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もしも私の人生が希望に満ちたものだけだったら私は きっともっと 絶望しただろう桜の花もはらはら散りゆく そのいのちを知っているから 美しいいのちも同じいつか終わるとわかっているから輝く死を見つめるから改めて 生を見つめる改めて見つめれば見つめるほどに生はその輝きを 増す春やわらかな陽射しが死の鏡に照らされて草も木も花も虫たちも生き生きと輝く死に向かって歩いているからいのちは 輝く死に向かって歩いて...
寝違えたままの 腕でご飯の支度をする空を見るのも 忘れて日常を 忘れたいなのに手だけが勝手に動いて食器を洗ってる日常を 忘れたいなのに不安の呼気に満ちたこの部屋は日常そのものでそれは余りに残酷で地獄を見るのと紙一重だから日常を 忘れたい日常を 忘れても寝違えた腕の痛みが着いて来るぶつけた膝の痛みが着いて来る傷ついた心の痛みが着いて来るいっそこの体は 捨ててはだかの心になって季節の隙間に流れたり風の...
無情の川は流れ流れて 海に出て冷冷たる大地は ひたすら後悔に唸るもう戻れない帰れない時の砂が両の手から急いで零れ落ちるいくらかき集めてもまた急いで零れ落ちるその繰り返しウエディングドレスを着ることはなかった丈夫な この子宮も用なしで邪魔なだけだった無情の川は日々表情を変えていくさなぎは必ず蝶になって産まれたての羽を広げるというのにあの日から一歩も歩けなくなった自分はあたまを抱えて転げ回るQQ車は ...
【現代詩】「出雲」 古代の舟に横たわるもの 暗い夜を照らすもののイメージ 現代詩の試み
出雲大社 出雲 社の背で、巨大な山が静かに空に滑落する。溶ける緑が渦を巻く。山が尽き、社がそれを追う。そして、足元の柔らかな土が揺れる。と、風。 古代の船が、真新しい木肌をみせて、宙に浮かぶ。暗い底に横たわる女の、白い目が開く。 …鎮まり給え… 大社が燃え上がる。 ***** 暗いものと明るいものとの混交。 天地の逆転。 そして新たなものたちの誕生。 新しい時間の始まり。 その起点としての大社。 出雲。 重く吐き出される吐息が、深い霧となって流れて… 雪の処方箋 (暖淡堂書房) 新品価格¥400から(2023/1/24 21:14時点) 【現代詩】「出雲」 古代の舟に横たわるもの 暗い夜を照ら…
煙草と珈琲がわたしの 感情わたしの 目の前に落ちた黄色い手が母の 思い出泣く代わりに煙草を 吸う怒る代わりに珈琲を 飲む冷たくなった 黄色い手と 身体で旅立った 母ぎえーと 苦しんで旅立った 母何もしないで 見ていただけの医者とナース爆発しそうな 感情が病室中を駆け巡ったけれど全て呑み込んでわたしは一人で 立っていた23年も経つのに母の 黄色い手が忘れられないだから次第にわたしのこの目に何も映らなく...
膝の関節がコキっと鳴って外れるのが癖になる痛いまだ 生きている横になっていると心臓の拍動が聞こえて来る少し苦しいまだ 生きている右手の人差し指の爪がまた 伸びているきりがないまだ 生きているこの誰もいない部屋で自分の骨や血の流れで わたしは生きている自分を感じる人の手のぬくもりや人の優しさがいつしか遠く遠くにしか感じられなくなって久しいまた膝の骨が鳴る痛い生きている#ネガティブのままでいい#シニア女...
今日からまた、詩に戻ります。ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー街いちめんの白い罪がしんしん しんしんわたしの肩に黙って降り積む街いちめんの白い罪はしんしん しんしん私を 極寒という刑に処すさむいさむいでもこんなんじゃ足りないのもっと責めてよもっともっと大きな何かにいつもすまないと思いながらしんしん しんしんわたしは ひたすら歩きつづけるしんしん しんしんわたしの罪がしんしん しんしん降っ...
【現代詩】「桟橋」 誰も戻らない場所が確かにあるということ 現代詩の試み
桟橋 桟橋 …静かに… 雨に濡れる桟橋の先で 溢れようとする海に何冊かの本を沈めると 水の底から 古い写真が一枚 ゆらりと浮び上がり 冷たい風が 高い空から剥がれ落ち ふと 遠くから呼ばれた気がして振り返った あの日の (…いつも ここ にある… 灰色の浜辺に置き去りにされた少年が そっと 模型の船を置き 波の先で泡立つ砂の さりさりという音 引く波の唇がめくれて鳴る ふるふるという音 波打ち際に 透明な塊がいくつも打ち上げられ また 波にさらわれ 小さな駅のプラットホームで 柔らかな殻を溶かし広がろうとする 一つの朝に少年は背を向け 信じていなければ 消えてしまいそうだった汽車の 重く冷たい…
新雪のとしのはじめにかぜが吹く 荒れる あばれるつちぼこりまいあがるなみだ雨 雪どけ水よ それすらもきっと きっと前進の力にかえて この空をおもいきり舞い踊ってつらい雨さえなつかしいわと わらいあえるあしたでありたい
偽私 (…ぬるい寝床を走る繊毛… (…いくつもの眼、小さな歯… (…肌を焦がしながら分断し… (…、…、眠れない…、…、… 紐が捩れながら束になり 甘く肉の焼ける匂を追い 分散し数匹の蟻になり 穴を開け押し広げ潜り 「層」の断片を掘り出し 膨れ上がる赤い腫瘍 震える蟻塚 (…やがて落ちる「洞窟」… (…奥からの湿った風に怯え… (…重く流れる川、深い溝… (…何度も阻まれて… やがて辿り着く 遠く厚く溜まる「底」 冷たい指で胸を裂き 見慣れた横顔 (…「親」… が、立ちふさがる壁を突き抜ける、と 昨日の、まだ熱を吐く機械 (…「私」達… の群が渦を巻き それ、を取り囲み 同じ顔で、笑いながら …
たしかにそうかもしれないよのなかだけど せかいをうつす水晶はあなたのこころのありようだから だからぐいとまえをまけぬように だからいつもいのちにもいつでもきぼうの きらめきをもって
むき出しの寂しさと果てもない不安を連れた 冬の風が 我が家のドアを また叩く残酷な真冬の白堕胎された胎児のようにわたしは居場所を見失う安心しきって眠っていたら突然闇に引きずり出された胎児はどこかわたしに似てる陽に当たることもない弔ってさえもらえない胎児のように生きていた生きていたのに最初からいなかったことにされる胎児のようにわたしは居場所を見失う#ネガティブのままでいい#シニア女性#現代詩#詩#ポエム#...
私には明日の出来事もあさっての出来事も20年前の出来事に 感じられて20年前の出来事も30年前の出来事もつい昨日の出来事に 感じられて母の余命告知もって ひと月もってひと月もってひと月かまってやれなくてだんだんと野良猫のようにになって行く猫をぼんやりと眺めて風呂に入っていたのか毎日何を食べていたのかもよく覚えていない 母の断末魔の姿はこの胸にガラスの破片のように幾重にも 突き刺さったけれど 痛みは...
死にたい気持ちをないこと にして無理に笑い無理に 元気に振る舞い無理に 平静を装うわたしの中では食欲や 睡眠欲と同列な 欲求なのに死にたい と言ってはいけません生きたくても生きられない人もいるのにわかっていますそんなこと人は基本的に死にたくないと思うことでもわたしは違うんです死んではいけませんいけませんいけませんいけませんと言われることで改めて傷つき余計に死にたくなるから誰にも言えない倫理 という...
答えが欲しいなぜ の問いほど答えは ない人はなぜ生きるのか人はなぜ産まれて来たのかずっと 問うてきたなぜ生きるの?なぜ産まれて来たの?苦しいとそんな答えのない問いをどうしてもつづけてしまう誰もその答えを知らないとわかっていて尚なぜ?なぜ?そう問わずにはいられない素朴な なぜを答えのない なぜを子どものように繰り返して来たきっとその素朴にして困難ななぜ の問いは風が 知っているのだろう季節が 知って...
【現代詩】「駅/発酵」 旅立つ人も、帰り着く人も、もう誰もいない駅
駅/発酵 (…ああ、季節が、かわる… …散り積もった枯葉、を、掻き分けるように掘る、と、底、に… …じゅくじゅく、と、醗酵し始めた厚い腐葉土の層、さらにその、下、に… …雨、が、近づいてくる、その響きが指先に伝わる、雨は、深い底で、降っている… …鼻、先、を過ぎる風の、生臭さ、思いがけず、首筋を撫でる、風の、冷たさ… …不意、に、触れる、硝子、それは掘り出された、小さな窓、その中、に… …滑落、濡れた、冷たい床、木の長椅子、枯葉の壁が塞ぐ、出口のない改札口… …雨が、屋根を叩く音が、聞こえる、窓を塞ぐ枯葉の層が、ゆっくりと溶け… …改札口に、いくつもの人影が立つ、そして、静か、に、待っている……
太宰の言う通りです本当に生まれて来ちゃってすいませんわたしという人間は きっと生まれて来る予定ではなかったのでしょうだから苦しむという「役割」を担っているのだと思います自分の罪だけでなくあらゆる人の罪を背負って死ぬその日まで苦しむのでしょうごめんなさいごめんなさいごめんなさいと何度 あやまり倒せば赦してもらえますか?37年 苦しみつづけましたまだ足りませんか?どうかどうかもうそろそろ赦してはもらえま...
日常のちりばめられたおほしのような きらめくありがたさがまぶしくてならぬ よぞらにちんちか みちしるべ こっちだよこっちだよと ほほえんでてまねきする
わたし死神旅支度死に化粧お見送り人生最期の 旅支度亡骸が硬くなってしまわぬうちに旅支度着物の合わせは左前結び目は 縦結びファンデーションとほおべには淡く淡く唇には薄桃色の 紅を引く玉のような汗をかいては旅支度亡骸が寝顔に変わると嬉しくて空のお迎え旅支度空の青が広がって迷わぬようにと旅支度広大な大地のお迎え旅支度草木がゆらゆら揺れながら誘いに来たから旅支度幼き日に見た夕焼けもため息ついて 悩んだ夜も...
砂/すな まわり 時に 落ち 休日の午後 冷たく 影 流れ込んで 春は まだ 土の下にも きていない 期待などしない 鴉だけが その鳴き声に 時の 細い糸 祈る 木々の先 巻き込まれるのを 匂わせて しかし 遠く しかし 古く なにを 思い浮かべる ふるかえる 子供 ...
何も見えない目を開けて何も聞こえぬ耳 そばだてて見つめる景色はいつも 闇色兄さん姉さんお母さんわたしは ひとりになりました覚えていますみんながこの世にいた頃はこの世界が見えたこと風の音が聞こえたことひとりまたひとりとわたしの元から消え去ってわたしは 盲にわたしは ろうにわたしは 啞になりました三重苦のままであと何年生きればいいのか考えると途方にくれます兄さん姉さんお母さん早く迎えに来てくださいあな...
私は わたし を捨てて行く流れる月日や巡る季節とおんなじに私は わたし でなくなって伸びやかな木々に光る木漏れ日になる春という名の風になる私は わたし でなくなって大河の一滴になる上流から下流へ流れ水平線の 海に出るそして私は 空になる私は わたし でなくなって大地のほんのひと粒になる人の足に 幾度も踏まれそれを喜ぶ 土になる母から 流れ出た血に染まって名前も身分も何もない産まれ直した赤子になるこ...
人生 うたかた弾けて 消える一瞬の夢母の体が冷たくなったあの夜もあの子が 消えた夏の日も彼女が 飛んだ雨の日もこの世の全ては 幻想まぼろし死までの旅の 途中に見た 夢墓場に辿り着くまでにあといくつ悪い夢を見るのだろうせめて良い夢をひとつぐらい見てみたい#ネガティブのままでいい#シニア女性#現代詩#詩#ポエム#心#生きる#いのち...
この雨が あがったら私はまた 歩きます墓場に向かって歩きますいのちの灯りをこの手に持って歩きます過去の過ちあなたの秘密若さに任せて 重ねた体ひとりきりで見上げた夜空罪や 恥をひとつひとつ 数えながら落とさぬようにしっかりと墓場まで 持って行きますこの雨が あがったら私はまた 歩きます墓場に向かって歩きます遠い道のりではあるけれどいのちの灯りを照らして迷わぬように 歩きますこの雨が あがったら私はま...
黒く塗り潰されたわたしの末路朽ちた部屋震える心曇る窓昨日の記憶がない自分の名前がわからない明日が見えない星のない空標もなしにどう歩く?わたしの行方を照らしてくれた あなたはもうどこにもいない盲人のように手さぐりで歩くしかない白杖さえ持たぬ わたし黒く塗り潰されたわたしの末路何も見えない聞こえない#ネガティブのままでいい#シニア女性#現代詩#詩#ポエム#心...
亡霊の手に誘われて不眠地獄に落ちた体を無理矢理 起こす薬が切れた鮮明な意識が今日もまたわたしを 責める冬の亡霊の手は白く 冷たくて痛い亡霊に手を握られて動けなくなった体を持て余している亡霊に手を握られると自分も亡霊になったようで今 ここにいることにさえ自信が持てなくなる冬の亡霊はわたしを 嘲笑いながら極寒へ 極寒へわたしを 連れ出そうとする冬の亡霊の手は白く 冷たくて痛い#ネガティブのままでいい#シ...
ねこが毛を もこっと立てたらふゆまるでぬいぐるみかおまでころっころ もこっとやわらかふわっとあったか いっしょにぎゅうっとくっつきたい ふゆのねこ いやんちかづかんといてっていうてはる
ゴミが出るのは生きている証今日は燃える明日は燃えない毎日毎日証を捨てる美しい思い出とか愛する人との日常とか何も持っていないわたしは毎日ゴミが出ることでしか生きている証を見出せない忌まわしい思い出とか孤独な日常とかそんなものしかわたしは持っていないから生きている証なんてわかる訳もないぽつぽつと路面に落ちる雨粒の音が 聞こえるわたしの代わりに空が泣くとうのわたしは哀し過ぎて涙も出ない#ネガティブのまま...
これからどう生きて行くかよりどうやって暖をとるかを考えているこれからの人生より今日の夕飯は何にしようかと考えている生活苦という名のおもりが私から思考力を奪い生きる気力を奪い自分の意志さえも奪う何でもいいどうでもいい明日は見えないから見たくもないからただこの寒さを何とかしなきゃただ今月のやり繰りをしなきゃそういうことしか浮かばない生活苦という名のおもりを引きずったままいつまで生きれば許されるのだろう...
もしも生まれ変わるとしたらわたしは涙になりたい涙になったら悲しい人の瞳に棲んでとめどなく溢れる涙でその人の悲しみを洗い流してあげたいから涙になったら喜ぶ人の瞳に棲んで暖められた雨粒のように熱い涙を何粒も零してその喜びをもっと感じさせてあげたいから涙になったらわたしはいつも人の瞳に住んで生き生きとした感情を豊かな欲求を解放させてあげたい涙になったらわたしはどこにもいなくなるだけど誰の瞳にも棲んでいる...
冬は亡者たちの季節料理して指に火傷しても指より心が痛い季節つまづいて膝を擦りむいても膝より心が傷つく季節冬は亡者たちの季節虫たちが長い眠りにつき木の葉が悲しく落ちていく人がこの寒さを乗りきれず空へ逝く季節わたしを思い切り誘惑する季節冬は亡者たちの季節#ネガティブのままでいい#シニア女性#現代詩#詩#ポエム#心...
眠剤が 頭にまわったままでまともに歩けなくてあちこちにガンガンぶつかりながらトイレまで 辿り着く夜中の醜態でも本物の醜態なら職場やプライベートで散々晒しているじゃない?わたし という名の醜態をみっともなくみっともなく生きるそれでいいそのままでいいかっこつける必要はない夜中のわたしの醜態を月が優しく見下ろしていたこの醜態を海に流せば海はより一層碧くなるより一層透明になる#ネガティブのままでいい#シニア...
死んだ子の 亡骸を抱いたまま 歩くように亡骸が 朽ちても引きずって歩くように死んだ子の年を数えるように過去を 取り戻したくていつも さまようもう二度と戻っては来ないあの頃のわたしやあの頃のあなたやあの頃の思い出といつまでも飽きることを知らない幼子のように戯れる受け容れ難い現実は横に置いていつまでもあの頃 と戯れる澄み渡る空明けの明星苦い珈琲冬のつづきいつまでもあの頃 と戯れる #ネガティブのままで...
もうその姿は見えないけれどあなたは わたしの好きな グラスの中でくつろいだり遠く 遠くの海から私に耳打ちしたり幼い頃から集めてたビー玉の中であくびをしたりあの大空からわたしに おはようと言ったりしている涙の宝石になったあなたがわたしの胸にいつも いるよわたしの心があなた で溢れるあなたは 海になったあなたは 季節の風になったひとつ またひとつ光を 放って思い出という名の 星座に灯がともるそれは夜空...
あなたは あのときどんな夢を見ていたの?どんな未来を見つめていたの?わたしはあなたの見つめる未来にわたしがいないことを知っていたのこんなに長い間一緒に過ごして来たのにわたしは いないそのことが たまらなく悲しかったけれどわたしは気づかぬふりをしたあなたの夢にも未来にも触れないようにしていたの触れてしまったら別れが来てしまうと思ったからあなたの未来をこじ開けて無理矢理そこに入ることはできないからだか...
たたみあたらしくするまえの いれかえるまえのがらんどう まるですっぱだかきかざらぬここちよさ まあたらしくなるまえに ぴしゃんとこころ 原点にもどしとくの
真冬の風に肩を 舐められただけでわたしの心は 騒ぎ出すまた死神に 抱かれる季節がやって来た冬の死神はわたしの気持ちなどおかまいなしに無理矢理に死の渕へといざなう死神に抱かれるとわたしも つい死の渕に憧れてしまう余りの寒さに思考力も麻痺して冷静さも失って冬の死神の言いなりになるどんなに拒んでも冬の死神はわたしを抱きたがる死の渕へ死の渕へいけないいけないと頭の片隅で思いながら死神に 抵抗できない毎年毎...
壊死した 心根ではこれからの下り坂を上手に歩くことは できないのだろうか腐った 心根ではもう 真っ直ぐに その触手を伸ばすことは できないのだろうかまるでいつまで経っても 芽吹かない枯れた 鉢植えのようにわたしの心根は本当に腐りきってしまったのかわからないわからないでもあなたの姿をわたしは真っ直ぐに 見たいちゃんとちゃんと現実を 受け容れて自分の心に素直でありたいそうすれば鉢植えの花ももしかしたら...
化粧を 落とせぬ女のように幻想に塗り固められて偽りの 輝きを放っている自分を持て余す幻想 という 化粧は顔を洗ったくらいでは落とせない鎧をまとっているように重たくてでも この幻想 という鎧を脱がなければわたしはわたし にはなれないどんなに微かでもいいわたしそのもの として輝かなけば意味はないこの 幻想 を捨てて初めてわたしは わたし になれるこんなに寒い冬の日でもまだ硬い つぼみが芽吹きの準備をす...
いま この一瞬も一年もきっと 同じ速さで過ぎて行く蝉の一生も人間の一生もきっと 同じ速さで過ぎて行く寒さの冬は長いできることなら暖かな日の中でずっと桜を愛でていたいと思うでもこの長い冬も桜を愛でる時もきっと同じ速さで過ぎて行くんだねだったらいま この一瞬を大切に噛みしめて生きて行くあなたの前で安心して涙の雫を 噴き出させたあの僅かな温かい時に人生を見つめるように蝉が羽化して生まれたての羽を広げる姿...
爪を切ることさえしんどくて冬の風食器を洗うことさえつらくって冬の風あなたを思い出すことも胸が痛くて冬の風冬は冬の寒さは生きる気力を奪う冬は もしかすると背中合わせの生と死が最も近づく季節なのかも知れない生きているのか死んだのかわからなくなるいのちたちを最も惑わせる季節なのかも知れない#ネガティブのままでいい#シニア女性#現代詩#詩#ポエム#心#生きる#いのち...
わたしはお母さんに半身を奪われた光が輝けば輝くほど影も大きくなるお母さんは光だけ で生きた影の役割りをわたしに担わせてお母さんが死んだときわたしは 光 を失ったお母さんに半身を奪われて影だけで生きるのは容易ではなくて寒くて苦しくて苦しくてだからわたしは失った光 をつい他人に求めようとしてしまうそんなこと他人に出来はしないのに影だけで生きるのがつらくて誰かの光 をつい求めてしまうでももうお母さんはい...
生き物の体温がない冬は冷たくて無機的で堪えられぬから自分の涙の熱さで自分の体を暖める熱い涙が冷たくなるその前の僅かな時で暖をとる熱い涙が冷たくならないように次から次へと熱い雫を流して暖をとる生き物の体温がない冬はこの手に残ったぬくもりで自分の肩を自分で抱いて暖をとる生き物の体温がない冬は自分の体と心だけで暖をとる生き物の体温がない冬は#ネガティブのままでいい#シニア女性#現代詩#詩#悲しみ#ポエム#心...
電球が 切れた買い置きが ない月明かりだけを 頼りに息を潜めて暖を 手繰り寄せる冬は孤独色が一層濃くなる季節孤独色のこの部屋は何とわたしに似合いなことか寒さの余りわたしは また自分の心を切り刻み自虐プレイを始めてしまう愚かだね哀しいね月明かりだけを信じてる#ネガティブのままでいい#シニア女性#現代詩#詩#ポエム#心...
毎晩孤独と一緒に 寝て毎朝絶望と一緒に 起きる苦手なものはひとの幸せごめんなさいごめんなさい苦しみや悲しみばかり背負っていると性根がどんどん 捻じ曲がって物事を 真っ直ぐに見られなくなるの頭痛が 酷い絶望と孤独の部屋で窓の向こうの幸せな人を見るごめんなさいごめんなさいわたしは罪を犯していますごめんなさいごめんなさいこの世は贖罪の旅なのです#ネガティブのままでいい#シニア女性#現代詩#詩#ポエム#心...
死に化粧を 施すように 真冬の深夜に無意味な 化粧小指で 紅を引きながら思い出すのは死者の唇淀んだ瞳街中が死に化粧静寂の宴無口な木々まるで毎日が弔いのようなこの季節だれが死んだかわからないけど死に化粧だれも泣いていないけど葬列みたいそろり渋滞の死に化粧#ネガティブのままでいい#シニア女性#現代詩#詩#ポエム#心...
冬の訪れに気づかなくて急いで布団を引きずり出した若い子たちの笑い声はわたしの棲む 地下深くから地上に染み出す涙とは 裏腹に心底 楽しそうだわたしはおもちゃ箱から落ちたおもちゃの兵隊さんいずこへ流れ着くのやら心の深い傷を 自嘲してもて遊ぶのが癖になった痛いでも 痛くない顔をする血が噴き出す包帯で 傷を隠して真っ赤な汗を ひとりで拭う時計の針を 逆さに回せたらわたしも 笑えるのに時計の針は 残酷にもい...
猫が夜の匂いを 嗅いでいるしきりに夜を嗅いでいる猫は何も言えないけれど季節を知っている人間よりずっと自然の法則を知っているだから何事も厭わない何事にも抗わないただ野生の本能のままに自分の いま を受け容れて生かされていることをちゃんと知っているそれなのに人の気持ちも 知っているわたしの気持ちをわかってるわたしの感情の波を近くでちゃんと感じとっている万物の霊長たる人間よりももしかしたら犬や猫のほうが...
わたしにとって生きることは通帳の残高を気にかけることわたしにとって生きることは今日は何を食べようかと考えることわたしにとって生きることは散らかったテーブルみたいにどうでもいいことわたしにとって死ぬことは全ての細胞が活動を停止することわたしにとって死ぬことは全ての精神活動が終わることそれ以外何がある?何もない何も生きることなどどうでもいいことあの世もこの世もただの まぼろし生きているのか死んでいるの...
♪運がいいとか 悪いとか人はときどき 口にするけど♪なんて歌を力なく 口ずさみながら汗を落としたくてシャワーを浴びるもうずっと前から中指に はめている銀メッキの指輪が指に食い込んで 外れないでも このままでべつにいい♪運がいいとか 悪いとか人はときどき口にするけど♪強風がわたしを夕陽と一緒に 沈めようと西へ 西へと誘惑する♪運がいいとか 悪いとか人はときどき 口にするけど♪いけないいけない西日の誘惑にの...