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ウェーバーによる近代資本主義の特性の記述はどうなのかな、と思って『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』の本編の方から探してみました。第一章第二節にそれらしき記述はあるんですが、なんかちょっとしかないっぽいです。メインになっているのは労働者の側の、あたかも天職があたえられたかのように工場での労働に励む、そういった精神的な特性のようです。佐藤俊樹が述べていた「近代資本主義は技術革新に依拠する産...
「近代資本主義の成立(マックス・ウェーバー)」全体構成:ホームページ用メモ36
マックス・ウェーバーによる「近代資本主義の成立」ページをホームページに作る予定です。実際にホームページを作成する前に、ページの流れをここで考えておこうと思います。まず順番を考えてみます。1.近代資本主義とは2.ウェーバーの用語まとめ3.近代資本主義の成立3.1 簡単な結論3.2 近代資本主義の合理性と西欧の非営利的なエートス3.3 「資本主義の精神」のもととなった天職概念(世俗内禁欲)3.4 禁欲...
近代組織の要件:佐藤俊樹『近代・組織・資本主義』第四章メモ4
二節に入って近代の合理的組織のまとめ、日本近世との違いの順で述べられていくようです。まず近代組織の合理性のまとめがきてるんですが、ここがかなり圧縮されてまとめてあってまだつながりが読み取れてないです。まずは重要そうなところ抜き出しておいて後で考えます。二 合理的組織のメカニズムウェーバーによると、近代組織の要件は以下の三つにまとめられます。(1) 制定された規則にしたがって運営されている(2) 組織と組...
近代資本主義成立(ウェーバー)のまとめ1:ホームページ用メモ35
ここにメモしたウェーバーによる近代資本主義の成立の考え方を、ホームページにまとめるために振り返っていこう思います。正確には訳者の大塚によるウェーバー解釈ではありますが。まず話の前提として、近代資本主義は資本主義と相性がよさげに見える地域ではなく、営利を敵視するような経済圏、つまり西欧の一地域で成立しました。この事実を説明する必要があります。先に結論を上げると以下の感じでまとめられます。「禁欲的プロ...
大塚久雄による『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』の解釈5:ホームページ用メモ34
今回が大塚による結論にあたります。「禁欲的プロテスタンティズムが本来持っていた反営利的な性格に結びついて生まれてきた」という点が、どうして「逆に営利と結びついて「資本主義の精神」などという姿にかわっていくことになったのか」というのが問いです。まず「世俗内禁欲」のエートスの持ち主たちは、小商品生産者たちのなかにいちばん多かったという事実があります。郊外から農村地域に広がっていた信仰の篤い職人たちが、...
大塚久雄による『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』の解釈4:ホームページ用メモ33
今回は大塚による解説の続きで、結論のための用語の解説にあたります。禁欲的プロテスタンティズムから世俗内禁欲のエートスへ至るまで、二つの大きな流れがあったそうです。一つがカルヴィニズム、敬虔派、メソディズムの流れで、もう一つが洗礼派の流れ、ヴェーバーが「信団」(Sekte)と呼ぶ流れです。ヴェーバーは詳細にこの流れを検証しているらしく、その記述が続きますが飛ばします。ヴェーバーはキリスト教的禁欲に「行動...
大塚久雄による『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』の解釈3:ホームページ用メモ31
前に書いておいたこのページ飛ばしてさっきのページ上げてました。順番が逆になりましたが、こっちが概念整理1回目のページです。まずヴェーバーによると近代的な産業経営者はカルヴィニズムの反営利的な経済統制を積極的に受け入れたとのことで、なぜこういうことが起きたのかが問いとなります。ヴェーバーのいう「資本主義の精神」は勤労とか節約とかそういう個々の徳性のことではなくて、「そうした個々のさまざまな徳性を一つ...
大塚久雄による『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』の解釈3:ホームページ用メモ32
大塚による概念整理が続いてます。大塚によるとヴェーバーは「資本主義の精神」を資本家だけでなく労働者の側にも認めていて、ここが同時代の研究者とは異なっているそうです。そのためヴェーバーの説明は資本家と労働者双方がその担い手になったということに重点が置かれることになります。労働者の「資本主義の精神」というのがわかりづらいですが、あたかも天職があたえられたかのように工場での労働に励むとか、そういった心情...
大塚久雄による『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』の解釈2:ホームページ用メモ30
『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』の訳者解説のメモ1回目です。まずこの論文の内容は、近代の資本主義の勃興を内側から推し進めていった心理的起動力、「資本主義の精神」とウェーバーは呼んでいるのですが、こういった精神と禁欲的プロテスタンティズム、とくにピュウリタニズムとの歴史的関係を社会学的に追求したものと述べられています。ヴェーバーの考え方はどちらかというと当時では特殊な考え方だったらしく...
大塚久雄による『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』の解釈1:ホームページ用メモ29
ホームページにマックス・ヴェーバーの『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』の概略ページ作ることにしました。私の能力で上手くまとめられるかというとまず無理で、なんでそんな無謀なことをするかというと、翻訳者の大塚久雄が巻末に「訳者解説」を上げてくれているので、そっちをまとめ直せばなんとかなりそうなためです。だから正確に言うと、「大塚久雄による『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』の解釈...
メモまとめのまとめ2回目です。前回のまとめの結論をもう一度書いておきます。ピューリタン社会の社会契約論的な自由な個人を前提する一次モデルが、結果として近代と同様の制度の無限更新運動をひき起こす。ピューリタン社会における神の存在の代わりに、近代社会は進歩の観念を利用することで社会秩序の自発的な変更を可能にしている。一度成立してしまえば近代の方が優位なので、近代社会が再帰的に成立することになる。で、ピ...
前回のまとめはアメリカ植民地社会から近代組織的な法人格会社へとつながるという話でした。まず第二章メモ3はプロテスタンティズムの契約神学についてです。その特徴は、禁欲される自己/禁欲する自己の二重体が無限に連鎖していくところです。「無限二重化の結果として、個人は自らにも到達不可能な「内部」を、自己の無限遠点としてもってしまう。それこそがあの近代的主体を特徴づける超越的「内面」にほかならない」。そして...
第二章メモまとめ1回目です。第一章で個人と組織の分離、そしてそのことを社会の制度として取り入れたことが近代資本主義につながったということでした。そしてプロテスタンティズムと近代組織をつなぐ政治組織について第二章で説明してあるはずです。以下、メモをもとにしたまとめです。19世紀ごろのアメリカ社会の特徴は、「「結社の原理」の社会、個人が自由にあつまって組織をつくりだす社会」であることです。プリマス植民地...
前回のまとめで、近代資本主義を生み出したのは合理性そのものではなくて、組織の合理性と個人の合理性を分離して併存可能とした、社会に広く共有される精神構造である、という結論がでてきました。この精神構造がどう近代資本主義を生み出していったのかが続くはず、と書いたのですが、第一章では書いてないっぽいです。しかも前のメモで、よくわからなくなってきたので二章の前に見直してみるとも書いていて、たぶんメモを見返し...
第一章のメモまとめ前半です。まず第一章で「プロテスタンティズムは資本主義をうんだか」についての考察です。ウェーバー仮説は簡単に言えば次のようなものです。「合理的な生活態度と現世に対する能動的な態度を要求する《禁欲的プロテスタンティズム》の倫理から《資本主義》の精神はうまれ、それが《近代資本主義》をうみだした。むろん、それは《近代資本主義》をつくった要因のあくまでも一つであるが。」ウェーバー仮説への...
ニュー・イングランド社会の秩序構造:佐藤俊樹『近代・組織・資本主義』第二章メモ5
今回の内容はつながりが読み取れないところがけっこうあって、その辺は佐藤の結論をとり上げるにとどめることとします。マサチューセッツ社会の原理が説明してあるんですが原理だけ書いて飛ばします。①真の信仰に目覚めた個人からなる社会、②社会はその個人が契約を結ぶことによってつくりだされなければならない、③真の信仰に目覚めない人間が存在する、の三つです。この原理はその社会で生きる人に見られる考え方のことだと思い...
ゼクテとキルへ:佐藤俊樹『近代・組織・資本主義』第二章メモ4
前回までは契約神学の説明で、第三節はその契約神学が具体的に社会にどのような変節をもたらしたか、という話です。三 契約神学の社会まずゼクテとキルへの説明から始まっています。中世カトリックは人間に「シンテレーシス(syntheresis)」とよばれる、「人間個体に内在する自然発生的な正しい秩序への傾向性」を見ていたとのことです。プロテスタンティズムはこれを否定していて、つまり中世カトリックでは人間は「善なるもの...
前回は法人が王の二つの身体論をもとにしているという話でしたが、今回は大きく変わって、ピューリタニズムの契約神学についてです。ピューリタニズムがあみだした社会と教会の一次モデルは「契約神学(federal theology)」で、これは文字通り人間が神と契約を結ぶという理論とのことです。アダムを通じて神と人間の間に結ばれたのが「業(わざ)の契約(Covenant of Works)」で、これは一定の戒律をまもれば救済されるというも...
プロテスタンティズムから近代組織へ:佐藤俊樹『近代・組織・資本主義』第一章メモ5
第一章最後のメモです。プロテスタンティズムの倫理は本当に近代資本主義をうんだのか、というのがこの章の主題でした。個人の合理性と組織の合理性の分離が結果として駆動した、というのが前回までの結論で、「近代組織という媒介項をおくこと」でプロテスタンティズムと近代資本主義の間の架け橋としようという考え方のようです。近代組織は「(1)個人は原理的に組織の外部にあり、(2)自由意思によって組織の規則に自己拘束するが...