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【あらすじ&ひとりごと】 中脇初枝さんの『神の島のこどもたち』を読みました。 戦争の最前線となった鹿児島県奄美群島の沖永良部島に住む子どもたちを描いた物語です。 主人公のマチジョー(童名)と幼馴染のカミ(童名)は、父や兄を戦争で失い、日々空襲に怯えながら生活するが、貧しくも島の人たちと助け合って生きていた。 戦争は終わるも、島は米政府の統治下に置かれ、復興され豊かになっていく日本本土から分離される。 そんな中、マチジョー一家は仕事を求め、島を出ることになる。一方、カミたちは日本本土への復帰を求め活動を始める。 そして、カミは島を出て行ったマチジョーの帰りを待ちながら自分の将来の夢を考え始める。…
ポプラ社(2013) 【あらすじ&ひとりごと】 中脇初枝さんの作品を読むのは3冊目。児童文学作家でもあり、童話や絵本も書かれています。 以前、『世界の果てのこどもたち』『きみはいい子』を読んで、子どもが生きる中で大人がどうあるべきかを描く物語がとても印象的でした。 これらの作品より以前に書かれた『わたしをみつけて』ですが、人が人を見守って・見守られる、そしてまた見守っていく、ということの大切さを感じました。 生後間もなく親に捨てられ、児童養護施設で育った主人公・山本弥生。名前は3月に生まれたから「弥生」ではなく、3月に捨てられたから。 自宅近くの病院に准看護師として勤務するが、仕事が終わると自…
ポプラ社(2012) 【あらすじ&ひとりごと】 中脇初枝さんの作品は以前、戦時中の満州で出会った3人の少女の人生を描いた『世界の果てのこどもたち』を読んで、とても感動したことを覚えています。 それよりも前に書かれた『きみはいい子』。 本書は虐待がテーマになっていて、虐待を受ける子どもや高齢者とその家族が描かれ、その家庭に関わる教師や大人たちが悩みながらも思いやりの手を差し伸べ、一筋の光を与えてくれる短編集。 一話一話のストーリーは独立したものですが、ひとつのまちが舞台となっていて、人と人が繋がっていきます。 どの短編も心が苦しくなるけど、最後は希望へと変わっていくことに救われ、目頭が熱くなる作…