第86話 建巳 act.38 another,side story「陽はまた昇る」
Thataftermanywanderingskenshi―周太24歳4月第86話建巳act.38another,sidestory「陽はまた昇る」憧れで、恩人で、大好きな友だち。そんなふうに祖母を想ってくれるひと。そうして今、淹れてくれた茶の香ふわり清々しくて周太は微笑んだ。「ありがとうございます…祖母のことそんなふう仰ってくれて、嬉しいです、」うれしい、こんなにも。だって自分は祖母を知らない、ずっと昔、生まれる遥か前に亡くなったから。それでも今こうして向きあうテーブル、研究室の窓辺に学者は朗らかに笑った。「こっちこそよ、斗貴子さんのお孫さんだなんて。しかも私の講義を受けてくれるんでしょう?どうしよう、嬉しい、」メゾソプラノ朗らかな目もと、皺やわらかに滴が光る。ほら?こんなふう悼んでくれる、僕の家族のこ...第86話建巳act.38another,sidestory「陽はまた昇る」
2023/02/08 22:04