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校歌の碑 3日目 前日は釜石駅前のホテルに宿泊。朝起きてホテル屋上の露天風呂に入り太陽の光を浴びた。朝食を取りコーヒーをいただく。カフェテラスの前を通勤途中の人々が行きかっている。東南アジアからの若者たちは、談笑しながら通り過ぎていく。その後からは、やはり褐色の肌をした女の子たちが背筋を伸ばして自転車を漕いで行った。反対側からはうつむき加減にケータイを注視しながら日本の若者が歩いて行った。 駅前には作家の井上ひさしに因んだ石碑が3つ立てられている。そのうち一つはひさしが作詞した釜石小学校の校歌である。歌は、「いきいき生きる」という歌詞で始まって、2番は「はっきり話す」、3番は「しっかりつかむ」…
トントントンと坂を調子よく下って来た足が止まった。崖に縁(ヘリ)に転がっているのは、色や形からニホンジカのようだが、大きさからしてまだ幼体か。頭を谷に向けて木の根元に横倒しになっている。目は大きく見開いているが、動きは全くなく絶命していることに間違いはない。身体の一部に肉が露出しハエが群がっていた。良く見ると後ろ足の片方が、地面から浮いて張り出した木の根っこに引っかかり抜けないままになっていた。おそらくは崖を下ろうとして足元を取られたままに骨折したのだろう。可哀そうに。しばし茫然とした後で、傍らの枯れ葉の上に乗っかっている黒々とした大きなフンも視界に入ってきた。 遠巻きにしてそのまま谷底まで降…
日に日に成長する新緑が渓を緑に染める 2日目 前日は大船渡市のホテルに泊まり、一夜明けると晴天。予報ではここから3日間は好天が続く。大船渡から三陸道を北に向かおうとすると大きな山が鎮座しているのが望める。標高は高いわけではないが、饅頭型で堂々としていて印象的。ここからいよいよ本格的なリアス式海岸が始まるよと知らしめているように見える。 今日は吉浜川へ向かう。河口から藩政時代の街道の雰囲気を残す集落を抜けると人家は絶える。川は傾斜がきつく水量が多いので、谷底を叩きつける水の音が林間に響いている。道路から川まで道はついていないものの、斜面の松やヒバには下生えがなく谷底までよく見渡せるので、傾斜の緩…
小股川の平瀬に架けられた古い小さな橋 あらかじめ仕事上の都合をつけて、木曜日の夜までには帰宅することを家人に約束して月曜日の朝からひとり旅に出た。行き先についてはだいたいの目途はつけているが、初めて訪ねる川もあり、また必ず行かねばならないところなどもないので、自由度の高い気楽な釣り旅だ。天候、釣果によっては変更もできるように、宿はその当日にオンラインで予約することにした。 そもそもは、定年退職して自由な時間が多くなったならば、ふらっときままに釣り旅に出たいという願望を抱いてきていた。現実は退職したからと言って無職になるわけにはいかず、なにがしかの仕事をしてきていて、決して繁忙とは言えないが、ま…
2 Deerfield River Hail to the Sunrise Park モホーク族を称える像だという この像がある公園に車を止めた モホークトレイルの西端の町NorthAdamsのロッジに宿を取り、ボストンから車で往復する間に、釣りに使える時間はわずかだ。ボストンでレンタカーを借り出す手続きに時間がかかるかもしれないし、初めての町を初めての左ハンドルで右側通行するわけで、所要時間を正確に見込むことは無理だった。 フィッシングガイドを予約して現地で待ち合わせすることは諦め、釣りができそうなところで車を停めて川に入り、ポイントを探しながら釣るという、いつも日本でやっているスタイルでは…
1 旅の始まり マサチューセッツ州の田舎町North Adams 秋にニューヨーク市へ観光旅行することになった。アメリカへ行くのは初めて。家族と一緒にもっぱら観光名所巡りになる予定なのだけど、内心ではせっかくそこまで行くのだから、どこかの川でフライフィッシングができないものかという思いが頭に浮かんでいた。ネット上で情報を探してみると、ニューヨーク市から列車で郊外に向かい数時間行けば、釣りができないこともないらしい。でも外国で釣りをするということは、フィッシングガイドを雇ってもそうは簡単なものではないことを過去に経験していた。川までに要する往復の移動時間や、気象条件によっては全く釣りにならないこ…