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「尋問じんもんて……何を……」「それは言えない。ヴァンプにはヴァンプのやり方がある。だが……レイの尋問は決して甘くはない。カルディナが簡単に口を割ったところを見ると……それなりの事はしたのだろう」 その言葉に、一気に背筋が寒くなった。思わ
Dream15.悪夢の暴走 「おい! お前! さっさとオイラをココから出せ!」 硬い鉄格子の隙間から顔を覗かせてその少年は叫ぶと、両手で掴つかんだ冷たい金属の格子こうしを力一杯揺さぶった。 暗く冷え切った石の壁にガチャガチャと無機質な音
「リーディアは? リーディアは無事なの?」 ただでさえ早い段階で背中に大きな一撃を受けていた上に、彼女もエルフェリスの傍そばで戦っていた。リーディアも同じように、さらなる傷を浴びせられてしまったのだろうかと、エルフェリスの瞳が不安に揺れる
Dream14.東の魔術師 夜が明けてすぐ私達は広場を後にし、再び街道を東の魔術師の元に向けて進んだ。 今日はうっすら雲が広がって、あまりすっきりとは言えない空模様。 私の瞼まぶたもあまりすっきりしない。 馬上ではクライスに支えられ
「カルディナはドールとしての行動を見誤みあやまった。速やかに血の契約を破棄し、処分決定までの間、地下牢獄に幽閉ゆうへいとする」「そんな……嫌です! ロイズ様……ロイズ様!」「私の客人がそれほどまでに気に入らなかったのか? しかし、一介いっか
Dream13.凍える夜 それからしばらくして、壊れて行く手を阻はばんでいた橋が仮復興し通行可能になった。 足止めを強しいられていた旅人たちは一人また一人と街道に姿を消して行き、私達も慌ただしく出立しゅったつの支度を整えた。 東の魔術
その瞬間。 「リーディ……ア様、いらっしゃる……、の?」 幾分大きくなったその声に、エルフェリスとリーディアは顔を見合わせると、すぐさまアルーンが縛り付けられている木の裏側に回り込んだ。 そしてそこにいた者の姿を認めて、リーディアがそ
Dream12.短剣と黒水晶2 「黒き欠片に還かえったか。華の命は短いものよ。なぁ……サキュバス」 男の目の前で揺れる天秤から黒水晶がひとつ、消えていた。 だが男は不気味に笑い続ける。 「キラか……面白くなってきたわ。ヒヒヒヒヒ」 冷
† † † † † 時が凍りついたように、エルフェリスもまた衝撃を受けて固まっていた。 「ロイズハルトが……禁術使い……?」 禁術はもはや伝説の中の伝説。知る人ぞ知る、忘れ去られた過去の遺物。 その術をヴァンパイアの中では唯一ロイズハ
Dream11.短剣と黒水晶 目覚めた時に真っ先に瞳に映ったのは、酷ひどく心配そうな表情を浮かべたクライスとリュイだった。 そしていつも通りのセシルド。 「キラ……良かった!」 私が瞬まばたきを繰り返すと、クライスは長い溜め息と共に笑
† † † † † 慌しく居城内を走り回る者たちの足音が、静まり返った回廊に響き渡る。 先ほどから自室のバルコニーに立ち、泉の方角をじっと見つめたまま動きもしなかったレイフィールは、その騒音がさも邪魔だと言わんばかりの表情で、それでも何
Dream10.武装女子の逆襲 ああ、ありがとう。 これも神のお爺ちゃんのお陰かしら。 なんて思うわけないけど、突然救いの手は差しのべられた。 黒い水を浴びたセシルドの身体がみるみるうちに元に戻っていったのだ。 自由を取り戻したセ
苦しい……。 誰か助けテ……? 私はここにいるのに……。 あア……ロイズ様。 助けて下サ……イ……。 「ねえリーディア。こいつらいつの間に紛れ込んだのかなぁ? 初めにいたのは確かにハイブリッドだったわけでしょ?」 アンデッドの群れを振り
Dream09.夢の中の、夢2 「ふふふ。どう? 私のコレクションたちは」 サキュバスはそう言うと、噴水の上に浮遊したまま足を組んで笑った。 「何よコレ! 元に戻しなさいよ!」 反射的に柱に駆け寄っていた私は、石化したセシルドの身体に手
ワンドの先から白い閃光を何度も何度も放つと、それは瞬く間に大きく炸裂した。神聖魔法の中でも一番威力の弱い魔法ではあったが、それでもただのハイブリッドが相手ならば十分すぎるほどの威力を発揮した。その証拠に、閃光の走った後には無数の灰の山が積
Dream8.夢の中の夢 ――何が起きてももう驚くまい。 この世界は本当に不思議だと思う。 それがたとえ私たちの夢で成り立っている世界だとしても、だ。 独立したひとつの世界として存在するラルファールと、私の本当の世界を比べる事からし
辺りはいつの間にか大量の灰で溢れていた。わずかな風でもそれは砂塵さじんのごとく舞い上がり、宵闇よいやみの中を、灰色のベールで覆うように飛散しては消えていく。あれほど透明度の高かった泉も今や初めに見た姿を留めてはおらず、ゆらゆらと水面を漂う
Dream7.夢魔 “ブレイブ” “ウィザード” “ナイト” そして“ヒーラー” どれも魔具使いの階級クラスを表す呼称。 この他にもいくつかあるらしいけれど、最も一般的なのがセシルドの“ナイト”なのだそうだ。 細かい説明を聞い
しかしその間にも残った男たちは次から次へと襲い掛かってきた。 このままではリーディアの負担は増す一方だと悟ったエルフェリスはふらつく頭を何度も振って、それから肢体したいに力を込めてワンドを杖代わりに立ち上がる。一瞬目の前が真っ暗になり身
Dream6.魔具使い 村人たちの会合をある程度見届けた後、私たちは急いでセシルドが待つ宿屋へと戻った。 ものすごい剣幕けんまくで部屋に飛び込んだ私たちとは対照的に、セシルドはリュイの伴奏に合わせて下手くそな歌なんか歌っちゃってた。
「うぐっ?」 リーディアの行動が理解できないのか、男は初め訝いぶかしげに顔をひそめていた。だがすぐに膨張した花びらを鋭い牙が掠かすめると、男の口から大量の血が溢れ出した。 エルフェリスから吸い取った赤い血が。 リーディアはその時を見計
Dream5.黒の胎動 赤き月よ、出でよ。 そしてこの大地を染めてしまえ。 白き月などもはや不要。 我れが望むは黒の月なり――。 どこかで何かが妖しく蠢うごめいていた。 地底なのか、はたまた地上なのか、それすらも分からないい暗い
「しかし俺たちも見くびられたモンですよね、まさかドールなどから指図されることになろうとは」 この場の緊張感とは正反対の軽さを含んだその声に、リーダーらしきあの赤目の男は大きく欠伸あくびをしながら面倒そうに同意した。その言葉に、エルフェリス
Dream4.その名で呼んだらブッ飛ばす かくして最初の目的地は決まったワケだが、同時に私はぐうぐうといびきをかいていた。 しかも夢の世界にいるというのに、ご丁寧にもまた夢を見ていた。 そして朝。 いつもの如ごとくでなかなか起きない
【本・お題】「好きな小説について」~昔好きだったファンタジー、推理小説などについて!!~
☆今週のお題は「好きな小説」☆ さてさて、今週のはてなブログのお題はぁ~? 「好きな小説について」ですっ!! ・・・。 あれ、なんかいつも小説の紹介とかしているし、今さらじゃねぇ? 何なら好きな作家10人とかでまとめ記事も作っちゃいましたしねぇ・・・。 hiro0706chang.hatenablog.com だけど、せっかく「好きな小説について」なんて、読書ブログ冥利に尽きるお題をはてなブログ様がお出しになって下さったのですから、「据え膳食わぬは男の恥」というものでしょう。 絶好のパスをもらってるのにパスしちゃう腰抜けFWみたいになるのは嫌なんで、このお題で記事を書いてみます。 そんで、普通…
「二人とも殺して良いと言われているんでね」 男の中の一人がそう言って、白い牙を覗かせた。 「誰の差し金ですの……」 そんな中、ようやく息を整えたリーディアがゆらりと立ち上がり、エルフェリスを庇かばうように一歩前へ進み出た。 満身創痍の
Dream3.ラルファール 兎とにも角かくにも、行動を起こすにはこの世界に対するある程度の知識が必要だろうということで、どっぷり日が暮れるまでクライス先生による歴史と社会の講義を受けた。 背後にはセシルド。 欠伸あくびひとつしようもの
【雑記】おじさんが好きな「少し」古いラノベを紹介してみる【ライトノベル紹介】
どうもこんにちは! やがみおじさんです news.yahoo.co.jp 4年ぶりにハルヒの新刊がでる!というニュースを見てふと昔を思い出しました。 ライトノベル。おじさんがもしこれに出会っていなければ、自作小説を書いたホームページを公開し、それを自慢げに友達に読ませた黒歴史は存在せず。 未だに「何かに使えるのでは?」とキャラやら武器やら世界設定をパソコンのメモ帳に書き溜めているような痛々しいおじさんは生まれていなかったんだろうな、と感慨にふけってしまいます(´ω`) 前置きが長くなりましたが、今回はおじさんがリアル中坊の頃にドハマりし、現在の「やがみおじさん」を構成する大切ファクターとなった…
「……な……ッ」 エルフェリスは驚愕きょうがくのあまり絶句した。 初めて見る男だった。すらりとした長身に、長く伸びた髪の毛を風になびかせ、まるで先ほどからそこにいたかのようにごく自然に、笑みを浮かべて立っていた。 少しばかり骨ばった顔
Dream2.奔放王子と生意気従者 確かに私は夢見ゆめみが良かった。 内容を覚えているいないはともかく、毎晩何かしら夢を見ていた気がする。 夢は深層心理の現れだとか、眠りの浅い証拠だとか言われるけれど、それでも何も見ないと言うのはつま
足元に二人の男が転がった。 少し遅れて、金属の乾いた音が虚むなしく響く。 「まったくもう……お陰で遅刻じゃないの!」 恐らくは聞こえてないだろうけど、間抜けな顔で白眼を剥むく男たちに悪態あくたいを付くのを忘れない。 だって分かるでし
大人も子供も武装する現実世界から、夢の世界へと召喚された女子高生キラ。 神を名乗るおじいちゃんに助けを求められ、旅の仲間となる二人連れの元へと吹っ飛ばされる。 そこは、人々に悪夢を見せるという夢魔の蔓延る世界。この世界を救わないと、元いた世
道なき道をリーディアに手を引かれながら、一歩一歩を確かめるようエルフェリスは進んだ。 月も姿を隠す今夜は異様なほどに静かで、そして何より闇深い。先ほどに比べればだいぶ目も慣れてきたが、それでもやはり不自由さは拭いきれず、時おり地面から這
「あら、おかえりなさいませ。エルフェリス様」 二人と別れたエルフェリスが自室のドアをゆっくり開けると、窓辺に置かれたテーブルの縁に腰掛けてティーカップを傾けるリーディアに声を掛けられた。 「あれ? まだ寝てないの?」「お帰りをお待ちしてお
その後、デューンヴァイスの部屋を一足先に出たエルフェリスは一人、部屋が立ち並ぶ回廊に備え付けられた広いバルコニーの手すりに漠然と身を預けたまま、ゆっくりと昇りゆく太陽を見つめていた。 この城に来てからはヴァンパイアの生活に合わせていたた
「今……何て言った?」「え? 十字架のネックレスだよ。クリスタル製かなぁ……ドールが十字架身に着けてるのなんて初めて見たからさぁ、不思議で、ねぇ?」 それがどうしたの、とレイフィールは屈託くったくの無い笑顔を見せたが、エルフェリスは逆に、
「誰だ? エリーゼって」 すると、話の成り行きが分からないロイズハルトがすかさずそう呟く。それに対してエルフェリスは手短に内容を説明してみせた。合わせてレイフィールにも解りやすいように、簡潔に、けれども丁寧に。 が、やはりここでも彼女が
エルフェリスたちの視線が一斉に部屋の入り口へと向けられる。入ってきた男はいきなり注目を浴びたことに対して少々驚いたようだったが、何かを悟ったのかすぐに口元を緩めた。 「なんだ? 揃いに揃って……。俺も混ぜろ」 そう言ってにやりと笑った男
「やれやれ、レイのせいで進む話も全然進みやしない」 エルフェリスとレイフィールの手が離れたのを見届けると、デューンヴァイスは心底疲れたように床の上で大きく胡坐あぐらをかいてそう言った。その言葉に、エルフェリスも一連のやり取りの中ですっかり
「……いったぁ! まだ痛いよッ! デューンのせいだからね!」 氷のうを頭に載せたまま、レイフィールは向かいのソファに腰掛けるデューンヴァイスに非難の眼差しを向けた。 けれど対するデューンヴァイスはどこ吹く風。まるで気にした様子もなく、し
「どうしたの?」 慌てて顔を覗き込むと、熱っぽい眼差しでエルフェリスを見上げるレイフィールと目が合った。 アイスブルーの瞳が、すぐそばで揺らめいている。その呼吸はわずかに乱れていた。 「レイ……?」 もう一度名を呼ぼうとするよりも前に
その一方で、一人眉をひそめるエルフェリス。 「ん? ……ルイって誰?」 突然出てきた聞き慣れない名前に首を傾げると、談笑を続けるレイフィールの代わりに、彼のドールの一人がすっと口を開いた。 「ルイ様はシードのお一人ですわ。エルフェリス様
結局エルフェリスとリーディアは茶会のほとんどを茂みの中で過ごした。別に親しい誰かがいるわけでもないし、エリーゼの行方を捜すのもまた次の機会にすればよいと思って、エルフェリスは新たな友人となれるであろうリーディアの言葉に終始耳を傾けた。
エルフェリスはこっそりと横目だけでリーディアの様子を窺うかがう。しかしそのたった一瞥いちべつだけでエルフェリスはそうではない、彼女は決して悔やんではいないと確信した。 だってリーディアはいつだって眩しいほどに輝いているから。エルフェリス
「見てはいけない夢を見ているのですわ。カルディナも……他のドールたちも……」 何かを想い出すように呟いたリーディアの瞳から、色が失われていくような錯覚を覚えた。彼女の目に映る景色も、あるいはどこか別の場所を映しているのではないか。そんな印
やがて茶会の開始を知らせるベルが鳴り響き、続々とヴァンパイアやドールが集まる中を、エルフェリスもリーディアを伴って庭園へと赴くことにした。 二人が下りる頃にはもう、広大な広さを誇る庭園もすでに数多くの群衆で賑わいを見せていた。 シード
女の噂と結束力は、どうしてあんなに強大なのだろうといつも思っていた。昨日の敵は今日の仲間、今日の仲間は明日の敵、といわんばかりに刻一刻とメンバーを入れ替えながら、いつか飽きるまで続いていくのだ。 やられる側としては針のむしろ。 じわり
「あの……エルフェリス? そろそろ放してくださらない?」「あ、ごめんなさい!」 彼女の手をずっと握り締めたままだったことをすっかり忘れていたせいで、さらにカルディナの気を悪くしてしまったようだった。指摘を受けて慌ててその手を放したが、彼女
小説書くなら知っておきたい文章のルール【これだけは守って欲しい基本の書き方】
小説書くのって楽しいですよね! 投稿サイトには大量の作品が日々投稿されてます。 誰でも小説を書いて発表できるようになりました。 でも。 その文章、基本を守ればもうちょっと良くなるんじゃない? と思うことも多々あるし、何なら「基本がなってない
「よし、好きなの選べ。てか好きなだけ選べ。どうせ服もあんまり持って来てないんだろ?」 本当に衣装だけの部屋なのかと思うほど広いクローゼットのど真ん中でようやく下ろされたエルフェリスに、デューンヴァイスは至極しごく楽しそうにそう言うと、自ら