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月夜の猫-BL小説です 春雷20 BL小説 少しは落ち着いたんだろうか、とアスカの顔を見て良太は思う。 「しょうがないなあ。ってか、パンツって……」 女性用のパンツをコンビニで買うというのはいささか抵抗があったが、仕方がないと良太は立ち上がる。 「秋山さんはすぐ買って来てくれるわよ」 「はあ、わかりましたよ。
月夜の猫-BL小説です 春雷19 BL小説 「ああ、いや、まだ、なんですけど」 その時、沢村が二本目の酒を開けようとしているのに気づいた良太は、「おい、もう、開けるな。その辺にしとけ」と忠告する。 「酒くらい飲ませろよ」 沢村は良太の忠告など無視して既にグラスに注いでいる。 「いったいなんだ?」 電話の向こうで
月夜の猫-BL小説です 春雷(工藤×良太)18までアップしました BL小説 春雷(工藤×良太)18までアップしました。かぜをいたみ(京助×千雪)22までアップしました。桜の季節も終わってしまいましたね~
月夜の猫-BL小説です 春雷18 BL小説 いや、佐々木とMLBを天秤にかけて、沢村は佐々木を取ったのだろう。 この話はおそらく、佐々木には伝えていないに違いないと良太は思う。 もし知っていたら、佐々木はとっくに沢村にMLB行きを勧めたに違いないのだ。 「だから行く気はないんだって。そうだ、お前、そのこと絶対
月夜の猫-BL小説です 春雷17 BL小説 「佐々木さんのお母さんにはまだお試し期間だろうが」 怖そうな佐々木の母親を頭に思い浮かべながら、良太は言い返す。 「大体、お前はそう軽々しく口にするな! 佐々木さんの立場ってものもあるんだからな。それに、沢村のオヤジさんに知られたらまずいだろう」 「んなこたわかってる
月夜の猫-BL小説です 春雷16 BL小説 「るせえな、こいつはとっくに俺を振ってオヤジに入れ込んでんだよ」 「おい、沢村!」 聞き捨てならない暴言を吐く沢村を、良太は睨み付ける。 工藤とのことは亜弓にははっきり言ったわけではないし、良太としてはしばらくは曖昧のままで行きたかったのだが。 「ちょっと、それっ
月夜の猫-BL小説です 春雷15 BL小説 「ここんとこずっと会えなかったし、今夜も撮り直しで、スタジオだって言うから、迎えに行くつもりだったのに」 沢村が案の定な不満を口にする。 「バカかお前は!」 思わず良太は沢村を詰る。 「何でお前まで佐々木さんと同じことを言うんだ」 ムッとした顔で、沢村は言う。 「当
月夜の猫-BL小説です 春雷14 BL小説 沢村はまたグラスに酒を注ぐ。 全くさっきのアスカの仕草を見てきたかのように、沢村は注いだ酒を飲み干した。 体格が違うとはいえ、水のように酒を流し込む沢村を、良太はある意味感心して見つめた。 「東洋グループのCMはもう終わったんだろ? こないだあのオバサン以外、誰も文句つ
月夜の猫-BL小説です 春雷13 BL小説 「アスカさん」 良太は少し驚いた。 「え、何コレ……」 アスカは指で拭うのだが、涙はあとからあとから溢れて落ちる。 その様子を見た亜弓がアスカにそっと寄り添うようにその肩を抱いた。 酒のせいもあったのだろうが、気が強いところしか見たことのないアスカがしばらくしゃくり上
月夜の猫-BL小説です 春雷12 BL小説 「良太が宇都宮さん振ったとこに、たまたま、出くわしたんだって。秋山さん」 アスカは秋山のことを一応弁明したつもりのようだが、良太としてはまさかこんなところで亜弓に知られるとは思いもよらなかった。 「ちょっと! お兄ちゃん! ほんとなの? 宇都宮さんに告られた?
月夜の猫-BL小説です 春雷11 BL小説 「何か最近、秋山さん、ちょっと変じゃないかなと思って」 良太に向き直り、アスカが言った。 「秋山さん?」 アスカの口から意外な方向の話が出たので、良太は聞き返した。 「そう。スキー合宿から帰ってから」 「ええ……?」 帰ってからまだ二週間も経っていないし、秋山と顔を合
月夜の猫-BL小説です 春雷9 bl小説 良太は駐車場に車を入れると、亜弓とともにエレベーターで部屋に上がる。 「きゃあ、ナータン、わ、可愛い、ちびちゃん!」 ドアを開けるなり、まとわりついてきた二匹は亜弓にも物おじせず、ナアナアと鳴く。 亜弓がチビを抱き上げたので、良太がナータンを抱いて例のドアを気にしながら中
月夜の猫-BL小説です かぜをいたみ21 bl小説 あんなチャラ男でも演技ができれば俳優と呼ばれるわけや。 千雪が漠然とそんなことを思ったように、大澤と紹介されたあのチャラ男はプロデューサーや俳優たちに妙にちやほやされていた。 「あなた、どなたです?」 「んなこたどうだっていい!! どんだけ出せば、よかったっ
月夜の猫-BL小説です 春雷8、かぜをいたみ20までアップしました BL小説 春雷(工藤×良太)8、かぜをいたみ(京助×千雪)20までアップしました。 かぜをいたみ、で、act 2 から、少し変更がありました。工藤と良太のエピソードとリンクしているため、修正をしつつアップしております
月夜の猫-BL小説です かぜをいたみ20 BL小説 「先生、こちらへどうぞ」 先ほどのプロデューサーが千雪を促して工藤の横に座らせた。 それぞれの紹介がなされ、千雪は俳優陣を見渡したが、ほとんど知らない顔ばかりだ。 ただ一人、何となく見覚えがある顔があった。 映画では青山プロダクションの志村嘉人が演じている役
月夜の猫-BL小説です 春雷8 BL小説 「どうかしたの?」 コートを受け取ってやってきた亜弓が聞いた。 「先ほど山内様が、広瀬様の分もとおっしゃって」 良太はそれを聞いて、しまった、と思う。 あーあ、ひとみならやりかねない。 また、お礼しとかないと。 「車を取ってくるから、ちょっと待ってて」 二人を店内に待た
月夜の猫-BL小説です 春雷7 BL小説 「そうよね、お兄ちゃんって何にも考えないで直球ばっか投げるから、沢村のやつにいっつもホームランにされてたし」 「何言ってんだよ! 三振取ったことだったあるし、いっつもホームランなんかじゃないだろうが」 つい語気が強くなる良太に、亜弓は「これだもんね」と木村を見た。
月夜の猫-BL小説です かぜをいたみ19 BL小説 映画同様全面的に工藤に任せてあるので、千雪は脚本やキャスティングにも一切口を挟むことはしていない。 まあ、顔合わせに行くからには、脚本家の西村や監督の大秦らにも挨拶くらいはするつもりだが。 それにしても、工藤に押し切られて映画化された『花のふる日は』は千雪の
月夜の猫-BL小説です 春雷6 BL小説 「そりゃ、仕事で世話になっているからな。今のロケも宇都宮さんとうちの小笠原だし」 「え、そうなの?」 亜弓の声のトーンが上がる。 「あのさ、今は木村さんとお付き合いしますって話だろ? 木村さんに対して失礼だろ」 すると亜弓もちょっと肩を竦める。 ここで木村も仕切り直した
月夜の猫-BL小説です 春雷4 BL小説 「うわ、ここ知ってる! 五つ星レストランじゃない?」 Blancという名前の通り、外装も内装も白を基調としたシンプルな造りで、テーブルや椅子も非常にシンプルなデザインだ。 「お兄ちゃん、大丈夫なの? ここ高いでしょ?」 店に入る前に亜弓が良太にこそっと耳打ちした。
月夜の猫-BL小説です 春雷3 BL 自分に紹介するということは、今までの経験から亜弓はおそらくこの男と付き合っているのだろうと良太は理解した。 ただ、ここ数年そういうことはなかったのは、やはり家のことで色々があったからだろう。 両親はまさしく能天気なだけあって、どんな環境にあっても二人で楽しく生きて行ける人達
月夜の猫-BL小説です 春雷1 BL小説 金曜日は雨になった。 工藤は朝イチの新幹線で大阪へ向かったはずだ。 大阪に本社を置く製菓会社の会長と藤田を介して近年親しくなり、工藤はちょくちょく呼ばれて出向いている。 青山プロダクションに在籍する若手人気俳優南澤奈々を起用する予定でCMプロジェクトが動き始め、京都
月夜の猫-BL小説です 春雷 BL小説 花さそう」の後になります。 早朝からドラマのロケの撮影があるというのに、夜中に工藤に強襲された良太は、出がけに鏡を見て首筋に痕を見つけると、とっくに出かけてしまった工藤に文句を言った。朝イチの新幹線で大阪に向い、週末はそのまま関西空港からCMプロジェクトのためにオーストラ
月夜の猫-BL小説です 花さそうラストまでアップしました BL小説 花さそうラストまでアップしました ちょっとまた長々となってしまいました。 最後までお付き合い頂き、ほんっとうに、ありがとうございました 次回からは、花さそう、の続きではありますが、新たに、春雷(工藤×良太)を予定しております。 また、途中で止ま
月夜の猫-BL小説です 花さそう78(ラスト) BL小説 それに、亜弓はどうやら良太と工藤との関係に気づいているようだ。 良太ももうごまかすつもりはないのだが。 けれどやはり、相手が工藤だということより、沢村と佐々木のような明確な恋人同士ではなく、微妙な関係だということが良太にとってはネックだった。 それを言葉に
月夜の猫-BL小説です 花さそう77 BL小説 竹野が小林千雪の小説のファンだということで実現したドラマ出演で、そのために急遽老弁護士シリーズ十周年記念番組などというサブタイトルを取ってつけられて今さらコケるわけにはいかず、さらに竹野の希望で原作者との対談が用意された。 ドラマの宣伝番組で十五分ほどだが、無論
月夜の猫-BL小説です 花さそう76 BL小説 絶対起きざるを得ないだろうヘビメタがジャカジャカ鳴り始めて割とすぐに、良太は目を覚ました。 かなりぐっすり寝た気がして頭も結構すっきりしている。 良太はトイレとシャワーを済ませると、そういえば工藤は夕べ隣に帰ってきたのだろうかと思いながら、バスローブのまま冷蔵庫
月夜の猫-BL小説です 花びらながれ23(ラスト) BL小説 賑やかな夜宴はちょうど日が変わる頃にお開きになったが、折角きれいだからと、井上が朝までライトアップをそのままにしていったお蔭で、工藤の部屋からも桜を見おろすことができた。 風に舞い上げられた花びらはともすると七階のベランダまで飛んできている。 工藤は
月夜の猫-BL小説です 花さそう75 BL小説 「なんか、思ったんだけど、日本人てやっぱり礼儀正しいっていうか、なんかストイックですよね、恋人同士でも、小笠原さんと美亜さん、休憩時間に二人でいてもハグするとかキスするとかもなくて静かに話してるって感じだし」 美亜がスタジオにいたのは、坂口の妙案で急遽小笠原と接近
月夜の猫-BL小説です 花びらながれ22 BL小説 青山プロダクションの裏庭で、仲間うちの花見が行われたのは、もう明日には花が散ってしまうかもという寸前の夜のことだった。 少し蔭になっていたからか、桜は開花が遅かった分、散るのも待ってくれたかのようだ。 撮影でいない小笠原と真中や軽井沢の平造を除く会社のほぼ全員
月夜の猫-BL小説です 花さそう(工藤×良太)74までアップしました BL小説 花さそう(工藤×良太)74までアップしました。花びらながれ(工藤×良太)21までアップしました。 花びらの囁き、ラストまでアップしました。
月夜の猫-BL小説です 花さそう74 BL小説 汐留にあるスタジオを出ると、森村は環二通りから六本木通りへとすっかり慣れたショートワゴンのハンドルを切った。 「今日は豪勢でしたね~。お陰で撮影も着々と進んだし」 真夜中を超えるだろうと思われた撮影は何と、十一時を過ぎるか過ぎないかのところで終わったのだ。 坂口や
月夜の猫-BL小説です 花びらながれ21 BL小説 「市川さん!!!」 倒れている市川に駆け寄った良太が、ふと見上げると白髪交じりの年配の男が見おろしている。 「あんた上田?!」 幸い段数が多くなかったせいか、市川はすぐ良太に気づいて身体を起こした。 「広瀬さん!!」 良太にしがみつく市川を見おろしていた上田は
月夜の猫-BL小説です 花びらながれ20 BL小説 有吉のことも気がかりなのはわかっているが、とりあえずやることは山積みだ。 工藤がコートを手に立ちあがると、良太も慌てて工藤を送るためにキーを持って工藤のあとに続いた。 赤坂五丁目辺りまで来たところで、ハンズフリーにしている良太の携帯が鳴った。 「広瀬さん、
月夜の猫-BL小説です 花びらながれ19 BL小説 「え、あれ撮ったの、有吉さん?! どういうつもりであんな!」 良太はカッとなって有吉に詰め寄った。 いくら何でも市川をあんな形で世間に晒すなんて、と良太は憤る。 「さすが工藤さん、よくわかったな。あん時、写真撮ってる俺とあいつ目が合って、あとで怒鳴りつけてきた
前回記事 https://nigemichi-to-serotonin.com/archives/1102 転職のとき、
月夜の猫-BL小説です 花びらながれ18 BL小説 「口を閉ざしていないとどうなるかわからないぞ、って書面で届いたそうなんです。それ、持ってくるって言ってました」 「何でそいつ、もっと早く証言しないんだ、あの男は」 イライラと渋谷は口にした。 手持無沙汰のまま二十分ほどが過ぎた頃、表にタクシーが止まり、やが
月夜の猫-BL小説です 花びらながれ17 BL小説 オフィスに戻るとソファに来客がいて、その男はドアが開いたのを振り返った。 「どうもすみません、お忙しい時に、広瀬さん」 立ち上がった大柄な男はちょっと頭を下げた。 「え、渋谷さん、………どうも」 警視庁捜査一課の渋谷である。 工藤とは昔から何かと因縁があ
月夜の猫-BL小説です 花びらながれ16 BL小説 悪いけど沢村、とても佐々木さん、ここで俺が何か話しかけるって、ムリ。 しかも仕事以外のこととかで。 撮影が始まるとスタジオ全体に緊張が走る。 小笠原も古木も問題はなかったが、三度のリテイクとなって、休憩に入った。 リテイクの原因は、主にワイマラナーのトムの
月夜の猫-BL小説です 花びらの囁き18 BL小説 「う……るさい……なんだよ、………藤堂、人を子ども扱いして」 悠は涙をこぼしながら悪態をつく。 「子どもにはこんなことできないよ」 「…う……ああ………っ………」 突き上げる藤堂の与える刺激に耐え切れず、悠は甘く声を上げる。 藤堂に抱えられたまま美術館から屋
月夜の猫-BL小説です 花びらながれ15 BL小説 良太が再び目が覚めた時は既に八時を回っていた。 毎度のパターンで、良太は工藤にしがみついて眠っていたらしい自分に赤面しながら慌ててベッドを降りると、チェストからパンツやシャツを出して慌てて身づくろいする。 「……まだ八時だぞ」 「撮影、小笠原の、フジタ自動車
月夜の猫-BL小説です 花びらの囁き17 BL小説 「だが、悲劇が二人を引き裂いた。パッツィ家によるメディチ家の暗殺というね。ジュリアーノも逃れられなかった。のちに捉えられたパッツィ家の暗殺者の処刑シーンをレオナルドがスケッチしたというのは有名な話だよね」 「藤堂さん、うちの美術史のセンセよりかわかりやすい解
月夜の猫-BL小説です 花びらながれ14 BL小説 「いや、そんな気がするってだけで」 慌てて良太は言葉を濁す。 「食事は?」 「あ、まだだった……」 そうだ、コンビニで弁当でも買ってこようと思ってたら沢村が来ちまったんだ。 「この時間だと…、ま、いいか。行くぞ、良太」 「あ、はい」 何となく良太がごまかしてい
月夜の猫-BL小説です 花びらの囁き16 BL小説 「まさか買うわけないだろ。借りたんだよ。選んだのは俺だけど」 アウトストラーダを制限速度百三十キロギリギリのスピードで走りながら、高津の質問に藤堂は答える。 「そうっすよね、いくら藤堂さんでもこんな車すんなりと……」 「河崎のやつ、車とかファッション、芸術とか
月夜の猫-BL小説です 花びらながれ13 BL小説 ことあるごとに資産家の御曹司のように言われるが、沢村自身は実家とは折り合いが悪く縁を切っている、というのも良太は再三聞いている。 「それが不動産屋から佐々木さんにそのことがバレて、以来、携帯も切られた」 「ってか何で、そもそも佐々木さんに内緒でやったんだよ?」
月夜の猫-BL小説です 花びらの囁き15 BL小説 「何で、携帯つながらねんだよ」 悠が言うと、高津はバツの悪そうな顔で、 「ハハハ……夕べ充電してたつもりが、コード抜けててさ、途中でバッテリー切れ」 「なんだと?」 悠はフォークを握りしめて高津を睨む。 「それより、何で、あんたがいるんすか?」 あらかた食べ終