろうかと思ってみたりする(帰還した飛行士に聞いてみればよいわけであるが)。 今回は、火星行における娯楽について少し考えてみたい。火星-居住 (60)に述べたように、推進機関の進歩があり、地球から二、三ヶ月で火星に到達できるようになり、幾つか…

  • 火星-居住3 (63)

    (火星-居住2 (62)より) ユニットは、最初の基地の構築後、必要に応じて補給ミッションにより追加され、ハブから分枝する枝のような構造に連結されたり、或いは計画に沿って別の構造に連結されうる(step1、2)。ユニットの幾つかは、水回収、酸素発生、二酸化炭素吸収等の生命維持装置を含み、拡張する住空間の生存環境を維持する。別のユニットは、火星の水の貯蔵や浄水システムに使われ、一部の水は回収水と合わされ、酸素発生に使用されると考えることができる。さらに、火星-居住2 (62)に従うならば、一部のユニットは、植物工場、コオロギや鶏の繁殖ラボに割り当てられ、食料自給の初段の研究がなされることになる。…

  • 火星-居住2 (62)

    (火星 -居住 (60)より) そして、この原子力電池は、火星由来の水の利用や、惑星の環境改変の初段としても、重要な役目を果たす可能性がある。 元々、液体の水が拠点基地近傍にあり、そのような水を基地に引くのが最も簡単な方法であるが、科学観測によれば、今のところ地表近辺に、恒常的な液体の水は存在しないので、極地や平原、渓谷の表面近傍の氷を利用することになる。 さらに、地表に液体の水源を作るという方法も考えられ、その液体の水源の作製に、先ほど述べた原子力電池を装備した環境改変ユニットが使用されるわけである。それは、探査機のように電力の供給を目的にしたものではなく、熱をそのまま利用するものである。よ…

  • OP&ED2 (61)

    以前、アニメのOPとEDの話を書いた(OP&ED(4))。今回はその第二弾である。あれから多くのアニメを見てきたが、気になるOPやEDが幾つかあった。今季放送の物もある。まずはEDから、 1つ目は、少し前の作品であるが、「Another」のEDである。本作は、主人公が転入した学校で繰り広げられる惨劇を描いたホラーであるが、「anamnesis」(歌:Annabel)という曲が流れるエンディングは、内容を微塵も感じさせいない平和で穏やかなものである。血飛び散る本編の相対にある、煩悩から解き放たれた世界、或いはそれを飛び越えた悟りの境地のようにも見えるが、単に凄惨なテイストを中和する、口直しの役目…

  • 日常小噺4

    最近、国道沿いに一軒のスーパーができた。以前そこを通った時は、全国展開する大型の薬局であったような気もするが、よく覚えていない。薬局であった頃は一度も寄ったことなどなかったが、先日、時間があった時、ふと店内に入ってみた。できたばかりなので、照明に照らされた床も壁も陳列も何もかもピカピカで気持ちが良いのはあたり前であるが、店を出た時に気付いたのはその立地の良さである。 店舗の前には国道まで広い駐車場があり、国道を挟んだ向かいには住宅地が続いている。ちょうど店舗の向かい辺りやその両翼には、高い建物が無く開けており、住宅地の向こうの山並みがよく見える。そして、自分が行ったのは夕方であったが、買い物を…

  • 火星-居住 (60)

    (EDと火星(59)より続く) 航行の危険が軽減され、到達時間のさらなる短縮化が計られた結果、火星に数人の人員が降り立ち、科学観測やサンプリングを行い、地球に帰還するというミッション自体は、それ程、遠くない未来に実現するように思われる。一方、火星に降り立った人員が、持続的な居住拠点を作り、定住化するには、多くの課題が待ち受けている。確実なのは、計画の実行には、長期間に渡る(何十年にも及ぶ可能性もある)、地球からの膨大な補給ミッションを必要とするということである。そして、定住化の鍵を握るのが水である。 ちなみに国際宇宙ステーション(ISS)内では、水を電気分解することにより、酸素を製造しており、…

  • EDと火星 (59)

    最近、気になったアニメのEDがある。少し前の作品であるが、一昨年放映された「CAROLE & TUESDAY」のEDである。 火星に移住を果たした人類が築いた未来社会、その社会において、ミュージシャンを目指す2人の若き女性、その女性を取り囲む個性的な面々、それらの人々を巻き込んで物語は展開していく。歌い手の物語であるので、当然多くの曲が劇中で披露される。それら多くの曲はオーディションで選ばれた二人の実際のミュージシャンにより作製されており、EDに流れる「Hold Me Now」という曲も彼女らの作である。どこか、Daryl Hall & John Oatesの曲を感じさせるアップテンポで楽しい…

  • 眼 (58)

    昔、滞在していた施設に、私大の眼科の医師が出入りしていた。彼とは、よくお勧めの喫茶店で昼食をとることがあり、その時に聞いた経験譚である。 外傷や感染症等で、角膜に重篤な異常がもたらされた時、角膜移植は重要な治療手段となるが、その時に使用されるのが、個人から提供された角膜である。生前、所定の機関に角膜の提供を登録しておき、その時になると眼科医が赴き、手早く確保するわけである。先の医師が当番であった時、とある登録者の自宅に行くこととなった。 その登録者の自宅というのが、いわゆる伝統的な豪邸であり、その規模に驚きつつ、敷地内の一画に車を止め、少し距離のある木造邸宅の玄関にたどり着き、要件を告げた。生…

  • 子孫3 (57)

    今回は、子孫に関する第三弾である。 前回(子孫2 (54))、前々回(子孫 (46))と、将来、人類は、体外受精と人工子宮の技術を用いて、自らが保存した配偶子(精子、卵細胞) を用いて、子作りを行うようになるという考えを述べた。 それを読まれた方は、「昨今流行りのiPS細胞は出てこないのか」と思ったかもしれない。iPS細胞の要点に関しては、他のサイトや文献を参考にして頂くことにして、これまでに、多能性幹細胞であるiPS細胞から作製された網膜細胞や心筋細胞が実用的な段階に入りつつあり、糖尿病患者にとって救いとなる膵島細胞の誘導も研究されており、もちろん生殖医療に関する取組みも積極的に行われている…

  • 日常小噺3

    今年の夏はセミがいつもと異なる。自分の居住地では、例年、ニイニイゼミ、アブラゼミと始まって、まもなく終了し、8月の下旬にはツクツクホウシというパターンなのだが、7月中から、ニイニイゼミ、アブラゼミに加えて、ミンミンゼミ、そして時折、ヒグラシまで鳴いている。迷いこんだのかもしれないが、後、クマゼミが加われば、予定のツクツクホウシを加えて、オールキャストということになる。何かが変わりつつあるのであろうか。 毎日、酷暑である。とは言っても冷房など入れないで、窓やサッシを広く開け、風を通し、冷えた麦茶を飲む。冷えた麦茶を飲むと甘い物が食べたくなる。自分は餡子党で、羊羹、饅頭、餅など餡が関係するスイーツ…

  • 移動式 (56)

    先日、食料の買い出しに出かけた時のことである。帰り道で、左方を確認していると、助手席の窓の上の方に、枯れた小さな葉のようなものが付いているのに気づいた。帰宅し、車を降りて、助手席側に廻って見てみると、それは窓に付着した葉っぱではなく、ドアの雨避け(プラスチックのヒサシのような部分)の端からのびる、細いトックリのようなものだった。 下から覗き込んでハタと気が付いた。少数ながらハニカム構造が見えたからである。部屋は〜8室ほどで、途中で放棄したものか、すでに建築を終了したものかはわからぬが、よくこんな所に巣を作ったものだとびっくりした次第である。そのうち脱落するであろうし、助手席のドアを開けることも…

  • 個性 (55)

    西日本の人とって、ホヤはあまり馴染みがない海産物であるかもしれない。東北の太平洋側で主に養殖されており、地元の人は、毎年、この海のパイナップルを心待ちにしているという。自分はと言えば、少々苦手である。初めて、刺身を口にした時、海産物なのに生臭みもなく、むしろその香りに驚いたものである。そして、大抵の物は喉を通す事ができる自分であるが、その薬品のような香り(何らかの生理活性物質を想到させるが)と複雑な味覚に飲み込む事が出来なかったわけである。 また、母と電話をしていると、よくゴーヤをどうのこうのして食べたと言う話が出てくる。体にいいという薦めもあり、何度か購入し食してみたが、食物界には珍しいこの…

  • 子孫2 (54)

    「子孫 (46)」において、 一方、有効な手立てを打てず、少子化の傾向がこのまま続き、人口問題がより切迫し、以前「任務? (22)」に書いた状況を迎えているかもしれない未来、価値観や倫理観の転換を迫る、科学的な方法が取られる可能性もある。 体外受精はヒトを含めた多くの哺乳動物ですでに確立されており、近年長足の進歩を見せる人工子宮のヒトへの適用も遠からず可能になると思われる。このような体外授精や人工子宮による、自然分娩によらない子作りが現実となった時、子作りにおいて、カップルは冷凍保存したお互いの配偶子の使用を決断するのみである(男女のあり方が変わり、カップルでなくても良いということになる可能性…

  • 山椒 (53)

    前回(解放(52))述べたように、西日本の川では、チュウゴクオオサンショウウオ (Andrias davidianus)と在来のオオサンショウウオ(Andrias japonicas)の交雑が進み、オオサンショウウオの純系が風前の灯火の状態にあるという。ということは、各地の主要な動物園や水族館には、両生類館や両生類コーナーがあり、しばしばこの最大の有尾目であるオオサンショウウオが展示されているが、施設側がいつ頃どこで採取された個体を入手したかによるが、展示個体が交雑種である可能性は十分にあるわけである。 自分が、幼き頃夢中になったテレビ番組に、同年輩の方ならよく知っている横山光輝氏作の「仮面の…

  • 解放 (52)

    壊滅的な巨大地震が起き、無法地帯(警察や自衛隊などが機能していないということであろうか)と化した関東において、上野動物園かどうかはわからぬが、動物園の猛獣の飼育担当であった男が、園で飼育されていたトラやライオン等を解放し、それら猛獣の威をかりて(ライオンか何かに跨っていた気がする)、付近一帯の支配者になるという漫画の設定があった(たぶん永井豪氏のバイオレンスジャックと思われる)。猛獣を数頭手懐けているからといって、そのような権力を掌握できるかどうかは不明であるが、当時、この設定を非常に面白く感じたものである。 各地の動物園やサファリパークの類には、本来その土地に棲息していない多くの動物が集積さ…

  • 主役 (51)

    今回は、本来、主役でないものが主役になるという話である。 自分が少しだけ滞在した大学の、引退された先生の話である。彼は若い頃、植物ホルモンのオーキシンの研究をしていた。当時はまだ純度の高い標品を安価に手に入れることができず、自分で精製していたそうで、そのやり方が豪快であった。 オーキシンは、主に茎の先端部など、植物の成長著しい部分で生産されるが、彼は、タケノコの缶詰工場に行き、大量の煮汁をもらってきて、そこから件の物質を精製していたのである。普通なら成長の良い植物を集めて、植物体から抽出、精製となりそうであるが(現在なら、化学合成物ということであろうか)、煮汁という本来脇役にもならぬものが、主…

  • 日常小噺2

    よく、台所で湯を沸かし、やかんを部屋に持ってきて、コーヒーや紅茶などをいれたりする。使い残して冷えた水はもったいないので、部屋にある植物の鉢に補給したりする。 先日、いつもの如く夜中にお茶が飲みたくなり、やかんに残っていた水を、しばらく水を補給していなかったガジュマルの深皿に注いでいた。 もう少しで給水終了という時、注ぎ口から出る水を見ていて、違和感を覚えた。鉢はカーテンの影にあるので当初気付かなかったが、水に色が付いているのである。薄茶色である。そこでハタと気が付いた。前回、久し振りに暖かい麦茶が飲みたくて、湯を多めに沸かし麦茶を作っていたのである。 というわけで、ガジュマルに、麦茶をふるま…

  • 刀 (50)

    今回は日本刀の話である。自分は昔から日本刀に興味を持っており、中坊の頃は、日本刀の特徴である刃文の事が気になり、釘を打ち延ばして刀型にし、泥で刃文状の形を作り、台所のガスで焼いて、流しの水で焼き入れのような操作をしたことがある。その時のミニ刀は、今でも実家の引出しの中にあるはずである(ペーパーナイフぐらいにはなりそうであるが)。 祖父も日本刀の趣味があり、一振りの日本刀を所持していたが、終戦後、GHQの指令により提出せざるを得なくなり、それならばということで、タガネで断ち切り、残った柄側の部分を薪割りとして使っていた。自分は、その残欠によって、はじめて本物の刀を観察する事となった。良い刀だと言…

  • 日常小噺1

    ネット記事のタイトル様式についての感想 〜 で打線くんだ 。 特定の性質に着目して、関連する人物や事物の中で打線を組んだもの。歴史上の人物が出てくる打線などは、それまで知らなかった人物が出て来て、なぜその人物がその打順にいるのか等の背景も加わり、結構面白い。その方面で一定の知識を持った人が書いていると思われる。同様の知識を持った他の人に異論を出されることが多い。 〜 終了— 。 個人や国などが、何らかの点において、マイナス或いは先ゆきが厳しい、業界用語でオワコン状態にあるという主張。同意できる場合もあるが、同意できない場合も多々ある。 〜氏(さん)死去 。 個人の死去を伝える記事。ただし、死去…

  • 変身 (49)

    以前、怪奇小説の話を書いた(願望(38))。欧米には怪奇小説の短編の名作が多く、ウィリアム・ホープ・ホジスン(William Hope Hodgson)の「夜の声」(The Voice in the Night)も好きな作品の1つである。ご存知の方もいると思われるが、この短編はあの昭和期の怪奇映画「マタンゴ」の原作となった作品である。と書くと小説の内容も、察しがつくわけであるが、若年であった自分にとって、VFXとかSFXが登場する前に作られたこの映画は、初見以来ずっと印象に残っている邦画の1つであり、たまに放送があるとつい時間を割いて見てしまうわけである。 映画では、ヨットで海に繰り出した一行…

  • 橙色 (48)

    キノコ採集は、軽く雨が降った日の翌日、晴れの日に行くことが多い。森や林に入るとまだ地面が湿っており、植物や腐葉土の香りを乗せた湿度のある空気が流れ、見上げれば、木々の合間から青空が見える、そのような日は気分も乗るものである。しかし、そのような日に限ってよく出くわすものがある。濡れた水苔や下草の上を移動する橙色の伸び縮みする枝のような物、初めて見た時は、一瞬、地球外生物かと思ったほどであった。 それは、ヤツワクガビル(八輪陸蛭:Orobdella octonaria Oka)である。ヤツワクガビルは、主にミミズ等を捕食する陸生のヒルの1つであるが、両側及び腹面が鮮やかな橙色、背面中央が濃緑色とい…

  • 進化 (47)

    以前、住まい近くに住むキジ猫の話をした(猫 (2))。相変わらず隣の女性との関係は続いている様であるが、最近その猫の行動について様々な事がわかってきた。ある日、他の住居の前で、件の猫が一段と柔らかい声を出し、開いた玄関から中に入って行くのを見たことがあった。また、別の日には、老父婦が住む家の縁側で、二人にお腹を撫ぜられ寛いでいるのを見かけたわけである。 そこから、1つの推論が成り立つ。件の猫は、若夫婦の住宅ではミーくん、老夫婦宅では玉、隣の部屋ではトラ(?)などと、別の名前で呼ばれ、可愛がられている可能性があるのである。なんと節操の無い猫だ などと批判してはいけない。ヒトの場合、本家、別宅は、…

  • 子孫 (46)

    少子化は社会や民族の維持、継続という点で切実な問題である。近年、自治体や政府はこの問題に対処する様々な手を打っているようであるが、今一つ望むべき結果を得ていないようにも思われる。今回は、ハードなのものからソフトなものまで、この問題の対処法について少し考えてみたい。 人口を増やす最も強力な手段とは、どのようなものであろうか。おそらく、それは創作物の世界にしか存在しないものであろうが、政府や統治者が、適齢期の男女を、有無を言わせずペアリングして結婚させ、脅迫下に或いは経済的、社会的優遇を示して、子作りをなかば強制する というようなものであろうか。さらに人権を無視すれば、より直截的な方法をとることも…

  • 香る (45)

    大学時代、中学生の家庭教師をしていたことがある。新年度から週二回の一年契約であった。中学生の家は郊外の山際にあり、交通の便が悪いため、毎回、家の者が市のバスセンターまで車で迎えに来ていた。30分程かけて家に着くと、学生がいる二階の部屋に上がっていき、10分ほどすると、母親がお茶を持ってくるというのがいつものパターンであった。しかし、一月ほど経つと変化があった。それまで、お茶のみであったのが、一緒に魚のフライを持ってくる様になったのである。 賄い付きの契約ではないが、(秋田でお茶とイブリガッコをだす感じで) その土地独自のお茶受けのようなものかと思い、理由を尋ねる事もなく、数学の問題を解いている…

  • 【お知らせ】

    日頃、当ブログを閲覧頂きありがとうございます。 ブログを開始した昨年は、アクセス数も少なく、備忘録や日記のような位置付けで、淡々と文章を挙げていましたが、いつの間にやら、大量のアクセスや連絡を頂くようになり、当人も驚いている次第です。 なるべく多くの文章を、速やかに挙げる所存ですが、他事との関係から、ついつい記事が遅れがちなことをお詫び申し上げます。 本ブログ記事の著作権は、遠固人にありますが、他ブログ等への引用は、基本的に自由です。その際は、ブログ名、記事名、日付、連絡先アドレス(プロフィール内)を明記頂ければと思います。 以上 遠固人

  • 拳 (44)

    動画投稿サイトのお薦めに、よく「北斗の拳」関係が選ばれていることがある。確かに以前、偶然見つけた同作品の纏めのような映像を、幾つか懐かしく見ていたので、心当たりはあるわけである。それらを見ていると、北斗神拳や数々の流派、そして数多の秘技、奥義など、よくぞここまで色々生み出したものだと感心するわけである。今回は、視聴時の事を思い出しながら、投稿サイトによくある推理板のように、北斗の拳に出てくる技について少し考えてみたい。 物語に出てくる南斗水鳥拳のレイや南斗鳳凰拳のサウザーは、素手で相手をスライスしたり、岩製とおぼしき物体を切り裂いている。これら拳法の基盤にあるのは、空手、少林寺拳法、太極拳など…

  • 伊勢 (43)

    江戸時代には、伊勢参りが流行り、街道沿いの旅籠は大層の賑わいを見せたという。そうなると問題になるのが旅籠における食事の準備である。当時、焼き魚は夕餉の一品として重要であったと思われるが、そのような繁忙時は、数匹分というわけにはいかず、何十、場合によっては、それ以上の準備が必要であったと想像できる。 現在でこそ、業務用のグリルや器械で、多くの焼き魚をほぼ同時に仕上げることが可能であるが、当時は、そんなものがある筈もなく、行楽地に行くと見られるように、中央に炭を盛った台に串打ちした魚を車座に刺し、炭にあたる面を変えながら焼いたり、鰻の蒲焼きに使われるような横長の焼き台で焼く方式等が考えられるが、そ…

  • 夢の中で、自分は漂っていた。 診察室のような所で、 白衣を着た医師と、 患者らしき女性が対峙している。 医師が一言、 「この疾患を治療するには、脳移植しかありません」 患者 「それでお願いします」 「そうじゃ無いだろう〜」 と突っ込んでる自分がいたわけである。

  • 曲 (42)

    一息入れたい時は、ジャコ・パストリアス(Jaco Pastorius)の「Three Views of a Secret」をよく聴く。一瞬、芥川龍之介の「藪の中」を想起させるこの曲を、初めて聴いたのは、アルバム「The Birthday Concert」(ちなみに自分が購入した2番目のCDアルバムである)の収録曲としてで、マイケル・ブレッカー(Michael Brecker)のテナーサックスが印象的であった。その次に、「Word of Mouth」の収録曲を聞くことになるわけであるが、主旋律はトゥーツ・シールマンス(Toots Thielemans)のハーモニカで、ハーモニカにこれほどの表現力…

  • 秋も深まりつつある。短歌を二つ、 彼岸花 一輪二輪 咲く畦に 見知らぬ乙女 ふわり立ちたる 木犀の 香り立ち込む 満月夜 麦湯を取りて 野良は控える 遠固人

  • SF (41)

    ジェイムズ.P.ホーガン(James Patrick Hogan)は好きなSF作家の一人である。大学時代、書店で初めて「星を継ぐもの(Inherit the Stars)」を手に取り、その後、「ガニメデの優しい巨人(The Gentle Giants of Ganymede)」、「巨人たちの星(Giants' Star)」(いずれも創元SF文庫)と読み進めてしまったのは、お決まりのパターンである。所謂、これら巨人三部作も十分良いのだが、個人的には、その後の、「造物主の掟(Code of the Lifemaker)」が好みである。 土星の衛星タイタンに発生した機械生命による、文明の顛末を描いた…

  • 箱 (40)

    物心ついた頃には、家の中に幾つかの標本箱があった。父と兄の採集行に、いつも泣きながらついて行ったそうであるが、あまり覚えていない。父は亡くなり、兄はもはや採集を行ってはいないが、標本箱は残っている。 標本箱の中で、印象に残っているのは、イラガイツツバセイボウ(Chrysis shanghaiensis)である。この青緑のメタリックな外装をした美しいハチは、文字通り、イラガ(刺蛾 Monema flavescens)の蛹に卵を産み付ける、寄生バチである。個人的には、セイボウ(青蜂)の仲間は、ハチ目(Hymenoptera)の中で、最も美しいグループであると思っている。美しさという点で、鱗翅目にお…

  • いつものスーパーへ。 店の入り口には、70%アルコール水が置いてある。 手に付け、伸ばすのはいつもの事。 マスクを付け会話をしたので、内側を殺菌するのも有りかと、その日は、マスク内側にも、2回ほどしっかり噴霧してみた。 マスクを付け、店内へ。 息を吸うと、アルコール水で濡れたマスクが鼻に張り付き、 揮発したアルコールが一挙に体内へ、 クラクラし、まずい事態に。 トイレに駆け込み、マスクを外し洗浄、 もう少し長く付けていれば、失神したかもしれず。 良い子はしないように。

  • 青緑 (39)

    夏の日のことである。大学の食堂で昼食を済ませ、建物から少し離れた所で、ヤマモモの実はもう終わったかな などと思いながら林を見ていると、目の前を、青いキラメキが走った。速くは無いのだが、何だろうと思い追っていくと、1つ2つとキラメキが多くなり、その頃には正体がわかっていた。それはヤマトタマムシ(Chrysochroa fulgidissima)であったのである。 飛び回るタマムシをさらに追っていくと、タマムシの行く方向にそれほど高くない木があった。そして、そこでは、圧倒的で幻想的な光景が広がっていた。木の上部の枝に大量のタマムシが連なり、一部は乱舞し、陽を反射して青緑のプラズマのようなゾーンを作…

  • 願望 (38)

    W・W・ジェイコブズの「猿の手」(The Monkey's Paw)(創元推理文庫:怪奇小説傑作集1 英米編)は、願いを叶える猿の手のミイラの話である。だいぶ昔に読んだのであまり定かではないが、猿の手を入手した夫妻が金銭を願うと、息子が死亡し、その代償として富をえるという流れであった。物語りはもう少し続くわけであるが、当時、何とよくできた作品であろうと感心したのを覚えている。読んだのが、台風が来ていた深夜だったので、なおのこと印象深かったのかもしれない。 このような、神霊や怪異に願いことをする設定は、小説や漫画、アニメなど創作物に一般的なスタンスである。例えば、みじかな所では、「どろろ」におい…

  • 甘藷 (37)

    サツマイモ(甘藷)はずるいと思う。煮たり焼いたりしただけでほぼスイーツとして完成しているからである。小豆(赤餡)、エンドウ豆(鶯餡)、インゲン豆(白餡)や栗(栗餡)などは、砂糖を加えて炊くか炊いた後砂糖を加えて、練ることにより餡になるが、サツマイモは、火を通した物自体が、すでに餡の塊とみなすことができる。うまく火を通された安納芋などは、ソフトなグラッセのようである。 サツモイモ自体のスイーツとしての完成度の高さから、美味しさという点において、サツマイモを用いて敢えて菓子など作り上げる必要もないほどであるが、例外も幾つか存在する。 その1つが、主に愛知、東海近辺で作られている、いわゆる「鬼まんじ…

  • (います (36))を書いている時、宮城上空に未確認物体が浮遊しているというニュースが世間を騒がせた。 あれは誰か言っていたように、個人的には、15番目の使徒ではないかと思っている。泡のような風船のような構造なので、バブルスであろうか。 ちなみに14番目の使徒は、通称、仙台大観音、カノンズである。

  • います (36)

    久し振りに蒼穹のファフナーシリーズを見ている。片手間ではあるが、設定を確認していると、あれこんな展開であったかと、忘却の彼方にあった出来事も多い。というより前回見たとき、それ程しっかり見ていなかったということであろうか。そんな中でもフェストゥムの登場のインパクトは、やはりテレビの第1作が一番であるように思う。EXODUSや劇場版にも、多くの種類のフェストゥムが登場するが、個人的にはやはりスフィンクスA型が良いと思う。頭光や放射光のような光背を持つ、空飛ぶ修行僧、空飛ぶ婆羅門のような雰囲気は、SFの中の敵対者としては出色である。そして例のあの有名な言葉、「あなたはそこにいますか」という、哲学的、…

  • 今昔2 (35)

    さて、放生池に向かわず、そのまま頂上の道を進むと、白壁に瓦屋根となり、建物の雰囲気が変わってくるのがわかる。左手に白壁が途切れた入り口のような所があり、中に入れると、そこは百メートル四方ほどの広場となっている。広場の北には、近代的なお寺の伽藍が見える。それは、地元民ならばよく知っている覚王山日泰寺である。 日泰寺のことはWiki等を参照して頂くことにして、当時小学生の自分が知っていたことは、仏様の本当の遺骨(真舎利)があるお寺らしいということと、毎月21日に縁日(弘法さんと呼んでいた)があり、広場に多くの植木が置かれるということであった。そしてこの植木市が目当てで、時折、兄や友人らと足を運んで…

  • 今昔1 (34)

    名古屋の中心である栄から地下鉄東山線を東に2駅行ったところに、今池がある。盛り場ブルースの 栄、今池、広小路〜に出てくる今池である。地下鉄今池駅の北方面出口を出ると、少し変わった道が東北東に伸びているのがわかる。その道は歩道のような路側帯部分が、車道より広く、50センチほど高い段になっている。地元では、水道みちと呼ばれていて、地下には、道の始点にある東山給水塔から、名古屋の中心に水を運ぶ水道管が敷設されているという。段となった部分には桜が植えられ、毎年、季節になると地元の人の目を楽しませている。 その水道みちの始点近辺が、小学生時代の遊びのフィールドであった。先に書いた東山給水塔は、丘陵地上に…

  • 自然圏2 (33)

    冒頭で述べたように、大仙陵古墳を始めとする天皇陵の多くは、築造時、葺石等で覆われ、人工的な表面を持つ構造物であったという。現在の古墳の森を構成する植物は、人が移植したものでないならば、盛り土に含まれていた根や種子、鳥や風による飛来物に由来すると考える事ができる。大仙陵古墳を始めとする百舌鳥・古市古墳群の多くは5世紀頃の築造と考えられるので、古墳の植生は部分的に、現在は宅地や商業地で失われた、古墳近隣の過去の植生を反映しており、古墳はそのような植生のタイムカプセルである可能性がある。そして、このような古墳の緑地は、自然圏を提案をする上で、自分に肯定的な印象を与えたわけである。 自然圏の造成に用い…

  • 自然圏1 (32)

    大仙陵古墳は、二条、三条、…、七条と横切るなだらかな上り坂の先に、丘のように見える。築造当時は、葺石で覆われ、種々の埴輪が配置されていたようであるが、現在は、松などの植生があるこん盛りとした森である。年に一度か二度、夕立か前線が通過した時、古墳の森の中の一際高い松の木の背部に雷が走り、轟音をとどろかせる事がある。別に陵に落ちたのでは無いであろうが、そのような時は、ダンジョンへの入り口が開くような気がしたものである。とは言え、被葬者や考古学的な問題に特段興味があるわけではない。自分は別の事に興味を持っていたのである。 だいぶ以前の話であるが、関西在住の折、コンペに応募したことがあった。そのコンペ…

  • 走る (31)

    今回は寮の話である。 寮では、表向き同学年や他学部間の、或いは先輩、後輩間の交流、親睦をあまねく図るという目的で、実際は、男住まいに蛆が湧くではないが、ゴミや不要品が増え、不潔になりつつある各部屋をクリーニングし、リセットする目的で、年に数回、部屋替えがあった。 部屋替えは特定の伝統的やり方で行われていた。希望する部屋は、学年が上の者から、同学年ならば在寮期間の長い者から順番に決めることができた(同学年で在寮期間が同じ者は、くじで順番を決めていたように思うが、定かではない)。また、一度同じ部屋になったことがある者どうしは、相部屋になれないという決まりもあった。そうなると必然的に、先輩や古株から…

  • 過去へ (30)

    本場所のその日の取り組みを終えた力士数人が、部屋に戻ろうと国技館を出ると突然靄が立ち込めた。何事かと思っていると目の前に木造の街並みが現れた。時代劇で見たことがあるような、そう彼らは江戸の町にタイムスリップしたのである。 昨今、ドラマや映画でタイムスリップものが評判である。それらを見ていていつも思う事がある。現在でも、江戸時代から継承している文化や行事があるし、ドラマや映画等で江戸時代の風物が再現されている。では、それら継承或いは再現した人、文物、態様が、タイムスリップして、過去に出現した時、何事もなく、当時の人々に受け入れられるものなのかということである。 冒頭に書いたように、浴衣や着物を着…

  • キノコ3 (29)

    今回は存在感に焦点をあてたキノコの話である。 フユヤマタケ(冬山茸: Hygrophorus hypothejus)というキノコがある。初めてみたのは道の駅である。プラスティックのトレイに、傘の直径が1.5〜2.5cmほどの華奢な薄茶色のキノコが入っていた。量も少なく、調理しても一口二口で終わりそうな感じであったが、未食の可食菌は原則として食べることにしているので、買い求め食べてみることにした。若干のぬめりが有る本体を軽く湯通しし、ナメコのようにおろし和えにして食べてみた。すると、有るか無きかの量にもかかわらず、しっかりとした歯ごたえが有り、口中に旨味が広がった。 これに味をしめた自分は、後日…

  • 編む (28)

    「舟を編む」と言う作品がある。長い年月をかけて辞書を編纂する人々の熱き思いや恋愛事情が描かれており、小説、映画、アニメ等で展開され、映画は、数々の賞を受賞している。自分が見たのはアニメであったが、いつも見ているアニメとは毛色が異なり、興味深く見ることができた。 辞書の編纂過程のことなど、何も知らなかったわけであるが、同作品を見た限りにおいては、辞書は、見出し語の選択とその説明(当たり前か)及び用例、出典によって特徴付けられ、個性を持つといえる。以前、南方熊楠のことを書いたが(縁 (26))、であるならば、「大渡海」の編纂に、編集部員或いは嘱託として、あの熊楠氏が参加していたら、どの様になってい…

  • ぬめり (27)

    今回はジュンサイの話である。 ジュンサイ(蓴菜 : Brasenia schreberi)は、多年生の水生植物であり、ゼリー状のぬめりで覆われた若芽が、食材として珍重されている。日本では秋田県の三種町で主に生産されているが、梅雨明けから夏の収穫期に同地を訪れると、比較的開けた林間の土地に、少し小型の丸葉でびっしりと覆われた、ジュンサイ沼がポツポツとあるのを見る事ができる。訪問の帰りには、近隣の道の駅やスーパーで、ジュンサイを買い求め、いろんな食べ方をしていた。 ジュンサイは、細心の注意を払えば、かすかな青味や甘味を感じるが、基本的には無味、無臭である。その特色はなんと言っても、外側のゼリー状の…

  • 縁 (26)

    小学生の頃、夏の旅行を計画したことがあった。 図書館に、県ごとに名勝や物産を紹介しているシリーズ本があり、偶然手にとったのが和歌山県のものだった。当時は、まだ時代劇が多く放映されており、御三家の1つ紀州徳川家があった所ぐらいの知識で、和歌山県の事などほとんど何も知らない状態であった。 その本を見ていくと、どうやら蜜柑や梅が採れる所らしい、白崎という石灰岩でできた綺麗な岬があり、さらに南下すると、白浜という温泉地があり、白良浜という白砂の海岸と、円月島という少し変わった島があるらしいということがわかってきたわけである。そして自分は、その真ん中に絶妙のバランスでぽっかりと穴が開いた島に魅力を感じ、…

  • 寮 (25)

    自分が入寮した時、寮には3人の古株がいた。 最も古いA先輩は、唯一院生の寮生であり、大柄で恰幅がよく、一度も話をしたことはなかったが、酒飲みで、寮の飲み会の時、一升瓶入りのワインを持ってきたことを覚えている。「TOUGH」に出てくる幽玄真影流死天王が、ちょうど古株3人の雰囲気を伝えるのにぴったりなので、それに当てはめるとすると、彼は、さしずめ 犀の大観 といった所であろうか。彼は自分が入寮した翌年卒寮していった。 2人目のD先輩は、髪を少し伸ばした細面のイケメンで、潔癖症なのか手ばかり洗っていたことを覚えている。行きに洗い場の前を通った時、彼は手を洗っており、帰りに通り過ぎた時も洗っていたとい…

  • キノコ2 (24)

    夏から秋にかけて、雨が降った翌日に、海岸沿いの松林に入ると、松の木の下の白砂や礫の上が、スギナの緑を挟みながら、紫の針でびっしりと埋め尽くされているのを見ることがある。それは、ムラサキナギナタタケ(Alloclavaria purpurea)の群生である。そのインパクトは中々のもので、直径5ミリ高さ12センチ程の紫の筒が、真っ直ぐにのび、林立している。ホウキタケの仲間にも紫色を呈するものがあるが、途中で枝分かれし樹枝状構造をしているのに対して、ムラサキナギナタタケは一筆(ふで)である。 可食菌であると聞いていたので、本命のキシメジやアミタケが不漁の時、収穫し食したことがある。外見のインパクトに…

  • 歩く (23)

    以前、大学時代の寮生活のことを書いた(キノコ1 (3))。寮には主に新入生を対象とする夏場の行事があった。それは、街中を通ってただひたすら山中の目的地まで歩き続けるというものであった。 午後に出発し、40キロほどの道程を夜通し歩き続け、朝方、目的地に到着するという行程である。歩き始めこそ元気であるが、夜も更けてくると、腹が空き、喉も渇いてくる。疲労困憊し、亡者のように山中を歩き続ける一行の前に(もちろん、舗装されたちゃんとした道路であるが)、突如、天使が舞い降りるのである。 毎年のことであり、出発時刻も決まっているので、どの時刻にどの辺りを歩いているのかわかるので、サポート隊が、寮生の車におに…

  • 任務? (22)

    蒼穹のファフナーシリーズからの流れであるが、竜宮島の成り立ち同様興味深いのは、島民が、フェストムに対抗するアルヴィス構成員としての第一種任務と、日本の平和な文化を残す第二種任務を持つという設定である。これは、少子高齢化が加速度的に進む日本社会にとって、あながち関係がないとは言えない要素を含んでいる。 健康寿命の進展により、60代、70代場合によっては80代であっても、一昔前の同年代と仕事との関わり方が変化してきている(簡潔に言えば、以前は引退であったのが、今では現役に近い状態の人が多くいると言うことであろうか)。であるとしても、人口は着実に減少していくので、この傾向が続くならば、将来、特定の仕…

  • 大洪水2 (21)

    ファフナーシリーズに出てくる自律的移動要塞に近いものを、大洪水に備えて、現在の技術を用いて敢えて構築しようとするならば、その中核となる物は、アメリカのフォード級あるいはニミッツ級、航空母艦ではないだろうか。この5000人ほどの乗員を乗せ、戦闘機の運用を行う、満載排水量10万トン以上の原子力船は、長期運用における、水密性、堅牢さが実証されており、現技術における要塞艦のパーツとして最適であるように思われる。 これら空母の基本構造を踏襲しつつ、形状を直方体として1つのユニットとし、このユニットを縦横、上下に大量に連結したものが、要塞艦の基本ベースとなる。アルヴィス要塞艦が3分割可能なように、この仮想…

  • 大洪水1 (20)

    将来、聖書の大洪水のような海面上昇があり、人類が長期間、海洋で生存せざるを得なくなった場合(可能性の話であるが)、その時使用する船や基地に関し、ヒントを感じるアニメがある。それは、蒼穹のファフナーシリーズである。 詳細な設定は、Wiki等を参照して頂く事にして、特に興味深いのは、主人公の日常生活の場となる竜宮島である。竜宮島自体は、氷山の一角のように巨大要塞艦の海上部に僅かに作られた人工生態系であり施設である。そのいかにも瀬戸内海にありそうな漁村のある島には、二千人ほどの住民が住み、襲来者フェストゥムに対抗するアルヴィス構成員としての第一種任務と、日本の平和な文化を残すという第二種任務を持ち、…

  • にぎる? (19)

    バイオを含め様々な分野の研究者が参加した講演があり、講演後の座談会での話である。 イネは穂が実ってから、台風などの強風にさらされると、倒伏し、刈り取りが困難になったり、品質劣化を招くことがある。そのため、収量を変化させず、イネの丈のみを低くし、風に強い、倒伏しにくい品種を得ることができないかというコンセプトが存在し、そのコンセプトに関連し、イネの矮性化の研究を行う某先生が座談会に参加していた。そして、以下のような遣り取りが続いていた。 ・矮化も良いが、やはり収量を増やす事が重要ではないか、 という流れになり、そこからは話がおかしくなってきて、どなたか男性が、 ・おにぎりは美味しいが、米粒が小さ…

  • 似ている2 (18)

    少し前のアニメであるが、「トワノクオン」という作品を見ていて、以前見た有名アニメにコンセプトが似ているなと感じた次第。という事で、今回はアニメの「似ている」第二弾である。 未来社会、常人を超えた特殊な能力、すなわち異能を持った人間が、本人が望む望まぬにかかわらず出現していた。そのような人類は、社会にとって脅威であると考えた秘密結社オールドーは、実働機関クーストースを作り、そのような人種を探知、拉致し、闇から闇へと葬りさっていた。それを阻止し、能力者たちを保護しようと活動しているのが、そのような機関の手を逃れ、自分たちが安心して生活できる場所を確保した能力者たちの集団アトラクターである。そして、…

  • 珈琲 (17)

    インスタントコーヒーを飲むとき、よく思う事がある。 ルイ・フェルディナン・セリーヌ(Louis-Ferdinand Céline)は、その独特の文体や反ユダヤ思想で有名な、両大戦期、戦後にかけて活躍したフランス人作家である。大学時代、初めて彼の代表作、「世の果てへの旅」(中公文庫 生田耕作訳)を読んだとき、最終章の生々しく繕いの無い表現と疾走感に、衝撃を受けたものである。自分は、反ユダヤ主義でも何でも無いが、その特異な文体に惹かれ、以後、彼の作品を何冊か読み進めることとなった。 第二次大戦後、以前書いた反ユダヤ的評論や政治的パンフレットが原因で、逮捕状が出され、彼はデンマーク等で亡命生活を送る…

  • 宝石的2 (16)

    もう1つの男の宝石はずばりパイプである。パイプ本体の材料としては、ヒースの木の根であるブライヤーが有名であるが、もう1つ有名な材料に海泡石( Sepiolite、セピオライト)、メシャムがある。メシャムは、多孔性の含水ケイ酸鉱物であり、モース硬度2程で加工しやすく、軽く適度な熱伝導性を持つため、パイプ材料として利用されてきた。メシャム自体は、白~灰色の不透明な塊であり、良質のものはトルコで採れるが、アフリカやアメリカでも産出し、先に述べた石印材程、高価なものではない。 しかしながら、喫煙による、特有の経時的変化により、独特の美しさや稀少性を生みだすという性質を持っている。メシャムは多孔性なため…

  • 宝石的1 (15)

    今回は、男の宝石について考えてみる。男の宝石〜? と聞くと、最近の若者はおしゃれだから、指輪やネックレスをしている男性も多く、そこに石がついているとか、カレッジリングやスポーツのチャンピオンリングにも宝石をあしらったものがあるし、カフスやネクタイピンにダイヤや色石がついたものがあるので、それらはみんないわば「男の宝石」であると考えるかもしれない。ここで言う「男の宝石」とは、男性に圧倒的にシェアが多く、かつ嗜好されている宝の石という意味合いである。 勘のいい読者ならば、もうピンときたかもしれないが、1つ目はそうあの印を押す石、印材である。宝石というからには、美しくなければならないが、三大印材(色…

  • ネット2 (14)

    一帯は、細い道を挟んで、県営の木造の平屋と二階建てが八軒ほど立っており、その1つが自分の住まいである。半分ほどしか入居しておらず、打ち捨てられて結構劣化している建物も見受けられた。スズメは道を20mほど飛び、一軒の家の横にある桜の木に留まった。 その建物は、少し前まで知り合いが入居していたが、今は引っ越して誰も住んでいない。道に面した台所のサッシ窓から、家具が無く伽藍堂で、日の光を受けて茶色が鮮やかな、剥き出しの建材が見て取れた。するとその時、何も居ないはずの屋内を何かが横切り、同時に鳴き声が聞こえてきたのである。今少し様子を伺うと、なんと一羽のスズメが部屋の中を狂った様に飛び回っているではな…

  • ネット1 (13)

    チュンチュンチュン、スズメのお宿はどこかいな。京都の伏見稲荷大社の参道では、スズメの焼き鳥が有名であるが、そういう話ではなく、スズメと疎通がはかれたかもしれないという話である。 仕事の関係で、東北のとある町に住んでいたことがある。平屋建ての住居は、結構広い庭に囲まれており、玄関と勝手口の2つの出入り口を持っていた。勝手口には、短いコンクリの土間があり、ドアを開けると、コンクリが土間と同じ幅でさらに1mほど外に続いていた。部屋の勝手口のすぐ横には、調理台や流しがあり、その上のサッシ窓を通して、作業をしながら、先ほどの飛び出したコンクリのあたりを見ることができる。 いつ頃からか定かではないが、調理…

  • 核融合 (12)

    関西在住の折は、レーザー核融合センター(現レーザー科学研究所)の機関紙が回ってくることがあり、慣性核融合の進展に興味を持っていた。それ以前にも日経サイエンスの特集号などで、ガスタンクのような球形構造に円筒形の首と台座を取り付けた巨大な核融合装置の解剖図が示してあり、球体斜め上部にある投射装置から射出された燃料ペレットが、球の中心点において球面に等間隔に配置された8ヶ所の開口部から発射された強出力レーザーによって爆縮され、核融合が生じ、その際の熱が、球体内面を覆い、上から下へと流れる液体リチウムを加熱し、加熱された液体リチウムが、外部で熱交換した後、再び上部から装置に導入されるという大胆な仕組み…

  • 似ている (11)

    今回はアニメを見ていて、キャラや人間関係が似ているなと思ったこと。少し古いが、最近、COWBOY BEBOPを何年かぶりに見ていて、これはルパン三世一家の活動の舞台を宇宙に持って行って、大泥棒を賞金稼ぎにしたものではないかと感じたしだい。 COWBOYのスパイクは、細身でハンサムで聡明、運動神経よく、銃の扱いは玄人、ルパン三世も同様、前者が腕っこきの賞金稼ぎで、後者が大泥棒という違いがあるにせよである。そしてこの関係性というか雰囲気を強調しているのが、彼を取り巻く人物である。スパイクの相棒であるジェットは、状況を冷静に判断し、感情に走りやすい主人公を諭しつつ、愚痴を言いながらも、最後まで主人公…

  • 戦艦 (10)

    SFアニメにおいて、MSやパワードスーツと同様、興味深いのが戦艦である。今回は、これまで見たアニメの中で、自分が、かっこいい、美しい、デザインが優れていると思った戦艦3つを選んでみたい。 第1は、「ゼーガペイン」に出てくるオケアノス号である。SFアニメに登場する戦艦は、一般に実際の潜水艦や戦艦をミックスしてデフォルメしたようなデザインになることが多い。「ゼーガペイン」は、敵対者により量子コンピューターの仮想空間に追いやられた人々の一人である主人公が、現実世界の肉体を取り戻す話であるが、彼の属するセレブラムの飛空母艦であるオケアノス号は、そのような連携を断ち切った奇抜な外見をしている。 斜め前か…

  • 暖 (9)

    以前、M寮に住むY先輩の話をした。その後、アメリカに留学したY先輩は、帰省の折、一度だけ研究所に来たことがあった。そして向こうの状況を少しだけ話してくれた。 ある日のこと、その日は、研究室における自分の仕事を終え、帰宅後、食事、入浴等を済まし、早々と床についていた。昼間の疲れもあってか、あっという間に眠りに着いていた。 深夜に電話で叩き起こされた、今すぐ研究室に来いと。何かミスをしたかと不安を抱えながら研究室に着くと、自分の実験机に何か大きな入れ物がどんと置いてある。開けてみると、ついさっき取り出したばかりであろう、湯気を立てた巨大なヒトの肝臓が入っていたそうである。 Y先輩の研究は、ざっくり…

  • 甘味 (8)

    今回は自分の好きな甘味3つについて語ってみようと思う。1つ目は鶏卵素麺である。元々、全国有名土産物みたいな本で存在は知っていたが、博多に行ったおり、偶然どこかの店舗で見つけ購入したのが始まりである。この超有名な南蛮菓子は、口に入れた時の卵黄の香りと蜜のようなあまみ、麺状からくる独特の食感が持ち味である。自分が購入した鶏卵素麺は、「松屋」のものであったが、商品自体は、鶴屋八幡等の他の和菓子店でも販売しており、本州ではそちらで購入することが多い。 一日で二棹ぐらい食べてしまいたいところであるが、コレステロールや糖分がヤバいであろうし、レシチンやルテインが摂れるという利点もある、何れにしても程々にし…

  • 甘味 (8)

    今回は自分の好きな甘味3つについて語ってみようと思う。1つ目は鶏卵素麺である。元々、全国有名土産物みたいな本で存在は知っていたが、博多に行ったおり、偶然どこかの店舗で見つけ購入したのが始まりである。この超有名な南蛮菓子は、口に入れた時の卵黄の香りと蜜のようなあまみ、麺状からくる独特の食感が持ち味である。自分が購入した鶏卵素麺は、「松屋」のものであったが、商品自体は、鶴屋八幡等の他の和菓子店でも販売しており、本州ではそちらで購入することが多い。 一日で二棹ぐらい食べてしまいたいところであるが、コレステロールがヤバいであろうし、レシチンやルテインが摂れるという利点もある、何れにしても糖分の大量摂取…

  • バランス (7)

    自分はSF系アニメが好きである。そこにしばしば登場するのが、主人公らが搭乗する人型ロボットや可変戦闘機、パワードスーツの類いである。一連のガンダムシリーズのモビルスーツ、マクロス系のバルキリーをはじめとして、アニメには多種多様の機体が登場する。それらは宇宙空間や大気中で、縦横無尽に移動したと思えば、静止してミサイルやビームを放ち、はたまた直接、対手と格闘するなど、獅子奮迅の活躍を見せる。それはそれでなかなか格好いいのだが、見ていていつも思う事がある。それは機体のバランスである。 機体の多くは、胴などの中心部から、手足などの末端部に向かって大きくなる、末端肥大的な構造をしている。特に脚部は顕著で…

  • 瞬間 (6)

    週末はよく奈良に行った。その日は、春日大社へと向かった。春日大社は参道が特に良い。幅広い石砂利の両側に苔むした灯篭、その背後の鬱蒼とした木立、それらの印象が一体となって、神域としての緊張を高めている。夕方近くで空は黄昏ており、参道には誰もおらず、少し贅沢な気分であった。 砂利を踏みしめる音が全て聞こえてくる。その音を確認しながら、神社の鳥居をくぐった瞬間、風が吹き、雪が舞い降りてきたのである。雪は、砂利と灯篭を花びらのように彩り、参道の奥を曖昧にした。 自分はコートの襟を立て、瞬間、風間杜夫になった(昔、そのような月桂冠のCMがあったのである)。なんという粋な計らいであろうかと春日神に感謝し(…

  • 纏まる (5)

    研究所の1つ下の階に、大学の後輩のO君がいた。下の階に行くことがあり、O君と話す機会があった。丁度彼は帰宅するところであったが、話しかけてもいつものような歯切れの良さがなく、心ここにあらずという感じであった。彼の乗降駅は、自分の駅よりも3駅北であり、住まいを捜す時、路線の周辺をくまなく当たったので、駅周辺のおおよその土地感はあった。駅は半すり鉢状地形の底に有り、駅を支点として伸びる坂道の1つを昇りきった所に、彼のアパートはあった。 彼のアパートは、トイレが共同で、当時は古い集合住宅などで、まだ多く見られた汲み取り式であった。ここでY先輩の所で出てきた長雨がまた関係してくるのである(茶色い(1)…

  • OP&ED (4)

    アニメで本編が重要なのは言うまでもないが、オープニングとエンディングも、作品のかなり重要部分を占めている。これまで見たアニメの中で、独断と偏見により、秀逸、独創的、或は印象的であったものを三つずつ選んてみたい。 まずはオープニング。最初このオープニングを見たとき、なんと穏やかで、芸術的なんだろうと思ったものである。それは、「蟲師」である。木々の緑、木漏れ日、そよ風といった映像を、カントリー(フォーク?)調の曲とともに流している。監督も述べているように、本編の雰囲気をある程度方向づけることになった異色のオープニングである。次のオープニングも、異色という意味では同じであるが、ある意味、前作と真逆の…

  • OP&ED (4)

    アニメで本編が重要なのは言うまでもないが、オープニングとエンディングも、作品のかなり重要部分を占めている。これまで見たアニメの中で、独断と偏見により、秀逸、独創的、或は印象的であったものを三つずつ選んてみたい。 まずはオープニング。最初このオープニングを見たとき、なんと穏やかで、芸術的なんだろうと思ったものである。それは、「蟲師」である。木々の緑、木漏れ日、そよ風といった映像を、カントリー(フォーク?)調の曲とともに流している。監督も述べているように、本編の雰囲気をある程度方向づけることになった異色のオープニングである。次のオープニングも、異色という意味では同じであるが、ある意味、前作と真逆の…

  • キノコ1 (3)

    大学時代は寮住まいであった。下の階に住むある学生の実家が地主で、松茸山を持っていた事から、その年の秋は豊作だったせいもあり、「皆さんでどうぞ」ということで、大量の松茸が送られてきた。じつに羨ましい話である。寮は、日曜祝日を除き朝夕の食事が出るので、松茸は、平日の夜食や日曜の自炊、飲み会の料理等に使われ、好評だったようである。松茸が何本も入った即席ラーメンというのも、あったかもしれない。それでも、まだまだ残っていたようで、最後の方は、誰にも見向きされず、箱の底で半腐れ状態で悲しく干からびていたそうである。この話を聞いた時、そうなる前に一言声を掛けてくれればと思ったものである。 今の所、松茸を嫌と…

  • キノコ1 (3)

    大学時代は寮住まいであった。下の階に住むある学生の実家が地主で、松茸山を持っていた事から、その年の秋は豊作だったせいもあり、「皆さんでどうぞ」ということで、大量の松茸が送られてきた。じつに羨ましい話である。寮は、日曜祝日を除き朝夕の食事が出るので、松茸は、平日の夜食や日曜の自炊、飲み会の料理等に使われ、好評だったようである。松茸が何本も入った即席ラーメンというのも、あったかもしれない。それでも、まだまだ残っていたようで、最後の方は、誰にも見向きされず、箱の底で半腐れ状態で悲しく干からびていたそうである。この話を聞いた時、そうなる前に一言声を掛けてくれればと思ったものである。 今の所、松茸を嫌と…

  • 猫 (2)

    隣の部屋に、年配の女性が住んでいる。休日など、息子一家と思しき家族が遊びに来て、孫らしき子供がはしゃいでいるので、それなりのお年と思われる。一方、建物一帯を縄張りとするキジ猫がいる。結構大きな猫で、自分のテリトリーを侵犯する猫と日夜闘争を繰り広げている。住宅近辺には心優しき住人が多く、キジがドアの前で文字通り猫撫で声を出すと、食物を与えたり、寒い冬の晩など部屋に招き入れているようであり、隣の女性もその一人であった。 猫はかなり頻繁に訪れ、撫で声を上げると、女性も何かしら話かけている。その時のキジの声といったら、普段聴いたことの無いような、甘く優しい声なのである。息子家族が来ない時の寂しさからか…

  • 猫 (2)

    隣の部屋に、年配の女性が住んでいる。休日など、息子一家と思しき家族が遊びに来て、孫らしき子供がはしゃいでいるので、それなりのお年と思われる。一方、建物一帯を縄張りとするキジ猫がいる。結構大きな猫で、自分のテリトリーを侵犯する猫と日夜闘争を繰り広げている。住宅近辺には心優しき住人が多く、キジがドアの前で文字通り猫撫で声を出すと、食物を与えたり、寒い冬の晩など部屋に招き入れているようであり、隣の女性もその一人であった。 猫はかなり頻繁に訪れ、撫で声を上げると、女性も何かしら話かけている。その時のキジの声といったら、普段聴いたことの無いような、甘く優しい声なのである。息子家族が来ない時の寂しさからか…

  • 茶色い (1)

    当時、自分は院生として大学の附置研究所に通っていた。自分の所属する研究室の隣の研究室にY先輩がいた。Y先輩は背の高いすらっとしたイケメンで、物腰の柔らかい人物であった。隣の研究室の休憩室兼ロッカー室は出入りが自由で、自分も一息着くときなどよく利用しており、Y先輩と一緒になることがあった。 梅雨入りで長雨の続くある日のことである。Y先輩は当日の仕事が終わって帰宅するところであった。ロッカーで用事を済ました後、すぐ部屋を出ず、流しで何かごそごそしている。よく見ると清涼飲料水か烏龍茶が入っていたであろう2Lほどのボトルに水道水を詰めている。ボトルが一杯になると蓋を閉め、彼は少しばつが悪そうな感じで出…

  • 茶色い (1)

    当時、自分は院生として大学の附置研究所に通っていた。自分の所属する研究室の隣の研究室にY先輩がいた。Y先輩は背の高いすらっとしたイケメンで、物腰の柔らかい人物であった。隣の研究室の休憩室兼ロッカー室は出入りが自由で、自分も一息着くときなどよく利用しており、Y先輩と一緒になることがあった。 梅雨入りで長雨の続くある日のことである。Y先輩は当日の仕事が終わって帰宅するところであった。ロッカーで用事を済ました後、すぐ部屋を出ず、流しで何かごそごそしている。よく見ると清涼飲料水か烏龍茶が入っていたであろう2Lほどのボトルに水道水を詰めている。ボトルが一杯になると蓋を閉め、彼は少しばつが悪そうな感じで出…

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