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楽善な日々 https://blog.goo.ne.jp/umekko45

ブログを始めた当初は大学生だった娘と高校生だった息子。今では、新社会人となった娘、大学生にようやくなれた息子。家族の日々とおかんのつぶやきをつづります。

おかん
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住所
神奈川県
出身
ケニア
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2019/05/28

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  • 特別な栄養素

    のんびり者の長男善、最近はバイトや運転免許講習で大忙し。いつ音を上げるかと見ていると、なかなかどうして踏ん張って乗り切っている。こうして人は成長していくのだろう。おとんと二人、微笑みつつ見守っている。それが先日、ぽっかりと何の予定もない日があった。コーヒーを飲みつつ、リクライニングシートに脚を伸ばして座って、テレビを見つつゲームして。そして、一言。「何もしないことでしか摂取できない栄養素があるんだよね。それを今、取り込んでいるところ。満たされる~!!」善の主成分が判明した。何もしないことでしか摂取できいな栄養素。何もしないことも大事なことなのだね。庭を何気なく散歩していると、どこからともなく秋の香りがしてきた。香りのもとを探したくて、鼻をくんくんさせながら庭をぐるりと歩いていくと、裏のお家のお庭に金木製を...特別な栄養素

  • 危険なくらい元気

    庭につやつやしたナスが二つ成っている。あと少しで収穫できそうだ。裏に回るときゅうりが一本収穫できそう。植え替えしたい苗が二つあるし・・ちょっと元気のない紫陽花が心配だし・・・庭仕事がしたいのだけれど、今、庭先には、危険なくらい元気なやつらがいて、なかなか庭に出られない。やつらの名前は「蚊」。なんだか夏よりも元気な気がする。秋になって過ごしやすいなあって思っているのは人間たちだけではないみたい。水をあげに庭に出ていくと喜んで寄ってくる。牛が尻尾で虫を避けるように手をぶんぶんと振ってみるけれどやつらはひるむことなく、寄ってくる。「わーい!わーい!刺しちゃうぞ~!」と声が聞こえてきそう。今日も水をあげた後、玄関に逃げ戻って、ふと玄関先の鏡に顔を映してみたら、おでこに蚊が一匹。思わず「ビタン」とおでこを叩いて、「...危険なくらい元気

  • あと3枚

    台所のカレンダーをめくり忘れていた。9月の分をはがして、気が付いた。今年のカレンダーもあと残すところあと3枚。善の大学受験に翻弄された1月2月。4月は社会人楽と、大学生善の新しい出発の月だった。6月は私が1つ年を重ねた月。みんなでケーキを食べた。今年の夏は記録的に暑かった。そして今は秋。涼しい風が吹くようになった。秋と冬。季節も残りあと2つ。時の流れはあっという間で心が追いついていかないこともある。だからこそ、一日一日と平凡な日々を暮らしていきたい。平凡な日々の中にちょっとした楽しみがあれば、もっと良い。昨日は、ちょっと楽しいことをしてみた。善のバイト先に、おとんとこっそり行ってみたのだ。善には内緒で。にぎやかなイギリス風バーでハーフパイントのビールを注文。おとんはノンアルコールで。ちらちらと厨房に見え隠...あと3枚

  • 秋めく

    ここのところ雨模様の日々だった。一雨ふるたびに朝晩がひんやりと秋めいていく。今朝はおとんが「寒い寒い」と起きてきた。善は、長袖Tシャツを出してきた。駅まで歩いていくと、木々が連なり芝生の広がるちょっとした小道がある。野良猫ちゃんもこの小道が好きでいつも何匹か昼寝をしている。木々の中に一本、大きな柿の木がある。枝には、たわわに柿の実がなっていて、遠くからでも柿色が綺麗に見える。駅に出るたび、この柿色に秋を感じる。家のわきに彼岸花が咲いた。ある日、ひょっこりと顔を出していて、こんなところに!と驚いた。彼岸花を見ると、昔住んでいた岡山の川辺を思い出す。毎年秋になると、川岸の土手に、一直線に並んで彼岸花が咲くのだ。土手の緑色と、彼岸花の赤い色が、とても美しかった。今日も本を読んでいると急にさーっと雨が降ってきた。...秋めく

  • ウロコの台所

    今朝はせっせとアジの骨抜きをしていた。台所に椅子を持ちこんで、腰を落ち着けて、集中。この集中している感じが気持ちいい。瞑想に近い心持ち。釣りの釣果をおとんは一人で綺麗にさばく。タチウオを7尾とアジをたくさん、一人で黙々とさばいていた。でも、アジの骨をピンセットで抜くのは私の方が得意。なので、おとんが一仕事を終えた後は、バトンタッチで私が黙々とがんばったのだ。私が一仕事を終えた後はまたまたバトンタッチでおとんが皮をはぐ。こうして、山盛りの切り身の出来上がり。昆布じめにして、両隣のご近所さんたちにおすそ分け。食べていただいて、ありがとうございます。一仕事を終えたあとの台所は大変なことになっている。一面、ウロコにまみれて、まるで模様のよう。白く光るウロコ模様。爪でひっかくとはがれていくウロコの台所。よく見ると、...ウロコの台所

  • よく眠る秋

    今朝は寝心地がよかった。窓から秋風が吹き込んで涼しくて、さわやかで、なかなか目が覚めない。もうちょっとだけ、このままでいたいなあ。あとちょっとだけ、このままで。そして寝坊してしまった。隣の部屋の善も、どうやら同じ気持ちだったらしい。きっと、もうちょっとこのままで・・あとちょっとこのままで・・・と繰り返していたのだろう。大学をあやうく遅刻するところだった。よく眠れる秋。寝ている私や善がいる一方起きてくる花もいる。夏の暑さで咲かなくなっていたマリーゴールドとパンダスミレが秋になってまた花を咲かせるようになってきた。緑色が目立っていた庭に、彩りが増えてきた。なぜか野良猫ちゃんたちも遊びに来るようになった。キャットニップの茂みに遊びに来ているのかな。さらっとした秋風が気持ちよいこんな一日、お昼もうつらうつらと夢の...よく眠る秋

  • 思い出と一緒に京都旅

    楽と一日京都旅に行ってきた。窓はカーテンで覆われて景色も見えず、電気も消された真っ暗な車内。聞こえてくるのは、人の寝息とゴーゴーと響く走行音。そんな夜行バスのステップを降りて、朝の京都に着地した。暗闇から一転、朝の新鮮な空気の中へ。不思議な気持ちで、京都の空気を深呼吸した。朝はホテルのビュッフェにて。スペイン語を話す外国人観光客がたくさんいて、わいわいとにぎやかに食べていた。サラダが豊富だったので、楽も私もサラダ多めに。楽は京都が好きで、何度も一人旅で訪れている。だから、「まかせて!」とばかりに先頭にたち、京都初心者の私を案内してくれた。金閣寺は開門時間に行って、観光客の多さに驚いて、その中にビュッフェのスペイン人団体さんたちを見つけて、お互いたくさん楽しみましょうね、と心の中で声をかけた。竜安寺では、小...思い出と一緒に京都旅

  • 楽とちょこっと旅へ

    大学生の長い夏休みも終わり、善は後期の授業を受けている。今日は英会話があるらしい。自分で選択した講座なのに、朝から緊張して"Hi,mynameisZen.WhenIwasahighschoolstudent,Iwasahandballplayer."と自己紹介の練習をしていた。親友のKがアメリカに留学中なので自分も英語を!と思い立ったのだろうか。うまく自己紹介できたかな。楽とおとんは山から元気に帰ってきた。おとんは久しぶりの山で、体力が全然なかったらしい。楽に「おとんは全然だめ」と言われていた。肌寒い秋の山で、二人山登り。岩場を乗り越え、壮大な景色を眺め、美しい夕日を見て。よかったね。良い思い出だ。今日の夜から、今度は私と楽がちょこっと旅へ。高速バスにのって、目的地には朝に到着して、その夜に新幹線で帰って...楽とちょこっと旅へ

  • 読後感に浸る午後

    本を読み終わったあとの時間が好きだ。次の本を読み始めるまでの間、読み終わった本の世界を引きずってしばらくはその世界に心が浮かんだままになる。その本の世界がもう終わってしまったことにちょっとした寂しさを感じたりしながら。良い本だったなあ。ああ、読み終わってしまったなあ。なんて思いながら。FredrickBackman著"AManCalledOve"を読み終わった。妻を亡くして、悲しみの中で一人過ごす頑固者のOveの日常が隣に引っ越してきたイラン人妊婦さんとその家族と関わるうちにどんどんと騒がしくなっていく。そのうち、猫とも暮らし始めて、いつの間にかOveの周りには、楽しい面々が集まっていた。心温まるご近所さんストーリーだった。Oveと猫は毎日、テラスハウスの周辺を見回る。空き巣に荒らされているといけないから...読後感に浸る午後

  • 山の上の二人

    空に半月が輝いている。ちょっと太った半月が煌々と。今日は家に誰もいないので、ベランダから、お月見をしながら、のんびり虫たちの合唱を聞いている。風が涼しい。遅い夏休みをとったおとんと楽は二人で山登りに出かけた。赤岳の山荘に泊まっているらしい。家族lineにたくさん写真が送られてくる。大好きな娘と山登りなものだから、写真のおとんは、どれも嬉しそう。楽は笑いをかみ殺して、真顔で映っている。照れ隠しをしている様子が可愛い。小学生だった楽に、山の楽しさを教えたのは、おとん。でも、今は、健脚の楽についていくので精一杯だそうだ。楽も大きく強くなったものだ。感慨深い山登りになりそう。善は遅くまでバイト。ちゃんと役に立っていますか。失敗して怒られていませんか。甘えん坊の善がバイトだなんてちょっと前までは想像もできなかった。...山の上の二人

  • 「軽い」散歩?

    雨雲が通り過ぎて行ったら、風が秋のものに変わっていた。窓を開けて、新しい季節の風を部屋に入れる。涼しい。風に吹かれながら、気持ちよく読書をしていたら、おとんが、また、「軽く散歩しようよ」と誘ってきた。この間は「軽く」の言葉に騙されて、駅前に出かけていくような恰好で行ってしまい、失敗したので、今日はちゃんとウォーキングを意識した恰好で。抜かりなく。二駅ほど歩いて園芸店へ行くのを目的にしていざ出発。秋のウォーキング。すがすがしい風が気持ちよい。釣りを楽しむ人たちを眺めながら、海辺を歩く。途中でランチ休憩。納豆ラー油うどんというのを食べてみた。ラー油のつけ汁に、納豆を絡めたうどんをつけて食べる。とっても美味しい。家でも作ってみたい。そして、目的の園芸店へ。クランベリー、ローズマリー、かわいい多肉植物を購入。また...「軽い」散歩?

  • 小説を書く楽しさ

    今日も今日とて雨模様。曇り空の下、朝顔が元気に咲いていた。この雨が通り過ぎていくころに秋の気配が濃くなっていくのだろうか。前に住んでいた家の前には金木犀の木が植わっていて、金木犀の花の香りで秋を知った。この辺りには植わっていないのだろうか。今度、探しに行ってみようか。最近、凝っていることがある。それは小説を書くこと。専門的に勉強をしたこともないし、どこから手をつけてよいのやら分からなかったけれど、森沢明夫著「プロだけが知っている小説の書き方」を参考に少しずつ書き進めている。主人公は私や友達の色んな部分を混ぜ合わせてつくった失敗ばかりする女の子。主人公の家族は私の家族と似ているけれどちょっと違う面々。主人公が小学生のころから50代になるまでを書いてみたいなあと思っている。今は大学生時代を書いている。自分が作...小説を書く楽しさ

  • 秋雨と読書

    今朝、バイトに出かけていく善を見送りに庭に出てみると秋雨の中、朝顔が咲いていた。季節が通り過ぎようとしているなか、まだまだがんばって咲く花が可愛らしい。一方、夏の間は花をお休みしていたパンダスミレにまた花が咲いてきた。パンダスミレの花は秋にも咲く。昨日までの暑さで夏が戻ってきたのかと思っていたけれど、やっぱり、秋はやってきていた。今日はこれからみんなが帰ってくるまで読書をしようと思っている。部屋がちょうどよく暗くて集中できそうだから。雨が吹き込まないように窓を閉めているのでしんと部屋の中は静かだ。読書日和。今読んでいるのは、FredrickBackman著”AManCalledOve"という本。堅物のOveは、ひとり孤独に暮らしているのだけれど、近所の騒動に巻き込まれていくうちに、猫とも同居しはじめて、孤...秋雨と読書

  • 家族の太陽

    今年社会人となって、東京で一人暮らしをしている楽が久しぶりに帰ってきた。家族が勢ぞろい。ひとり増えるだけなのに、家族全体がぱっと明るくなるようで、おしゃべりもいつもの2倍は多くなる。家族の中では、ひとりの存在はとっても大きい。善もお姉ちゃん相手に近況報告会。ダーツ大会に参加して優勝したこと、運転免許を取りに行っていること、バイトを始めたこと。自慢したいことが山ほどあるようだ。相変わらず、仲良しな姉弟だ。善はバイトで参加できなかったけれど、おとん、楽、私の3人で鎌倉散策に行ってきた。街をぶらぶら歩いて、色んなお店を物色しつつ、会えなかった間の出来事をひっきりなしに話す。小町通りの喫茶店に入ってみた。そこは30年前、私が行きつけだったお店だ。結婚前は鎌倉で働いていて、仕事上がりにみんなで寄ったお店。私のお気に...家族の太陽

  • 息子の新しい挑戦

    なんとなく雨が降りそうだなと思っていた。日中は晴れていたけれど、すーんっと遠くから音が響いて聞こえていたから。そんな風に音が響くとき雨がよく降る。大学生の息子、善は、この夏、新しい挑戦をしている。運転免許を取りに、教習所に通い始めた。なぜかマニュアル車を選んだようで、初の技能講習では、たびたびエンストを起こしたらしい。「無理だ~!絶対無理だ~!選び間違えた~」と叫んでいた。今日は2回目の技能講習を受けてきた。本人が言うには「急激に進歩をとげてきた」らしい。帰宅すると、ハンドルを握るしぐさをしながら居間を歩き回り、「ギアチェンジ・・クラッチ・・ガギンガギンブーン・・ガギンガギン」とつぶやいている。バーチャルで復習しているらしい。小学生が遊んでいるみたいで面白いなあ。新しい挑戦にわくわくを隠せない善。そんな善...息子の新しい挑戦

  • なんとなくうれしい

    夕方になるとほっと一息、晩酌タイムを楽しむ。家族が集合しているときはわいわいと。一人のときはのんびりと虫の声を聞きながら。今日一日お疲れ様、と自分に乾杯。最近好きなのは、あるコンビニのレモンサワー。甘くなくて、すっきりしている。週に2回、コンビニまで散歩して、1回4本ずつ買っている。ちょっと一人で買うには多いから、恥ずかしさもあいまって、心の中でいつも「一日で全部飲んじゃうわけではないのです~」「一週間分なのです~」と誰にともなく言い訳を繰り返しつつ。先日もコンビニまで散歩して、なんとなくその日は、5本買い物かごに入れた。念のため、念のため。予備、予備。レジで、年配の女性店員さんが呼んでいる。「こちらへどうぞ~」「よろしくお願いします」「あら。今日は1本多いのね」「!!!」「・・・いやあ。なんとなく念のた...なんとなくうれしい

  • 庭仕事日和

    空を雲が通っていく。部屋の中が急に暗くなって、雲が過ぎ去っていくと、ふわんとまた明るくなる。そんな光の変化をカーテン越しに楽しんだ昼下がり。カーテンから庭を覗いて涼しそうな風に揺れる草木を見ていたら、「よし。庭仕事しよう!」と思い立った。庭仕事日和だから新しく買った植木を植え替えしてあげよう。庭に出てみると、メロンの葉の中に黄色い色が見えた。花が咲いていた!種から育って、花までつけたなんて、うれしい。メロンが出来たらいいなあとウキウキするも、雄花と雌花を受粉させないといけいから、ちょっと難しそう。花にシジミチョウが遊びに来ていて、こういう虫たちが手伝ってくれるかもと期待している。涼しい風に吹かれながら、土を触る楽しさ。昨日まで聞こえていたセミの声は今日は聞こえてこなかった。庭仕事をしていたら、珍客がやって...庭仕事日和

  • 雨があがったよ

    雨があがってお日様がでてくると私の風邪もよくなってきた。元気がでてくるのに合わせて暑さも戻ってきた。遅れて顔を出したセミたちが俺たちのことを忘れていないかい、と鳴いていた。昼はまだまだ俺たちの出番だよ、と。元気も出てきたので、おとんに誘われるままお買い物へ。夕暮れ時にバイクで海辺を走って、目指すは園芸店。庭の植木たちの仲間を買ってこよう。店内には色とりどりの花と形さまざまな草木。歩き回るだけで楽しい。おとんと二手に分かれてはまた合流。「お~。かわいいねえ」「きれいねえ」気づくとおとんが横にいないのに、独り言を言っている。面白い多肉植物を購入。葉の縁にずらりと子供がくっついている。その名も子宝弁慶草。子供の葉っぱが土に落ちると、それが成長して繁殖していく。育てるのが楽しそうな植物だ。名前もおめでたい。もう一...雨があがったよ

  • 雨が季節をつれてきた

    「新しい季節は、いつだって雨が連れてくる。」恩田陸著「ユージニア」のはじまりの一行。本当に雨が秋を連れてきた。今日は風がひんやりとしていて、いつもより外が静かに感じる。窓から庭を覗きみると、雨に濡れ、しんと秋めいている。数日まえ、天気が崩れはじめたころに体調を崩しはじめて、微熱で寝込んでしまったのだけれど、今日になって少し元気が出てきた。おとんの作った卵ときゅうりのサンドイッチを平らげて、「お。食欲でてきたねえ」と驚かれたくらい。がらがら声もからから声まで回復。簡単なヨガで少し体も動かしてみた。寝てばかりでは体力が落ちてしまいそうなので、今日は一日起きていよう。ガラスペンで写し書きをしてみようと思う。用意をしたのは「森本哲郎世界への旅7ことばへの旅」世界の名言を読んで、ガラスペンで書いていこう。しんと薄暗...雨が季節をつれてきた

  • 発熱、そして久しぶりの庭

    微熱が出てしまった。ベッドの上でふわふわと過ごす。ちょっと目が覚めると「ナルニア国物語」を読み、眠くなると目を閉じて、また目が覚めるとナルニア国へ戻っていく。衣装ダンスの奥にある国へ行ったり、夢の中へ行ったり。現実の世界へ戻ってくるのは夕方になって、みんなが帰ってきてから。ひょこひょこ居間へ降りて行って、「お!よわよわおかんが来たぞ~」とからかわれ、しばらくみんなと時を過ごす。今朝は少し元気があったので、久しぶりに庭に出てみた。水やりもおとんに任せきりだったので、植物たちは元気かなと。種から育てたメロンは葉が元気に育っていた。こんなに丸く可愛い葉っぱだったとは。どこまで育っていくのだろう。キャットニップの茂みがずいぶん大きくなっていた。猫が好む匂いがするらしいけれど、ちょくちょく猫が遊びに来るのはこの葉を...発熱、そして久しぶりの庭

  • 夏の終わりと夏風邪

    一日雨模様。ぎらぎらした夏の勢いは影を潜め落ち着いた曇り空が広がっている。私は風邪気味。ここ数日忙しく外を動き回っていたのだけれど、どこかで風邪を拾ってきてしまった。熱はないけれど、のどが腫れているようで、ときどき、咳が出る。体がふにゃっと力がでない。「一日寝てなさい」とおとんに言われ、薬を飲んでベッドの上で過ごしていた。薬のせいか、どこか感覚がにぶく、ほわんとしていて、寝たり起きたりの繰り返し。そういえば、今年の夏も楽しくすぎていった。夏のはじめ、家族でホタルを見に行った。小川のまわりは電灯が落とされて暗く、その暗闇をチラチラと光が揺れていた。高く高く飛んでいくものもいた。おとんがホタルの光と間違えて指を指したのは飛行機の光だった。ちょっと恥ずかしそうにしていた。毎年恒例のキャンプ。川のそばにテントを張...夏の終わりと夏風邪

  • 思いがけないもの

    思いがけないものに出くわしたとき何か得をした気持ちになる。洗濯物のポケットを探ったら500円玉が出てきた、ベッドの下を掃除したら読みたかった本が見つかった。やったあ。ラッキー。昨日は思いがけない出会いがふたつあった。一つ目は庭に出たとき。視界に見慣れない色が入っってきた。今までそこにはなかった淡いピンク色。オジギソウに花が咲いていた。葉に触ると、しゅんっと葉っぱがお辞儀をする、あのオジギソウだ。葉っぱが可愛いから園芸店で買ってきた。花が咲くなんて知らなかった。花はふわんとしたタンポポの綿毛のよう。こんなに可愛い花が咲くなんて思いもよらなかった。小さな喜びを見つけた。夜に町内会館に集合して、配布物を仕分けするお仕事があった。広報誌をそれぞれの部数ずつラックに並べていく。5人の皆さんと一緒にせっせと汗だくでお...思いがけないもの

  • 虫の声合唱団

    夏もそろそろ終わりに近づいているのだろうか。夜になると、虫の声が響き渡っている。とても綺麗な音の合唱団だ。日中は暑いから気が付かないけれど、季節はいつのまにか移ろっているのだろう。虫の声に囲まれて秋がそこまで来ていることを感じる。どんな虫が鳴いているのだろう。庭に出て、耳を澄ましてみる。高い声と低い声、キシキシキシと繰り返す声とリーンリンと鳴るような声。それが合わさってオーケストラ。庭の近くに草むらがあるので、音の主はきっとそこに住んでいるのだろう。童謡、虫の声の歌詞を見ながら、どんな虫が鳴いているのか探ってみる。リンリンリンリンリインリンの鈴虫の声は高くて澄んでいる。キリキリキリキリのコオロギも近くにいるみたい。ちょっと低めの声で鳴いている。うまおいもいるのかしら。スイッチョンと聞こえるような気もする。...虫の声合唱団

  • 挑戦する人たち

    今までずっと部活部活の日々だった善が、はじめてのバイトに挑んでいる。おしゃれなレストランバー。スポーツ以外を習おうとしている善を見るのは新鮮だ。研修中は様々な仕事を一通り覚えるので、この間はキッチンにも入ったらしい。遊びにでかけていった日は、帰ると「うぃ~」としか言わないくせに、バイトの日は「ただいま~!かえったよ~」と言う。ちょっと張り切り気味の声で。その声がほほえましい。おとんは釣りに夢中だ。はじめは友達と声をかけあって行っていたけど、最近は一人でひょいひょいと、足取りも軽く出かけていく。自作の仕掛けを作ることにも凝っている様子。本を何冊か買い込んできた。釣りの前日になると、本を覗き込みながら、もくもくと仕掛けを作る。今日は大漁だったらしい。ただ、おとんの仕掛けを使った時は、仕掛けごと全部抜けて、魚た...挑戦する人たち

  • 虫といたちごっこ

    昨日、スミレの茂みの中に発見した黒とオレンジ色のとげとげした毛虫。その名もツマグロヒョウモンの幼虫。一匹だけだと思っていたら、なんと6匹もいた。これではスミレが食べつくされてしまう。割りばしを持ってきて、一匹ずつつまんでは、6回も往復してプランターからちょっと離れた雑草のところに持っていった。今朝、スミレの茂みを見てみると、なんと、6匹ちゃんといるではないの。雑草よりもスミレが好物なのだろう。延々と移動して、よく戻ってきたものだ。長旅を経て、また故郷のスミレへ。すごいなあ。感心している場合ではなく、また6往復をして、みんなを雑草の所に連れて行った。今度はちょっと美味しそうな雑草を選んでみた。ツマグロヒョウモンといたちごっこ。夕方、植物に水をあげる頃、最近ますます活発になった「やつら」に追われる。その名も、...虫といたちごっこ

  • 種から育てる~2

    いつだったか、友人から頂いたメロンを食べたあと種を取っておいて水に浸しておいたら、あっと言う間に発芽して、どんどん苗が育っていった。今日はその後のお話。台所に置いていたメロンの苗はひょろひょろと背ばかり伸びていったので、日の光が必要だと土に植えて外に置いてみた。すると、葉がみるみる大きくなって、日々、元気に育っている。メロンが出来たら、どうしましょう。種からここまで育ったのかと思うと、とても楽しい。話はそれるけれど、メロンの苗の隣のプランターにはスミレが植わっている。最近、花があまり咲かなくなってきた。こう暑い日が続くと、お花は一休みなのだろう。いっぽう、葉はわさわさと茂って、お隣のプランターにも浸食しはじめている。すごいなあ、と見ていると、珍客を発見。黒とオレンジの、体がとげとげした毛虫。インターネット...種から育てる~2

  • 時の流れ

    明日、親戚の叔父の葬儀がある。急な知らせだった。浅草の神谷バーに親戚一同で飲みに行ったことがあった。私が大学生だったころの、昔々の話。みんなで電気ブランを飲もうと。みんな元気で、話が盛り上がったっけ。一番賑やかだったのが、下町のべらんめえ口調で話す私の父と紳士的なのに、ひょうきんな叔父だった。交互に話の主導権を握っては、どっちが皆にうけるか競っていた。よく笑った夜だった。母も大きな声で笑っていたっけ。神谷バーでの賑やかな夜を思い出すと時の流れの速さに驚く。話の中心にいた父も叔父も今は亡き人だ。明日は母のために介護タクシーを頼んでいる。車椅子を用意してもらって、私が押していこうと思う。神谷バーの夜から時がずいぶん経って、みんながその分、歳をとった。それでも、また、みんなで集って叔父を送れることはありがたい。...時の流れ

  • 50代からのダイエット

    お風呂上りの鏡には自分の裸体が映っている。昔は痩せていて、とんがったイメージだったのに、この頃はどこもかしこも、まん丸い。腕、肩周り、顔、後ろ姿、どこもふんわりしてしまったなあ、と鏡の前であっちを向いたりこっちを向いたりしていると、何か既視感のようなものを抱いた。どこかで似たような裸体を見たことがあったような。銭湯とかそういう場所で見たという感じではなく、もっと芸術的な何かだったような。着替えながら、なんだろうと考えていると、ふと思い浮かんだ絵があった。昔、美術の教科書に載っていたボッティチェリの「ヴィーナスの誕生」という絵だ。水から誕生したヴィーナスが貝殻に乗っていて、豊かな髪の毛で自分の裸体を隠している。天使が甲斐甲斐しく花模様の外套をかけてあげている。絵の中のヴィーナスは小顔の絶世の美女。似ているな...50代からのダイエット

  • パートに出てみようか~50代の悩み

    善がバイトを始めた。おしゃれな感じのレストランバー。先日、初めての研修があった。制服のポロシャツも持って帰ってきた。「立つときは、こんなポーズで立つんだよ」とポーズを決めて見せてくれる。楽しそう。私もまた働きにでたくなってきた。父が亡くなり、母の心配もあり、仕事を辞めて2年が経つ。昨日、母と電話で話して、善のバイトのことを報告すると、「おかんちゃんにも良さそうなバイトだねえ。一緒に働きなさいよ」「いやいや、一緒には働かないけれど・・。でも、お母さんの体調が悪化したら、すぐに動けるの私だけじゃない?心配だし」「まだまだ大丈夫よ~。働きなさいよ~」どうしましょう。仕事を辞めて数カ月は、テレビを見ていても落ち着かず、何か喪失感のようなものが付きまとい、日々そわそわしていた。バーンアウト症候群だったのだろうか、何...パートに出てみようか~50代の悩み

  • 元気がないときはあくび

    暇人大学生善は、アニメ「こち亀」を流しつつ漫画「ソウルイーター」を読みつつスマホゲームをするという、とても器用な休日。もうちょっと生産的な休日にしてほしいものだけれど。家事をしながら、こち亀をチラ見していると両さんのハチャメチャな行動に大笑いしてしまう。「歯無しにならない話」という回では、両さんの歯が全部抜けてしまい、そのまま道端に転がっていき、トラックに踏みつぶされて粉々になってしまうのだけど、最終的に両さんの歯は全部乳歯だったことが分かる。まさにハチャメチャ。善と大笑いした。こち亀のオープニングソング「葛飾ラプソディー」が大好きだ。「どこかに元気を落っことしても葛飾亀有アクビをひとつ変わらない街並みが妙にやさしいよ」この歌詞がとくに好き。元気がなくなったら、アクビをすると良いのかな。本当かしら、と思っ...元気がないときはあくび

  • 20歳年上の友達

    20歳年上の友達が遊びにきてくれた。前に住んでいた家のお隣さん。引っ越した後も、LINEで連絡をくださり、時々、こうしてお茶をしにきてくれる。うれしい。歳は離れていてもおしゃべりすることは盛りだくさんでしゃべって笑って食べて飲んでそうこうしているうちに5時間も経っていた。前の家では、庭先やベランダで顔を合わせると日向ぼっこや夕涼みをしつつ長話をしていたっけ。でもお互いのお家にお邪魔することはなかった。こうして家に招いておしゃべりするようになったのは、全部、年上の友達のおかげ。私が引っ越してからも、ちょくちょく連絡をくれて、予定を立てては、訪ねてきてくれる。その積極性に支えられて、はぐくまれた友情だ。友達が作ってくれた二人だけのLINEグループがなんだかとてもありがたい。近況報告や旦那さんの面白話も好きだけ...20歳年上の友達

  • 白髪のままで~50代の悩み

    50代になってから気になっていることがある。白髪が増えてきた。こめかみはとてもとても白い。部分染めのように。化粧をしないで出歩いているのに、白髪はなかなか自信をもって見せられないでいる。しわとかシミは見せられるのに、白髪にはこだわってしまう。なぜだろう。何かそこには壁がある。今、新社会人でがんがん働いている楽は保育園の頃、白髪頭だった。3,4歳の小さな楽の頭は、髪の毛がきらきら光っていた。白い髪が光を反射するのだ。転勤族だったので、環境がくるくる変わることにストレスを感じていたのだろうか。それとも、ホルモンのバランスの問題だろうか。幼児期に白髪ができるなんて何故なのだろう。楽の白髪頭を見るたびに心が痛んだ。保育園の先生が楽に良いのではないかとヘナで染めることを勧めてくれた。自然素材のヘナだと、染めるときの...白髪のままで~50代の悩み

  • 画伯を探して

    大学生善は、長い夏休みの真っただ中。時には中学時代の仲間と時には高校時代の仲間とそして大学の仲間とちょくちょく出かけている。バイトも始めると言っていたっけ。大学生は夏を満喫するのに忙しい。でも、時には今日のように予定の何もない、ぽっかりと空いた一日もある。何もしなくてもよい一日。何をしてもよい一日。家でごろごろしていた善が突然着替え始めて、「ちょっと外で絵を描いてくる」と出かけて行った。大きな画板を肩から下げて。おとんが近くによい公園があると教えたらしい。そこに写生でもしに行ったのかな。ちょこっと涼しくなってきた夕方、おとんが言った。「画伯を探しに公園まで行ってみよう」団扇を持って、ムームーのような部屋着のまま家を出発。おとんとぶらぶら公園を目指す。虫の声が聞こえて、風に秋の気配が混じっている。夏も峠を越...画伯を探して

  • 丸めこまれて山歩き

    「軽く散歩しにいこうよ。ここよりうんと涼しいよ。ちょこっと山の方に行くだけで、気温が違うと思うよ~。気持ちいいと思うよ~」と、おとんが「軽く散歩」しようと誘ってきた。「軽く」歩くくらいなら、よいか。一日予定もないことだし。駅前に行くような服装にいつもの肩掛けバッグを持っていくと、「そのバッグより、こっちの方がいいんじゃない?」とウエストポーチを持ってきた。この時点で、おかしいなあ、と気づくべきだった。バスで山の方まで登っていく。降りた停留所付近から、ずいぶん急な階段が続いていた。「ここが一番の難関だから!ここさえ登っちゃえば平気!」仕方ない、がんばって一段一段登っていった。するとあっと言う間に、草木が生い茂る山の中。思っていた軽い散歩と様子が違うぞ、と思い始めたけれど、おとんはずんずん歩いていくから、後を...丸めこまれて山歩き

  • 山(の日)に芝刈り

    山の日。娘の楽は、趣味の山登りへ。大学時代の山岳部の仲間とともに。ちょくちょく家族Lineに写真が送られてくる。真っ青な空。白い大雪渓。緑の木々。天気に恵まれて本当によかった。「人が多い」「あとちょっと」のメッセージの後に、ビールで乾杯している写真が送られてきた。無事に頂上に着いたようで何より。楽が山を一歩一歩登っているその頃、私は、山へ芝刈りならぬ、庭へ草取りに。真夏の太陽を浴びて元気もりもりに伸びてしまった雑草を何とかしなければならない。長袖長ズボンに野球帽で出陣した。汗だくで雑草を抜いているとお隣のおばあちゃまが声をかけてくれた。ご厚意に甘え、お水を一杯いただく。そして、立ち話。途中でおじいちゃまが2階のベランダから顔を出し、3人でおしゃべり。おじいちゃまが育てているゴーヤが実っていて話が弾んだ。そ...山(の日)に芝刈り

  • せっせと働く

    暑いから、また今度。と、伸ばし伸ばしにしているうちにいつのまにか家事がたまっていた。トイレ掃除、お風呂掃除、アイロンかけ。善のお気に入りの靴下を繕ったり、私のワンピースの裾のほつれを直したり、まな板も漂白しなくちゃいけない。今日はせっせと働く日。家のあちらこちらで「よっこいしょ」と独り言。時々、庭に出て気分転換。お隣のおじいちゃまが風にあたりに出てきたのでしばらく立ち話。二人で意見が一致したのは、「やることはたくさんあるんですよね~」と言うこと。ちょっとやる気が起きないだけ。おじいちゃまにおとんの釣ったタチウオをおすそ分け。いつも食べていただき、ありがとうございます。反対側のお隣の旦那さんが車のルーフキャリアに荷物を積んでいる。お話を聞くと、遠出のキャンプ旅行へ行くという。お子様たち、わくわくしているので...せっせと働く

  • 床磨きと種

    蒸し暑い。雨が降ったり、日が照ったり、交互に繰り返すからだろうか。身体をなるべく動かさない工夫をしても掃除の後は汗だくだ。どうせ汗だくなら、いっそのこと、全身汗だくになるくらい身体を動かしてしまおう。と、開き直って、最近は床磨きをしている。水ぶきの雑巾を用意して、床を磨いていく。風水的にもよいことらしい。大地のパワーが宿るとされる床を磨くことは運気をあげることにつながるそうだ。床を磨き上げたあとは、全身びっしょりと汗だく。でも、気持ちはすっきり。ぴかぴかの床を歩くのも気持ちいい。気持ちよく過ごせると、たしかに運気もあがりそう。床磨き以外に凝っていることがある。それは、種を育てること。友人からメロンをもらった。みんなで食べたとき、なんとなく種を取っておいて、水につけておいた。芽がでると面白いな。翌日、さっそ...床磨きと種

  • キャンプと虫の時間

    友達に誘われて、先日キャンプへ行ってきた。キャンプへの道程で楽しいのはちょっとずつちょっとずつ気温が下がっていくこと。避暑地へ近づいていく気分。車についている気温表示をちょくちょく見て、「30度まで下がったよ~」「28度になったよ~」キャンプ場についてから楽しいのはわいわいと賑わうキャンパーの様子を見ること。ハンモックに揺れながら漫画を読む小学生。疲れて椅子で寝てしまっているお父さん。川遊びをする子供たち。スイカを持って歩く若者。みんなのテントを見るのも楽しい。豪華キャンパー、おしゃれキャンパー、しぶいキャンパー。家族キャンパー、お一人キャンパー、バイク仲間キャンパー。テントを張り終わって、木陰で休憩していると、尺取虫が空中に浮いているのが見えた。なんで浮いているんだろう。身体をくねらせて、ぴょこぴょこと...キャンプと虫の時間

  • 港町をそぞろ歩き

    楽がおとんの誕生日ランチを予約してくれた。港町へ家族全員でお出かけ。楽とは店の前で待ち合わせて、家族が全員集結。灼熱の通りから涼しい店内へ。汗がすっと引いていった。ちょっと贅沢にイタリアンのコース料理を楽しんだ。綺麗に盛られたアンティパスト。パスタはジェノベーゼを選んでみた。バジルとにんにくの良い香りがした。ドルチェが出てくるタイミングで花火のようなロウソクつきの、おとんのケーキが出てきた。チョコペンでメッセージがお皿に描かれている。「ハッピーバースデーおとん」おとんの嬉しそうな顔。幸せなひとときでした。店を出て、港町をそぞろ歩き。雑貨屋、文房具屋、洋服屋、八百屋も覗いてみた。通りが暑すぎると涼しい店内へ。「これ見てよ。かわいいよ」「これいいね。見てごらんよ」誰かの声がかかると家族全員が集結してひとつの商...港町をそぞろ歩き

  • スコールと手書きのカード

    おとんの誕生日。というわけで、昨日は海の近くのショッピングモールへ行ってきた。海の上には灰色の雲が重く垂れこめている。湿度の高い風が吹いて、一雨きそうな予感。汗だくになりながらモールに入るとキンキンに冷えていて、思わずひょ~っと声を出してしまった。あれやこれやとプレゼントを物色し、ようやく決まって買い物かごに入れたころ、予感していた雨がやってきた。突然、樽の底が抜けたような雨。モールの中のみんなが驚いて外を見ていた。街路樹がびゅんびゅん吹く雨風になぶられている。雨の奥には灰色の海。私には、海が空から落ちてきたように見えた。そんなハプニングに遭いつつもどうにかプレゼントを購入し、帰宅してからは誕生日カードを書く。毎年、家族の誕生日には手書きのカードを添えている。家族全員で書くので、いつも誰かがイラストを描い...スコールと手書きのカード

  • 「オール・ノット」 柚木麻子著 (読書感想)

    オール・ノットのパールのネックレスはパールの一粒一粒を一回一回しっかり結んで作られている。だから、糸が切れてもバラバラにほどけていかない。この本には不器用な女性たちが何人も出てくる。嘘があったり、妬みがあったり、苦労があったり、失敗があったり、綺麗ではない生々しい感情や生き様がたくさんでてくる。それでも、登場人物のひとりひとりが魅力的に見えるのは、彼女たちが弱いところを見せながらも、力強く生きて、人生を前に前に進んでいっているからだろうか。そして彼女たちの結びつきが宝石みたいに輝いているからだろうか。特別な出会いだと思っていたのに、何かのきっかけでプツンと切れてしまう人間関係もある。でも、心を通わせたと思った瞬間があれば、その瞬間から、人と人はオール・ノットの技巧で結ばれているのかもしれない。ネックレスの...「オール・ノット」柚木麻子著(読書感想)

  • 暇を満喫

    今日は家族が出払って、ぽつんとひとり過ごしている。にんまり。掃除をしながら何をしようか色々と考えていた。ガラスペンで新しいインクを使ってみたい。Netflixで見たいドラマもある。買ってきた新しいビーズがあるからブレスレットを作りたい。自由っていいなあ。あれこれ考えて、今日一日することを決めた。こんな暇な日は、暇について考えてみよう。半分読みかけの「暇と退屈の倫理学」國分功一郎著を最後まで読んでみよう。ハイデガーの退屈論によると、「私たちは退屈する。自由であるが故に退屈する。退屈するということは、自由であるということだ」でも、人間とっては「なんとなく退屈」という感情は本当に恐ろしいものなのだそうだ。その感情から逃れるように「気晴らし」が考案される。ただ、その気晴らしの最中に「退屈」してしまうという現象もあ...暇を満喫

  • 小さな幸せ

    ケツメイシの「小さな幸せ」という歌に「小さな幸せはきっと大きな幸せだ」という歌詞がある。蔓も伸びていないのに咲きだした朝顔に驚いてカメラ片手に植木鉢の周りをぐるぐるまわる。帰省した娘と息子がそれぞれの部屋で両手を万歳にして寝ているのを見てくすくす笑いがこみ上げる。美味しいメロンを頂いて、思いつくままに種を水に浸してみたところすぐにたくさん発芽して大騒ぎ。干した野菜をお味噌汁に入れてみたら食べ応えがあって大満足。庭の葉っぱを食い散らかすショウリョウバッタには困ったものだけど、草木に水をあげるたびに慌ててぴょんぴょん逃げていく様子がとてもかわいくて憎めない。楽が帰省して、家族が勢ぞろいした午後、居間で各自がてんでばらばらにくつろぐひととき。雑草を採りに家の裏に回ったら、紫色の三つ葉がいつのまにか生えていて可憐...小さな幸せ

  • 「とわの庭」 小川糸 (読書感想)

    盲目の少女とわの壮絶な人生のお話。始まりは「とわのあい」で結ばれた母との幸せな時間。とわが楽しめるようにと、母は香りの木々を庭に植えていた。四季折々の香り漂うその庭は「とわの庭」と呼ばれた。庭に集まる黒歌鳥の声で朝が来たことを知り、とわの庭の木々の香りで季節を知り、外に出ることなく、母と二人の世界で安心して暮らす盲目のとわ。でも、いつしか人生は横道にそれていき、壮絶な孤独と飢餓がやってくる。ゴミに埋まった部屋で、必死に食べられるものを探すとわ。やっと見つけた、柑橘系の香りのするグミは、幸せの時代に母からもらった消しゴムだった。それでも生き延びたとわは、いっぽ。にほ。さんぽ。「とわの庭」を抜けて、外の世界へと出ていく。人生の再生の物語。許しの物語。愛の形の物語でもある。瀬戸内寂聴さんの「般若心経」の本を読ん...「とわの庭」小川糸(読書感想)

  • 猛暑の中を歩けば

    アブラゼミのジジジジの鳴き声とミンミンゼミのミーンミンミンの鳴き声。うまい具合に混ざり合い大合唱している。太陽がじりじり頭を照り付ける。猛暑の中、道端に立って思う。駅までたどり着けなさそうだ。外出の予定をキャンセルしてしまおうか。ちらっと家の方を振り返ったりして。それでも一歩を踏み出す。まずは一歩。一歩の力はすごい。一歩踏み出すごとに駅にちょっと近づく。一歩一歩と目標に近づいていく。脚を踏み出すごとに、ゴールが近づいてくる。人生もこんな感じなのだろうか。一歩踏み出すごとに人生の目標へと近づくのか。一体全体、人生のゴールってなんだろう。「死」がゴールなのだろうか。でも、「死」は自分で実感することができない。「死」がやってくるときは、もう「私」はいないのだから。だから、「死」が人生の目標となるとちょっと変だ。...猛暑の中を歩けば

  • 負けられない勝負

    小学生のころ、善は学童に通っていた。そこで、たくさんのボードゲームを教えてもらい、家に帰っては私にルールを教えた。「おかん、勝負だ!」くりくり坊主の小さな善と私が向かい合って勝負。二人とも初心者レベルで良い塩梅。バックギャモン、チェス、将棋。色々な戦いを繰り広げた。凝ったのは将棋で、おとんに将棋盤まで買ってもらったっけ。善も大学生となり、なかなか私と遊んでくれない。でも、大丈夫。新たな勝負相手が見つかった。友達のMちゃんは将棋ができるらしい。私よりもずっと強いけれど、そこまででもない。良い塩梅の相手。おばちゃん二人が向かい合って勝負。お茶を片手に世間話もしながら。絶対に叶わなかったMちゃんに一回だけ奇跡の勝利を収めた。部屋で小躍りして喜んだものだ。それから1年が経ち、今二人が凝っているのが、オセロ。将棋よ...負けられない勝負

  • 梅干しの思い出

    昨日は梅を干してみた。ときどき、庭先に出ては、梅をひっくり返す。この作業をしないと、梅と梅がくっついてしまうらしい。網の底をたたいて、ひょこひょこと梅をひっくり返していると、お隣のおばあちゃまがベランダから声をかけてきた。「あらあ!梅干ししているの?ちょっと見に行ってもいい?」梅を囲んでしばらくおしゃべり。「私、まったくの初心者で何もわからないのですけど、これで合ってますか?」「いいのよ~。これで!懐かしいわねえ。東京の実家にいたころは毎年していたから」祖母から母へ、母から子供へ、梅干しの作り方は代々伝わって、梅干しを庭先で干す風景は夏の風物詩のようなものらしい。梅を干す光景が懐かしい日々を呼び起こししばらく思い出話に花が咲いた。東京の実家での暮らし、結婚して、こちらにやってきたこと、お姑さんとの苦労話。...梅干しの思い出

  • 梅を干す

    野菜を干すことに凝っている。にんじん、大根、ゴーヤ。小さく縮んでカリカリになる野菜たち。お日様の力はすごい。凝ったきっかけは、NHKの「あさイチ」という番組で、稲垣えみ子さんのプレミアムトークを見たこと。作家の稲垣さんは、冷蔵庫を持っていないそう。野菜は干して保存する。そうすると、旨味が凝縮されて美味しくなるらしい。梅干しと干した野菜たちで冷や汁をつくるえみ子さん。とっても美味しそうだった。おとんは買い物大好きおじさん。特に野菜を買うことが好きみたい。「なんでこんなに買うの?」「だって、新鮮で生き生きしていたから」「・・・・」使いきれず冷蔵庫の隅でしなびてしまうこと度々。そんな現状に「干す」という選択肢は魅力的だった。保存もできるうえに、旨味も増すなんて。干すといえば、今日は晴天なので、梅を干してみた。初...梅を干す

  • 釣りブーム

    最近、おとん釣りチームが結成された。チームメンバーは、小学生の頃のお友達Tさんとおとんの二人。最初はアジを釣りに行った。大漁に大喜びのチームおとん、我が家でさばき、アジ料理をたくさん作った。小学生の頃の友達をもう二人招いて、アジづくしの晩餐会。おじさん4人と私と善で、わいわいと。なめろうには我が家の庭のしそを入れた。美味しかった。チームおとん、次に挑戦したのはタチウオ。大きめの魚の形をした仕掛けに、カツオの切り身をつけて釣るらしい。お刺身はぷりぷりで、焼くとふわふわだ。お腹の中から、ぷっくりと空気でふくらんだ浮袋が出てきた。今日も今日とて船にのるチームおとん。ベラやカサゴを釣ってきた。台所のステンレスの調理台には魚の透明のウロコがあちらこちらに付いていて、まるで模様のよう。爪でひっかくとペラリとはがれる。...釣りブーム

  • シニアパワーと幸せのかたち

    今年は町内会のお仕事が回ってきた。月に一回の集会に参加をしたり、回覧板を回す係をしている。先日は、町内会館のまわりの草刈りがあるということで、時間に余裕のある私は参加してみた。50代くらいの参加者は私と、男性がもう一人だけ。あとは全員、お年寄りだった。みんな元気なこと!炎天下のもと、植木の枝を切り、下草を採る。箒で枝を集めて、ごみ袋に入れる。もう汗だく。それでも、てきぱきとみんなよく動く。シニアパワーにびっくり。仕事の後、ビールの差し入れがあった。みんなでビアタイム。わいわいおしゃべりをしつつ。「いやあ、おかんさんが来てくれてよかった!若いパワーはありがたいよ」「いえいえ、若くはないのですが・・・」「このメンバーでバーベキュウーしたいね」「バーベキュウーセット買いたいね」みんなで汗を流して働いたあと、風に...シニアパワーと幸せのかたち

  • はいはいで向かう先

    息子善は、大学のテスト期間の真っただ中。もうすでに色々とやらかしてくれている。昨日は寝坊して大遅刻しそうになった。おとんが急遽大学まで車で送っていって、車を降りてからはダッシュ。どうにか間に合ったそう。ただ、テストを受ける前にすでに力尽きていたらしい。善のことは、とにかく心配。楽のことは、安心してみていられたのに。何故だろう。楽の方が年上だからだろうか。楽が女の子だからだろうか。もっと違う理由がありそうだけど。二人が赤ちゃんだったころを思い出した。はいはいする赤ちゃんだったころ。楽は冒険家だった。広い公園の入り口で抱っこしていた楽を下におろすと、どんどんと公園の奥を目指して進んでいった。時々、振り返って私がいることを確認すると、また前を向いて、どんどんと進んでいく。サッカーをしている小学生軍団の合間をくぐ...はいはいで向かう先

  • 頭痛とセミの声

    いつの間にかセミの声に包まれていた。じじじじじっ。夏が真っ盛り。頭の底の方で、じじじじじっと痛みがある。セミの声が頭の底まで染み込んだみたいに。セミはあんなに元気に鳴いているのに、私の頭は、暑さでショートしてしまいそう。こんな日は、扇風機の前で冷たいものを飲みながらひがな一日、怠けて過ごそう。鴨長明もそれで良いと言っている。「もし、念仏ものうく、読経まめならぬ時は、みづから休み、みづから怠る。さまたぐる人もなく、また、恥づべき人もなし」「方丈記」カーテンで日差しをよけると途端に部屋が薄暗くなった。カーテンの隙間から外を見ると、庭の植物たちが夏の日差しにしょぼくれている。救いの水をあげなくては。でも、まだちょっと日差しが強い。日が落ちるのをもう少し待とう。それまでは、アイス枕を首にあてて、アイスコーヒーでも...頭痛とセミの声

  • 赤ちゃんマッサージ

    帰省してきた楽が言う。おかん、マッサージして~。とりとめもない話をしつつマッサージ。すると、ずっと昔のことを思い出す。赤ちゃんの頃の楽と善。お風呂上りにはいつも身体全体をてのひらで触ってあげた。ベビーオイルをつけて、優しく優しく、身体全体をマッサージ。くるくると円を描くようにマッサージ。すると、二人ともあっという間に、すやすやと気持ちよさそうに寝てしまった。すべすべの肌もぷっくりしたお尻も柔らかくて気持ちよい。二つのてのひらで覆いつくされてしまう小さな身体が愛しい。ママさん教室で教わった赤ちゃんマッサージだ。てのひらから、安心感を伝えるそう。赤ちゃんに大丈夫だよ、安心だよって。人肌のぬくもりは赤ちゃんにとって大きな大きな癒しになるそうだ。私はこの赤ちゃんマッサージが好きだった。だからなのか、楽と善が保育園...赤ちゃんマッサージ

  • 育てて食べて~実る庭

    この日を待ちに待っていた。トマトがやっと真っ赤になったのだ。ずっとずっと緑色で、なかなか色づかない。いつ赤くなるのか、いつ赤くなるのか、と心待ちにしていた。まだ緑色のトマトもいくつかあって、重そうに枝をしならせている。ミニトマトは鈴生り。ナスは黒光り。小さくてもニガウリはとげとげ。インゲンはお味噌汁に。シシトウは焼いて。ナスは買ってきたものと一緒に煮びたしにしようか。日に日に強さを増していく日の光を受けて、植物たちはどんどん成長していく。虫たちも元気に葉を食べていく。庭では、命が萌えている。季節外れの紫陽花が咲きつつある。娘の楽からもらった紫陽花だ。花が終わってから、新芽がたくさん芽吹いた。ある日、元気な新芽の中に小さなつぼみを発見。今、咲こうとしている。無事に咲いてくれるだろうか。善が母の日にくれたカー...育てて食べて~実る庭

  • 母との時間

    私の小さいころ、母は始終イライラしていた。思い浮かぶ母の顔は、いつも怒っている。運動会の徒競走で4位になって肩を落とす私に、母は一言。「恥ずかしい」なんとか母に認められたかった。そのうち、私は良いところしか母に見せないようになっていった。点数の悪いテストを隠したりして。本当は、ありのままの私を見ていてほしい。でも、ありのままの私ではだめなんだ。母の存在は、小さな私にとって、大きくて大きくて、ちょっと怖かった。けれども、それは今は昔の話。今の母は、とっても小さくて、にこにこ笑うおばあちゃんだ。介護サービスは受けたくないし、お掃除は大嫌い。病院も行きたくない。今でも私を困らせることはあるけれど、私が訪ねていくと、にこにこ玄関先まで出てきて、「おかんちゃん!よく来たね~」テレビを見ながら一緒にお昼を食べて、あれ...母との時間

  • ガラスペンで遊ぼう~方丈記を写し書き

    我が家はずっと借家住まい。借りぐらしの一家。転勤族として、全国をてんてんと移り住んできた。思い出いっぱいの土地が全国にある。思い出のつまった家が全国にたくさんある。人との出会いも宝物だ。全国にいるたくさんの人たちのおかげで、楽と善がここまで大きくなったのだと思う。ただ、そこで暮らしていた私たち一家は、もういない。私たちが暮らしていた家には、きっと別の家族が日々の暮らしを営んでいる。そう考えると、何か、寂しさに似た気持ちが湧いてくる。その土地での日々をいくら懐かしく思ってもその日々は戻ってはこないから。移り行く時間は、もとには戻らない。一刻一刻変化していく。「ゆく河の流れは絶えずして、しかも、もとの水にあらず。よどみに浮かぶうたかたは、かつ消え、かつ結びて、久しくとどまりたる試しなし。世の中にある、人と栖と...ガラスペンで遊ぼう~方丈記を写し書き

  • 小学生の夏休み

    小学1年生のMちゃんに英会話を教えている。Mちゃん、迫りくる夏休みが楽しみで仕方がない。「もうすぐ始業式だからね!」「Mちゃん、始業式じゃないよ、終業式だよ。」「始業式の次の日にもうお出かけだからね!」「Mちゃん、終業式ね」せっかくなので、"Igoto~"と"Iwantto~"の練習をした。"IwanttogotoDisneyland.Iwanttogotothebeach.IwanttorideaMarry-go-round.Iwanttogotoapool.Iwantto・・・"延々と続けられそうだった。小学生時代の夏休みは、とくべつ長いのだ。40年以上前の私の夏休みを思い出した。毎年、祖母と一緒に長旅をして、祖母が育った山の中の旧家でひと夏を過ごしていた。父や母と離れて過ごす夏休み。緊張とわくわくと...小学生の夏休み

  • 息吹く庭

    庭に、一匹のあしながバチが住んでいる。いつでもいるので、きっと住んでいるのだと思う。かなり大きくて、刺されたらすごく痛そう。私の動きに驚いて彼が飛び立つと、私が驚いて逃げまどってしまう。彼が飛び回り私が逃げ回り、びっくりダンス。紫陽花の葉の上には小さな緑色のバッタが住んでいる。米粒ほどの大きさの子供もいる。たぶんショウリョウバッタだと思う。最近、紫陽花の葉に穴が開いてきたのだけど、犯人はこの親子だと思う。ブルーグレイのきれいなトンボもやってきた。けっこう大きかったので、オオシオカラトンボかなと思う。優雅にすーすーっと飛んでどこかに行ってしまった。ゴージャスな黒い羽根の蝶も、ひらひらっと来た。黒い羽根にオレンジの色味が入っていた。クロアゲハだろうか。水たまりの上にとまって、しばらく水を飲んでいた。玄関のドア...息吹く庭

  • 壁を越えていく

    娘の楽が就職して、はや3か月。一人暮らしにようやく慣れてきたこの頃、任される仕事も責任が増してきた様子。帰宅が遅くなる日もあるらしい。「疲れたよ~。昨日はご飯も食べず、知らぬ間に一日が終わっていた・・・」なんてLINEでメッセージがくると、心配性な私は、楽のいない家でひとり、部屋の中を行ったり来たり、おろおろしてしまう。でも、きっと楽は乗り越えていくと思う。そう思うのは、小さな小さな保育園時代の楽が、立ちはだかる壁をガッツで乗り越えた瞬間を見たから。身体を使った体操をたくさんする保育園だった。運動会の年長さんの競技に、壁のぼりがあった。立ちはだかる壁に向かって走っていって、勢いよく壁を越えていく競技。小さいみんなにとって、垂直に立つ壁は、とてつもなく高く見えるだろう。それでも、機敏な子たちは次々と成功して...壁を越えていく

  • ガラスペンで遊ぼう~写経

    子供たちからもらったガラスペン。透き通って綺麗。手に取って見ていると、ふつふつと気持ちが湧いてくる。使いたい!何かを書きたい!今日は写経をしてみた。般若心経を書いてみることにした。般若心経の一文字一文字の意味はよく分からない。でも、前に瀬戸内寂聴さんの本を読んで、少し勉強したことがあった。「心」が大事、という教えがある。物事や現象があっても、それを感じる心の働きがなければ、その物事や現象はないと同じことなのだという。ただ、迷いのある「心」ではだめだ。何ものにもとらわれない「心」。お金にも地位にも、他人の心にもとらわれない、すべての執着を離れた自由自在な「心」を得ること。それが「悟り」なのだそうだ。一文字一文字の意味は分からなくても、そんな「こだわりのない心」を持とうと考えながら書いてみた。出来栄えは、文字...ガラスペンで遊ぼう~写経

  • サプライズ ダブルプレゼント

    朝、よく見ている番組は、NHKのあさイチ。生活の色々な情報が盛りだくさんで楽しい。先日特集されていたのが、ガラスペン。全体がガラスで出来ていて、インクにペン先を浸すと、毛細管現象が起きて、インクを吸ってくれる。1回浸すだけで、600文字も書けるのだそう。ガラスが透き通っていてとても美しい。フォルムも素敵。「きれいねえ!きれいねえ!」と言いながらテレビにかじりついていた。その夜、大学から帰ってきた善からサプライズのプレゼント。開けてみると、なんと!ガラスペンだった。全体が無色透明のきれいなガラスペン!高かったでしょうに・・・とっても嬉しかった!またその夜、娘からLINEが来た。開いてみると、なんと!「ガラスペンをプレゼントしまーす」写真つきのメッセージ。こちらは色付きガラスのペンだった。偶然の同時サプライズ...サプライズダブルプレゼント

  • 子供は斜め上をいく

    仕事を辞めてからも時々英語の家庭教師をしている。友達の会社の一室を、教室として使わせてもらって。昨年度までは、中3男子ふたりの受験指導をしていた。アニメやゲームの話で盛り上がりそうになるのを軌道修正しながら、わいわいがやがや授業していた。高校生になった二人は、元気にしているだろうか。また会いたい。今年度はその男子のうちのひとりの妹さん、小学1年生の女の子に英会話を教えている。バスケの得意なMちゃん。どんな歌を歌おうか考えたり、絵や数字やアルファベットを描いたカードを用意したり、一応レッスン計画をたてて臨むのだけれど、Mちゃんはいつも私の計画の斜め上をいく。始めは緊張しながら、歌を小さな声で歌っていたMちゃん。私の描いたカードを見ると、急に元気な声で、「おかん先生、思いついた!!ひもを用意して、カードをひも...子供は斜め上をいく

  • はやくも冬が待ち遠しい

    我が家のお隣には、私の母と同じ年代のおじいちゃま、おばあちゃまが元気に二人暮らしをされている。今日、おばあちゃまからプレゼントを頂いた。手作りマフラー。おばあちゃまの昔からの趣味なのだそう。「絶対にお礼なんて買ってきたらダメですからね。お礼を買ってきたら、もう作ってあげませんからね」強く念を押されてしまった。気持ちが温かくなった。マフラーもふわふわで暖かそう。早くも冬が待ち遠しい。洗濯物を干すときに、ベランダ越しに挨拶をするようになって、それから、交流させていただいている。庭で夕涼みをしていると、同じく夕涼みで出てこられて、しばらくおしゃべりしたりして。おとんが大きなタチウオを釣ってきたときは、私たちだけでは食べきれなくて、さばいたお刺身用と、塩焼き用の2種類を持って行った。翌日、おじいちゃまが大喜び。「...はやくも冬が待ち遠しい

  • 娘と息子

    娘と息子は、仲良し兄弟だ。山登りが趣味の新社会人、楽。浪人を経てなんとか大学生になれた、善。ふたりは3歳違い。昨日も善は、楽の一人暮らしの部屋に泊まりに行かせてもらった。次の日が1限目からなので、大学に近い楽の部屋が断然便利なのだ。弟が泊まりにくると、姉は張り切る。洋食屋さんでごちそうしてあげたり、手作り料理を振舞ってあげたり。思えば、小さいころから仲良し兄弟だった。善は楽に一目置いていて、楽の言いつけにはちゃんと従った。楽は善を可愛がっていて、あれやこれやと世話を焼いていた。3歳違いだと喧嘩をよくするものだけど、楽と善は、喧嘩をしない。善が一方的に叱られていることはあったけれど。善が生まれたときから、楽は張り切ってお姉ちゃんらしさを発揮していた。病院の大部屋で、赤ちゃん善を抱っこしていると、楽が駆け込ん...娘と息子

  • 何もない時間

    庭に出て野菜たちに水を撒いていると、草花がきれいだから、写真を撮りたくなる。部屋に逆戻り、カメラをとって、また庭へ。パシャリ。なんだか上手くない。ちょっと違う。あっちからこっちからと、向きを変えてみる。腰を落としてみたり、顔を近づけてみたり、構えを変えてみる。花の鉢植えの周りをカメラ片手にぐるぐる。気が付くと汗だくになっていて、いっぱい蚊に刺されてしまっている。家に戻り、渾身の一枚を家族に見せる。運動不足なので、ヨガマットを敷き、ストレッチをしてみる。アプリを立ち上げて、それを見ながらストレッチ。一通り終わると、まだ運動したりない気持ちになって、もう少し続けようと考える。今度はYouTubeのお気に入りの運動番組。YouTuberの声掛けにしたがって体を動かす。気が付くと汗だくになっている。時間を忘れてス...何もない時間

  • トイレの張り紙

    1年前、浪人生だった善は少しも伸びていかない模試の結果にやる気と元気を持っていかれて、日ごと暗い顔になっていった。なんとか笑顔にさせてあげよう。一回でも笑顔が見られればよい。それだけで、今日一日を生き抜く力が出てくるはず。どんなことが、できるだろうか。善は、数式や英単語などを、目につきやすいトイレの壁に貼っていた。その空いている隙間に2枚、張り紙を付け足すことにした。「手のとどくところだけを見ていればいいんだ。物事の手の付けられないほどの厄介さと、人間の力の弱さとを考えあわせたひには、そりゃ何もできなくなるさ。だから、まずやってみて、それから次にやることを考えることだ」「われわれが欲するものはすべて、山と同じだ。われわれを待っており、逃げていきはしない。けれども、よじ登らなければならない」アラン著「幸福論...トイレの張り紙

  • 水のように生きる (読書感想)

    「自由訳老子」新井満著上善若水日本酒のこと?そうではないらしい。「水のように生きるのが最高の生き方なのだよ」という意味の、老子の言葉だという。「世の中にはやわらかなものと固いものがある」「やわらかいといえば水ほどやわらかく弱々しいものはないよねしかも決して争おうとはしない丸い器に入れば丸くなり四角い器に入れれば四角になる形にとらわれず、自由自在だところが形をもたないからかえってどんな小さなすきまにも入ってゆきどんな巨石をも粉々にしてしまう」老子の教えの根本には、「道」という考えがある。「道(Dao)は・・あるがまま自然にいのちの宇宙大河となって流れ続けているゆったりとおおらかにね」宇宙大河に逆らうことなく水のように生きていく。ゆったりとおおらかに。2年前に仕事を辞めて以来それまで勢いよく働いてきたぶん、か...水のように生きる(読書感想)

  • 育てて食べて

    新しい街に引っ越してきた。住むことになった家の周りには、ぐるりとスペースが広がっている。それを見たおとんが、ピンと来たぞとばかりに、どんどん花や野菜の苗を買ってくる。家の周りに農園をつくる勢いで。「ええ!また買ってきたの?」ぶうぶう文句を言いつつ、仕方ないので、よっこらしょよっこらしょと、倉庫から重い土の袋を出してくる。プランターにどさどさ土を入れて、苗を植えつける。手は土だらけ、体は汗だく。毎朝、水をあげないといけない。水まきしつつ、来る日も来る日も苗を見る。すると、花が咲き、ちいさい実がなり、少しずつ実が育ち・・・何だか嬉しくなってきた。脇芽をとると良いらしい。雄花をつむと良いらしい。アブラムシは害虫らしい。少しずつ知識がついてきた。とうとう収穫。ハサミで、ジャキっ。採って洗って、料理して、食卓へ。そ...育てて食べて

  • 1年が経って

    1年前。卒論に追われる楽と、浪人生活で心の元気を日々失っていく善。おろおろする私。いつ終わるともしれない、不安のループにはまっていた日々だった。子供たちのピンチに、親は見守ることしかできない。受験を代わってあげることなんてできない。卒論だって書けない。だから、パソコンを閉じて、ブログをお休みして、来る日も来る日も見守った。1年が飛ぶように過ぎて行った。心が痛かったり、少しほっとしたり、また落ち込んだりするうちに。気が付くと、いつの間にか新しい日々がスタートしていた。長女楽は、新社会人。今、一人暮らしをしている。とうとう家から、巣立っていってしまった。幸い、勤務先は東京だから、ちょくちょく帰ってきてくれるけれど、やっぱりとても寂しい。ちょこちょこLINEに送ってくれる写真を見ると、自炊やお弁当も頑張っている...1年が経って

  • 最強にクレージーなおばあちゃん (読書感想)

    "MyGrandmotheraskedmetotellyoushe'ssorry"FredrickBackmanエルサは小学校でいじめられている。ちょっと変わり者だからだ。エルサはいつも独りぼっちだ。でも大丈夫。最強にクレージーなおばあちゃんがいるから。警察に猿のフンを投げつけちゃうようなクレージーなおばあちゃんが。学校からダッシュで逃げ帰り、おばあちゃんのもとへ。クレージーなおばあちゃんは、エルサに「ミアマス王国」の話をしてくれる。ミアマス王国では、誰もが変わり者だから、普通でいる努力なんてしなくてもいい。エルサはミアマス王国の勇者なのだ。ミアマス王国の住人達を胸に、現実の世界でもエルサは成長していく、本物の勇者へと。やがて、独りぼっちだったエルサの周りには、心と心でつながった友達が増えていく。きっかけ...最強にクレージーなおばあちゃん(読書感想)

  • 子供の巣立ち

    毎年、家の周りにつばめがやってくる。いつの間にかやってきていて、つばめの姿を見て、春がきたことを実感する。晴れた日は高い所を雨模様の日は低い所をひゅーんっと飛んでいく。洗濯物を干していると、すぐ近くまで飛んでくる。ご近所さんに挨拶でもしているのだろうか。電線に親つばめが3羽とまって井戸端会議をしていたこともある。昔、道後温泉の近くに住んでいた。善は道後の生まれ。楽は元気いっぱいの幼児だった。そのころの家の軒下に、毎年やってくるつばめがいた。軒下に、ちょこっとずつ、セメントみたいなものをつけていく。親つばめが行ったり来たりしているうちにみるみるセメントが盛り上がっていき、巣の出来上がり。そのうち、ひながかえりはじめて、ちいちいちいちい賑やかになる。小さい楽が箒をもって玄関に出て、「つばめのお掃除、つばめのお...子供の巣立ち

  • 人生の何に感謝しますか

    ヨガで汗を流したあと、少しの間目を閉じて、瞑想することにしている。頭の中をからっぽにすることは難しいので、背中をまっすぐにして座って、自己流にイメージをしてみる。頭の上から太陽の光が体に入っていって、右手、左手、右足、左足へと伝わっていくイメージ。身体全体に光が行きわたってからは、意識が身体から遠ざかっていくイメージ。例えていうと、ビデオカメラの映像が、被写体(私)からどんどん遠ざかって行って、被写体がどんどん小さく小さくなっていくイメージ。カメラの目はどんどん私から離れて行って、私が小さくなっていく。ひゅーんっと遠くへ吸い込まれるような感覚になる。ひゅーんと吸い込まれていく先は、無重力の宇宙をイメージして、身体に何の重さも感じない空間ですーっと浮いている感覚を感じてみる。自己流の瞑想。でも時々、瞑想の仕...人生の何に感謝しますか

  • 自分と付き合うことの難しさ

    晴れる日もあれば雨の日もある。物事がすいすいと上手く運ぶときもあれば、何をしても上手くいかなくて気分の凹むこともある。誰でもそう。みんなそう。とは思ってはいるけれど、私は自分を持て余すことが多い。「生きづらさ」という言葉をよく聞くけれど、その感覚がよくわかる。世の中が生きづらいというより、自分の「こころ」が生きづらい。もっとシンプルに生きられたらいいのに。難しく考えないで生きられたら、肩の力が抜けるだろうに。谷川俊太郎さんのエッセイ「ひとり暮らし」に「自分と出会う」という章があって、心に置いておきたい文があったので、自分の覚書のように、ここに書いておこう。「ほんとは誰でも自分とつきあうのは大変なんじゃないか。ただ大変なのを自分じゃなく、他人のせいにしてるだけじゃないか。大変な自分と出会うまでは、ほんとに自...自分と付き合うことの難しさ

  • ある一生

    窓からの冷たい風を感じながら、今日も「森本哲郎世界への旅9」を読み進めていた。インドの人たちは昔から人生を四期に分けて考えてきたそうな。必要な知識を習得する「学習期」一人前となり家族のために働く「家住期」子供たちが独立し、ゆったりとした森の中の住まいに移り住む「林住期」夫婦で聖地を巡礼して歩く「遊行期」私は今、どの辺りにいるのだろう。介護のために仕事を辞めて、家ではヨガや瞑想をし始め、もっと勉強してみたいことを探し始めた人生のポイントは「林住期」なのかしら。いや、子供たちはまだ独立していないのだから、まだ「家住期」。もう少し頑張っていこう。人生の四期のことを考えていたら、家族の一人を思い出した。中学生のころ、私はアメリカに住んでいて、そこで家族のメンバーが一人増えた。ラブラドールレトリバーの「スック」だ。...ある一生

  • 時を超える愛

    "TheGargoyle"AndrewDavidson話は、ドラッグ依存症の男性(主人公)が運転中に大事故に遭い、重度の全身やけどを負ってしまうところから始まる。森からたくさんの矢が飛んでくる幻覚を見て、ハンドル操作を誤ってしまったのだ。きれいな容姿を武器にAV男優を生業としていた男性は、見るも無残な姿になってしまう。全身焼けただれた中、生まれたときから胸に刻まれている矢が刺さってできたような跡はそのままだった。退院をしたら自殺をしようと綿密に計画を立て始めた男性の前に、彫刻家マリアーネが表れる。初対面の彼女から、謎の一言"You'vebeenburned.Again."「火傷を負ったのね。また。」マリアーネは総合失調症の治療で同じ病院の精神科にお世話になっている。彼女は不思議なことを言い続ける。"We'...時を超える愛

  • 息子の挫折

    カンカン照りの日々が永遠と続くかと思いきや今日はどんより曇り空。時々、涙のような通り雨が降るそんな一日。息子が浪人生活にちょっと疲れてしまった様子。毎朝予備校に向かって、夜遅くに帰宅する日々。「調子はどう?気持ちは前向きなの?勉強は順調なの?」聞きたいことは山ほどあるけれど、あまり焦らせたくもないから、なかなか聞けずにいた。善も、勉強のことは話したがらなかった。夕飯を食べながら、善の笑顔を見て安心する日々。一人で抱えて、一人で踏ん張って、机に向かっていたんだね。模試の結果がなかなか伸びない。善は落ち込んでいないかな、大丈夫かなと私は善の背中を見ながら、心配することしかできなかった。そして、今日。なかなか予備校の自習室に行こうとせず、家のいたるところで、寝転がっている善。扇風機を回して、風にあたりながら、何...息子の挫折

  • 暑い夏に地球を考える

    梅雨が明けて、来る日も来る日もカンカン照り。ドアの取っ手に挟んであった朝刊がじりじりと温められて、湯たんぽみたいにほかほかになっていた。英語の勉強のために読んでいるBBCのニュースにも"EuropeheatwavebreaksmultipleJunerecords"「ヨーロッパ諸国を襲っている熱波、6月の数々の記録を更新」地球は大丈夫かなと心配になる。山から熊が下りてきて、住宅に侵入するニュースもある。山も暑さでからからで、食べ物でも探しに来たのだろうか。地球に優しく暮らしていきたい。日々できる小さなことに気を付けながら。宮沢賢治の「狼森と笊森、盗森」の一場面が好きだ。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・そこで四人よつたりの男たちは、てんでにすきな方へ向いて、声を揃そろへて叫びました「こゝへ畑起してもい...暑い夏に地球を考える

  • 子供たちが覚えていない思い出

    結構、前のことだけど、お気に入りの青いジャンバーのポケットから色んなものが出てきたことがある。(それで、クリーニングにずっと出していなかったことが判明した)ピンクの螺旋模様の入った、縄跳びの切れ端バランスよくY字になった木の枝表面のつるつるした小石楽と善が保育園に行く道すがら拾い集めた、気になるもの達だ。二人を保育園へ送っていく道中はなかなか前に進まず苦労していた。保育園が全然近づいてこない。それもそのはず目線が地面に近い二人には、気になるもの達がたくさん目につくから。「おかーん、こんなんあったでー。ポッケ入れといて」「おかーん、見てみーやあー」やれやれ。ある日、道端にほどよい長さの縄が落ちていた。「しめた!!」拾って、楽と善に見せてみる。「見て~。電車が落ちてたよ!!一列に並んでくださーい」おかんが先頭...子供たちが覚えていない思い出

  • 変人の勧め

    HSP気質というものがあるらしい。神経が過敏に働くので、人より多くのことに気が付き、気が付きすぎて疲労してしまう。どうやら私もそうらしい。私が特に気が付くのは、人の感情の揺れ。ちょっとでも機嫌が悪そうな人がいると、すぐに気が付く。その人が機嫌の悪さを表に出していなくても、すぐに気が付く。そして、自分に何の関係もないのに、気になって気になって仕方ない。気になりすぎて、関係のない私が挙動不審になってしまう。どうにか平和な空気を取り戻そうと(何の関係もないのに)気を遣い、動き回り、空回りして、疲れ果てる。何をしているんだか。人の感情の揺れに敏感な私は小さいころ、電車が苦手だった。色々な感情を持った人たちが狭い車内にぎっしりといるものだから、人の感情の波に溺れているような気持になってくる。そのうち、本当に空気が吸...変人の勧め

  • 生きること 死ぬこと

    本棚が林立する和室にヨガマットを敷いて、汗だくで色々なポーズを試す昼下がり。ポーズをとっている最中にふと目にとまった本がある。「森本哲郎世界への旅」全集。9冊目を選んで読んでみた。副題が「生き方の研究続生き方の研究あしたへの旅」とあって、なんだか興味をひかれたから。最初の章は「人生の短さについてーセネカ」シェイクスピアは人生を「束の間の灯」と言ったそうだ。人生50年という時代もあったのだから、今の私は人生を生き切っていることになる。夏目漱石も、松尾芭蕉も50歳で亡くなっているらしい。松尾芭蕉はもっともっとおじいさんだと思っていたのに、年下だったとは。私の52年も、必死で生きているうちに、あっという間に過ぎていった。外国から日本に帰ってきて、カルチャーショックと戦っている日々あり、おとんと出会い、楽が生まれ...生きること死ぬこと

  • ミニマリスト VS マキシマリスト

    あまりに暑いものだから、ごろ寝をしつつ、スマホでトークショーを見ていた。本屋さん主催の伊藤比呂美さんのトークショー。「夫婦は覇権争いをしている」という台詞が面白かった。うちはどうだろう、覇権争いはあるのかな。そう思って考えてみると、主義主張の違いがあることあること。中でも真逆ともいえる性質がひとつあった。ミニマリストVSマキシマリスト。私は昔から物に執着がない。極端に執着がないので、変人の域。買い物好きの楽とか友人とかに誘われないかぎりは、ショッピングにさえ行かない。他の人へのプレゼントを買いに出かけることは好きなので、自分の持ち物に執着がないということか。ここ数年は新しい洋服を一着も買っていない。断捨離をしている母と楽から、何着かもらったくらい。最近はミニマリストが流行ってきているけれど、私はずっと昔か...ミニマリストVSマキシマリスト

  • うちの旦那の面白いところ

    隣のトトロで、メイちゃんがよく言い間違いをしていて、とてもかわいい。おじゃまたくしとうもころしって言っていた。こちらは、見た目は大きくておじさんで、あまりかわいくはないけれど、おとんも頻繁に同じ類の言い間違いをする。大学生の頃、私はワープロを持っていなかったので、おとん宅まで出向いて、ワープロを借りて卒論を書いていた。ある日、おとんがワープロについてぼやいている。『これ、「雰囲気」って打っても、漢字がでてこないんだよね』そんな訳なかろうと思い、打ってみると、ちゃんと変換される。「変換されるよ!」「え?うそ」「おとん、打ってみて」私が注目するなか、おとんは打った。「ふ・い・い・き」と。これまた、大学生の頃、おとんがあるバンドの話をしている。「シャンザ」というバンドらしい。聞いたことがない。「どういうの歌って...うちの旦那の面白いところ

  • 親の心配 子の成長

    「どっどどどどうどどどうどどどう青いくるみも吹き飛ばせすっぱいかりんも吹き飛ばせどっどどどどうどどどうどどどう」と風の又三郎がやってきた、風の強い一日。久しぶりにおとんが在宅勤務だったので、お昼はふたりで外食をしてきた。水辺でかわいい亀が気持ちよさそうに泳いでいて、動画で撮影。水泳する亀さんがちょっとうらやましくなるほどの暑い一日だ。汗をかきかき、涼しいレストランを目指して歩く。食べながら話すことは、いつも、巡り巡って子供たちのことになる。楽は就職活動で何社か内定をいただき、どこを選ぶのか検討中。選ぶところによっては、地方勤務になるかもしれない。二人とも口を開くと同じ台詞が出てくる。「なんか寂しいねえ。楽がいなくなっちゃうと寂しいねえ」家族で一番しっかりしている楽は、みんなから頼りにされている。ふてくされ...親の心配子の成長

  • 50歳からの学び

    「俺には夢がある両手じゃ抱えきれない俺には夢があるドキドキするような」とブルーハーツが歌っている。仕事を辞めて6カ月。仕事をしていた頃は、仕事一筋がむしゃらタイプの私だった。辞めてからは、両手じゃ抱えきれないほど、学びたいことが出現してきた。時間がたっぷりあると、興味がどんどん育っていくようなのだ。翻訳を勉強してみたい。海外の本を英語で読むのが好きで、とても興味深い本に沢山出会ってきた。どの本も独特の世界が広がっている。それらの世界を壊さずに日本語に置き換えるなんて、きっとすごく難しいのだろう。さっそくフェローアカデミーの資料を取り寄せてみた。心理学にも興味がある。小さい頃からHSP気質で生きにくい想いをしてきたからか、人の心理とはどんなものなのか興味がある。放送大学では色んな講座があるらしい。1科目から...50歳からの学び

  • 母の愛情 子の愛情

    小さい頃、母から叩かれ叩かれ育った。血を流していたこともしばしば。「虐待」というものだったのだと思う。だからと言って、母が嫌いだったことなんてない。小さい頃からずっと大事に大事に思っていた。親が子供をどう思っていたとしても、子供は親が大好きなのだ。でも、現実はなかなか難しく、弟大好きの母から「私にはたかぼう(弟)がいるから、おかんちゃん(私)はいなくて大丈夫」と言われてしまい、以来実家から足が遠のいていた。おじさん(母の弟)から実家に行ってある書類を探してほしいとの依頼が。「頼むよ、おかんちゃん。たかぼうは何だか浮世離れしてるから、頼みずらいんだよ」「ええ~」「ねえちゃん(母)のことは叱っておいたから」「ハア・・・・」今日、おっかなびっくり実家へ行ってきた。母は機嫌がよく、たくさん笑っていた。私がちょっと...母の愛情子の愛情

  • サ道ではないけど、ととのいました~

    おとんが在宅で仕事をするとき、BGMのようにNetflixドラマを聞き流すならぬ、見流していることがある。そこへ家事を終えて休憩タイムの私が加わり、麦茶でも飲みつつドラマを見始めて、面白いと時を忘れて見入ってしまうことも、しばしば。先日流れていたドラマは、「サ道」。サウナに通うおじさんたちのドラマだった。サウナで汗を流して、水風呂に入って、体の中がすべてリセットされて、すとんと椅子に座っていると、おじさんたちの背後から急に後光がさしてくる。「ととのった~」の叫びとともに、万華鏡のような背景画が展開する。この万華鏡のような模様は、一人一人違っていて、それぞれの「ととのった感」を具現化いるのだろう。「ととのう」という言葉、とても適格だなあと思う。「気持ちいい」ということでも、「デトックスされたなあ」でもなく、...サ道ではないけど、ととのいました~

  • 趣味は将棋!と言いたいけれど

    小学生のころ、善は放課後に学童保育のお世話になっていた。毎日とても楽しかったようで、帰宅すると、その日あったことを私に生き生きと報告してきた。ボードゲームを教わってきたときは、毎回私にルールを教えてくれた。そして、実際に対戦をしてみる。バックギャモンをしてみたり、チェスをしたり、将棋をしたり。特に熱心に勝負をしていたのは将棋だった。将棋のルールなど何も知らない私に、善がすべての駒の動き方を教えてくれて、それを見ていたおとんがなかなか立派な将棋盤を買ってくれて、けっこう長い間二人で将棋をすることにはまっていたっけ。駒の動きだけ知っている初心者二人が向かい合って。坊主頭の小学生とおかんが向かい合って。善が中学生になり部活を始めてからは、二人で勝負する時間もなくなり、将棋盤は寂しそうに押し入れに収まっていた。最...趣味は将棋!と言いたいけれど

  • 芸術は爆発だ

    時々、善の芸術が爆発する。ふとした瞬間に物づくりの魂が呼び起され、集中力がマックスとなり、あっという間に作品を仕上げる。今回は、2種類の青い針金と、ペンチを持ち出した。善がペンチを操り、くねくねと針金を捻っていく。みるみる何かが出来上がっていく。いったい何が出来るのだろう。作品づくりに熱中する善の後ろ姿を眺める。広すぎる肩、丸めた背中。こんなにごつい体つきではなかったものの、小さい頃も、同じように背中を丸めて、急に何かを作り始めることがあったっけ。善の芸術は急に爆発するのだ。今回出来上がった作品は、頭の小さな人間が、両手で、強大なチューリップを掲げているオブジェ。脚を踏ん張り立っている。私の誕生日のプレゼントだそうだ。ありがとう。家には今まで善が作った数々の作品たちが飾られている。小学生の夏休みに作った大...芸術は爆発だ

  • 3年日記

    数年前に母の日にプレゼントしてもらった多肉植物に最近変化があった。つくしのような芽がひょろひょろと真ん中から伸びてきたのだ。これはもしや花が咲くのでは?ちむどんどんな出来事だ。数年間、階段のわきの窓辺にちょこんと座っている多肉植物。葉がどんどん大きく育っていくわけでもなく、茎がどんどん伸びて変化していくわけでもなく、いつも変わらず、そのままの姿で、ちょこんと座っていた。他の植物たちは騒々しく変化している。あれ伸びすぎた、それ枯れちゃった、あら花が咲いた。その間も多肉植物は、いつも変わらず、そのままの姿で、窓辺にいた。だけど、実は変化していたのだね。その中身ではぐんぐんと変化が進んでいて、ある日突然、つくし状の芽となったその変化が外へ出現して、私を驚かせてくれた。よっちゃんじいじ(父)が亡くなり、としこばあ...3年日記

  • 心に空間を

    昨日は友達に誘われて紫陽花を見に出かけた。雨の中、ちょっとドライブで遠出して、小旅行。先日母に「たかぼう(私の弟)がいるから、おかんちゃん(私)は来なくてもいい」と言われて、傷つき、なかなか心が前向きにならない日々。友達の紫陽花ツアーのお誘いも、どうしようかな、行く元気がでないなあと悩んでいた。それでもおとんにプレゼントしてもらったカメラを携えて出かけることに。紫陽花の庭園に到着。門をくぐって、石畳に導かれるままに入っていくと、目に飛び込んできた。青、紫、ピンク、赤、白、緑、色の洪水が目に飛び込んできた。思わず大きな声で「すてき~!!」って叫んでしまったくらいの景色。心の中に渦巻いていた悲しみ、失望、怒り、その他もろもろの負の感情が心から少し追い出されていって、空いた隙間に、たくさんの色と雨の音が入り込ん...心に空間を

  • 感謝すること

    先日52歳の誕生日だった。善は予備校があったので不参加だったけれど、楽とおとんが葉山散策を計画してくれた。実家のことでがっくり元気をなくしているおかんを外に連れ出そうと二人で計画してくれたらしい。葉山美術館に併設されている展望レストランを予約してくれていた。3人でコース料理を食べた。きれいな盛り付けに心が躍る。デザートはテラス席で。テラスに出たとたん、海の音が聞こえてきた。3人で海を見ながら食後のケーキを食べてコーヒー飲んで、たくさん話した。食後は美術館の庭に点在する彫刻を見つけながら散策。小さな箱根彫刻の森美術館みたい。おとんは彫刻の周りに咲いている小さな小さな野の花の写真を這いつくばるようにして撮っていて、楽は恥ずかしくて「やめなさい。やめなさい。子供が見てるでしょ!!」って言っていた。海辺を歩いて、...感謝すること

  • 虐待されて育った子供

    実母は昔からよく精神的にぶれる人だった。ヒステリックに怒ってばかりいたイメージがある。私が小さいときは、ちょっと宿題がわからないとぼやくものなら、さあ大変。長い定規を持ってきて、頭をたたくたたく。頭皮が切れて、つつーっと血が垂れてきてもお構いなし。あまりの痛さに定規を手で受け止めたら、もっとひどいことが待っていた。定規をぐるぐると私の手の中で回転させて、手の皮がむけるまで、延々と。「ほら避けようなんてするからだ」。なんという鬼のような・・・母が今の私と同じくらいの年頃は、来る日も来る日も母の周りには暗黒の雲が覆いかぶさっている雰囲気があった。楽と同じ年ごろだった私は、母に気を使いながら生活していたっけ。母の夫、亡きよっちゃんじいじは、大阪で単身赴任。弟は遠くの大学の寮で生活。私はおとんとお付き合いしていた...虐待されて育った子供

  • 更年期とヨガ

    更年期の様子は、ひとそれぞれと聞く。私の場合は、ひとつ、面白い現象がある。月経前症候群の一つらしいのだけれど、月経の数週間前からどんどんどんどんお腹が膨らんでいくのだ。結局、妊娠しているのかと思うほどの、ぽんぽこお腹となって、胃も押されるのか一度にたくさん食べられなくなってしまう。このぽんぽこお腹とともに、更年期の様々な症状が湧いて出る。眩暈、ふらつき、吐き気、多汗。恐るべしぽんぽこお腹。生理が来ると、なぜかぽんぽこお腹が凹みはじめて、更年期の症状も落ち着いてくるという毎月のサイクルだった。しかし、私はうすうす気づいていた。気づくたびに、気づかなかったふりをしていた。気づかないふりをし続けていたら、大変なことになっていた!お腹が出たりへっこんだりするたびに、ちょっとずつ脂肪をお腹に残していた様子なのだ。気...更年期とヨガ

  • 黒スーツ楽の奮闘記

    黒いスーツをパシッと着こなして、てきぱき歩いて出かけていく楽。そんな楽を見えなくなるまで見送る日々も、残すところあと少し。エントリーシートを上手にまとめる人をES職人などと呼ぶらしい。エントリーシートを書くたび、楽はどんどんES職人になっていった。得意のイラストを駆使して、なんだか芸術作品のようなものまで作っていて、思わず記念に写真を撮ってしまったほどだ。楽の手書きエントリーシートを見ていたら、保育園時代の楽を思い出した。広い広い板張りの広間に、体に不釣り合いなほど大きな紙を広げて、思いのままに絵を描いていく裸足の保育園児たち。その中でもひと際ガタイの大きな楽が、背中を丸めて紙に向き合っている。楽は絵を描くのが大好きな子だった。書いているのは棒人間なのだけど、そこには物語が展開していて、見どころ満載の楽し...黒スーツ楽の奮闘記

  • 新しい流れ

    おとんの単身赴任が終了した。また、家族全員が揃っての生活となってそろそろ2カ月が経つ。へとへとの引っ越し。買い物好きなおとんが3年分の買いたい放題を満喫したその結果が、引っ越しの日にどっとやってきた。「コーヒーカップが多すぎる!喫茶店を開くつもりなの??」「おかん、大変!!マヨネーズの買い置きがすごいいっぱいあるよ!!」「乾燥ひじきの買い置きの方が多いよ!!変なの!!」「おかん、箸がこんなにある!!」「もう、捨てちゃえ!!全部ぽいっ!!」そんな怒涛の引っ越しを乗り越えて、一日一日が積み重なって、やっと日々の平和な流れができあがってきた今日この頃。ほんのちょっと前は、山登りばっかりしている大学生楽、ハンドボールばかりしているお気楽高校生善、そして頼りにならないおかんが、単身赴任のおとんの不在を団結して乗り越...新しい流れ

  • ”The Midnight Library”

    英語の本を一冊読み終わった。自分の人生に失望して、思わず自殺を図ってしまった主人公は、気が付くと真夜中の図書館にいた。小学生の頃の司書の先生が、昔のままの風貌でそこにいて、「後悔の本」を読むように言う。「後悔の本」の中のどの後悔をやり直したい?そう聞かれて答えると、その後悔をやり直した先にある人生へと飛ばされていた。人生は選択の連続だ。その選択した先に選択肢の分だけ、別の人生が待ち構えているとするとどうだろう。別の道を選んだ先にいる私は、映画スターかもしれない、豪邸に住む貴婦人かもしれない、タクシーの運転手かもしれない、古民家に住んでいるかもしれない。果たして、今の人生でいいのかな、もっと良い人生があるのかしら。主人公は司書の先生に促されるまま、色んなパラレルワールドを経験する。その人生に失望を感じたとたん、図...”TheMidnightLibrary”

  • 更年期を飛び越えろ

    おとんと大学生カップルだったころなんて、つい昨日のことのようなのに友達とディスコに行って踊りまくっていたことなんて、つい昨日のことのようなのに楽が生まれて、善が生まれて、二人のオムツのお尻をポンポンたたいていたのなんて、つい昨日のことのようなのになんともう50代。光陰矢の如し。昨日は腰が痛かったけど、今日は首が変だ。朝起きたばかりなのに、もう寝たい。どこかで聞いたことがあるような・・・。目がかすんで、本が読みにくい。今日は非常に体が冷える。かと思えば、火照る。日々、何かしらおかしいことになっている。最近、顔の皮さえピリピリ向けてきて、干し野菜ならぬ、干しおばさんが完成しそう。干し野菜は長持ちするし、煮物にすると味が濃くておいしいけれど、干しおばさんはどんな風なのかしら。味が出てきているのかしら。濃い性格になって...更年期を飛び越えろ

  • おそらく浪人、だがしかし

    早いもので、善は受験生だ。高校生活をハンドボールばっかりして過ごしていた善。結果、県15位くらいまで勝ち進み、最後まで全力で戦った。私の働いていた学校のハンドの先生たちも善のことを応援してくれたっけ。合宿や大会や日々の練習。挫折や、挫折を乗り越えた達成感。そして戦いをともにした仲間。ハンドボールに出会ってよかったね。さて、受験だ。高校生活少しも勉強しなかった善が机に向かっている。自分のモチベーションのためにノートに番号をふって、終わったノートも取っておくらしい。今は17冊目。スタートが部活引退してからだから、まだまだ17冊。塾には行っていないし本当にゼロからのスタートだからおそらく浪人してしまうだろう。それでも、広い背中を丸めて、机に向って、なんと英語辞書だって引くようになって。それだけで、甘い母は成長を実感し...おそらく浪人、だがしかし

  • よっちゃんじいじの人生

    2021年10月、大きな別れがあった。実父が亡くなった。楽と善は、よっちゃんじいじと呼んでいた。コロナ禍でなかなか会えない中、突然の死だった。感情豊かな楽は大泣きし、善は無言で何かを想っている様子だった。私は、気持ちが追い付かず、涙も出ない不思議な気持ちだった。特別に一人ひとり順番に、ベッドに横たわるよっちゃんじいじに会わせてもらえた。苦しそうに息をしていた。大きく大きく、一生懸命に息をしていた。意識障害を起こしているから、苦しそうだけど、痛みは感じていないのですよ。心配しないで、と優しい看護師のお兄さんが言ってくれた。よっちゃんじいじは、遊牧民のようだった。色々な国、色々な街、色々な仕事を自分のペースで渡り歩いた一生だった。髪をワックスでオールバックにした、いかしたnomadだ。若かりし頃ブラジル移住に挑戦し...よっちゃんじいじの人生

  • よっちゃんじいじの人生

    2021年10月、大きな別れがあった。実父が亡くなった。楽と善は、よっちゃんじいじと呼んでいた。コロナ禍でなかなか会えない中、突然の死だった。感情豊かな楽は大泣きし、善は無言で何かを想っている様子だった。私は、気持ちが追い付かず、涙も出ない不思議な気持ちだった。特別に一人ひとり順番に、ベッドに横たわるよっちゃんじいじに会わせてもらえた。苦しそうに息をしていた。大きく大きく、一生懸命に息をしていた。意識障害を起こしているから、苦しそうだけど、痛みは感じていないのですよ。心配しないで、と優しい看護師のお兄さんが言ってくれた。よっちゃんじいじは、遊牧民のようだった。色々な国、色々な街、色々な仕事を自分のペースで渡り歩いた一生だった。髪をワックスでオールバックにした、いかしたnomadだ。若かりし頃ブラジル移住に挑戦し...よっちゃんじいじの人生

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