決して解決できそうになかったあらゆる問題が…今となってはちっぽけでそして美しく、愛おしく見えてくる。
保育園最後のお迎えのために、久しぶりに昼下がりの電車に乗る。事務所の窓越しとは異なる眩しさが、花束のような鮮やかな赤と緑が、水色の空を背にして放つ存在感。その全てが流れゆく窓際で、互いを見つめ合うカップルの瞳に浮かぶ笑みと期待。 ...がたんごとん。 ...がたんごとん。 優しい沈黙の後に突然広がる壮大な海に...喜ぶ背中と絡み合う手。ロマンチックな何か、いつもの日常とその反対の何か...そして偶然それらを分かち合う今ここにいる人々の存在感...その全てが赤い電車の中で、果てしなく広がっていく。 あの二人も…いずれ結婚をし、互いの道を行くのだろう。もしくはどちらも一人で生きていくことを選択する…
2023/04/26 10:15