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こんにちは。RIYOです。今回はこちらの作品です。 ロマン主義の先駆けとして知られるウィリアム・ブレイク(1757-1827)は、靴下商を営む父親のもとに生まれ、幼い頃から溢れる詩才を垣間見せていました。窓から覗き見る神の姿、庭の木に舞い降りる天使たちなど、幻視を訴えるブレイクを見て、父親は画家の道を歩ませました。ブレイク家はイギリス国教徒に属していましたが、その思想はマルキオン主義に傾倒していました。真の至高の存在である神と対を成す悪の創造神デミウルゴスによる対立が、ブレイクの価値観の根底に刻まれました。父親の商才により労働者階級にありながら比較的裕福な暮らしのなかで育ち、少年時代にはデッサ…
こんにちは。RIYOです。今回はこちらの作品です。 求婚しようとした王女とその父の近親相姦を見抜いてしまった時から、ペリクリーズの波瀾万丈の旅が始まった──。詩人ガワーの語りという仕掛けのなかで、次々と起こる不思議な出来事。過酷な運命を乗りこえ、長い歳月をへて喜びに包まれる、ペリクリーズと家族の物語。イギリスで人気の高い、シェイクスピア最初のロマンス劇を新訳で。 本作『ペリクリーズ』は1607年から1608年に掛けて執筆された作品で、「四大悲劇」と呼ばれる『ハムレット』、『マクベス』、『リア王』、『オセロー』が発表された後の、シェイクスピア晩年に生み出されたものです。晩年に開花したシェイクスピ…
こんにちは。RIYOです。今回はこちらの作品です。 公爵の代理に任命された貴族アンジェロは、世の風紀を正すべく法を厳格に適用し、結婚前に恋人を妊娠させた若者に淫行の罪で死刑を宣告する。しかし兄の助命嘆願に修道院から駆けつけた貞淑なイザベラに心奪われると……。性、倫理、欲望、信仰、偽善。矛盾だらけの脆い人間たちを描き、さまざまな解釈を生んできた、シェイクスピア異色のシリアス・コメディ。 本作『尺には尺を』は一般的に「喜劇」として扱われています。結末を婚姻の成就で締めくくり、道化的なやり取りを据えていることからも、「シェイクスピア喜劇」の枠内に収められる要素は多くあります。しかしながら本作は、作中…
こんにちは。RIYOです。今回はこちらの作品です。 十六世紀後半、カトリック国のフランスではルターの思想を契機に勢いづいた新教派(カルヴァン派)が、フランスの商工業者層を中心に活動を強めて勢力を拡大していました。国教に背く行為であるとして、フランスは新教派に対して厳しい弾圧を与えましたが、商工業者たちが繋がっている各貴族たちをも取り込み、王権の強化に対する反発と相まって、カトリック(旧教派)との激しい対立の構図が生まれます。カトリックは新教徒を「ユグノー(乞食者)」と蔑み、反対にカルヴァン派はカトリック教徒を「パピスト(教皇の犬)」と読んで、対立は一触即発の緊張感を帯びていました。そのようなな…
こんにちは。RIYOです。今回の作品はこちらです。 寒風吹きすさぶヨークシャーにそびえる〈嵐が丘〉の屋敷。その主人に拾われたヒースクリフは、屋敷の娘キャサリンに焦がれながら、若主人の虐待を耐え忍んできた。そんな彼にもたらされたキャサリンの結婚話。絶望に打ちひしがれて屋敷を去ったヒースクリフは、やがて莫大な富を得、復讐に燃えて戻ってきた……。一世紀半にわたって世界の女性を虜にした恋愛小説の〝新世紀決定版〟。 イングランド北部ヨークシャーで村の牧師を務める父親のもとに、エミリー・ブロンテ(1918-1948)は生まれました。僅か三歳にして母親を病で亡くし、厳粛な叔母によって育てられました。残された…
森の霜月、まどろむ前に11月×ロバート・フロスト「11月の客」霜月、謳う×RobertFrostNotyesterdayIlearnedtoknowTheloveofbareNovemberdays,Beforethecomingofthesnow,Butitwerevaintotellherso,Andtheyarebetterforherpraise.僕が知ろうと学んだのは昨日じゃない露わす11月の日々に惚れたのは、雪おとずれる前で、でもそれを自然に語るのは驕りだと、いやます自然の賛美を。【引用詩文:引用詩文:RobertFrost「MyNovemberGuest」抜粋自訳】【撮影地:長野県2024.11.1】やっと霜月らしく寒くなってきました、ベランダの手すりが凍る朝も近いのかなあと。にほんブログ村...霜月、謳う×RobertFrost
こんにちは。RIYOです。今回はこちらの作品です。 キプリングはその短篇の多くにおいて超自然的なものに接近しているが、それはポーの短篇とはちがって、徐々に明らかになるといった底のものである。本巻のために選んだ短篇のうちで、おそらく私がいちばん心を動かされるのは『園丁』である。その特徴のひとつは作中で奇跡が起こることにある。主人公はそのことを知らないが、読者は知っている。状況はすべてリアリスティックなのに、語られる話はそうではないのだ。 J・L・ボルヘス「序文」より 英国領インド帝国のボンベイで生まれたラドヤード・キプリング(1865-1936)は、幼年期をその地で過ごし、根底的な人間としての価…
目覚めの花、瞳の黄金朝×シェイクスピア「シベリン」黄金の朝×WilliamShakespeareHark,hark,thelarkatheaven’sgatesings,AndPhoebusginsarise,HissteedstowateratthosespringsOnchalic’dflowersthatlies;AndwinkingMary-budsbegintoopetheirgoldeneyes;Witheverythingthatprettyis,myladysweet,arise:Arise,arise!聞こえないか、聞こえないか、雲雀が天上の門で歌い、太陽神が手繰らせ目覚めて、太陽の騎馬たち水とる泉に花の盃たちは横たわり瞬くマリーゴールドは黄金の瞳を開きこの愛らしい全てに、愛しいひとよ、...黄金の朝×WilliamShakespeare
今日の書籍紹介:『ジェーン・エア』 by シャーロット・ブロンテ
『ジェーン・エア』は、シャーロット・ブロンテによる19世紀イギリス文学の傑作です。孤児として育ったジェーン・エアが、愛と独立を求めて生きる物語です。情熱的なロマンス、深い心理描写、社会的テーマが織り成すこの作品は、読者に深い共感と感動を与えます。
『終わりよければすべてよし』ウィリアム・シェイクスピア 感想
こんにちは。RIYOです。今回はこちらの作品です。 前伯爵の主治医の遺児ヘレンは現伯爵バートラムに恋をしている。フランス王の難病を治して夫を選ぶ権利を手にし、憧れのバートラムと結婚するが、彼は彼女を嫌って逃亡、他の娘を口説く始末。そこでヘレンがとった行動は──。善と悪とがより合わされた人物たちが、心に刺さる言葉を繰りだす問題劇。 この作品は1601年から1606年の間とされており、一般的にシェイクスピア作品のなかで「問題劇」と呼ばれる『トロイラスとクレシダ』及び『尺には尺を』などと共に括られています。三作どれもが、暗く苦い笑いと不愉快な人間関係を軸に描かれており、これはシェイクスピアの喜劇時代…
こんにちは。RIYOです。今回はこちらの作品です。 本作『ヴェローナの二紳士』は、シェイクスピアが執筆した最初の喜劇と言われています。劇中には、女性の男装や情欲の森など、彼が後の作品に活かす発想が随所に現れています。舞台となるイタリア北部にあるヴェローナは『ロミオとジュリエット』でも知られています。 ヴェローナの紳士であるヴァレンタインとプローテュースは、互いに固い友情を交わし、何事も隠し事のない強い絆で結ばれていました。しかし恋愛についての考え方は正反対で、ヴァレンタインはそのようなものに関心を持つことができず、見識を広めたいという思いからミラノ公爵のもとへと旅立ちます。反してプローテュース…
こんにちは。RIYOです。今回の作品はこちらです。 優しい夫、よき子供に恵まれ、女は理想の家庭を築き上げたことに満ち足りていた。が、娘の病気見舞いを終えてバグダッドからイギリスへ帰る途中で出会った友人との会話から、それまでの親子関係、夫婦の愛情に疑問を抱きはじめる……女の愛の迷いを冷たく見据え、繊細かつ流麗に描いたロマンチック・サスペンス。 1944年の英国、すでに推理小説作家として文壇に揺るがない立ち位置を築いていたアガサ・クリスティー(1890-1976)は、長年のあいだ構想を続けていた作品の執筆に取り掛かりました。この作品は謎解き小説とは一味違った雰囲気の「ロマンス小説」なるもので、ミス…
本場イギリス発ロマンス小説『没落令嬢のためのレディ入門』悪役令嬢好き必見!没落令嬢の婿探し!英国文学『高慢と偏見』オマージュ”第一印象最悪から始まる恋”【楽天ブックス】
SNSで話題!異世界転生小説じゃ物足りないひとへ!2023年8月9日発売!『没落令嬢のためのレディ入門』 没落令嬢のためのレディ入門 (mirabooks mirabooks MRB912) [ ソフィー・アーウィン ] 本場イギ
英語勉強以外でイギリスに来る前までにやっておけば良かったこと
イギリスに来る前までにやっておけば良かったことの最大は、もちろん英語勉強ですが、最近ひしひしと思うのが、イギリス文学や世界で知られている日本の名作を読んでおけば良かった!ということ。日本では月に10冊ぐらいは本を読んでいて、自称読書は趣味で
こんにちは。RIYOです。今回はこちらの作品です。 孤児として、伯母に育てられたジェーンは、虐待され、ローウッド寄宿学校にいれられる。そこで八年を過した後、広告を出し家庭教師として赴いた先に居たのは子供と家政婦だけだった。散歩の途中助けた人物こそ、屋敷の主人ロチェスターであると知ったジェーンは、彼と名門の貴婦人とのロマンスを聞き、胸が騒ぐ。孤独と戦いながらも不屈の精神で生きぬく女性を描いた青春文学。 シャーロット・ブロンテ(1816-1855)の父親は、イングランド北部のヨークシャーにある小さな村ソーントンの牧師でした。母親は病弱であったうえ、多産によって身体に負荷が掛かり、シャーロットが五歳…
こんにちは。RIYOです。今回はこちらの作品です。 すべてを破壊した〝九年戦争〟の終結後、暴力を排除し、共生・個性・安定をスローガンとする清潔で文明的な世界が形成された。人間は受精卵の段階から選別され、5つの階級に分けられて徹底的に管理・区別されていた。あらゆる問題は消え、幸福が実現されたこの美しい世界で、孤独をかこっていた青年バーナードは、休暇で出かけた保護区で野人ジョンに出会う。すべてのディストピア小説の源流にして不朽の名作、新訳版! オルダス・ハクスリー(1894-1963)は、生物学者、人類学者、動物学者などを輩出したイギリスの著名なハクスリー家に生まれました。親に倣って幼い頃から勉学…
【読書記録】胎児が語るサスペンス『憂鬱な 10か月』イアン・マキューアン
憂鬱な10か月 (新潮クレスト・ブックス)イアン・マキューアン新潮社2018-06-22臨月の胎児が見えないはずの世界を胎盤や母体を通して描写する。異端のサスペンス。ラジオ放送から世界情勢や、母が飲むワインの風味をソムリエ並みに品評する。主な登場人物は語り手の胎児のほか
花一輪、はるかな初夏初夏×ベン・ジョンソン「大樹に育つよりも」夏瞬く×BenJonsonAlilyofadayIsfairerfarinMay,Althoughitfallanddiethatnight―ItwastheplantandflowerofLight.Insmallproportionswejustbeautiessee:Andinshortmeasureslifemayperfectbe.ただ一日の百合は初夏はるかに美しい夜に消え落ちる命としても、それは草木の命で光の花ちいさな調和に正しく美を見、短い旋律に全うする生命。【引用詩文:引用詩文:BenJonson「Itisnotgrowinglikeatree」抜粋自訳】梅雨とはいえ夏日が続く六月下旬、百合のつぼみが膨らんでいました。詩中のMa...夏瞬く×BenJonson
雨あがる朝、光潤う雨季×ワーズワース「決意と自立」光露の朝×WilliamWordsworthAllthingsthatlovethesunareoutofdoors;Theskyrejoicesinthemorning’sbirth;Thegrassisbrightwithrain-drops;-onthemoorsThehareisrunningracesinhermirth;AndwithherfeetshefromtheplashyearthRaisesamist;that,glitteringinthesun,Runswithheralltheway,wherevershedothrun.太陽を愛する全て扉の外空は生まれた朝に歓び草は露きらめくー荒野では野兎がはしゃいで駆けあって潤う大地からその...光露の朝×WilliamWordsworth
雨あがる朝、風雨に光雨季×ワーズワース「決意と自立」水月が謳う×WilliamWordsworthTherewasaroaringinthewindallnight;Theraincameheavilyandfellinfloods;Butnowthesunisrisingcalmandbright;Thebirdsaresinginginthedistantwoods;OverhisownsweetvoicetheStock-dovebroods;TheJaymakesanswerastheMagpiechatters;Andalltheairisfilledwithpleasantnoiseofwaters.夜来風に吼え雨は激しく水あふれたけれど今陽は昇り穏やかに輝き鳥たちが遥かな森に歌う野鳩はやさし...水月が謳う×WilliamWordsworth
ゆるやかな春、五月の夏五月の花×ジョン・キーツ初夏の馥郁×JohnKeatsIcannotseewhatflowersareatmyfeet,Norwhatsoftincensehangsupontheboughs,But,inembalmeddarkness,guesseachsweetWherewiththeseasonablemonthendowsThegrass,thethicket,andfruit-treewild;Whitehawthorn,andthepastoraleglantine;Fast-fadingvioletscover’dupinleaves;Andmid-May’seldestchildThecomingmusk-rose,fullofdewywine,Themurmuro...初夏の馥郁×JohnKeats
香らす夜に初夏×キーツ香らす夜×JohnKeatsIcannotseewhatflowersareatmyfeet,Norwhatsoftincensehangsupontheboughs,But,inembalmeddarkness,guesseachsweetWherewiththeseasonablemonthendowsThegrass,thethicket,andfruit-treewild;Whitehawthorn,andthepastoraleglantine;足もとの花が見えない、梢かかる柔らかな香も見えない、けれど、香りゆく暗闇の中、甘い感覚たどればいいこの季かなう月は何に由るだろう草、藪、野の果木、白いサンザシの花、田園詩のばらエグレンタイン、【引用詩文:JohnKeats「Odet...香の情景×JohnKeats
香らすもの、ばら×シェイクスピア芳香の美×WilliamShakespeareO,howmuchmoredothbeautybeauteousseemBythatsweetornamentwhichtruthdothgive!Theroselooksfair,butfairerweitdeemForthatsweetodourwhichdothinitlive.そう、美しいものはより美しく見える真実が与えるあまやかな飾りにバラは麗しい、だがより麗しく想わせるその息づくあまやかな香から【引用詩文:WilliamShakespeare「Shakespeare’ssonnet54“Rose”」抜粋自訳】【撮影地:神奈川県2022.5.14】にほんブログ村純文学ランキング著作権法より無断利用転載ほか禁じます芳香の美×WilliamShakespeare
一滴の緑、時の精髄森×シェイクスピア永遠の萌芽×WilliamShakespeareSincefirstIsawyoufresh,whichyetaregreen.無垢な君を見た最初から、あの緑のままで。【引用詩文:WilliamShakespeare「Shakespeare'sSonnet104」抜粋自訳】【撮影地:神奈川県2016.4.15/2019.6.30】にほんブログ村純文学ランキング著作権法より無断利用転載ほか禁じます永遠の萌芽×WilliamShakespeare
昨年夏以降、とても忙しくかったので、手が回り切らなくて、たまった仕事をに追いまくられて年末年始からここまできてしまいました。 そんなわけで、いろいろぶっ飛ばして、春の研究会のお知らせです。 英語圏児童文学会西日本支部では、年に2~3回の研究会、講演会をも開催しています。どなたでもご参加いただけます。 コロナ禍に入って、オンライン化を進め、広報もオンラインで行うようになりました。 その結果、どなた...
烏のがらくた箱~その九百五・改めて振り返ると『イギリス物』が好きらしい(゚∀゚)
今現在、積読が山ほどあるにも関わらず『ハリー・ポッター』の原作&『シャーロック・ホームズ人物解剖図鑑』&『クリ☆ドラ』続編が読みたいですwww実はとうらぶをやっている横で、ハリー・ポッターの3マッチゲームでちまちま遊んでおります😅最初は『スキマ時間にさくっとやれるゲーム』をと色々なスマホゲームを試していたんですけど、最終的にこちらにハマりまして…どうやら私はストーリー性のあるものに弱いらしい/(^o^)\し...
こんにちは。RIYOです。今回はこちらの作品です。 ベネチアのサンマルコ広場で演奏するギタリストが垣間見た、アメリカの大物シンガーとその妻の絆とはーーほろにがい出会いと別れを描いた「老歌手」をはじめ、うだつがあがらないサックス奏者が一流ホテルの特別階でセレブリティと過ごした数夜を回想する「夜想曲」など、音楽をテーマにした五篇を収録。人生の夕暮れに直面して心揺らす人々の姿を、切なくユーモラスに描きだしたブッカー賞作家初の短篇集。 アイルランドの作曲家ジョン・フィールドによって生み出された性格的小品「夜想曲」(nocturne)は、彼を崇拝していたフレデリック・ショパンが倣うように作曲して生まれた…
エマ ~恋するキューピッド~ (2009年のドラマ) はどこで見れる?
2009年公開のドラマ「エマ ~恋するキューピッド~」を視聴できる動画配信サービスについて調べました。個人的には2020年公開の映画「EMMA エマ」よりも、ストーリーが理解しやすく、純粋に楽しむことができました。
「高慢と偏見」の原作を翻訳で読むならどれ?|ジェーン・オースティン
ジェーン・オースティンの代表作「高慢と偏見 (Pride and Prejudice)」の翻訳本3つについて比較してみました。原作は1813年の作品ですので、これまで数々の翻訳本が出版されていますが、比較的新しい3冊をピックアップしました。
国籍は違えど、芥川龍之介(1892~1927)とオスカー・ワイルド(1854~1900)には共通する特殊性を感じる。 ▶芥川代表作 蜘蛛の糸・杜子春 (新潮文庫) 作者:芥川 龍之介 新潮社 Amazon 羅生門・鼻 (新潮文庫) 作者:芥川 龍之介 新潮社 Amazon ▶ワイルド代表作 サロメ (岩波文庫) 作者:ワイルド 岩波書店 Amazon 幸福な王子―ワイルド童話全集 (新潮文庫) 作者:オスカー ワイルド 新潮社 Amazon 以下、両者の共通する特殊性に関し考察してみる。 ①芥川龍之介とオスカー・ワイルドの人生 両者の人生は芥川35年、ワイルド46年と短命である。また芥川は神経…
週刊 読書案内 ジュリアン・バーンズ「人生の段階」(土屋政雄訳・新潮クレストブック)
週刊 読書案内 ジュリアン・バーンズ「人生の段階」(土屋政雄訳・新潮クレストブック) もうほとんど「アクロバティック」とでも評すべき小説でした。気球の「高み」から悲嘆の「深淵
こんにちは。RIYOです。今回の作品はこちらです。 肉体を離脱した主人公は、時間と空間を超え、宇宙の彼方へと探索の旅に出る。訪れた世界で出会った独自の進化を遂げた奇妙な人類と諸文明の興亡、宇宙の生命と生成と流転を、壮大なスケールと驚くべきイマジネーションで描いた幻想の宇宙誌。アーサー・C・クラークやスタニスワフ・レム、J・L・ボルヘスをはじめ多くの作家に絶賛され、多方面に影響を与えてきた伝説の作品を全面改訳で贈る。 敬虔なクリスチャンであった哲学者のオラフ・ステープルドン(1886-1950)は、幼少期に海運事業主の父の都合で幼少期をエジプトの運河都市ポートサイードで過ごしました。イギリス国民…
カズオ・イシグロ この名前をご存知だろうか。イギリス人作家になった元日本人。1989年、「日の名残り」(中公文庫)という作品でブッカー賞という、イギリス文学界最高の文学賞をとり、二年に一作のペ
週刊 読書案内 ジュリアン・バーンズ「終わりの感覚」(土屋政雄訳・新潮クレストブック)
週刊 読書案内 ジュリアン・バーンズ「終わりの感覚」(土屋政雄訳・新潮クレストブック) 60歳を過ぎて、社会的関心や家庭的煩雑から自由になった男性がいます。長年勤めた仕事は退職し、かつて連れ添
こんにちは。RIYOです。今回はこちらの作品です。 老王リアは退位にあたり、三人の娘に領土を分配する決意を固め、三人のうちでもっとも孝心のあついものに最大の恩恵を与えることにした。二人の姉は巧みな甘言で父王を喜ばせるが、末娘コーディーリアの真実率直な言葉にリアは激怒し、コーディーリアを勘当の身として二人の姉にすべての権力、財産を譲ってしまう。老王リアの悲劇はこのとき始まった。四大悲劇のうちの一つ。 エリザベス女王一世の死後に『リア王』は発表されました。ジェームズ一世がイングランド王を継ぎ、スチュアート朝となってもシェイクスピアへの寵遇は変わりませんでした。シェイクスピアはこの変化を契機に絶対王…
こんにちは。RIYOです。 今回の作品はこちらです。 疎開する少年たちを乗せた飛行機が、南太平洋の無人島に不時着した。生き残った少年たちは、リーダーを選び、助けを待つことに決める。大人のいない島での暮らしは、当初はきままで楽しく感じられた。しかし、なかなか来ない救援やのろしの管理をめぐり、次第に苛立ちが広がっていく。そして暗闇に潜むという〈獣〉に対する恐怖がつのるなか、ついに彼らは互いに牙をむいたーー。ノーベル文学賞作家の代表作が新訳で登場 第二次世界大戦争が1939年のドイツによるポーランド侵攻を発端として勃発しました。枢軸国(ドイツ/イタリア/日本)と連合国(イギリス/フランス/中国/ソビ…
こんにちは。RIYOです 今回はこちらの作品です。 記憶の底からよみがえる、あの音。鍵盤の感触、どこでピアノのことをわすれてしまったのだろう?愛情あふれるパリの職人に導かれ、音楽の喜びを取り戻した著者が贈る、切なくも心温まる傑作ノンフィクション。 アイルランドとアメリカ、二つの国籍を保有しているカーハート。アメリカ空軍将校の息子として生まれ、幼少期をアメリカ、フランス、東京などで過ごしました。大学では人類学を修め、のちに国務省の通訳として従事します。カリフォルニアではエンターテイメントビジネスのコンサルタントとして活躍。以後ヨーロッパに渡ってApple社にて勤務しますが、五十歳を機にフリーライ…
こんにちは。RIYOです。 今回はこちらの作品です。 ケチで冷酷で人間嫌いのがりがり亡者スクルージ老人は、クリスマス・イブの夜、相棒だった老マアレイの亡霊と対面し、翌日からは彼の予言どおりに第一、第二、第三の幽霊に伴われて知人の家を訪問する。炉辺でクリスマスを祝う、貧しいけれど心暖かい人々や、自分の将来の姿を見せられて、さすがのスクルージも心を入れかえた……。文豪が贈る愛と感動のクリスマス・プレゼント。 1830年代にスティーブンソンの蒸気機関実用化で鉄道が世に普及され、交易による流通が活発化しました。この交通革命は紡績、織布を発端としてそれに連なる工業に必要な機械の需要も比例して高まり、製鉄…
こんにちは。 RIYOです。 今回はこちらの作品です。 医学、法学の博士号を持つ高潔な紳士ジーキルの家に、いつのころからかハイドと名乗る醜悪な容貌の小男が出入りするようになった。人間の心にひそむ善と悪の闘いを二人の人物に象徴させ、“二重人格”の代名詞として今なお名高い怪奇小説の傑作。 1760年代よりイギリスで続いていた産業革命は、1830年代に起こる鉄道交通革命により工場制機械工業へと移行し、国家へ大きな恵みを与えて資本主義拡大が加速します。哲学、歴史、科学、医学などの発展でイギリス全土の文化的中心地であったスコットランドのエジンバラは、人口を集め続けていましたが、工業地域としての規模は小さ…
こんにちは。RIYOです。 今回はこちらの作品です。 目覚めるとそこは二十二世紀のロンドンーー緑かがやき、水は澄み、「仕事が喜びで、喜びが仕事になっているくらし」。社会主義者・美術工芸家モリスの実践と批判、理想と希望が紡ぐ物語。ユートピアの風を伝える清新な訳文に充実した訳注を付す。 19世紀のイギリスで最も優れたデザイナーとして知られるウィリアム・モリス(1834-1896)。現在でも多くのデザインに影響を与え続け、装飾芸術家としての名声を確固たるものにしています。壁紙やテキスタイル、そして家具に至るまで幅広く手掛けます。このような装飾芸術は裕福な貴族階級だけの愉しみでしたが、モリスはプロレタ…