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シェイクスピアは豊かで多様な作品を数多く遺しました。彼の戯曲は、さまざまな人間関係や文化を交えて、数多の解釈を生み出し、現代でも熱心に研究が進められています。さらには、現代の科学技術を用いて、新たな発見が次々に認められています。そして、彼の戯曲は現在の舞台や映画でも、色褪せない存在感と感動を放ち続けています。ここでは、シェイクスピア作品の感想をまとめました。ぜひ、お楽しみください。 「美しく、優しく、真実の」がわが主題のすべてであり、「美しく、優しく、真実の」をべつの言葉に変えて用いる。私の着想はこの変化を考えるのに使いはたされるのだ、三つの主題が一体となれば実に多様な世界がひらかれるから。美…
こんにちは。RIYOです。今回はこちらの作品です。 サー・トマス・モア(1478-1535)は十六世紀に法律家として活躍した思想家です。ロンドンの法律家のもとで生まれ、裕福な環境のなかで育てられました。オックスフォード大学で古典の哲学や文学を学びましたが、家業に倣って法律家を目指すため、法律学校へと移ります。法学を修めると、その才覚はすぐに芽生え、多くの人々の支持を得ます。その後、二十代にして下院議員に当選し、政治家としてもその手腕が認められていきました。四十代に至ると国王ヘンリー八世の寵愛を受け、幾つもの外交政治における要職を任され、その活躍も認められて、官職の最高位である大法官の地位を与え…
こんにちは。RIYOです。今回はこちらの作品です。 本作『お気に召すまま』の種本は、トマス・ロッジ『ロザリンド』(1590)と、作者不詳の物語詩『ギャミリン物語』(1400)が用いられています。両作品に描かれる残虐な死の場面や、淫蕩で不幸な場面などはシェイクスピアによって姿を消され、おかしみや機知に富んだ会話に溢れた作品へと変化されています。シェイクスピア作品のなかで、最も甘美で、最も幸福な物語と言われています。 フレデリック公爵は兄である先代の公爵を策略によって追い出し、地位、名誉、財産の全てを簒奪しました。しかし、先代の娘ロザリンドは、自身の娘シーリアの願いにより、その側へ置くことになりま…
『アントニーとクレオパトラ』ウィリアム・シェイクスピア 感想
こんにちは。RIYOです。今回はこちらの作品です。 本作『アントニーとクレオパトラ』は、『ジュリアス・シーザー』の後の舞台を描いており、これらを二部作と括る場合もあります。シェイクスピアは『ジュリアス・シーザー』を転換点として、その作風に強く深い悲劇性を帯びさせていき、『ハムレット』『オセロー』『マクベス』『リア王』の四大悲劇を生み出します。その後、『ジュリアス・シーザー』に呼応させるように、この悲劇時代の終わりを飾る最も光景な悲劇『アントニーとクレオパトラ』を執筆しました。実に四十二場面に及ぶ舞台の目紛しさ、それに伴う多くの使者や伝令の登場は、劇そのものの公的な慌ただしさと、当時の不安定な政…
こんにちは。RIYOです。今回はこちらの作品です。 プルターク英雄伝を概ねの種本として描かれた本作『ジュリアス・シーザー』は、シェイクスピアにとって絶頂期に差し掛かろうとする成長著しい時期に執筆されました。『空騒ぎ』『十二夜』などの喜劇、『ヘンリー四世』『ヘンリー五世』といった史劇を生み出していたなか、浮かび上がるこの悲劇は特徴的な立ち位置と言えます。喜劇でありながら強く浮かび上がった悲劇性を持つ『ヴェニスの商人』以来、シェイクスピアは悲劇の舞台を探し続けていました。彼はどこまでも歴史を遡り、古代ローマ史劇へと辿り着きます。公人たちによる政治と戦争が綴られた英雄伝の悲劇を、シェイクスピアの芸術…
こんにちは。RIYOです。今回はこちらの作品です。 あらゆる権謀術数を駆使して王位を狙う魔性の君主リチャード──薔薇戦争を背景に偽善と偽悪をこえた近代的悪人像を確立した史劇。 1339〜1453年まで続いたプランタジネット家(イギリス)とヴァロワ家(フランス)によるフランス王位をめぐる実質的な領地争い「百年戦争」。この両諸侯による長い争いは、両国において封建領主の没落をもたらし、結果的に王権が強化されることになりました。国王のもとで統一的な国家機構(絶対王政)を構築し、主権国家となって領地と国民が紐付けられました。ここから封建社会は衰退し、近代主権国家へと移行していきます。この「百年戦争」を終…
『間違いの喜劇』(間違いつづき)ウィリアム・シェイクスピア 感想
こんにちは。RIYOです。今回はこちらの作品です。 本作『間違いの喜劇』(間違いつづき)はシェイクスピア作品の中でも初期に執筆された喜劇で、最も短い作品として知られています。古代ローマの喜劇作家プラウトゥスの「メナエクムス兄弟』という双子の人違いが引き起こす作品を種本として書かれ、これに双子をもう一組増やしてスラップスティックな印象を強めています。また中心となる双子アンティフォラス兄弟の父イージオン、修道女院院主エミリアのドラマ性を追加して、単純な笑劇に終わらせない喜劇を作り上げています。また、フランス古典劇で厳格に守られる「三一致の法則」が用いられ、舞台はエフェサスから動かず、時間は一日のあ…
こんにちは。RIYOです。今回はこちらの作品です。 シチリア王レオンティーズは妻のハーマイオニと親友のボヘミア王ポリクシニーズの不義を疑い嫉妬に狂う。しかし侍女のポーライナから王妃の死の知らせが届き、後悔と悲嘆にくれる。時は移り、十六年後一同は再会、驚くべき真実が明かされる。人間の再生と和解をテーマにしたシェイクスピア晩年の代表的ロマンス劇。 本作『冬物語』は、シェイクスピアが後期に生み出した「ロマンス劇」四作のうちの一つです。絶え間ない悲劇の三つの幕と、それらを修復する喜劇の二幕で構成されています。メタシアター的に綴られる舞台には、展開される愛憎だけではなく、「観客の信じる力」などを求める挑…
こんにちは。RIYOです。今回はこちらの作品です。 『十二夜』(Twelfth Night, or What You Will 十二夜、もしくはお望みのもの)は1600-1601年ごろに執筆されたと見られており、『ハムレット』の前、つまり「悲劇時代」の直前であり、「喜劇時代」の締め括りの作品となっています。また、『空騒ぎ』『お気に召すまま』と並んで三大喜劇と言われることもあります。 題名に付けられた「十二夜」とはカトリックにおける公現祭(エピファニー)を示します。12月25日の降誕祭(クリスマス)から12日目にあたる1月6日、または1月2日から8日の間の日曜日に行われ、すべてのキリスト教会で共…
こんにちは。RIYOです。今回の作品はこちらです。 青年貴族クローディオーと知事の娘ヒーローのめでたい婚礼の前夜、彼女に横恋慕するドン・ジョンの奸計から大騒動がまきおこる『空騒ぎ』。 貴族レオナートーは美しき娘ヒーローと、才気煥発な姪ベアトリス、そしてその父であり自身の兄であるアントーニオーと、メッシーナに在る城に住んでいました。彼の親友ドン・ペドローが、二人の若き貴族クローディオーとベネディックを引き連れて戦争より帰ってくるため、迎えの準備をします。その一行にはドン・ペドローの腹違いの弟ドン・ジョンもいました。ベアトリスとベネディックは見知りの口喧嘩仲間で、早速話に花が咲きますが、その傍らで…
香らすもの、ばら×シェイクスピア芳香の美×WilliamShakespeareO,howmuchmoredothbeautybeauteousseemBythatsweetornamentwhichtruthdothgive!Theroselooksfair,butfairerweitdeemForthatsweetodourwhichdothinitlive.そう、美しいものはより美しく見える真実が与えるあまやかな飾りにバラは麗しい、だがより麗しく想わせるその息づくあまやかな香から【引用詩文:WilliamShakespeare「Shakespeare’ssonnet54“Rose”」抜粋自訳】【撮影地:神奈川県2022.5.14】にほんブログ村純文学ランキング著作権法より無断利用転載ほか禁じます芳香の美×WilliamShakespeare
一滴の緑、時の精髄森×シェイクスピア永遠の萌芽×WilliamShakespeareSincefirstIsawyoufresh,whichyetaregreen.無垢な君を見た最初から、あの緑のままで。【引用詩文:WilliamShakespeare「Shakespeare'sSonnet104」抜粋自訳】【撮影地:神奈川県2016.4.15/2019.6.30】にほんブログ村純文学ランキング著作権法より無断利用転載ほか禁じます永遠の萌芽×WilliamShakespeare
【すべて真実】っていうタイトルから【ヘンリー8世】に変えられた【シェイクスピア】の歴史劇
< 劇作家としての存在自体に謎のあるシェイクスピアなんですけど 不評劇だったらしいですね > 世の中の評価が凄く高いんだけれど、個人的にはちっとも理解できないっていいますか、なにがおもろいねん! って思っている代表格みたいな人がイギリスの劇作家「ウィリアム・シェイクスピア(1564~1616)」なんですね。 日本でも誰しもが認めている大作家ってことなんですけれど、「ハムレット」「マクベス」「オセロ」「リア王」の4大悲劇とか、日本語の本で読んでも全く面白さなんて感じませんし、けっこう高い料金払って観た舞台もやっぱりね、つまらんかったんです。 その理由っていうのを勝手ながら考えてみますと、たぶんお…
こんにちは。RIYOです。今回はこちらの作品です。 美人だが、手におえないじゃじゃ馬むすめカタリーナが、男らしいペトルーキオーの機知と勇気にかかって、ついに可愛い世話女房に変身ーー。陽気な恋のかけひきを展開する『じゃじゃ馬ならし』。 執筆時期は修行時代末期に該当する1590年頃、ロンドンにおいてエリザベス朝演劇が隆盛する時期で、演劇の大きな波が押し寄せ、多くの劇団が組織され、多くの劇場が建てられていました。ウィリアム・シェイクスピアはこの波の中にあり、俳優として活動する傍らで演劇台本の執筆も多く書き上げていました。『ヘンリー六世三部作』を始めとして、悲劇も喜劇も書き上げる才は、すでに同業者に煙…
こんにちは。RIYOです。今回はこちらの作品です。 Two households, both alike in dignity,In fair Verona, where we lay our scene,From ancient grudge break to new mutiny,Where civil blood makes civil hands unclean.From forth the fatal loins of these two foesA pair of star-cross'd lovers take their life;Whose misadventured pit…
こんにちは。RIYOです。今回はこちらの作品です。 ヴェニスの若き商人アントーニオーは、恋に悩む友人のために自分の胸の肉一ポンドを担保に悪徳高利貸しシャイロックから借金してしまう。ところが、彼の商船は嵐でことごとく遭難し、財産の全てを失ってしまった。借金返済の当てのなくなった彼はいよいよ胸の肉を切りとらねばならなくなるのだがーー。機知に富んだ胸のすく大逆転劇が時代を越えてさわやかな感動をよぶ名作喜劇。 種本として中世イタリアの物語集『イル・ペコローネ』(阿呆)の一つから取られており、借金、貿易、ユダヤ人、人肉担保、法学博士、求婚など、大筋の設定が活かされています。 当時のユダヤ人は、イギリス内…
こんにちは。RIYOです。今回の作品はこちらです。 古代ギリシアを舞台に、従兄弟同士の騎士が王女の愛を競い決闘する。新たにシェイクスピアの作品と認定された傑作戯曲!人間の運命がもたらす悲哀を謳い上げた五幕の悲喜劇。 近年の研究により、ウィリアム・シェイクスピア(1564-1616)の執筆と認められる作品が増えています。シェイクスピアは国王一座の作家であったことから、演劇台本を書くことが仕事であり、役者が演じるために用意するものであったことから、署名の無い作品が多数存在していました。本作『二人の貴公子』も同様に正規作品と見做されていませんでしたが、初版のタイトルページに名前があったこと、そして文…
こんにちは。RIYOです。今回はこちらの作品です。 百年戦争の最中、美女の誉れ高い伯爵夫人に恋い焦がれるエドワード三世の様と騎士道の美徳を称えた歴史劇。 ウィリアム・シェイクスピア(1564-1616)は、エリザベス女王一世の統治下における宮内長官による劇団一座にて演劇台本の執筆を手掛け、数多くの作品を生み出しました。統治がジェイムズ一世となると、劇団はそのまま国王一座として受け継がれ、過去に書き上げられた作品も引き取られました。宮廷用の演劇台本として書かれた作品は匿名の状態で後世に継がれたため、現在において、幾人か存在したお抱えの作家のいずれが執筆したかが不明となっている作品が多くあります。…
こんにちは。RIYOです。今回はこちらの作品です。 奸悪な弟に領地を奪われ、娘ミランダと共に絶海の孤島に漂着したミラノ公プロスペローは、魔法の力を究め弟の船を難破させたが……シェイクスピア最後の傑作。 野心溢れる実弟アントーニオーとナポリ王アロンゾーの陰謀により国外へ娘と共に追放された元大公プロスペローは、漂い流れ着いた孤島にて恨み辛みを抱きながら、それでも大切な我が子を生かそうと懸命に育てました。追放の際に忠実で親切な臣下ゴンザーローから手渡された僅かな生活必需品と大切な魔法の研究書を手に、十二年間も生きながらえます。その間、島に住んでいた魔女の子供キャリバンに言葉や知恵を与えて服従させて、…
こんにちは。RIYOです。今回はこちらの作品です。 妖精の王とその后の喧嘩に巻き込まれ、さらに茶目な小妖精パックが惚れ草を誤用したために、思いがけない食い違いの生じた恋人たち。妖精と人間が展開する詩情豊かな幻想喜劇。 本作『夏の夜の夢』の一つの特徴として種本が無いということが挙げられます。婚礼式典の余興として描かれていることから、貴族の結婚式で披露する目的でシェイクスピアが自ら書き上げたと考えられています。 Midsummer-dayは「夏至」を指します。キリスト教文化圏においては、この日に洗礼者聖ヨハネの誕生を祝う日として催しが行われます。それに関わる「ヨハネの聖水」という風習があり、夏至前…
不滅の瞬間、謳う永遠初夏×ウィリアム・シェイクスピア「シェイクスピのソネット18番」永遠の夏×WilliamShakespeareShallIcomparetheetoasummer'sday?Thouartmorelovelyandmoretemperate.RoughwindsdoshakethedarlingbudsofMay,Andsummer'sleasehathalltooshortadate.Sometimetoohottheeyeofheavenshines,Andoftenishisgoldcomplexiondimm'd;Andeveryfairfromfairsometimedeclines,Bychanceornature'schangingcourseuntrimm'd;Butt...永遠の夏×WilliamShakespeare
ウィリアム・シェイクスピア 代表作『ハムレット』にみる人生哲学
シェイクスピアの作品は、現代においても世界中で繰り返し演じられていることもあり、「ロミオとジュリエット」「リア王」「マク
ウィリアム・シェイクスピアってどんな人?イギリスの偉大なる作家
イギリスの代表的な作家といえばウィリアム・シェイクスピア。誰もが一度はその名を聞いたことがあると思います。 『ハムレット
こんにちは。RIYOです。今回の作品はこちらです。 かねてから、心の底では王位を望んでいたスコットランドの武将マクベスは、荒野で出会った三人の魔女の奇怪な予言と激しく意志的な夫人の教唆により野心を実行に移していく。王ダンカンを自分の城で暗殺し王位を奪ったマクベスは、その王位を失うことへの不安から次々と血に染まった手で罪を重ねていく……。シェイクスピア四大悲劇中でも最も密度の高い凝集力をもつ作品である。 デンマーク王子として「自身はどうあるべきなのか」と悩み続けるハムレットと比較すると、マクベスの小心性は顕著に見られます。大きな性格、性質の違いとしては、「宿命」に生きた前者は生まれ落ちたその日か…