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七五調の謎をとく―日本語リズム原論 作者:坂野 信彦 大修館書店 Amazon クラリネット五重奏曲といえばモーツァルトとブラームスだろう。モーツァルトは1789年(33歳、死の2年前)に「クラリネット五重奏曲 イ長調」を、ブラームスは1891年(58歳)に「クラリネット協奏曲 ロ短調」を発表した。 いずれも至高の傑作だが、その趣きははっきり異なる。モーツァルトの作品は雅やかな気品を湛えてゆるぎなく、明るくのびやかで屈折がない。対してブラームスの作品は際立って優美でありつつ、内省的で繊細な雰囲気を強くまとっている。このふたつの作品に対する吉田秀和の批評は核心を突いて容赦がなく、ブラームスが気の…